JP3635142B2 - 抗tpo抗体の作製方法 - Google Patents
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Description
本発明は巨核球前駆細胞の増殖および分化を促進するか、又は生体内で特異的に血小板の産生を剌激、または増強する活性を有する新規タンパク質、及びそのようなタンパク質の用途に関する。
【従来の技術】
巨核球は主に骨髄中で観察される、多核で細胞質が豊富な大型の細胞であり、血小板を産生する。巨核球の源は骨髄中の多能性幹細胞である。多能性幹細胞がある程度分化して、巨核球系だけに方向付けられた巨核球前駆細胞(CFU−MK)となり、さらに増殖・分化して巨核球となる。巨核球はさらに核の倍数性の増加(polyploidization)、細胞質の成熟(cytoplasmic maturation)を遂げて、最終的に無核の細胞質断片である血小板を血液循環へ放出する。1個の成熟した巨核球から平均して2000〜4000個の血小板が生成される。血小板の産生機序については不明な点が多いが、巨核球は骨髄の静脈洞の内皮下に局在しており、その細胞質が、内皮を貫通して、静脈洞内壁にひも状の突起を出し、血小板を放出すると考えられている。
このような巨核球造血、および血小板産生に関して、特異的な産生調節機構の存在が示唆されてきた。健常人や正常な動物では、有効な血小板数が維持されているが、例えば、正常な動物へ抗血小板抗体を投与すると、短時間で急激に血小板だけが減少し、その後増加し始め、さらに一過性に正常値を越えるが、最終的には再び正常値に戻ることが知られている。また、臨床においても、赤血球数や白血球数が正常であるにもかかわらず、血小板数の低下(血小板減少症)や血小板増加症に陥ることが分かっている。しかしながら、現在までのところ、そのような産生機構を担う特異的な調節因子(例えば、赤血球産生におけるエリスロポイエチンのような存在)の単離、同定は成功していない。
血小板の最も重要な機能は、止血機構における止血栓の形成である。血小板減少により、止血機構が正常に作働しなくなると、出血傾向を示す。癌の放射線療法や化学療法では、骨髄抑制による血小板減少症は致命的な合併症であり、そのような癌患者には出血傾向を防ぐための血小板輸血が施される。また、血小板輸血は骨髄移植を受けた患者や再生不良性貧血の患者にも施される。
そのような血小板輸血のための血小板は、健常な血液提供者の血液から血小板フェレーシスによって調製されるが、輸血用血小板は貯蔵寿命が短く、細菌感染による汚染の可能性がある。また患者をヒト免疫不全ウィルス(HIV)または各種の肝炎ウィルスの様な危険なウィルスにさらしたり、患者に輸血血小板表面の組織適合性抗原(HLA)に対する抗体を誘導したり、あるいは輸血用血小板に混入するリンパ球により移植片対宿主病(GVHD)を引き起こしたりする危険性がある。
従って、血小板減少症患者で、内在性の血小板産生を刺激し、同時に血小板輸血依存を減らすことができれば、極めて有益である。また、癌の放射線療法や化学療法を受けている患者で、血小板減少を是正または防止することができれば、それらの治療を一層安全にし、治療の集中度を高めることが可能となり、さらに一層の制癌効果が期待できるであろう。
そのような理由から、巨核球および血小板の産生調節に関与する特異的な調節因子の分離、同定のための数多くの研究が熱心に行なわれてきた。試験管内の研究によれば、巨核球系細胞の増殖・分化の過程に関与する調節因子は次の二つに大別されると考えられている(例えば、Williamsら、J.Cell.Physiol.、110巻、101−104頁、(1982)を参照)。巨核球コロニー刺激因子(Meg−CSF)はCFU−MKの増殖・分化を促進する調節因子であり、実験上、半固形の培養液中で巨核球からなる集塊(コロニー)の形成を誘導する活性を有する。もう一つの調節因子は、巨核球増幅因子(Meg−Pot)、巨核球刺激因子、血小板生成刺激因子などと呼ばれ、主にCFU−MK以降の分化段階の巨核球に働き、分化・成熟を促進させる。実験上では、しばしばMeg−CSF 活性を増幅する活性として検出される。また、実験的に血小板減少症にした動物の血小板減少期の血清や血漿を別の正常動物に注入すると、血小板が増加することから、生体内で血小板増加作用を有する体液性因子の存在が考えられており、スロンボポエチン(thrombopoietin:TPO)と呼ばれる。
