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JP3622080B2 - 重機操作用シート - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、起重機(クレーン)、建設機械、その他の荷役又は建設作業用重機械(以下、重機という。)を操作する際に、操縦桿やハンドルを握って着座し頻回に前傾姿勢をとりながら高所作業をおこなう重機操作者の体荷重を胸腹部側から弾性的に押圧又は反動支持することにより、作業にともなう腰背部の筋負担を軽減可能な重機操作用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、事務用椅子や治療用椅子に関し胸あて(Chest support)を有し、前傾姿勢をとったときに胸部(又は胸腹部)を支持する構成のものが知られている。(例えば、実開平6−46556号、USP5401078を参照。)
【0003】
しかしながら、重機を着座して操作する際に、重機操作者の体荷重を弾性的に分散支持することにより、作業にともなう腰背部の筋負担を軽減可能な労働衛生を考慮した重機操作用シートはみあたらない。
【0004】
この種の重機操作用シート(運転室)は比較的高所に設けられており、重機操作者は下方の荷(対象物)を覗き込みながら作業(機械操作)するので、腰の前傾を繰り返しおこなう不良姿勢をとることが多い。
【0005】
例えば、天井クレーンは、一般に運転室が20〜30mの高所にあり、地上の荷を巻き上げ、巻き降ろしをする際に吊荷を覗き込むため、腰部を前傾する作業姿勢が頻繁に発生する。
【0006】
これまでのクレーン作業の姿勢分析を見ると、6.3時間の運転作業中の直立座位、腰部の前傾0〜30°未満、及び30°以上の時間割合は、それぞれ38.1%、23.8%、及び38.1%であり、腰の前傾姿勢の出現頻度は61.9%と高く、不良姿勢が多いため腰部の負担が高い。
【0007】
また、クレーン運転手(本発明に関し重機操作者)の頸、背、腰の痛み訴え率は、それぞれ35%、35%、及び53.3%と高い。頸背腰の痛みの訴え高い要因として、先述の前傾姿勢が重要である。
【0008】
これまで、クレーン運転手の腰痛の要望対策として、前傾姿勢を緩和すための運転室の位置の変更や、リクライニングシートによる待機時の姿勢の変換等が図られてきたが十分に解決されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ここで前傾姿勢の問題点を説明すると、前傾姿勢時の腰背部の負担の機序は、上半身の前傾姿勢を保持する時、これを支える物がない場合には上半身の前傾に係る力のモーメントに対して対抗的に腰背部の筋肉を収縮させて後傾のモーメントを生じさせる。この時に持続的な強い負荷が腰背部にかかるため、これが腰背部痛の要因となる。
【0010】
これを解決するためのは、背もたれ(Back rest)のように胸腹部を支える「胸腹あて」(Chest-Abdominal support) を設けることにより上半身の前傾に係る力のモーメントのつりあいをとり、腰背部の負担を軽減することが望まれる。
【0011】
したがって、上記知見に基づけば、クレーン操作用シートとしては少なくとも以下の点を考慮したものが要請される。
【0012】
[1]クレーン作業は、両上肢を使用してレバー操作を行うこと。
【0013】
[2]荷の高さによって前傾度が異なること。
【0014】
[3]荷の位置により上半身が左右に傾くこと。
【0015】
[4]1台のクレーンを複数の体格の異なる作業者(操作者)が共同使用すること。
【0016】
[5]運転室が狭いため着座が容易に行えること。
【0017】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、上記課題を解消するに必要なパッド部材を取着した胸腹部支持体を具備し、操縦桿やハンドルを握って着座し頻回に前傾姿勢をとりながら高所作業をおこなう重機操作者の体荷重を胸腹部側から弾性的に押圧又は反動支持することにより、作業にともなう腰背部の筋負担を軽減可能な重機操作用シートを提供するものである。
【0018】
なお、本発明の重機操作用シートは、クレーンにとどまらず、上記同様の課題を抱える全ての重機に適用可能であることはもちろんである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するために本発明は、操縦桿やハンドルを握って着座し頻回に前傾姿勢をとりながら高所作業をおこなう重機操作者の体荷重を胸腹部側から弾性的に押圧又は反動支持することにより、作業にともなう腰背部の筋負担を軽減するための重機操作用シートであって、
座部の前縁に背もたれ部に対向して少なくともパッド部材を取着した胸腹部支持体を高さ調整可能に立設し、かつ、基端を支点として非線形スプリングを介装し前傾可能で復元可能に弾性支持してなり、
前記非線形スプリングの復元力がシヌソイダルな非線形特性を示すものであり、
前傾姿勢に移行した操作者の胸腹部に前記胸腹部支持体のパッド部材を当接させて復元方向に押圧又は反動支持することにより上半身の前傾に係る力のモーメントのつりあいをとるようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
ここでは、胸腹部支持体を、背もたれ部を除く座部の外周を回動可能に取り付ける場合がある。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、上記構成において、胸腹部支持体が折り畳み可能な体部を有し、基端を座部下面に配設したクッションサポート部材の前端に立設固定している。
【0022】
また、操作者の頸部の負荷を軽減するために、胸腹部支持体のパッド部材にチンレストを連設してもよい。
【0023】
