JP3612875B2 - 筒内噴射型エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、点火プラグを備えるとともに、成層燃焼のために燃焼室内に直接燃料を噴射するインジェクタを備えた筒内噴射型エンジンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、点火プラグを備えた火花点火式のエンジンにおいて、成層燃焼による燃費改善を図るため、インジェクタを燃焼室に臨むように設けて、このインジェクタから燃料を燃焼室内に直接噴射供給するようにした筒内噴射型エンジンは知られている。例えば特開平6−81651号公報に示されたエンジンは、シリンダブロックのシリンダボア内に嵌挿されたピストンの上面とこれに対向するシリンダヘッド下面との間に燃焼室を形成し、燃焼室天井部に吸気ポートおよび排気ポートを開口させ、これらのポートを開閉する吸気弁および排気弁を配設し、かつ、燃焼室の略中央部に臨む点火プラグを設けるとともに、シリンダヘッドの燃焼室の側方にインジェクタを配置し、インジェクタの先端が燃焼室の周縁部付近から燃焼室内に臨むようにしている。
【0003】
このエンジンにおいて、シリンダヘッド下面側の燃焼室天井部は、吸気ポート開口側の壁面と排気ポート開口側の壁面とが頂部を挟んで略対称に傾斜したペントルーフ型となっており、吸気弁および排気弁は吸気ポート側の壁面および排気ポート側の壁面に対してバルブ軸が直交し、つまりシリンダボア軸線の両側に両バルブ軸線が略対称に傾いた状態に配置されている。
【0004】
また、インジェクタは排気側からの熱的影響を避けるため燃焼室の吸気ポート側の側方に配置することが望ましく、このようにする場合の構造として上記公報の図1〜図8に示された例では、吸気弁側の側方下部にインジェクタを配置し、このインジェクタの先端部を燃焼室天井部における吸気ポート開口側の壁面の周縁部に臨ませるようにする一方、上記吸気ポートは、吸気弁のバルブ軸やその下方のインジェクタ配置部分を避けるため、上流側が上記吸気弁のバルブ軸よりも上方に向かって延び、シリンダヘッドの上方でインテークマニホールドに接続されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記エンジンは、燃焼室がペントルーフ型となっていて、その天井部の片側の傾斜面に吸気ポートの開口部が配設されるとともに、この吸気ポート開口部よりシリンダボア外周側にインジェクタの先端部が臨ませられるが、このような燃焼室構造では吸気ポートの開口面積を大きくするとインジェクタの先端部を臨ませるためのスペースが充分に得られず、インジェクタ先端部の配置スペース確保のためには吸気ポートの開口面積が小さくなるといった問題がある。
【0006】
また、上記吸気ポートの上流側部分は吸気弁のバルブ軸より上方に向かって延びているが、このようなポートの配置では、燃焼室内にスワール(横渦)を生成することが困難で乱流生成がタンブルに限られるといった制約を受けるとともに、吸気ポートに接続される吸気マニホールドがシリンダヘッド上方に突出するので、エンジンの全高が増大し、コンパクト化を妨げる等の不都合がある。
【0007】
なお、スワールの生成や吸気系のレイアウト等の面からは、吸気ポートの上流側部分が吸気弁のバルブ軸より下方に延びるように配置することが望ましいが、燃焼室がペントルーフ型のエンジンでは上記吸気弁のバルブ軸線がシリンダボア軸線に対して比較的大きく傾いているので、この吸気弁のバルブ軸が配設されている部分の下方にインジェクタと吸気ポートとを配置することはスペース的に難しく、敢えて配置しようとするとインジェクタを避けるべく吸気ポートを屈曲させることで吸気抵抗が増大する等の問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑み、燃焼室の吸気ポート側の側方にインジェクタの取付スペースを確保するとともに、吸気抵抗の増大を招くことなく吸気ポートも合理的に配置することができ、成層燃焼を効果的に行うことができる筒内噴射型エンジンを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、シリンダボア内に配置されたピストンの上面とこれに対向するシリンダヘッド下面との間に燃焼室を形成し、上記燃焼室に開口する吸気ポートおよび排気ポートをシリンダヘッドに形成するとともに、上記吸気ポートおよび排気ポートを開閉する吸気弁および排気弁と、燃焼室内に燃料を噴射するインジェクタと、点火プラグとをシリンダヘッドに配設した筒内噴射型エンジンにおいて、シリンダボア軸線に対する吸気弁のバルブ軸線の傾き角が排気弁のバルブ軸線の傾き角より小さくなるようにこれらの弁を配置し、燃焼室の吸気ポート開口側の壁面および排気ポート開口側の壁面をそれぞれ吸気弁のバルブ軸線および排気弁のバルブ軸線と直交するように形成するとともに、吸気ポート開口側の燃焼室側方におけるシリンダヘッドの下部にインジェクタを配置し、このインジェクタと吸気弁軸との間の部分に、燃焼室からシリンダヘッドの側方上部に向けて延びる吸気ポートを形成し、該吸気ポートとして、スワール生成用の第1吸気ポートと、タンブル生成用の第2吸気ポートとを並列に設け、上記第1および第2の両吸気ポートの下流端側部分の燃焼室に対する入射角を同一とし、この部分より上流側で第2吸気ポートを第1吸気ポートよりも上方にずらせて形成し、この第2吸気ポートの上流側に、各気筒連動の開閉弁を設けたものである。
【0010】
この構成によると、シリンダヘッド下面側の燃焼室天井部分において、排気ポート開口側の壁面がある程度大きく傾斜するのに対し、吸気ポート開口側の壁面は傾斜が小さくなり、この壁面の端部の下方にインジェクタの先端部を臨ませるためのスペースが確保される。こうして、シリンダヘッドにおける燃焼室の吸気ポート側の側方にインジェクタ取付スペースが確保される。また、吸気弁のバルブ軸線の傾き角が小さくなっていることにより、吸気弁のバルブ軸配設部分とインジェクタ配置部分との間に、吸気ポート配置のための充分なスペースが得られ、このスペース内で吸気ポートが燃焼室からシリンダヘッドの側方上部に向けて延びるように形成されることにより、吸気抵抗軽減等に有利なポート配置が得られる。
【0011】
また、スワール生成用の第1吸気ポートと、タンブル生成用の第2吸気ポートとを並列に設けていることにより、運転状態等に応じて燃焼室内にスワール、タンブルを生成することが可能となる。
【0012】
とくに、上記第1および第2の両吸気ポートの下流端側部分の燃焼室に対する入射角を同一とし、この部分より上流側で第2吸気ポートを第1吸気ポートよりも上方にずらせて形成し、この第2吸気ポートの上流側に、各気筒連動の開閉弁を設けていることにより、スワール、タンブルの調整が効果的に行われる。
【0013】
つまり、両吸気弁のバルブ軸線の傾きを等しくするため両吸気ポートの下流端側部分の燃焼室に対する入射角は同一とするが、この部分より上流側では、両吸気ポートを上記のように上下にずらせることにより、第1吸気ポートによるスワール生成および第2吸気ポートによるタンブル生成に適したポート配置が得られる。この場合、上記のように吸気弁のバルブ軸配設部分とインジェクタ配置部分との間に充分なスペースを有することから、このようなポート配置が可能となる。また、両ポートの上流側が上下にずれていることから、第2吸気ポートの上流側に各気筒連動の開閉弁が容易に組み込まれる。
【0014】
また、本発明のエンジンにおいて、動弁機構はシリンダヘッド上に吸気弁側および排気弁側の両カム軸を並列に配置したDOHCとし、両カム軸のシリンダボア軸線方向の高さ位置関係として排気弁側カム軸の高さを吸気弁側カム軸の高さよりも低く設定するとともに、上記排気弁側カム軸を伝動手段を介してクランク軸により駆動し、吸気弁側カム軸を排気弁側カム軸により連動手段を介して駆動するようにしておけば、エンジン全高を低くするのに有利となる。
