JP3608430B2 - 回転電機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転電機に係り、特に回転電機の軸受における電触を軽減または防止する構成の回転電機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8〜図10は、従来例として実開平2−33569号公報に記載の回転電機の構造断面図である。従来の回転電機について、以下説明する。
【0003】
図8において、21は薄鋼板材などの金属材が多数枚積層されてなる固定子鉄心のスロット部に、コイルを巻回してなる固定子、22は固定子21とわずかな空隙を介して対向する回転子、23は回転子22を外径部に嵌合固定する回転軸、24は回転軸23に嵌合された主軸受、25は主軸受24を支持し、回転軸23を回転自在に支承するハウジング部25aを有する外枠である。
【0004】
従来の回転電機は上記のように構成され、固定子21のコイルに通電すると、固定子21と回転子22との間に、電磁誘導作用による回転力が発生し、回転軸23が主軸受24、24を介して回転する。この結果、回転電機は外部に対して回転力を供給することができる。
【0005】
従来の回転電機は以上のように構成されているので、例えばこの回転電機をインバータ等で駆動する場合、インバータによって生じるリップル電圧が回転電機の回転軸23と主軸受24との間に静電誘導による軸電圧を発生させ、このため、この軸電圧が各種制御機器に悪影響を及ぼしたり、主軸受24内部で局部的に放電し軸受損傷を引き起こすなどの問題点があった。
【0006】
図9および図10は、回転部分に発生する軸電圧が補助軸受を介して大地に接地することにより、軸電圧を軽減するようにしたものである。
図9において、21は薄鋼板材などのスロット部に、コイルを巻回してなる固定子、22は固定子21とわずかな空隙を介して対向する回転子、26は回転子22を外径部に嵌合固定する回転軸で、反負荷側軸端部には回転軸26方向に凹部26aが設けられている。24は回転軸26に嵌合され、回転軸26を支承するメーンの軸受としての主軸受、25は主軸受24、24を支持し、回転軸26を回転自在に支承するハウジング部25aを有する外枠である。27は回転軸26の反負荷側軸端部に設けられた凹部26aの内側に嵌め込まれた補助軸受で、導電性グリースが封入されている。28は補助軸受27の内径部との嵌合用凸部28aを有し、鉄系などの導電性材からなる取付板で、嵌合用凸部28aにて補助軸受27を嵌合し、外枠25に取り付けられている。
【0007】
上記のように構成された回転電機においては、回転軸26と外枠25は、導電性グリースを封入した補助軸受27を介して電気的に結合された状態となり接地の作用をする。この結果、インバータ運転時等においても、回転軸26と主軸受24、外枠25の間にはほとんど電位差が発生しなくなり、よって軸電圧を著しく軽減することができる。
【0008】
図10は補助軸受を回転軸の軸径部に嵌合した場合の構成を示したもので、図において、29は回転軸で、回転軸29の反負荷側軸端部には、補助軸受27が嵌合する小径部29aを有している。そして上記図9で説明したごとく、導電性グリースが封入された補助軸受27が、回転軸29の反負荷側軸端部に嵌合している。30は鉄系等の導電性材からなる取付板で、補助軸受27の外径部を嵌合している。さらに取付板30は外枠25にねじ止め固定されている。
【0009】
上記構成としたことにより、回転軸29と外枠25は導電性グリースを封入した補助軸受27を介して、図9同様電気的に結合された状態となり外枠25より大地に接地されて軸電圧を軽減する。
【0010】
なお、上記従来例では補助軸受27を用いて接地を図ったが、補助軸受27を用いないで回転軸26を支承するメーンの軸受としての主軸受24に導電性グリースを封入し、補助軸受27の代用とすることも考えられるが、主軸受24には回転トルクの伝達など負荷荷重がかかり、そのため主軸受24の軸受潤滑、発熱の低減等を考慮して、主軸受24に求められる負荷荷重容量の観点から問題があり、現段階では主軸受24に導電性グリースが封入されたものを用いることは、実用に供されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
また、主軸受とは別に、軸電圧を軽減する目的で設けた補助軸受が消耗すると、この補助軸受はフレームに嵌合固定されているので、振動が発生したり、異音が発生して、回転電機が不良となる問題点があった。
