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JP3614042B2 - 放電ランプ - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電ランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、放電ランプは、発光空間を形成する発光管部の両端に封止管部が連接されてなるバルブを有し、このバルブの発光管部内に、タングステン製の一対の電極(陽極および陰極)が互いに対向するよう配置されると共に、例えば希ガスおよび水銀などが封入されており、電極の各々は、バルブの封止管部から発光管部に向かって管軸に沿って伸びるタングステン製の電極支持棒の先端部に固定されて支持されている。
【0003】
また、電極支持棒の先端部に電極を固定する手段としては、電極の基端面に凹所を形成し、この凹所に緩衝材を介して電極支持棒の先端部を嵌合する手段が知られている。
具体的に説明すると、図7(イ)に示すように、電極50の基端面50bに、当該基端から電極50の先端に向かって径が小さくなるようテーパ状の凹所50aを形成すると共に、電極支持棒51の先端部51aを、電極50の凹所50aに適合する形状すなわち先端に向かって径が小さくなるようテーパ状に加工し、更にこの先端部51aの周面に緩衝材52を形成する。
次いで、図7(ロ)に示すように、電極50の凹所50aに電極支持棒51の先端部51aを挿入し、更に、図7(ハ)に示すように、電極支持棒51の先端部51aを、その全体が電極50の凹所50a内に収容されるよう圧入することにより、当該電極支持棒51の先端部51aが当該電極50の凹所50a内に嵌合されて固定される。
【0004】
しかしながら、このような手段においては、以下のような問題がある。
(1)緩衝材52は、モリブデン箔やタンタル板などを電極支持棒51の先端部51aに巻き回すことにより形成されるが、緩衝材52の厚みの調整すなわち使用するモリブデン箔やタンタル板などの厚みや巻き回し数の調整は、製作者が試行錯誤を繰り返すことによって行われるものであるため、その作業は、極めて煩雑で、しかも、相当に高い技能を要するものである。
更に、電極支持棒51の先端部51aを電極50の凹所50a内に嵌合した後に、緩衝材52における電極50の凹所50aから露出した部分を切除する後処理工程が必要である。
また、電極50の凹所50aに対する電極支持棒51の先端部51aの圧入を容易に行うために、電極50の凹所50aおよび電極支持棒51の先端部51aの各々はテーパ状とされるが、電極50にテーパ状の凹所50aを形成する工程および電極支持棒51の先端部51aをテーパ状に加工する工程においては、高い加工精度が必要である。
以上のような理由により、緩衝材52を使用して電極50の凹所50aに電極支持棒51の先端部51aを嵌合して固定する手段においては、時間や手間がかかるため、高い生産性が得られない。
【0005】
(2)電極支持棒51による電極50の保持力(電極50の凹所50aから電極支持棒51の先端部51aを引き抜くために必要な力)は、緩衝材52の厚みによって異なる。然るに、前述したように、緩衝材52の厚みの調整は、製作者が試行錯誤を繰り返すことによって行われるものであるため、製品間において安定した保持力で電極支持棒51の先端部51aに電極50を固定することが困難である。その結果、製品間において電極支持棒51による電極50の保持力に大きなバラツキが生じ、電極支持棒51による電極50の保持力が小さい場合には、当該放電ランプの輸送中あるいは点灯中において、電極支持棒51から電極50が脱落してしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、簡単な工程により、電極支持棒の先端部を電極の基端面に形成された凹所に容易に嵌合することができ、しかも、当該電極を電極支持棒の先端部に高い保持力で安定して固定することができる放電ランプを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の放電ランプは、基端面に形成された凹所に電極支持棒の先端部が嵌合されることによって、当該電極支持棒に支持された電極を具えてなる放電ランプにおいて、
前記電極はタングステンよりなり、
前記電極支持棒はモリブデンよりなり、当該電極支持棒の先端部には、スリットが形成されており、このスリットには、当該スリットを拡開する拡開部材が圧入されていることを特徴とする。
【0008】