【0015】
つまり、上記のように吸気弁側と排気弁側とでバルブ軸線の傾きが相違していることに対応して、上記両カム軸の高さが相違するが、排気弁側カム軸が伝動手段を介してクランク軸により駆動されることにより、吸気側カム軸より低い位置にある排気側カム軸に上記伝動手段のプーリ等が設けられることとなり、この部分のエンジン高さが低く抑えられる。
【0016】
あるいはまた、動弁機構はシリンダヘッド上に吸気弁側および排気弁側の両カム軸を並列に配置したDOHCとし、両カム軸のシリンダボア軸線方向の高さ位置関係として排気弁側カム軸の高さを吸気弁側カム軸の高さよりも低く設定するとともに、上記吸気弁側カム軸を伝動機構を介してクランク軸により駆動し、排気弁側カム軸を吸気弁側カム軸により連動手段を介して駆動するようにカム軸駆動系を構成するとともに、車両のボンネット下方のエンジンルーム内におけるエンジンの配置として、カム軸が車幅方向に延びる横置きで、かつ、吸気弁側カム軸が排気弁側カム軸よりも車両後方側に位置するように構成してもよい。
【0017】
このようにすると吸気弁側カムが位置する車両後方側に比べて排気弁側カムが位置する車両前方側でエンジン高さが低くなり、前下がりのボンネットラインに即応した形態が得られる。
【0018】
また、上記両カム軸の間の連動手段をギヤにより構成しておけば、カム軸間の距離を狭めることができるので、吸気弁のバルブ軸線の傾きが小さくされることで吸・排気弁のバルブ軸の挟み角が小さくなった場合に有利である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態による筒内噴射型エンジンの断面図、図2は燃焼室部分の平面視の概略図である。これらの図において、1はシリンダブロック2上に設置されたシリンダヘッド、3はシリンダブロック2のシリンダボア4内に配置されたピストンであり、ピストン3の上面とシリンダヘッド1の下面との間に燃焼室5が形成されており、この部分におけるシリンダヘッド1の下面側には燃焼室5の天井部を構成する凹陥部が設けられている。
【0020】
上記シリンダヘッド1には燃焼室5に開口する吸気ポートおよび排気ポートが形成され、当実施形態では気筒毎に2個の吸気ポート6,7と2個の排気ポート8,9とが形成されている。各吸気ポート6,7にはそれぞれ吸気弁10が装備され、各排気ポート8,9にはそれぞれ排気弁11が装備されており、吸気弁用カム軸12および排気弁用カム軸13の各カムにより吸気弁10および排気弁11が駆動されるようになっている。さらに、燃焼室5内に直接燃料を噴射するインジェクタ15と、点火プラグ16とがシリンダヘッド1に取り付けられている。
【0021】
上記吸気弁10と排気弁11とはシリンダボア軸線に対するバルブ軸線の傾き角θ1,θ2が異なっていて、排気弁11の傾き角θ2より吸気弁10の傾き角θ1の方が小さくなるようにこれらの弁10,11の配置が設定され、燃焼室5の吸気ポート開口側の壁面および排気ポート開口側の壁面がそれぞれ吸気弁10のバルブ軸線および排気弁11のバルブ軸線と直交するように形成されている。また、吸気ポート開口側の燃焼室側方においてシリンダヘッド1の下部にインジェクタ15が配置され、このインジェクタ15と吸気弁軸との間の部分に吸気ポート6,7が形成されている。
【0022】
上記燃焼室5および吸気ポート6,7の具体的構造は次のようになっている。
【0023】
シリンダボア軸線の方向を垂直方向、これと直交する方向(シリンダヘッド1とシリンダブロック2の合わせ面の方向)を水平方向とすると、排気弁11のバルブ軸線は垂直方向に対して比較的大きく傾いているが、吸気弁10のバルブ軸線は略垂直方向に立っている。そして、燃焼室5の天井部にはその略中央の頂部を挟んで片側に吸気ポート6,7が開口し、他の側に排気ポート8,9が開口するが、排気ポート開口側は排気弁11のバルブ軸線と直交する傾斜面、つまり燃焼室中央頂部から次第にシリンダヘッド下端面(シリンダブロック2との合わせ面)に近づくような所定角度の傾斜面とされ、一方、吸気ポート開口側は吸気弁10のバルブ軸線と直交する略水平面とされており、この吸気ポート側の面の周辺とシリンダヘッド下端面との間に縦壁部18が設けられている。こうして、カム軸12,13と直交する方向の断面で見た燃焼室形状は略台形となっている(図1参照)。
