JP3603655B2 - 導電性ペースト及びそれを用いたセラミック電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はテレビジョンの受動機の電子チューナ、液晶テレビ、携帯電話等の各種電気製品に広く利用される導電性ペースト及びそれを用いたセラミック電子部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図2にセラミック電子部品の代表例として積層セラミックコンデンサを示した。図において、1は誘電体セラミック層、2は内部電極層、3は外部電極である。
【0003】
以下、従来のセラミック電子部品の製造方法をセラミック電子部品の代表である積層セラミックコンデンサの製造方法を例に説明する。
【0004】
従来の積層セラミックコンデンサの製造方法は、先ず、チタン酸バリウム等の誘電体材料粉末にバインダ成分としてポリビニルブチラール、可塑剤成分としてベンジルブチルフタレート、溶剤成分として酢酸ブチルを加えて混合し、スラリー化した後ドクターブレード法を用いてPET等のベースフィルム上にスラリーを塗工乾燥し、厚み5〜50μmの誘電体セラミック1用のセラミックグリーンシートを作製する。
【0005】
また、これとは別に、PET等のベースフィルム上に、ニッケルを主成分とする導電体ペーストを用いて印刷法により複数個の厚さ2〜4μmの内部電極層2を並設する。内部電極層2の厚みが薄い場合には、その後の積層セラミックコンデンサの焼成時に内部電極層2が収縮し部分的に不連続な状態となり、静電容量の低下を招く惧れがあるために少なくとも2μm以上塗工する必要がある。
【0006】
次に、ベースフィルム面に塗工した内部電極層2をセラミックグリーンシート面に熱転写を行う。熱転写したセラミックグリーンシートを複数層積層加圧し積層グリーンブロック(図示せず)を作製する。尚、セラミックグリーンシートの積層は、一層ごと交互に転写した内部電極層2の長手方向に所定寸法ずらして行う。
【0007】
次いで、積層グリーンブロックを所定寸法に切断した後、所定条件で焼成し焼結体を作製する。焼結体はその長手方向の両端面には内部電極層2が誘電体セラミック層1を挟んで一層おきに相対する異なる端面に露出した構成となっている。
【0008】
得られた焼結体に内部電極層2が露出した端面に外部電極3を設け積層セラミックコンデンサを完成させる。例えば、特公平5−25381号公報にその方法が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ベースフィルム上に塗工した内部電極層2をセラミックグリーンシート面に熱転写する際、内部電極層2がセラミックグリーンシート面に完全に転写されないことがあり、この場合焼結体内で内部電極層2が不連続的な状態となり、設計どおりの静電容量が得られない。また、内部電極層2を熱転写した後、ベースフィルムを剥離する際に内部電極層2がベースフィルムに付着した状態の場合、その付着部分にセラミックグリーンシートが接着、引剥がされ、その部分の誘電体セラミック層1が欠落し焼結体で内部電極層2どうしの短絡不良や、焼結体のヒビや構造欠陥の発生原因となることがある。
【0010】
本発明は前記課題に鑑み、ベースフィルムから内部電極層をセラミックグリーンシート面に確実に熱転写させることを可能とする導電性ペーストを用い内部電極層をベースフィルム上に塗工したものを用いることにより、構造欠陥等の発生のない電気的特性が安定したセラミック電子部品の製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記問題点を解決するために本発明は、金属粉末に有機バインダーと可塑剤と有機溶剤とを混合し、かつ有機バインダーと可塑剤の混合比率を100対60〜100の範囲に制御することにより有機バインダーとベースフィルムとの接着性を弱めた導電性ペーストを用い、これをベースフィルム面に塗工、乾燥した内部電極層をセラミックグリーンシート面に熱転写するものであり、この導電性ペーストを用いることにより塗工された内部電極層がベースフィルムからの剥離性が良好となり所期の目的を達成することが可能となるものである。
【0012】
