JP3602393B2 - 化学的機械的研磨用スラリー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造に用いる化学的機械的研磨用スラリーに関し、より詳しくは、銅の埋め込み配線の形成に好適な化学的機械的研磨用スラリーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、微細化・高密度化が加速するULSI等の半導体集積回路の形成において、銅はエレクトロマイグレーション耐性に優れ且つ低抵抗であるため、非常に有用な電気的接続材料として着目されている。
【0003】
現在、銅を用いた配線の形成は、ドライエッチングによるパターニングが困難である等の問題から次のようにして行われている。すなわち、絶縁膜に溝や接続孔等の凹部を形成し、バリア金属膜を形成した後に、その凹部を埋め込むようにメッキ法により全面に銅膜を成膜し、その後、化学的機械的研磨(以下「CMP」という)法によって凹部以外の絶縁膜表面が完全に露出するまで研磨して表面を平坦化し、凹部に銅が埋め込まれた埋め込み銅配線やビアプラグ、コンタクトプラグ等の電気的接続部を形成している。
【0004】
以下、図1により埋め込み銅配線を形成する方法について説明する。
【0005】
まず、図1(a)に示すように、下層配線2が形成された第1層間絶縁膜1上にシリコン窒化膜3及び第2層間絶縁膜4をこの順で形成し、次いで第2層間絶縁膜4に、配線パターン形状を有する溝とその一部に下層配線2に達する接続孔が形成された凹部を常法により形成する。
【0006】
次に、図1(b)に示すように、バリア金属膜5をスパッタリング法により形成する。次いで、この上に、メッキ法により銅膜6を凹部が埋め込まれるように全面に形成する。ここで、メッキ厚は、溝の深さと接続孔の深さとメッキ工程の製造バラツキの総和以上の厚さにする。
【0007】
その後、図1(c)に示すように、研磨用スラリー存在下で研磨パッドにより銅膜6をCMP法により研磨して基板表面を平坦化する。続いて、図1(d)に示すように、第2層間絶縁膜4上の金属が完全に除去されるまで研磨を継続する。
【0008】
銅膜研磨用のCMP用スラリーは、酸化剤と研磨砥粒を主成分とするものが一般的である。酸化剤の化学的作用で銅表面を酸化するとともに、その酸化表面層を研磨砥粒により機械的に除去するのが基本的なメカニズムである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
半導体集積回路が近年ますます微細化高密度化され、素子構造が複雑になるにしたがって、また、配線の微細化に伴う配線抵抗の増大に対処するため配線長の短縮を目的とした多層配線や、ロジック系の多層配線の層数が増えるにしたがって、基板表面はますます凹凸が増え、その段差が大きくなってきている。また、多層配線の上層配線部は、電源用配線、信号用配線、或いはクロック用配線に用いられており、これらの配線抵抗を低くして諸特性を改善するために配線溝を深くする必要がある。そのため、このような基板表面に形成される層間絶縁膜の厚さも増大し、厚い層間絶縁膜に埋め込み銅配線やビアプラグ等の埋め込み導電部を形成するためには、深い凹部を埋め込めるように厚い銅膜を形成することが必要になってきた。細線化された配線の抵抗を低減したり、信号配線やクロック用配線を低抵抗化して伝達スピードを速くするためには、深さ方向に厚い配線を形成する必要があり、深い凹部を形成し厚い銅膜が形成される。また、電源用配線を埋め込み銅配線で形成する場合にも電源用配線を低抵抗化して電位変化を最小に抑制するために厚い銅膜が形成される。従来、厚さ数100nm程度で十分であったのに対して数1000nmにも及ぶ厚い銅膜を形成する場合が生じるようになってきた。
【0010】
このように厚い銅膜を形成して埋め込み導電部を形成する場合は、1度のCMP工程で除去すべき銅の研磨量が増大するため、多量の銅や酸化銅の研磨屑がCMP装置の研磨パッド表面に付着、蓄積し、その結果、研磨不可能となる程度までに研磨速度が低下したり、均一な研磨面に仕上げることが困難となる。現在、生産性向上のためウェハの大径化が求められており、ウェハが大径化すると銅の厚さに加えて銅膜の面積も増大するため、銅の研磨量はますます増大する傾向にある。なお、以下、銅系金属膜を研磨したときに発生する銅や酸化銅などの研磨屑を「研磨生成物」と表記する。
【0011】
一方、CMP装置の定盤については、定盤の面内均一性の確保、滴下した研磨用スラリーの均一拡散性、CMP装置の設置場所の制限、研磨パッドの交換の作業性、クリーンルーム内の清浄度の確保などの理由により、大型化に限界がある。
【0012】
