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JP3620248B2 - リビングラジカル重合開始剤系及びそれを用いる重合体の製造方法 - Google Patents
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JP3620248B2 - リビングラジカル重合開始剤系及びそれを用いる重合体の製造方法 - Google Patents

リビングラジカル重合開始剤系及びそれを用いる重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リビングラジカル重合開始剤系に関し、より詳しくは、分子量を制御しつつ分子量分布の狭いリビング重合体を比較的短時間で容易に得ることができるリビングラジカル重合開始剤系とそれを用いる重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビニル化合物等のラジカル重合可能な単量体から、分子量を制御しつつ分子量分布の狭い重合体を製造する方法として、種々のリビングラジカル重合法が提案されている。例えば、イニファーター法(Makromol.Chem.,Rapid Commun.,Vol.3,127(1982))、ヨウ素移動重合法(Contemporary Topics in Polymer Science,Vol.4,764(1984);Polymer Prep.Jap.,Vol.43(2),255(1994);Macromolecules,Vol.28,2093(1995))、安定化ラジカルを用いる方法(USP4,581,429(1986);Macromolecules,Vol.26,2987(1993);J.Am.Chem.Soc.,Vol.116,11185(1994))、遷移金属錯体を用いる方法(Macromolecules,Vol.28,1721(1995);J.Am.Chem.Soc.,Vol.117,5614(1995);J.Am.Chem.Soc.,Vol.116,7943(1994);特開平8−41117号公報)等が提案されている。
【0003】
これらの方法の中で遷移金属錯体を用いる方法は、重合可能な単量体の範囲が広く、また分子量の制御も比較的容易であり、ブロック共重合体の合成が可能である等、汎用性の高いリビングラジカル重合方法として知られており、その中でも特開平8−41117号公報に記載の方法においては、その実施例によれば中心金属として周期律表第8族元素(化学便覧基礎編I改訂4版(日本化学会編、1993年)記載の周期律表によれば第8〜10族元素に相当)から選ばれたルテニウムに塩素とトリフェニルホスフィンとを同時に配位させた金属錯体と、ハロゲン化炭化水素として四塩化炭素と、ルイス酸としてビス(2,6―ジ−t−ブチルフェノキシ)メチルアルミニウムとを併用したリビングラジカル重合開始剤系の存在下で、不飽和カルボン酸系単量体をリビングラジカル重合させて、分子量を制御しつつ分子量分布の狭い重合体が得られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リビングラジカル重合では生長種が不安定なラジカルであるため、リビング性を保つために重合系中の活性ラジカル濃度を低く保つ必要があり、それゆえ古典的なフリーラジカル重合と比較して重合完結に長時間を要するという問題がある。重合時間短縮のために、高温で重合を行うことも考えられるが、重合温度を過度に高めると副反応を誘発することが懸念される。ルテニウムを中心金属とする金属錯体等からなるリビングラジカル重合開始剤系を使用する特開平8−41117号公報に記載のリビングラジカル重合法では、ルイス酸として上記のビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)メチルアルミニウムを使用する場合には、重合反応速度が高められるが、副反応を抑制することができず、得られた重合体は副反応により生成した重合体を含むため、二峰性の分子量分布曲線を有する。また、同公報に記載のリビングラジカル重合法においても、使用するルイス酸の種類によっては、結果として重合時間が長くなり、重合体の製造効率を十分に向上させることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の従来の技術の課題を解決しようとするものであり、ラジカル重合性単量体をリビングラジカル重合させる際に、分子量分布の狭い重合体を、分子量を制御しつつ副反応を抑制して比較的短時間で得られるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、中心金属として周期律表第10族元素(化学便覧基礎編I改訂4版(日本化学会編、1993年)参照)から選ばれた金属に一酸化炭素とリン化合物とを同時に配位させた金属錯体と、ハロゲン化スルホニル基及び不飽和結合を持たない炭素に結合したハロゲン原子の少なくともいずれか一方を有する化合物と、ルイス酸とから構成したリビングラジカル重合開始剤系を使用することにより上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、下記の成分(A)、(B)及び(C):
(A) 周期律表第10族元素から選ばれた中心金属に、配位子として一酸化炭素とリン化合物とが同時に配位してなる金属錯体;
