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JP3623554B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、傾斜部分を有する路面、例えば等の凹凸を有する路面を走行する際に発生する運転者が予測できない車両の複雑な動き、いわゆるワンダリングを抑制して直進安定性を向上させた空気入りラジアルタイヤであって、特に軽トラック用タイヤ及び小型トラック用タイヤ、トラック及びバス用タイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、乗用車のみならず、軽トラック、小型トラック、トラック及びバス等の車両においてもカーカスのコードをタイヤ赤道面に対して実質直交する向きに配列したいわゆるラジアルタイヤが、バイアスタイヤに比べて耐摩耗性及び操縦安定性に優れることから多用されてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
車両の高速化に伴って、ラジアルタイヤの採用も増加してきたのであるが、道路網の整備拡充により車両の高速走行が日常的に行われるようになると、前記のワンダリング問題の発生頻度が増してきた。このワンダリングは車両の直進安定性を損なう危険な現象であるため、タイヤの高性能化が進む中で大きな問題となってきている。
【0004】
そこでこの発明の目的は、ワンダリングを抑制して、轍等の傾斜路面上での直進安定性を向上させた空気入りラジアルタイヤを提案することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、1対のビードコア間にトロイド状をなして跨がるカーカスのクラウン部外周にベルトとトレッドを順次配置し、前記ベルトが少なくとも2枚のベルト層の積層配置になり、最内層のベルト層が、カーカスの形状に比べてトレッド中央部分でタイヤ径方向外側に凸の幅方向断面形状を有し、タイヤ赤道面に最も近く位置して実質的にタイヤ周方向に延びる1対の溝の溝深さhcに比して、接地端に最も近く位置して実質的にタイヤ周方向に延びる1対の溝の溝深さhsが大となることを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。
【0006】
タイヤが轍の凹凸等の傾斜路面を乗り上げる向きに進入角をもって横断しようとするとき、図4に示すように、タイヤには路面からの反力FR と傾斜路面との間に発生するキャンバースラストFC による横力Fy が働く。 ここでタイヤをラジアル化するとタイヤの剛性が高くなって、バイアスタイヤと比較して前記反力FR が大きく、キャンバースラストFC が小さいため、横力Fy が大となり、このためスムーズな轍乗越しができず、ワンダリングが発生することが判明した。したがって、ラジアルタイヤにおけるワンダリングを抑制するには、キャンバースラストFC を増すことにより横力Fy を減ずることが有効である。
【0007】
上記キャンバースラストFC は、タイヤが傾斜路面に接地して撓み変形した時のトレッドのタイヤ断面内曲げ変形により発生する。すなわち、図5に示すように、トレッド接地端部近傍のトレッド曲げ変形bS により発生する横力FCSの影響が大であると考えることができる。そこで、キャンバースラストFC を増すには、前記横力FCSを増せばよい。
【0008】
この発明によれば、最内層のベルト層が、タイヤ径方向外側に凸の幅方向断面形状を有するため、接地に伴い平坦になろうとするトレッドの曲げ変形bsが大きくなり、この結果、トレッド接地端部近傍で発生する横力Fcsを増すことができるのである。
【0009】
また、タイヤ赤道面に最も近く位置して実質的にタイヤ周方向に延びる1対の溝の溝深さhcに比して、接地端に最も近く位置して実質的にタイヤ周方向に延びる1対の溝の溝深さhsが大とすることにより、タイヤ製造時の加硫成型時に接地端部近傍のベルトがタイヤ成型用金型の赤道面近傍より深い接地端部近傍の溝により、押し下げられるために上記凸形状をより強めることになる。
【0010】
そして、最内層のベルト層の半径方向内側で、タイヤ赤道面を含む位置にゴム層を介在配置することが好ましく、上記ゴム層の端部と対応するトレッド位置に、タイヤ赤道面に最も近く位置して、実質的にタイヤ周方向に延びる1対の溝を配置することにより、トレッドの曲げ変形bsがより大きくなり、トレッド接地端部近傍で発生する横力Fcsを一層増すことができる。
また、加硫成型時において、上記溝により上記ゴム層の幅方向外周への流出を防止することができ、上記凸形状を一層強めることになる。
【0011】
加えて、ベルト端部近傍に、最広幅ベルトの溝の0.1〜0.3倍の幅を有する少なくとも1枚の補強層を配置することにより、内圧充填時の前記凸形状を一層強め、かつ該部のベルト剛性を大きくすることができるので、前期トレッドの曲げ変形bSを著しく高めることが可能となる。
ここで最広幅ベルトの幅の0.1〜0.3倍の幅としたのは、0.1倍より小さいと前記凸形状を充分強められないし、0.3倍より大きいと曲げ変形bs向上するものの前記凸形状を強められず、いずれも該補強層を配置したことによる充分な改良効果が得られないためである。
なお、前記補強層は、ベルトの半径方向外側、ベルト内、又はベルトの半径方向内側のいずれの位置に配置しても曲げ変形bsの向上は期待できるが、前記凸形状を一層強めるためには、ベルトの半径方向外側に配置することが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に示す構造に従がう、サイズ195/85R16 114/112LTの小型トラック用空気入りラジアルタイヤ1を、溝の配置を変更して、表1の仕様のもとのに試作した。尚、図1において、カーカス2はポリエステルコードを多数本ラジアル方向に配列したゴム被覆プライを3枚積層して構成され、該カーカス2の外周にベルト3とトレッド4が配置されている。該ベルト3は3枚のスチールベルトから構成されて、カーカスに隣接するとともにコードのタイヤ赤道面に対する傾斜角度が比較的大きいベルト3-1(以下、第1ベルトともいう)、該ベルト3-1の外周に配置されコードのタイヤ赤道面に対する傾斜角度が比較的小さいベルト3-2(以下、第2ベルトともいう)、3-3(以下、第3ベルトともいう)の2枚が該コードがタイヤ赤道面を挟んで交差するよう積層されてなる。