近年遺伝子がクローニングされたサイトカインのいくつかについて、試験管内での巨核球系細胞への作用および血小板増加作用が調べられている。ヒトIL−3はヒト巨核球コロニーの形成を刺激し(Brunoら、Exp.Hematol.、16巻、371−377頁、(1988))、少なくともサルでは血小板数の増加をもたらす(Donahueら、Science、241巻、1820−頁、(1988))。しかし、IL−3はすべての造血細胞の増殖、分化に影響を及ぼす因子であり、巨核球造血、および血小板産生の特異的調節因子とは区別することができる。ヒトIL−6はMeg−CSF活性は示さないが、未熟な巨核球に作用して成熟巨核球への分化を促進する(Williamsら、Exp.Hematol.、18巻、69−頁、(1990))。マウスやサルにおいて、血小板増加作用を示し、骨髄巨核球の大きさ、および核の倍数性を増加させるが、体重の減少や急性期蛋白質の誘導などの副作用も認められている(Asanoら、Blood、75巻、1602−1605頁、(1990);Stahlら、Blood、78巻、1467−1475頁、(1991))。ヒトIL−11もMeg−CSF活性は示さず、Meg−Pot活性を発揮し、マウスを用いて血小板増加作用が報告されている(Nebenら、Blood、81巻、901−908頁、(1993))。また、ヒトLIFはサルにおいて、有意に血小板数を増加させるが(Mayerら、Blood、81巻、3226−3233頁、(1993))、試験管内での巨核球への作用は微弱である(Bursteinら、J.Cell. Physiol.、153巻、305−312頁、(1992))。
これらのサイトカインには血小板増加因子としての臨床応用の可能性が期待されているが、巨核球系だけに特異的に作用するものではなく、また、副作用も認められる。従って、臨床においては、より副作用が少ない、巨核球−血小板系に特異的な血小板増加因子が待望されている。
古くから血小板減少症のヒトや動物の血清、血漿、尿あるいはある種のヒト培養細胞株の上清中に、Meg−CSF、Meg−Pot、あるいはTPO活性の存在が報告されているが、このような因子が単独で、あるいは複数存在して活性が発揮されるのか、また既知因子との異同など、ほとんど未解明のままである。ヒト生体由来の因子について、Hoffmanらは血小板の減少に加え、骨髄巨核球の減少した再生不良性貧血や、無巨核球性血小板減少性紫斑病の患者の血清の中に、健常人のそれに比べて、有意に高いMeg−CSF活性を見いだし(Hoffmanら、N.Eng.J.Med.、305巻、533−538頁、(1981))、Mazurらはさらに、再生不良性貧血患者の血清中のこのMeg−CSF活性はIL−3あるいはGM−CSFとは異なることを示した(Mazurら、Blood)76巻、290−297頁、(1990))。類似のMeg−CSF活性は、集中的に化学療法を施した癌患者や骨髄移植を施した患者の血清中にも検出されている(Mazurら、Exp.Hematol.、12巻、624−628頁、(1984);de AlarconとSchmieder、Prog.Clin.Bio.Res.、215巻、335−340頁、(1986))。Hoffmanらは、骨髄巨核球低形成の血小板減少症患者の血漿から、見かけの分子量46000を有するMeg−CSFを精製したと報告したが(Hoffmanら、J.Clin.Invest.、75巻、1174−1182頁、(1985))、その後の研究で精製標品の純度がアミノ酸配列を決定するには不十分であることが判明している(Hoffman、Blood)74巻、1196−1212頁、(1989))。類似の血小板減少症患者由来の血漿、あるいは特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者の尿から、マウスでの75se−セレノメチオニン(75Se−selenomethionine)の新生血小板への取り込みを促進させるTPO様活性が部分精製され、血漿由来の活性については見かけの分子量40000を有することが示されている(Grossiら、Hematologica)72巻、291−295頁、(1987) :Vannucchiら、Leukemia)2巻、236−240頁、(1988))。
再生不良性貧血や重症のITP患者の尿中にも、Meg−CSF活性やTPO様活性が検出されている(Kawakitaら、Br. J.Haematol.、48巻、609−615頁、(1981);Kawakitaら、Blood)61巻、556−560頁、(1983))。さらに、Kawakitaらは、再生不良性貧血患者の尿抽出物に含まれるMeg−CSF活性は、解離条件下のゲル濾過で見かけの分子量45000を有することを報告している(Kawakitaら、Br.J.Haematol.、62巻、715−722頁、(1986))。Erikson−Millerらも、同様の試料からのMeg−CSFの精製を報告しているが、その構造は明らかにされていない(Erikson−Millerら、 “Blood Cell Growth Factors;their present and future use in hematology and oncology″ed. by Murphy、AlphaMed Press、Dayton、Ohio)204−220頁、(1992))。Turnerらは、骨髄移植を施行された患者の尿からMeg−CSF活性を有する巨核球刺激因子(MSF)を精製し、その遺伝子をクローニングした(Turnerら、Blood、78巻、1106頁279a、 (1991) (abstr.、suppl. 1))。このMSFは、分子量28000から35000を有するタンパク質の二量体である。この因子が、これまで血小板減少症患者の血清や血漿中に検出されてきたMeg−CSFと同じ因子か否か、また生体内において血小板増加作用を有するか否かは不明である。また、ヒト胎児腎臓由来細胞株(HEK細胞)の培養上清から分子量32000のTPO様活性が精製され、様々な性状が調べられているが、いまだにその構造は明らかにされていない(McDonaldら、J.Lab.Clin.Med.、106巻、162−174頁、(1985);McDonald、Int. J.Cell Cloning、7巻、139−155頁、(1989))。
