JP3615391B2 - イオン伝導性高分子固体電解質および該固体電解質を使用した電池 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はイオン伝導性高分子固体電解質および該高分子固体電解質を使用した電池、特にリチウムポリマー電池に用いる高分子固体電解質に関する。
【0002】
【従来技術】
電池の主要構成要素として正極、負極、電解液があげられるが、従来、一般的には電池は液体素子であるため電解液の漏れ、電解液の揮発による電池寿命の低下を防止するため電池容器には剛直で密封性が高く且つ耐電圧性に優れた構造(円筒、角型、コイン型)が求められている。特に、近年、電池には様々な形状が要求され、偏平で大面積の電池開発も行われている。このような電池として固体電池が検討されている。固体電池の固体電解質としてはNASIKON,LISICONなどの無機伝導性ガラス、高分子固体電解質などが注目されているが、無機系電解質は安定性が低い、電池システムが限定されるなどの問題があり、また高分子固体電解質は加工性の点で優れているもののイオン伝導度が低い、隔膜強度が低いなどの問題が指摘されており、高分子固体電解質としてたとえばシロキサン(US5,123,512)、ホスファゼン(US4,840,856)などを用いることでイオン伝導度の向上を目指したが、イオン伝導度が未だ不満足で、電池性能を確保することは困難であった。
【0003】
また、近年注目されてきている高分子マトリクス、溶媒、電解質塩からなるゲルは熱可塑性の高分子マトリクスからなるゲルと架橋性高分子マトリクスからなるゲルがある。しかしながら、該ゲルは電池性能を確保することができるものであるが、電池として固体強度は十分であるが、イオン伝導度は未だ十分でないとか、イオン伝導度は高いが固体強度が十分でないなど両方の要件を必ずしも満足するものが得られていないのが現状である。
例えば、PVDF系のようなフッ素ポリマーに電解液を含浸することにより上記課題を達成しようという試みもある(特開昭59−149601、US5,418,091、US5,296,318)が、固体強度は十分であるが、イオン伝導度は未だ十分でないか、イオン伝導度を高くすると電解液が滲み出るなどの問題があり、必ずしも満足するものが得られていないのが現状である。
【0004】
さらにこれらの高分子固体電解質は固体強度が高く、フィルム状の高分子ゲル電解質の製法には好適であるが、固体強度が高いためにかえって、正負極と高分子固体電解質との界面状態は必ずしも良好ではなくなるなどの問題点もある。界面をなくすために電解液含浸前の高分子固体電解質を加熱プレスし、正負極と張り合わせ、その後電解液を含浸するなどの方法がとられているが、電極面積が大きい場合、必ずしも電解液が電解質膜に均一に含浸されておらず、電流特性のむらを生じるなどの問題があり、満足するものが得られていないのが現状である。また、含フッ素ポリエーテルを使用した高分子固体電解質も提案されている(特開平8−222270、特開平9−48832、特開平8−217872、特開平8−183854)。これらは高分子固体電解質の特に機械的強度向上を目指したものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記高分子固体電解質の問題点を解決し、イオン伝導度が高く、十分な固体強度を有し、繰り返し充放電を行っても電池エネルギー密度の低下を生じることがなく、耐電圧性、電気伝導性、負荷特性、低温特性等に優れた電池用高分子固体電解質およびその高分子固体電解質を用いたポリマー二次電池の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、イオン伝導性高分子固体電解質を構成する高分子マトリクスとして、(メタ)アクリレートモノマーと含フッ素モノマーを共重合したものを使用することを特徴とするイオン伝導性高分子固体電解質を提供し、前記課題を解決した点にある。
【0007】
前記高分子マトリクスは、(メタ)アクリレートモノマーに加えて、共重合モノマーとして含フッ素モノマーを使用することにより、高分子固体電解質の固体強度を向上させ、また、誘電率が高くなるため、更にイオン伝導度の優れたイオン伝導性高分子固体電解質にすることが可能となる。
本発明で用いる含フッ素モノマーはフッ素基が存在し、(メタ)アクリレートモノマーと共重合できるモノマーであれば限定されるものではないが、中でも含フッ素オレフィンモノマー、含フッ素(メタ)アクリレートモノマー、含フッ素アリルエーテルモノマーあるいは含フッ素イタコネートモノマー等は、官能基としてビニル基を持ち、(メタ)アクリレートモノマーと共重合し、ポリマー側鎖にフッ素含有基を導入させることができるので、フッ素系ポリマーの持つ機械的強度と高イオン伝導度をあわせ持つ高分子マトリクスを形成させることができる。また、前記含フッ素モノマーは異なる種類の2種以上のものを選択して使用しても良い。
【0008】
本発明で使用する含フッ素モノマーを具体的に例示すると、例えば以下のものが挙げられる。
