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JP3603116B2 - 高密度イットリア安定化ジルコニア焼結体及びその製造方法 - Google Patents
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JP3603116B2 - 高密度イットリア安定化ジルコニア焼結体及びその製造方法 - Google Patents

高密度イットリア安定化ジルコニア焼結体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高密度イットリア安定化ジルコニア焼結体及びその製造方法に関する。高密度イットリア安定化ジルコニア焼結体は、例えば固体電解質型燃料電池の固体電解質として有用である。以下、イットリア安定化ジルコニアは、「YSZ」と記載する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は現行の火力発電を超える高効率が期待される化石燃料/電力変換デバイスであり、燃料電池の中でも、特に固体酸化物を電解質に用いたもの(固体電解質型燃料電池:Solid Oxide Fuel Cell(以下、「SOFC」と略記する。))は、最も高いエネルギー変換効率を有するものとして注目されている。SOFCの電解質に用いる固体酸化物としては、例えばYSZ焼結体がよく知られている。
【0003】
しかしながら、SOFCの電解質としてYSZ焼結体を用いる場合には、SOFCの通常の作動温度である1000℃近傍で1000時間以上運転すると、YSZ焼結体の劣化により、発電効率が低下するといった問題がある。この原因としては、SOFCの高温長時間運転に起因する下記事項が考えられる;
▲1▼YSZ焼結体に亀裂が生じること、
▲2▼YSZ焼結体のイオン導電率が低下すること、
▲3▼電極材料の焼結進行により、電極反応が抑制されること、及び
▲4▼YSZ焼結体/電極界面における固相反応進行による低導電層の生成。
【0004】
このような現状に鑑みて、前記の問題を解消するために、種々の試みがなされている。例えば、YSZ焼結体の機械的強度を高めるために、その組成にAl、MgO等を添加する試みがなされている。
【0005】
しかしながら、異種元素の添加は、YSZ焼結体の機械的強度を高めるものではあるが、同時にYSZ焼結体の導電率を低下させることも報告されている(例えば、L.M.Navarro,P.Recio,J.R.Jurado,and P.Duran,J.Mater.Sci.,30,1949(1995).)。また、添加した異種元素が、SOFCの高温長時間運転に伴い、電解質粒界に析出し、結果的に抵抗を増大させ、却ってSOFCの性能低下を引き起こす可能性も示唆されている。いずれにせよ、現状の試みでは従来技術の問題点を大巾に解消するには至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような見地より、従来のYSZ焼結体と比較して、機械的強度が高く、高温条件下においても導電率の経時低下が抑制された高密度YSZ焼結体の開発が強く要請されているものの、そのような高密度YSZ焼結体は未だ開発されるに至っていない。
【0007】
従って、本発明は、特に機械的強度が高く、高温条件下においても導電率の経時低下が抑制された高密度YSZ焼結体を提供することを目的とする。併せて、高密度YSZ焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の高密度YSZ焼結体及びその製造方法が上記目的を達成することを見出し、ついに本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、下記の高密度YSZ焼結体及びその製造方法に係るものである。
【0010】
1.高密度イットリア安定化ジルコニア焼結体であって;
(1)焼結体のかさ密度が理論密度の95%以上、
(2)焼結体の最大粒子径が2μm以下であり、且つ平均粒子径が1μm以下、
(3)焼結体の室温曲げ強度が300MPa以上、及び
(4)焼結体を1000℃の温度下で1000時間保持した場合において、初期の導電率σに対する1000時間経過後の導電率σ1000の割合(σ1000/σ)が0.68以上
であることを特徴とする高密度イットリア安定化ジルコニア焼結体。
【0011】
2.Yを1〜20mol%ドープしたZrO粉末(イットリア安定化ジルコニア)を10〜60MPaの圧力で加圧しつつ、500〜1500Aの直流パルス電流を用いて160〜170℃/minの昇温速度で1100〜1300℃に加熱した後、1〜30分間放電プラズマ焼結することを特徴とする高密度イットリア安定化ジルコニア焼結体の製造方法。
