JP3614910B2 - 耐候性防湿フィルム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、高度な防湿性能を有する積層プラスチックフィルムに関し、更に詳しくは透明で水蒸気などのガスをほとんど透過しない、標識等の表示装置のバックライトとして使用されるエレクトロルミネッセンス(以下、ELと略記する)素子の被覆封止用の防湿フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
EL素子は軽量、薄型、目に優しい面発光体という特徴を生かし、時計、ポケットベル、液晶ディスプレーなどのバックライトなどに使用されており、近年では交通標識などにも使用されるようになってきた。
このEL素子は有機ELと無機ELとに大別されるが、いずれも外部からの吸湿により、蛍光性物質の発光輝度が比較的短時間に低下し、可使寿命がなくなるため、通常はポリクロロトリフルオロエチレン(以下、PCTFEと略記する)を主体とした積層フィルムや、透明プラスチックフィルム上にケイ素、アルミニウム系の透明酸化物薄膜を設けた透明プラスチックフィルムなどの防湿性能の優れた透明フィルムにより封止されて使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のPCTFEを主体にした積層フィルムは極めて高価であるために最終的のバックライトの製造コストが高くなるばかりでなく、発光体層をヒートシールする際、エッジの段差部がシール圧で薄肉化し、そこからの吸湿によりELの輝度が周辺部から低下するという問題がある。
【0004】
またコストを低減するためにポリエチレン等の他の透明フィルムや、ケイ素、アルミニウム系の透明酸化物薄膜を設けた透明フィルムでPCTFEを代替したものも提案されているが、いずれもEL用には防湿性能が十分ではなく、前面からのEL素子の黒化が生じ輝度の低下が認められる。特に、梅雨時のように使用雰囲気の湿度が高いときには、EL素子内への水蒸気の侵入が顕著となり、EL素子の寿命が短くなるという問題があった。
【0005】
更に圧延ポリオレフィンが酸化ケイ素蒸着層を介して積層された積層体の一面に合成樹脂層、他面に接着層が積層された防湿性積層フィルムが提案されているが(実公昭61−42319号)、一般に圧延ポリオレフィン自体は十分な防湿性がなく、また最外層として塗布される耐熱性の合成樹脂層は樹脂の性質によって塗布ムラやハジキにより、樹脂層にピンホールが発生し、この部分から吸湿されてしまうおそれがある。
【0006】
またEL素子が交通標識など屋外で使用される場合には、防湿性のみならず耐光性が問題となる。一般にEL素子の劣化を防止するためには400〜500nm以下の波長の光を遮断することが必要であり、またEL素子の防湿フィルムは例えばポリオレフィンを用いている場合には、400nm以下の光で黄変を生じるため、全体として500nm以下の波長の光を遮断する必要がある。しかし上記従来の防湿フィルムは、このような耐光性を含めた防湿フィルムの耐候性は考慮されていなかった。
【0007】
従って本発明は、PCTFEよりも安価かつ防湿性能の優れたEL素子被覆封止用の防湿フィルムを提供することを目的とする。また本発明は、作業性良く製造でき、可撓性に優れたEL素子被覆封止用の防湿フィルムを提供することを目的とする。更に本発明は防湿性のみならず耐候性に優れた防湿フィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の耐候性防湿フィルムは、複数の層からなる積層フィルムであって、プラスチックフィルムの一方の側に、延伸ポリプロピレンの層を含む防湿層を有し、他方の側にフッ素系樹脂塗膜及び/又はオルガノアルコキシシランの加水分解部分縮合物とシリル基含有ビニル樹脂とを含有する塗膜を最外層として有することを特徴とする。
【0009】
本発明の好適な態様において、耐候性防湿フィルムの最外層は、性質の異なる又は同質の少なくとも2層から成る。また本発明の別な好適な態様において、積層フィルムを構成する層の少なくとも1層は、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化セリウムから選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有するものである。
以下、本発明について図面を参照して説明する。図1は本発明の耐候性防湿フィルムの一例を示す断面図であり、プラスチックフィルム1と、プラスチックフィルム1の一面に塗布により形成された最外層塗膜2、プラスチックフィルム1の他の一面に貼着された防湿層3、及びシーラント層4から成る。このような防湿フィルムは、EL素子被覆封止用に用いる場合、シーラント層4が内側となるように、2枚をEL素子を挟んで重ね周辺部を熱融着ロール等によりヒートシールする。