一方で、別の研究者により、このHEK細胞のならし培養液中に存在する、試験管内での巨核球の成熟を促進する主要な活性は、この細胞が産生する既知サイトカイン、即ち、IL−6とEPOに依るという報告もある(Withyら、J.Cell. Physiol.、15巻、3362−372頁、(1992))。
動物由来の因子について、Evattらは、抗血小板抗体を注入したウサギの血小板減少期の血漿中にウサギおよびマウスにおいて75se−セレノメチオニンの新生血小板への取り込みを促進させるTPO様活性を報告している(Evattら、J.Lab.Clin.Med.、83巻、364−371頁、(1974))。その他にも1960年代から1970年代にかけて類似の報告がいくつも見られる(例えば、Odellら、Proc.Soc.Biol.Med.、108巻、428−431頁、(1961) ;EvattとLevin..J.Clin.Invest.、48巻、1615−1626頁、(1969);Harker、Am. J. Physiol.、218巻、1376−1380頁、(1970) ;ShreinerとLevin、J.Clin.Invest.、49巻、1709−1713頁、(1970);Penington、Br.Med.J.、1巻、606−608頁、(1970))。Evattら、およびHillとLevinは、抗血小板抗体投与により誘導した血小板減少期のウサギの血漿から、TPO様活性を部分精製し(Evattら、Blood、54巻、377−388頁、(1979);HillとLevin、Exp.Hematol.、14巻、752−759頁、(1986))、その後さらに、試験管内において巨核球の分化、成熟を促進させる活性、即ちMeg−Pot活性を指標にしてこの因子の精製を進め、ゲル濾過上で見かけの分子量40000〜46000を有することを明らかにしたが、完全精製には至っていない(Kellerら、Exp.Hematol.、16巻、262−267頁、(1988);Hillら、Exp.Hematol.、20巻、354−360頁、(1992))。抗血小板抗体投与で誘導した重症の急性血小板減少症のウサギの血漿中にはIL−6活性が検出されないことから、このTPO様活性はIL−6とは異なる分子によって担われていることが示されている(Hillら、Blood、80巻、346−351頁、(1992))。
TayrienとRosenbergも、同様のウサギの血漿、あるいはHEK細胞の培養上清から、巨核球系のラット培養細胞株において血小板第4因子の産生を刺激する見かけの分子量15000を有する因子を精製したが、その構造は明らかにされていない(TayrienとRosenberg、J.Biol.Chem.、262巻、3262−3268頁、(1987))。
また、Nakeffは、抗血小板抗体投与により血小板減少にしたマウスの血清中にMeg−CSF活性を見いだしている(Nakeff、“Experimental Hematology Today”ed.by Baum and Ledney、Springer−Verlag、NY、111−123頁、(1977))。
一方、同様の処置で血小板減少にしたウサギの血漿中には、試験管内において、巨核球の成熟を促進したり(Kellerら、Exp.Hematol.、16巻、262−267頁、(1988);Hillら、Exp.Hematol.、17巻、903−907頁、(1989))、巨核球の血小板への形態変化(LevenとYee、Blood、69巻、1046−1052頁、(1987))を刺激する活性は検出されているが、Meg−CSF活性は認められていない。このような違いが何に起因するのか、理由は不明である。
Miuraらは、亜致死線量の放射線を全身照射したラットの血小板減少期の血漿中にMeg−CSF活性を検出し(Miuraら、Blood、63巻、1060−1066頁、(1984))、この活性が血小板輸血によって減少しないことから、生体内でのMeg−CSF活性の誘導には、血小板の減少ではなく、巨核球の減少が必要であるとしている(Miuraら、Exp.Hematol.、16巻、139−144頁、(1988))。MazurとSouthは、放射線照射により再生不良性貧血にしたイヌの血清中にMeg−CSF活性を検出し、ゲル濾過上で見かけの分子量175000を有することを報告している(MazurとSouth、Exp.Hematol.、13巻、1164−1172頁、(1985))。その他に、血清、血漿、あるいは尿に由来する因子が、Stranevaら(Stranevaら、Exp.Hematol.、15巻、657−663頁、(1987))などによっても報告されている。