また、銅の研磨量が増大すると、膜厚が薄い場合と同じ研磨速度ではスループットが低下するため、銅の研磨速度を上げる必要が生じてくる。しかし、銅の研磨速度を上げると、短時間で多量の研磨生成物が発生するため、研磨パッド表面への銅の付着は一層顕著になる。
【0013】
このように研磨パッド表面へ研磨生成物が多量に付着すると、研磨の終了毎に研磨パッドの洗浄や交換を行わなければならず、さらには、研磨の途中で操作を一度停止し、研磨パッドの洗浄または交換を行った後に再び研磨操作を行う必要が生じるため、スループットが著しく低下する。
【0014】
特開平10−116804号公報には、CMP中に発生した銅イオンが研磨パッドに蓄積し、ウェハ面上に再付着し、ウェハ面の平坦性を悪化させたり、電気的短絡を起こしたりする問題が提示され、この問題を解決するために、ベンゾトリアゾール等の再付着抑制剤を含有する研磨用組成物を用いることが記載されている。しかしながら、この公報には、ウェハ面上へ銅イオンの再付着による問題は記載されているが、パッド表面への研磨生成物の付着による上記問題は何ら記載されてない。また、再付着防止剤として用いられているベンゾトリアゾールは酸化防止剤としても作用し(J.B.Cotton, Proc. 2nd Intern. Congr. Metallic Corrosion,(1963) p.590、D.Chadwick et al., Corrosion Sci., 18 (1978) P.39、能登谷武雄, 防錆管理, 26(3) (1982),p.74、岡部平八郎編「石油製品添加剤の開発と最新技術」(1998)シーエムシー,p.77〜82)、銅の研磨速度を低下させるため、その添加量は制限される。さらに、ベンゾトリアゾールは、本来ディッシングを防止するために添加されるものであるため(特開平8−83780号公報、特開平11−238709号公報)、ディッシング防止を優先させる場合は、その添加量の調整に制約を受ける。
【0015】
特開平10−46140号公報には、特定のカルボン酸、酸化剤及び水を含有し、アルカリによりpHが5〜9に調整されてなることを特徴とする化学的機械研磨用組成物が記載されており、その実施例として、カルボン酸としてクエン酸、研磨材として酸化アルミニウムを含む研磨用組成物(実施例7)が例示されている。しかしながら、この公報には、クエン酸等のカルボン酸の添加効果としては、研磨速度の向上と腐食痕に伴うディッシングの発生防止について記載されているだけである。
【0016】
特開平11−21546号公報には、尿素、研磨材、酸化剤、膜生成剤および錯生成剤を含む化学的・機械的研磨用スラリーが開示されており、研磨剤としてアルミナ、酸化剤として過酸化水素、膜生成剤としてベンゾトリアゾール、錯生成剤としてクエン酸が例示されている。しかし、錯生成剤の添加効果としては、ベンゾトリアゾール等の膜生成剤により形成された不動態層を攪乱すること、及び、酸化層の深さを制限すること、が記載されているにすぎない。
【0017】
そこで本発明の目的は、多量の銅系金属を研磨する場合であっても、研磨パッドへの研磨生成物の付着を抑え、研磨操作を中断することなく1度の研磨操作で良好に研磨し得る化学的機械的研磨用スラリーを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、銅または銅合金膜を表面に有する基板を研磨するための化学的機械的研磨用スラリーであって、pHが4以上8以下であり、研磨材、酸化剤、クエン酸、クエン酸以外のカルボン酸、およびアミノ酸を含有することを特徴とする化学的機械的研磨用スラリーに関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0020】
研磨生成物の研磨パッドへの付着抑制剤(以下「付着抑制剤」という)としてクエン酸を含有する本発明の化学的機械的研磨用スラリー(以下「研磨用スラリー」ともいう)によれば、厚いあるいは大面積の銅系金属膜を研磨する場合であっても、すなわち1度の研磨操作において多量の銅系金属を研磨する場合であっても、研磨パッドへの研磨生成物の付着を抑えることができ、研磨操作を中断することなく良好な研磨を継続して実施することが可能となる。なお、本明細書において銅系金属とは銅または銅を主成分とする合金をいう。
【0021】
従来、有機酸の一種であるカルボン酸は、研磨速度の向上のためにプロトン供与剤として用いられ、クエン酸はこのようなカルボン酸の一種として知られているにすぎなかった。本発明者らは、前記の問題を解決するために鋭意検討した結果、1度の研磨操作で多量の銅系金属を研磨する場合であっても、研磨用スラリー中にクエン酸が存在することによって、研磨パッドへの研磨生成物の付着が抑制されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0022】