(B) ハロゲン化スルホニル基及び不飽和結合を持たない炭素原子に結合したハロゲン原子の少なくともいずれか一方を有する化合物; 及び
(C) ルイス酸
からなることを特徴とするリビングラジカル重合開始剤系を提供する。
【0008】
また、本発明は、上述のリビングラジカル重合開始剤系の存在下で、ラジカル重合性単量体をリビング重合させることを特徴とする重合体の製造方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明のリビングラジカル重合開始剤系は、成分(A)金属錯体、成分(B)ハロゲン化スルホニル基及び不飽和結合を持たない炭素原子に結合したハロゲン原子の少なくともいずれか一方を有する化合物、及び成分(C)ルイス酸からなる。なお、上記成分(B)について使用する用語「不飽和結合」は、通常の二重結合、三重結合の外、芳香族環を表記するために便宜上使用される二重結合をも包含する。
【0011】
成分(A)の金属錯体は、周期律表第10族元素から選ばれた中心金属に配位子として一酸化炭素とリン化合物とのそれぞれ少なくとも一つが同時に配位した錯体である。この金属錯体を使用することによりリビングラジカル重合反応速度を速めることができる。
【0012】
ここで、周期律表第10族元素としては、ニッケル、パラジウム又は白金を挙げることができ、ニッケルを好ましく挙げることができる。中心金属として周期律表第10族元素を使用することにより、中心金属としてルテニウムを使用した従来の場合では困難であった、分子量分布が狭く単峰性の分子量分布曲線を有する重合体を、高いリビングラジカル重合速度で製造することが可能となる。
【0013】
また、周期律表第10族元素から選ばれた中心金属に配位して錯体を形成する配位子として、一酸化炭素及びリン化合物を同時に配位させることにより、それらのいずれかを塩素等に代えた場合に比べてリビングラジカル重合速度を速めることができる。
【0014】
配位子のリン化合物の例としては、好ましくはトリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリナフチルホスフィン等のトリアリールホスフィン、トリブチルホスファイト等のトリアルキルホスファイト、トリフェニルホスファイト等のトリアリールホスファイト、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等のビスホスフィノアルカン、ホスファアルケンなどを挙げることができ、中でもトリフェニルホスフィンがより好ましい。
【0015】
なお、成分(A)の金属錯体の中心金属には、一酸化炭素及びリン化合物以外の配位子が配位していてもよく、その配位子としては、特に限定されるものではないが、アルケン、アルキン、カルベン、アルキル、アリール、アシル、ハロゲン、水素等を挙げることができる。
【0016】
以上説明したような成分(A)の金属錯体の具体例としては、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジカルボニルビス(トリブチルホスフィン)ニッケル、ジカルボニルビス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、ブロモビスカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジブロモカルボニルビス(トリエチルホスフィン)ニッケル、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、カルボニルクロロビス(トリエチルホスフィン)バラジウムテトラフルオロボレート、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)プラチナ、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)プラチナ、カルボニルクロロビス(トリフェニルホスフィン)プラチナ、カルボニルジクロロ(トリエチルホスフィン)プラチナ、ジブロモカルボニル(トリエチルホスフィン)プラチナ、ブロモ(カルボニル)メチル(トリフェニルホスフィン)プラチナ等を挙げることができる。
【0017】
本発明において、成分(B)の化合物は、ハロゲン化スルホニル基及び不飽和結合を持たない炭素原子に結合したハロゲン原子の少なくともいずれか一方を有する。この化合物は、成分(A)の金属錯体の作用により、不飽和結合を持たない炭素原子とそれに結合したハロゲン原子との間、又はハロゲン化スルホニル基のS原子とハロゲン原子との間で切断され、それによりラジカル活性種を発生させて重合を開始させる機能を有するものと考えられる。
【0018】
好ましい成分(B)の化合物としては、式(B1)又は(B2)
【0019】
【化3】
CX (B1)
RSOX (B2)
(式中(B1)又は(B2)中、X及びXはそれぞれハロゲン原子を示し、X、X及びXはそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基及びヘテロ原子含有有機基からなる群から選ばれる基であり、Rは置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアリール基である。)
で表される化合物を挙げることができる。
【0020】
上記式(B1)において、Xのハロゲン原子としては、ヨウ素、臭素又は塩素を挙げることができる。