このように、血小板減少症のヒトや動物の生体試料の中に、巨核球造血、および血小板生成を促進する因子の存在が確認されているにもかかわらず、現在までにそのような因子の単離、生化学的ならびに生物学的な同定、および特性決定は、天然の供給源、例えば血液や尿の中にそのような因子が極端に微量でしか存在しないために成功していない。
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、巨核球前駆細胞の増殖および分化を促進するか、および/又は生体内で特異的に血小板の産生を刺激、または増強する活性(TPO活性)を有するタンパク質(TPO)を天然の供給源から単離・同定し、更にはそのようなタンパク質をコードする遺伝子を単離することによって組換えDNA技術を用いて、該タンパク質を均質に大量生産する手段を提供することにある。それが可能となれば、現在採用されている血小板輸血にとって代わるか、頻度を減らすことができ、あるいは血小板障害の治療および診断にも使うことができる。
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、TPO活性を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードする新規DNA (以下、「本発明のDNA」と言う)が提供される。本発明のDNAとしては、配列番号16に示されたアミノ酸配列をコードするDNAがある。本発明のDNAには、配列番号16に示されたアミノ酸配列および、TPO活性を保持する限りにおいてそのアミノ酸配列の一部が改変(置換、欠失、挿入、および/または付加)されているもの、即ち、TPO誘導体をコードするDNAが含まれる。
別の言い方をすれば、本発明のDNAとしては、アミノ酸配列が実質的に配列番号16に示されたアミノ酸配列をコードするDNAが含まれる。ここで言う、「実質的に配列番号16に示されたアミノ酸配列」とは、配列番号16に示されたアミノ酸配列」に加えて、「TPO活性を保持する限りにおいて、配列番号16に示されたアミノ酸配列の一部に置換、欠失、挿入および/または付加などがあるアミノ酸配列」を含むものである。
なお、ここで言う「アミノ酸配列をコードするDNA」とは縮重関係にあるすベての塩基配列を有するDNAを意味している。
更に、本発明のDNAは、TPO活性を有するタンパク質のアミノ酸配列をコ
ードするDNAであって、以下(a)〜(c)から選ばれるDNAを包含する。
(a)配列番号2、配列番号4、または配列番号6に示されたDNAまたはそれらの相補鎖
(b) (a)のDNAまたはその断片と(厳格な条件下で)ハイブリッド形成するDNA
(c)遺伝コードの縮重がなければ(a)、(b)のDNAとハイブリッド形成しうるDNA。
また、別の言い方をすれば、本発明のDNAは以下の(a)、(b)のいずれかに示されたDNAも包含する。
(a)大腸菌DH5に担持されたベクターpEF18S−A2α(受託番号FERM BP−4565)に組込まれているTPO活性を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA、または大腸菌DH5に担持されたベクターpHT1−231(受託番号FERM BP−4564)に組込まれているTPO活性を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードするDNA
(b)TPO活性を有するタンパク質のアミノ酸配列をコードするDNAであって、(a)のDNAまたはその断片と(厳格な条件下で)ハイブリッド形成するDNA。
ここで“厳格な”ハイブリダイゼーション条件という表現は、縮重配列の、および/または単一配列のオリゴヌクレオチドプライマー(プローブ)を用いることにより行う、本発明においてDNAのPCR増幅をとりあげた一連の実施例において使用されるものである。
例として、Sambrookらの “Molecular Cloning”(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)の第11章および第14章、あるいは、Ausubelら編 “Current Protocols in Molecular Biology”(Current Protocols, U.S.A.,1993)のユニット2.10を参照のこと。
本発明のDNAとしては配列番号16に示されたアミノ酸配列のうち、1位から163位のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含み、かつTPO活性を有するタンパク質をコードするDNAも含まれる。