本発明の研磨用スラリーは、銅系金属を表面に有する基板の研磨において、1度の研磨操作での研磨パッドの単位面積当たりの研磨量2×10−4g/cm2以上の銅系金属のCMPを行う場合にも好適に用いることができ、また1×10−3g/cm2以上の研磨であっても、さらに1×10−2g/cm2以上の研磨であってもパッド汚れがなく好適に用いることができる。また、本発明の研磨用スラリーは、一般的に使用されている多孔性ウレタン樹脂等を用いた研磨パッドを用いたCMPに好適である。
【0023】
本発明の研磨用スラリーは、研磨材、酸化剤、付着抑制剤であるクエン酸および水を含む。また、ディッシングの防止や研磨速度の制御のために、さらに酸化防止剤を含有させてもよい。
【0024】
本発明の研磨用スラリー中のクエン酸の含有量は、十分な付着抑制効果を発現させる点から、スラリー組成物全量に対して0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。クエン酸含有量が少なすぎると研磨生成物が研磨パッドに付着しやすくなる。また、研磨用スラリーのチクソトロピック性等の点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
【0025】
研磨材としては、α−アルミナやθ−アルミナ等のアルミナ、ヒュームドシリカやコロイダルシリカ等のシリカ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、セリア、及びこれらの金属酸化物研磨砥粒からなる群より選ばれる2種以上の混合物を用いることができる。中でもシリカ又はアルミナが好ましい。
【0026】
研磨材の平均粒径は、研磨速度、分散安定性、研磨面の表面粗さの点から、光散乱回折法により測定した平均粒径で5nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましく、また500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。粒径分布は、最大粒径(d100)で3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。
【0027】
研磨材の研磨用スラリー中の含有量は、スラリー組成物全量に対して0.1〜50質量%の範囲で研磨能率や研磨精度等を考慮して適宜設定される。好ましくは1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。上限としては、30質量%以下が好ましく、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
【0028】
本発明の研磨用スラリーのpHは、研磨速度や腐食、スラリー粘度、研磨剤の分散安定性等の点から、pH4以上が好ましく、pH5以上がより好ましく、またpH8以下が好ましく、pH7以下がより好ましい。また、pHが高すぎると、クエン酸が解離して、研磨生成物との錯形成能力が低下し、クエン酸の付着抑制効果が低下するので、研磨生成物が研磨パッドへ付着しやすくなる。逆にpHが低すぎると、銅の研磨速度が上がりすぎて、銅配線の表面形状が劣化して窪みが生じることにより段差が発生しやすくなる。
【0029】
研磨用スラリーのpH調整は、公知の方法で行うことができ、例えば、研磨砥粒を分散し且つカルボン酸を溶解したスラリーに、アルカリを直接添加して行うことができる。あるいは、添加すべきアルカリの一部又は全部をカルボン酸のアルカリ塩として添加してもよい。使用するアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、アンモニア、アミン等を挙げることができる。
【0030】
酸化剤としては、導電性金属膜の種類や研磨精度、研磨能率を考慮して適宜、公知の水溶性の酸化剤から選択して用いることができる。例えば、重金属イオンのコンタミネーションを起こさないものとして、H 2 O 2 、Na 2 O 2 、Ba 2 O 2 、(C 6 H 5 C) 2 O 2 等の過酸化物、次亜塩素酸(HClO)、過塩素酸、硝酸、オゾン水、過酢酸やニトロベンゼン等の有機過酸化物を挙げることができる。なかでも、金属成分を含有せず、有害な複生成物を発生しない過酸化水素(H 2 O 2 )が好ましい。本発明の研磨用スラリーに含有させる酸化剤量は、十分な添加効果を得る点から、研磨用スラリー全量に対して0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。ディッシングの抑制や適度な研磨速度に調整する点から、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。なお、過酸化水素のように比較的経時的に劣化しやすい酸化剤を用いる場合は、所定の濃度の酸化剤含有溶液と、この酸化過剤含有溶液を添加することにより所定の研磨用スラリーとなるような組成物を別個に調整しておき、使用直前に両者を混合してもよい。