【0010】
プラスチックフィルム1としては、透明性を有し、十分な寸法安定性のあるもの、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムで二軸延伸されたものが使用される。また帯電防止性を付与するために帯電防止剤等をフィルム内に混入しても良く、表面に帯電防止剤層を設けても良く、さらには接着性を向上させるために下引き処理を行なっても良い。帯電防止剤としては、長鎖脂肪族アミン及びアミド、燐酸エステル、第四アンモニウム塩、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエステルおよびエトキシ化長鎖脂肪族アミン等、公知の帯電防止剤を使用することができ、更にクローム、ニッケル、金等を200オングストローム以下の厚さで蒸着したものを使用することができる。下引き処理剤としては、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、有機チタン系等の接着促進剤或いはポリウレタンポリエステル系等の接着剤等を用いることができ、コロナ放電、UV照射、オゾン処理等の下引き処理を施してもよい。
【0011】
プラスチックフィルム1の厚みは特に限定されないが、取扱い作業やラミネータ等で貼込み作業を容易ならしめるために好ましくは10〜100μmの範囲のものが、更に好ましくは20〜50μmの範囲のものが使用される。
プラスチックフィルム1の一方の面に形成される最外層塗膜2として、フッ素系樹脂塗膜(A)、及び/又はオルガノアルコキシシランの加水分解部分縮合物とシリル基含有ビニル樹脂とを含有する塗膜(B)が設けられる。このような塗膜2は、内側の防湿層等が外部からの光により劣化し、その結果として防湿機能が低下したり変色するのを防ぐために形成される。
【0012】
フッ素系樹脂塗膜(A)を形成するフッ素系樹脂としては、有機溶剤に溶けるか、乳化剤等で水中に安定に分散され得るものであって、プラスチックフィルム1上に塗布・乾燥した後、成膜するものであればよい。このようなフッ素系樹脂としては、フッ化ビニル(以下、VFと略記する)、フッ化ビニリデン(以下、VdFと略記する)、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと略記する)、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPと略記する)等を主成分とするフッ素含有ビニル系モノマーの重合体(共重合体)を挙げることができる。特にVdF、TFE及びHFPの共重合体が好適に用いられ、この場合、各モノマーの割合はモル比でVdFが0〜85%、好ましくは20〜80%、TFEが0〜75%、好ましくは10〜50%、HFPが0〜30%、好ましくは10〜25%とする。このような共重合体は、更にVF、クロロトリフルオロエチレンなど他のフッ素系モノマー、ヒドロキシ基を含むフッ素モノマー、一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸系或いはヒドロキシアクリル酸系のモノマー、更にフッ素変性アクリルモノマー等のモノマーをモル比で0〜60%含有することができる。
【0013】
【化1】
【0014】
式中、R1は炭素数1〜8の鎖状或いは分岐状のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示し、例えばC2H4OH、CH2OHが挙げられる。
フッ素含有ビニル系モノマーと共重合される他のモノマーの具体例としては、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテルモノマーを挙げることができる。特に最外層として硬化性が要求される場合には上記モノマーとしてヒドロキシル基が導入された、例えばヒドロキシブチルビニルエーテルなどのモノマーやカルボン酸が導入されたクロトン酸、3−ブテン酸などのモノマーが用いられる。
【0015】
塗膜(B)を形成するオルガノアルコキシシランの加水分解部分縮合物とは、一般式(II)
R2Si(OR3)3 (II)