【0021】
また、X、X及びXはそれぞれ独立的に選択される基であるので互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、X、X及びXのハロゲン原子としては、ヨウ素、臭素又は塩素を挙げることができる。また、アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等を挙げることができ、これらはエステル基、ケトン基、エーテル基、チオエステル基、チオエーテル基、イミノ基、アミド基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピラニル基、フラニル基、ピリジル基等を挙げることができ、これらもエステル基、ケトン基、エーテル基、チオエステル基、チオエーテル基、ハロゲン化スルホニル基、イミノ基、アミド基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。ヘテロ原子含有有機基としては、酸素、窒素、イオウ等のようなヘテロ原子を含む炭素数1〜10の有機基であり、エステル、ケトン、エーテル、チオエステル、チオエーテル、イミン、アミド結合等を有する有機基を挙げることができる。
【0022】
以上のような式(B1)の化合物の具体例としては、四塩化炭素、ブロモトリクロロメタン、ジクロロジブロモメタン、クロロトリブロモメタン、四臭化炭素、ヨードトリクロロメタン、ジクロロジヨードメタン、クロロトリヨードメタン、四ヨウ化メタン、ヨードトリブロモメタン、ジブロモジヨードメタン、ブロモトリヨードメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、塩化メチル、ブロモホルム、ジブロモメタン、臭化メチル、ヨードホルム、ジヨードメタン、ヨウ化メチル、1,1,1−トリクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、塩化エチル、2,2−ジクロロプロパン、塩化イソプロビル、塩化t−ブチル、1,1,1−トリブロモエタン、1,1−ジブロモエタン、臭化エチル、2,2−ジブロモプロパン、臭化イソプロビル、臭化t−ブチル、1,1,1−トリヨードエタン、1,1−ジヨードエタン、ヨウ化エチル、1,1−ジヨードエタン、ヨウ化エチル、2,2−ジヨードプロパン、ヨウ化イソプロピル、ヨウ化t−ブチル、1−ブロモ−1,1−ジクロロエタン、1−クロロ−1,1−ジブロモエタン、1−ブロモ−1−クロロエタン、1−ヨード−1,1−ジクロロエタン、1−クロロ−1,1−ジヨードエタン、2−クロロ−2−ヨードプロパン、1−ヨード−1,1−ジブロモエタン、2−ブロモ−2−ヨードプロパン、1−フェニルエチルブロミド、2,2−ジクロロアセトフェノン、2−ブロモ酪酸エチル、2−ブロモ−2−メチルマロン酸ジメチル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル、キシリレンジクロリド、キシリレンジブロミド、キシリレンジヨージド等を挙げることができる。
【0023】
また、式(B2)において、Xのハロゲン原子としては、ヨウ素、臭素又は塩素を挙げることができる。また、Rのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等を挙げることができ、これらは、エステル基、ケトン基、エーテル基、チオエステル基、チオエーテル基、ハロゲン化スルホニル基、イミノ基、アミド基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピラニル基、フラニル基、ピリジル基等を挙げることができ、これらも、ハロゲン化スルホニル基、エステル基、ケトン基、エーテル基、チオエステル基、チオエーテル基、ハロゲン化スルホニル基、イミノ基、アミド基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
【0024】
以上のような式(B2)の化合物の具体例としては、塩化トリクロロメタンスルホニル、臭化トリクロロメタンスルホニル、ヨウ化トリクロロメタンスルホニル、塩化ジクロロメタンスルホニル、臭化ジクロロメタンスルホニル、ヨウ化ジクロロメタンスルホニル、塩化クロロメタンスルホニル,臭化クロロメタンスルホニル、ヨウ化クロロメタンスルホニル、塩化メタンスルホニル、臭化メタンスルホニル、ヨウ化メタンスルホニル、塩化ジブロモメタンスルホニル、臭化ジブロモメタンスルホニル、ヨウ化ジブロモメタンスルホニル、塩化ブロモメタンスルホニル、臭化ブロモメタンスルホニル、ヨウ化ブロモメタンスルホニル、塩化ジヨードメタンスルホニル、臭化ジヨードメタンスルホニル、ヨウ化ジヨードメタンスルホニル、塩化ヨードメタンスルホニル、臭化ヨードメタンスルホニル、ヨウ化ヨードメタンスルホニル、塩化クロロメタンスルホニル、臭化クロロメタンスルホニル、ヨウ化クロロメタンスルホニル、塩化トリブロモメタンスルホニル、臭化トリブロモメタンスルホニル、ヨウ化トリブロモメタンスルホニル、塩化トリヨードメタンスルホニル、臭化トリヨードメタンスルホニル、ヨウ化トリヨードメタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、塩化パラクロロベンゼンスルホニル、塩化パラメチルベンゼンスルホニル、塩化パラニトロベンゼンスルホニル、臭化ベンゼンスルホニル、臭化パラクロロベンゼンスルホニル、臭化パラメチルベンゼンスルホニル、臭化パラニトロベンゼンスルホニル、二塩化1,4−ジスルホニルベンゼン、二臭化1,4−ジスルホニルベンゼン、二ヨウ化1,4−ジスルホニルベンゼン、二塩化2,6−ジスルホニルナフタレン、二臭化2,6−ジスルホニルナフタレン、二ヨウ化2,6−ジスルホニルナフタレン等を挙げることができる。