【0012】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、インバータ運転などにおける軸電圧の発生を軽減することができる回転電機を得ることを目的とするとともに、主軸受とは別に設けた補助軸受の寿命を長くし、また補助軸受が電触により消耗しても主軸受の機能に影響しない構造とすることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る回転電機は、コイルが巻回されてなる固定子と、この固定子とわずかな空隙を介して対向する回転子と、この回転子を外径部に嵌合固定する回転軸と、この回転軸に嵌合された主軸受と、この主軸受を支持し、前記回転軸を回転自在に支承するハウジング部を有する外枠と、この回転軸に連結され軸電圧を軽減する補助軸受と、を有する回転電機において、導電性であって弾性作用のある材料から製作され、前記外枠に取り付けられる支持器により、前記補助軸受の外輪を弾性支持したものである。
【0014】
また、複数の補助軸受を近接して設け、これらの補助軸受け間にスラスト荷重をかける構造としたものである。
【0017】
また、補助軸受に封入するグリースを粘性の低いグリースとしたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、この発明の実施の形態について上述の従来例と同一の構成部分は、上述の従来例に付した符号と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0019】
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施の形態である回転電機の構造断面を示す図である。図において、21、22、24は従来装置と同様であり、その説明を省略する。
1aは回転子22を外径部に嵌合固定する回転軸、2は回転軸1aを支承するメーンの軸受としての主軸受24とは別に設けた補助軸受、3は補助軸受2と主軸受24との間に挿入するスリーブ、4は補助軸受2の外輪を支持固定する支持器で導電性であって、弾性(バネ)作用のある材料で製作する。また、5は主軸受24を支持し、回転軸1aを回転自在に支承するハウジング部5aを有する外枠である。
【0020】
図2は、この発明の一実施の形態に係る回転電機の構造断面を示す図である。図において、2、4、5、5a、21、22、24は上述の図1と同様であり、その説明を省略する。6は回転子22を外径部に嵌合固定する回転軸である。
図1は、補助軸受2と主軸受24を同じ径の回転軸1に挿入する場合で、補助軸受2と主軸受24との間にスリーブ3を挿入した例を示したが、図2は主軸受24の内輪径と補助軸受2の内輪径とが異なるものを使用し、回転軸6の径をそれぞれの軸受に合わせることにより位置を固定するようにしたものである。
【0021】
図3は、この発明の一実施の形態に係る回転電機の構造断面を示す図である。図において、2、4、5、5a、21、22、24は上述の図1と同様であり、その説明を省略する。7は回転子22を外径部に嵌合固定する回転軸、8は補助軸受2を回転軸7に固定するネジ等である。
図1および図2は補助軸受2を回転電機の内部に取り付けた例を示したが、図3は補助軸受2を回転電機の外部に取り付けたものである。
【0022】
実施の形態2.
図4は、この発明の一実施の形態に係る回転電機において補助軸受の外輪を弾性支持する支持器を示す図である。図において、10aは回転電機の外枠にネジなどで取り付けられる支持器、11はリン青銅、バネ綱、ステンレス、鉄等弾性の高い金属により構成された円筒、12は円筒11の要所に入れたスリットである。
支持器10aの円筒部分に補助軸受2が嵌合される。従って、補助軸受2は、外部負荷からの軸にかかる荷重はかかることがなく、弾性体の支持器10aにより外輪を支持されるだけで回転するので、補助軸受2には外部の荷重はかからない。
【0023】
図5は、この発明の一実施の形態に係る回転電機において補助軸受の外輪を弾性支持する支持器を示す図である。図において、10bは回転電機の外枠にネジなどで取り付けられる支持器、13は円筒、14は円筒13と補助軸受2との間の間隙に挿入され、補助軸受2の外輪を固定するバネである。
支持器10bの円筒部分にバネ14を介して補助軸受2が嵌合される。従って、補助軸受2は、外部負荷からの軸にかかる荷重はかかることがなく、バネ14により外輪を支持されるだけで回転するので、図4と同様に、補助軸受2には外部の荷重はかからない。
【0024】
実施の形態3.
