JP3603908B2 - 4−メチルビフェニルおよび4,4’−ジメチルビフェニルの製造法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は 4,4’−ビフェニルジカルボン酸の製造原料であるビフェニル化合物の4−メチルビフェニルおよび 4,4`−ジメチルビフェニル製造法に関する。
4,4’−ビフェニルジカルボン酸は耐熱性、高強度を有する高性能ポリエステル樹脂又はアラミド樹脂の素材として有用である。
【0002】
【従来の技術】
4,4’−ビフェニルジカルボン酸の製造方法として、アルキル化剤を用いてアルキルビフェニルを製造し、続いて酸化し 4,4’−ビフェニルジカルボン酸を得る方法が提案されている。
メチルビフェニル類を得る方法としては、特開昭61−267530号や特開平5−294853号に固体酸触媒の存在下ポリメチルベンゼンまたはポリメチルナフタレンによるトランスアルキル化が記載されている。この方法では反応転化率が低く、充分な収率が得られていない。
エチルビフェニル類を得る方法としては、特開昭48−68551号にエチル基を導入する方法として、同様にトランスアルキル化を行う方法が記載されている。この方法は4−エチルビフェニルや 4,4’−ジエチルビフェニル以外のエチルビフェニル類の生成が多く目的物の収率が低い。
【0003】
イソプロピルビフェニル類を得る方法としては、プロピレンをアルキル化剤とする方法が特公昭50−10310号や特開平1−190639号に記載されている。この方法ではある程度の収率で目的のイソプロピルビフェニルを取得することができるが、引き続く酸化工程においてイソプロピル基はメチル基に比べ酸化され難いため、カルボン酸を生成し難い。そのため触媒量を多くしたり温度を高くするなど反応条件を厳しくする必要があり、副生物が多くなり満足な収率が得られない欠点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本研究者らはメチルビフェニル化合物の効率的合成法として、フッ化水素および/またはフッ化水素−フッ化ホウ素を触媒として用い、トルエンへのシクロヘキセンやメチルシクロヘキセンのアルキレーションで得られるシクロヘキシルトルエン類の脱水素によりメチルビフェニル化合物を得る方法を提案した。
ここで得られるメチルビフェニルは混合物であるため、4体を分離した後、2体および3体を異性化することができれば、4−メチルビフェニルの効率的な製造方法となる。
【0005】
またジメチルビフェニルを製造する場合には、4−メチルシクロヘキセンをアルキル化剤としフッ化水素を触媒に用いれば 2,3’−体、 2,4’−体、 3,3’−体、3,4’− 体、 4,4’−体の混合物が得られる。特にフッ化水素−フッ化ホウ素を触媒に用いれば 3,3’−ジメチルビフェニルおよび 3,4’−ジメチルビフェニル混合物のみが得られる。これら異性体を 4,4’−ジメチルビフェニルへ異性化することができれば 4,4’−ジメチルビフェニルの効率的な製造方法となる。
本発明の目的は上記の如き異性化を行うことによって、 4,4’−ビフェニルジカルボン酸の原料となるビフェニル化合物である4−メチルビフェニルおよび 4,4’−ジメチルビフェニルを工業的に有利に製造する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者等はメチルビフェニルおよびジメチルビフェニルにおける上記の如き異性化について鋭意検討した結果、この異性化反応をZSM−5又はZSM−11存在下、水素共存させた気相下で行うことにより目的とする4−メチルビフェニルおよび 4,4’−ジメチルビフェニルが効率良く得られることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
即ち本発明は、
(I) ZSM−5および/またはZSM−11存在下、水素共存させた気相下で、メチルビフェニル異性体を異性化することを特徴とする4−メチルビフェニルの製造方法、および
(II)ZSM−5および/またはZSM−11存在下、水素共存させた気相下で、ジメチルビフェニル異性体を異性化することを特徴とする 4,4’−ジメチルビフェニルの製造方法である。
【0008】
(I) の発明の原料のメチルビフェニル異性体としては、2−メチルビフェニルおよび3−メチルビフェニルが挙げられ、これら単独でも混合物でも良く、また原料に4−メチルビフェニルが含有されていても良い。なおこの異性化はメチルビフェニルのみでなく、エチルビフェニルなどのアルキルビフェニルにも適用することができる。
