JP3609902B2 - 海苔養殖用作業船の酸処理液回収装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、海上で海苔網により養殖した海苔を採取する海苔養殖用作業船の酸処理液回収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の海苔養殖用作業船として、船体上部に海苔網用ガイドが取付けられ、このガイドの前端部を船首より前方に突出させるとともにその前端を海面下に水没させた状態で海苔網に向かって前進することによって、海苔網を船上に導いて船上で海苔を連続的に採取するようにしたものが知られている。すなわち、海苔養殖用作業船はその船体上に海苔網用ガイドが設けられ、このガイドは船体前部の海苔刈り取り装置の直上およびブリッジの上側を通って船尾側へ延在されており、この海苔網用ガイドに沿って酸処理槽が設けられている。そしてポンプによりこの処理液タンク中の酸処理用処理液を酸処理槽の上流端に供給するとともに、酸処理槽の下流端から処理液を処理液タンクに回収するようにしている。そして船を前進させることにより海上の海苔網を掬い上げて海苔網用ガイドに沿って船尾方向に移動させつつ海苔刈り取り装置によって海苔網に付着している海苔を刈り取り、ついで酸処理槽を通過させることにより海苔網を酸処理用処理液に浸漬させて酸処理するようにしている。また海苔網を酸処理槽で処理した後の処理液は処理液タンクに回収して再使用するようにしているが、この回収処理液には海苔屑が混入しているために、フィルタ手段を通すことにより海苔屑を濾過して処理液タンクに回収している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記海苔養殖用作業船による海苔の採取作業は長時間連続して行なわれ、したがって処理液の回収も連続して行なわれることになる。しかしながら、従来の処理液回収部は、処理液を回収パイプから金網を通過させることにより海苔を濾過して処理液タンクに落下させるようにしているが、処理液は金網の1個所にのみ当たることになるために、その部分が海苔屑で目詰まりし、この目詰まり領域が徐々に拡大して金網全体が目詰まりすることになるために、度々フィルタの点検清掃が必要になるという問題がある。
【0004】
この発明は、このような従来の欠点を解消するためになされたものであり、フィルタ手段に海苔が目詰まりすることがなく、したがって海苔の採取作業中にフィルタ手段の点検清掃が必要ない海苔養殖用作業船の酸処理液回収装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、船上に、船首部から船尾部に亘って船体長さ方向に延在するガイド部材が設けられ、海上の海苔網をガイド部材に沿って船上を通過させるようにした海苔養殖作業用船において、上記海苔網を酸処理する酸処理槽が形成され、この酸処理槽には処理済の処理液を処理液タンクに回収する処理液回収パイプが接続され、この処理液回収パイプの他端部にはオーバフロータンクが設置され、このオーバフロータンクからのオーバフロー液が供給されるフィルタ手段が設けられ、このフィルタ手段によって濾過した海苔を収容する海苔受け箱と海苔が濾過された処理液が供給される処理液タンクとが設置されているものである。
【0006】
請求項1の発明では、酸処理槽から処理液回収パイプを通して取り出された処理液は、一旦オーバフロータンクに溜められ、オーバフロータンクから堰を越えて広い範囲に亘ってフィルタ上に供給されるようにしているために、フィルタのの目詰まりが生じにくい。
【0007】
請求項2の発明は、上記構成においてオーバフロータンクは処理液をオーバフローさせる堰が上記回収パイプの直径よりも大きい幅に形成されているものである。
【0008】
請求項2の発明では、オーバフロータンクからの処理液は堰を越えてフィルタ手段に広い幅(範囲)で供給されるために、フィルタ手段の目詰まりを確実に防止することができる。
【0009】
請求項3の発明は、上記フィルタ手段は、オーバフロータンクの堰から処理液が落下する位置に傾斜して配置された多孔板により形成され、この多孔板の下側に処理液タンクの開口部が位置しているものである。
【0010】
請求項3の発明では、オーバフロータンクから落下する処理液は傾斜して配置された多孔板からなるフィルタ手段上に落されるようにしているために、フィルタ上に落された海苔屑は順次傾斜面に沿って多孔板上から排出させることができ、これによって長時間の連続濾過を目詰まりなく続けることができる。