(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、(パーフルオロオクチル)エチレン、(パーフルオロデシル)エチレン、1−メトキシ−(パーフルオロ−2−メチル−1−プロパン)、1,4−ジビニルオクタフルオロブタン、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、1,8−ジビニルヘキサデカフルオロオクタンなど含フッ素オレフィンモノマー、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(オアーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタクリレート、3−(オアーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−8−メチルデシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1H,1H,11H−イコサフルオロウンデシルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−9−メチルオクチル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、1H,1H,11H−イコサフルオロウンデシルアクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート、ヘキサフルオロ−2−プロピルアクリレート、ヘプタフルオロ−2−プロピルアクリレートなど含フッ素(メタ)アクリレートモノマー、ヘプタフルオロ−2−プロピルアリルエーテル、ビス(ヘキサフルオロ−2−プロピル)イタコネートなどが挙げられるが、本発明で使用する含フッ素モノマーは、上記のものに限定されるものではない。
【0009】
また前記含フッ素モノマーの内、含フッ素(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリレートモノマーと重合反応性が近く、(メタ)アクリレートモノマーと共重合しやすく、かつ高分子マトリクスにフッ素基を導入しやすいので好ましい。
含フッ素(メタ)アクリレートモノマーとしては、下式(A)で表わされるものが特に好ましい。
【化2】
(式中、Xは水素あるいはフッ素、m=0〜3、n=0〜3及びm+n=3以下、yは1または2、Rは水素あるいはメチル基を表す。ただし、yが1の場合には、CHy基はさらにトリフルオロメチル基で置換されている。)
前式(A)で表わされるモノマーは、フッ素基数が少ないので得られる重合体は高分子量になり易く、高分子マトリクスを形成するのに有利であり、固体強度を増加させることができる。また、(メタ)アクリレートモノマーのエステル部の炭素数が少ない場合には低粘度性に寄与し、得られた高分子マトリクスのイオン伝導性の向上および電池低温特性向上に効果がある。
【0010】
特に、式中mが3以下の場合、高分子重合体になり易く、またm+nが3以下の場合、粘性が低くなることが考えられるため、固体強度向上とイオン伝導度向上の両者を満足させるので好ましい。
また、式中mが3より大きい場合、高分子重合体になり難く、固体強度に乏しくなる可能性があり、またm+nが3より大きい場合、粘性が高くなり、イオン伝導度が低下することが懸念されるため、好ましくはない。
具体的に例示すると、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート、ヘキサフルオロ−2−プロピルアクリレート、ヘプタフルオロ−2−プロピルアクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
前記含フッ素オレフィンモノマーを具体的に例示すると、前記のように(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、(パーフルオロオクチル)エチレン、(パーフルオロデシル)エチレン、1−メトキシ−(パーフルオロ−2−メチル−1−プロパン)等が挙げられる。
また、前記含フッ素オレフィンモノマーがジエン構造のものである場合、該ジエン構造物と(メタ)アクリレートモノマーを共重合すると、含フッ素オレフィンモノマーがジエン構造であることにより、架橋高分子マトリクスを形成すること、および架橋骨格にフッ素基が導入されることで、固体強度向上の効果が期待できる。
前記ジエン構造のものを具体的に例示すると、例えば前記のように1,4−ジビニルオクタフルオロブタン、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、1,8−ジビニルヘキサデカフルオロオクタンなどが挙げられるが、ただし、これらに限定されるものではない。
【0012】
本発明で用いる(メタ)アクリレートは重合反応(活性光線による光重合や熱重合など)を生起して重合体を得るものであり、例えば単官能および多官能の(メタ)アクリレートのモノマーあるいはプレポリマーが挙げられる。なお、本明細書における(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタアクリレートを意味する。
また、前記(メタ)アクリレートモノマーが少なくとも一種のアルキレンオキサイドで変性されたものであることにより、電解液に通常使用される非水溶媒に相溶性が向上し、さらにLiイオンとの高分子マトリクスの配位結合により、配位架橋構造をとり、イオン伝導度を低下させることなく、より強固な高分子ゲル電解質となり、安全性も付与されるので好ましい。
【0013】
