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JP3611083B2 - 植物分裂組織に特異的なプロモーター - Google Patents
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植物分裂組織に特異的なプロモーター Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物の分裂組織において、その制御下の構造遺伝子の発現を特異的に促進するプロモーターに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の植物分子生物学の発展に伴い、センス遺伝子やアンチセンス遺伝子を利用し、病虫害抵抗性や除草剤耐性などの有用形質を備えた植物品種等を育種することが可能となってきた。即ち、目的の形質の発現に関与する構造遺伝子を、植物で発現可能なプロモーターにセンス方向又はアンチセンス方向に連結してキメラ遺伝子を作成し、これをベクターとして植物に導入することにより、その目的形質の発現を促進、抑制するのである。現在既に、かかる手法を応用して、例えば、Bacillus thuringensis由来の殺虫性BT毒素遺伝子をセンス方向に導入した病虫害抵抗性植物(D.A.Fischhoff等、Bio/Technology、vol.232:738、1987)や、トマト果実の過熟に関するポリガラクツロナーゼ遺伝子をアンチセンス方向に導入した日持ち良好なトマト(C.J.Smith等、Nature、vol.334:724、1988)等が作出されている。
【0003】
一方、こうして導入される構造遺伝子のプロモーターとしては、専らカリフラワーモザイクウィルス(CaMV)35Sプロモーターが用いられている。このCaMV35Sプロモーターは、強力に構造遺伝子の転写を促進する働きを有するものの、その促進作用は非特異的であって、植物の生長ステージや組織の種類に拘わらず、これが導入された植物細胞において、その制御下におかれた構造遺伝子の転写を常に促進する。このため、構造遺伝子の種類によっては、その過剰発現から遺伝子導入細胞の代謝異常を招き、植物組織や植物体自体の奇形・生育阻害等を引起すことがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は組織特異的、時期特異的に構造遺伝子の発現を制御し得るプロモーターを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ユーカリ属より単離したヒストンH3構造遺伝子のプロモーターが、植物の茎頂点、根端、カルス等の分裂組織において特異的に構造遺伝子の転写を促進することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明の上記課題はこのプロモーター、具体的には、配列番号1に示す塩基配列を有するDNA、又は、このDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、その制御下の構造遺伝子の発現を、植物の分裂組織において特異的に促進する機能を有するDNAにより解決される。なお、ここでストリンジェントな条件としては、緩衝液として6×SSC(0.9M NaCl、0.09M クエン酸ナトリウム)、温度55℃を採用する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のプロモーターとしては、配列番号1に示す塩基配列を有するDNAであれば制限なく使用できる。また、このDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAも、その制御下の構造遺伝子の発現を、植物の分裂組織、例えば茎頂点、根端、カルス等において特異的に促進する機能を有する限り、使用できる。
【0008】
かかるDNAは、その由来を問わない。植物、例えばEucalyptus globulus(以下、E.グロブラスと略す。)、Eucalyptus grandis等のユーカリ属より定法を用いて単離したものを用いることもできるが、ホスファイトトリエステル法(M.Hunkapiller等、Nature、310:105、1984)等の一般的な方法により化学合成したものを用いることもできる。
【0009】
本発明のプロモーターにより制御すべき構造遺伝子は、プロモーターの下流域に連結する。通常、プロモーター領域の末端と構造遺伝子のATG翻訳開始コドンとの距離は、10bp以内であることが好ましい。また、ATG翻訳開始コドンの直後、このコドンと制御すべき構造遺伝子との間に、ユーカリ属ヒストンH3構造遺伝子の第一イントロンを含む一部を連結することで、本発明のプロモーター活性は一層向上させることができる。
