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JP3620962B2 - 車両用トランスファ装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用トランスファ装置、特に変速機の出力軸から出力される動力を、この変速機出力軸と直列な後輪駆動用出力軸と、後輪駆動用出力軸と並列な前輪駆動用出力軸とに分配するとともに、後輪駆動用出力軸と前輪駆動用出力軸との差動トルクを伝達するカップリングを設けた車両用トランスファ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、トランスファケースを変更せずに、パートタイム式をフルタイム式に変更できる車両用トランスファ装置が例えば特開平9−11765号公報で提案されている。このトランスファ装置は、変速機の出力軸から出力される動力を、この変速機出力軸と直列な後輪駆動用出力軸と、後輪駆動用出力軸と並列な前輪駆動用出力軸とに分配するとともに、後輪駆動用出力軸と前輪駆動用出力軸との差動トルクを伝達するカップリングを設けたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記トランスファ装置の場合、後輪駆動用出力軸を安定に支持するために、後輪駆動用出力軸の後部をトランスファケースに対して軸支するベアリング、2輪4輪切換用のボス部をトランスファケースに対して軸支するベアリング、ボス部と後輪駆動用出力軸の間に配置されるベアリング、カップリングのアウタ部材と後輪駆動用出力軸の間に配置されるベアリング、カップリングのインナ部材の前端部をトランスファケースに対して軸支するベアリングというように、多数のベアリングを用いている。そのため、部品点数の増加と軸方向寸法の増大を招くという問題があった。
【0004】
また、チェーン駆動用スプロケットを後輪駆動用出力軸上に支持する場合、軸方向寸法を短縮するために、チェーンと噛み合う歯部を支持部に対して軸方向にオフセットさせることがある。この場合には、チェーン荷重を受けてスプロケットに倒れ力が作用し、チェーンとの噛合が悪くなり、歯面摩耗や回転抵抗が増加するとともに、スプロケットを回転支持しているインナーレースとの間で摩耗が発生しやすい。このような問題を解消するため、チェーン駆動用スプロケットの内周側にニードルベアリングを設けているが、ニードルベアリングは必ずしも上記のような倒れ力に対する支持剛性が十分ではない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ベアリング数をできるだけ少なくし、軸方向寸法を短縮できる車両用トランスファ装置を提供することにある。
また、他の目的は、簡易な構造で前輪駆動用スプロケットの傾きを防止できる車両用トランスファ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、変速機の出力軸から出力される動力を、この変速機出力軸と直列な後輪駆動用出力軸と、後輪駆動用出力軸と並列な前輪駆動用出力軸とに分配するとともに、後輪駆動用出力軸と前輪駆動用出力軸との差動トルクを伝達するカップリングを設けた車両用トランスファ装置において、後輪駆動用出力軸をトランスファケースに対して軸支する第1ベアリングと、カップリングのアウタ部材をトランスファケースに対して軸支する第2ベアリングとが設けられ、後輪駆動用出力軸上に前輪駆動用出力軸を駆動するチェーン駆動用スプロケットが回転自在に支持され、カップリングのアウタ部材は上記チェーン駆動用スプロケットと一体回転可能に連結され、後輪駆動用出力軸の前端部はカップリングのインナ部材を介して変速機出力軸の後端部と連結され、かつ後輪駆動用出力軸とカップリングのインナ部材とは圧入結合されていることを特徴とする車両用トランスファ装置を提供する。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、変速機の出力軸から出力される動力を、この変速機出力軸と直列な後輪駆動用出力軸と、後輪駆動用出力軸と並列な前輪駆動用出力軸とに分配するとともに、後輪駆動用出力軸と前輪駆動用出力軸との差動トルクを伝達するカップリングを設けた車両用トランスファ装置において、カップリングのアウタ部材の後部に、ベアリングを介してトランスファケースによって回転自在に支持されるボス部と、このボス部の内側に内スプライン部とが形成され、後輪駆動用出力軸上に前輪駆動用出力軸を駆動するチェーン駆動用スプロケットが回転自在にかつ歯部が軸方向後側にオフセット状態で支持され、上記スプロケットの前部にカップリングのボス部と圧入される圧入嵌合部と、カップリングの内スプライン部と嵌合する外スプライン部とが形成されたことを特徴とする車両用トランスファ装置を提供する。