【0012】
3.1100〜1300℃の範囲から選択される加熱温度(℃)と1〜30分間(即ち1/60〜1/2時間)の範囲から選択される放電プラズマ焼結に係る保持時間(時間)との積(℃・時間)の値が250以下である上記項2に記載の高密度イットリア安定化ジルコニア焼結体の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
高密度YSZ焼結体
以下、本発明の高密度YSZ焼結体が満足すべき(1)〜(4)の要件について詳細に説明する。
(1)焼結体のかさ密度が理論密度の95%以上であること。
【0014】
焼結体のかさ密度が理論密度(6g/cm)の95%未満の場合は、摩擦、衝撃等の外部応力に対する焼結体の破壊エネルギーが小さくなり、機械的強度の低下が生じる。また、気孔率が増加するため、例えばSOFCの固体電解質として用いる場合には、燃料ガスと空気の混合が生じ、発電効率が著しく低下する。従って、焼結体のかさ密度は、理論密度の95%以上であることが必要であり、特に98%以上であることが好ましい。
(2)焼結体の最大粒子径が2μm以下であり、且つ平均粒子径が1μm以下であること。
【0015】
一般に焼結体の粒子径が大きくなるにつれて、粒脱離摩耗による損耗が起こりやすい傾向にあるが、本発明の焼結体においても、最大粒子径が2μmを超えると、立方晶の安定性が劣るようになる。従って、例えばこの焼結体をSOFCの固体電解質として用いる場合には、SOFCを1000℃の作動温度で1000時間以上保持すると、立方晶の存在比が低下し、導電率の低い正方晶の存在比が多くなる。
【0016】
また、セラミックスの機械的強度が平均粒子径の平方根の逆数に比例すること、及び平均粒子径が1μmを超える場合には、機械的強度に殆ど差がないことを考慮すると、平均粒子径が1μm以下であることが必要となる。
【0017】
以上より、本発明の高密度YSZ焼結体は、最大粒子径が2μm以下であり、且つ平均粒子径が1μm以下であることを要する。この中でも、特に最大粒子径が1μm以下であり、平均粒子径が0.5μm以下であるものが好ましい。
【0018】
本発明では、粒子径は、高密度YSZ焼結体を顕微鏡観察し、観察される粒子を球形近似して算出した直径のことである。平均粒子径は、上記の球形近似で算出した直径の平均値である。
(3)焼結体の室温曲げ強度が300MPa以上であること。
【0019】
本発明の高密度YSZ焼結体は、例えばSOFCの固体電解質、耐熱電極等の高温導電性材料としての用途が考えられるため、繰り返しの昇降温や温度分布等による熱応力、熱衝撃に耐え得る充分な強度を有することが必要である。従って、焼結体の室温曲げ強度が300MPa以上であることが必要であり、特に320MPa以上であることが好ましい。
【0020】
なお、本発明では、室温曲げ強度の値は、室温下で高密度YSZ焼結体の3点曲げ強度を測定した値である。具体的には、JIS R1601の基準に従って、♯1000のダイヤモンド研磨盤で四面を仕上げた3×4mm角の試験片を用い、スパン30mm及び荷重速度0.5mm/minの条件で測定した3点曲げ強度(室温下)の値である。
(4)焼結体を1000℃の温度下で1000時間保持した場合において、初期の導電率σに対する1000時間経過後の導電率σ1000の割合(σ1000/σ)が0.68以上であること。
【0021】
本発明では、導電率は、高密度YSZ焼結体を角棒の形状に削り出し、白金製電極及び電圧測定用の白金製リード線を1000℃程度で焼付け、交流四端子法により交流導電率(S/cm)を測定した値である。
【0022】
本発明の高密度YSZ焼結体のσは、通常0.1S/cmであるが、例えばこの焼結体をSOFCの固体電解質として用いた場合、SOFCを1000℃の作動温度で1000時間以上保持した際に、導電率が0.068S/cm未満であれば、発電効率が低下する。従って、本発明の高密度YSZ焼結体は、σに対するσ1000の割合(σ1000/σ)が0.68以上であることを要する。
【0023】
高密度YSZ焼結体の製造方法
以下、本発明の高密度YSZ焼結体の製造方法について詳細に説明する。
【0024】
原料粉末としては、Yを1〜20mol%ドープしたZrO粉末(YSZ粉末)であれば特に限定されず、公知のもの又は市販品を用いることができる。Yをドープする割合は、1〜20mol%の中から適宜設定することができるが、特に3〜10mol%程度が好ましい。
【0025】
YSZ粉末の調製方法としては、特に限定されず、固相反応法、加水分解法、ゾル−ゲル法、水熱法等から選択されるいずれの合成手法でも良い。YSZ粉末の粒子径は、特に限定されないが、通常サブミクロン又はそれ以下の粒子径であることが好ましい。