(II)の発明の原料のジメチルビフェニル異性体としては、 2,3`−ジメチルビフェニル、 2,4’−ジメチルビフェニル、 3,3`−ジメチルビフェニルおよび 3,4’−ジメチルビフェニルが挙げられ、これら単独または混合物でも良く、また原料に 4,4’−ジメチルビフェニルや他の異性体が含有されていても良い。
なお本発明の異性化反応は、フッ化水素および/またはフッ化水素−フッ化ホウ素を触媒としてトルエンへのアルキレーションをエチルシクロヘキセンを用いて得られるシクロヘキシルトルエン類から誘導されるメチルエチルビフェニルや、エチルベンゼンとエチルシクロヘキセンから誘導されるジエチルビフェニルに適用することもできる。
【0009】
本発明の異性化反応はZSM−5および/またはZSM−11存在下で行われる。ZSM−5およびZSM−11は高シリカ−ペンタシル型ゼオライトで、特有のX線回折を示し、細孔径は約 0.55 nm、細孔容積は 0.29 ml/ml である。
異性化反応そのものはシリカアルミナやZSM−12、モルデナイト、Y型またはX型ゼオライトなどの結晶性アルミノシリケート上でも進行するが、これら触媒ではメチルビフェニルやジメチルビフェニルの不均化反応を併発し、ビフェニルとポリメチルビフェニルを生成する。これに対してZSM−5とZSM−11は不均化反応の併発が著しく少ない。これはメチルビフェニル類の異性化反応にのみ適した細孔構造を有しているためと見られる。
【0010】
また本発明の異性化反応はZSM−5とZSM−11は実質的に水素型で使用される。これは酸量が減少すると活性が低下する傾向にあるからである。
ZSM−5およびZSM−11のシリカ/アルミナ比は特に制限はないが、シリカ/アルミナ比(モル比)が1600以上になると活性を示さなくなるので、シリカの割合が非常に高い場合は好ましくない。通常のシリカ/アルミナ比が200以下のものが好適に用いられる。
【0011】
ZSM−5とZSM−11は粉末でも使用可能であるが、反応形式により成型して用いる方が好適な場合がある。成型のためZSM−5とZSM−11以外の成分を用いる場合は、その成型助剤はアルミナが好適である。またこれ以外にシリカ、粘土類の使用も可能であり、必要に応じ炭素や酸化ケイ素などを担体として用いてもよい。
【0012】
異性化反応は液相、気相反応、また回分式、連続式の何れでも実施可能であるが、気相固定床流通反応方式が最も簡便であり工業的実施に適している。
反応を気相状態で行う方法としては、原料および生成物であるメチルビフェニル化合物の沸点以上の温度で反応を実施する方法、希釈剤を用いて原料および生成物の分圧を下げて反応を実施する方法、あるいは減圧下で反応を実施する方法があり、何れの方法も採用できる。
例えば4−メチルビフェニルを製造する場合、275℃以上の温度では原料および生成物であるメチルビフェニルは常圧下気相状態で存在するので、常圧で反応を実施できる。
【0013】
反応温度は100〜600℃、好ましくは200〜500℃の範囲である。
反応温度が600℃より高くっても、4−メチルビフェニルや 4,4’−ジメチルビフェニルの異性体存在比は向上せず、また炭素の析出が促進され触媒寿命が短くなる。反応温度が100℃より低くなると異性化の反応率が低下し、4−メチルビフェニルや 4,4’−ジメチルビフェニルを高収率で得ることができなくなる。
【0014】
本発明の異性化反応は、長期に触媒活性を保つには水素の共存が必要である。例えば常圧下気相300℃で反応をした場合、反応初期においては水素が共存しなくても異性化反応は進行し4−メチルビフェニルや 4,4’−ジメチルビフェニルを与えるが、時間の経過とともに触媒上への炭素析出が起こり活性点が被毒され寿命が低下する。これに対して水素が共存すると触媒上への炭素析出が防止され、活性を長期にわたり持続することができる。
【0015】
【実施例】
以下に実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお各実施例および比較例の結果を示す表中の使用記号は次の通りである。
BP:ビフェニル
2−MBP: 2−メチルビフェニル
3−MBP: 3−メチルビフェニル
4−MBP: 4−メチルビフェニル
DMBP:ジメチルビフェニル以上のポリメチルビフェニル
3,3’DMB: 3,3’− ジメチルビフェニル
3,4’DMB: 3,4’− ジメチルビフェニル