単官能(メタ)アクリレートとしては、アルキル(メタ)アクリレート〔メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等〕、脂環式(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート〔ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等〕、ヒドロキシポリオキシアルキレン(オキシアルキレン基の炭素数は好ましくは1〜4)(メタ)アクリレート〔ヒドロキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等〕およびアルコキシアルキル(アルコキシ基の炭素数は好ましくは1〜4)(メタ)アクリレート〔メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等〕が挙げられる。
その他の(メタ)アクリレートの具体例としては、たとえばメチルエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピルエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルエチレングリコール、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート等のアルキルエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルプロピレングリコールアクリレート、ブチルプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート等のアルキルプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記(メタ)アクリレートは複素環基を含有していても良く、該複素環基としては、酸素、窒素、イオウ等のヘテロ原子を含む複素環の残基である。この(メタ)アクリレート中に含まれる複素環基の種類は特に限定されるものではないが、たとえばフルフリル基、テトラヒドロフルフリル基を有するフルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが好ましい。その他複素環基を有する(メタ)アクリレートとしては、フルフリルエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルエチレングリコール(メタ)アクリレート、フルフリルプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のフルフリル基あるいはテトラヒドロフルフリル基を有するアルキレングリコールアクリレートが挙げられる。
【0014】
前記(メタ)アクリレート化合物およびそのプレポリマーの分子量は通常500未満、好ましくは300以下である。なお、前記(メタ)アクリレート化合物は単独で使用してもよいが二種類以上を混合して使用することもできる。
また、前記(メタ)アクリレート化合物の使用割合は、非水電解液に対して50重量%以下、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。
【0015】
さらに多官能(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイル基を二個以上有するモノマーあるいはプレポリマーが挙げられる。特に三個の(メタ)アクリロイル基を有する3官能の(メタ)アクリレートが、保液性、イオン伝導度、強度にすぐれた高分子ゲル電解質を与える点で最も好ましい。前記多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。架橋型高分子マトリクスを形成するには、特に単官能モノマーと多官能モノマーの組み合わせが好ましい。単官能性モノマーに多官能性モノマーを併用する場合、該多官能性モノマーが多官能(メタ)アクリレートである場合、該多官能(メタ)アクリレートの添加量は非水電解液に対して4重量%以下、好ましくは0.05〜2重量%である。特に、3官能(メタ)アクリレートを併用する場合には2重量%以下、好ましくは0.05〜0.5重量%が好ましい。
【0016】
また、前記モノマーの重合開始剤としては、カルボニル化合物、例えばベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、α−フェニルベンゾイン等)、アントラキノン類(アントラキノン、メチルアントラキノン、クロルアントラキノン等)、その他の化合物(ベンジル、ジアセチル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート等)、イオウ化合物(ジフェニルスルフィド、ジチオカーバメート等)、多縮合環系炭化水素のハロゲン化物(α−クロルメチルナフタリン等)、色素類(アクリルフラビン、フルオレセン等)、金属塩類(塩化鉄、塩化銀等)、オニウム塩類(p−メトキシベンゼンジアゾニウム、ヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルアイオドニウム、トリフェニルスルフォニウム等)などの光重合開始剤が挙げられる。これらは単独でもあるいは二種以上の混合物としても使用できる。好ましい光重合開始剤はカルボニル化合物、イオウ化合物およびオニウム塩類である。熱重合開始剤としては有機過酸化物として、イソブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシピバレート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ビス−(4−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(n−プロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネートなどが挙げられ、アゾ系化合物としては、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに、増感剤、貯蔵安定剤も必要により併用でき、上記熱重合開始剤、光重合開始剤等も併用して使用することもできる。
