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JP3608833B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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JP3608833B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は電動機の動力をステアリング系に直接作用させ、ドライバの操舵力を軽減する電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本願出願人が特開平6―171519号公報に開示したように、従来の電動パワーステアリング装置は、操舵トルクセンサをステアリング・ギヤボックス内に配置し、ドライバの操舵により発生するピニオン操舵トルクを検出し、この操舵トルクに基づいて目標アシスト信号を発生してステアリング系に設けた電動機を駆動するよう構成されている。
【0003】
また、従来の電動パワーステアリング装置は、目標アシスト信号に基づいて電動機から出力される実アシスト量を目標アシスト信号にフィードバックし、目標アシスト信号と実アシスト量の偏差に基づいて電動機を駆動するので、実アシスト量が目標アシスト信号に安定に収束されるよう構成されている。
【0004】
図10に従来の電動パワーステアリング装置の要部ブロック構成図を示す。
図10において、従来の電動パワーステアリング装置60は、目標アシスト信号発生回路62および偏差演算回路63を備えた制御ユニット61、駆動信号発生回路64、アシスト量検出器65、電動機66から構成される。
【0005】
制御ユニット61の目標アシスト信号発生回路62は、ステアリング・ギヤボックス内に配置された操舵トルクセンサ67が検出したピニオントルク信号Tを予め設定してある目標アシスト信号Taに変換し、目標アシスト信号Taが偏差演算手段63に提供される。
【0006】
一方、電動機66がステアリング系に作用する操舵補助力はアシスト量検出器66で検出され、実アシスト量信号Adとして偏差演算手段63に提供される。
【0007】
目標アシスト信号Taと実アシスト量信号Adの偏差ΔI(=Ta−Ad)が偏差演算手段63で演算され、偏差信号ΔIに基づいて駆動信号発生手段64が電動機66を駆動し、ステアリング系に目標アシスト信号Taに等しい実アシスト量信号Adを作用させ、ドライバの操舵力が軽減される。
【0008】
このように、従来の電動パワーステアリング装置60は、ステアリング・ギヤボックス内に配置した操舵トルクセンサ67で検出したピニオントルク信号Tに基づいて電動機66のステアリング系に作用する操舵補助力が設定される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電動パワーステアリング装置60は、ステアリング・ギヤボックス内に配置した操舵トルクセンサ67でピニオントルク信号Tを検出する構成のため、ピニオントルク信号Tにはステアリングホイールの慣性トルクや粘性トルク等の負荷は含まれていない。
【0010】
実際の操舵においては、ドライバがステアリングホイールに操舵トルクTを作用すると、この操舵トルクTがステアリングホイールの慣性トルクTや粘性トルクTに打ち勝ってステアリングホイールが回転運動を開始し、ピニオンにピニオントルクTが発生する。
【0011】
ステアリングホイールの慣性係数をJ、ステアリング軸の粘性係数をD、ステアリングホイールの回転角速度をN、ステアリング軸のクーロン摩擦力をTとすると、ピニオントルクTは数1で表される。
【0012】
【数1】
=T−(J*dN/dt+D*N)±T
【0013】
数1において、右辺のクーロン摩擦力をTは無視できるが、慣性トルク(J*dN/dt)および粘性トルク(D*N)は無視できなく、特にエアバッグ等の装備によりステアリングホイールの慣性係数Jが増加する傾向に有る現在、従来の電動パワーステアリング装置60の制御では、次の様な課題がある。