【0010】
本発明において、植物細胞への遺伝子導入は、上記のようにしてプロモーターとこれにより制御すべき構造遺伝子とを連結してベクターを作成し、このベクターを用い、定法により行うことができる。即ち、このベクターを用い、植物に感染するウィルスや細菌、例えば、カリフラワーモザイクウィルス、ジェミニウィルス、タバコモザイクウィルス、ブロムモザイクウィルス、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(以下、A.ツメファシエンスと略す。)、アグロバクテリウム・リゾジェネス等を介して間接的に植物細胞への遺伝子導入を行うこともでき、また、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール法、融合法、高速バリスティックベネトレーション法等の物理的・化学的手法により、直接的に植物細胞への遺伝子導入を行うこともできる(I.Potrykus、Annu.Rev.Plant Physiol.Plant Mol.Biol.、42:205、1991)。更に、これらの方法により遺伝子が導入された植物細胞からは、その植物の種類等に応じた適当な条件下でこれを培養することにより、植物体を再分化させることもできる。このようにして得られた植物細胞・植物体は、本発明のプロモーターにより制御された構造遺伝子が導入されている植物細胞であり、植物体である。
【0011】
本発明のプロモーターは、ヒストンH3遺伝子のみならず、他の様々なタンパク質をコードする構造遺伝子の発現を制御することができる。従って、本発明においては、農業的に優れた形質を付与する遺伝子、医薬産業等において有用な物質の生産に関与する遺伝子、遺伝子発現機構の研究に必要とされる遺伝子等、種々の構造遺伝子を、目的に応じてセンス遺伝子又はアンチセンス遺伝子として使用することができる。
【0012】
また、本発明のプロモーターを使用することのできる植物の種類も特に限定されない。ユーカリ以外でも、例えば、タバコを始め、イネ、アラビドプシス、ペチュニア等の草本植物、ヤマナラシ、ポプラ、アカシア、スギ、マツ等の木本植物に本発明のプロモーターを使用することができる。
【0013】
【作用】
ヒストンは、真核細胞の核内DNAに結合している塩基性タンパクであり、H1、H2A、H2B、H3、H4の5種類の存在が知られ、細胞周期中S期(DNA合成期)において、新たに合成されたDNAがクロマチンを構築する際に重要な役割を果たしている。従って、これらをコードする遺伝子は、真核細胞において相同性が高く、また、細胞周期中S期において特異的に発現するものと考えられる。
【0014】
本発明者らは、これらヒストンの内、H3をコードする構造遺伝子のプロモーターが、植物の分裂組織において、植物の種類、構造遺伝子の種類に関わらず、その発現を促進することを見出した。かかるヒストンH3構造遺伝子プロモーターの特性も、このようなヒストン構造遺伝子の特性、即ち、生物種間における高い相同性及び細胞周期特異的な発現と、関連を有しているものと考えられる。
【0015】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0016】
[実施例1]
1.ユーカリゲノムDNAライブラリーの単離・精製
播種後、約6ヶ月間生育させたE.グロブラスより完全に展開する前の葉を採取し、液体窒素下で粉砕した。この粉砕した葉を材料として、Doyleらの方法(Focus、12:13、1989)に従い、できるだけ物理的損傷を受けないようにしてゲノムDNAの単離・精製を行ったところ、材料に供した葉約10g(新鮮重)当り約1mgのゲノムDNAを採取することができた。
【0017】
2.ユーカリゲノムDNAライブラリーの作成
1で得られたユーカリゲノムDNA20μgをH緩衝液(50mM Tris−HCl/pH7.5、10mM MgCl、100mM NaCl、1mMDTT)200μlに溶解し、これに1−4ユニットの制限酵素EcoRI(東洋紡績(株)製)を加えて37℃で部分消化を行い、1時間後、反応液にエチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)を50mM、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を0.5%加えて反応を停止させた。なお、ここでユニットとは、上記緩衝液50μlに溶解したラムダDNA1μgを、37℃、60分間で完全に分解する酵素活性を1ユニットとする単位である。部分消化されたDNAは、反応停止後の反応液に2.5倍量のエタノールを加え、−80度で1時間冷却することにより析出させ、遠心分離によりこれを回収した。この結果、ベクターに連結可能なゲノムDNAの部分消化物14μgを得ることができた。
