JP3609213B2 - 感熱プリント方法及び感熱プリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録紙を加熱して発色記録する感熱プリント方法及び感熱プリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
サーマルヘッドで感熱記録紙を加熱して直接に発色記録する感熱プリンタが知られている。例えば、カラー感熱プリンタでは、マゼンタ感熱発色層,シアン感熱発色層,イエロー感熱発色層が支持体上に順次層設されたカラー感熱記録紙が用いられる。このカラー感熱記録紙では、各感熱発色層を選択的に発色させるために、各感熱発色層の発色熱エネルギー(mJ/mm2 )が異なっており、深層の感熱発色層ほど発色熱エネルギーが大きくなっている。また、次の感熱発色層を熱記録する際に、その上にある記録済みの感熱発色層が再度発色しないように、この記録済みの感熱発色層に特有な電磁波を照射して光定着が行われる。
【0003】
サーマルヘッドには、多数の発熱素子(抵抗素子)がライン状に配列されており、1色の画像を1ラインずつ記録する。この1ラインを記録する場合には、各発熱素子は、記録すべき感熱発色層の特性曲線に基づき、この感熱発色層が発色する直前の熱エネルギー(以下、これをバイアス熱エネルギーという)と、所望の濃度に発色させるための熱エネルギー(以下、これを階調熱エネルギーという)とをカラー感熱記録紙に与え、カラー感熱記録紙上で仮想的に四角に区画した画素内を発色させてドットを形成する。バイアス熱エネルギーは、感熱発色層の種類に応じた一定値であるが、階調熱エネルギーは、階調レベルを表す画像データに応じて変化する。
【0004】
画像を高画質に発色記録する場合には、プロファイル補正、蓄熱補正、抵抗値補正等の画像処理を行う必要がある。プロファイル補正は、各画像データに各感熱発色層の発色特性に基づいたマスキング処理を施したり、特性曲線に基いたγ補正等を施す。これにより、カラー感熱記録紙に本来の濃度及び色で画像が記録されるようにしている。この補正では、例えばプロファイル補正済の画像データが予め記憶されたROM、すなわちルックアップテーブル(LUT)を用い、入力された3色の画像データに対応する3色の補正済画像データを取り出すことで高速に処理している。
【0005】
また、1ラインを記録する際に、前回までの発熱素子の発熱によってサーマルヘッドに蓄えられた熱が今回の1ラインの記録に影響して、シェーディングが発生する。さらに、発熱素子の抵抗値には、5〜10%程度のバラツキがあるため、同じ通電時間で各発熱素子を通電しても、各発熱素子の発生する熱エネルギーは、その抵抗値に応じて変化してしまい、記録された画像に濃度ムラ等の不都合な現象が発生する。このような、濃度ムラやシェーディングの発生を防止するために、発熱素子の蓄熱補正や抵抗値補正等を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
高画質で画像を記録する感熱プリンタでは、上記のような蓄熱補正、抵抗値補正、プロファイル補正等の各種補正処理を高速に処理しながらプリントしている。このため、大容量のワークメモリや、専用の高速な処理回路、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)等を内蔵しており、感熱プリンタが高価になってしまうという問題があった。逆に、上記のような補正のための回路を内蔵しない安価な感熱プリンタでは、ユーザが満足できるような画質が得られない。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、画像を記録するための回路が簡単で安価でありながら高画質の画像を記録することができる感熱プリント方法及び感熱プリンタを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の感熱プリント方法では、記録すべき画像の画像データを外部のコンピュータに記憶しておき、あらかじめこのコンピュータで各画像データを発熱素子の通電時間を表す通電時間データに変換するとともに、これらの各通電時間データに対して所定の補正処理を行い、この後に補正処理済のあらかじめ指定されたライン数分の通電時間データをコンピュータから感熱プリンタに転送し、この通電時間データに応じて各発熱素子を通電して発熱させ、各発熱素子に対応する画素を記録することにより画像を記録するものである。
【0009】