【0025】
本発明において、成分(C)のルイス酸は、成分(A)の金属錯体と協働してリビングラジカル重合の進行を円滑にする活性化剤として用いられており、好ましくは式(C1)又は(C2)
【0026】
【化4】
AlY (C1)
MZ (C2)
(式(C1)又は(C2)中、Y、Y、Y、Z、Z、Z及びZは、それぞれ独立的にハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアルコキシ基又は置換されてもよいアリールオキシ基であり、MはTi(IV)又はSn(IV)である。)
で表される化合物を挙げることができる。
【0027】
また、式(C1)又は(C2)において、Y、Y、Y、Z、Z、Z又はZのハロゲン原子は、塩素、臭素又はヨウ素である。また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロビル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0028】
また、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。これらも、1以上の炭素数1〜5のアルキル基等で置換されていてもよく、好ましくはメチルフェニル基、エチルフェニル基、メチルナフチル基等を挙げることができる。
【0029】
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロボキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等を挙げることができる。
【0030】
アリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、ナフトキシ基等を挙げることができる。これらは、芳香環上に1以上の炭素数1〜5のアルキル基等で置換されていてもよく、好ましくは、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジエチルフェノキシ基、2,6−ジ−n−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基等を挙げることができる。
【0031】
以上の式(C1)のルイス酸の好ましい具体例としては、特に、トリアルコキシアルミニウムを挙げることができ、中でもトリイソプロポキシアルミニウムを好ましく挙げることができる。
【0032】
また、式(C2)のルイス酸の好ましい具体例としては、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等のハロゲン化チタン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn−ブトキシド等のチタンテトラアルコキシド、四塩化スズ、四臭化スズ、四ヨウ化スズ等のハロゲン化スズを挙げることができる。
【0033】
本発明のリビングラジカル重合開始剤系において、成分(A)の金属錯体と成分(B)の化合物の配合モル比率は、後者が少なすぎると重合速度が遅くなり、多すぎると分子量分布が広くなるので、(A)/(B)が好ましくは0.1〜100、より好ましくは0.5〜10の範囲である。また、成分(B)の化合物と成分(C)のルイス酸の配合モル比率は、後者が少なすぎると重合速度が遅くなり、多すぎると重合反応後の処理が煩雑となるので、(B)/(C)が好ましくは0.05〜5、より好ましくは0.2〜2の範囲である。
【0034】
本発明のリビングラジカル重合開始剤系は、通常、使用直前に成分(A)、(B)及び(C)を常法により混合することにより製造することができる。また、成分(A)、(B)及び(C)をそれぞれ別々に保管しておき、重合反応系の中にそれぞれ別々に添加し、重合反応系の中で混合してリビングラジカル重合開始剤系として機能するようにしてもよい。
【0035】
次に、本発明のリビングラジカル重合開始剤系を使用する重合体の製造方法について説明する。
【0036】
この製造方法は、基本的には本発明のリビングラジカル重合開始剤系の存在下で、ラジカル重合性単量体を、好ましくは有機溶媒中でリビング重合させるものである。これにより、重合率の増大にほぼ比例して、得られる重合体の数平均分子量(Mn)を増大させることができ、更に、重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)で表される分子量分布を1に近い値とすることができる。従って、重合の進行時に、連鎖停止や移動反応による重合体が生成することなく、リビング重合を進行させることができる。更に、重合がほぼ完了した重合反応系に新たに単量体を添加すれば、分子量分布(Mw/Mn)が1に近い値を保ったまま数平均分子量を増大させることができる。よって、本発明によれば、重合反応の完了後も、ラジカルの成長末端が停止反応を起こしておらず、リビング状態を保つことができる。
【0037】