【0014】
急激な操舵を行うと、操舵角加速度(dN/dt)の増加に応じて慣性トルク(J*dN/dt)が大きくなり、ステアリングホイールの操舵トルクTも大きくなってドライバのハンドル操作が重くなる課題がある。
【0015】
また、路面からの反力により、ステアリングが中立位置に復帰しようとする際、ステアリングホイールの慣性係数Jやステアリング軸の粘性係数D等が負荷となって回転方向とは逆向きの数2で表されるピニオン操舵力Tが発生し、このピニオン操舵トルクTが入力となって電動機がステアリングホイールの回転方向とは逆向きの操舵補助力を供給するため、ステアリングが復帰しにくい課題がある。
【0016】
【数2】
=J*dN/dt+D*N
【0017】
この発明はこのような課題を解決するためなされたもので、その目的はステアリングホイールの慣性トルクやステアリング軸の粘性トルクを補償してドライバの意図した操舵トルクに対応した操舵補助力を発生させ、操舵フィーリングの改善を図る電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためこの発明に係る電動パワーステアリング装置の操舵トルク検出手段は、ステアリングホイールに作用する操舵トルクを検出することを特徴とする。
【0019】
また、この発明に係る電動パワーステアリング装置の操舵トルク検出手段は、ステアリング系の途中に配置した操舵トルクセンサ、この操舵トルクセンサが検出する操舵トルク信号に基づいてステアリングホイールに作用する操舵トルクを演算する操舵トルク演算手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
さらに、この発明に係る電動パワーステアリング装置の操舵トルク演算手段は、ステアリングホイールの操舵角速度を検出する操舵角速度センサからの操舵角速度信号に基づいて粘性トルクを演算する粘性トルク演算手段、操舵角速度信号の微分値である操舵角加速度信号に基づいて慣性トルクを演算する慣性トルク演算手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、この発明に係る電動パワーステアリング装置は、制御手段に、操舵トルク検出手段からの操舵トルク信号に基づいて目標補助トルク信号を設定する目標補助トルク設定手段と、電動機が発生する実補助トルクを検出する実補助トルク検出手段と、目標補助トルク信号と実補助トルク検出手段からの実補助トルク信号の偏差信号を演算する偏差信号決定手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
【作用】
この発明に係る電動パワーステアリング装置の操舵トルク検出手段は、ステアリングホイールに作用する操舵トルクを検出するので、ステアリング系の慣性トルクや粘性トルクを含まない操舵トルクを検出し、この操舵トルクに基づいて電動機を駆動してステアリング系に補助操舵トルクを作用させることができる。
【0023】
また、この発明に係る電動パワーステアリング装置の操舵トルク検出手段は、ステアリング系の途中に配置した操舵トルクセンサ、この操舵トルクセンサが検出する操舵トルク信号に基づいて演算する操舵トルク演算手段を備えたので、ステアリングホイールに作用する操舵トルクを間接的に検出することができる。
【0024】
さらに、この発明に係る電動パワーステアリング装置の操舵トルク演算手段は、ステアリングホイールの操舵角速度を検出する操舵角速度センサからの操舵角速度信号に基づいて粘性トルクを演算する粘性トルク演算手段、操舵角速度信号の微分値である操舵角加速度信号に基づいて慣性トルクを演算する慣性トルク演算手段を備えたので、ステアリング系の途中に配置した操舵トルクセンサが検出する操舵トルクを補正してステアリングホイールに作用する操舵トルクを推定することができる。
【0025】