請求項2記載の感熱プリンタでは、記録すべき画像の各画像データをあらかじめ発熱素子の通電時間を表す通電時間データに変換してから、これらの各通電時間データに対して所定の補正処理を行って記憶するコンピュータに接続され、前記コンピュータから補正処理済の通電時間データを取り込むメモリ手段と、前記メモリ手段から読み出したあらかじめ指定されたライン数分の各通電時間データに応じて各発熱素子を通電して発熱させ、各発熱素子に対応する画素を感熱記録紙上に記録するヘッド駆動手段とを備えたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
カラー感熱記録紙の層構造の一例を示す図2において、カラー感熱記録紙10は、シアン感熱発色層11と、365nmの紫外線に光定着性を有するマゼンタ感熱発色層12と,420nmの紫外線に光定着性を有するイエロー感熱発色層13と,透明な保護層14とが支持体15上に順次層設されている。これらの各感熱発色層11〜13は、熱記録される順番に層設されているが、例えばマゼンタ,イエロー,シアンの順番に熱記録する場合には、イエロー感熱発色層13とマゼンタ感熱発色層12とが入れ換えられる。
【0011】
なお、各感熱発色層11〜13の間には、感熱発色層の熱感度を調整するための中間層が形成されているが、図面では省略してある。また、支持体15としては、不透明なコート紙またはプラスチックフイルムが用いられるが、OHPシートを作成する場合には、透明なプラスチックフイルムが用いられる。
【0012】
図3は、各感熱発色層11〜13の発色特性を示すものである。各感熱発色層11〜13は、深層になるほど発色するために大きな発色熱エネルギーが必要であり、このカラー感熱記録紙10では、イエロー感熱発色層13の発色熱エネルギーが最も低く、シアン感熱発色層11の発色熱エネルギーが最も高い。イエローの画素を記録する場合には、イエロー用のバイアス熱エネルギーEbyに階調熱エネルギーEgyを加えた発色熱エネルギーがカラー感熱記録紙10に与えられる。このバイアス熱エネルギーEbyは、イエロー感熱発色層13が発色する直前の熱エネルギーであり、階調熱エネルギーEgyは、記録すべき画素の発色濃度すなわちイエローの階調レベルに応じて決められる。なお、マゼンタ,シアンについても同様であるので、記号Ebm,Egm,Ebc,Egcを付してある。
【0013】
図1において、カラー感熱プリンタ20は、外部のコンピュータ50(パソコン)に接続されて使用され、カラー感熱記録紙10は、給紙用カセット(図示せず)から送り出され、プラテンローラ21に向かって送られる。このプラテンローラ21に対向して、サーマルヘッド22が配されている。サーマルヘッド22の下部には、主走査方向(カラー感熱記録紙10の幅方向)に多数の発熱素子23(図4参照)をライン状に配列した発熱素子アレイ24が形成されている。サーマルヘッド22は、軸22aを中心にして、画像を記録するためにプラテンローラ21上のカラー感熱記録紙10に圧接した圧接位置と、カラー感熱記録紙10から離れた退避位置との間で揺動する。
【0014】
サーマルヘッド22は、ヘッドドライバ25によって駆動され、搬送路の上流(図中右側)から下流に向けて搬送されているカラー感熱記録紙10にバイアス熱エネルギーと階調熱エネルギーとを与え、1つの色の画像を1ラインずつ記録する。カラー感熱記録紙10の3回往復動によって3色面順次でカラー画像が記録される。
【0015】
プラテンローラ21の下流には、搬送ローラ対27が配されている。この搬送ローラ対27は、一方がパルスモータ28で駆動されるキャプスタンローラ27aであり、他方がカラー感熱記録紙10の搬送に伴って従動回転するピンチローラ27bである。ピンチローラ27bは、キャプスタンローラ27aとの間にカラー感熱記録紙10をニップしたニップ位置と、カラー感熱記録紙10から離れたニップ解除位置との間で移動する。搬送ローラ対27は、キャプスタンローラ27aがパルスモータ28によって正逆両方向に回転されることにより、ニップしたカラー感熱記録紙10を往復動させる。画像の記録時には、パルスモータ28は、モータドライバ28aからパルスが供給され、連続的に回転される。
【0016】
搬送ローラ対27の下流には、イエロー用光定着器31とマゼンタ用光定着器32とが配されている。イエロー用光定着器31は、発光ピークが420nmのイエロー用紫外線を放出する紫外線ランプ31aとリフレクタ31bとからなる。マゼンタ用光定着器32は、発光ピークが365nmのマゼンタ用紫外線を放出する紫外線ランプ32aとリフレクタ32bとからなる。各紫外線ランプ31a,32aは、ランプドライバ33によって点灯される。
【0017】