本発明の製造方法において使用する有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、イソプロビルベンゼン、キシレン等のような無置換又は1以上のアルキル基置換の芳香族炭化水素を好ましく用いることができる。溶媒の使用量は、溶媒の種類、ラジカル重合性単量体の種類等に応じて適宜決定することができる。
【0038】
重合させるべきラジカル重合性単量体としては、ラジカル重合可能なものであれば特に制限はなく、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、スチレン系単量体、ハロゲン系不飽和単量体、オレフィン系単量体、ジエン系単量体、不飽和カルボン酸単量体等を挙げることができる。これらは2以上を混合して使用することもできる。
【0039】
ここで、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、炭素数1〜12のアルキル基を有する単量体単位、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの四級化物、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルスルホン酸又はそのナトリウム塩、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸エステル、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のN−アルキロールアミド類、エチレングリコール(メタ)アクリレート等を好ましく挙げることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」と「メタクリル酸」との総称であり、同様に、「(メタ)アクリルアミド」とは「アクリルアミド」と「メタクリルアミド」との総称、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」との総称である。
【0040】
ビニルエステル系単量体としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニル等を好ましく挙げることができる。
【0041】
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)などを好ましく挙げることができる。
【0042】
ハロゲン化不飽和単量体としては、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、臭化ビニリデン等を好ましく挙げることができる。
【0043】
オレフィン系単量体としては、エチレン、プロビレン、イソブチレン等を好ましく挙げることができる。
【0044】
ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソブレン、クロロブレン、ネオブレン等を好ましく挙ることができる。
【0045】
不飽和カルボン酸単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸やそれらの塩を好ましく挙げることができる。
【0046】
本発明の製造方法において、重合反応系内のラジカル重合性単量体の初期濃度は、小さすぎると反応速度が遅すぎ、高すぎると生成ラジカルの単量体への連鎖移動反応が増大し、得られる重合体の分子量分布が広くなるので、好ましくは0.01〜5M(モル)/L(リットル)、より好ましくは0.05〜3M/Lの範囲である。その際、成分(B)の化合物の濃度は、ラジカル重合性単量体の濃度に対応させて、好ましくは1〜100mM(ミリモル)/L(リットル)、好ましくは10〜50mM/Lの範囲である。また、成分(A)の金属錯体の濃度は、0.1〜100mM/L、好ましくは1〜100mM/Lの範囲である。成分(C)のルイス酸の濃度は、1〜200mM/L、好ましくは10〜100mM/Lの範囲である。
【0047】
なお、重合反応系内の成分(A)の金属錯体と成分(B)の化合物の好適な配合モル比率、並びに成分(B)の化合物と成分(C)のルイス酸の好適な配合モル比率は、本発明のリビングラジカル重合開始剤系におけるそれらの好適な配合モル比率と同じである。
【0048】
本発明の製造方法において、リビングラジカル重合反応の開始に際しては、アルゴンのような不活性気体の雰囲気下、反応容器に単量体、溶媒、ルイス酸(成分(C))及び金属錯体(成分(A))からなる混合物を調製し、これに開始剤(成分(B))を加えることが好ましい。このようにして得られた混合物を加温することにより重合が開始する。
【0049】
重合温度は、特に、限定されるものではないが、通常、25〜100℃の範囲である。重合時間は、一般に数時間から数十時間程度で十分であり、これによって単量体の重合率を70〜90%程度又はそれ以上とすることができる。
【0050】
重合反応終了後、重合反応系を0℃以下、好ましくは、−78℃程度に冷却して反応を停止させ、次いでトルエン等の有機溶媒で生成重合体を抽出し、希鉱酸水溶液にて重合開始剤系の金属成分等を除去した後、揮発分を蒸発させることによって重合体を得ることができる。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0052】