増感剤としては、尿素、ニトリル化合物(N,N−ジ置換−p−アミノベンゾニトリル等)、リン化合物(トリ−n−ブチルホスフィン等)が好ましく、貯蔵安定剤としては、第4級アンモニウムクロライド、ベンゾチアゾール、ハイドロキノンが好ましい。重合開始剤の使用量は全モノマーに対し、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%である。増感剤、貯蔵安定剤の使用量は全モノマー100重量部に対し、通常0.1〜5重量部が好ましい。
【0017】
本発明のイオン伝導性高分子固体電解質が非水電解液を含有する場合、非水電解液としては、電解質塩を非水溶媒に溶解させたものが挙げられ、非水電解液中の電解質塩の濃度は非水溶媒中、通常1.0〜7.0モル/リットル、特に、1.0〜5.0モル/リットルが好ましい。また、非水電解液はマトリクスを形成する高分子量重合体に対し、通常200重量%以上、400〜900重量%が好ましく、特に500〜800重量%が好ましい。200重量%より低いとイオン伝導度が低下し、電池特性が劣化するため不適当である。
前記非水溶媒として特に含フッ素環状炭酸エステルおよび含フッ素鎖状炭酸エステルのうちの少なくとも一種を含有させることにより、高分子ゲル電解質の固体強度が向上し、さらに含フッ素環状炭酸エステル、含フッ素鎖状炭酸エステルは誘電率が高いため、更にイオン伝導度を向上させることができる。また、含フッ素溶媒の使用によって、難燃化の効果も付与され安全性が向上すると考えられる。
【0018】
前記ハロゲン置換鎖状炭酸エステルとしては、例えば下記一般式(B)で表されるものがあげられる。
【化3】
(式中、R1、R2は炭素数1〜4のハロゲン置換あるいは非置換アルキル基、水素、ハロゲンを示す。但し、R1とR2の少なくとも一方には少なくとも1個のハロゲンが必ず存在する。また、R1、R2は同一であっても、また異なっていても良い。)
前式(B)において、R1及びR2としては、炭素数1〜4の非置換のアルキル基の場合にはメチル基、エチル基等が好ましい。また、ハロゲン置換アルキル基の場合には、クロロメチル基、2−クロロエチル基、ジクロロメチル基、2,2−ジクロロエチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基、ヘプタクロロプロピル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタクロロブチル基、フルオロメチル基、2−フルオロエチル基、ジフルオロメチル基、2,2−ジフルオロエチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ブロモメチル基、2−ブロモエチル基、ジブロモメチル基、2,2−ジブロモエチル基、トリブロモメチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、アイオドメチル基、2−アイオドエチル基等の2位以上の位置でハロゲン置換されたものが好ましい。ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素、沃素等があげられるが、特に難燃化には臭素原子置換のものが好ましく、サイクル特性向上にはフッ素原子置換のものが特に効果がある。
【0019】
前記ハロゲン置換環状炭酸エステルとして、例えば下記式(C)で表されるものがあげられる。
【化4】
(式中、R3、R4は炭素数1〜2のハロゲン置換あるいは非置換アルキル基、水素、ハロゲンを示す。但し、R3とR4の少なくとも一方には、少なくとも1個のハロゲンが必ず存在する。また、R3、R4は同一であっても、また異なっていても良い。)
前式(C)において、R3及びR4としては、炭素数1〜2の非置換アルキル基である場合にはメチル基が好ましい。また、ハロゲン置換アルキル基の場合にはクロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基等の1以上のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましい。ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素、沃素等があげられるが、特に難燃化には臭素原子置換のものが好ましく、サイクル特性向上にはフッ素原子置換のものが特に効果がある。
【0020】
前式(B)で表されるハロゲン置換鎖状炭酸エステルと前式(C)で表されるハロゲン置換環状炭酸エステルは単独でも2種以上混合して用いても良い。
具体的にハロゲン置換鎖状炭酸エステルを例示すると、メチル−2−クロロエチル炭酸エステル、メチル−2,2,2−トリクロロエチル炭酸エステル、メチル−2,2,2−トリフルオロエチル炭酸エステル、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)炭酸エステル、メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル炭酸エステル等があげられる。