上記の放電ランプにおいては、前記電極支持棒のスリットの間隔は、当該電極支持棒の先端部の外径の3〜10%であり、
前記拡開部材の最大厚みは、前記電極支持棒のスリットの間隔の1.5〜2.5倍であることが好ましい。
【0009】
【作用】
電極支持棒の先端部に形成されたスリットに拡開部材を装着し、この状態で、当該電極支持棒の先端部を電極の凹所に圧入すると、当該拡開部材が電極の凹所の底面によって押圧されて電極支持棒のスリットに圧入される。その結果、当該スリットが拡開し、電極支持棒の外周面によって電極の凹所の内周面が押圧されることにより、電極支持棒の先端部に電極が固定される。このように、緩衝材を使用することが不要となり、また、電極の凹所および電極支持棒の先端部の各々をテーパ状とすることも不要となるので、簡単な工程により、電極支持棒の先端部を電極の凹所に容易に嵌合することができる。しかも、電極支持棒の先端部に形成されたスリットが拡開し、電極支持棒の外周面によって電極の内周面が押圧されるので、当該電極支持棒の先端部に電極を高い保持力で安定して固定することができる。
また、高い塑性および靱性を有するモリブデンによって電極支持棒を構成することにより、スリットが拡開する際に当該電極支持棒の先端部が破損することを防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の放電ランプの実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係るショートアーク型放電ランプの一例における構成の概略を示す説明用断面図である。
この放電ランプにおけるバルブ10は、石英ガラスにより形成され、楕円球形の発光管部11と、この発光管部11の両端から外方に伸びるよう連設された筒状の封止管部12とよりなり、当該発光管部11に続く封止管部12の発光管部11に接近した個所に、封止管部12の一部が縮径された状態の絞り込み部12aが形成されている。
【0011】
バルブ10の発光管部11内には、それぞれタングステンよりなる陽極13および陰極14が互いに対向するよう配置されており、その各々は、モリブデンよりなる円柱状の電極支持棒15の先端部15aに固定されて支持されている。
具体的に説明すると、図2に示すように、陽極13の基端面13bには、電極支持棒15の径より僅かに小さい円柱状の凹所13aが形成され、この凹所13aに電極支持棒15の先端部15aが嵌合されている。そして、図3および図4にも示すように、電極支持棒15の先端部15aには、当該電極支持棒15の先端面から後端側に向かってその径方向に切断されたスリットSが形成されており、このスリットSには、楔状の拡開部材20(図4において斜線を引いて示す)が圧入され、この拡開部材20によってスリットSが拡開し、電極支持棒15の外周面によって陽極13の凹所13aの内周面が押圧されることにより、陽極13が電極支持棒15の先端部15aに固定されている。
一方、陰極14においても、陽極13と同様にして電極支持棒15の先端部に固定されている。
【0012】
以上において、陽極13(陰極)の凹所13aの内径dは、電極支持棒15の先端部15aの外径Dより0.1〜0.5mm大きいことが好ましい。陽極13の凹所13aの内径dが過大である場合には、当該陽極13を電極支持棒15の先端部15aに高い保持力で安定に固定することが困難となることがある。
【0013】
また、電極支持棒15のスリットSの間隔kは、電極支持棒15の先端部15aの外径Dの3〜10%であることが好ましい。スリットSの間隔kが過小である場合には、当該スリットSを拡開部材20によって拡開することが困難となることがある。一方、スリットSの間隔kが過大である場合には、当該スリットSに拡開部材20が圧入される際に、電極支持棒15の先端部15aに破損が生じることがある。
【0014】
また、拡開部材20の最大厚み(基端の厚み)hは、電極支持棒15のスリットSの間隔kの1.5〜2.5倍であることが好ましい。拡開部材20の最大厚み(基端の厚み)hが過小である場合には、当該拡開部材20によってスリットSを十分に拡開することができず、陽極13を電極支持棒15の先端部15aに高い保持力で安定に固定することが困難となることがある。一方、拡開部材20の最大厚み(基端の厚み)hが過大である場合には、当該拡開部材20がスリットSに圧入される際に、電極支持棒15の先端部15aに破損が生じることがある。
【0015】
電極支持棒15は、封止管部12内を管軸に沿って伸び、その端部が封止管部12より突出する状態で設けられており、封止管部12の外端部において、当該封止管部12と電極支持棒15とが溶着されて、気密シール部17が形成されている。