【0026】
本発明では、前記したYSZ粉末を特定条件下で放電プラズマ焼結することで、焼結体の粒子径成長を抑制しつつ焼結し、高密度YSZ焼結体を得る。すなわち原料であるYSZ粉末よりも高密度のYSZ焼結体を得ることができる。
【0027】
本発明では、YSZ粉末を放電プラズマ焼結するために、放電プラズマ焼結機を用いることが好ましい。放電プラズマ焼結、放電焼結及び通電焼結等のON−OFFパルス通電による焼結法を用いて、YSZ粉末を圧縮して圧粉体とし、この圧粉体にパルス電流を通電すると共に、そのピーク電流とパルス幅とを制御してYSZ粉末の温度を制御しつつ圧縮焼結することが好ましい。
【0028】
放電プラズマ焼結機としては、特に限定されず、YSZ粉末の加熱・冷却及び加圧が可能で、放電を起こすだけの電圧が印加できるものであれば良い。すなわち、加熱・冷却装置、加圧装置及び放電装置並びにYSZ粉末を収納する治具を備えた放電プラズマ焼結機を用いて、YSZ粉末を放電プラズマ焼結することが好ましい。治具としては、一般にグラファイトが好適である。放電プラズマ焼結機及びその作動原理等については、例えば特許第3007929号(公開特許公報:特開平10−251070(平成10年9月22日公開))を参照することができる。
【0029】
本発明の高密度YSZ焼結体の製造過程では、先ず、YSZ粉末を10〜60MPa、好ましくは10〜30MPaの圧力で加圧しつつ、500〜1500A、好ましくは700〜1100Aの直流パルス電流を用い、YSZ粉末を160〜170℃/minの昇温速度で1100〜1300℃、好ましくは1300℃に加熱する。その後、当該温度を保持しながら1〜30分間、好ましくは1〜10分間放電プラズマ焼結する。用いるパルス電流の周期は、特に限定されず、一般に300Hz〜30KHzの範囲から適宜選択することができる。
【0030】
本発明の高密度YSZ焼結体の製造方法は、前記した各条件を満たす製造方法であれば特に限定されないが、その中でも、特に1100〜1300℃の範囲から選択される加熱温度(℃)と1〜30分間(即ち1/60〜1/2時間)の範囲から選択される放電プラズマ焼結に係る保持時間(時間)との積(℃・時間)の値が20以上250以下であることが好ましい。積の値が20以上250以下である場合には、機械的強度が高く、且つ高温条件下においても導電率の経時的低下が抑制された高密度YSZ焼結体を短時間で安定に製造することができる。
【0031】
放電プラズマ焼結後は、パルス電流及び圧力印加を止め、焼結体を室温まで冷却した後に高密度YSZ焼結体を取り出すことが好ましい。
【0032】
なお、治具としてグラファイトを用いた場合には、得られる焼結体の表面近傍には、その成分であるグラファイトが含まれる場合がある。このような焼結体の表面近傍に含まれるグラファイトのような不純物は、焼結体表面を研磨又は加熱することにより、容易に取り除くことができる。焼結体表面を研磨する場合には、例えばダイヤモンド研磨盤を用いて研磨することが好ましい。焼結体表面を加熱する場合には、例えば通常の電気炉を用いて、空気中1000〜1300℃程度で1〜3時間程度加熱することが好ましい。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係る高密度YSZ焼結体によれば、従来のYSZ焼結体と比較して、機械的強度が高く、且つ高温条件下(例えば、1000℃で1000時間)においても導電率の経時的低下が抑制されているので、SOFCの固体電解質をはじめ、様々な用途に使用することが可能である。
【0034】
本発明に係る高密度YSZ焼結体の製造方法によれば、機械的強度が高く、且つ高温条件下においても導電率の経時的低下が抑制された高密度YSZ焼結体を、従来法と比較して低温且つ短時間で安定に製造することが可能である。
【0035】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの記載により限定されるものではない。
【0036】
実施例1
原料粉末としては、市販のYSZ粉末(商品名「TZ−8YS」東ソー株式会社製:Yを8mol%ドープしたZrO粉末、平均粒子径0.3μm、以下、「8YSZ」と記載する。)を用いた。放電プラズマ焼結機としては、(商品名「SPS−515S」株式会社イズミテック製)を用いた。また、治具としては、直径1.5cmの円筒形のグラファイト製治具を用いた。
【0037】