また、ハロゲン置換環状炭酸エステルとしてはフルオロメチルエチレンカーボネート、ジフルオロメチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ヨードエチレンカーボネート、トリブロモエチレンカーボネート、トリヨードエチレンカーボネート、トリクロロエチレンカーボネート、トリクロロメチルエチレンカーボネート、トリブロモメチルエチレンカーボネート、トリヨードメチルエチレンカーボネート等があげられるが、これらに限定されるものではない。
これらハロゲン置換炭酸エステルを使用することにより、特に難燃化効果とともにイオン伝導度、弾性率、溶媒保持率を向上したゲル電解質を得ることができ、また低温のイオン伝導度を向上することができる。
前記非水電解液の構成溶媒中のハロゲン置換鎖状炭酸エステル混合比率は5〜80容量%が好ましく、さらに20〜70容量%が好ましく、特に30〜50容量%が好ましい。また、ハロゲン置換環状炭酸エステル混合比率は20〜95容量%が好ましく、さらに30〜80容量%が好ましく、特に50〜70容量%が好ましい。
【0021】
また、非水溶媒としては電解液構成溶媒として例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタンの他、メチルグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、エチルグライム、エチルジグライム、ブチルジグライム等も使用でき、また、これら溶媒は単独でも2種以上混合して用いてもよく、前記含フッ素環状炭酸エステル、含フッ素鎖状炭酸エステルと混合して用いてもよい。
【0022】
本発明の高分子固体電解質は非水電解液を含有させる場合、非水溶媒に溶解させる電解質塩を具体的に例示すると、ルイス酸複塩としては、たとえばLiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiSbF6などが挙げられる、スルホン酸電解質塩としては、たとえばLiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiC(CH3)(CF3SO2)2、LiCH(CF3SO2)2、LiCH2(CF3SO2)、LiC2F5SO3、LiN(C2F5SO2)2、LiB(CF3SO2)2などが挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明で使用される電解質塩としては他にLiClO4、LiCF3CO3、NaClO3、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2等があげられるが、これに限定されるものではなく、通常の非水電解液に用いられるものであれば特に制限はない。なお、これら電解質塩は混合し、使用しても良い。
【0023】
前記高分子固体電解質は電池、コンデンサ、センサ、エレクトロクロミックデバイス、半導体デバイス等の電気化学素子における高分子ゲル電解質層として利用することができる。
本発明の高分子ゲル電解質を電池電解質として用いる場合について詳述する。一般的に電池は正極活物質からなる正極、負極活物質からなる負極、および電解質より構成される。本発明の高分子固体電解質そのものに隔膜としての機能を兼用させることも可能であるが、極間の電界を均一にし、強度を向上させ、得られる電池の信頼性向上のために隔膜と一体化することが好ましく、特に二次電池においてはこのような配慮が必要である。
【0024】
本発明の電池において用いられる正極活物質はTiS2、MoS2、Co2S5、V2O5、MnO2、CoO2等の遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化合物およびこれらとLiとの複合体(Li複合酸化物;LiMnO2、LiMn2O4、LiCoO2、LiNiO2等)が挙げられ、導電材として有機物の熱重合物である一次元グラファイト化物、弗化カーボン、グラファイトあるいは10−2Scm−1以上の電気伝導度を有する導電性高分子、具体的にはポリアニリン、ポリピロール、ポロアズレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリフタロシアニン、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリピリジン、ポリジフェニルベンジジン等の高分子およびこれらの誘導体があげられるが、100%の放電深度に対しても高いサイクル特性を示し、無機材料に比べ比較的過放電に強い導電性高分子を使用することが好ましい。また、バインダーとして、例えばポリ弗化ビニリデンを使用することもできる。さらに、電極はこれらを必要に応じて集電体に塗布、接着、圧着等の方法により担持することにより製造することができる。
【0025】
本発明の電池に用いられる負極材料としてはリチウム、リチウムアルミ合金、リチウムスズ合金、リチウムマグネシウム合金などの金属負極、炭素、炭素ボロン置換体、酸化スズ等のリチウムイオンを吸蔵しうるインターカレート物質などが例示できる。本発明の電池に用いられる炭素質負極活物質としてはグラファイト、ピッチコークス、合成高分子、天然高分子の焼成体があげられるが、本発明では▲1▼フェノール、ポリイミドなどの合成高分子、天然高分子を400〜800℃の還元雰囲気で焼成することにより得られる絶縁性ないし半導体炭素体、▲2▼石炭、ピッチ、合成高分子あるいは天然高分子を800〜1300℃での還元雰囲気で焼成することにより得られる導電性炭素体、▲3▼コークス、ピッチ、合成高分子、天然高分子を2000℃以上の温度で還元雰囲気下焼成することにより得られるもの、および天然グラファイトなどのグラファイト系炭素体が用いられる。特に、メゾフェースピッチ、コークスを2500℃以上の還元雰囲気下焼成してなる炭素体および天然グラファイトが好ましく、これらの複合体も負極として良好な電極特性を有する。炭素体のシート化炭素体と結着剤から湿式抄紙法を用いたり、炭素材料に適当な結着剤を混合した塗料から塗布法により作製される。電極はこれを必要に応じて集電体に塗布、接着、圧着等の方法により担持することにより製造することができる。