【0011】
請求項4の発明は、上記多孔板は、濾過した海苔が下端部から自然に落下するように傾斜して形成され、この多孔板の下端部には落下する海苔を受ける海苔受け箱が配置され、この海苔受け箱は処理液タンクの開口部上に配置されているものである。
【0012】
請求項4の発明では、処理液から濾過された海苔屑を多孔板から自動的に海苔受け箱中に収納することができ、しかも海苔受け箱中で海苔屑の水切りが行なわれるために、処理液を無駄なく処理液タンク中に回収することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1および図2において、海苔養殖作業船1にはその船体上に海苔網用ガイド4が設置され、この海苔網用ガイド4は両船側部に沿って船首部から船尾部の後方まで延び、両船側部においてそれぞれ支柱43によって支持されている。そして海上から掬い上げた海苔網を海苔網用ガイド4上を通過させる間に酸処理する酸処理槽7が上記ガイド部材4に沿って船体中央部から後方にかけて形成されている。また船上には、その中央部よりやや後部寄りにおいて、酸処理槽7の下側に運転席30が設置されたブリッジ3が設けられ、このブリッジ3の屋根は酸処理槽7の洗浄面73で形成され、またこのブリッジ3は船体中心線に対して一方の側部(右舷側)に形成されている。船体中心線の他方の側部(左舷側)には、上記酸処理槽7の下側(船底部)に補機用エンジン6が配置されている。
【0014】
上記ガイド部材4は、船首部ではデッキに近接して船尾方向に延びる水平部ガイド401を備え、その後側には酸処理槽7上に向かって斜め後方に立上る立上り部ガイド402を備え、ブリッジ3上およびそれより後方では徐々に下降して船尾端の後方まで延びている。そしてこの立上り部ガイド402の下側に、海苔網に付着した海苔を刈り取る海苔刈り取り装置5が配置され、その下側には海苔刈り取り装置5によって刈り取られた海苔を貯留する海苔庫50が形成されている。
【0015】
また上記海苔網用ガイド4の前端部にはガイド延長部41が設けられ、このガイド延長部41の基端部にはスリーブ42が設けられ、このスリーブ42は前後方向に延びるガイド棒48に外嵌され、このガイド棒48に沿って前後動することにより、図1実線の状態から仮想線の状態まで移動して、ガイド延長部41を水中への没入状態から船上への格納状態に移動させることができるようにしている。また船首船底部には、船幅方向のスラストを生じさせる船首スラスター62が設けられ、また船尾端には一対の船外機8が取付けられている。喫水面91は海苔を収穫した後の満載状態、喫水線92は海苔刈り取り前の軽荷状態の喫水面をそれぞれ示している。
【0016】
上記酸処理槽7の上流端には複数個の噴出口が船幅方向にほぼ均等に形成されてなる処理液噴射管72が設置され、この処理液噴射管72に図示しないポンプにより供給管を通して処理液を供給することにより処理液を船幅方向にほぼ均一に噴出するように形成されている。
【0017】
また上記酸処理槽7の下側であってブリッジ3の後側には処理液タンク70が設置され、その上側には処理液導入部75が形成され、酸処理槽7の下流端の処理液溝74から導出された回収パイプ71がこの処理液導入部75に導かれている。この処理液導入部75は、後述のフィルタ手段を有し、このフィルタ手段によって処理液中の海苔屑を取り除き、処理液が処理液タンク70中へ回収されるようにしている。
【0018】
酸処理槽7の後端部の下側の船体には、図3および図4に示すように、隔壁14,15によって区画された処理液タンク70が形成されている。この処理液タンク70の上側のデッキ21には、ハッチコーミング22によって船体中心線上およびその船幅方向両側部に開口部が形成され、この両側部の開口部にそれぞれ海苔受け箱81が配置され、隔壁14間に水平方向に取付けられた支持棒83によって支持されている。この海苔受け箱81は内部に海苔を溜めて移送するためのものであり、目の粗い剛性の高いカゴで構成され、内面に目の細かい網89が挿入されている。また処理液タンク70の中央部の開口部の両側部には、支持板29が上下方向に延びて取付けられている。
【0019】