このようなDNAは、制限酵素による切断部位の供与、および/または、発現を容易にするような発現ベクター構築のための開始部、終止部または中間部へのDNAの付加的供与を含むことができる。また、非哺乳類宿主を選択する場合には、それにおける発現に好ましいコドン(優先コドン)を組み込んでも良い。
本発明のDNAとしては、ヒトをはじめとする哺乳動物細胞などからmRNAを調製した後、既知の方法で作製されたcDNAライブラリーから、既知の方法によってスクリーニングすることによって得られたcDNAがある。この場合のmRNAの供給源としては、ラット肝臓細胞由来の細胞株McA−RH8994細胞、HTC細胞、H4−II−E細胞、ラット肝臓、腎臓、脳、小腸、ヒト肝臓等が挙げられる。
また、本発明のDNAとしては、ヒトをはじめとする哺乳動物細胞から既知の方法で作製されたゲノムライブラリーから既知の方法でスクリーニングされたゲノムDNAであってもよい。この場合のゲノムDNAの供給源としては、ヒト、ラット、マウス等の染色体DNAが挙げられる。
また、このようにして得られた、TPO活性を有するタンパク質をコードするcDNAを周知の部位特異的突然変異法を用いて修飾することによって、一部のアミノ酸配列が改変されたもの、即ちTPO誘導体をコードするDNAを得ることができる。
また、本明細書中で開示されたTPO活性を有するタンパク質のアミノ酸配列/塩基配列に基づいて、その一部のアミノ酸配列が改変されたタンパク質をコードするDNAは、その一部または全部を化学合成することによっても当業者が容易に得ることができる。
本発明のDNAは、種々の遺伝子組換え技術によってTPO活性を有するタンパク質を大量生産するために有用な物質である。
更に、本発明のDNΛは、TPOの関連タンパク質をコードする遺伝子、並びに他の哺乳動物のTPOのcDNA、およびゲノムDNAを単離する場合に標識化プローブとして用いるのに適した物質である。また、ヒトおよび他の哺乳類種における遺伝子療法において有用である。本発明のDNAは、大量のTPOおよびTPO生産のための真核宿主として用いることができるトランスジェニック哺乳類種の開発に有用である(Palmiterら、Science、 222、809−814、(1983))。
また、本発明によれば、上記TPO活性を有するタンパク質をコードするDNAを組み込んだベクター、該ベクターで形質転換された宿主細胞、該宿主細胞を培養し、産生されたTPO活性を有するタンパク質を分離・精製することを特徴とするTPO活性を有するタンパク質の製造方法が提供される。
この場合の宿主細胞としては、原核生物(例えば細菌、好ましくは大腸菌)、真核生物(例えば酵母、昆虫、あるいは哺乳動物)細胞を用いることができる。哺乳動物細胞の例としては、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamster Ovary)細胞、X63.6.5.3.細胞、C−127細胞、BHK(Baby Hamster Kidney)細胞、ヒト由来細胞(例えば、HeLa細胞)等があげられる。酵母の例としては、パン酵母(Saccharomyces cerevisiae)やメタノール資化性酵母(Pichia pastoris)等があげられる。昆虫細胞の例としては、蚕培養細胞(例えば、Sf21細胞)等があげられる。
これらの宿主細胞を形質転換させるために用いられるベクターには、大腸菌用としてpKC30 (Shimatake H.and M.Rosenberg、Nature、 292、128−132、1981)、pTrc99A (Amann E.ら、Gene6、69、301−315、1988)等があげられる。
哺乳動物細胞用としてはpSV2−neo(Southern and Berg;J.Mol.Appl.Genet.、1、327−341、1982)、pCAGGS(Niwaら;Gene、108、193−200、1991)、あるいはpcDL−SR α296 (Takebeら;Mol.Cell.Biol.、8、466−472、1988)等がある。酵母用としてはpG−1(Schena M.and Yamamoto K.R.;Science)241、965−967、1988)等がある。蚕細胞用としては、組み換えウイルス作製用トランスファーベクターpAc373(Luckowら、Bio/Technology) 6、47−55、1988)等がある。
これらのベクターは必要に応じて複製起点、選択マーカー、プロモーターを含み、さらに真核細胞用のベクターには、必要に応じてRNAスプライス部位、ポリアデニル化シグナル等が付加される。
複製起点として、哺乳動物細胞用ベクターには、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス由来のもの等を用いることができる。大腸菌用ベクターとしては、ColE1、R因子、F因子由来のもの等を用いることができる。酵母用としては2μmDNA、ARS1由来のもの等を用いることができる。