一般的にセラミック電子部品の製造に用いる内部電極用の導電性ペーストは、これに含まれる有機バインダーの弾性率やガラス転移点を低下させ、印刷、成形性を確保するため可塑剤を添加する場合があるが、単に印刷、成形性を良くするには、用いる有機バインダーの種類によって異なるが、有機バインダー100に対して可塑剤の比率は50以下である。本発明の導電性ペーストは有機バインダー100に対し60以上の可塑剤を混合したものを用いることにより、ベースフィルムからの内部電極層の剥離性を向上させ、確実にセラミックグリーンシート面に熱転写が可能となる。即ち、多量の可塑剤が有機バインダー分子の表面に吸着されることにより、ベースフィルム面と塗工した内部電極層中の有機バインダーとの間に働く分子間吸着力を低下させ、その接着力を弱めるため、ベースフィルムからの剥離が容易となり熱転写を確実に行うことができるというメカニズムに基づいているものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、セラミック粉末、有機バインダー、可塑剤からなるスラリーからセラミックグリーンシートを作製する工程と、ベースフィルム上に金属粉末と有機バインダーと可塑剤とを含み前記有機バインダーと前記可塑剤の比率を100対60〜100とすることにより前記有機バインダーと前記ベースフィルムとの接着性を弱めた導電性ペーストを塗工し乾燥して導電層を形成する工程と、前記セラミックグリーンシートに前記乾燥後の導電層を熱転写する工程とを有し、導電層を熱転写したセラミックグリーンシートを複数積層し積層体グリーンブロックを作製するセラミック電子部品の製造方法であり、有機バインダー100に対して可塑剤が60〜100である導電層を用いることにより、多量の可塑剤が有機バインダー分子の表面に吸着され、ベースフィルム面と塗工形成した内部電極層中の有機バインダーとの間に働く分子間吸着力を低下させ、その接着力を弱めるため、ベースフィルムからの剥離が容易となり熱転写を確実に行うことができるという作用を有するものである。
【0017】
以下、本発明の一実施の形態をセラミック電子部品の代表例として積層セラミックコンデンサを用い、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本実施の形態のベースフィルム6上に塗工形成した内部電極層2の断面図、図3はベースフィルム5面に形成した誘電体セラミック層セラミックグリーンシート4の断面図である。尚、図2は積層セラミックコンデンサの完成品は従来例と同様であるためこれを流用する。
【0019】
積層セラミックコンデンサの製造方法は、先ず、チタン酸バリウム等の誘電体材料粉末に、バインダ成分としてポリビニルブチラール、可塑剤成分としてベンジルブチルフタレート、溶剤成分として酢酸ブチルを加えて混合してスラリー化した後、ドクターブレード法を用いてPET製のベースフィルム5面にスラリーを塗工乾燥し、厚み9μmの誘電体セラミック層1用のセラミックグリーンシート4を作製する。
【0020】
また、これとは別にPET製のベースフィルム6面に、ニッケルを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法により複数個の厚さ2.5μmの内部電極層2を並設塗工した後、乾燥を行う。内部電極層2の厚みが薄い場合には、その後の積層セラミックコンデンサの焼成時に内部電極層2が収縮し部分的に不連続な状態となり、静電容量の低下を招く惧れがあるために本実施の形態では2.5μmの厚さに塗工した。尚、導電ペーストはニッケル粉末100重量部、有機バインダーとしてエチルセルロース6重量部、可塑剤として(表1)に示す材料をエチルセルロースに対し0〜100重量部、有機溶剤として脂肪族ナフサ、テルピネオールの混合物を60重量部を混合したものを用いた。
【0021】
また、ベースフィルム6はその臨界表面張力が35dyne/cmで、各々の導電ペーストの表面張力より大きいものを用いた。これにより導電ペーストの印刷時に、ベースフィルム6面に精度良く内部電極層2が塗工形成できるように配慮した。導電ペーストの表面張力がベースフィルム6の臨界表面張力より大きくなると、導電ペーストとベースフィルム6との濡れ性が低下し、印刷時にはじきが発生し、精度良く内部電極層2を塗工することができなくなる。
【0022】
次に、セラミックグリーンシート4面にベースフィルム6面に塗工形成したそれぞれの組成の内部電極層2を85℃、12MPaの圧力で熱転写を行う。
【0023】
これとは別に、ベースフィルム5面に形成したセラミックグリーンシート4を剥がし複数枚積層加圧して上部、下部、無効層(図示せず)を作製する。
【0024】
次いで、下部無効層の上に熱転写した第一層目のセラミックグリーンシート4を積層加圧し、続いて第二層目の内部電極層2を印刷したセラミックグリーンシート4を第一層目の内部電極層2の長手方向に所定寸法ずらして積層加圧する。更に第三層目の内部電極層2を印刷したセラミックグリーンシート4を第一層目の内部電極の真上に重なるようにして積層加圧し、またその上に第四層目の内部電極層2を印刷したセラミックグリーンシート4を積層加圧する。このようにして順次、内部電極層2を印刷したセラミックシート14を一層ごと交互に所定寸法ずらしながら100層積層した後、最後に上部無効層を積層加圧して複数層積層加圧した積層グリーンブロック(図示せず)を作製する。