【0026】
本発明の電池は高分子固体電解質を従来の電池における固体電解質のかわりに用いて製造することができる。電極や隔膜等の電池要素に高分子固体電解質形成用組成物を含浸させ、加熱重合手段により粘弾性体とし、固体電解質と電池要素の一体化を行うことが好ましく、電池要素と前記高分子固体電解質が一体化していれば正極、負極での電極反応およびイオンの移動をスムーズに進行させることができ、電池の内部抵抗を大幅に低減することができる。
また、従来のリチウムイオン電池の様に電池要素を組み込み、高分子固体電解質形成用組成物を注液し、加熱重合により高分子ゲル電解質層を形成させ、電池要素との一体化を行うというような従来の工法を利用した電池製造法も可能となる。
【0027】
本発明に使用する正極集電体としては、たとえばステンレス鋼、金、白金、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、チタン等の金属シート、金属箔、金属網、パンチングメタル、エキスパンドメタル、あるいは金属めっき繊維、金属蒸着線、金属含有合成繊維等からなる網や不織布があげられる。特にアルミニウム、ステンレスを用いることが好ましく、さらに好ましくは軽量性、電気化学安定性からアルミニウムが好ましい。また、正極集電体層および負極集電体層の表面は粗面化してあることが好ましい。粗面化処理としてはエメリー紙による研磨、ブラスト処理、化学的あるいは電気化学的エッチングがあり、これにより集電体を粗面化することができる。特にステンレス鋼の場合はブラスト処理、アルミニウムの場合はエッチング処理したエッチドアルミニウムが好ましい。
【0028】
本発明の電池においては、セパレータを使用することもできる。セパレータの例としてはガラス繊維、フィルター、ポリエステル、テフロン、ポリフロン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子繊維からなる不織布フィルター、ガラス繊維とそれらの高分子繊維を混用した不織布フィルターなどをあげることができる。
本発明の電池は上述したイオン伝導性高分子ゲル電解質を構成要素とすることで、充放電の繰り返し後でも電池のエネルギー密度の低下のない、電池特性の優れた、安全性の高いポリマー電池とすることができる。また、電池製造法も種々選択できるので、本発明のポリマー電池は形状、形態等は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、カード型、大容量用型など種々に適応できる。なお、本発明における高分子固体電解質は非水溶媒を含まない固体電解質及び非水溶媒を含んだゲル電解質のことを意味する。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において、部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。なお、非水溶媒および電解質塩は十分に精製を行い、水分20ppm以下としたもので、さらに脱酸素および脱窒素を行った電池グレードのものを使用し、すべての操作は不活性ガス雰囲気下で行った。また、イオン伝導度の測定は25℃で対極として底面を除いた内周面を絶縁テープで被覆したSUS製円筒状容器(内径20mm)を用い、この容器に固体電解質を充填しその固体電解質表面に作用極として直径18mmのSUS製円柱体を圧着させることによって行った(イオン伝導度測定用セル)。
【0030】
実施例1
イオン伝導性高分子固体電解質(I)
エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート(50/50:vol比)に溶解した1.5mol/lのLiPF6溶液の電解液80部に、含フッ素モノマーとしてビス(ヘキサフルオロ−2−プロピル)イタコネート5部、アクリレートモノマーとしてメチルジエチレングリコールメタクリレート15部、熱重合開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.06部を添加混合溶解し、重合性溶液を調整した後、70℃、1時間にて電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0031】
実施例2
イオン伝導性高分子固体電解質(II)
エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート(60/40:vol比)に溶解した2.0mol/lのLiN(CF3SO2)2溶液の電解液86部に、含フッ素モノマーとしてヘプタフルオロ−2−プロピルアリルエーテル10部、アクリレートモノマーとしてジエチレングリコールジアクリレート4部、光重合開始剤としてベンゾインイソプロピルエーテル0.06部を添加混合溶解し、光重合性溶液を調整した後、コールドミラー集光装置付き高圧水銀灯にて照射し、電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0032】
実施例3
イオン伝導性高分子固体電解質(III)
エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート(50/50:vol比)に溶解した1.5mol/lのLiPF6溶液の電解液80部に、含フッ素モノマーとして2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート/H(CF2)CF2CH2OOCCH=CH2:4部、単官能性モノマーとしてエチルジエチレングリコールアクリレート16部、多官能性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート0.2部、熱重合開始剤としてビス−(4−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.056部を添加混合溶解し、重合性溶液を調整した後、60℃、1時間にて電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0033】
実施例4
イオン伝導性高分子固体電解質(IV)
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート(50/50:vol比)に溶解した2.0mol/lのLiPF6溶液の電解液85部に、含フッ素モノマーとして1,4−ジビニルオクタフルオロブタン2部、アクリレートモノマーとしてメチルジエチレングリコールアクリレート13部、光重合開始剤としてベンゾインブチルエーテル0.05部を添加混合溶解し、光重合性溶液を調合後、実施例2と同様に高圧水銀灯にて照射し、電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度および高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0034】
実施例5
イオン伝導性高分子固体電解質(V)
エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート/ジメチルカーボネート(50/20/30:vol比)に溶解した1.8mol/l−LiN(CF3SO2)2+0.2mol/l−LiBF4溶液の電解液86部に、単官能性モノマーとしてエチルジエチレングリコールアクリレート10.8部、多官能性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート0.2部、含フッ素モノマーとして2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート3部、光重合開始剤としてベンゾインイソプロピルエーテル0.056部を添加混合溶解し、光重合性溶液を調整した後、実施例2と同様に高圧水銀灯にて照射し、電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0035】
実施例6
イオン伝導性高分子固体電解質(VI)
エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート(60/40:vol比)に溶解した1.5mol/lのLiPF6溶液の電解液84部に、単官能性モノマーとしてエチルジエチレングリコールアクリレート10.7部、多官能性モノマーとしてEO変性トリメチロールプロパントリアクリレート0.3部、含フッ素モノマーとして2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート5部、熱重合開始剤としてビス−(4−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.06部を添加混合溶解し、重合性溶液を調整した後、60℃、0.5時間にて電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0036】
実施例7
イオン伝導性高分子固体電解質(VII)
トリフルオロメチルエチレンカーボネート/メチル(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート(70/30:vol比)に溶解した2.0mol/l−LiPF6溶液の電解液85部に、単官能性モノマーとしてメチルジエチレングリコールアクリレート10.7部、多官能性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート0.3部、含フッ素モノマーとして2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート4部、光重合開始剤としてメチルベンゾイルフォーメート0.05部を添加混合溶解し、光重合性溶液を調整した後、実施例2と同様に高圧水銀灯にて照射し、電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。なお、この高分子固体電解質は難燃性に効果が見られた。
【0037】
実施例8
電気化学素子(I)の作製
ポリ弗化ビニリデン3重量部をN−メチルピロリドン38重量部に溶解して、活物質としてLiCoO250重量部と導電剤として黒鉛9重量部を加えてホモジナイザーにて不活性雰囲気下で混合分散し、正極用塗料を調整した。これを大気中にてワイヤーバーを用いて20μmSUS箔上に塗布し、125℃30分間乾燥させ、膜厚60μmの電極を作製した。これを正極とし、対極はLi板として、実施例6で調整した重合性溶液を同様に電解液を固体化したのち、充放電試験を行った。充放電試験は北斗電工製HJ−201B充放電測定装置を用いて、0.4mAの電流で電池電圧が3.7Vになるまで充電し、1時間の休止後、0.4mAの電流で、電池電圧が2.5Vまで放電し、以下この充放電を繰り返したところ、良好なサイクル特性を示し、電池容量密度の50サイクル後のサイクル劣化はほとんど見られなかった(容量保持率95.6%)。また、低温(0℃)での電池特性も良好であった(表2)。