上記処理液回収パイプ71の下端部には船幅方向に一対のオーバフロータンク8が設置されている。この一対のオーバフロータンク8の一側部には、それぞれ内部の液をオーバフローさせる堰82が相対向して形成され、この堰82の幅(船体の長さ方向の幅)は、処理液回収パイプ71の直径よりも充分に大きく形成され、これによって処理液を広い幅(範囲)で落下させるようにしている。この堰82の下側には、オーバフロー液が供給される位置にフィルタ手段として多孔板6が設けられ、この多孔板6は上部板60と下部板61とからなり、上部板60は急傾斜に配置され、この上部板60の下端部に下部板61が緩傾斜に配置され、かつこの下部板61は下端部がハッチコーミング22によって支持された支持板29によって支持されている。この下部板61は上半分が多孔板、下半分が盲板62で構成され、この下部板61の下端部には下部板61よりさらに緩傾斜のガイド板63が配置されている。上記ガイド板63の両側部には上方に延びるフランジ64が一体に形成され、このフランジ64の上端部は軸640により揺動可能にオーバフロータンク8の両側壁88に取付けられ、ガイド板63がこの軸640周りに揺動することにより海苔受け箱81の上辺から離れ、海苔受け箱81をガイド板63の下側から抜き取ることができるようにしている。
【0020】
上記フィルタ手段としての多孔板6は、板材に多数の小穴を形成したものでもよく、あるいは剛性のある金網や多数のスリットが形成されるように棒材を組合わせたものでもよく、このスリットを形成したものではスリットが海苔屑の流れ方向に長いスリットにすると水分を分離しながら海苔屑を下方にスムーズに送ることができるために好ましい。
【0021】
上記構成において、通常の走行時にはガイド延長部41は、図2中二点鎖線で示すように船上に位置させ、その状態で船を前進走行させる。そして養殖場での海苔刈り取り作業時には、ガイド延長部41を跳ね上げ手段40によって船首前方に突出させて先端部を海面下に没入させ、船を微速で前進させつつ海面上の海苔網に向かう。この際、船首スラスター62および船尾スラスター61を作動させて船の進路調整を行なうようにする。船体2の進行に伴ってガイド延長部41によって海面上の海苔網を掬い上げて船上を海苔網用ガイド4に沿って船尾方向に移動させることになる。そしてその間に海苔刈り取り装置5によって海苔網に付着している海苔を刈り取り、その下側の海苔庫50中に落下させる。
【0022】
海苔が刈り取られた海苔網はブリッジ3上の酸処理槽7を通過することにより酸処理され、海苔網用ガイド4に案内されて船尾後方の海面上に戻される。この酸処理中には、処理液タンク70中の処理液をポンプにより供給パイプを通してヘッドパイプ72に圧送し、ヘッドパイプ72に船幅方向に多数形成した噴出口から洗浄面73およびその上を通過する海苔網に向けて噴射する。洗浄面73上の処理液は、海苔網が洗浄面73上を移動する間に処理液は海苔網に接触した状態を保ち、海苔網の移動とともに下流側へ流されて下流端の溝75中に流入することになる。
【0023】
溝75中に流入した処理液には海苔屑が混入しており、この処理液は一対の処理液回収パイプ71を通って排出され、図3および図4に示すようにオーバフロータンク8中に供給される。このオーバフロータンク8中の処理液は、堰82を通り広い幅の流れとなって上部板60上に落下し、処理液中に混入した海苔は下部板61からガイド板63上を通って海苔受け箱81内に送られ、ここに貯留される。この際、上部板60で大部分の水分が落下し、下部板61でも水分が分離し、さらに海苔受け箱81中でも水分が分離される。分離された水分は処理液タンク70中に落下することになり、また下部板61の下半分62とガイド板63とを通過する際には水分は分離されないために、その下側のハッチコーミング22の部分には水分は落下しない。このようにして海苔屑が分離された処理液700が処理液タンク70中に回収される。
【0024】
なお、海苔屑は海苔受け箱81を所定の場所に移すことにより回収され、この海苔受け箱81を支持棒83上から取り外す際には、ガイド板63を軸640回りに回動させて海苔受け箱81に当接しないようにする。
【0025】
また上記実施例の構造とは逆に、酸処理槽7の船尾側から処理液を供給し、船首側から処理液を排出するようにしてもよい。
【0026】
【発明の効果】
請求項1の発明では、酸処理槽から処理液回収パイプを通して取り出された処理液は、一旦オーバフロータンクに溜められ、オーバフロータンクから堰を越えて広い範囲に亘ってフィルタ上に供給されるようにしているために、フィルタのの目詰まりが生じにくい。