で表されるオルガノアルコキシシランを加水分解、縮合して得られる加水分解物及び/又は部分縮合物である。式(I)中、R2は炭素数1〜8の有機基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの鎖状、分岐状または環状アルキル基のほか、γ−クロロプロピル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−メタクリルオキシプロピル基、フェニル基、キリシル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基などの官能性アルキル基、アリール基が挙げられる。R2の炭素数を8以内とすることにより、加水分解速度、塗膜の乾燥性、硬度を適性に保つことができる。またR3は、水素原子もしくは炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜4のアシル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アセチル基などが挙げられる。R3の炭素数を5以内とすることにより、加水分解速度、塗膜の乾燥性、硬度を適性に保つことができる。
【0016】
一般式(II)で表されるオルガノアルコキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシランなどを挙げることができ、好ましくはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランが挙げられ、より好ましくはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランを用いられる。これらオルガノアルコキシシランは1種単独で使用することも、また2種以上を混合して用いることもできる。
【0017】
更に上記オルガノアルコキシシランに加えて、一般式(III)
R2 2Si(OR3)2 (III)
(式中、R2及びR3は前記に同じ)で表されるオルガノアルコキシシランの加水分解物及び/又は部分縮合物を併用することができる。このようなオルガノアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられ、好ましくはジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが用いられる。
【0018】
式(II)及び(III)オルガノアルコキシシランの加水分解物及び/又は部分縮合物の重量平均分子量は、好ましくは800〜100,000、更に好ましくは1,000〜50,000である。
塗膜(B)のもう1つの成分であるシリル基含有ビニル系樹脂は、例えば主鎖がビニル系重合体からなり、末端或いは側鎖に加水分解性基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上含有するものであり、一般式(IV)
【0019】
【化2】
【0020】
(R2、R3は前記に同じであり、nは1〜3の正の整数を示す。Xはラジカル重合性の二重結合を含む炭素数2〜10の1価の有機基を示す)
で表されるラジカル重合性シラン化合物と各種ビニル系化合物とを共重合することにより製造することができる。式(III)のラジカル重合性シラン化合物の有機基Xとしては、ビニル、2−プロペニル、3−アクリロキシプロピル、3−メタクリロキシプロピル、4−ビニルゲニル、2−(4−ビニル)フェニルエチルなどを挙げることができる。また各種ビニル系化合物としては、ラジカル重合性シラン化合物との付加体が得られるものであれば何でもよく、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ニトロキスエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸;無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;アクリルアミド、クロトンアミド、イタコン酸アミド、マレイン酸アミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどから選ばれる一種以上が挙げられる。好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、特に(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルを挙げることができる。
【0021】
シリル基含有ビニル系樹脂中のラジカル重合性シラン化合物の割合は、ケイ素元素換算で、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%であり、上記範囲とすることにより組成物の保存安定性を損うことなく耐候性、密着性を良好にすることができる。
シリル基含有ビニル系樹脂の分子量は、塗装作業性の観点から、ゲルパーミネーションクロマトグラフィで評価した重量平均分子量が5,000〜100,000、好ましくは10,000〜50,000とする。
【0022】
塗膜(B)におけるオルガノアルコキシシランの加水分解部分縮合物とシリル基含有ビニル系樹脂との混合比は、オルガノアルコキシシランの加水分解部分縮合物が100重量部に対し、シリル基含有ビニル系樹脂が2〜600重量部とする。
