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JP3601798B2 - 肉盛り溶接したジャーナル部を有する回転軸の製造方法 - Google Patents
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肉盛り溶接したジャーナル部を有する回転軸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、一般的に、外周面に肉盛り溶接により形成した合金層を有するジャーナル部を備えた回転軸の製造方法に関し、該肉盛り溶接用合金の選択によって耐摩耗、耐食性に優れたジャーナル部を有する回転軸の製造が可能であり、特にオーガ式製氷機等のオーガとして有用な回転軸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、オーガ式製氷機に用いられるオーガのような回転軸においては、軸受によって支承されるジャーナル部の耐摩耗、耐食性を高めるために、この部位の外周面に耐摩耗、耐食性を有する溶射皮膜を形成することが行われてきた。しかし、この溶射皮膜は一般的に膜厚が薄く、かつ回転軸を構成する基材との間に溶け込みが少ないために、特にアフターフューズ工程が不完全であると剥離しやすいという欠点がある。このため、溶射の代わりに、ジャーナル部の外周面に耐摩耗、耐食性合金を用いて肉盛り溶接を施すという方法が採用されるようになった。この方法によれば工程が安定しており、自動化を図りやすいという利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような肉盛り溶接では、皮膜を厚くし、かつ剥離を防止できる反面、耐摩耗、耐食性合金を肉盛り溶接する前に、ジャーナル部の被溶接部位を十分に予熱しなければ、肉盛りした合金層に割れが発生するという問題があった。この問題を解決するために、回転軸を、回転軸本体と、この回転軸本体とは別体であるジャーナル部基材とから構成し、このジャーナル部基材の外周面に肉盛り溶接を施すことによってジャーナル部を形成し、ついでこのジャーナル部の端面と回転軸本体の対向する端面とを互いに摩擦圧接によって接合する方法も試みられたが、ジャーナル部基材の予熱なしでは肉盛り合金層における割れの発生を防ぐことは依然として不可能であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の問題を解消するため、回転軸本体の両端部に一対のジャーナル部を同軸的に一体に接合した回転軸の製造方法であって、前記回転軸の少なくとも一方のジャーナル部を設けるために中空のジャーナル部基材を前記回転軸本体と別体に準備して、該ジャーナル部基材の外周面に同ジャーナル部基材を予備加熱することなく前記回転軸本体から分離した状態にて肉盛り溶接により耐磨耗、耐腐食性の合金層を形成し、その後に同ジャーナル部基材の一端面を前記回転軸本体の対応する端面に摩擦圧接により接合するようにしたこと特徴とする回転軸の製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の作用・効果】
本発明による回転軸の製造方法においては、回転軸本体の端面に接合されるジャーナル部基材として中空のジャーナル部基材を採用したので、ジャーナル部基材と肉盛り溶接層との熱容量の差が少なくなり、肉盛り溶接の際にジャーナル部基材に移動する熱量を減らして肉盛り層の温度を高め、結果として肉盛り溶接後の冷却の際のジャーナル部基材と肉盛り層との間の温度差を縮めて肉盛り層に割れが発生することを防止できる。本発明の方法によれば、割れを防止するために溶接工程の前にジャーナル部基材を予熱する必要がなくなるので、溶接加工が簡単になり作業時間が短くなるとともに予熱設備が不要となる。また、ジャーナル部基材が中空であるため、回転軸本体との摩擦圧接の際の推力も小さくてよいという利点がある。