図6は、この発明の一実施の形態に係る回転電機において補助軸受に封入される導電性グリースの特性を示す図である。ここでは、代表的な導電性グリースとして、協同油脂株式会社製のマルテンプELKの一般性状表を示した。
導電性グリースはカーボンや、アルミニウム、モリブデン等の微粉末または、化合物を混入することにより導電性を持たせたもので、通常のグリースと同様に使用する。
【0025】
回転軸は、インバータ等によって駆動されたときの中性点電圧の急変によって、巻線と回転子との間の静電容量により軸電圧が上昇しようとするが、その電荷は補助軸受に封入された導電性グリースにより外枠に流れ、主軸受には流れない。従って、主軸受は電触を受けることはなく、寿命が短くなることはない。
【0026】
この導電性グリースは、体積抵抗率は1.4×104Ω・cmと比較的高いが、軸受のベアリング球と外輪、内輪間のグリースの膜厚は0.1μm程度の非常に薄い厚さになるので、回転軸と外枠との抵抗値は低い。従って回転軸は、外枠とほぼ同電位に保たれ、主軸受に電圧は加わらない。また、補助軸受には荷重がかからないことから、補助軸受自体の寿命は長い。
一方、補助軸受に流れる電流により、それが電触を受けた場合、補助軸受は弾性(バネ)支持されているので、多少の劣化であってもモータ特性には影響を与えない特徴があり、また、ひどい劣化により、異音を発生したとしても、加重が小さいので音のレベルは小さく、さらに弾性(バネ)支持であるので直接外枠へは伝導しない特徴がある。
従って、インバータ等で駆動した場合でも、長寿命で電触のない回転電機が得られる。
【0027】
また、補助軸受に封入するグリースAは、主軸受に封入するグリースBに比べて粘性の低いグリースを使用すると、補助軸受のグリースの膜厚が、主軸受のそれより薄くなるので、絶縁破壊する電圧が低くなる。従って、回転軸の電圧が上昇しても補助軸受に電流が流れ、主軸受には流れない。これは、電圧が少しでも低ければ、そちらに電流が流れるというもので、薄いグリース膜厚の補助軸受のほうに電流が流れ、主として補助軸受が電触を受ける。しかし、この補助軸受には荷重がかかっておらず、さらに弾性(バネ)支持されているので、かなり劣化しても回転電機の特性には影響を与えない。
従って、インバータ等で駆動した場合でも、長寿命で主軸受けに電触のない回転電機が得られる。
【0028】
実施の形態4.