【0008】
請求項1の発明において、後輪駆動用出力軸の後部は第1ベアリングで軸支されており、後輪駆動用出力軸の前部はカップリングのインナ部材と圧入結合され、カップリングのアウタ部材を介して第2ベアリングで軸支されているので、後輪駆動用出力軸はいわば前後2点で支持されることになり、安定した支持構造を得ることができる。しかも、2個のベアリングで足りるので、部品点数の削減および軸方向寸法の短縮を実現できる。
【0009】
請求項2の発明においては、カップリングのアウタ部材に設けたボス部がベアリングを介してトランスファケースによって回転自在に支持され、かつこのボス部がチェーン駆動用スプロケットと圧入嵌合されるので、チェーン駆動用スプロケットが後輪駆動用出力軸上にオフセット状態で支持されていても、傾きを防止でき、歯面摩耗や回転抵抗の増加といった不具合を解消できる。しかも、格別なベアリングを必要としないので、部品点数の増加を防止できる。
【0010】
請求項3のように、スプロケットの圧入嵌合部を、ベアリングが圧入されるカップリングのボス部の外周面に圧入するようにすれば、ボス部のベアリング嵌合部を利用してスプロケットを圧入できるので、ベアリング嵌合部と同時にスプロケット嵌合部を加工でき、コスト面で有利である。
【0011】
本発明において、カップリングとは後輪駆動用出力軸と前輪駆動用出力軸との差動トルクを伝達するものであればよく、流体カップリングに限らず、センターデファレンシャルなどの差動機構であってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1,図2は本発明の第1実施例を示すものである。
図1において、1は変速機、2は変速機出力軸、3は車両用トランスファ装置である。このトランスファ装置3はフルタイム式であり、そのトランスファケース4,5内には、後輪駆動用出力軸6がベアリング7により回転自在に支持されており、前輪駆動用出力軸8がベアリング9,10により回転自在に支持されている。後輪駆動用出力軸6は変速機出力軸2と直列に配置されており、前輪駆動用出力軸8は後輪駆動用出力軸6と並列に配置されている。
【0013】
後輪駆動用出力軸6と変速機出力軸2とは、流体カップリング11のインナ部材12を介して連結されている。流体カップリング11は、変速機出力軸2から出力される動力を、前後輪の回転差に応じて前輪駆動用出力軸8に分配するものであり、前側のトランスファケース4の内部空間に配置されている。この空間には、例えば2−4輪切換機構や低速・高速切換機構などを配置することが可能であり、パートタイム式のトランスファケース4と共用することができる。
【0014】
流体カップリング11は、周知のようにスリーブ状のインナ部材12と、アウタ部材であるケース13およびカムリング14とを備えており、その間に流体が充填された空間15が形成されている。インナ部材12はその前側が変速機出力軸2とスプライン嵌合し、後側が後輪駆動用出力軸6とスプライン嵌合し、両軸2,6を直結している。そして、インナ部材12の後端部は後輪駆動用出力軸6の軸部6aとインロー(圧入嵌合)されている。
【0015】
上記空間15の内部には、インナ部材12と一体回転するピストン16、ピストン16をカムリング14に押しつけるスプリング17、オリフィス18aを有するバルブ18などが配置されている。そして、入力側のインナ部材12と出力側のカムリング14との回転速度差により、ピストン16を進退動作させて流体を流動させ、オリフィス18aにより流動を制限することにより圧力を高めてピストン16の進退動作に抵抗を生じさせ、トルクを伝達するものである。これにより、流体カップリング11は、変速機出力軸2からの動力を回転差に応じてチェーン駆動用スプロケット20に伝達する。
【0016】
スプロケット20は、図2に示すようにインナーレース21を介して後輪駆動用出力軸6上に回転自在に支持されている。チェーン22と噛み合うスプロケット20の歯部20aは、軸方向後方にオフセットしている。スプロケット20の前部には、上記カムリング14の後部に突設されたボス部14aの内スプライン14bとスプライン嵌合する外スプライン20bが形成されている。また、スプロケット20の中間部外周には、上記ボス部14aの先端部内側にインロー(圧入嵌合)される圧入嵌合部20cが形成されている。