記録すべき画像は、その画像データがコンピュータ50で処理されて記録用通電時間データとしてカラー感熱プリンタ20に入力される。カラー感熱プリンタ20は、入出力インタフェイス(I/F)回路35を備えている。このI/F回路35は、一般的なパーソナルタイプのコンピュータとプリンタとを接続するための規格、例えばセントロニクス準拠のものを用いており、コンピュータ50側のI/F回路51に接続される。これにより、コンピュータ50とカラー感熱プリンタ20との間で記録用通電時間データ及びプリント制御のための制御コードの送受信を行う。なお、カラー感熱プリンタ20とコンピュータ50との接続は、汎用的かつ一般的なインタフェイスが好ましく、パラレルにデータを送受信するセントロニクス準拠の他にも、SCSI(Small Computer System Interface)やシリアルにデータを送受信するRS−232C,RS−422A,IEEE1394規格等のものであってもよい。
【0018】
I/F回路35には、コンピュータ50からの画像記録開始コマンド、1ライン記録開始コマンド等の制御コマンド及び記録用通電時間データが入力される。このI/F回路35は、制御コマンドをプリントコントローラ36に送り、記録用通電時間データを第1セレクタ37に送る。プリントコントローラ36は、制御コマンドをエンコードして、カラー感熱プリンタ20の各部を制御する。また、プリントコントローラ36は、1ライン記録終了コマンド、画像記録終了コマンド等の制御コマンドをI/F回路35を介してコンピュータ50に送る。
【0019】
第1セレクタ37は、1ライン分のデータ転送毎に、ラインメモリ手段としての第1ラインメモリ38、第2ラインメモリ39を交互に切り換えて、I/F回路35に接続する。第1セレクタ37が第1ラインメモリ38に接続されている時には、この第1ラインメモリ28に1ライン分の記録用通電時間データが書き込まれ、第2ラインメモリ39に接続されている時には、この第2ラインメモリ28に1ライン分の記録用通電時間データが書き込まれる。
【0020】
プリント時には、第1ラインメモリ38及び第2ラインメモリ39のいずれか一方から記録すべき1ライン分の記録用通電時間データが読み出され、第2セレクタ40に送られる。第2セレクタ40は、第1ラインメモリ38と第2ラインメモリ39を交互に切り替えて並直変換回路41に接続する。この第2セレクタ40は、第1セレクタ37と異なるラインメモリに接続するように制御され、一方のラインメモリの書込み中に、他方のラインメモリから読み出した1ライン分の記録用通電時間データを並直変換回路41に送る。
【0021】
サーマルヘッド制御回路42は、一定周期のクロックを発生し、これを並直変換回路41に送る。1画素の記録中におけるクロックの発生間隔と個数は、発熱素子23の通電時間の分解能及び最大通電時間よってあらかじめ決めておく。
【0022】
並直変換回路41は、第2セレクタ40から入力されるMビットの各記録用通電時間データから、データ値に応じた幅のパルスに変換する。このパルスによって発熱素子23が通電される。並直変換回路41には、記録用通電時間データがセットされる減算カウンタを用い、所定の周期のクロックで減算することで行うことができる。まらた、クロックをカウントするカウンタと、記録用通電時間データがセットされるマグニチュードコンパレータを用い、カウンタの内容と記録用通電時間データを比較することによって行ってもよい。
【0023】
並直変換回路41からの各パルスはヘッドドライバ25に送られる。ヘッドドライバ25は、各発熱素子23のそれぞれに対応して設けたトランジスタ等から構成されている。このヘッドドライバ25は、並直変換回路41からパルスが入力されると、パルスが入力されている間だけトランジスタをONとして、対応する発熱素子23を通電する。
【0024】
これにより、各発熱素子23は、その通電時間と抵抗値によって決まる熱エネルギーを発生し、これをカラー感熱記録紙10に与えて、バイアス熱エネルギーと階調熱エネルギーとを与える。これらのヘッドドライバ25と、並直変換回路41と、サーマルヘッド制御回路42とでヘッド駆動手段を構成している。
【0025】
このように、カラー感熱プリンタ20は、通電時間データを、通電時間に応じた幅のパルスに変換するだけでよいから、回路構成が簡単になり、製造コストを安価にすることができる。なお、ヘッド駆動手段は、通電時間データに表される通電時間で発熱素子23を通電できる構成であれば他の構成であってもよい。
【0026】
コンピュータ50は、一般的なパーソナルタイプのものであって、I/F回路51の他に、CPU52,ハードディスク53,メモリ(RAM)54等から構成され、これらはそれぞれデータバス56で接続されている。また、CPU52には、キーボード用I/F回路57を介してキーボード58が接続されており、このキーボード58を操作することにより、画像の取り込み指示、プリント指示等を行うことができる。
【0027】