【0027】
請求項2の発明では、オーバフロータンクからの処理液は堰を越えてフィルタ手段に広い幅(範囲)で供給されるために、フィルタ手段の目詰まりを確実に防止することができる。
【0028】
請求項3の発明では、オーバフロータンクから落下する処理液は傾斜して配置された多孔板からなるフィルタ手段上に落されるようにしているために、フィルタ上に落された海苔屑は順次傾斜面に沿って多孔板上から排出させることができ、これによって長時間の連続濾過を目詰まりなく続けることができる。
【0029】
請求項4の発明では、処理液から濾過された海苔屑を多孔板から自動的に海苔受け箱中に収納することができ、しかも海苔受け箱中で海苔屑の水切りが行なわれるために、処理液を無駄なく処理液タンク中に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施態様を示す船体の側面配置図である。
【図2】図1の船体の平面配置図である。
【図3】酸処理液回収部の横断面斜視図である。
【図4】図3の部分横断面図である。
【符号の説明】
1 海苔養殖作業船
2 船体
3 ブリッジ
4 海苔網用ガイド
5 海苔刈り取り装置
6 多孔板
7 酸処理槽
8 オーバフロータンク
50 海苔庫
60 上部板
61 下部板
70 処理液タンク
71 処理液回収パイプ
72 ヘッドパイプ
81 海苔受け箱
82 堰
【発明の属する技術分野】
この発明は、海上で海苔網により養殖した海苔を採取する海苔養殖用作業船の酸処理液回収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の海苔養殖用作業船として、船体上部に海苔網用ガイドが取付けられ、このガイドの前端部を船首より前方に突出させるとともにその前端を海面下に水没させた状態で海苔網に向かって前進することによって、海苔網を船上に導いて船上で海苔を連続的に採取するようにしたものが知られている。すなわち、海苔養殖用作業船はその船体上に海苔網用ガイドが設けられ、このガイドは船体前部の海苔刈り取り装置の直上およびブリッジの上側を通って船尾側へ延在されており、この海苔網用ガイドに沿って酸処理槽が設けられている。そしてポンプによりこの処理液タンク中の酸処理用処理液を酸処理槽の上流端に供給するとともに、酸処理槽の下流端から処理液を処理液タンクに回収するようにしている。そして船を前進させることにより海上の海苔網を掬い上げて海苔網用ガイドに沿って船尾方向に移動させつつ海苔刈り取り装置によって海苔網に付着している海苔を刈り取り、ついで酸処理槽を通過させることにより海苔網を酸処理用処理液に浸漬させて酸処理するようにしている。また海苔網を酸処理槽で処理した後の処理液は処理液タンクに回収して再使用するようにしているが、この回収処理液には海苔屑が混入しているために、フィルタ手段を通すことにより海苔屑を濾過して処理液タンクに回収している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記海苔養殖用作業船による海苔の採取作業は長時間連続して行なわれ、したがって処理液の回収も連続して行なわれることになる。しかしながら、従来の処理液回収部は、処理液を回収パイプから金網を通過させることにより海苔を濾過して処理液タンクに落下させるようにしているが、処理液は金網の1個所にのみ当たることになるために、その部分が海苔屑で目詰まりし、この目詰まり領域が徐々に拡大して金網全体が目詰まりすることになるために、度々フィルタの点検清掃が必要になるという問題がある。
【0004】
この発明は、このような従来の欠点を解消するためになされたものであり、フィルタ手段に海苔が目詰まりすることがなく、したがって海苔の採取作業中にフィルタ手段の点検清掃が必要ない海苔養殖用作業船の酸処理液回収装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、船上に、船首部から船尾部に亘って船体長さ方向に延在するガイド部材が設けられ、海上の海苔網をガイド部材に沿って船上を通過させるようにした海苔養殖作業用船において、上記海苔網を酸処理する酸処理槽が形成され、この酸処理槽には処理済の処理液を処理液タンクに回収する処理液回収パイプが接続され、この処理液回収パイプの他端部にはオーバフロータンクが設置され、このオーバフロータンクからのオーバフロー液が供給されるフィルタ手段が設けられ、このフィルタ手段によって濾過した海苔を収容する海苔受け箱と海苔が濾過された処理液が供給される処理液タンクとが設置されているものである。