【0024】
上記インジェクタ15は、燃焼室5の吸気ポート開口側の部分の側方においてシリンダヘッド1の下部に取り付けられ、インジェクタ15の先端部が上記縦壁部18から燃焼室5内に臨み、斜め下方に向けて燃料を噴射するように配置されている。そして、少なくとも低速低負荷域では成層燃焼のため上記インジェクタ15から圧縮行程後期に燃料が噴射され、例えば低・中速域における低・中負荷域で圧縮行程噴射が行われ、高負荷域や高速域では均一燃焼のため吸気行程で燃料噴射が行われるように、図外のコントロールユニットにより噴射タイミングが制御されている。
【0025】
上記インジェクタ15は、好ましくは高圧スワールインジェクタにより構成される。この高圧スワールインジェクタは、噴霧25にスワールを生じさせて微粒化を促進するとともに、燃焼室5内の圧力が高くなる圧縮行程後期に噴射が行われるときには噴霧角が30°以下の狭角となり、燃焼室5内の圧力が低い吸気行程で噴射が行われるときには圧縮行程後期噴射と比べて噴霧角が広がるようになっている。
【0026】
また、上記ピストン3の上面には、その略中央部からインジェクタ15に対向する側(排気側)の燃焼室周縁部付近にまで亘ってリセス26が形成されている。このリセス26はインジェクタ15からの噴射方向の前方側ほど次第に凹陥し、かつ、該噴射方向と直交する方向の幅が圧縮行程後期噴射におけるインジェクタ15の噴射幅よりも大きくなっている。なお、上記リセス26により燃焼室容積が増大して圧縮比が低下する傾向を是正するため、ピストン3上面の吸気側の部分には上方に突出する突出部27が設けられている。
【0027】
上記インジェクタ15の先端部から該先端部が対向する燃焼室端(ピストン3が上死点付近にあるときのリセス26の終端)までの距離は、圧縮行程後期噴射における噴射開始から点火時期までの間の噴霧到達距離よりも大きく設定されている。また、上記点火プラグ16は、燃焼室天井部の略中央部に配置され、その先端の点火ギャップ16aが燃焼室5内に突出して、インジェクタ15からの噴霧エリア内に介在するように配置されており、インジェクタ15の先端部から点火ギャップ16aまでの距離は上記噴霧到達距離よりも小さく設定されている。
【0028】
また、上記両吸気ポート6,7は、インジェクタ15と吸気弁軸との間の部分を通って上流側が斜め上方に延び、シリンダヘッド1の一側方上部に達している。この両ポート6,7には、これらに対応する吸気通路21,22を備えた吸気マニホールド20が接続されている。
【0029】
上記両吸気ポート6,7のうちの第1吸気ポート6はスワール生成用のポート、第2吸気ポート7はタンブル生成用のポートであって、両吸気ポート6,7は下流端側部分の燃焼室5に対する入射角が同一であるが、スロート部より上流で第2吸気ポート7が第1吸気ポート6よりも上方にずれている。また、上記第2吸気ポート7の上流部もしくはこれに連なる吸気通路22に、この吸気ポート7を開閉するスワール調節弁(開閉弁)23が設けられている。各気筒に対してそれぞれ設けられるスワール調節弁23は共通の軸23aを介して連動し、図外のアクチュエータで駆動されるようになっている。
【0030】
そして、上記スワール調節弁23が閉じられたときには第1吸気ポート6からの吸気によって燃焼室5内にスワール(横渦)が生成され、スワール調節弁23が開かれるとその開度が大きくなるにつれて上記スワールが弱められるとともに第2吸気ポート7からの吸気によってタンブル(縦渦)が生成されるようになっている。
【0031】