【0018】
次いで、このユーカリゲノムDNA部分消化物を、ラムダファージベクターに連結した。即ち、EcoRIで消化し、アルカリホスファターゼで脱リン酸化処理した置換型のラムダファージベクターZAPII(STRATAGENE社製)2μgと上記のようにして得られたゲノムDNA部分消化物5μgとを、ATP1mM及びT4DNAリガーゼ(東洋紡績(株)製)2ユニットの存在下、緩衝液(10mM Tris−HCl/pH7.5、10mM MgCl、1mM DTT)20μl中で16℃、1晩反応させた後、65℃で5分間熱処理を行って反応を停止させ、組換えファージDNAを得た。なお、ここでのユニットとは、上記緩衝液20μlに溶解させたラムダDNAのHindIII分解物6μgを、16℃、30分間で90%以上ライゲーションさせる酵素活性を1ユニットとする単位である。得られた組換えファージDNAは、ラムダファージ外被タンパクと混和し、22℃、2時間放置してin vitroパッケージングを行い、組換えDNAを有するラムダファージを再生した(STRATAGENE社製 in vitroパッケージングキット Gigapack GOLDを使用。)。
【0019】
一方、大腸菌XL1−BlueMRF´株を10mlのLBMM培地(トリプトン1%、食塩1%、酵母エキス0.5%、硫酸マグネシウム10mM及びマルトース0.4%)に接種し、37℃で12時間振とうして前培養した。前培養後、遠心分離により菌体を集めて、予め4℃に冷却された10mMの硫酸マグネシウム10mlに懸濁し、ラムダファージを感染しやすくしておいて上記の組換えラムダファージと混和し、37℃、15分間放置してこれに感染させた。感染後の菌は、0.7%アガロース含有LBMM培地に懸濁し、更にこの懸濁液を、1.5%の寒天で固化させたLBMM培地の表面に薄く広げ、37℃で12時間培養を行った。培養後、このシャーレにSM緩衝液(50mM Tris−HCl/pH7.5、0.1M NaCl、7mM MgSO、0.01%ゼラチン)10mlを添加して4℃で8時間保持した後、この緩衝液を回収し、得られた回収液をユーカリゲノムDNAライブラリーとして以後の操作を行った。
【0020】
3.ユーカリヒストンH3遺伝子の塩基配列の決定
2で得られたユーカリゲノムDNAライブラリーを鋳型として、PCR法により、ユーカリヒストンH3遺伝子を含むDNA断片の増幅を行った。
【0021】
即ち、プライマーとして、アラビドプシス、イネ、インゲンマメのヒストンH3遺伝子においてATG翻訳開始コドンより365〜384bp下流側に存在する共通領域に対応したプライマーB(5´−CGCGAGCTGGATGTCCTTGG)と、ZAPIIベクターのクローニングサイト脇に存在する一方の領域に対応したKSプライマー(5´−TCGGGTCGACGGTATG)とを用い、上記ライブラリーを鋳型としてPCR法を行い、増幅されたDNA断片をアガロースゲル電気泳動にて分離したところ、約2kbpのDNA断片の増幅が確認された。そこで、このDNA断片の両末端をT4DNAポリメラーゼ処理により平滑化した後、ポリヌクレオチドキナーゼによりリン酸化し、プラスミドpUC19の脱リン酸化処理したSmaI制限酵素部位に組込んでサブクローニングを行い、このサブクローニングされたDNA断片について、DNAシークエンサー(DNAシークエンサー Model 373S(Perkin−Elmer社製))を用い、ダイデオキシ法により塩基配列を決定した。このDNA断片は、5´末端から660bpの位置に存在するATG翻訳開始コドン下流の構造遺伝子領域が、他の公知の植物ヒストンH3構造遺伝子と非常に高い相同性を有しており、また、コムギヒストンH3プロモーター領域のシスエレメントであり、ヒストン構造遺伝子のS期特異的発現に関与すると考えられているヘキサマー配列が34bpに、OLS−1、OLS−2がそれぞれ45、56bpに、更に、オクタマー配列とノナマー配列とがそれぞれ229、256bpに存在している(蛋白質・核酸・酵素、vol.37:1146、1992)。以上より、このDNA断片がユーカリヒストンH3遺伝子、つまり、ユーカリヒストンH3構造遺伝子とそのプロモーターとを含むものであることを確認した。
【0022】
4.ユーカリヒストンH3プロモーターの発現調節活性の確認