4,4’DMB: 4,4’− ジメチルビフェニル
other DMBP: 上記以外のジメチルビフェニル
PMBP:トリメチルビフェニル以上のポリメチルビフェニル
【0016】
実施例1
市販のH型ZSM−5(SiO2 /Al2 O3 =26モル比)70gとアルミナ含有率7.5重量%のアルミナゾル233gをステンレス製容器に採り、純水50gを加え室温下よく混合撹拌し、押出し成型器を用いて成型後、110℃で乾燥し、450℃で5時間焼成して触媒を調製した。
触媒性能試験は、該触媒20gを内径20mmの石英反応管に充填し、異性化反応を常圧下、反応温度300℃、原料メチルビフェニル(3−メチルビフェニル:94.1%、4−メチルビフェニル:5.9%)の供給速度4.0g/hr、水素ガス10ml/minの条件で行った。
反応開始からの経過時間と反応温度を変えて触媒性能を調べた。結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
比較例1
実施例1において、水素ガスを共存させずに反応を行った以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表2に示す。
水素ガスを共存させない場合、触媒性能は急激に低下した。
【0019】
実施例2〜4
実施例1において、SiO2 /Al2 O3 が47、80および109(モル比)の市販H型ZSM−5を用いた以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表2および表3に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
実施例5
実施例1において、原料メチルビフェニルの組成を2−メチルビフェニル:90.2%、3−メチルビフェニル:9.8%とした以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表3に示す。
【0022】
実施例6
実施例1において、SiO2 /Al2 O3 =70(モル比)の市販H型ZSM−11を用いた以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】
比較例2
実施例1において、SiO2 /Al2 O3 =203(モル比)の市販H型モルデナイトを用いた以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表4に示す。
【0025】
比較例3
実施例1において、SiO2 /Al2 O3 =5.9(モル比)の市販のH型超安定化Y型ゼオライト(USY)を用いた以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表6に示す。
【0026】
【表4】
【0027】
比較例4
実施例1において、市販のX型ゼオライト(13X)の成型品を用いた以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表5に示す。
【0028】
比較例5
実施例1において、市販シリカ−アルミナ(SiO2 :72%、Al2 O3 :28%)を用いた以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表5に示す。
【0029】
【表5】
【0030】
実施例7
実施例1において、原料としてジメチルビフェニル(3,3’−ジメチルビフェニル:69.0%、 3,4’−ジメチルビフェニル:31.0%)を用いた以外は同様に性能試験を行った。結果を表6に示す。
【0031】
【表6】
【0032】
実施例8
実施例1において、SiO2 /Al2 O3 =70(モル比)の市販H型ZSM−11を用いて、原料としてジメチルビフェニル(3,3’−ジメチルビフェニル:69.0%、 3,4’−ジメチルビフェニル:31.0%)を用いた以外は同様に性能試験を行った。結果を表7に示す。
【0033】
【表7】
【0034】
【発明の効果】
本発明によればメチルビフェニル類の異性体混合物から 4,4’−ビフェニルジカルボン酸の原料となる4−メチルビフェニルおよび 4,4’−ジメチルビフェニルが効率良く製造される。これにより 4,4’−ビフェニルジカルボン酸が工業的に有利に製造されることになり、本発明の工業的意義は大きい。
【産業上の利用分野】
本発明は 4,4’−ビフェニルジカルボン酸の製造原料であるビフェニル化合物の4−メチルビフェニルおよび 4,4`−ジメチルビフェニル製造法に関する。