【0031】
酸化剤の酸化を促進し、また安定した研磨を行うために、プロトン供与剤として公知のカルボン酸やアミノ酸を添加してもよい。クエン酸はカルボン酸であるため、このプロトン供与剤としても機能することが可能であるが、別途に異なるカルボン酸あるいはアミノ酸等の有機酸を添加してもよい。
【0032】
カルボン酸としては、クエン酸以外に、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、アクリル酸、乳酸、コハク酸,ニコチン酸、シュウ酸、マロン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、マレイン酸、及びこれらの塩などが挙げられる。
【0033】
アミノ酸としては、例えば、L−グルタミン酸、D−グルタミン酸、L−グルタミン酸一塩酸塩、L−グルタミン酸ナトリウム一水和物、L−グルタミン、グルタチオン、グリシルグリシン、DL−アラニン、L−アラニン、β−アラニン、D−アラニン、γ−アラニン、γ−アミノ酪酸、ε−アミノカプロン酸、L−アルギニン一塩酸塩、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸一水和物、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸カルシウム三水塩、D−アスパラギン酸、L−チトルリン、L−トリプトファン、L−スレオニン、L−アルギニン、グリシン、L−シスチン、L−システイン、L−システイン塩酸塩一水和物、L−オキシプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン一塩酸塩、DL−メチオニン、L−メチオニン、L−オルチニン塩酸塩、L−フェニルアラニン、D−フェニルグリシン、L−プロリン、L−セリン、L−チロシン、L−バリンなどが挙げられる。
【0034】
有機酸の含有量は、プロトン供与剤として十分な添加効果を得る点から、研磨用スラリー全体量に対して0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。ディッシングの抑制や適度な研磨速度に調整する点から、クエン酸を含めた含有量として、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
【0035】
本発明の研磨用スラリーには、さらに酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤の添加により、銅系金属膜の研磨速度の調整が容易となり、また、銅系金属膜の表面に被膜を形成することにより、化学的研磨に起因する銅配線の表面形状の劣化、すなわちディッシングやリセスも抑制できる。
【0036】
酸化防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾフロキサン、2,1,3−ベンゾチアゾール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、カテコール、o−アミノフェノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、メラミン、及びこれらの誘導体が挙げられる。中でもベンゾトリアゾール及びその誘導体が好ましい。ベンゾトリアゾール誘導体としては、そのベンゼン環にヒドロキシル基、メトキシやエトキシ等のアルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、メチル基やエチル基、ブチル等のアルキル基、又は、フッ素や塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン置換基を有する置換ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、ナフタレントリアゾールや、ナフタレンビストリアゾール、上記と同様に置換された置換ナフタレントリアゾールや、置換ナフタレンビストリアゾールを挙げることができる。
【0037】