【0025】
その後、積層グリーンブロックを焼成後の寸法が長さ3.1×幅1.5mmとなるように切断しグリーンチップ(図示せず)を作製する。得られたグリーンチップはその長手方向の両端面には内部電極層2がセラミックグリーンシート4を挟んで一層おきに相対する異なる端面に交互に露出した構成となっている。
【0026】
次に、グリーンチップを大気中350℃の温度で脱脂を行った後、グリーンガスからなる還元雰囲気中1300℃の温度で焼成を行い焼結体(図示せず)を得る。還元雰囲気中で焼成するのは内部電極層2にニッケルを用いているため、その酸化するのを防止する目的からである。また得られた焼結体の誘電体セラミック層1の厚みは5μm、内部電極層2の厚みは1.8μmであった。
【0027】
次いで、焼結体の両端面に露出した内部電極層2と電気的に接続するように、焼結体端部に銅を主成分とする外部電極3を形成し、図2に示す積層セラミックコンデンサを完成させる。
【0028】
その後、完成した積層セラミックコンデンサの静電容量と、焼結体の外観、内部構造欠陥の発生状況およびセラミックグリーンシート4面に内部電極層2の熱転写性として内部電極層2をセラミックグリーンシート4面に熱転写した時、セラミックグリーンシート4面に転写された内部電極層2の重量と残存した内部電極層2の重量で評価を行い、その結果を併せて(表1)に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
(表1)に示すように可塑剤としてフタル酸エステル系(ジブチルフタレート、ベンジルブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート)を使用し、その添加量を有機バインダー100に対し60以上とした導電ペーストは転写がほぼ確実に行われているが、60より少ない場合は、転写性が低下し静電容量が低く、また内部構造欠陥が多発している。一方、フタル酸エステル以外のリン酸トリクレシル、オレイン酸ブチルは添加量が多くなるに従って転写性が向上するが十分満足できるものではない。この結果から、導電ペースト中の可塑剤の種類およびバインダーに対する添加量を制御することにより、セラミックグリーンシート4面への転写性を確保することができることが明らかとなる。これにより内部電極層2の転写不良による静電容量の低下及び焼結体の内部構造欠陥の発生を抑制し、安定した特性の積層セラミックコンデンサを歩留まり良く生産するのに多大な効果がある。
【0031】
尚、本実施の形態は、積層セラミックコンデンサを例に示したが、積層工程を有する一般的なセラミック電子部品の積層バリスタや積層コイル、多層基板等の製造方法にも十分に適用することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上本発明によれば、金属粉末、有機バインダー、可塑剤からなる導電層をベースフィルム面に塗工、形成に用いる導電性ペーストにおいて、有機バインダーと可塑剤との比率を100対60〜100とし、これに適量の有機溶剤を加えて構成した導電性ペーストを用いることにより、ベースフィルム面に塗工形成した導電層をセラミックグリーンシートに効率よく熱転写させることが可能となる。この結果、積層工程を有するセラミック電子部品を歩留まり良く生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック電子部品の製造方法におけるベースフィルム面に形成した導電層の断面図
【図2】同方法により製造した積層セラミックコンデンサの断面図
【図3】同ベースフィルム面に形成した誘電体セラミック層のセラミックグリーンシートの断面図
【符号の説明】
1 誘電体セラミック層
2 内部電極層
3 外部電極
4 セラミックグリーンシート
5,6 ベースフィルム
Claims (1)
- セラミック粉末、有機バインダー、可塑剤からなるスラリーからセラミックグリーンシートを作製する工程と、ベースフィルム上に金属粉末と有機バインダーと可塑剤とを含み前記有機バインダーと前記可塑剤の比率を100対60〜100とすることにより前記有機バインダーと前記ベースフィルムとの接着性を弱めた導電性ペーストを塗工し乾燥して導電層を形成する工程と、前記セラミックグリーンシートに前記乾燥後の導電層を熱転写する工程とを有し、導電層を熱転写したセラミックグリーンシートを複数積層し積層体グリーンブロックを作製するセラミック電子部品の製造方法。
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