上記スワール調節弁23は図外のコントロールユニットにより運転状態に応じて制御される。例えば、圧縮行程噴射が行われる運転領域の中でのエンジン負荷に応じた制御としては、低負荷域ではスワールによる噴霧の過拡散や曲がりが生じることを避けるためスワール調節弁23がある程度開かれてスワールが比較的弱くされ、負荷が高くなるにつれスワール調節弁23の開度が小さくされてスワールが強められる。また、圧縮行程噴射が行われる運転領域の中でのエンジン回転数に応じた制御としては、回転数が高くなるにつれ、絶対流速の増加に見合うようにスワール比を小さくすべくスワール調節弁23の開度が大きくされる。
【0032】
図3および図4は上記筒内噴射型エンジンの吸・排気弁を駆動する動弁機構等を示している。これらの図と前記の図1とに示すように、動弁機構は、シリンダヘッド1上に吸気弁側および排気弁側の両カム軸12,13が並列に配置されたDOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)となっている。
【0033】
上記両カム軸12,13のシリンダボア軸線方向の高さ位置関係としては、上記のような吸・排気弁10,11の配置に対応して、排気弁側カム軸13の高さが吸気弁側カム軸12の高さよりも低く設定されている。つまり、吸気弁10と排気弁11とは弁軸の長さが略同じであるが、吸気弁軸より排気弁軸の傾きが大きいために、弁軸上端位置は吸気弁10より排気弁11の方が低くなり、このような弁軸上端の位置関係に対応して、両カム軸12,13が上記のような高さ位置関係に配置されている。
【0034】
また、当実施形態では、上記排気弁側カム軸13が伝動手段を介してクランク軸30により駆動されるとともに、吸気弁側カム軸12が排気弁側カム軸により連動手段を介して駆動されるようになっている。
【0035】
具体的に説明すると、クランク軸30の前端部に設けられたクランクプーリ31と、排気弁側カム軸13の前端に設けられたカムプーリ32と、これらに掛け渡されたタイミングベルト33と、アイドラ34、テンショナ35等で構成された伝動手段により、クランク軸30の回転が排気弁側カム軸13に伝達され、かつ、カムプーリ32がクランクプーリ31の2倍のプーリ径とされることにより、排気弁側カム軸13がクランク軸30に対して1/2の速度で回転するようになっている。また、両カム軸12,13の前端近傍には、カム軸間の連動手段として同径のギヤ36,37が設けられ、これらのギヤ36,37が互いに噛合することにより、両カム軸12,13が同速度で互いに逆方向に回転するようになっている。
【0036】
なお、クランク軸30の前端部には上記プーリ31に加えて補機駆動用プーリ41が設けられ、このプーリ41に掛けられた補機駆動用ベルト42によりオルタネータ43、ウォーターポンプ44等が駆動されるようになっている。また、シリンダヘッド1の上部において、排気弁側カム軸13の後端部の側方にはディストリビュータ取付部45が設けられて、この取付部45に取付けられるディストリビュータ(図示せず)が排気弁側カム軸13で駆動され、一方、吸気弁側カム軸12の後端部の側方には燃料ポンプ46が取付けられて、この燃料ポンプ46が吸気弁側カム軸12でベルト47を介して駆動されるようになっている。
【0037】
以上のような当実施形態の装置による作用を、次に説明する。
【0038】
少なくとも低負荷低回転側の運転領域では、圧縮行程後期に上記インジェクタ15から燃焼室5内に燃料が噴射され、成層燃焼が行われる。この場合、当実施形態では、インジェクタ15の先端部からこれに対向する燃焼室端までの距離が圧縮行程後期における噴射開始から点火時期までの間の噴霧到達距離よりも大きくされるとともに、インジェクタ15からの噴霧エリアに点火ギャップ16aが介在し、かつ、インジェクタ15の先端部から点火ギャップ16aまでの距離が上記噴霧到達距離よりも小さくされていることにより、点火ギャップ16a回りに適度の濃度に噴霧が存在して着火安定性が確保されつつ、燃焼室壁面への燃料の付着が防止される。このため、HCの排出が低減され、燃費およびエミッション性能が向上される。