3で塩基配列が決定されたDNA断片について、HindIII制限酵素部位を含むプライマーと、BamHI制限酵素部位を含むプライマーとを用いてPCR法を行い、ユーカリヒストンH3プロモーター領域約670bpを増幅し、植物形質転換用ベクターpBI101(CLONTHEC社製)のHindIII−BamHI制限酵素部位間に挿入して、これをプラスミドpEgH3−GUSと命名した。このpEgH3−GUSにおいてユーカリヒストンH3プロモーターは、β−グルクロニダーゼ(GUS)構造遺伝子の上流側に隣接して位置し、これがプロモーターとして機能する場合には、このGUS構造遺伝子の発現を制御することとなる。ここでPCR法にて増幅した約670bpの領域の内、ATG翻訳開始コドンから上流に延びる、全長662bpのDNAの塩基配列を配列番号1に示す。この塩基配列中、ATG翻訳開始コドンは660〜662bpに位置している。また、pEgH3−GUSおいて、植物ゲノムDNAに組込まれる部分の模式図を図1に示す。図中、NPTIIはカナマイシン抵抗性遺伝子、Nos−terはノパリン合成酵素のポリアデニル化シグナルである。
【0023】
次いで、pEgH3−GUSをアグロバクテリウム法により、タバコ(Nicotiana tabacum L cv. SR−1)に導入した。即ち、pEgH3−GUSをエレクトロポレーション法によりA.ツメファシエンスEHA105に導入した(10%グリセロール中、電気パルスとして2500V、25μFを付与。バイオラッド社製 GENE PUSERII を使用。)後、このA.ツメファシエンスをカナマイシン50mg/lを含むLB寒天培地(トリプトン1%、食塩0.5%、酵母エキス0.5%)で28℃、2日間培養することにより選抜し、これを種子発芽後4週間無菌培養したタバコの葉に感染させた。
【0024】
感染は、約5mm角に切断した上記タバコ葉を、pEgH3−GUS導入A.ツメファシエンスの培養液に、その葉の表皮を下にして1〜3分間浸漬することにより行った。感染処理後の葉片は、滅菌した紙タオル等で付着している培養液を除去してから、カルス誘導培地(ムラシゲ・スクーグ基本培地(以下、MS培地と略す。)、3%しょ糖、0.8%寒天、1mg/lナフタレン酢酸、0.1mg/lベンジルアデニン)に置床し、25℃連続照明下で3日間培養、更にシュート形成用培地(MS基本培地、3%しょ糖、0.8%寒天、0.1mg/lナフタレン酢酸、1mg/lベンジルアデニン、100mg/lカナマイシン 、500mg/lカルベニシリン)に移植して同じ温度・光条件下で培養を続け、茎葉を分化させた。分化した茎葉は、シュート形成用培地での培養から約4週間後に切取り、カナマイシン100mg/lとカルベニシリン500mg/lを含むMS基本培地(しょ糖3%、寒天0.8%又はゲランガム0.25%も添加。)に移植して、同じ温度・光条件下で約4週間培養することにより発根させて植物体を再生した後、バーミキュライト(日本耐火工業社製)とピートモス(和泉農材製)を1:2の割合で混合した培養土に移植して、25℃の温室で生育させた。
【0025】
得られたpEgH3−GUS導入タバコ、即ちユーカリヒストンH3プロモーター―GUS融合遺伝子を有するタバコについて、その茎頂点、茎、葉、根及びカルスを対象とし、Jeffersonらの方法(Plant Mol.Biol.Rep.、vol.5:387、1987)に準拠してGUS遺伝子の発現試験を行った。その結果、根、茎頂点、カルスの分裂組織において、特に強いGUS遺伝子の発現が確認され、ここでpEgH3−GUSに挿入されたユーカリヒストンH3プロモーターは、その制御下に置かれた構造遺伝子の植物分裂組織特異的な発現を促進し、しかも、その機能は、これが由来する植物(ユーカリ)とは異なる植物においても、また、これが本来プロモーターとして作用する構造遺伝子とは全く異なるGUS構造遺伝子のプロモーターとして用いた場合でも、発揮されることが示された。
【0026】
[実施例2]
実施例1の4で得られたプラスミドpEgH3−GUS導入A.ツメファシエンスを、実施例1と同様にして、無菌培養された交雑ヤマナラシ(Populus sieboldii×P.grandidentata)Y63の葉柄に感染させた。
【0027】
感染処理後の葉柄は、感染に用いたA.ツメファシエンス培養液をその表面より除去してから、ゼアチン0.5mg/lを含み、NH4 +、NO3 -の濃度をそれぞれ10mM、30mMとした改変MS培地(3%しょ糖、0.8%寒天)に置床して3日間培養し、次いで、ゼアチン0.5mg/l、カナマイシン100mg/l、カルベニシリン500mg/lを添加した改変MS培地(3%しょ糖、0.8%寒天)に移植し、約4ヶ月培養して茎葉を分化させた。pEgH3−GUSが導入された交雑ヤマナラシは、この茎葉を、無機塩成分を2/3に希釈したMS培地(しょ糖3%、寒天0.8%又はゲランガム0.25%、カナマイシン100mg/l、カルベニシリン500mg/l)に移植して発根させることにより再生した。なお、このときの温度及び光条件は実施例1の4で採用したものと同様である。