先ず、治具に8YSZ粉末1gを均一に入れ、30MPaの圧力を印加しつつ、焼結チャンバー内を7Paまで脱気した。次に、治具に1000Aの直流パルス電流を印加し、8YSZ粉末を160℃/minの昇温速度で1300℃まで加熱した。さらに、この状態で900Aの直流パルス電流を印加し、1分間放電プラズマ焼結を行った。焼結後は、電流及び圧力の印加を止め、焼結体を室温まで自然冷却し、高密度YSZ焼結体を得た。加熱温度と放電プラズマ焼結に係る保持時間との積(℃・時間)の値は21.6であった。
【0038】
得られた高密度YSZ焼結体は、X線回折より治具のグラファイトを含むことが分かった。高密度YSZ焼結体が治具のグラファイトを含むことは、エネルギー分散型X線分析(EDX)測定結果よりY、Zr、O以外にCが認められたことからも明らかであった。従って、高密度YSZ焼結体を1000℃で2時間熱処理を行い、Cを含まない高密度YSZ焼結体を得た(熱処理後の高密度YSZ焼結体は、X線回折では8YSZのピークのみが観測され、EDXよりCは測定されなかった)。以下、上記の方法で得た高密度YSZ焼結体(すなわち、1300℃で1分間放電プラズマ焼結して得た高密度YSZ焼結体)を特に「SPS焼結体」と記載した。
【0039】
得られたSPS焼結体の特性は、下記の通りであった。
【0040】
〔X線回折パターン〕
得られたSPS焼結体は、立法晶のX線回折パターンを示し、ピーク位置から求めた格子定数はa=0.51398(1)nm(0.51398±0.00001nmを表す(以下同様)。)であり、報告値a=0.5137nm(R.P.Ingel and D.LewisIII,J.Am.Ceram.Soc.,69,325(1986).)と良い一致を示した。
【0041】
〔かさ密度〕
得られたSPS焼結体のかさ密度は、図1に示した通り、5.9g/cmであった。これは理論密度(6g/cm)の98%であった。
【0042】
〔結晶組織〕
得られたSPS焼結体の結晶組織は、図2のSEM写真(b)に示した通り、サブミクロン粒子から構成されており、結晶の最大粒子径が2μm以下であり、且つ平均粒子径が1μm以下であった。顕微鏡観察で観察された粒子を球形近似することで算出した最大粒子径及び平均粒子径の値は、最大粒子径0.8μm、平均粒子径0.4μmであった。
【0043】
〔3点曲げ強度〕
得られたSPS焼結体の3点曲げ強度は、図3に示した通り、329MPaであった。この値は、報告されている8YSZ焼結体(約235MPa;O.Yamamoto,Y.Takeda,N.Imanishi,T.Kawahara,G.Q.Shen,M.Mori,and T.Abe,Proceedings of the Second International Symposium on Solid Oxide Fuel Cells,pp.437(1991).)の強度よりも高い値であった。
【0044】
〔交流導電率の経時的変化〕
得られたSPS焼結体を1000℃の温度下で1000時間保持した場合の初期の交流導電率σは0.18S/cmであり、報告されている8YSZの1000℃での初期の交流導電率(0.1S/cm;N.Q.Minh,J.Am.Ceram.Soc.,76,563(1993).)と同程度であった。交流導電率の経時的変化の結果を図4に示した。SPS焼結体は500時間以降、導電率の低下が減少し、1000時間以降は低下割合がかなり抑制された。
【0045】
比較例1
実施例1と同じYSZ粉末「8YSZ」を、従来用いられている外熱式電気炉を用いて2時間焼結(CS焼結)し、YSZ焼結体を製造した。YSZ焼結体は、焼結温度の違い(1200℃、1300℃、1400℃、1500℃及び1600℃)より、5種類を製造した。以下、当該5種類のYSZ焼結体を、特に「CS焼結体」と記載した。
【0046】
得られたCS焼結体の特性は、下記の通りであった。
【0047】
〔かさ密度〕
得られたCS焼結体のかさ密度は、図1に示した。例えば、1300℃、2時間焼結して得たCS焼結体のかさ密度は、4.1g/cm(理論密度の68%)であった。相対密度が98%以上になるのは、焼結温度が1600℃以上の場合であった。
【0048】
〔結晶組織〕
得られたCS焼結体の結晶組織は、例えば1600℃、2時間焼結したものは、図2のSEM写真(c)に示した通り、結晶の粒子径が数十μm以上に成長し、粒子界面が観察し難い組織であった。
【0049】
〔3点曲げ強度〕
得られたCS焼結体の3点曲げ強度は、例えば1600℃、2時間焼結のもので205MPaであった。3点曲げ強度の測定結果を図3に示した。
【0050】
〔交流導電率の経時的変化〕
得られたCS焼結体を1000℃の温度下で1000時間保持した場合の初期の交流導電率σは0.18S/cmであり、実施例1の値と同程度であった。交流導電率の経時的変化の結果を図4に示した。CS焼結体の交流導電率は、経時的に一定割合で低下した。