【0039】
また、スワール生成用の第1吸気ポート6とタンブル生成用の第2吸気ポート7とが配設され、その第2吸気ポート7に対して設けられたスワール調節弁23が運転状態に応じて制御されることにより、例えば、成層燃焼が行われる運転領域内で高負荷側ほどスワール比が大きくされ、また高回転側ほどスワール比が小さくされる。このような制御により、成層燃焼が良好に行われる。
【0040】
ところで、上記インジェクタ15は、排気側からの熱的影響を避けるためシリンダヘッド1における燃焼室5の吸気ポート側の側方に配置されが、前記のような燃焼室形状によってインジェクタ15の取付スペースが確保される。すなわち、シリンダボア軸線に対する吸気弁12のバルブ軸線の傾き角が小さくされ、燃焼室天井部における吸気ポート開口側の面が略水平面とされて、燃焼室5が断面略台形に形成され、この燃焼室5における吸気ポート開口側の面の周辺とシリンダヘッド下端面との間の縦壁部18に先端が臨むようにインジェクタ15が配置される。こうして、吸気ポート開口部の配置面積を狭めることなく、インジェクタ15の取付るためのスペースが確保される。
【0041】
また、上記吸気弁10のバルブ軸が配設された部分とシリンダヘッド1の下部に位置するインジェクタ15との間のスペースに第1,第2の両吸気ポート6,7が効果的に配置されている。とくに、シリンダボア軸線に対する吸気弁10のバルブ軸線の傾き角が小さくされていることにより、この吸気弁軸の配設部分と上記インジェクタ15との間のスペースが広くなっており、このスペース内で上記両吸気ポート6,7は上流側が斜め上方に延びるとともに下流側が緩やかに屈曲して燃焼室5に至るように形成されているので、吸気抵抗が充分に低減される。
【0042】
さらに、上記両吸気ポート6,7は上流側において第1ポート6より第2ポート7が上方に位置するように上下にずれていることにより、第1吸気ポート6から燃焼室5に流入する吸気は水平方向に対する角度が比較的小さくなり、第2吸気ポート7から燃焼室5に流入する吸気は水平方向に対する角度が比較的大きくなる。従って、第1吸気ポート6および第2吸気ポート7がそれぞスワール、タンブルの生成に適したものとなる。また、第2吸気ポート7の上流部もしくはこれに連なる吸気通路22にスワール調節弁23が設けられ、各気筒のスワール調節弁23が共通の軸23aで連結されるが、両吸気ポート6,7が上流側において互いに上下にずれていることにより、上記スワール調節弁23および軸23aを取り付ける場合に第1吸気ポート6が邪魔になることがない。
【0043】
しかも、上記両吸気ポート6,7はシリンダヘッド1の側方でインレットマニホールド20に接続されるので、前述の特開平6−81651号公報に示されるようにシリンダヘッドの上方で吸気ポートがインレットマニホールドに接続される構造と比べ、エンジン全高を低くすることができる。
【0044】
また、動弁機構はシリンダヘッド1上に配設された吸気弁側および排気弁側の両カム軸12,13を備え、その一方のカム軸が伝動手段を介してクランク軸30で駆動されるとともに、両カム軸12,13が連動手段を介して連動されているが、このような構造において、とくに当実施形態では排気弁側カム軸13がクランク軸30で駆動されるようになっていることにより、エンジン全高を低くすることができる。
【0045】
すなわち、シリンダボア軸線に対するバルブ軸線の傾きは吸気弁10より排気弁11の方が大きいために、バルブ軸の長さが略同じでもバルブ軸上端位置は吸気弁10より排気弁11の方が低く、これに対応して上記両カム軸12,13の位置関係も排気弁側カム軸13の方が吸気弁側カム軸12より低くなっている。一方、上記伝動手段におけるカムプーリ32はカム軸の回転をクランク軸30の回転の1/2とするため比較的径が大きく、このカムプーリ32の位置が高いとベルトカバーの上端がシリンダヘッド1の上方に大きく突出し、エンジン全高が高くなるが、上記両カム軸12,13のうちで高さ位置が低い排気弁側カム軸13に上記カムプーリ32が設けられていることにより、吸気側カム軸にカムプーリが設けられるよりもエンジン全高が低くなる。