また、この発明に係る電動パワーステアリング装置は、制御手段に、操舵トルク検出手段からの操舵トルク信号に基づいて目標補助トルク信号を設定する目標補助トルク設定手段と、電動機が発生する実補助トルクを検出する実補助トルク検出手段と、目標補助トルク信号と実補助トルク検出手段からの実補助トルク信号の偏差信号を演算する偏差信号決定手段とを備えたので、実補助トルクを目標補助トルクに速やかに収束させることができる。
【0026】
【実施例】
以下、この発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。
なお、本発明は、操舵トルクセンサをステアリングホイールに配置してドライバの操舵トルクを直接検出し、この操舵トルクに基づいて電動機を駆動することにより、ステアリング系に操舵補助力を付勢させるものである。
【0027】
図1において、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール17に一体的に設けられたステアリング軸2に自在継ぎ手3a、3bを備えた連結軸3を介してステアリング・ギアボックス4内に設けたラック&ピニオン機構5のピニオン5aに連結されて手動操舵力発生手段6を構成する。
【0028】
ピニオン5aに噛み合うラック歯7aを備え、これらの噛み合いにより往復運動するラック軸7は、その両端にタイロッド8を介して転動輪としての左右の前輪9が連結される。
【0029】
このようにして、ステアリングホイール17操舵時には通常のラック&ピニオン式のステアリングを介し、前輪9を転動させて車両の向きを変えている。
【0030】
手動操舵力発生手段6による操舵力を軽減するため、操舵補助力を供給する電動機10をラック軸7と同軸的に配設し、ラック軸7にほぼ平行に設けられたボールねじ機構11を介して操舵補助力を推力に変換してラック軸7に作用させる。
【0031】
電動機10のロータには駆動側ヘリカル・ギア10aが一体的に設けられ、駆動側ヘリカル・ギア10aはボールねじ機構11のねじ軸の軸端に一体的に設けられた従動側ヘリカル・ギア11aと噛み合わされている。
なお、ボールねじ機構11のナットはラック軸7に連結されている。
【0032】
また、ステアリングホイール17にはドライバの手動操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ12、電動機10にはステアリング系に作用する実補助トルクを検出する実補助トルクセンサ14を配置し、それぞれのトルクセンサで検出した操舵トルク信号T、実補助トルク信号Tを制御手段15に提供する。
【0033】
図2に本発明に係る電動パワーステアリング装置のステアリングホイールに設けた操舵トルクセンサの一実施例構成図を示す。
図2において、操舵トルクセンサ12は、例えばステアリングホイール17と一体的に回転可能な軸に設け、ステアリングホイール17に作用する操舵トルクに対応して電気抵抗が変化する歪ゲージで構成し、ステアリングホイール17に作用する操舵トルクに対応した電流信号を操舵トルク信号Tとして検出し、制御手段15に提供する。
【0034】
また、ステアリングホイール17は、例えば軽金属等で構成し、一方、エアバッグ等実装部品17Bはステアリングホイール17とは独立して固定されたセンターパッド部17Aに取付ける構造にし、ステアリングホイール17の慣性係数Jおよびステアリング軸の粘性係数Dを無視できる小さな値に設定する。
【0035】
このように、ステアリングホイール17に操舵トルクセンサ12を配置したので、ステアリングホイール17の慣性係数Jおよびステアリング軸の粘性係数Dに影響されない操舵トルクを検出することができる。
【0036】
制御手段15は、操舵トルク信号Tを目標補助トルク信号Taに変換するとともに、電動機10が発生し、実補助トルクセンサ14が検出した実補助トルク信号Tを取込み、目標補助トルク信号Taと実補助トルク信号Tの偏差に基づいて駆動制御信号Vを発生する。
【0037】