遺伝子発現用プロモーターとして哺乳動物細胞用ベクターには、ウイルス由来であるレトロウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、SV40由来のもの等あるいは、染色体由来のもの(例えば、EF1−α)等を用いることができる。大腸菌用ベクターとしてはバクテリオファージλ由来のものや、trp、lpp、 lac、tacプロモーター等を用いることができる。パン酵母用としてはADH、PH05、GPD、PGK、MAF αプロモーター、メタノール資化性酵母についてはAOX1プロモーター等を用いることができる。蚕細胞用ベクターとしては核多角体病ウイルス由来のもの等を用いることができる。
選択マーカーとして、哺乳動物細胞用ベクターには、ネオマイシン(neo)耐性遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子等を用いることができる。大腸菌用ベクターとしては、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子等を用いることができる。酵母用としてはLeu2、Trpl、Ura3遺伝子等を用いることができる。
以上の様な宿主−ベクター系を用いてTPO活性を有するタンパク質を得るためには、上記ベクターの適当な部位に該遺伝子を組み込んだ組み換えDNA体により、宿主細胞を形質転換させた後、得られた形質転換体を培養し、さらに細胞内あるいは培養液から該ポリペプチドを分離・精製すればよい。これらに用いられる手段・方法は公知のものを組み合わせて行なうことができる。
宿主を用いて発現させる場合に、その発現産物のN末端をより確実に均一化するため、本来のシグナル配列を改変したり、他のタンパク質のシグナル配列を用いてもよい。また、N末端およびその近傍のアミノ酸残基を改変(置換、あるいは付加)することに(例えば、大腸菌を用いて発現させる場合にメチオニン残基に加え、リジン残基を加えるなど)よっても、N末端を均一化することが可能である。
また、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST:Glutathione−S−transferase)とTPOとをトロンビン認識ペプチドを介した融合タンパク質として適当な宿主にて発現させ、単離した後、その融合タンパク質をトロンビン処理することにより、GST部分を除去し、−1位にグリシン残基が付加されたGly−1TPOタンパク質を得ることができる。
本発明のTPO活性を有する新規タンパク質(以下、「本発明のタンパク質」と言う)としては、配列番号16に示されたアミノ酸配列から成るタンパク質がある。また、本発明にはTPO活性を保持する限り、その一部のアミノ酸配列が改変(置換、欠失、挿入、および/または付加)されたもの、即ちTPO誘導体も含まれる。
別の言い方をすれば、本発明のタンパク質としては、アミノ酸配列が実質的に配列番号16に示されたアミノ酸配列であるようなタンパク質が含まれる。ここで言う、「実質的に配列番号16に示されたアミノ酸配列」とは、「配列番号16に示されたアミノ酸配列」に加えて、「TPO活性を保持する限りにおいて、配列番号16に示されたアミノ酸配列の一部に置換、欠失、挿入および/または付加などがあるアミノ酸配列」を含むものである。
本発明のタンパク質としては、配列番号16に示されたアミノ酸配列の7位から151位のアミノ酸配列を含み、かつTPO活性を有するタンパク質も含まれる。
より具体的には、配列番号6に示されたアミノ酸配列のうち、1位から231位、1位から211位、1位〜191位、1位〜171位、1位〜163位、1位〜157位、1位〜156位、1位〜155位、1位〜154位、1位〜153位、1位〜151位及び7位〜163位からなるヒトTPOタンパク質が本発明のタンパク質として挙げられる。
更には、上記7位から151位の配列内部または外部に、TPO活性を損なわない範囲で、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失、挿入および/または付加を有しているタンパク質も本発明のタンパク質に含まれる。
本発明のTPO誘導体の他の例としては、例えば、アミノ酸の改変(置換、欠失、挿入および/または付加)を行うことによって安定性や体内での持続性の向上を図ったもの、糖鎖の付加する1つ以上の潜在的部位を欠失または付加して変化させたもの、1つ以上のシステイン残基を欠失させるか、またはシステインを他のアミノ酸残基(例えば、アラニンまたはセリン残基)で置換したものなどが挙げられる。
一般にタンパク質の熱力学的安定性を向上させる方法として、プロリン残基の導入とグリシン残基の除去が有効であることが理論的に示されている。(Matthewsら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84,6663−6667.1987)。そこで、安定性の向上を目的としたTPO誘導体を設計する場合、プロリン残基を導入したTPO誘導体およびグリシン残基を除去したTPO誘導体を考えることができる。