なお、以下の実施例並びに比較例において、特に断りのない限り、操作はすべて乾燥アルゴンガス雰囲気下で行い、試薬類は容器から注射器により採取し、反応系に添加した。また、溶媒及び単量体は、蒸留によって精製し、これに乾燥アルゴンガスを吹き込んだ後に用いた。
【0053】
実施例1
メタクリル酸メチル2.56mL(24ミリモル)及びn−オクタン2mLをシュレンク反応管に採取し、均一に混合した。この混合溶液にトリイソプロポキシアルミニウムの125mM/Lトルエン溶液7.68mL(0.96ミリモル)を加え、次いで、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルの25mM/Lトルエン溶液19.2mL(0.48ミリモル)を、−78℃で加えて十分に撹拌し、最後にブロモトリクロロメタンの1M/Lトルエン溶液0.48mL(0.48ミリモル)を加えた。得られた混合物を80℃に加温することにより重合反応を開始させた。
【0054】
重合反応を開始後1時間経過した時点で、重合反応系を−78℃に冷却することにより重合反応を停止させた。n−オクタンを内部標準として、得られた反応液中のメタクリル酸メチル濃度をガスクロマトグラフ法にて分析した。その結果、メタクリル酸メチルの重合率は47%であった。
【0055】
また、反応液中に存在するポリメタクリル酸メチルの数平均分子量(Mn)は2100であり、重量平均分子量(Mw)は2810であり、従ってMw/Mnは1.34であった。
【0056】
ここで、Mn及びMwの値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、次の条件にて測定した結果得られた数値である。なお、得られたポリメタクリル酸メチルのGPC曲線は単峰性であった。
【0057】
カラム: ショウデックスK−805L(3本直列)
溶媒 : クロロホルム
温度 : 40℃
検出器: RI
流速 : 1mL/分
【0058】
実施例2
実施例1において、重合反応を開始して25時間後に重合反応を停止させた以外は、実施例1と同様に重合反応を行い、同様に分析した。その結果、メタクリル酸メチルの重合率は95%、数平均分子量は4100、重量平均分子量は5850、Mw/Mnは1.43であり、GPC曲線は単峰性であった。
【0059】
実施例3
実施例1において、重合温度を30℃にした以外は、実施例1と同様にして重合反応を開始させた。重合反応を開始して10時間経過後、重合反応系を冷却して重合反応を停止させ、実施例1と同様にして重合反応の結果を調べた。その結果、メタクリル酸メチルの重合率は35%、数平均分子量は2600、重量平均分子量は3150、Mw/Mnは1.21であり、GPC曲線は単峰性であった。
【0060】
実施例4
実施例3において、重合反応を開始して48時間後に重合反応を停止させた以外は、実施例3と同様に処理して重合反応を調べた。メタクリル酸メチルの重合率は73%、数平均分子量は4600、重量平均分子量は5900、Mw/Mnは1.28であり、GPC曲線は単峰性であった。
【0061】
実施例5
実施例1において、重合温度を10℃にした以外は、実施例1と同様にして、重合反応を開始させた。重合反応を開始して21時間後、重合反応系を冷却して重合反応を停止させ、実施例1と同様にして重合反応の結果を調べた。その結果、メタクリル酸メチルの重合率は24%、数平均分子量は1200、重量平均分子量は1510、Mw/Mnは1.26であり、GPC曲線は単峰性であった。
【0062】
実施例6
実施例5において、重合反応を開始して72時間後に重合反応を停止させた以外は、実施例5と同様に処理して重合反応の結果を調べた。メタクリル酸メチルの重合率は47%、数平均分子量は2300、重量平均分子量は2670、Mw/Mnは1.16であり、GPC曲線は単峰性であった。
【0063】
実施例2を実施例1と比較し、実施例4を実施例3と比較し、また、実施例6を実施例5と比較すれば明らかなように、重合率を増大させると、それにほぼ比例して得られる重合体の数平均分子量(Mn)が増大し、Mw/Mnの値は1に近い値に保たれることがわかる。
【0064】
実施例7
メタクリル酸メチル6.42mL(60ミリモル)及びn−オクタン0.88mLをシュレンク反応管に採取し、均一に混合した。この混合溶液にトリイソプロポキシアルミニウムの125mM/Lトルエン溶液9.6mL(1.2ミリモル)を加え、次いで、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルの25mM/Lトルエン溶液12mL(0.30ミリモル)を−78℃で加え、よく撹拌し、最後にブロモトリクロロメタンの1M/Lトルエン溶液0.60mL(0.60ミリモル)を加えた。これを80℃に加温することにより重合反応を開始させた。
【0065】
重合反応を開始して30分後、重合反応系を冷却することにより重合反応を停止させた以外は、実施例1と同様に処理して重合反応の結果を調べた。その結果、メタクリル酸メチルの重合率は35%、数平均分子量は5200、重量平均分子量は7750、Mw/Mnは1.49であり、GPC曲線は単峰性であった。
【0066】
実施例8
実施例7において、重合反応を開始して24時間後に重合反応を停止させた以外は、実施例7と同様に処理して重合反応の結果を調べた。メタクリル酸メチルの重合率は89%、数平均分子量は11200、重量平均分子量は16350、Mw/Mnは1.46であり、GPC曲線は単峰性であった。