記録すべき画像は、コンピュータ50に接続されたスキャナ等で取り込まれ、イエロー画像データ,マゼンタ画像データ,シアン画像データとしてハードディスク53に書き込まれる。ハードディスク53には、コンピュータ50のオペレーティングシステムのプログラムが書き込まれている他に、カラー感熱プリンタ20で画像をプリントするためのドライバソフトが書き込まれている。なお、フロッピディスクやCD−ROM等の記憶媒体から画像を取り込んでもよい。
【0028】
ドライバソフトは、I/F回路51を介してカラー感熱プリンタ20を制御するための制御プログラム,画像データを通電時間に変換するための変換処理プログラム,各種の補正をする補正プログラム等からなる基本プログラムと、画像データを発熱素子23の通電時間に変換するためのルックアップテーブル(LUT)データと、プロファイル補正処理のためのプロファイル補正データと、抵抗値補正データとからなる。このドライバソフトは、例えばカラー感熱プリンタ20の購入時に、フロッピディスクに書き込まれたものがユーザに渡され、ユーザによってハードディスク53に書き込まれる。プリント時には、CPU52は、基本プログラムに従って各種の補正処理、データの転送、カラー感熱プリンタ20の制御等を行う。
【0029】
メモリ54は、各種の処理に必要なデータを一時的に記憶するワークメモリとして使用される。なお、ハードディスク53を仮想メモリとして用い、これをワークメモリの一部として使用してもよい。
【0030】
CPU52は、画像データの通電時間データへの変換と、プロファイル補正と、抵抗値補正と、第1、第2蓄熱補正とを順次に行う。通電時間データへの変換に際して、CPU52は、ハードディスク53上のLUTデータを用いて画像データを通電時間に変換する。LUTデータは、画像データと通電時間データとを1対1に対応させたデータベースであって、イエロー,マゼンタ,シアンの3種類が用意されている。各通電時間データは、特性曲線に基づいて決められており、また対応する画像データの数値、すなわち階調レベルに応じた濃度で画素を発色させるための発熱素子23の通電時間を表している。
【0031】
通電時間データにすることにより、蓄熱補正や抵抗値補正の演算を簡単な線型的なもとすることができる。
【0032】
プロファイル補正では、CPU52は、プロファイル補正データに基づいてマスキング処理を行い、通電時間データの表す通電時間を増減した第1補正通電時間データを作成する。プロファイル補正データは、例えばグレーのテスト画像データを用いてカラー感熱プリンタ20でテストプリントし、このテスト画像をスキャナで読み取って得られた画像データと、テスト画像データとが一致するように補正するためのものである。
【0033】
プロファイル補正データは、例えばマトリクス演算を行う際に必要な各色の通電時間データに乗じる係数となっている。CPU52は、各画素の3色の通電時間データと、プロファイル補正データとを用いて、所定のマトリクス演算を行い、第1補正通電時間データを作成する。このプロファイル補正により、カラー感熱記録紙10の発色特性に基づいて各画素が発色を正しくするように補正される。もちろん、3色の通電時間データの数値から補正処理済の通電時間データが取り出すことができるLUTデータを用いてもよい。
【0034】
抵抗値補正では、CPU52は、抵抗値補正データに基づいて、第1通電時間データの表す通電時間を増減した第2補正通電時間データを作成する。抵抗値補正データは、カラー感熱プリンタ20の製造時に測定された各発熱素子23の抵抗値に応じて決められており、各発熱素子23毎にデータが用意されている。この補正処理では、各通電時間データと、これに対応する発熱素子23の抵抗値補正データとを用いて所定の抵抗値補正演算を行い、第2補正通電時間データを作成する。
【0035】
第1蓄熱補正は、1個の発熱素子に注目した場合に、この発熱素子で記録する画素の濃度が、隣接した他の発熱素子の蓄熱によって本来のものよりも高く記録されないようにするためのものである。CPU52は、各第2補正通電時間データに対して所定の第1蓄熱補正演算を行い、他の発熱素子23の蓄熱を考慮した第3補正通電時間データを作成する。
【0036】
第2蓄熱補正は、発熱素子アレイが記録する1ラインに注目した場合に、この1ラインを記録するまでのサーマルヘッド22の蓄熱によって1ラインの濃度上昇の防止するとともに、蓄熱量が徐々に大きくなることによって生じるシェーディングの発生を防止するためのもである。CPU52は、各第3補正通電時間データに対して所定の第2蓄熱補正演算を行い、記録用通電時間データを作成する。
【0037】