【0006】
請求項1の発明では、酸処理槽から処理液回収パイプを通して取り出された処理液は、一旦オーバフロータンクに溜められ、オーバフロータンクから堰を越えて広い範囲に亘ってフィルタ上に供給されるようにしているために、フィルタのの目詰まりが生じにくい。
【0007】
請求項2の発明は、上記構成においてオーバフロータンクは処理液をオーバフローさせる堰が上記回収パイプの直径よりも大きい幅に形成されているものである。
【0008】
請求項2の発明では、オーバフロータンクからの処理液は堰を越えてフィルタ手段に広い幅(範囲)で供給されるために、フィルタ手段の目詰まりを確実に防止することができる。
【0009】
請求項3の発明は、上記フィルタ手段は、オーバフロータンクの堰から処理液が落下する位置に傾斜して配置された多孔板により形成され、この多孔板の下側に処理液タンクの開口部が位置しているものである。
【0010】
請求項3の発明では、オーバフロータンクから落下する処理液は傾斜して配置された多孔板からなるフィルタ手段上に落されるようにしているために、フィルタ上に落された海苔屑は順次傾斜面に沿って多孔板上から排出させることができ、これによって長時間の連続濾過を目詰まりなく続けることができる。
【0011】
請求項4の発明は、上記多孔板は、濾過した海苔が下端部から自然に落下するように傾斜して形成され、この多孔板の下端部には落下する海苔を受ける海苔受け箱が配置され、この海苔受け箱は処理液タンクの開口部上に配置されているものである。
【0012】
請求項4の発明では、処理液から濾過された海苔屑を多孔板から自動的に海苔受け箱中に収納することができ、しかも海苔受け箱中で海苔屑の水切りが行なわれるために、処理液を無駄なく処理液タンク中に回収することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1および図2において、海苔養殖作業船1にはその船体上に海苔網用ガイド4が設置され、この海苔網用ガイド4は両船側部に沿って船首部から船尾部の後方まで延び、両船側部においてそれぞれ支柱43によって支持されている。そして海上から掬い上げた海苔網を海苔網用ガイド4上を通過させる間に酸処理する酸処理槽7が上記ガイド部材4に沿って船体中央部から後方にかけて形成されている。また船上には、その中央部よりやや後部寄りにおいて、酸処理槽7の下側に運転席30が設置されたブリッジ3が設けられ、このブリッジ3の屋根は酸処理槽7の洗浄面73で形成され、またこのブリッジ3は船体中心線に対して一方の側部(右舷側)に形成されている。船体中心線の他方の側部(左舷側)には、上記酸処理槽7の下側(船底部)に補機用エンジン6が配置されている。
【0014】
上記ガイド部材4は、船首部ではデッキに近接して船尾方向に延びる水平部ガイド401を備え、その後側には酸処理槽7上に向かって斜め後方に立上る立上り部ガイド402を備え、ブリッジ3上およびそれより後方では徐々に下降して船尾端の後方まで延びている。そしてこの立上り部ガイド402の下側に、海苔網に付着した海苔を刈り取る海苔刈り取り装置5が配置され、その下側には海苔刈り取り装置5によって刈り取られた海苔を貯留する海苔庫50が形成されている。
【0015】
また上記海苔網用ガイド4の前端部にはガイド延長部41が設けられ、このガイド延長部41の基端部にはスリーブ42が設けられ、このスリーブ42は前後方向に延びるガイド棒48に外嵌され、このガイド棒48に沿って前後動することにより、図1実線の状態から仮想線の状態まで移動して、ガイド延長部41を水中への没入状態から船上への格納状態に移動させることができるようにしている。また船首船底部には、船幅方向のスラストを生じさせる船首スラスター62が設けられ、また船尾端には一対の船外機8が取付けられている。喫水面91は海苔を収穫した後の満載状態、喫水線92は海苔刈り取り前の軽荷状態の喫水面をそれぞれ示している。
【0016】
上記酸処理槽7の上流端には複数個の噴出口が船幅方向にほぼ均等に形成されてなる処理液噴射管72が設置され、この処理液噴射管72に図示しないポンプにより供給管を通して処理液を供給することにより処理液を船幅方向にほぼ均一に噴出するように形成されている。
【0017】