【0017】
カムリング14のボス部14aの外周は、ベアリング23を介してトランスファケース4によって回転自在に支持されている。ボス部14aの先端部外周には周溝14cが形成され、この周溝14cにベアリング23を抜け止めするスナップリング24が嵌着されている。なお、スプロケット20の前部には、スナップリング24の側面および外周面を位置決めし、誤組付を防止する突部20dが一体に形成されている。そのため、もしスナップリング24がボス部14aの周溝14cに正常に嵌合していない場合には、スプロケット20の組み込み時に突部20dの先端面がスナップリング24を押し、周溝14cに嵌め込むことができる。また、スナップリング24が周溝14cに嵌合した後は、突部20dの内周面がスナップリング24の外周面を位置規制するので、スナップリング24が周溝14cから外れるのを確実に防止できる。
【0018】
チェーン22は上記スプロケット20と、前輪駆動用出力軸8に一体に設けられた従動側スプロケット30との間に巻きかけられている。そのため、流体カップリング11を介してスプロケット20に伝達された差動トルクは、チェーン22を介して前輪駆動用出力軸8に伝えられる。
【0019】
上記のように駆動側スプロケット20は、歯部20aが軸方向にオフセットしているため、軸方向寸法を短縮できる利点がある反面、チェーン荷重を受けてスプロケット20に倒れ力が作用し、チェーン22との噛合が悪くなり、歯面摩耗や回転抵抗が増加するとともに、スプロケット20を回転支持しているインナーレース21との間で摩耗が発生しやすい。ところが、上記実施例では、スプロケット20の圧入嵌合部20cがカムリング14のボス部14aの内側にインロー(圧入嵌合)され、カムリング14のボス部14aの外周面がベアリング23で支持されるので、スプロケット20の傾きが防止される。そのため、格別なベアリングなどを設けずに、歯面摩耗や回転抵抗の増加といった不具合を解消できる。
【0020】
また、上記実施例では、カムリング14のボス部14aの内側に、スプロケット20の外スプライン20bとスプライン嵌合する内スプライン14bを設けたので、ベアリング23の内径側にスプライン部を配置できることになり、カップリング11とスプロケット20とをベアリング23を間にして近接位置に配置できる。つまり、軸方向寸法を短縮でき、コンパクトなトランスファ装置を実現できる。
【0021】
また、上記トランスファ装置においては、後輪駆動用出力軸6の中間部がベアリング7で支持され、これより前側部がインローされたカップリング11のインナ部材12、カムリング14のボス部14aを介してベアリング23で支持される。つまり、前後の2箇所で支持されることになり、安定性が増す。また、カップリング11のインナ部材12が後輪駆動用出力軸6とスプライン嵌合されているだけでなく、インローされているので、インナ部材12を後輪駆動用出力軸6と一体構造とすることができ、インナ部材12の前端部をベアリングで軸支する必要がなくなる。したがって、最少のベアリング7,23によって後輪駆動用出力軸6を軸支することができ、軸方向寸法および部品数をさらに削減できる。
【0022】
図3は本発明の第2実施例を示し、図2と同一部品には同一符号を付して説明を省略する。
この実施例では、流体カップリング11のカムリング14のボス部14aの外周面と、スプロケット20のスナップリング誤組付防止用の突部20dの内周面とをインロー(圧入)させたものである。すなわち、ボス部14aの外周面はベアリング23と嵌合されるので、高精度に加工されるが、この加工面をそのままスプロケット20との圧入面として利用できるので、加工工数が少なくて済み、コスト低減を図ることができる。
なお、この実施例でも、カムリング14のボス部14aの内側にスプロケット20の外スプライン20bとスプライン嵌合する内スプライン14bが設けられ、ベアリング23の内径側にスプライン部が配置される。
【0023】
図4は本発明の第3実施例を示し、図2と同一部品には同一符号を付して説明を省略する。
この実施例では、流体カップリング11のカムリング14のボス部14aは、スプロケット20に対してインロー(圧入)されていない。ボス部14aの外周面の周溝14cに嵌合されたスナップリング24の脱落を防止するため、ボス部14aの先端部外周に止め金具25が圧着固定されている。なお、この場合には、スプロケット20のスナップリング誤組付防止用の突部20dは設けられていない。