【0010】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本実施例は、回転軸としてオーガ式製氷機用オーガについて例示するもので、図1に示すオーガは、回転軸本体1と、この回転軸本体とは別体であるジャーナル部2及び3とから構成されており、回転軸本体1の両端面とジャーナル部2、3の対向する端面とはそれぞれ摩擦圧接によって同軸的に接合される。ジャーナル部2、3は、製氷機本体の軸受け部(図略)に回転可能に支承されており、またジャーナル部3の他端はオーガの駆動機構(図略)に連接可能となっている。ジャーナル部2、3の外周面は摩耗と腐食を受けやすいので、ステンレス鋼SUS304からなるジャーナル部基材2a、3aの表面にさらに耐摩耗、耐食性の肉盛り用合金を肉盛り溶接するが、本実施例では溶接施工前に、ジャーナル部基材2a、3aにこれらと同軸的な円筒状空孔2a1、3a1を穿孔することによってそれぞれ中空とした。さらに、ジャーナル部基材の外周面に軸方向の断面が船底型のアンダカット部2a2、3a2をそれぞれ加工して形成した。アンダカット部の深さは、ジャーナル部の直径、所望の肉盛り厚さ等によって決定されるが、本実施例においてはそれぞれ0.8mmとした。肉盛り用合金としては、Cr 29.0%, Mo 4.0%, Co 3.0%, Fe 3.0%, Mn 1.0%, W 2.0%, B 0.6%, Si 1.0%, C 1.1%, 残部 Niの粉末を使用し、下記の条件でアンダカット部を埋めるように炭酸ガスレーザ法により肉盛り溶接を施した。
【0011】
レーザ溶接条件:
レーザ出力: 4.5 kW(CW(マルチモード)), 発振波長:10.6 μm,焦点外し距離: +40 mm: 照射ビーム径: 6.2 mm(アクリルバーンパターン), 送りピッチ: 5 mm
試料として直径49 mmのジャーナル部基材を加工して中空とし、上記条件により肉盛り溶接を実施した。肉盛り溶接施工後、肉盛り層表面を注意深く観察したが、何らの割れも発見されなかった。肉盛り溶接の終わったジャーナル部2、3は、ついで回転軸本体1とそれぞれの対向端面を摩擦圧接によって接合して一体とした。ジャーナル部基材2a、3aの接合される側の端部には、圧接の際の掴み代及び縮み代として基材と同径で適宜な長さを有する部位2a3、3a3をそれぞれ予め設けた。
【0012】
上記実施例と比較するために、同一の直径を有する中実のジャーナル部基材を用い、同様のアンダカット部を有する試料を作製して、上記と同一の条件のもとで外周面に肉盛り溶接を施した。この場合には、試料を予熱しないで直接に肉盛り溶接を施したものは肉盛り層表面に割れが発生した。割れの発生を防止するためには、溶接前に基材を予熱し、かつ肉盛り用合金粉末の供給量を減らし溶接加工速度を低下させる必要があった。
【0013】
一般的に肉盛り溶接の場合には、被溶接基材と溶接により形成される肉盛り層との両者の熱容量の大きさの関係が常に問題となる。しかして、従来の中実のジャーナル部を有するオーガでは、たとえジャーナル部基材を回転軸本体と別体としても、基材の方が肉盛り層よりも熱容量が遥かに大きい。このため、肉盛り溶接によって発生した熱は大量が基材内部に移動するので、肉盛り層及びその直下の基材の温度の上昇は制限され、そのうえ肉盛り層は基材の外側にあり、かつ熱容量が小さいので基材内部よりも速く冷却するので、肉盛り層と基材内部との間には大きな温度差を生じる。この結果、早く低温となる肉盛り層の方が収縮も早く、冷却途中でここに割れが発生する。このため、中実基材では、溶接前に基材を予熱して温度を上昇させることによって、基材による溶接熱の吸収量を減らして、溶接後の肉盛り層及びその直下の基材の温度を高め、冷却時の基材内部との温度差を低減して割れの発生を防止する必要がある。これに対して、本発明によるジャーナル部基材は中空状としたので、肉盛り層との間の熱容量の差は小さくなり、ジャーナル部基材による溶接熱の吸収量は減って、肉盛り層及びその直下の基材の温度は上がり、冷却時の基材内部との温度差が縮まったために、基材を予熱しなくても肉盛り層に割れの発生は見られない。
【0014】
上記の説明から明らかなように、本発明によるオーガは、肉盛り溶接層の割れを防止するために、溶接前にジャーナル部基材を予熱する必要がない。このため、予熱設備は不要であり、肉盛り加工の時間も全体として節約できる。また、ジャーナル部が中空であるために、回転軸本体との摩擦圧接の際の推力も小さくてよいという利点がある。このほか、従来の溶射による耐摩耗、耐食性皮膜に対する肉盛り溶接層自体の利点、すなわち、層の厚さと強度の増加、層の基材への密着性の向上等が達成されることは言うまでもない。
【0015】
ジャーナル部基材の中空の形成については、上記実施例のように同軸の円筒状空孔とすることが、機械加工、溶接等の工作上好ましいが、これには限定されない。また、上記実施例ではこの空孔を透通孔としたが、有底孔とすることも、またオーガ本体内まで達する空孔とすることもできる。
【0016】
上記実施例は、ジャーナル部の肉盛り溶接に対して、炭酸ガスレーザ粉末肉盛り溶接法を適用した場合についてのものであって、この方法には肉盛り層の基材による希釈が少なく、かつ自動化が可能であるという利点もある。