【0067】
比較例1
実施例7において、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルに代えてジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムを用いた以外は、実施例7と同様にして、重合反応を開始させた。重合反応を開始して23時間後に重合反応系を冷却することにより重合反応を停止させた以外は、実施例1と同様に処理して重合反応の結果を調べたところ、メタクリル酸メチルの重合率は75%、数平均分子量は10300、重量平均分子量は13300、Mw/Mnは1.29であった。
【0068】
実施例8と比較例1とを比較すれば明らかなように、金属錯体としてジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルを用いた場合、金属錯体としてジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムを用いた場合に比べ比較的速く重合が完結することがわかる。
【0069】
比較例2
実施例7において、トリイソブロボキシアルミニウムを用いなかった以外は、実施例7と同様にして、重合反応を開始させた。重合反応を開始して22時間後に重合反応系を冷却することにより重合反応を停止させた以外は、実施例1と同様に処理して重合反応の結果を調べたところ、メタクリル酸メチルの重合率は65%、数平均分子量は8500、重量平均分子量は13700、Mw/Mnは1.61であった。
【0070】
実施例8と比較例2とを比較すれば明らかなように、トリイソプロボキシアルミニウムを用いた場合、それを用いなかった場合に比べ、比較的短時間で、狭い分子量分布の重合体が得られることがわかる。
【0071】
比較例3
実施例7において、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルに代えてジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルを用いた以外は、実施例7と同様にして、重合反応を開始させた。重合反応を開始して30分後に重合反応系を冷却することにより重合反応を停止させた以外は、実施例1と同様に処理して重合反応の結果を調べたところ、メタクリル酸メチルの重合率は13%、数平均分子量は1700、重量平均分子量は2500、Mw/Mnは1.47であった。
【0072】
比較例4
実施例7において、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルに代えてテトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケルを用いた以外は、実施例7と同様にして重合反応を開始させた。重合反応を開始して30分後に重合反応系を冷却することにより重合反応を停止させたほかは、実施例1と同様に処理して、重合反応の結果を調べたところ、メタクリル酸メチルの重合率は15%、数平均分子量は2500、重量平均分子量は3600、Mw/Mnは1.44であった。
【0073】
実施例7と比較例3とを比較し、また実施例7と比較例4とを比較すれば明らかなように、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルを用いた場合、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケルを金属錯体として使用した場合に比べ、比較的速く重合が進行することがわかる。
【0074】
実施例9
メタクリル酸メチル6.42mL(60ミリモル)及びn−オクタン0.20mLをシュレンク反応管に採取し、均一に混合した。この混合溶液にトリイソプロボキシアルミニウムの125mM/Lトルエン溶液9.6mL(1.2ミリモル)を加え、次いで、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル384mg(0.6ミリモル)、トルエン13.2mLを−78℃で加え、よく撹拌し、最後にブロモトリクロロメタンの1M/Lトルエン溶液0.60mL(0.60ミリモル)を加えた。これを80℃に加温することにより重合反応を開始させた。
【0075】
重合反応を開始して8時間後、重合反応系を冷却して、重合反応を停止させた以外は、実施例1と同様に処理して重合反応の結果を調べた。その結果、メタクリル酸メチルの重合率は95%、数平均分子量は8700、重量平均分子量は14500、Mw/Mnは1.67であり、GPC曲線は単峰性であった。
【0076】
実施例10
実施例7において、メタクリル酸メチルに代えてスチレン6.87mL(60ミリモル)を使用し且つn−オクタンに代えてテトラリンを用いた以外は、実施例7と同様にして重合反応を開始させた。重合反応を開始して20時間後に重合反応系を冷却することにより重合反応を停止させた以外は、実施例1と同様に処理して重合反応の結果を調べたところ、スチレンの重合率は53%、数平均分子量は6800、重量平均分子量は9450、Mw/Mnは1.39であり、GPC曲線は単峰性であった。
【0077】
実施例11
実施例10において、重合反応を開始して50時間後に重合反応を停止させた以外は、実施例10と同様に処理して重合反応の結果を調べた。スチレンの重合率は74%、数平均分子量は6300、重量平均分子量は9500、Mw/Mnは1.51であり、GPC曲線は単峰性であった。