図7はこの発明の一実施の形態に係る回転電機の構造断面を示す図である。図において、2、3、4、5、5a、21、22、24は上述の図1と同様であり、その説明を省略する。
1bは回転子22を外径部に嵌合固定する回転軸、15は近接して設けられた複数の補助軸受2,2間に挿入するスリーブ、16は近接して設けられた複数の補助軸受2,2の外輪間にスラスト荷重をかける波バネ、皿バネ等のバネである。
この実施の形態においては、補助軸受2を複数近接して設けたもので、近接して設けられた複数の補助軸受2,2間にスリーブ15を挿入し、また補助軸受2と主軸受24との間にはスリーブ3を挿入して内輪の位置を固定する。
【0029】
以上のような構成により、複数の補助軸受2,2をスラスト荷重をバネ16により加えた状態で支持器4で弾性(バネ)支持できる。従って、導電性グリースや、低粘度のグリースを封入した場合、ベアリング球と外輪内輪との間のグリース膜厚を薄く安定に維持できるので、主軸受24での電触を防止する効果がよりすぐれたものとなる。
【0030】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0031】
この発明に係る回転電機は、コイルが巻回されてなる固定子と、この固定子とわずかな空隙を介して対向する回転子と、この回転子を外径部に嵌合固定する回転軸と、この回転軸に嵌合された主軸受と、この主軸受を支持し、前記回転軸を回転自在に支承するハウジング部を有する外枠と、この回転軸に連結され軸電圧を軽減する補助軸受と、を有する回転電機において、導電性であって弾性作用のある材料から製作され、前記外枠に取り付けられる支持器により、前記補助軸受の外輪を弾性支持したので、補助軸受は荷重がかからない構造となり長寿命であり、また補助軸受が電触を受けたとしても、多少の劣化ではモータへの影響がなく、さらに劣化して異音が発生しても、弾性(バネ)支持により直接音が伝導しないという効果があり、インバータ等で駆動しても寿命の長い、信頼性の高い回転電機が得られる。
【0032】
また、複数の補助軸受を近接して設け、これらの補助軸受間にスラスト荷重をかける構造としたので、ベアリング球と外輪内輪との間のグリース膜厚を薄く安定に維持できる。
【0035】
また、補助軸受に封入するグリースを粘性の低いグリースとすることにより、補助軸受のグリースの膜厚が主軸受のグリースの膜厚より薄くなり、絶縁破壊する電圧が低くなるので、回転軸の電圧が上昇しても補助軸受に電流が流れ、主軸受には流れないようにすることができ、主軸受の電触を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態である回転電機の構造断面図である。
【図2】この発明の一実施の形態に係る回転電機の構造断面図である。
【図3】この発明の一実施の形態に係る回転電機の構造断面図である。
【図4】この発明の一実施の形態に係る回転電機において補助軸受の外輪を弾性支持する支持器を示す図である。
【図5】この発明の一実施の形態に係る回転電機において補助軸受の外輪を弾性支持する支持器を示す図である。
【図6】この発明の一実施の形態に係る回転電機において補助軸受に封入される導電性グリースの特性を示す図である。
【図7】この発明の一実施の形態に係る回転電機の構造断面を示す図である。
【図8】従来例として実開平2−33569号公報に記載の回転電機の構造断面図である。
【図9】従来例として実開平2−33569号公報に記載の回転電機の構造断面図である。
【図10】従来例として実開平2−33569号公報に記載の回転電機の構造断面図である。
【符号の説明】
1a,1b 回転軸、 2 補助軸受、 3 スリーブ、 4 支持器、 5外枠、 5a ハウジング部、 6 回転軸、 7 回転軸、 8 ネジ等、10a,10b 持器、 11 円筒、 12 スリット、 13 円筒、 14 バネ、 15 スリーブ、 16 バネ、 21 固定子、 22 回転子、 23 回転軸、 24 主軸受、 25 外枠、 25a ハウジング部、 26 回転軸、 26a 凹部、 27 補助軸受、 28 取付板、 28a 嵌合用凸部、 29 回転軸、 29a 小径部、 30 取付板。
Claims (3)
- コイルが巻回されてなる固定子と、この固定子とわずかな空隙を介して対向する回転子と、この回転子を外径部に嵌合固定する回転軸と、この回転軸に嵌合された主軸受と、この主軸受を支持し、前記回転軸を回転自在に支承するハウジング部を有する外枠と、この回転軸に連結され軸電圧を軽減する補助軸受と、を有する回転電機において、
導電性であって弾性作用のある材料から製作され、前記外枠に取り付けられる支持器により、前記補助軸受の外輪を弾性支持したことを特徴とする回転電機。 - 複数の補助軸受を近接して設け、これらの補助軸受間にスラスト荷重をかける構造としたことを特徴とする請求項1記載の回転電機。
- 前記補助軸受に封入するグリースを前記主軸受に封入するグリースよりも粘性の低いグリースとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機。
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