カラー感熱記録紙10の記録状態を示す図4において、サーマルヘッド22の発熱素子アレイ24は、1つの色の画像を1ラインずつ記録する。この1本のラインは、主走査方向に伸びており、複数の画素PSからなる。各画素PSは、対応する発熱素子23で記録される。サーマルヘッド22は、カラー感熱記録紙10が副走査方向に1ライン分の幅が送られたときに、バイアス熱エネルギーと階調熱エネルギーの発生と、自然冷却とを行って1ラインを記録し、1ライン分の幅だけ送られると次のラインの記録を開始する。
【0038】
次に上記構成の作用について、図5を参照しながら説明する。カラー画像を記録する場合には、カラー感熱プリンタ20とコンピュータ50とを各I/F回路35,51を介して接続する。また、コンピュータ50にスキャナ等を接続する。そして、キーボード58を操作して、画像の取り込みを指示すると、スキャナでカラー画像が3色分解測光される。このスキャナは、カラー画像の青色,緑色,赤色の画像データをイエロー,マゼンタ,シアンの画像データにして出力する。これらの画像データは、コンピュータ50内のハードディスク53に書き込まれる。この画像データの取り込み後に、キーボード58を操作して、プリントの指示をすると、CPU52は、通電時間への変換と、各種の補正処理とを開始する。
【0039】
まず、CPU52は、各色の画像データを通電時間に変換する。CPU52は、イエロー画像データを順次にハードディスク52から読み出し、この読み出したイエロー画像データの数値に対応するイエローの通電時間データをハードディスク53上のイエロー用のLUTデータから取り出す。これにより、各イエロー画像データは、所定の濃度でイエローを発色させるのに必要な通電時間を表した通電時間データにそれぞれ変換される。取り出された各通電時間データは、メモリ54に書き込まれる。
【0040】
全てのイエロー画像データを通電時間データに変換すると、CPU52は、マゼンタ画像データを順次にハードディスク52から読み出し、各マゼンタ画像データをマゼンタ用のLUTデータを用いてマゼンタの通電時間データに変換し、メモリ54に書き込む。同様にして、シアン用のLUTデータを用いて、シアン画像データをシアンの通電時間データに変換して、メモリ54に書き込む。
【0041】
3色の画像データを通電時間データに変換すると、CPU52は、プロファイル補正を行う。CPU52は、まずハードディスク53からプロファイル補正データを読み出す。次にCPU52は、イエロー,マゼンタ,シアンの各通電時間データを1画素分読み出す。そして、この3色の通電時間データとプロファイル補正データとを用いてマトリクス演算を行う。これにより、この画素の3色の通電時間データにプロファイル補正(マスキング処理)が行われ、この演算で得られた3色の第1補正通電時間データは、元の通電時間データに代えてメモリ54にそれぞれ書き込まれる。1画素分のプロファイル補正が終了すると、CPU52は、次の画素の3色の通電時間データをメモリ54から読み出し、同様にしてプロファイル補正を行う。以降同様にして、順次に各画素の3色の通電時間データにプロファイル補正を行う。
【0042】
全ての画素についてのプロファイル補正が終了すると、CPU52は、ハードディスク53から抵抗値補正データを読み出す。この後、CPU52は、メモリ54からイエローの第1補正通電時間データを1ライン分ずつ読み出す。そして、読み出した1ライン分の各第1補正通電時間データと、それぞれに対応する抵抗値補正データとを用いて抵抗値補正演算を行い、得られた1ライン分の第2補正通電時間データを元のイエローの第1補正通電時間データに代えてメモリ54に書き込む。これにより、イエローの各第1補正通電時間データは、それぞれ対応する発熱素子23の抵抗値の大きさを考慮した第2補正通電時間データにされる。イエローの各ラインについて抵抗値補正が終了すると、マゼンタ、シアンについての抵抗値補正が順番に行われ、得られた各色の第2補正通電時間データがメモリ54に書き込まれる。
【0043】
3色の抵抗値補正が終了すると、CPU52は、第1蓄熱補正を行う。CPU52は、各画素のイエロー用の第2補正通電時間データをメモリ54から読み出す。そして、この読み出した各第2補正通電時間データを用いて、基本プログラム中の第1蓄熱補正用のプログラムに基づき第1蓄熱演算を施す。この演算により、各画素に対してそれぞれイエローの第3補正通電時間データが作成され、この第3補正通電時間データが、元のイエローの第2補正通電時間データに代えてメモリ54に書き込まれる。同様にして、マセンタ,シアンの各第2補正通電時間データに第1蓄熱補正が施され、それぞれマゼンタ用、シアン用の第3補正通電時間データとして、メモリ54に書き込まれる。このようにして、各色の第2補正通電時間データは、対応する発熱素子23に隣接した発熱素子23の蓄熱の影響を考慮した第3補正通電時間データにされる。