塗膜(B)は更に縮合反応を促進させる目的でジルコニウム、チタン、アルミニウム等の金属キレート化合物を0.01〜100重量部の範囲で含有していることが好ましい。
【0023】
これらはメチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン等の溶剤に溶解され、プラスチックフィルム1の上に塗布される。尚、プラスチックフィルム1と最外層2との間或いは適当な層の間にさらに防湿性を向上させる目的で、ポリ塩化ビニリデンの層を設けてもよい。ポリ塩化ビニリデンの層は厚さ5〜20μm、好ましくは8〜15μm程度とする。
【0024】
上述したフッ素系樹脂塗膜(A)及び塗膜(B)は、いずれか一方のみをプラスチックフィルムの1面に形成してもよいが、両塗膜を積層して二層構造としてもよい。更に性質の異なる又は同質の2種以上のフッ素系樹脂塗膜(A)或いは塗膜(B)を積層した二層構造としてもよい。図示する実施例では最外層は1層のみが示されているが、好適には最外層2は性質の異なる二種の層から構成する。その場合、最外層となる層は主として耐候性に寄与する硬化型の樹脂とし、その内側の層は積層フィルムにフレキシビリティを付与し最外層塗膜のピンホール等を防止するための層で非硬化型の樹脂を用いる。このような二層構造とすることにより、十分な耐候性を維持しつつ積層フィルムに優れた防湿性とフレキシビリティを付与することができ、しかもヒートシール時に熱融着ロールとくっついてしまうというような不都合を防止でき、EL素子被覆時の作業性を向上させることができる。
【0025】
最外層を二層構造とする場合、外側の層となる硬化型の樹脂としてはヒドロキシル基が導入されたモノマー、例えばヒドロキシブチルエーテルやカルボキシル基を含むモノマー、例えばクロトン酸、3−ブテン酸を共重合したフッ素樹脂が挙げられる。また内側の層となる非硬化型の樹脂としてはVF、VDF、HFP及びアルキルビニルエーテルから選ばれた2種以上のモノマーを共重合したフッ素樹脂が挙げられる。塗膜(B)の場合には、一般式(II)のオルガノアルコキシシランと併用される一般式(III)のオルガノアルコキシシランの添加量を多くすることにより、塗膜を柔軟化してフレキシビリティを向上させることができる。具体的には、塗膜(B)を内側の層として形成する場合には、その塗工液は一般式(II)のオルガノアルコキシシラン100重量部に対し、一般式(III)のオルガノアルコキシシランの添加量が10重量部以上、好ましくは20重量部以上であることが好ましい。逆に塗膜(B)を外側の層として形成する場合には、その添加量が200重量部以下、好ましくは100重量部以下であることが好ましい。
【0026】
最外層の塗膜の厚さは、コストと耐候性を考慮し、乾燥後の厚さで5〜50μmの範囲とすることが好ましく、10〜25μmの範囲が更に好ましい。また二層構造とする場合には、1層の厚さが5〜30μm、全体の厚さが10〜60μmの範囲であることが好ましい。
更に最外層2及びプラスチックフィルム1は、積層フィルムを形成するプラスチック及びEL素子が紫外線により劣化するのを防止するために、紫外線吸収剤を含有することが望ましい。一般にポリオレフィン等のプラスチックフィルムは波長400nm以下の紫外線で劣化したり黄変する。特に後述する防湿層3に使用されるOPPは400nm以下の光に対する耐光性がよくない。また硫化亜鉛等の無機分散型EL素子自体は400〜500nm以下の光に晒されると劣化することが知られている。従って紫外線吸収剤としては波長400nm以下、好適には500nm以下の電磁波を吸収する紫外線吸収剤を含有することが望ましい。紫外線吸収剤は、最外層2を構成する塗膜及びプラスチックフィルム1の少なくともいずれか1層に含有せしめればよいが、最外層2の全ての層とプラスチックフィルム1に含有せしめてもよい。これにより内側の層への紫外線の侵入を防止し、それら層を構成する樹脂、層間に使用される接着剤の黄変等の変色や防湿フィルムに封止されるEL素子自体の劣化を防止することができる。
【0027】
このような紫外線吸収剤としては、フィルムの透明性を阻害しないで上記波長範囲の光線を吸収するものであればよく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、置換アクリロニトリル類等の有機物、ニッケル錯体などが挙げられるが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムが好ましく用いられ、特に酸化亜鉛が好適である。これら金属酸化物は粒径5〜100nm、好適には10〜50nmのものが用いられる。
【0028】