4,4’−ビフェニルジカルボン酸は耐熱性、高強度を有する高性能ポリエステル樹脂又はアラミド樹脂の素材として有用である。
【0002】
【従来の技術】
4,4’−ビフェニルジカルボン酸の製造方法として、アルキル化剤を用いてアルキルビフェニルを製造し、続いて酸化し 4,4’−ビフェニルジカルボン酸を得る方法が提案されている。
メチルビフェニル類を得る方法としては、特開昭61−267530号や特開平5−294853号に固体酸触媒の存在下ポリメチルベンゼンまたはポリメチルナフタレンによるトランスアルキル化が記載されている。この方法では反応転化率が低く、充分な収率が得られていない。
エチルビフェニル類を得る方法としては、特開昭48−68551号にエチル基を導入する方法として、同様にトランスアルキル化を行う方法が記載されている。この方法は4−エチルビフェニルや 4,4’−ジエチルビフェニル以外のエチルビフェニル類の生成が多く目的物の収率が低い。
【0003】
イソプロピルビフェニル類を得る方法としては、プロピレンをアルキル化剤とする方法が特公昭50−10310号や特開平1−190639号に記載されている。この方法ではある程度の収率で目的のイソプロピルビフェニルを取得することができるが、引き続く酸化工程においてイソプロピル基はメチル基に比べ酸化され難いため、カルボン酸を生成し難い。そのため触媒量を多くしたり温度を高くするなど反応条件を厳しくする必要があり、副生物が多くなり満足な収率が得られない欠点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本研究者らはメチルビフェニル化合物の効率的合成法として、フッ化水素および/またはフッ化水素−フッ化ホウ素を触媒として用い、トルエンへのシクロヘキセンやメチルシクロヘキセンのアルキレーションで得られるシクロヘキシルトルエン類の脱水素によりメチルビフェニル化合物を得る方法を提案した。
ここで得られるメチルビフェニルは混合物であるため、4体を分離した後、2体および3体を異性化することができれば、4−メチルビフェニルの効率的な製造方法となる。
【0005】
またジメチルビフェニルを製造する場合には、4−メチルシクロヘキセンをアルキル化剤としフッ化水素を触媒に用いれば 2,3’−体、 2,4’−体、 3,3’−体、3,4’− 体、 4,4’−体の混合物が得られる。特にフッ化水素−フッ化ホウ素を触媒に用いれば 3,3’−ジメチルビフェニルおよび 3,4’−ジメチルビフェニル混合物のみが得られる。これら異性体を 4,4’−ジメチルビフェニルへ異性化することができれば 4,4’−ジメチルビフェニルの効率的な製造方法となる。
本発明の目的は上記の如き異性化を行うことによって、 4,4’−ビフェニルジカルボン酸の原料となるビフェニル化合物である4−メチルビフェニルおよび 4,4’−ジメチルビフェニルを工業的に有利に製造する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者等はメチルビフェニルおよびジメチルビフェニルにおける上記の如き異性化について鋭意検討した結果、この異性化反応をZSM−5又はZSM−11存在下、水素共存させた気相下で行うことにより目的とする4−メチルビフェニルおよび 4,4’−ジメチルビフェニルが効率良く得られることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
即ち本発明は、
(I) ZSM−5および/またはZSM−11存在下、水素共存させた気相下で、メチルビフェニル異性体を異性化することを特徴とする4−メチルビフェニルの製造方法、および
(II)ZSM−5および/またはZSM−11存在下、水素共存させた気相下で、ジメチルビフェニル異性体を異性化することを特徴とする 4,4’−ジメチルビフェニルの製造方法である。
【0008】
(I) の発明の原料のメチルビフェニル異性体としては、2−メチルビフェニルおよび3−メチルビフェニルが挙げられ、これら単独でも混合物でも良く、また原料に4−メチルビフェニルが含有されていても良い。なおこの異性化はメチルビフェニルのみでなく、エチルビフェニルなどのアルキルビフェニルにも適用することができる。
(II)の発明の原料のジメチルビフェニル異性体としては、 2,3`−ジメチルビフェニル、 2,4’−ジメチルビフェニル、 3,3`−ジメチルビフェニルおよび 3,4’−ジメチルビフェニルが挙げられ、これら単独または混合物でも良く、また原料に 4,4’−ジメチルビフェニルや他の異性体が含有されていても良い。