【0046】
図5は本発明の別の実施形態を示している。この実施形態のエンジンも、インジェクタ15から燃料を燃焼室5内に直接噴射する筒内噴射型エンジンであって、燃焼室形状やインジェクタ15および吸・排気ポートの配置等は第1の実施形態と同様であり、また動弁機構がDOHCであって、吸気弁側、排気弁側の両カム軸のうちの一方が伝動手段を介してクランク軸30で駆動され、かつ、両カム軸がギヤ等の連動手段を介して連動されている点も第1の実施形態と同様である。ただし、当実施形態では、上記両カム軸のうちの吸気弁側カム軸12がクランク軸30で駆動され、つまり、吸気弁側カム軸12にカムプーリ32´が設けられ、これとクランクプーリ31とにタイミングベルト33が掛けわたされている。
【0047】
このエンジンは、車両のボンネット50の下方のエンジンルーム内に、カム軸が車幅方向に延びる横置きで、かつ、吸気弁側カム軸12が排気弁側カム軸より車両後方側に位置するように配置されている。
【0048】
当実施形態によると、前述のように吸気弁10と排気弁11のバルブ軸線の傾きの相違に対応して、吸気弁側カム軸12が排気弁側カム軸より高位置にあり、その吸気弁側カム軸12に大径のカムプーリ32´が設けられていることにより、吸気弁側カム軸12が位置する側でベルトカバーが上方に大きく突出して、この部分のエンジン高さが高くなる。しかし、このエンジンをエンジンルーム内に吸気弁側カム軸12を車両後方側に位置する状態に横置き配置した場合、エンジン高さは、吸気弁側カム軸12が位置する車両後方側と比べて排気弁側カム軸が位置する車両前方側で低くなるため、前下がりのボンネット50のラインに即した形状となり、エンジンルームへの収まりが良くなる。
【0049】
つまり、当実施形態の構造は、ボンネット50が比較的大きく前下りとなっている車両にエンジンを横置きで搭載するような場合に適している。一方、第1の実施形態の構造は車両にエンジンを縦置きで搭載するような場合や、ボンネットラインが比較的平坦な車両に搭載するような場合に適している。
【0050】
なお、本発明のエンジンにおける各部の具体的構造は上記実施形態に限定されず、種々変更可能である。
【0051】
例えば、吸気弁側、排気弁側の両カム軸間の連動手段はギヤ36,37に限らず、チェーン等を用いてもよい。ただし、図示の実施形態のようにギヤ36,37を用いれば、チェーン等と比べ、両カム軸の距離を狭めることができる。従って、吸気弁のバルブ軸線の傾きが小さくなることで吸・排気弁のバルブ軸間の挾み角が小さくなっても、支障をきたすことがない。
【0052】
また、クランク軸とカム軸との間の伝動手段としては、上記タイミングベルト33の代りにチェーンを用いてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明は、筒内噴射型エンジンにおいて、シリンダボア軸線に対するバルブ軸線の傾き角が排気弁より吸気弁の方が小さくなるように吸・排気弁を配置し、燃焼室天井部における吸気ポート開口側の壁面および排気ポート開口側の壁面を上記各バルブ軸線と直交するように形成するとともに、吸気ポート開口側の燃焼室側方におけるシリンダヘッド下部にインジェクタを配置し、このインジェクタと吸気弁軸との間の部分に、燃焼室からシリンダヘッドの側方上部に向けて延びる吸気ポートを形成しているため、燃焼室の吸気ポート側の側方にインジェクタ取付スペースが確保されるとともに、吸気弁軸配置部分とインジェクタ配置部分との間に、吸気ポート配置のための充分なスペースが得られる。このため、吸気ポートの開口面積が制限されたり吸気流通抵抗が増大したりすることなく、また、吸気ポートを吸気弁軸より上方に向けて配置する場合のようにスワール生成が困難になったりインレットマニホールドがシリンダヘッド上方に位置してエンジン全高が高くなったりするといった不都合を招くこともなく、シリンダヘッドの吸気弁側の側方部に筒内噴射のためのインジェクタと吸気ポートとを効果的に配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による筒内噴射型エンジンの断面図である。