また上記酸処理槽7の下側であってブリッジ3の後側には処理液タンク70が設置され、その上側には処理液導入部75が形成され、酸処理槽7の下流端の処理液溝74から導出された回収パイプ71がこの処理液導入部75に導かれている。この処理液導入部75は、後述のフィルタ手段を有し、このフィルタ手段によって処理液中の海苔屑を取り除き、処理液が処理液タンク70中へ回収されるようにしている。
【0018】
酸処理槽7の後端部の下側の船体には、図3および図4に示すように、隔壁14,15によって区画された処理液タンク70が形成されている。この処理液タンク70の上側のデッキ21には、ハッチコーミング22によって船体中心線上およびその船幅方向両側部に開口部が形成され、この両側部の開口部にそれぞれ海苔受け箱81が配置され、隔壁14間に水平方向に取付けられた支持棒83によって支持されている。この海苔受け箱81は内部に海苔を溜めて移送するためのものであり、目の粗い剛性の高いカゴで構成され、内面に目の細かい網89が挿入されている。また処理液タンク70の中央部の開口部の両側部には、支持板29が上下方向に延びて取付けられている。
【0019】
上記処理液回収パイプ71の下端部には船幅方向に一対のオーバフロータンク8が設置されている。この一対のオーバフロータンク8の一側部には、それぞれ内部の液をオーバフローさせる堰82が相対向して形成され、この堰82の幅(船体の長さ方向の幅)は、処理液回収パイプ71の直径よりも充分に大きく形成され、これによって処理液を広い幅(範囲)で落下させるようにしている。この堰82の下側には、オーバフロー液が供給される位置にフィルタ手段として多孔板6が設けられ、この多孔板6は上部板60と下部板61とからなり、上部板60は急傾斜に配置され、この上部板60の下端部に下部板61が緩傾斜に配置され、かつこの下部板61は下端部がハッチコーミング22によって支持された支持板29によって支持されている。この下部板61は上半分が多孔板、下半分が盲板62で構成され、この下部板61の下端部には下部板61よりさらに緩傾斜のガイド板63が配置されている。上記ガイド板63の両側部には上方に延びるフランジ64が一体に形成され、このフランジ64の上端部は軸640により揺動可能にオーバフロータンク8の両側壁88に取付けられ、ガイド板63がこの軸640周りに揺動することにより海苔受け箱81の上辺から離れ、海苔受け箱81をガイド板63の下側から抜き取ることができるようにしている。
【0020】
上記フィルタ手段としての多孔板6は、板材に多数の小穴を形成したものでもよく、あるいは剛性のある金網や多数のスリットが形成されるように棒材を組合わせたものでもよく、このスリットを形成したものではスリットが海苔屑の流れ方向に長いスリットにすると水分を分離しながら海苔屑を下方にスムーズに送ることができるために好ましい。
【0021】
上記構成において、通常の走行時にはガイド延長部41は、図2中二点鎖線で示すように船上に位置させ、その状態で船を前進走行させる。そして養殖場での海苔刈り取り作業時には、ガイド延長部41を跳ね上げ手段40によって船首前方に突出させて先端部を海面下に没入させ、船を微速で前進させつつ海面上の海苔網に向かう。この際、船首スラスター62および船尾スラスター61を作動させて船の進路調整を行なうようにする。船体2の進行に伴ってガイド延長部41によって海面上の海苔網を掬い上げて船上を海苔網用ガイド4に沿って船尾方向に移動させることになる。そしてその間に海苔刈り取り装置5によって海苔網に付着している海苔を刈り取り、その下側の海苔庫50中に落下させる。
【0022】
海苔が刈り取られた海苔網はブリッジ3上の酸処理槽7を通過することにより酸処理され、海苔網用ガイド4に案内されて船尾後方の海面上に戻される。この酸処理中には、処理液タンク70中の処理液をポンプにより供給パイプを通してヘッドパイプ72に圧送し、ヘッドパイプ72に船幅方向に多数形成した噴出口から洗浄面73およびその上を通過する海苔網に向けて噴射する。洗浄面73上の処理液は、海苔網が洗浄面73上を移動する間に処理液は海苔網に接触した状態を保ち、海苔網の移動とともに下流側へ流されて下流端の溝75中に流入することになる。
【0023】