このような酸化防止剤の含有量としては、十分な防食効果を得る点から、研磨用スラリー全体量に対して0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましい。適度な研磨速度に調整する点から、5.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がさらに好ましい。酸化防止剤の含有量が多すぎると、防食効果が効きすぎて銅の研磨速度が低下しすぎ、CMPに時間がかかる。本発明の研磨用スラリーには、その特性を損なわない範囲内で、広く一般に研磨用スラリーに添加されている分散剤、緩衝剤、粘度調整剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
【0038】
本発明の研磨用スラリーは、銅系金属膜の研磨速度が、好ましくは300nm/分以上、より好ましくは400nm/分以上になるように組成比を調整することが好ましい。また、本発明の研磨用スラリーは、銅系金属膜の研磨速度が、好ましくは1500nm/分以下、より好ましくは1000nm/分以下になるように組成比を調整することが好ましい。
【0039】
本発明の研磨用スラリーの製造方法は、一般的な遊離砥粒研磨スラリー組成物の製造方法が適用できる。すなわち、分散媒に研磨材粒子を適量混合する。必要であるならば保護剤を適量混合する。この状態では、研磨材粒子表面は空気が強く吸着しているため、ぬれ性が悪く凝集状態で存在している。そこで、凝集した研磨材粒子を一次粒子の状態にするために粒子の分散を実施する。分散工程では一般的な分散方法および分散装置を使用することができる。具体的には、例えば超音波分散機、各種のビーズミル分散機、ニーダー、ボールミルなどを用いて公知の方法で実施できる。なお、クエン酸は、研磨砥粒のフロキュレーション化を引き起こすと同時にチキソトロピック性を高める場合もあるため、良好に分散を行うためには、分散終了後に添加し、混合することが好ましい。
【0040】
本発明の研磨用スラリーを用いたCMPは、例えば次のようにして行うことができる。基板上に絶縁膜や銅系金属膜等が成膜されたウェハは、スピンドルのウェハキャリアに設置される。このウェハの表面を、回転プレート(定盤)上に貼り付けられた研磨パッドに接触させ、研磨用スラリー供給口から研磨用スラリーを研磨パッド表面に供給しながら、ウェハと研磨パッドの両方を回転させて研磨する。必要により、パッドコンディショナーを研磨パッドの表面に接触させて研磨パッド表面のコンディショニングを行う。なお、研磨用スラリーの供給は、回転プレート側から研磨パッド表面へ供給してもよい。
【0041】
以上に説明した本発明の研磨用スラリーは、バリア金属膜が溝や接続孔等の凹部を有する絶縁膜上に形成され、その上にこの凹部を埋め込むように全面に銅系金属膜が形成された基板を凹部以外の絶縁膜表面がほぼ完全に露出するまでCMPを行って埋め込み配線やビアプラグ、コンタクトプラグ等の電気的接続部を形成する方法に好適に用いることができる。バリア金属膜としては、Ta、TaN、Ti、TiN等が挙げられる。絶縁膜としては、シリコン酸化膜、BPSG膜、SOG膜等の絶縁膜が挙げられる。銅系金属膜としては、銅膜の他、銀、金、白金、チタン、タングテン、アルミニウム等の各種の導電性金属を含む銅を主成分とする銅合金膜を挙げることができる。
【0042】
本発明の研磨用スラリーによれば、銅系金属膜が厚かったり大面積であるために銅系金属の研磨量が多い場合であっても、研磨パッドへの研磨生成物の付着が抑えられ、研磨操作を中断することなく多量の銅系金属を1度の研磨操作で良好なCMPを行うことができる。本発明の研磨用スラリーを用いたCMPの際に排出される研磨廃液の色が青緑色であったことから、酸化剤の作用によりイオン化され溶出した銅イオンと研磨用スラリー中のクエン酸とが錯体を形成し、研磨パッドや研磨面に研磨生成物が付着することなく、研磨された銅成分が排出されるものと考えられる。なお、本発明の研磨用スラリーによれば、研磨パッド表面だけでなく研磨面にも研磨生成物が付着することを抑制できるため、配線間の電気短絡等の素子特性上の問題を起こすことがなく、また平滑性に優れた研磨面を形成することができる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0044】
(CMP条件)
CMPは、スピードファム・アイペック社製SH−24型を使用して行った。研磨機の定盤には、直径61cm(24インチ)の研磨パッド(ロデール・ニッタ社製IC 1400)を張り付けて使用した。研磨条件は、研磨パッドの接触圧力(研磨圧力):27.6 kPa、研磨パッドの研磨面積1820cm2、定盤回転数:55rpm、キャリア回転数:55rpm、スラリー研磨液供給量:100ml/分とした。