【0044】
第1蓄熱補正の終了後には、CPU52は、第2蓄熱補正を行う。CPU52は、イエローの第3補正通電時間データをメモリ54から読み出し、そして、この読み出した各第3補正通電時間データに対して、第2蓄熱補正用のプログラムに基づいた第2蓄熱補正演算を施す。この演算で得られたイエローの記録用通電時間データは、元のイエローの第3補正通電時間データに代えてメモリ54書き込まれる。同様にして、マセンタ,シアンの各第3補正通電時間データに第2蓄熱補正が施され、それぞれマゼンタ、シアンの記録用通電時間データとして、メモリ54に書き込まれる。これにより、各第3補正通電時間データは、サーマルヘッド22の蓄熱を考慮した記録用通電時間データにされる。
【0045】
結果として、メモリ54には、プロファイル補正、及び隣接した発熱素子の蓄熱及びサーマルヘッドの蓄熱を考慮した各補正が施された、イエロー,マゼンタ,シアンの記録用通電時間データが1画像分書き込まれる。
【0046】
CPU52は、上述のようにして各種の補正処理が終了すると、イエロー画像記録開始コマンドをI/F回路51を介して、カラー感熱プリンタ20に送る。このイエロー画像記録開始コマンドは、I/F回路35で受信された後に、プリントコントローラ36に送られる。
【0047】
プリントコントローラ36は、イエロー画像記録開始コマンドを受け取ると、各部をイエローの記録用に初期化する。また、給紙用カセットからカラー感熱記録紙10が送り出され、退避位置に移動しているサーマルヘッド22とプラテンローラ21の間を通って、搬送ローラ対27に向けて搬送される。カラー感熱記録紙10の先端が搬送ローラ対27の位置に達すると、ピンチローラ27bがニップ解除位置からニップ位置に移動して、カラー感熱記録紙10の先端を搬送ローラ対27にニップする。なお、カラー感熱記録紙10の先端が搬送ローラ対27の位置に達したか否かは、搬送ローラ対27の近傍に設けたフォトセンサ(図示せず)で検出することが可能である。
【0048】
搬送ローラ対27がカラー感熱記録紙10をニップすると、サーマルヘッド22が圧接位置に移動するとともに、イエロー用紫外線ランプ31aが点灯する。さらに、第1セレクタ38が第1ラインメモリ38側に切り換えられる。また、第2セレクタ40は、第2ラインメモリ39側に切り換えられる。
【0049】
この後、プリントコントローラ36は、I/F回路35,I/F回路51を介して、準備完了コマンドをCPU52に送る。CPU52は、この準備完了コマンドを受け取ると、メモリ54から第1ラインのイエローの記録用通電データを読み出し、この1ライン分の記録用通電時間データをI/F回路51を介して、I/F回路35に転送する。I/F回路35は、コンピュータ50からの記録用通電時間データを第1セレクタ37を介して、第1ラインメモリ38に送って書き込む。
【0050】
CPU52は、第1ラインのイエローの記録用通電時間データの送出が完了すると、1ライン記録開始コマンドをプリントコントローラ36に送る。プリントコントローラ36は、1ライン記録開始コマンドを受け取ると、まず第1セレクタ37を第2ラインメモリ39側に切り換え、第2セレクタ40を第1ラインメモリ38側に切り換える。次に、プリントコントローラ36は、パルスモータ28の回転により、キャプスタンローラ27aを正転させ、カラー感熱記録紙10を下流に向けて搬送する。
【0051】
パルスモータ28の回転で、カラー感熱記録紙10の記録エリアの先端がサーマルヘッド22の発熱素子アレイ24の位置に達すると、第1ラインメモリ38から第1ラインのイエローの記録用通電時間データが読み出され並直変換回路41に送られる。並直変換回路41は、入力されたMビットの記録用通電時間データを、データ値に応じた幅のパルスに変換する。各パルスによって、対応する発熱素子23がヘッドドライバ25で通電されて発熱する。各発熱素子23は、イエローの記録用通電時間データに表される通電時間だけ連続的に通電され、イエロー感熱発色層13が発色する直前のバイアス熱エネルギーと、階調熱エネルギーとを発生し、これをカラー感熱記録紙10に与える。
【0052】
これにより、イエロー感熱発色層13は、イエローの発色特性に基づいて、イエロー画像データに応じた濃度に発色し、四角形をした画素PS内にイエロードットが形成され、イエローの第1ラインが記録される。各発熱素子23は、加熱が終了すると冷却期間に入って自然冷却が行われる。
【0053】
一方、コンピュータ50のCPU52は、最初の1ライン記録開始コマンドを送出した後に、メモリ54から第2ラインのイエローの記録用通電時間データを読み出し、これをI/F回路35に送る。第1セレクタ35は第2ラインメモリ39側に切り換えられているから、第2ラインのイエローの記録用通電時間データが第2ラインメモリ39に書き込まれる。この転送は、第1ラインの記録終了までに完了される。