次に、プラスチックフィルム1の他方の面に形成される防湿層3は、基材として延伸ポリプロピレン(以下、OPPと略記する)を用い、好適にはこのようなOPPフィルム2枚の間に、ケイ素酸化物薄膜を形成したフィルム(以下、ケイ素酸化物薄膜フィルムという)を積層したものが用いられる。
一般に防湿フィルムの基材としてポリオレフィンフィルムが用いられているが、ポリエチレン、ポリプロピレンなど通常のポリオレフィンフィルムに比べ、OPPは延伸することによって結晶化度が上がるため水蒸気を通りにくくし防湿性が向上するとともに透明性において非常に優れている。本発明では防湿層の基材としてこのようなOPPを用いることにより、透明性、防湿性ともに優れた防湿フィルムを構成することができる。OPPフィルムの厚さは、単独で防湿層とする場合には、200μm程度までのものが使用できるが、ケイ素酸化物薄膜フィルムの両側に積層する場合には、10〜90μm、好適には20〜60μmのものを用いる。
【0029】
ケイ素酸化物薄膜フィルムに用いるフィルムとしては、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)フィルム、ポリエステルフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム等を挙げることができるが、PVAフィルムは酸素等のガスバリアとして機能し好適である。PVAフィルムは延伸、未延伸を問わないが、フィルム強度及び防湿性能の点で延伸されたものを使用することが好ましい。
【0030】
ケイ素酸化物薄膜は、二酸化ケイ素等を蒸着原料とし、真空蒸着法、スパッタリング法またはイオンプレーティング法のいずれかの方法によりPVAフィルム等のフィルム表面に形成することができる。また、PVAフィルム表面にケイ素酸化物薄膜を形成するのに先立って、PVAフィルム上にイソシアネート系、ポリエチレンイミン系、有機チタン系等の接着促進剤及びポリウレタン、ポリエステル系等の接着剤等の下引き処理剤を使用することもでき、更にコロナ放電、UV照射、オゾン処理等の下引き処理を施してもよい。さらに、PVAフィルムは帯電防止処理或いは帯電防止剤や紫外線吸収剤等の添加剤を混入してもよい。帯電防止剤及び紫外線吸収剤としては、プラスチックフィルム1において例示したものと同様のものを用いることができる。
【0031】
PVAフィルムの厚さはコストと防湿性能を考慮し、5〜20μmの範囲が好適である。
防湿層3は、例えばPVAフィルム上にケイ素酸化物薄膜を形成したフィルムを製造し、その両面に接着剤によりOPPフィルムをラミネートする方法によって製造することができる。この際、接着剤としてはウレタン系、アクリル系、ポリエステル系等の接着剤が使用できる。このように2枚のOPPフィルムの間にケイ素酸化物薄膜を形成したPVAフィルムをラミネートした構造の場合、防湿層全体の厚さは風合いと防湿性能を考慮し、20〜200μm、好適には40〜200μmである。防湿性の面からはOPPフィルムは厚いほどよいが、200μmを超えると積層フィルム全体の風合いが硬くなり、フィルム取扱中にへこみ傷ができたり、後工程でEL素子を覆いヒートシールする際、発光層の厚さに巧く追従せず、素子との間に空間ができ、その中に取残された空気中の湿度によりEL素子が黒化しやすくなるなどの問題が生じるおそれがある。
【0032】
シーラント層4はヒートシールによってシール可能な樹脂からなり、防湿層3を構成するOPPフィルムに接着積層されたフィルムとして若しくは押出ラミネートされたコート層として設けることができる。シール可能な樹脂としては、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が使用できるが、EL素子用の被覆封止用フィルム等の高度な防湿性を有する用途には、EL引出し電極の形状によく馴染む低密度ポリエチレンを使用するのが好ましい。これにより完全な封止が可能となる。
【0033】
シーラント層4の厚さは、少なくともEL引出し電極の1/2以上の厚みが必要で、通常は10〜100μmである。
本発明の防湿性フィルムの製造方法は特に限定されないが、例えば以下のように製造することができる。即ちまず図2に示すように、2枚のOPPフィルム31、31’の間にケイ素酸化物薄膜32を形成したPVAフィルム33を挟んでラミネートした防湿層3を形成する積層フィルムを製造し、一方プラスチックフィルム1の片面にフッ素系樹脂塗膜21及び/又はオルガノアルコキシシランの加水分解部分縮合物及びシリル基含有ビニル樹脂を含有する塗膜22を形成する。このような防湿層3となる積層フィルムの一方の面31に、耐候性塗膜2が形成されたプラスチックフィルム1をラミネートし、他方の面31’にシーラント層4をラミネートすることにより、防湿性フィルムを製造する。また耐候性塗膜2が形成されたプラスチックフィルム1の他方のフィルム面にOPPフィルム31、ケイ素酸化物薄膜32を形成したPVAフィルム33、OPPフィルム31’、シーラント層4を順次接着剤によりラミネートしてもよい。