【0017】
ジャーナル部の肉盛り溶接を、前記の炭酸ガスレーザ粉末溶接法の代わりに粉体プラズマ溶接法により行うことによって、本発明を実施することもできる。その実施例における溶接条件を下に示すが、ジャーナル部基材の寸法、溶接施工前の加工、肉盛り用合金等、他の条件は上記実施例と同様とした。この場合にも、基材の予熱なしで、前記と同様に肉盛り溶接層に割れの発生は全く認められなかった。ただし、炭酸ガスレーザ溶接法と比較して、溶接設備が安価で所要スペースが小さくできるという特徴がある。
【0018】
プラズマ溶接条件:
電流: 70→55 A,合金粉末送給量 10 g/min:,回転速度: 3.5 rpm,全回転数: 8,送りピッチ: 1回転につき3 mm:,アークタイム: 2.6 min
また、前記実施例ではいずれも、回転軸は回転軸本体1の両端部にそれぞれ本発明によるジャーナル部2、3を備えた構成としたが、回転軸に要求される耐摩耗、耐食性がいずれか一方のジャーナル部に限られる場合には、そのジャーナル部のみに本発明の方法を適用することもできる。
【0019】
さらに、前記実施例では、回転軸本体1とジャーナル部2、3を別体として構成し、ジャーナル部基材2a、3aの外周面に肉盛り溶接を施したのち、ジャーナル部基材の端面と回転軸本体の対向する端面とを互いに摩擦圧接によって接合することとしたが、図2に示すように、回転軸本体10とジャーナル部20及び30とを一体的に構成し、ジャーナル部20、30と回転軸本体10を透通する空孔10aを設けたものとすることもでき、ジャーナル部20、30の外周面には前記実施例と同様に肉盛り溶接を施す。この場合には、前記実施例と同様の効果のほかに、回転軸本体とジャーナル部とを摩擦圧接するという工程が不要となる。空孔としては、図2に示すような透通孔は必ずしも必要とせず、少なくともジャーナル部の肉厚を薄くするような空孔であればよい。また、この場合にも本発明の方法の適用は、耐摩耗、耐食性が要求される側のジャーナル部に限定することもできる。
【0020】
上記の説明は全て、本発明の方法をオーガ式製氷機用オーガに適用した場合について行ったが、この方法は、ジャーナル部に対して耐摩耗、耐食性が要求される各種の回転軸に対して適用可能なことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によるオーガの、ジャーナル部基材に対する肉盛り溶接前で、かつオーガ本体への圧接前の部分縦断面図である。
【図2】本発明の方法の別の態様によるオーガの、ジャーナル部に対する肉盛り溶接前の部分縦断面図である。
【符号の説明】
1(10)…回転軸本体、2(20),3(30)…ジャーナル部、2a,3a…ジャーナル部基材。

Claims (6)

  1. 回転軸本体の両端部に一対のジャーナル部を同軸的に一体に接合した回転軸の製造方法であって、前記回転軸の少なくとも一方のジャーナル部を設けるために中空のジャーナル部基材を前記回転軸本体と別体に準備して、該ジャーナル部基材の外周面に同ジャーナル部基材を予備加熱することなく前記回転軸本体から分離した状態にて肉盛り溶接により耐磨耗、耐腐食性の合金層を形成し、その後に同ジャーナル部基材の一端面を前記回転軸本体の対応する端面に摩擦圧接により接合するようにしたこと特徴とする回転軸製造方法。
  2. 前記ジャーナル部基材として、ステンレス鋼からなる中空のジャーナル部基材を採用したことを特徴とする請求項1に記載した回転軸製造方法。
  3. 前記耐磨耗、耐腐食性の合金層を炭酸ガスレーザ粉末肉盛り溶接法により前記ジャーナル部基材の外周面に形成したこと特徴とする請求項 1 に記載した回転軸製造方法。
  4. 前記ジャーナル部基材の外周面に前記耐磨耗、耐腐食性の合金層を形成するため、 Cr 29.0%, Mo 4.0%, Co 3.0%, Fe 3.0%, Mn 1.0%, W 2.0%, B 0.6%, Si 1.0%, C 1.1%, 残部 Ni の粉末を使用して、この粉末を炭酸ガスレーザ法により前記ジャーナル部基材の外周面に肉盛り溶接したことを特徴とする請求項 1 に記載した回転軸製造方法。
  5. 前記耐磨耗、耐腐食性の合金層を粉体プラズマ溶接法により前記ジャーナル部基材の外周面に形成したこと特徴とする請求項 1 に記載した回転軸製造方法。
  6. 前記ジャーナル部基材として、前記回転軸本体と同軸の円筒状空孔を有するジャ−ナル部基材を採用したことを特徴とする請求項 1 に記載した回転軸製造方法。
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