電動機駆動手段16は、制御手段15から提供される駆動制御信号Vに基づいて、例えばPWM駆動の電動機電圧Vで電動機10を駆動し、電動機10の動力をステアリング系に作用し、ドライバの操舵力の軽減を図る。
【0038】
図3は本発明に係る電動パワーステアリング装置の要部ブロック構成図である。
電動パワーステアリング装置1は、制御手段15、操舵トルクセンサ12、実補助トルクセンサ14、電動機駆動手段16、電動機10を備える。
【0039】
また、制御手段15はマイクロプロセッサの各種演算機能、処理機能、メモリを基本にインタフェース手段やA/D変換手段で構成し、操舵トルク変換手段24A、目標補助トルク設定手段19、偏差信号決定手段20、駆動制御手段21、実補助トルク検出手段18を構成する実補助トルク変換手段18Aを備える。
【0040】
操舵トルク検出手段24は、操舵トルクセンサ12と制御手段15の操舵トルク変換手段24Aで構成し、操舵トルクセンサ12が検出した図1に示すステアリングホイール17に直接付勢される操舵トルクを電気的に検出したアナログ信号の操舵トルク信号Tを操舵トルク変換手段24AがA/D変換し、ディジタル値に変換した操舵トルク信号TDSを目標補助トルク設定手段19に提供する。
【0041】
目標補助トルク設定手段19はROM等のメモリで構成し、実験値または設計値に基づいて予め設定した操舵トルク信号TDSと目標補助トルク信号Taをテーブルデータとして保存しておき、操舵トルク検出手段24から提供される操舵トルク信号TDSを対応した目標補助トルク信号Taに変換して偏差信号決定手段20に供給する。
【0042】
実補助トルク検出手段18は、実補助トルクセンサ14と制御手段15の実補助トルク変換手段18Aで構成し、実補助トルクセンサ14が検出した電動機10のモータトルクTのディジタル値を実補助トルク信号TDMとし、実補助トルク変換手段18Aは実補助トルク信号TDMを操舵目標トルク信号Taと関連付けたディジタル値に変換し、実補助トルク信号Tとして偏差信号決定手段20に供給する。
【0043】
偏差信号決定手段20は偏差演算機能を備え、目標補助トルク設定手段19からの目標補助トルク信号Taと、実補助トルク検出手段18からの実補助トルク信号Tの偏差ΔT(=Ta−T)を演算し、偏差信号ΔTを駆動制御手段21に供給する。
【0044】
駆動制御手段21は、偏差信号ΔT(=Ta−T)に比例(P)、積分(I)および微分(D)の演算、処理を行うPIDコントローラ、このPIDコントローラからの信号に基づいて電動機10の発生トルクの方向と大きさを制御するためにオン信号やPWM(パルス幅変調)信号の混成信号である駆動制御信号Vを発生する信号発生器などを備え、駆動制御信号Vを電動機駆動手段16に供給して偏差信号ΔT(=Ta−T)を速やかに、かつ安定に0に制御する。
【0045】
電動機駆動手段16はスイッチング素子、例えば電動機10が直流電動機の場合、4個のFET(電界効果トランジスタ)からなるブリッジ回路で構成し、オン信号やPWM(パルス幅変調)信号の駆動制御信号VでFET(電界効果トランジスタ)を駆動制御し、駆動方向と大きさを有する電動機電圧Vを供給して電動機10を駆動する。
【0046】
電動機10は、例えば直流電動機やブラシレス・モータ等を用い、電動機駆動手段16から供給される駆動方向と大きさを有する電動機電圧Vで駆動され、電動機電圧Vに対応した動力を発生し、電動機トルクを操舵補助力としてステアリング系に作用する。
【0047】
図4に目標補助トルク信号を車両速度に応動した制御手段の一実施例ブロック構成図を示す。
図4において、車両速度検出手段22を追加し、制御手段15に補正手段23を備える。
【0048】
車両速度検出手段22は、例えばスリットを有する回転円盤とフォトカプラとからなるスピードメータで構成し、車両速度に比例した周期のパルス電気信号で検出した車速信号Vを補正手段23に供給する。
【0049】