なお本発明の異性化反応は、フッ化水素および/またはフッ化水素−フッ化ホウ素を触媒としてトルエンへのアルキレーションをエチルシクロヘキセンを用いて得られるシクロヘキシルトルエン類から誘導されるメチルエチルビフェニルや、エチルベンゼンとエチルシクロヘキセンから誘導されるジエチルビフェニルに適用することもできる。
【0009】
本発明の異性化反応はZSM−5および/またはZSM−11存在下で行われる。ZSM−5およびZSM−11は高シリカ−ペンタシル型ゼオライトで、特有のX線回折を示し、細孔径は約 0.55 nm、細孔容積は 0.29 ml/ml である。
異性化反応そのものはシリカアルミナやZSM−12、モルデナイト、Y型またはX型ゼオライトなどの結晶性アルミノシリケート上でも進行するが、これら触媒ではメチルビフェニルやジメチルビフェニルの不均化反応を併発し、ビフェニルとポリメチルビフェニルを生成する。これに対してZSM−5とZSM−11は不均化反応の併発が著しく少ない。これはメチルビフェニル類の異性化反応にのみ適した細孔構造を有しているためと見られる。
【0010】
また本発明の異性化反応はZSM−5とZSM−11は実質的に水素型で使用される。これは酸量が減少すると活性が低下する傾向にあるからである。
ZSM−5およびZSM−11のシリカ/アルミナ比は特に制限はないが、シリカ/アルミナ比(モル比)が1600以上になると活性を示さなくなるので、シリカの割合が非常に高い場合は好ましくない。通常のシリカ/アルミナ比が200以下のものが好適に用いられる。
【0011】
ZSM−5とZSM−11は粉末でも使用可能であるが、反応形式により成型して用いる方が好適な場合がある。成型のためZSM−5とZSM−11以外の成分を用いる場合は、その成型助剤はアルミナが好適である。またこれ以外にシリカ、粘土類の使用も可能であり、必要に応じ炭素や酸化ケイ素などを担体として用いてもよい。
【0012】
異性化反応は液相、気相反応、また回分式、連続式の何れでも実施可能であるが、気相固定床流通反応方式が最も簡便であり工業的実施に適している。
反応を気相状態で行う方法としては、原料および生成物であるメチルビフェニル化合物の沸点以上の温度で反応を実施する方法、希釈剤を用いて原料および生成物の分圧を下げて反応を実施する方法、あるいは減圧下で反応を実施する方法があり、何れの方法も採用できる。
例えば4−メチルビフェニルを製造する場合、275℃以上の温度では原料および生成物であるメチルビフェニルは常圧下気相状態で存在するので、常圧で反応を実施できる。
【0013】
反応温度は100〜600℃、好ましくは200〜500℃の範囲である。
反応温度が600℃より高くっても、4−メチルビフェニルや 4,4’−ジメチルビフェニルの異性体存在比は向上せず、また炭素の析出が促進され触媒寿命が短くなる。反応温度が100℃より低くなると異性化の反応率が低下し、4−メチルビフェニルや 4,4’−ジメチルビフェニルを高収率で得ることができなくなる。
【0014】
本発明の異性化反応は、長期に触媒活性を保つには水素の共存が必要である。例えば常圧下気相300℃で反応をした場合、反応初期においては水素が共存しなくても異性化反応は進行し4−メチルビフェニルや 4,4’−ジメチルビフェニルを与えるが、時間の経過とともに触媒上への炭素析出が起こり活性点が被毒され寿命が低下する。これに対して水素が共存すると触媒上への炭素析出が防止され、活性を長期にわたり持続することができる。
【0015】
【実施例】
以下に実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお各実施例および比較例の結果を示す表中の使用記号は次の通りである。
BP:ビフェニル
2−MBP: 2−メチルビフェニル
3−MBP: 3−メチルビフェニル
4−MBP: 4−メチルビフェニル
DMBP:ジメチルビフェニル以上のポリメチルビフェニル
3,3’DMB: 3,3’− ジメチルビフェニル
3,4’DMB: 3,4’− ジメチルビフェニル
4,4’DMB: 4,4’− ジメチルビフェニル
other DMBP: 上記以外のジメチルビフェニル
PMBP:トリメチルビフェニル以上のポリメチルビフェニル
【0016】
実施例1