そして、胸腹部支持体の弾性支持を、操作者のシヌソイダルな前傾負荷に対応して復元力又は弾性エネルギーの蓄積ないしは解放を加減調整するような非線形スプリングによるものとし、姿勢変動又は負荷変動に影響されず常に一定の復元力で操作者の胸腹部を押圧又は反動支持するようにしている。すなわち、非線形スプリングは、復元力がシヌソイダルな非線形特性を示すような弾性材料である。
【0024】
ここで、操作者の前傾姿勢をとった場合に、押圧支持可能に構成されればよい。
【0025】
この特徴的構成によれば、以下に列挙する作用効果を奏する。
【0026】
(1)容易に着座できるように折り畳むことができる。
【0027】
(2)操作者の体格に合わせて高さの調整ができる。
【0028】
(3)前後左右に弾力性があり、所定角度以上の前傾(又は左右傾)姿勢に応じて胸腹部を押圧支持できる。
【0029】
(4)荷重(体重)の差に応じて弾性力(復元力)を調節できる。
【0030】
(5)操作者の前傾に係る姿勢変動又は負荷変動に影響されず、常に一定の復元力で操作者の胸腹部を押圧又は反動支持することにより、作業にともなう腰背部の筋負担を極めて効果的に軽減することができるので、腰背部痛の予防効果が高い。
【0031】
【実施例】
本発明の一実施例を添付図面に基づいて以下説明する。
【0032】
図1は本発明の一実施例である重機操作用シートの側面視説明図であり、図2は正面視説明図である。
【0033】
図3は胸腹部支持体の部分説明図であり、(a)が側面視、(b)が正面視である。
【0034】
図示するように、本実施例シート(X)は、座部(3)の前縁に背もたれ部(2)に対向して少なくともパッド部材(5)を取着した胸腹部支持体(4)を高さ調整可能に立設し、かつ、基端(42)を支点として前傾可能で復元可能に弾性支持している。
【0035】
ここで、胸腹部支持体(4)は折り畳み可能な体部(41;411) を有し、基端を座部下面に配設したクッションサポート部材(7)の前端に立設固定している。高さ調節手段(412)は、例えば体部に多段に形設したボルト係止孔である。したがって、操作者は胸腹部支持体(4)を跨ぐ恰好で着座し、作業姿勢をとることになる。
【0036】
また、胸腹部支持体(4)の弾性支持は、操作者のシヌソイダルな前傾負荷に対応して復元力又は弾性エネルギーの蓄積ないしは解放を加減調整するような非線形スプリング〔図示省略〕によるものとして、姿勢変動又は負荷変動に影響されず常に一定の復元力で操作者の胸腹部を押圧又は反動支持する。すなわち、非線形スプリングは、復元力がシヌソイダルな非線形特性を示すような弾性材料である。
【0037】
図4に使用状態の説明図を示すように、操作者は、胸腹部支持体(4)を跨ぐ恰好で着座し、作業姿勢をとる。そして、前傾姿勢に移行した操作者の胸腹部に胸腹部支持体(4)のパッド部材(5)を当接させて復元方向に押圧することにより、上半身の前傾に係る力のモーメントのつりあいをとるようにしている。
【0038】
なお、胸腹部支持体(4)を立設固定する場合に、操作者の左右傾姿勢に倣って所定範囲で左右動可能な自由度(遊び)を設けるのが好ましい。
【0039】
また、上記構成に付加して、操作者の頸部の負荷を軽減するために、胸腹部支持体(4)のパッド部材(5)にチンレスト(6)を連設してもよい。〔図3及び図4中、想像線で示す。〕
【0040】
さらに、クッションサポート部材(7)の基台(71)を中央支柱(1)に回動可能に取付け、胸腹部支持体(4)が背もたれ部(2)を除く座部(3)の外周を回動して位置を変更できるように構成してもよい。〔図4中の矢印を参照。〕
【0041】
【発明の効果】
本発明は以上の構成よりなるものであり、これによれば重機操作者の前傾に係る姿勢変動又は負荷変動に影響されず、常に一定の復元力で操作者の胸腹部を押圧又は反動支持することにより、作業にともなう腰背部の筋負担を極めて効果的に軽減することができるので、腰背部痛の予防効果が高く、労働衛生上有益な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る重機操作用シートの側面視説明図である。
【図2】同じく正面視説明図である。
【図3】胸腹部支持体の部分説明図である。
【図4】使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 中央支柱
2 背もたれ部
3 座部(座面)
4 胸腹部支持体
41 体部
411 折り畳み手段
412 高さ調節手段
42 基端
5 パッド部材
6 チンレスト
7 クッションサポート部材
71 基台
X 重機操作用シート

Claims (4)

  1. 高所作業に供される重機操作用シートにおいて、
    操縦桿やハンドルを握って着座し頻回に前傾姿勢をとりながら高所作業をおこなう重機操作者の体荷重を胸腹部側から弾性的に押圧又は反動支持することにより、作業にともなう腰背部の筋負担を軽減可能な重機操作用シートであって、
    座部の前縁に背もたれ部に対向して少なくともパッド部材を取着した胸腹部支持体を高さ調整可能に立設し、かつ、基端を支点として非線形スプリングを介装し前傾可能で復元可能に弾性支持してなり、
    前記非線形スプリングの復元力がシヌソイダルな非線形特性を示すものであり、
    前傾姿勢に移行した操作者の胸腹部に前記胸腹部支持体のパッド部材を当接させて復元方向に押圧又は反動支持することにより上半身の前傾に係る力のモーメントのつりあいをとるようにしたことを特徴とする重機操作用シート。
  2. 胸腹部支持体を、背もたれ部を除く座部の外周を回動可能に取り付けた請求項1記載の重機操作用シート。
  3. 胸腹部支持体が折り畳み可能な体部を有し、基端を座部下面に配設したクッションサポート部材の前端に立設固定たものである請求項1又は2記載の重機操作用シート。
  4. 操作者の頸部の負荷を軽減するために、胸腹部支持体のパッド部材にチンレストを連設した請求項1乃至3のいずれか1項記載の重機操作用シート。
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