補正手段23は、例えば車速信号Vの増加に反比例する増幅度を有する可変増幅器等で構成し、操舵トルク検出手段24から供給される操舵トルク信号TDSを車速信号Vに応じて変更した操舵トルク信号TDCを目標補助トルク設定手段19に提供し、目標補助トルク設定手段19は操舵トルク信号TDCに対応した目標アシスト信号Taを発生する。
【0050】
車速信号Vに対応した目標アシスト信号Taと、実補助トルク信号Tの偏差ΔT(=Ta−T)に基づいて電動機10を駆動するので、車両速度が低車速から高車速になるにつれて手応えの大きなステアリング操作が実現できる。
【0051】
このように、本発明に係る電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイールに直接付勢される操舵トルクを検出し、この操舵トルクに対応した目標補助トルク信号Taと、電動機が発生するモータトルクに対応し、目標補助トルク信号Taと関連付けた実補助トルクTとの偏差ΔT(=Ta−T)に基づいて電動機を駆動するので、ステアリング系の慣性トルクや粘性トルクを含まない操舵トルクに基づいて電動機を駆動してステアリング系に操舵補助力を供給することができる。
【0052】
図5は本発明に係る別の電動パワーステアリング装置の全体構成図である。
図5において、電動パワーステアリング装置30は、操舵トルクセンサ12と操舵角速度センサ13をステアリング・ギアボックス4内に設けた点、および制御手段31を設けた点が図1に示す電動パワーステアリング装置1と異なる。
なお、本発明は、操舵トルクセンサをステアリング・ギアボックス内に配置してドライバの操舵トルクをピニオン操舵トルクとして間接的に検出し、このピニオン操舵トルクに基づいてステアリングホイールに作用する操舵トルクを演算し、この演算した操舵トルクに基づいて電動機を駆動してステアリング系に操舵補助力を付勢させるものである。
【0053】
制御手段31は、操舵角速度センサ13が検出した操舵角速度信号Nに基づいて、ステアリングホイール17の慣性トルク、粘性トルクを算出し、数1に基づいて操舵トルクセンサ12が検出したピニオン操舵トルクTに演算した慣性トルクおよび粘性トルクを加算してステアリングホイール17に直接作用する操舵トルクTを算出するよう構成する。
【0054】
図6は本発明に係る制御手段の要部ブロック構成図である。
図6において、制御手段31は、操舵トルク変換手段24A、操舵角速度検出手段32の一部を構成する操舵角速度変換手段32A、操舵トルク演算手段33、目標補助トルク設定手段19、偏差信号決定手段20、駆動制御手段21を備える。
【0055】
操舵トルク変換手段24Aは、操舵トルクセンサ12が検出したステアリング・ギヤボックス4内のピニオン操舵トルクを電気的に検出したアナログ信号のピニオン操舵トルク信号TをA/D変換し、ディジタル値に変換したピニオン操舵トルク信号TDPを操舵トルク演算手段33に提供する。
【0056】
操舵角速度変換手段32Aは、操舵角速度センサ13が検出したステアリング軸2の操舵角速度を電気的に検出したアナログ信号の操舵角速度信号NをA/D変換し、ディジタル値に変換した操舵角速度信号Nを操舵トルク演算手段33に提供する。
【0057】
操舵トルク演算手段33は、慣性トルク演算手段34、粘性トルク演算手段35、加算手段36を備える。
慣性トルク演算手段34は、操舵角速度変換手段32Aから提供される操舵角速度信号Nを微分して操舵角加速度信号(dN/dt)を出力する微分演算手段を備え、慣性トルクTを演算し、慣性トルク信号Tを加算手段36に供給する。
【0058】
粘性トルク演算手段35は、操舵角速度変換手段32Aから提供される操舵角速度信号Nに基づいて粘性トルクTを演算し、粘性トルク信号Tを加算手段36に供給する。
加算手段36は、慣性トルク信号T、粘性トルク信号Tおよびピニオン操舵トルク信号TDPを加算し、数1に示すステアリングホイール17に直接作用する操舵トルクTに対応したディジタル値の操舵トルクTSOを目標補助トルク設定手段19に提供する。
【0059】