【0054】
プリントコントローラ36は、イエロー画像の第1ラインの冷却期間が終了すると、1ライン記録終了コマンドをCPU52に送る。CPU52は、1ライン記録終了コマンドを受取ると、再び1ライン記録開始コマンドをプリントコントローラ36に送る。プリントコントローラ36は、第1セレクタ37を第1ラインメモリ38側に、第2セレクタ40を第2ラインメモリ39側に切り換えてから、イエロー画像の第2ラインの記録を開始する。
【0055】
第2ラインメモリ36から1ライン分の記録用通電時間データが読み出され、並直変換回路に41に送られる。以降、第1ラインと同様な手順で、パルスが発生され、各発熱素子23が対応する記録用通電時間データの通電時間に応じた時間だけ通電されて発熱し、イエロー画像の第2ラインが記録される。この第2ラインの記録中には、第3ラインのイエローの記録用通電時間データがコンピュータ50からカラー感熱プリンタ20に送られ、第1ラインメモリ38に書き込まれる。イエロー画像の第2ラインの記録終了後、同様にして第3ライン以降を記録する。
【0056】
イエロー画像が記録されたカラー感熱記録紙10の部分は、イエロー用光定着器31に達すると、イエロー用紫外線ランプ31aからイエロー用紫外線が照射され、イエロー感熱発色層が光定着される。イエロー画像の最終ラインを記録した後にも、カラー感熱記録紙10は、記録エリアの後端がイエロー用紫外線定着器20を通過するまで下流に向けて搬送される。
【0057】
記録エリアの後端がイエロー用光定着器31を通過すると、イエロー用紫外線ランプ31aが消灯されるとともに、パルスモータ28がいったん停止される。また、サーマルヘッド22が退避位置に揺動される。この後、パルスモータ28が逆転され、搬送ローラ対27でカラー感熱記録紙10が搬送路の上流に向けて搬送される。この搬送中に、記録エリアの先端がサーマルヘッド12の位置に達すると、搬送ローラ対27の回転が停止され、サーマルヘッド22が圧接位置に揺動される。さらに、マゼンタ用紫外線ランプ32aが点灯される。
【0058】
サーマルヘッド12を圧接位置にセットした後に、再びパルスモータ28が正転して、搬送ローラ対27によりカラー感熱記録紙10を搬送路の下流に向けて搬送する。そして、この間にコンピュータ50から送られたマゼンタの記録用通電時間データによって、発熱素子アレイ24を発熱させ、でマゼンタ用の加熱をカラー感熱記録紙10に対して行い、マゼンタ画像を1ラインずつ記録する。
【0059】
マゼンタ画像が記録されたカラー感熱記録紙10の部分は、マゼンタ用紫外線ランプ32aからマゼンタ用紫外線が照射され、マゼンタ感熱発色層が光定着される。
【0060】
記録エリアの後端がマゼンタ用光定着器32を通過すると、上述と同様にして、カラー感熱記録紙10がいったん戻されてから、再び下流に向けて搬送される。この搬送中に、コンピュータ50から送られたシアン画像の記録用通電時間データによって、シアン画像が発熱素子アレイ24で1ラインずつ記録される。シアン画像の最終ラインが記録されたカラー感熱記録紙10は、そのまま搬送され、排紙口を通って排紙される。
【0061】
ところで、カラー感熱記録紙10の性能が改善され、発色特性が変更された場合には、この変更された発色特性のプロファイル補正データを書き込んだフロピィディスク等をユーザに供給し、ユーザがプロファイル補正データを書き換える。同様に、各色の特性曲線が変わった場合には、LUTデータを書き換える。また、蓄熱補正や抵抗値補正のアルゴリズムが改善された場合には、これに対応したハードディスク53上の基本プログラムを書き換える。さらには、新しい補正機能等を追加する場合には、このプログラムを追加した基本プログラムに書き換える。他方、カラー感熱プリンタ20は、画像処理装置を内蔵していないのでそのまま使う。
【0062】
なお、上記実施形態では、1ラインずつ記録用通電時間データを転送し、1ラインずつ画像を記録しているが、記録用通電時間データを複数の例えば2ライン分ずつ転送して、2ラインずつ記録してもよい。また、コンピュータで行う蓄熱補正等の画像処理は、図5に示される順番に限定されるものではなく、また他の処理を行ってもよい。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、外部のコンピュータで所定の画像処理を行うから、感熱プリンタ側では、複雑な画像処理装置が不要となり、コンピュータ側から送られてきた通電時間データに応じて発熱素子を駆動するだけでよいので、感熱プリンタも構造が簡単になり、安価に提供することができるとともに、高画質の画像を記録することができる。また、発熱素子の蓄熱補正や抵抗値補正のアルゴリズムがより最適化されたような場合や、感熱記録紙の特性が変わった場合にでも、感熱プリンタに変更を加えることなく、コンピュータ側のプログラムを変更するだけで対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラー感熱記録紙の層構造を示す説明図である。