ヒトTPOへのプロリン残基の導入部位の選定には、例えば、このものに高い相同性を有する他の生物種由来のTPO(マウスTPO:Si Lokら、Proc.Natl.cad.Sci.U.S.A. 369巻、565−568頁、(1994)、イヌTPO:T.D. Bartleyら、Cell 77巻、1117−124頁、(1994))のアミノ酸配列を利用することができる。
例えば、ヒト型とラット型のアミノ酸配列(配列番号15)を比較し、ヒト型ではプロリンではないがラット型ではプロリンを有する部位、あるいは、ヒト型ではグリシンだがラット型ではグリシン以外のアミノ酸を有する部位を選ぶことができる。
例えばこのような部位として、配列番号16に示されたヒトTPOのアミノ酸配列のうち、9位のロイシン残基、82位のグリシン残基、146位のグリシン残基、148位のセリン残基などが挙げられ、それらのグリシン残基を他のアミノ酸残基に置換した誘導体や、セリン残基をプロリン残基に置換した誘導体などが考えられる。
また、一般にタンパク質は、疎水性アミノ酸を内側に、親水性アミノ酸を外側に立体構造が形成されることから、タンパク質表面に存在するアミノ酸をより親水性の高い荷電性アミノ酸に置換することによってタンパク質の溶解性の向上を期待することができる。ヒトTPOの場合でも、このような観点から誘導体を設計することができる。例えば、14位のリジン残基、52位のリジン残基、59位のリジン残基、115位のグルタミン残基、119位のトレオニン残基、138位のリジン残基をそれぞれアルギニン残基に置換したものなどが挙げられる。
更には、TPOとアミノ酸配列における類似性が指摘されているErythropoietin(EPO)において、一次構造上4番目に位置するヘリックス(Dヘリックス)を予測し、正電荷を導入したところ、生物活性の向上が認められている(特開平3−72885)ことから、TPOについてもそのアミノ酸配列からDヘリックスを予測し、TPO誘導体を設計することができる。
一般にタンパク質のDヘリックスの予測には、例えば、金久らによる二次構造予測プログラムIDEAS(金久、IDEAS user′s manual)等が使用できる。
次に、Dヘリックスが位置すると予測された領域で、外側に位置するアミノ酸を推定し、正電荷を導入する候補となるアミノ酸残基を選定する。このような候補の選定は、例えば、目的領域の車輪モデル(ShifferとEdmundson,Biophys.J.7,121−135.1967)を作成することにより可能である。
ヒトTPOの場合、Dヘリックスの位置は126番目から142番目の領域と予測されるが、この領域で選定されるアミノ酸残基として例えば、129位のロイシン残基、133位のヒスチジン残基、143位のメチオニン残基等が挙げられる。従って、これらのアミノ酸残基をアルギニン残基、あるいはリジン残基に置換して正電荷を導入するような誘導体が考えられる。
本発明のTPO誘導体をより具体的に例示すれば、少なくとも、ヒトTPOの1位のセリン残基がアラニン残基に、かつ3位のアラニン残基がバリン残基に置換されたタンパク質、25位のアルギニン残基がアスパラギン残基に置換されたタンパク質、33位のヒスチジン残基がトレオニン残基に置換されたタンパク質、25位のアルギニン残基がアスパラギン残基に、かつ231位のグルタミン酸残基がリジン残基に置換されたタンパク質、更にこれらのタンパク質のC末端にThrSerlleGlyTyrProTyrAspValProAspTyrAlaGlyValHisHisHisHisHisHisのポリペプチドが付加されたタンパク質を挙げることができる。
更には、少なくとも、33位のヒスチジン残基が欠失したタンパク質、116位のグリシン残基が欠失したタンパク質、117位のアルギニン残基が欠失したタンパク質、33位のヒスチジン残基と34位のプロリン残基の間にトレオニン残基が挿入されたタンパク質、33位のヒスチジン残基と34位のプロリン残基の間にアラニン残基が挿入されたタンパク質、33位のヒスチジン残基と34位のプロリン残基の間にグリシン残基が挿入されたタンパク質、33位のヒスチジン残基と34位のプロリン残基の間にグリシン残基が挿入され、かつ38位のプロリン残基がセリン残基に置換されたタンパク質、116位のグリシン残基と117位のアルギニン残基の間にアスパラギン残基が挿入されたタンパク質、116位のグリシン残基と117位のアルギニン残基の間にアラニン残基が挿入されたタンパク質、116位のグリシン残基と117位のアルギニン残基の間にグリシン残基が挿入されたタンパク質を挙げることができる。
また、少なくとも、129位のロイシン残基がアルギニン残基に置換されたタンパク質、133位のヒスチジン残基がアルギニン残基に置換されたタンパク質、143位のメチオニン残基がアルギニン残基に置換されたタンパク質、82位のグリシン残基がロイシン残基に置換されたタンパク質、146位のグリシン残基がロイシン残基に置換されたタンパク質、148位のセリン残基がプロリン残基に置換されたタンパク質、59位のリジン残基がアルギニン残基に置換されたタンパク質、115位のグルタミンがアルギニン残基に置換されたタンパク質が挙げられる。