目標補助トルク設定手段19、偏差信号決定手段20および駆動制御手段21は図3の制御手段15に示すものと同一構成、同一機能を有するので説明を省略する。
【0060】
図7に発明に係る操舵トルク演算手段の一実施例要部ブロック構成図を示す。
図7において、操舵トルク演算手段33は、慣性トルク演算手段34、粘性トルク演算手段35、加算手段36を備える。
【0061】
慣性トルク演算手段34は、慣性係数記憶手段41、微分演算手段42、乗算手段43を備える。
慣性係数記憶手段41はROM等のメモリで構成し、予め設計値や実験値から決定したステアリングホイール17の慣性係数Jのデータを設定し、慣性係数信号Jを乗算手段43に供給する。
【0062】
微分演算手段42は微分演算機能を備え、操舵角速度信号Nを微分演算して操舵角加速度(dN/dt)を算出し、操舵角加速度信号(dN/dt)を乗算手段43に供給する。
乗算手段43は、慣性係数信号Jと操舵角加速度信号(dN/dt)を乗算し、慣性トルク信号T(=J*dN/dt)を加算手段36に供給する。
【0063】
粘性トルク演算手段35は、粘性係数記憶手段44、乗算手段45を備える。
粘性係数記憶手段44はROM等のメモリで構成し、予め設計値や実験値から決定したステアリング軸2の粘性係数Dのデータを設定し、粘性係数信号Dを乗算手段45に供給する。
乗算手段45は、粘性係数信号Dと操舵角速度信号Nを乗算し、粘性トルク信号T(=D*N)を加算手段36に供給する。
【0064】
加算手段36は、慣性トルク信号T(=J*dN/dt)、粘性トルク信号T(=D*N)およびピニオン操舵トルク信号TDPを加算し、ステアリングホイール17に直接作用する操舵トルクTに対応したディジタル値の操舵トルク信号TSOを目標補助トルク設定手段19に提供する。
【0065】
このように、電動パワーステアリング装置30は、制御手段31に慣性トルク演算手段34、粘性トルク演算手段35を備え、ピニオン操舵トルク信号TDP、慣性トルク信号Tおよび粘性トルク信号Tを加算してステアリングホイール17に直接作用する操舵トルク信号TSOを演算するので、ステアリングホイールに作用する操舵トルクを推定することができ、操舵トルク信号TSOに基づいて目標補助トルク信号Taを設定し、目標補助トルク信号Taと実補助トルク信号Tの偏差に基づいて電動機を駆動して実補助トルクを目標補助トルクに速やかに収束させることができる。
【0066】
図8に発明に係る操舵トルク演算手段の別実施例要部ブロック構成図を示す。
図8において、操舵トルク演算手段50は、微分演算手段52、微分演算手段53、ステアリングホイールの慣性係数Jを乗算処理する乗算器54、ステアリング軸の粘性係数Dを乗算処理する乗算器55を備える。
【0067】
微分演算手段52は、ステアリングホイール17の操舵角をアナログ電気信号で検出してディジタル値に変換する操舵角検出手段51からの操舵角信号θD1を微分演算(dθD1/dt)して回転角速度Nを算出し、回転角速度信号Nを微分演算手段53および乗算器55に供給する。
【0068】
微分演算手段53は、微分演算手段52から供給される回転角速度信号Nを微分演算して操舵角加速度(dN/dt)を算出し、操舵角加速度信号(dN/dt)を乗算器54に供給する。
【0069】
乗算器54は、操舵角加速度信号(dN/dt)に慣性係数Jを乗算して慣性トルクT(=J*dN/dt)を算出し、慣性トルク信号Tを加算手段36に提供する。
【0070】
乗算器55は、微分演算手段52から供給される回転角速度信号Nに粘性係数Dを乗算して粘性トルクT(=D*N)を算出し、粘性トルク信号Tを加算手段36に提供する。
【0071】
加算手段36は、操舵トルク検出手段24からのピニオン操舵トルク信号TDP、乗算器54からの慣性トルク信号Tおよび乗算器55を加算処理し、ディジタル値の操舵トルク信号TSOを目標補助トルク設定手段19に提供する。
【0072】
また、ラック軸7にストロークセンサ等の変位検出手段を有する場合、操舵トルク信号TSOを演算することができる。