封止管部12内においては、電極支持棒15の外径に適合する貫通孔19を有する石英ガラスよりなるスリーブ部材16が、電極支持棒15が挿通された状態で配置されており、このスリーブ部材16は、封止管部12の一部である絞り込み部12aにより支持されている。
【0016】
バルブ10の発光管部11内には、キセノン、アルゴン、クリプトン等の希ガス若しくはこれらの混合物よりなる封入ガス、および必要に応じて用いられる水銀などの発光物質が封入されている。
封入ガスの圧力は、封入時において例えば0.1〜10atmであり、発光物質として水銀を用いる場合には、その封入量は、例えばバルブ10における発光管部11の内容積当たりの重量で0.5〜60mg/ccである。
【0017】
上記の構成の放電ランプにおいては、以下のようにして電極を電極支持棒の先端部に固定することができる。
先ず、図5(イ)に示すように、電極支持棒15の先端部15aに形成されたスリットSに、拡開部材20を装着する。次いで、図5(ロ)に示すように、拡開部材20が装着された電極支持棒15の先端部15aを陽極13の基端面13bに形成された凹所13aに挿入する。そして、更に、電極支持棒15の先端部15aを陽極13の凹所13aに圧入することにより、図5(ハ)に示すように、拡開部材20が陽極13の凹所13aの底面によって押圧されて電極支持棒15のスリットSに圧入される。その結果、当該スリットSが拡開し、電極支持棒15の外周面によって陽極13の凹所13aの内周面が押圧されることにより、陽極13が電極支持棒15の先端部15aに固定される。
一方、陰極14においても、陽極13と同様にして電極支持棒15の先端部に固定される。
【0018】
以上のように、本発明の放電ランプによれば、緩衝材を使用することなしに、陽極13の基端面13bに形成された凹所13aに電極支持棒15の先端部15aを嵌合することが可能であり、従って、緩衝材の厚みの調整工程および緩衝材の切除を行う後処理工程が不要となり、また、陽極13の凹所13aおよび電極支持棒15の先端部15aの各々をテーパ状とすることも不要となるので、簡単な工程により、電極支持棒15の先端部15aに陽極13を容易に嵌合することができる。しかも、拡開部材20によって電極支持棒15の先端部15aに形成されたスリットが拡開し、電極支持棒15の外周面によって陽極13の凹所13aの内周面が押圧されるので、当該電極支持棒15の先端部15aに陽極15を高い保持力でかつ製品間における保持力のバラツキがなくて安定して固定することができる。
また、電極支持棒15が高い塑性および靱性を有するモリブデンによって構成されているため、拡開部材20がスリットSに圧入されて当該スリットSが拡開する際に、当該電極支持棒15の先端部15aが破損することを防止することができる。
【0019】
本発明の放電ランプは、上記の実施の形態に限定されず種々の変更を加えることが可能である。
(1)図6に示すように、電極支持棒15の先端部15aに形成されるスリットSは、互いに直交する2つの径方向に沿って切断された略十字状の形状であって、交差する個所の四隅が円弧状に切削されたものであってもよい。このようなスリットSを形成する場合には、拡開部材20として、円錐形のピン状のものを用いることができる。
(2)バルブ10(発光管部11および封止管部12)の具体的な形状および構造は、図1に示すものに限られず、種々の構成を採用することができる。
【0020】
〈実験例〉
図2に示す構成に従い、下記の条件により、陽極(13)、電極支持棒(15)および拡開部材(20)を合計で10組作製した。
〔陽極(13)〕
材質:タングステン,直径:25mm,凹所(13a)の内径:6.2mm,凹所(13a)の深さ:20mm
〔電極支持棒(15)〕
材質:モリブデン,先端部(15a)の直径:6.0mm,スリット(S)の間隔0.5mm,スリット(S)の深さ10mm
〔拡開部材(20)〕
材質:モリブデン,長さ:5mm,基端の厚み:1.0mm,幅:5mm
【0021】
上記の陽極(13)、電極支持棒(15)および拡開部材(20)を用い、図3(イ)〜(ハ)に示す工程に従って、陽極(13)の凹所(13a)に電極支持棒(15)の先端部(15a)を嵌合することにより、当該陽極(13)を電極支持棒(15)の先端部(15a)に固定した。以上において、電極支持棒(15)の先端部(15a)を陽極(13)の凹所(13a)に圧入する力は約1tonであった。