この実施例の場合も、カムリング14のボス部14aの内側にスプロケット20の外スプライン20bとスプライン嵌合する内スプライン14bが設けられ、ベアリング23の内径側にスプライン部が配置される。
【0024】
上記実施例では、カップリングとしてピストンとカムリングとを用いた流体カップリングの例を示したが、ビスカスカップリングなどの他のカップリングや、センターデファレンシャルなどの差動機構を用いることも可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1の発明によれば、後輪駆動用出力軸の後部を第1ベアリングで支持し、後輪駆動用出力軸の前部をカップリングを介して第2ベアリングで支持したので、後輪駆動用出力軸はいわば前後2点で支持されることになり、最少のベアリング数で後輪駆動用出力軸を安定に軸支することができる。
【0026】
また、請求項2の発明によれば、歯部が軸方向後側にオフセットしたスプロケットの前部をカップリングのアウタ部材に設けたボス部に圧入嵌合し、このボス部をベアリングを介してトランスファケースによって回転自在に支持したので、スプロケットの歯部が後輪駆動用出力軸上にオフセット状態で設けられていても、スプロケットの傾きを確実に防止でき、歯面摩耗や回転抵抗の増加といった不具合を解消できる。しかも、格別なベアリングを必要としないので、部品点数の増加および軸方向寸法の増大を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる車両用トランスファ装置の第1実施例の全体断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】本発明にかかる車両用トランスファ装置の第2実施例の部分断面図である。
【図4】本発明にかかる車両用トランスファ装置の第3実施例の部分断面図である。
【符号の説明】
1 変速機
2 変速機出力軸
3 トランスファ装置
4,5 トランスファケース
6 後輪駆動用出力軸
7 第1ベアリング
8 前輪駆動用出力軸
11 流体カップリング
14a ボス部
14a 内スプライン
20 スプロケット
20b 外スプライン
22 チェーン
23 第2ベアリング

Claims (3)

  1. 変速機の出力軸から出力される動力を、この変速機出力軸と直列な後輪駆動用出力軸と、後輪駆動用出力軸と並列な前輪駆動用出力軸とに分配するとともに、後輪駆動用出力軸と前輪駆動用出力軸との差動トルクを伝達するカップリングを設けた車両用トランスファ装置において、
    後輪駆動用出力軸をトランスファケースに対して軸支する第1ベアリングと、カップリングのアウタ部材をトランスファケースに対して軸支する第2ベアリングとが設けられ、
    後輪駆動用出力軸上に前輪駆動用出力軸を駆動するチェーン駆動用スプロケットが回転自在に支持され、
    カップリングのアウタ部材は上記チェーン駆動用スプロケットと一体回転可能に連結され、
    後輪駆動用出力軸の前端部はカップリングのインナ部材を介して変速機出力軸の後端部と連結され、
    かつ後輪駆動用出力軸とカップリングのインナ部材とは圧入結合されていることを特徴とする車両用トランスファ装置。
  2. 変速機の出力軸から出力される動力を、この変速機出力軸と直列な後輪駆動用出力軸と、後輪駆動用出力軸と並列な前輪駆動用出力軸とに分配するとともに、後輪駆動用出力軸と前輪駆動用出力軸との差動トルクを伝達するカップリングを設けた車両用トランスファ装置において、
    カップリングのアウタ部材の後部に、ベアリングを介してトランスファケースによって回転自在に支持されるボス部と、このボス部の内側に内スプライン部とが形成され、
    後輪駆動用出力軸上に前輪駆動用出力軸を駆動するチェーン駆動用スプロケットが回転自在にかつ歯部が軸方向後側にオフセット状態で支持され、
    上記スプロケットの前部にカップリングのボス部と圧入される圧入嵌合部と、カップリングの内スプライン部と嵌合する外スプライン部とが形成されたことを特徴とする車両用トランスファ装置。
  3. 上記スプロケットの圧入嵌合部は、上記ベアリングが圧入されるカップリングのボス部の外周面に圧入されることを特徴とする請求項2に記載の車両用トランスファ装置。
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