【図2】カラー感熱記録紙の特性曲線を示すグラフである。
【図3】カラー感熱プリンタとコンピュータを示すブロック図である。
【図4】カラー感熱記録紙の記録状態を示す説明図である。
【図5】本発明を実施した感熱プリンタによる記録手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 カラー感熱記録紙
20 カラー感熱プリンタ
22 サーマルヘッド
23 発熱素子
25 ヘッドドライバ
35,51 I/F回路
36 プリントコントローラ
38,39 ラインメモリ
41 並直変換回路
42 サーマルヘッド制御回路
52 CPU
53 ハードディスク
54 メモリ
Claims (2)
- 通電時間に応じた熱エネルギーを発生する発熱素子を備えたサーマルヘッドを用い、このサーマルヘッドと感熱記録紙とを相対的に移動させながらサーマルヘッドで感熱記録紙を加熱してあらかじめ指定されたライン数ずつ画像を熱記録する感熱プリント方法において、
記録すべき画像の画像データを外部のコンピュータに記憶しておき、あらかじめこのコンピュータで各画像データを前記発熱素子の通電時間を表す通電時間データに変換するとともに、これらの各通電時間データに対して所定の補正処理を行い、この後に補正処理済のあらかじめ指定されたライン数分の通電時間データをコンピュータから感熱プリンタに転送し、この通電時間データに応じて各発熱素子を通電して発熱させ、各発熱素子に対応する画素を記録することにより画像を記録することを特徴とする感熱プリント方法。 - 通電時間に応じた熱エネルギーを発生する発熱素子を備えたサーマルヘッドを用い、このサーマルヘッドと感熱記録紙とを相対的に移動させながらサーマルヘッドで感熱記録紙を加熱して画像をあらかじめ指定されたライン数ずつ熱記録する感熱プリンタにおいて、
記録すべき画像の各画像データをあらかじめ前記発熱素子の通電時間を表す通電時間データに変換してから、これらの各通電時間データに対して所定の補正処理を行って記憶するコンピュータに接続され、前記コンピュータから補正処理済の通電時間データを取り込むメモリ手段と、前記メモリ手段から読み出したあらかじめ指定されたライン数分の各通電時間データに応じて各発熱素子を通電して発熱させ、各発熱素子に対応する画素を記録するヘッド駆動手段とを備えたことを特徴とする感熱プリンタ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23519896A JP3609213B2 (ja) | 1996-09-05 | 1996-09-05 | 感熱プリント方法及び感熱プリンタ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23519896A JP3609213B2 (ja) | 1996-09-05 | 1996-09-05 | 感熱プリント方法及び感熱プリンタ |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1076696A JPH1076696A (ja) | 1998-03-24 |
| JP3609213B2 true JP3609213B2 (ja) | 2005-01-12 |
Family
ID=16982535
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP23519896A Expired - Lifetime JP3609213B2 (ja) | 1996-09-05 | 1996-09-05 | 感熱プリント方法及び感熱プリンタ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3609213B2 (ja) |
-
1996
- 1996-09-05 JP JP23519896A patent/JP3609213B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH1076696A (ja) | 1998-03-24 |
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