ピニオン操舵トルク信号TDPは、ピニオン操舵トルク検出手段のばね剛性係数をk、ラック軸の等価変位角(ディジタル変換値)をθD2とすると、数3で表される。
【0073】
【数3】
DP=k*(θD1−θD2
ただし、θD1は操舵角信号
【0074】
数3より操舵角信号θD1が演算され、この操舵角信号θD1を図8に示す操舵角検出手段51からの操舵角信号θD1に代えて微分演算手段52に提供することにより、ディジタル値の操舵トルク信号TSOを算出することができる。
【0075】
図9に発明に係る操舵トルク演算手段の別実施例要部ブロック構成図を示す。
図9において、操舵トルク演算手段56は、ピニオン操舵トルク検出手段のばね剛性係数kの逆数信号(1/k)を乗算処理する乗算器58、図8に示す操舵角検出手段51に代えて設けたラック軸変位検出手段57からの等価変位角(ディジタル変換値)θD2を加算処理する加算器59を備えた点が図8の操舵トルク演算手段50と異なる。
【0076】
乗算器58は、操舵トルク検出手段24からのピニオン操舵トルク信号TDPとばね剛性係数kの逆数信号(1/k)を乗算し、操舵角偏差信号(θD1−θD2)を加算器59に供給する。
【0077】
加算器59は、乗算器58からの操舵角偏差信号(θD1−θD2)とラック軸変位検出手段57からの等価変位角(ディジタル変換値)θD2を加算し、操舵角信号θD1を微分演算手段52に提供することにより、ディジタル値の操舵トルク信号TSOを算出して目標補助トルク設定手段19に提供する。
【0078】
なお、制御手段31に図4に示す補正手段23を備え、車両速度検出手段22から供給される車速信号Vに基づいて操舵トルク信号TDSを変更し、車速応動するよう構成することもできる。
【0079】
なお、上記実施例では、慣性トルクTおよび粘性トルクTを補正したが、慣性トルクTおよび粘性トルクTのいずれか一方のみの補正でもよい。
また、クーロン摩擦力T分を補正してもよい。
【0080】
【発明の効果】
この発明に係る電動パワーステアリング装置の操舵トルク検出手段は、ステアリングホイールに配置した操舵トルクセンサを備え、ステアリングホイールに作用する操舵トルクを直接検出することができるので、ステアリングホイールの慣性トルクやステアリング軸の粘性トルクを補償してドライバの意図した操舵トルクに対応した操舵補助力を発生することができる。
【0081】
また、この発明に係る電動パワーステアリング装置の操舵トルク検出手段は、ステアリング系の途中に配置した操舵トルクセンサ、この操舵トルクセンサが検出する操舵トルク信号に基づいて演算する操舵トルク演算手段を備え、ステアリングホイールに作用する操舵トルクを間接的に検出することができるので、ステアリングホイールの慣性トルクやステアリング軸の粘性トルクを補償してドライバの意図した操舵トルクに対応した操舵補助力を発生することができる。
【0082】
さらに、この発明に係る電動パワーステアリング装置は、制御手段に、操舵トルク検出手段からの操舵トルク信号に基づいて目標補助トルク信号を設定する目標補助トルク設定手段と、電動機が発生する実補助トルクを検出する実補助トルク検出手段と、目標補助トルク信号と実補助トルク検出手段からの実補助トルク信号の偏差信号を演算する偏差信号決定手段とを備え、実補助トルクを目標補助トルクに速やかに収束させることができ、安定した操舵フィーリングを得ることができる。
【0083】
よって、ステアリングホイールの慣性トルクやステアリング軸の粘性トルクを補償してドライバの意図した操舵トルクに対応した操舵補助力を発生させ、操舵フィーリングのよい電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置のステアリングホイールに設けた操舵トルクセンサの一実施例構成図
【図3】本発明に係る電動パワーステアリング装置の要部ブロック構成図
【図4】目標補助トルク信号を車両速度に応動した制御手段の一実施例ブロック構成図