【0013】
【実施例】
ここでは以下に実施例を示す。
第1ベルトはコード傾斜角度が52°で幅が120mm、第2ベルトはコード傾斜角度が24°で幅が135mm、第3ベルトはコード傾斜角度が24°で幅が120mmであって、これら3枚のベルトのうち、最広幅ベルトは第2ベルトであり、この幅をBWとする。
尚、トレッドには実質的にタイヤ周方向に連続して延びる溝5が4本配置されている。またビードコア近傍は図示を省略した。
【0014】
・実施例1
カーカス2と第1ベルト3-1との間で、タイヤ赤道面Mを含む位置にゴム層6を配置することにより、ベルトが、トレッド中央部でタイヤ径方向外側に凸の幅方向断面形状を有する。ここで、試作したタイヤではゴム層6の幅中心がタイヤ赤道面Mに実質上一致するよう配置された。また、ゴム層の幅は50mmで0.37×BWに相当し、また厚みは3mmであった。
また、ゴム層6の断面形状が略長方形であったので、第2及び第3ベルトは段差をもってタイヤ径方向外側に凸の幅方向断面形状をなしている。
しかし、これに限らず、例えばゴム層6の断面形状を凸レンズ断面状にしてもよい。凸レンズ断面形状のときには、特に空車時やキャンパー角が小さい場合にワンダリング抑制効果を期待できる。
ここで、周方向溝深さは、タイヤ赤道面に最も近く位置する1対の溝で9.5mm、接地端に最も近く位置する1対の溝で12mmとした。
また、図1の場合には、タイヤ赤道面に最も近く位置する溝5-1が、タイヤ赤道面から16mmの距離に位置して、上記ゴム層6の端部と対応するトレッド位置に配置されている例が示されているが、このような配置であるほうがワンダリング抑制効果が大きい。
【0015】
・実施例2
実施例2は、タイヤ赤道面に最も近く位置する1対の溝5-1が、タイヤ赤道面から25mmの距離に位置している以外は、実施例1とほぼ同一のものである。
【0016】
・実施例3
実施例3は、図2のように、ベルト端部近傍ベルトの半径方向外側に、最広幅ベルトの幅の0.15倍の20mmの幅を有するナイロン補強層7を2層配置した以外は、実施例2とほぼ同一のものである。
【0017】
・従来例
従来例として、図3に示す構造に従う、上記サイズのタイヤを作成した。
実施例1との相違点は、周方向溝深さがタイヤ赤道面側の1対および、接地端側の1対でともに、10.5mmとし、また、ゴム層6がないことにより、ベルトがカーカス2の形状に比べてトレッド中央部分でタイヤ径方向外側に凸の幅方向断面形状をなしていないことである。
【0018】
これらのタイヤに規定内圧6.0kgf/cm2を充填後、2トン積みの小型トラック(後輪が複輪タイプ)に装着し、該小型トラックに規定最大荷重を負荷した状態で轍を含む舗装路をテストドライバーが走行し、直進安定性を官能評価した。その結果を、従来例を100とする指数評価(指数は大きいほど良好)にて、表1に併記している。同表からこの発明に従うタイヤの直進安定性が顕著に向上したことが明らかである。
【0019】
【表1】
Figure 0003623554
【0020】
すなわち、この発明によれば、空気入りラジアルタイヤのワンダリングを抑制して轍路等の傾斜路面上での直進安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う空気入りラジアルタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
【図2】この発明に従う補強層を配置した空気入りラジアルタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
【図3】従来例のタイヤ幅方向断面図である。
【図4】タイヤが傾斜路面と接地した状態を示す模式図である。
【図5】タイヤが傾斜路面と接地した状態における変形及び横力を示す模式図である。
【符号の説明】
1 空気入りラジアルタイヤ
2 カーカス
3 ベルト
4 トレッド
5 溝
6 ゴム層
7 補強層
M タイヤ赤道面

Claims (3)

  1. 1対のビードコア間にトロイド状をなして跨がるカーカスのクラウン部外周にベルトとトレッドを順次配置し、前記ベルトが少なくとも2枚のベルト層の積層配置になり、最内層のベルト層が、カーカスの形状に比べてトレッド中央部分でタイヤ径方向外側に凸の幅方向断面形状を有し、タイヤ赤道面に最も近く位置して実質的にタイヤ周方向に延びる1対の溝の溝深さhcに比して、接地端に最も近く位置して実質的にタイヤ周方向に延びる1対の溝の溝深さhsが大となることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 最内層のベルト層の半径方向内側にゴム層を配置し、該ゴム層の端部と対応するトレッド位置に、タイヤ赤道面に最も近く位置する1対の溝を配置した請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. ベルト端部近傍に、最広幅ベルトの幅の0.1〜0.3倍の幅を有する少なくとも1枚の補強層を配置した請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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