そして、電極支持棒(15)による陽極(13)の保持力(陽極(13)の凹所(13a)から電極支持棒(15)の先端部(15a)を引き抜くために必要な力)を測定したところ、いずれも198〜205kgの範囲にあり、陽極(13)が電極支持棒(15)の先端部(15a)に高い保持力で安定して固定されていることが確認された。
【0022】
〈比較実験例〉
図7(イ)に示す構成に従い、下記の条件により、電極(50)および電極支持棒51を合計で10組作製した。
〔電極(50)〕
材質:タングステン,直径:25mm,凹所(13a)の内径:5.8mm(0.06mm/20mmのテーパー状)
〔電極支持棒(51)〕
材質:タングステン,先端部(51a)の直径:6.65mm(0.06mm/20mmのテーパー状)
【0023】
上記の電極(50)および電極支持棒(51)を用い、図5(イ)〜(ハ)に示す工程に従って、電極(50)の凹所(50a)に電極支持棒(51)の先端部(51a)を嵌合することにより、当該電極(50)を電極支持棒(51)の先端部(51a)に固定した。以上において、緩衝材(52)として、厚みが0.05mmのモリブデン箔を使用した。また、電極支持棒(51)の先端部(51a)を電極(50)の凹所(50a)に圧入する力は約1tonであった。
そして、電極支持棒(51)による電極(50)の保持力(電極(50)の凹所(50a)から電極支持棒(51)の先端部(51a)を引き抜くために必要な力)を測定したところ、40〜250kgの範囲にあり、製品間に相当に大きいばらつきがあった。
【0024】
【発明の効果】
本発明の放電ランプによれば、緩衝材を使用することなしに、電極の基端面に形成された凹所に電極支持棒の先端部を嵌合することができるため、緩衝材の厚みの調整工程および緩衝材の切除を行う後処理工程が不要となり、また、電極の凹所および電極支持棒の先端部の各々をテーパ状とすることも不要となるので、簡単な工程により、電極支持棒の先端部に電極を容易に固定することができる。しかも、拡開部材によって電極支持棒の先端部に形成されたスリットが拡開し、電極支持棒の外周面によって電極の内周面が押圧されるので、当該電極支持棒の先端部に電極を高い保持力でかつ製品間における保持力のバラツキがなくて安定して固定することができる。
【0025】
そして、電極支持棒が高い塑性および靱性を有するモリブデンによって構成されているため、拡開部材がスリットに圧入されて当該スリットが拡開する際に、当該電極支持棒の先端部が破損することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るショートアーク型放電ランプの一例における構成の概略を示す説明用断面図である。
【図2】図1に示す放電ランプにおいて、陽極および電極支持棒の先端部を拡大して示す説明用断面図である。
【図3】図1に示す放電ランプにおいて、電極支持棒を先端側から見たときの正面図である。
【図4】図1に示す放電ランプにおいて、電極支持棒の先端部を、陽極を透視して見たときの斜視図である。
【図5】電極支持棒の先端部に陽極を固定する工程を示す説明図である。
【図6】本発明に係るショートアーク型放電ランプの他の例における電極支持棒の先端部および拡開部材を示す説明図である。
【図7】従来のショートアーク型放電ランプにおいて、電極支持棒の先端部に電極を固定する工程を示す説明図である。
【符号の説明】
10 バルブ
11 発光管部
12 封止管部
12a 絞り込み部
13 陽極
13a 凹所
13b 陽極の基端面
14 陰極
15 電極支持棒
15a 先端部
16 スリーブ部材
17 気密シール部
18 モリブデン箔
19 貫通孔
20 拡開部材
50 電極
50a 凹所
51b 電極の基端面
51 電極支持棒
51a 先端部
52 緩衝材

Claims (2)

  1. 基端面に形成された凹所に電極支持棒の先端部が嵌合されることによって、当該電極支持棒に支持された電極を具えてなる放電ランプにおいて、
    前記電極はタングステンよりなり、
    前記電極支持棒はモリブデンよりなり、当該電極支持棒の先端部には、スリットが形成されており、このスリットには、当該スリットを拡開する拡開部材が圧入されていることを特徴とする放電ランプ。
  2. 前記電極支持棒のスリットの間隔は、当該電極支持棒の先端部の外径の3〜10%であり、
    前記拡開部材の最大厚みは、前記電極支持棒のスリットの間隔の1.5〜2.5倍であることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
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