【0034】
このようにして積層された本発明に係る防湿性フィルムの全体の厚さは、70μm〜470μmの範囲、好ましくは100μm〜300μmの範囲である。このような範囲とすることにより、充分な防湿性を得ることができ、しかもフィルム全体の風合いがよく、適度なフレキシビリティを確保でき、後工程において作業性よくEL素子の封止、ヒートシールを行うことができる。また重量やコストも適性に抑えることができる。
【0035】
尚、図示する防湿フィルムの構造は本発明の実施例であって、特許請求の範囲に記載される範囲において任意に変更することができる。例えば、防湿層3として2枚のOPPフィルム31、31’の間にケイ素酸化物薄膜を形成したPVAフィルムをラミネートした構造を示したが、防湿層3は1枚以上のOPPフィルムのみから成っていてもよく、また1枚のOPPフィルムにケイ素酸化物薄膜を形成したPVAフィルムをラミネートした構造としてもよい。また最外層2(21、22)とプラスチックフィルム1との間及び/又はプラスチックフィルム1と防湿層3との間にポリ塩化ビニリデンの層を設けてもよく、これにより防湿性を更に高めることができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
50μmのポリエステルフィルム(T600E:ダイアホイルヘキスト社製)の一方の面に二液硬化型のフッ素樹脂(パワーフロン3000:水谷ペイント社製)20μmをダブルコートし、他方の面に、厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(サンオリエント:二村三昌社製)、酸化ケイ素を蒸着した12μmのポリビニルアルコールフィルム(テックバリアS:三菱化学社製)、20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(サンオリエント:二村三昌社製)、50μmの低密度ポリエチレンフィルム(大倉工業社製)の順にウレタン系接着剤を使用しラミネートして、本発明の防湿性フィルムを得た。
【0037】
得られた防湿性フィルムの防湿性を透湿カップ法により評価した。即ち、図3に示す透湿カップ20に水10mlを入れ、透湿カップ20の上面を防湿フィルム10のシーラント層4側が外側となるように覆い、Oリング40によりカップ内を密封した。この透湿カップ20を温度50℃の温風循環式恒温槽内に設置し、一定時間経過後の重量変化を測定し、透湿量Hを次式により求めた。
【0038】
H=(W1−W2)/(S×t)
W1は恒温槽に入れる前の透湿カップの重量(g)
W2は恒温槽から取り出した時の透湿カップの重量(g)
Sは密封した防湿フィルムの湿度透過総面積(m2)
tは恒温槽内に透湿カップを入れていた時間(hr)
この透湿カップ法による測定の結果を表1に示した。
実施例2
23μmのポリエステルフィルム(T600E:ダイアホイルヘキスト社製)の一方の面に可溶性フッ素樹脂10μmをコートした後、その上に更に実施例1と同様に二液硬化型のフッ素樹脂10μmをコートし最外層を形成した。ポリエステルフィルムの他方の面に、厚さ50μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(サンオリエント:二村三昌社製)、酸化ケイ素を蒸着した12μmのポリビニルアルコールフィルム(テックバリアS:三菱化学社製)、20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(サンオリエント:二村三昌社製)、50μmの低密度ポリエチレンフィルム(大倉工業社製)の順にウレタン系接着剤を使用しラミネートして、本発明の防湿性フィルムを得た。
【0039】
得られた防湿性フィルムの防湿性を透湿カップ法により評価した。結果を表1に示した。
実施例3
23μmのポリエステルフィルム(T600E:ダイアホイルヘキスト社製)の一方の面に塩化ビニリデン(DO−877S:呉羽化学工業社製)10μmをコートした後、実施例2と同様の可溶性フッ素樹脂10μm、二液硬化型のフッ素樹脂10μmを順次コートし最外層を形成するとともにポリエステルフィルムの他方の面に、実施例2と同様の防湿層、シーラント層を形成して、本発明の防湿性フィルムを得た。
【0040】
得られた防湿性フィルムの防湿性を透湿カップ法により評価した。結果を表1に示した。
実施例4