【0051】
実施例及び比較例の考察
図1(SPS焼結体及びCS焼結体のかさ密度の焼結温度依存性)によれば、本発明の製造方法では、従来の製造方法よりも、より低温且つ短時間で高密度YSZ焼結体を製造できると言える。
【0052】
図2(SPS焼結体及びCS焼結体の結晶組織)によれば、本発明の製造方法では、従来の製造方法よりも、より組織制御しながら(すなわち、粒子径成長を抑制しながら)高密度YSZ焼結体を製造できると言える。
【0053】
図3(SPS焼結体及びCS焼結体の3点曲げ強度の焼結温度依存性)によれば、本発明の製造方法では、従来の製造方法よりも、より機械的強度の高い高密度YSZ焼結体を製造できると言える。Hall−Petch式(H=H+kL−1/2;Hは強度、Lは粒子サイズ、H及びkは定数)によると、材料の強度は粒径の微細化により増大するが、本発明の製造方法においても、焼結体の結晶の粒子径成長を抑制して高密度化したために同様の強度増大が起こったものと考えられる。
【0054】
図4(SPS焼結体及びCS焼結体の交流導電率の経時的変化)によれば、SPS焼結体とCS焼結体では、1000℃における初期の導電率の値は同程度であるが、経時的な交流導電率の低下割合に違いがあることが分かる。CS焼結体の場合は、経時的に一定割合で交流導電率の低下が見られる。しかし、SPS焼結体の場合は、500時間経過後は、交流導電率の低下割合がかなり抑制されており、1000時間経過後は、CS焼結体の交流導電率を上回るようになる。導電率低下の原因として、高温・長時間の環境下、YSZ中の酸素欠損とY3+の複合体形成や酸素欠損の長周期配列による酸化物イオン導電の抑制が挙げられているが(J.Kondoh,S.Kikuchi,Y.Tomii,and Y.Ito,J.Electrochem.Soc.,145,1536(1998).)、SPS焼結体では、図2に示したように明瞭な粒界が存在するため、酸素欠損の長周期配列等がある程度抑制され、導電率の経時低下が抑制されたものと考えられる。従って、本発明の製造方法の方が、高温条件下においても、より導電率の経時低下が抑制された高密度YSZ焼結体を製造できると言える。
【0055】
(その他)
本発明の高密度YSZ焼結体の製造方法は、他の様々な電解質材料、例えばLaGaO系等にも適用可能であり、従来の電気炉等による外熱式焼結法に比べ、より低温且つ短時間で高強度且つ導電率低下の少ない高密度焼結体を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SPS焼結体及びCS焼結体のかさ密度の焼結温度依存性を示す図である。
【図2】(a)原料粉末、(b)SPS焼結体(1300℃、1分焼結)及びCS焼結体(1600℃、2時間焼結)の結晶組織をSEM写真によりあらわした図である。
【図3】SPS焼結体及びCS焼結体の3点曲げ強度の焼結温度依存性を示す図である。
【図4】SPS焼結体(1300℃、1分焼結)及びCS焼結体(1600℃、2時間焼結)を1000℃の温度下に保持したときの交流導電率の経時的変化を示す図である。

Claims (2)

  1. 固体電解質型燃料電池の固体電解質として用いる高密度イットリア安定化ジルコニア焼結体であって;
    (1)焼結体のかさ密度が理論密度の95%以上、
    (2)焼結体の最大粒子径が2μm以下であり、且つ平均粒子径が1μm以下、
    (3)焼結体の室温曲げ強度が300MPa以上、
    (4)焼結体を1000℃の温度下で1000時間保持した場合において、初期の導電率σに対する1000時間経過後の導電率σ1000の割合(σ1000/σ)が0.68以上、及び
    (5)焼結体の結晶相が立方晶
    であることを特徴とする高密度イットリア安定化ジルコニア焼結体。
  2. を1〜20mol%ドープしたZrO粉末(イットリア安定化ジルコニア)を10〜60MPaの圧力で加圧しつつ、500〜1500Aの直流パルス電流を用いて160〜170℃/minの昇温速度で1100〜1300℃に加熱した後、1〜30分間放電プラズマ焼結する高密度イットリア安定化ジルコニア焼結体の製造方法であって、1100〜1300℃の範囲から選択される加熱温度(℃)と1〜30分間(即ち1/60〜1/2時間)の範囲から選択される放電プラズマ焼結に係る保持時間(時間)との積(℃・時間)の値が20以上250以下であり、焼結体の結晶相が立方晶であり、焼結体の用途が固体電解質型燃料電池の固体電解質であることを特徴とする製造方法
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