【0045】
(研磨速度の測定)
研磨速度は、研磨前後の表面抵抗率から算出した。具体的には、ウエハ上に一定間隔に並んだ4本の針状電極を直線上に置き、外側の2探針間に一定電流を流し、内側の2探針間に生じる電位差を測定して抵抗(R’)を求め、更に補正係数RCF(Resistivity Correction Factor)を乗じて表面抵抗率(ρs’)を求める。また厚みがT(nm)と既知であるウエハ膜の表面抵抗率(ρs)を求める。ここで表面抵抗率は、厚みに反比例するため、表面抵抗率がρs’の時の厚みをdとするとd(nm)=(ρs×T)/ρs’が成り立ち、これより厚みdを算出することができ、更に研磨前後の膜厚変化量を研磨時間で割ることにより研磨速度を算出した。表面抵抗率の測定は、三菱化学社製四探針抵抗測定器(Loresta−GP)を用いた。
【0046】
(実施例1)
トランジスタ等の半導体素子が形成された6インチのウェハ(シリコン基板)上に(図示せず)、図1(a)に示すように、下層配線2を有する第1のシリコン酸化膜1を形成し、その上にシリコン窒化膜3と厚さ1.5μm程度の第2のシリコン酸化膜4を形成した後、リソグラフィ技術とエッチングによるパターニング等の常法によりこの第2のシリコン酸化膜4に配線溝およびその一部に下層配線2に達する接続孔を形成した。次いで、スパッタリング法により厚さ50nm程度のTa膜を形成し、引き続きスパッタリング法により厚さ50nm程度の銅膜を形成後、メッキ法により厚さ2μm程度の銅膜6を形成した。
【0047】
この銅膜を、表1に示す組成の種々の研磨用スラリーを用いてCMPを行い、銅膜を2μm程度研磨した後の研磨パッドの汚れを目視および研磨速度により評価した。
【0048】
なお、クエン酸、グルタル酸、グリシン、ベンゾトリアゾール(BTA)は関東化学社製の試薬を用いた。シリカはトクヤマ社製のヒュームドシリカQs−9、アルミナは住友化学社製のθアルミナ(AKP−G008)を使用した。
【0049】
表1に、研磨用スラリーの組成とともにCMP結果を示す。クエン酸を含有する研磨用スラリーを用いたCMPにおいては、研磨パッド表面には研磨生成物の付着はほとんど見られず、研磨速度も研磨終了まで安定して一定であった。これに対して、クエン酸を含有せずカルボン酸(グルタル酸)やアミノ酸(グリシン)を含有する研磨用スラリーを用いたCMPにおいては、研磨終了後に研磨パッドに研磨生成物が多量に付着した。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の研磨用スラリーによれば、銅系金属膜が厚かったり大面積であるために銅系金属の研磨量が多い場合であっても、研磨パッドへの研磨生成物の付着が抑えられ、研磨操作を中断することなく1度の研磨操作で良好にCMPを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】埋め込み銅配線の形成方法を説明するための工程断面図である。
【符号の説明】
1 第1層間絶縁膜
2 下層配線
3 シリコン窒化膜
4 第2層間絶縁膜
5 バリア金属膜
6 銅膜
Claims (8)
- 銅または銅合金膜を表面に有する基板を研磨するための化学的機械的研磨用スラリーであって、pHが4以上8以下であり、研磨材、酸化剤、クエン酸、クエン酸以外のカルボン酸、およびアミノ酸を含有することを特徴とする化学的機械的研磨用スラリー。
- 前記クエン酸の含有量が0.01質量%以上5質量%以下である請求項1に記載の化学的機械的研磨用スラリー。
- 前記研磨剤は、シリカ又はアルミナであり、その含有量が1質量%以上30質量%以下である請求項1又は2に記載の化学的機械的研磨用スラリー。
- 前記酸化剤は、過酸化水素であり、その含有量が0.01質量%以上15質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化学的機械的研磨用スラリー。
- 酸化防止剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学的機械的研磨用スラリー。
- ベンゾトリアゾール又はその誘導体を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学的機械的研磨用スラリー。
- 前記のクエン酸以外のカルボン酸は、グルタル酸である請求項1〜6のいずれか1項に記載の化学的機械的研磨用スラリー。
- 前記アミノ酸は、グリシンである請求項1〜7のいずれか1項に記載の化学的機械的研磨用スラリー。
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