下記処方の最外層21、22用樹脂組成に硬化促進剤としてジブチルスズラウレートを添加し、23μmのポリエステルフィルム(T600E:ダイアホイルヘキスト社製)の一方の面に順次コートし、最外層を形成した。ポリエステルフィルムの他方の面には、実施例2と同様の防湿層、シーラント層を形成して、本発明の防湿性フィルムを得た。
得られた防湿性フィルムの防湿性を透湿カップ法により評価した。結果を表1に示した。
比較例1
250μmのポリクロロトリフルオロエチレンフィルム(ニトフロン:日東電工社製)を用い、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
比較例2
厚さ50μmの未延伸のポリプロピレンフィルム(トレファンNO:東レ社製)、酸化ケイ素を蒸着した12μmのポリビニルアルコールフィルム(テックバリアS:三菱化学社製)、20μmの未延伸のポリプロピレンフィルム(トレファンNO:東レ社製)、50μmの低密度ポリエチレンフィルム(大倉工業社製)の順にウレタン系接着剤を使用しラミネートして、防湿性フィルムを得た。この防湿フィルムについても実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例5
実施例2の積層フィルムにおいて、最外層の二液硬化型フッ素樹脂に、平均粒径20nmの酸化亜鉛をフッ素樹脂100重量部に対して1重量部加えて、実施例2と同様にして積層フィルムを作製した。この積層フィルムと比較例2のフィルムをサンシャイウェザーメータで500時間及び1000時間で耐光性を試験したところ、比較例2のフィルムは濃茶褐色に着色したのに対し、実施例5のフィルムはごくうすい黄色に着色したにとどまった。
【0043】
また以上実施例1〜5で得られたフィルムについて以下のような試験方法でフレキシビリティを評価した。即ち、フィルムを所定の大きさ(幅1インチ×長さ110mm)の試験片としたものの長さ方向の両端を重ねて円周100mmの円筒にし、外側からについて直径3mmの針を一定の速度で押し込み、そのとき針にかかる力を測定した。その結果、全てのフィルムがフッ素フィルム(比較例1)と同様のフレキシビリティを示した。
【0044】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明の耐候性防湿フィルムは、従来の積層防湿フィルムに比べ高い防湿性を示し、PCTFEフィルムに比べても同等かそれ以上の防湿性を示し、EL素子用の封止材として充分実用性がある。
また、本発明の防湿性フィルムは、基材としてOPPを用いた防湿性の高い防湿層に加えて、最外層に耐候性に優れた塗膜を設けたことにより、OPPを用いていてもフィルムの紫外線劣化を防ぐことができる。従って、本発明の防湿性フィルムは過酷な条件下で長期間使用されるEL素子の被覆封止用プラスチックフィルム等の高防湿性能が要求される用途に好適である。更に本発明の防湿性フィルムは、柔軟性、経済性の面でも優れたものであるため、EL素子の被覆封止用フィルムに使用する場合、フィルム表面にへこみが生ずることなく作業性良く作業ができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を表す断面図。
【図2】本発明の他の実施例を表す断面図。
【図3】本発明のフィルムの防湿性を評価するための装置を示す図。
【符号の説明】
1……プラスチックフィルム
2……最外層塗膜
3……防湿層
4……シーラント層
Claims (5)
- プラスチックフィルムの一方の側に、延伸ポリプロピレンの層を含む防湿層を有し、他方の側にフッ素系樹脂塗膜及び/又はオルガノアルコキシシランの加水分解部分縮合物とシリル基含有ビニル樹脂とを含有する塗膜を最外層として有することを特徴とする耐候性防湿フィルム。
- 前記防湿層は、2枚の延伸ポリプロピレンフィルムの間にケイ素酸化物薄膜を形成したフィルムからなることを特徴とする請求項1記載の耐候性防湿フィルム。
- 前記最外層と反対側の最表面にシーラント層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐候性防湿フィルム。
- 前記最外層は、性質の異なる又は同質の少なくとも2層から成ることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の耐候性防湿フィルム。
- 前記プラスチックフィルム、最外層及び防湿層を構成する層の少なくとも1層は、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化セリウムから選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の耐候性防湿フィルム。
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