溝75中に流入した処理液には海苔屑が混入しており、この処理液は一対の処理液回収パイプ71を通って排出され、図3および図4に示すようにオーバフロータンク8中に供給される。このオーバフロータンク8中の処理液は、堰82を通り広い幅の流れとなって上部板60上に落下し、処理液中に混入した海苔は下部板61からガイド板63上を通って海苔受け箱81内に送られ、ここに貯留される。この際、上部板60で大部分の水分が落下し、下部板61でも水分が分離し、さらに海苔受け箱81中でも水分が分離される。分離された水分は処理液タンク70中に落下することになり、また下部板61の下半分62とガイド板63とを通過する際には水分は分離されないために、その下側のハッチコーミング22の部分には水分は落下しない。このようにして海苔屑が分離された処理液700が処理液タンク70中に回収される。
【0024】
なお、海苔屑は海苔受け箱81を所定の場所に移すことにより回収され、この海苔受け箱81を支持棒83上から取り外す際には、ガイド板63を軸640回りに回動させて海苔受け箱81に当接しないようにする。
【0025】
また上記実施例の構造とは逆に、酸処理槽7の船尾側から処理液を供給し、船首側から処理液を排出するようにしてもよい。
【0026】
【発明の効果】
請求項1の発明では、酸処理槽から処理液回収パイプを通して取り出された処理液は、一旦オーバフロータンクに溜められ、オーバフロータンクから堰を越えて広い範囲に亘ってフィルタ上に供給されるようにしているために、フィルタのの目詰まりが生じにくい。
【0027】
請求項2の発明では、オーバフロータンクからの処理液は堰を越えてフィルタ手段に広い幅(範囲)で供給されるために、フィルタ手段の目詰まりを確実に防止することができる。
【0028】
請求項3の発明では、オーバフロータンクから落下する処理液は傾斜して配置された多孔板からなるフィルタ手段上に落されるようにしているために、フィルタ上に落された海苔屑は順次傾斜面に沿って多孔板上から排出させることができ、これによって長時間の連続濾過を目詰まりなく続けることができる。
【0029】
請求項4の発明では、処理液から濾過された海苔屑を多孔板から自動的に海苔受け箱中に収納することができ、しかも海苔受け箱中で海苔屑の水切りが行なわれるために、処理液を無駄なく処理液タンク中に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施態様を示す船体の側面配置図である。
【図2】図1の船体の平面配置図である。
【図3】酸処理液回収部の横断面斜視図である。
【図4】図3の部分横断面図である。
【符号の説明】
1 海苔養殖作業船
2 船体
3 ブリッジ
4 海苔網用ガイド
5 海苔刈り取り装置
6 多孔板
7 酸処理槽
8 オーバフロータンク
50 海苔庫
60 上部板
61 下部板
70 処理液タンク
71 処理液回収パイプ
72 ヘッドパイプ
81 海苔受け箱
82 堰
Claims (4)
- 船上に、船首部から船尾部に亘って船体長さ方向に延在するガイド部材が設けられ、海上の海苔網をガイド部材に沿って船上を通過させるようにした海苔養殖作業用船において、上記海苔網を酸処理する酸処理槽が形成され、この酸処理槽には処理済の処理液を処理液タンクに回収する処理液回収パイプが接続され、この処理液回収パイプの他端部にはオーバフロータンクが設置され、このオーバフロータンクからのオーバフロー液が供給されるフィルタ手段が設けられ、このフィルタ手段によって濾過した海苔を収容する海苔受け箱と海苔が濾過された処理液が供給される処理液タンクとが設置されていることを特徴とする海苔養殖用作業船の酸処理液回収装置。
- 上記オーバフロータンクは処理液をオーバフローさせる堰が上記回収パイプの直径よりも大きい幅に形成されていることを特徴とする請求項1記載の海苔養殖用作業船の酸処理液回収装置。
- 上記フィルタ手段は、オーバフロータンクの堰から処理液が落下する位置に傾斜して配置された多孔板により形成され、この多孔板の下側に処理液タンクの開口部が位置していることを特徴とする請求項1または2記載の海苔養殖用作業船の酸処理液回収装置。
- 上記多孔板は、濾過した海苔が下端部から自然に落下するように傾斜して形成され、この多孔板の下端部には落下する海苔を受ける海苔受け箱が配置され、この海苔受け箱は処理液タンクの開口部上に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の海苔養殖用作業船の酸処理液回収装置。
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