【図2】上記エンジンの燃焼室およびその付近の概略平面図である。
【図3】上記エンジンのシリンダヘッド全体の平面図である。
【図4】上記エンジンのカム軸駆動系を示す概略正面図である。
【図5】カム軸駆動系の別の実施形態を示す概略正面図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド
3 ピストン
4 シリンダボア
5 燃焼室
6,7 吸気ポート
8,9 排気ポート
10 吸気弁
11 排気弁
12 吸気弁側カム軸
13 排気弁側カム軸
15 インジェクタ
16 点火プラグ
23 スワール調節弁
32 カムプーリ
33 タイミングベルト
36,37 ギヤ
Claims (4)
- シリンダボア内に配置されたピストンの上面とこれに対向するシリンダヘッド下面との間に燃焼室を形成し、上記燃焼室に開口する吸気ポートおよび排気ポートをシリンダヘッドに形成するとともに、上記吸気ポートおよび排気ポートを開閉する吸気弁および排気弁と、燃焼室内に燃料を噴射するインジェクタと、点火プラグとをシリンダヘッドに配設した筒内噴射型エンジンにおいて、
シリンダボア軸線に対する吸気弁のバルブ軸線の傾き角が排気弁のバルブ軸線の傾き角より小さくなるようにこれらの弁を配置し、
燃焼室の吸気ポート開口側の壁面および排気ポート開口側の壁面をそれぞれ吸気弁のバルブ軸線および排気弁のバルブ軸線と直交するように形成するとともに、
吸気ポート開口側の燃焼室側方におけるシリンダヘッドの下部にインジェクタを配置し、このインジェクタと吸気弁軸との間の部分に、燃焼室からシリンダヘッドの側方上部に向けて延びる吸気ポートを形成し、
該吸気ポートとして、スワール生成用の第1吸気ポートと、タンブル生成用の第2吸気ポートとを並列に設け、上記第1および第2の両吸気ポートの下流端側部分の燃焼室に対する入射角を同一とし、この部分より上流側で第2吸気ポートを第1吸気ポートよりも上方にずらせて形成し、
この第2吸気ポートの上流側に、各気筒連動の開閉弁を設けたことを特徴とする筒内噴射型エンジン。 - 動弁機構はシリンダヘッド上に吸気弁側および排気弁側の両カム軸を並列に配置したDOHCとし、両カム軸のシリンダボア軸線方向の高さ位置関係として排気弁側カム軸の高さを吸気弁側カム軸の高さよりも低く設定するとともに、上記排気弁側カム軸を伝動手段を介してクランク軸により駆動し、吸気弁側カム軸を排気弁側カム軸により連動手段を介して駆動することを特徴とする請求項1記載の筒内噴射型エンジン。
- 動弁機構はシリンダヘッド上に吸気弁側および排気弁側の両カム軸を並列に配置したDOHCとし、両カム軸のシリンダボア軸線方向の高さ位置関係として排気弁側カム軸の高さを吸気弁側カム軸の高さよりも低く設定するとともに、上記吸気弁側カム軸を伝動機構を介してクランク軸により駆動し、排気弁側カム軸を吸気弁側カム軸により連動手段を介して駆動するようにカム軸駆動系を構成するとともに、車両のボンネット下方のエンジンルーム内におけるエンジンの配置として、カム軸が車幅方向に延びる横置きで、かつ、吸気弁側カム軸が排気弁側カム軸よりも車両後方側に位置するようにしたことを特徴とする請求項1記載の筒内噴射型エンジン。
- 上記両カム軸の間の連動手段をギヤにより構成したことを特徴とする請求項2または3記載の筒内噴射型エンジン。
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