【0038】
実施例9
電気化学素子(II)の作製
(負極電池特性の評価)
ポリ弗化ビニリデン2重量部をN−メチルピロリドン58重量部に溶解してコークスの2500℃焼成品40重量部を加えて、ロールミル法にて不活性雰囲気下で混合分散し、負極用塗料を調整した。これを大気中にてワイヤーバーを用いて20μm銅箔上に塗布、100℃15分間乾燥させ、膜厚60μmの電極を作製した。これを負極とし、対極はLi板として実施例5で調整した重合性溶液を浸透させ、同様に電解液を固体化し、充放電試験を行った。充放電試験は北斗電工製HJ−201B充放電測定装置を用いて、1.5mAの電流で0Vになるまで定電流で以降3時間定電圧充電し、1時間の休止後、1.5mAの電流で電池電圧が0.8Vまで放電し、以下この充放電を繰り返したところ、良好なサイクル特性を示し、電池容量密度の50サイクル後のサイクル劣化はほとんど見られなかった(容量保持率95.5%)。また、低温(0℃)での電池特性も良好であった(表2)。
【0039】
比較例1
含フッ素モノマーとしてビス(ヘキサフルオロ−2−プロピル)イタコネート20部のみを使用した以外は実施例1と同様に電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。また、電解液を全ては含包できず、固体部分と溶液部分に分離がみられた。
【0040】
比較例2
ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP/HFP=15%)1.5gをアセトン10gとジブチルフタレート1.5gに約50℃で混合溶解し、ガラス基板上にキャストし、室温で1時間乾燥成膜したのち、1mol/l−エチレンカーボネート/プロピレンカーボネートに浸漬し、電解液を含有させ、イオン伝導性高分子固体電解質を得た。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0041】
比較例3
含フッ素モノマーとして、1,4−ジビニルオクタフルオロブタン2部を使用する変わりにイソプレンを使用した以外は実施例4と同様に電解液の固体化を試みた。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0042】
比較例4
電気化学素子(III)の作製
比較例2で作製した高分子固体電解質を用いて、実施例9と同様に充放電試験を行った。電池容量密度の50サイクル後のサイクル劣化は大きく(容量保持率50.5%)、また、低温(0℃)での電池特性も不良で、ほとんど放電できなかった(表2)。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【効果】
請求項1〜7
イオン伝導度が低下することなく、弾性率の高い、高分子固体電解質が作製できる。さらに請求項2〜7については、特に下記のような効果がある。
請求項2
弾性率向上に効果があり、固体強度向上した安全性の高い高分子固体電解質を得ることができる。
請求項3
イオン伝導度向上及び低温特性の向上に効果がある。
請求項4〜5
架橋によりイオン伝導度が低下することなく、弾性率の高い、高分子固体電解質が作製でき、特に弾性率向上に効果があり、固体強度向上した安全性の高い高分子固体電解質を得ることができる。
請求項6
非水溶媒に相溶性が向上し、Liイオンとの高分子マトリクスの配位架橋構造をとり、イオン伝導度を低下させることなく、より固体強度の高い高分子固体電解質を得ることができる。
請求項7
固体強度が高く、イオン伝導度の低下がなく、難燃化のような安全性にも寄与する高分子固体電解質を得ることができる。
請求項8
液もれがなく、安全で充放電効率、サイクル特性、低温特性など電池特性の優れた非水系固体二次電池を作製できる。
Claims (8)
- 高分子マトリクスを構成成分とするイオン伝導性高分子固体電解質において、高分子マトリクスが(メタ)アクリレートモノマーと含フッ素モノマーの共重合体であることを特徴とするイオン伝導性高分子固体電解質。
- 含フッ素モノマーが、含フッ素オレフィンモノマー、含フッ素(メタ)アクリレートモノマー、含フッ素アリルエーテルおよび含フッ素イタコネートモノマーよりなる群から選ばれた少なくとも1種のものである請求項1記載のイオン伝導性高分子固体電解質。
- 含フッ素オレフィンモノマーの少なくとも1種がジエン構造物で、高分子マトリクスが架橋高分子マトリクスである請求項1または2記載のイオン伝導性高分子固体電解質。
- (メタ)アクリレートモノマーが単官能性モノマーと多官能性モノマーを併用したものである請求項1〜4のいずれかに記載のイオン伝導性高分子固体電解質。
- 少なくとも一種の(メタ)アクリレートモノマーがアルキレンオキサイドで変性されたものである請求項1〜5のいずれかに記載のイオン伝導性高分子固体電解質。
- 非水溶媒を含有するイオン伝導性高分子固体電解質において、該非水溶媒として含フッ素環状炭酸エステルおよび/または含フッ素鎖状炭酸エステルの少なくとも一種を含有する請求項1〜6のいずれかに記載のイオン伝導性高分子固体電解質。
- 請求項1〜7のうちいずれかに記載のイオン伝導性高分子固体電解質を構成要素とすることを特徴とする電池。
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