【図5】本発明に係る別の電動パワーステアリング装置の全体構成図
【図6】本発明に係る制御手段の要部ブロック構成図
【図7】発明に係る操舵トルク演算手段の一実施例要部ブロック構成図
【図8】発明に係る操舵トルク演算手段の別実施例要部ブロック構成図
【図9】発明に係る操舵トルク演算手段の別実施例要部ブロック構成図
【図10】従来の電動パワーステアリング装置の要部ブロック構成図
【符号の説明】
1,30…電動パワーステアリング装置、2…ステアリング軸、3a,3b…自在継ぎ手、3…連結軸、4…ステアリング・ギアボックス、5…ラック&ピニオン機構、5a…ピニオン、6…手動操舵力発生手段、7…ラック軸、7a…ラック歯、8…タイロッド、9…前輪、10…電動機、10a…駆動側ヘリカル・ギア、11…ボールねじ機構、11a…従動側ヘリカル・ギア、12…操舵トルクセンサ、13…操舵角速度センサ、14…実補助トルクセンサ、15,31…制御手段、16…電動機駆動手段、17…ステアリングホイール、17A…センターパッド部、17B…エアバッグ等実装部品、18…実補助トルク検出手段、18A…実補助トルク変換手段、19…目標補助トルク設定手段、20…偏差信号決定手段、21…駆動制御手段、22…車両速度検出手段、23…補正手段、24…操舵トルク検出手段、24A…操舵トルク変換手段、32…操舵角速度検出手段、32A…操舵角速度変換手段、33,50,56…操舵トルク演算手段、34…慣性トルク演算手段、35…粘性トルク演算手段、36…加算手段、41…慣性係数記憶手段、42…微分演算手段、43,45…乗算手段、44…粘性係数記憶手段、51…操舵角検出手段、52,53…微分演算手段、54,55,58…乗算器、59…加算器、D…粘性係数、dN/dt…操舵角加速度信号、J…慣性係数、k…ばね剛性係数、N,N…回転角速度信号、Ta…目標アシスト信号、T,TDM…実補助トルク信号、T…粘性トルク信号、TDC,TDS,TSO…操舵トルク信号、TDP,T…ピニオン操舵トルク信号、T…慣性トルク信号、T…モータトルク、T…操舵トルク、ΔT(=Ta−T)…偏差信号、V…車速信号、V…電動機電圧、V…駆動制御信号、θD1…操舵角信号、θD2…ラック軸の等価変位角(ディジタル変換値)。

Claims (2)

  1. ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、この操舵トルク検出手段の操舵トルク信号に基づいて電動機制御信号を発生する制御手段と、前記電動機制御信号に基づいて電動機を駆動する電動機駆動手段と、この電動機駆動手段からの電動機駆動信号により駆動され、ステアリング系に操舵補助力を作用する前記電動機とを備えた電動パワーステアリング装置において、
    前記操舵トルク検出手段は、前記ステアリング系の途中に配置した操舵トルクセンサ、この操舵トルクセンサが検出する操舵トルク信号に基づいて前記ステアリングホイールに作用する操舵トルクを演算する操舵トルク演算手段を備え、
    前記操舵トルク演算手段は、前記ステアリングホイールの操舵角速度を検出する操舵角速度センサからの操舵角速度信号に基づいて粘性トルクを演算する粘性トルク演算手段、操舵角速度信号の微分値である操舵角加速度信号に基づいて慣性トルクを演算する慣性トルク演算手段を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記制御手段に、前記操舵トルク検出手段からの前記操舵トルク信号に基づいて目標補助トルク信号を設定する目標補助トルク設定手段と、前記電動機が発生する実補助トルクを検出する実補助トルク検出手段と、前記目標補助トルク信号と前記実補助トルク検出手段からの実補助トルク信号の偏差信号を演算する偏差信号決定手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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