市販のH型ZSM−5(SiO2 /Al2 O3 =26モル比)70gとアルミナ含有率7.5重量%のアルミナゾル233gをステンレス製容器に採り、純水50gを加え室温下よく混合撹拌し、押出し成型器を用いて成型後、110℃で乾燥し、450℃で5時間焼成して触媒を調製した。
触媒性能試験は、該触媒20gを内径20mmの石英反応管に充填し、異性化反応を常圧下、反応温度300℃、原料メチルビフェニル(3−メチルビフェニル:94.1%、4−メチルビフェニル:5.9%)の供給速度4.0g/hr、水素ガス10ml/minの条件で行った。
反応開始からの経過時間と反応温度を変えて触媒性能を調べた。結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
比較例1
実施例1において、水素ガスを共存させずに反応を行った以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表2に示す。
水素ガスを共存させない場合、触媒性能は急激に低下した。
【0019】
実施例2〜4
実施例1において、SiO2 /Al2 O3 が47、80および109(モル比)の市販H型ZSM−5を用いた以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表2および表3に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
実施例5
実施例1において、原料メチルビフェニルの組成を2−メチルビフェニル:90.2%、3−メチルビフェニル:9.8%とした以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表3に示す。
【0022】
実施例6
実施例1において、SiO2 /Al2 O3 =70(モル比)の市販H型ZSM−11を用いた以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】
比較例2
実施例1において、SiO2 /Al2 O3 =203(モル比)の市販H型モルデナイトを用いた以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表4に示す。
【0025】
比較例3
実施例1において、SiO2 /Al2 O3 =5.9(モル比)の市販のH型超安定化Y型ゼオライト(USY)を用いた以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表6に示す。
【0026】
【表4】
【0027】
比較例4
実施例1において、市販のX型ゼオライト(13X)の成型品を用いた以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表5に示す。
【0028】
比較例5
実施例1において、市販シリカ−アルミナ(SiO2 :72%、Al2 O3 :28%)を用いた以外は同様に触媒性能試験を行った。結果を表5に示す。
【0029】
【表5】
【0030】
実施例7
実施例1において、原料としてジメチルビフェニル(3,3’−ジメチルビフェニル:69.0%、 3,4’−ジメチルビフェニル:31.0%)を用いた以外は同様に性能試験を行った。結果を表6に示す。
【0031】
【表6】
【0032】
実施例8
実施例1において、SiO2 /Al2 O3 =70(モル比)の市販H型ZSM−11を用いて、原料としてジメチルビフェニル(3,3’−ジメチルビフェニル:69.0%、 3,4’−ジメチルビフェニル:31.0%)を用いた以外は同様に性能試験を行った。結果を表7に示す。
【0033】
【表7】
【0034】
【発明の効果】
本発明によればメチルビフェニル類の異性体混合物から 4,4’−ビフェニルジカルボン酸の原料となる4−メチルビフェニルおよび 4,4’−ジメチルビフェニルが効率良く製造される。これにより 4,4’−ビフェニルジカルボン酸が工業的に有利に製造されることになり、本発明の工業的意義は大きい。
Claims (2)
- ZSM−5および/またはZSM−11存在下、水素共存させた気相下で、メチルビフェニル異性体を異性化することを特徴とする4−メチルビフェニルの製造方法。
- ZSM−5および/またはZSM−11存在下、水素共存させた気相下で、ジメチルビフェニル異性体を異性化することを特徴とする 4,4`−ジメチルビフェニルの製造方法。
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