【0028】
得られたpEgH3−GUS導入交雑ヤマナラシについて、実施例1と同様にしてGUS遺伝子の発現試験を行ったところ、タバコの場合と同様に、根、茎頂点、カルスの分裂組織において、特に強いGUS遺伝子の発現が確認された。
【0029】
[実施例3]
実施例1の4で得られたプラスミドpEgH3−GUS導入A.ツメファシエンスを、実施例1と同様にして、無菌下で播種し、出芽させたユーカリ(Eucalyptus globulus)の胚軸に感染させた。
【0030】
感染処理後の胚軸は、感染に用いたA.ツメファシエンス培養液をその表面より除去してから、ゼアチン1.0mg/lを含む改変MS培地(3%しょ糖、0.8%寒天)に置床して3日間培養し、次いで、ゼアチン1.0mg/l、カナマイシン50mg/l、ティカルシリン500mg/lを添加した改変MS培地(3%しょ糖、0.25%ゲランガム)で培養することにより、カルスを形成させた。
【0031】
得られたpEgH3−GUS導入ユーカリカルスについて、実施例1と同様にしてGUS遺伝子の発現試験を行ったところ、強いGUS遺伝子の発現が確認された。
【0032】
以上の結果より、本発明のプロモーター、即ち、ユーカリヒストンH3プロモーターとして単離された配列番号1に示す塩基配列を有するDNAは、これを導入する植物の種類に限定されず、また、これが本来プロモーターとして作用する構造遺伝子とは全く異なる構造遺伝子に対しても、その分裂組織特異的な発現を促進できることが明らかとなった。
【0033】
【発明の効果】
本発明のプロモーター、即ち、配列番号1に示す塩基配列を有するDNAは、組織特異的、時期特異的に構造遺伝子の発現を制御する能力を有する。つまり、これを使用することにより、その制御下に置かれた構造遺伝子を、植物の分裂組織において特異的に発現させることが可能となる。しかも、このプロモーターは、使用できる植物・構造遺伝子の種類を問わない。
【0034】
従って、合目的的に構造遺伝子を選択し、これを本発明のプロモーターの制御下に置いてベクターを作成し、このベクターを用いて所望の植物の形質転換を行えば、その植物の分裂組織においてのみその構造遺伝子を発現させることができるので、目的とする形質を付与するために導入した構造遺伝子が、予定外の組織・時期に発現することによって生じる問題を回避することができる。
【0035】
また、配列番号1に示す塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAもまた、その制御下の構造遺伝子の発現を、植物の分裂組織において特異的に促進する機能を有する限り、上記問題を回避することができる。
【0036】
従って、合目的的に構造遺伝子を選択し、これを本発明のプロモーターの制御下に置いてベクターを作成し、このベクターを用いて所望の植物の形質転換を行えば、その植物の分裂組織においてのみその構造遺伝子を発現させることができるので、目的とする形質を付与するために導入した構造遺伝子が、予定外の組織・時期に発現することによって生じる問題を回避することができる。
【0037】
また、配列番号1に示す塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAもまた、その制御下の構造遺伝子の発現を、植物の分裂組織において特異的に促進する機能を有する限り、上記問題を回避することができる。
【配列表】
Figure 0003611083

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、プラスミドpEgH3−GUSおいて、植物ゲノムDNAに組込まれる部分の模式図である。

Claims (5)

  1. 配列番号1に示す塩基配列を有するDNA。
  2. 配列番号1に示す塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、その制御下の構造遺伝子の発現を、植物の分裂組織において特異的に促進する機能を有するDNA。
  3. 請求項1又は2に記載のDNA、及び、これらのDNAによりその発現が制御される構造遺伝子を有するベクター。
  4. 請求項1又は2に記載のDNA、及び、これらのDNAによりその発現が制御される構造遺伝子が導入された植物細胞。
  5. 請求項4に記載の植物細胞から再生された植物体。
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