【0078】
実施例10を実施例11と比較すれば明らかなように、重合率を増大させることにより、それに比例して得られる重合体の数平均分子量(Mn)が増大し、Mw/Mnの値は1に近い値に保たれることがわかる。
【0079】
比較例5
実施例10において、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルに代えてジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムを用いた以外は、実施例10と同様にして重合反応を開始させた。重合反応を開始して22時間後に重合反応系を冷却することにより重合反応を停止させた以外は、実施例1と同様に処理して、重合反応の結果を調べたところ、スチレンの重合率は17%、数平均分子量は3800、重量平均分子量は11150、Mw/Mnは2.93であった。
【0080】
実施例10と比較例5とを比較すれば明らかなように、金属錯体としてジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルを用いた場合、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムを用いた場合に比べ、比較的短時間で狭い分子量分布の重合体が得られることがわかる。
【0081】
実施例12
実施例2において重合反応を開始して25時間後にアクリル酸メチル2.16mL(24ミリモル)を添加し、更に6時間後重合反応系を冷却することにより重合反応を停止させた。実施例1と同様に処理して重合反応の結果を調べたところ、アクリル酸メチルの重合率は22%、メタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重合体の数平均分子量は5800、重量平均分子量は9000、Mw/Mnは1.55であり、GPC曲線は単峰性であった。
【0082】
この実施例から、重合反応を停止させるまで重合系内にラジカル活性種がリビング状態で存在しており、容易にブロック共重合体が得られることがわかる。
【0083】
【発明の効果】
本発明のリビングラジカル重合開始剤系は、ラジカル重合性単量体をリビングラジカル重合させる際に、分子量分布の狭い重合体を、分子量を制御しつつ副反応を抑制して比較的短時間で生成させることができる。

Claims (8)

  1. 下記の成分(A)、(B)及び(C):
    (A) 周期律表第10族元素から選ばれた中心金属に、配位子として一酸化炭素とリン化合物とが同時に配位してなる金属錯体;
    (B) ハロゲン化スルホニル基及び不飽和結合を持たない炭素原子に結合したハロゲン原子の少なくともいずれか一方を有する化合物; 及び
    (C) ルイス酸
    からなることを特徴とするリビングラジカル重合開始剤系。
  2. 成分(A)の金属錯体の配位子のリン化合物が、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイト、ビス(ジアルキルホスフィノ)アルカン、ビス(ジアリールホスフィノ)アルカン又はホスファアルケンである請求項1記載のリビングラジカル重合開始剤系。
  3. 成分(A)の金属錯体が、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルである請求項1記載のリビングラジカル重合開始剤系。
  4. 成分(B)の化合物が、式(B1)又は(B2)
    【化1】
    CX (B1)
    RSOX (B2)
    (式中(B1)又は(B2)中、X及びXはそれぞれハロゲン原子を示し、X、X及びXはそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基及びヘテロ原子含有有機基からなる群から選ばれる基であり、Rは置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアリール基である。)
    で表される化合物である請求項1記載のリビングラジカル重合開始剤系。
  5. 成分(C)のルイス酸が、式(C1)又は(C2)
    【化2】
    AlY (C1)
    MZ (C2)
    (式(C1)又は(C2)中、Y、Y、Y、Z、Z、Z及びZは、それぞれ独立的にハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアルコキシ基又は置換されてもよいアリールオキシ基であり、MはTi(IV)又はSn(IV)である。)
    で表される化合物である請求項1記載のリビングラジカル重合開始剤系。
  6. 成分(C)のルイス酸が、トリアルコキシアルミニウムである請求項5記載のリビングラジカル重合開始剤系。
  7. 成分(A)/成分(B)のモル比が0.1〜100であり、成分(B)/成分(C)のモル比が0.05〜5である請求項1〜6のいずれかに記載のリビングラジカル重合開始剤系。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のリビングラジカル重合開始剤系の存在下で、ラジカル重合性単量体をリビング重合させることを特徴とする重合体の製造方法。
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