また、本発明のTPOタンパク質としては、配列番号16に示されるアミノ酸配列を有するヒトTPO、および前述の誘導体の−2位にメチオニン残基、かつ−1位にリジン残基が付加されたタンパク質、−1位にメチオニン残基が付加されたタンパク質も含まれる。
好ましくは、本発明のタンパク質は、cDNA、ゲノムDNA、または化学合成により得られるDNAを含む組換えベクターで、形質転換された宿主細胞から分離・精製して得られたものであることを特徴とする。
宿主として、細菌(例えば、大腸菌)を用いて菌体内発現を行う場合には、TPO活性を有するタンパク質のN末端側に開始メチオニン残基の付加されたタンパク質が得られるが、このようなタンパク質も本発明に含まれる。また、用いる宿主によっては、産生されるTPO活性を有するタンパク質はグリコシル化されている場合もあるし、あるいはグリコシル化されていない場合もあるがいずれも、本発明のタンパク質に含まれる。
また、本発明のタンパク質としては、天然の供給源(例えば、TPO活性を含むならし培地、またはヒト尿、血清、血漿)から精製および単離されたTPO活性を有する天然のタンパク質も含まれる。
また、本発明によれば、そのような天然の供給源からTPOを精製する方法を包含する。そのような精製法としては、一般にタンパク質の精製に用いる工程(イオン交換クロマトグラフィー、レクチンアフィニティークロマトグラフィー、色素吸着クロマトグラフィー、疎水相互クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィー、硫酸化ゲルクロマトグラフィー、ハイドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、金属キレーティングクロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、分取電気泳動法、および等電点電気泳動法など)の一つ以上を組み合わせた方法がある。また、後述の実施例から推定しうるTPOの物理化学的な性質を利用して組み合わせることのできる方法も本発明に含まれる。さらには、TPOを認識することのできる抗体を用いた抗体カラムをも用いることができる。また、TPOはMp1のリガンドであることが判明したことから(de Sauvageら、Nature369巻533−538頁(1994)、Bartleyら、Cell 77巻 1117−1124頁(1994)、Kaushanskyら、Nature 369巻 565−568頁 (1994))、Mp1を活性化ゲルにカップリングさせることでアフィニティーゲルカラムを調製し、これを利用することによってもTPOを精製することができる。より具体的には、Mp1の細胞外領域(Mp1−X)をCHO細胞を宿主として用いた遺伝子組換え法により生産・調製し、調製されたMp1−Xカラムが挙げられる(前述のBartleyら(1994))。
本発明は更に、TPOのヒトcDNAまたはゲノムDNAの蛋白質コード鎖と相補的なDNAの部分によってコードされる種類のタンパク質、即ちTramontanoら(Nucl.Acids Res.、12、5049−5059(1984))が記載したような“相補的逆方向蛋白質”を含む。
本発明には、固体組織および血液または尿のような液体試料中のTPOまたはその受容体保有細胞の検出および定量に有用な試薬を提供するために、検出可能なマーカー物質で標識(例えば125Iで放射能標識するか、またはビオチニル化する)された本発明のタンパク質も含まれる。
ビオチニル化された本発明のタンパク質は、自己骨髄移植において骨髄から巨核芽球性細胞を除去するために固定化ストレプトアビジンと結合する場合に有用である。更には、自己または同種異系骨髄移植の場合に自己または同種異系巨核球系細胞を濃縮するために固定化ストレプトアビジンと結合する場合に有用である。リシン、ジフテリア毒素のような毒素とTPOとの毒素結合体、および放射性同位元素は、抗癌療法に対して、または骨髄移植のコンディショニング養生法として有用である。
また、本発明は、検出可能マーカー(例えば放射能標識、またはビオチンのような非同位元素標識)で標識される場合や、染色体地図におけるヒトTPO遺伝子位置および/または任意の関連遺伝子ファミリーの位置を突き止めるためのハイブリダイゼーション法に用いるのに有用な核酸物質も提供する。それらは、DNAレベルでヒトTPO遺伝子障害を確認するためにも有用であって、隣接遺伝子およびそれらの障害を確認するための遺伝子マーカーとしても用いられる。
さらに、本発明には、有用で好適な希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバントおよび/または担体とともに治療上有効量の本発明のタンパク質を含有する医薬組成物も含まれる。本明細書中で用いる“治療上有効量”という用語は、指定の条件および投与法に対して治療効果を提供する量を示す。このような組成物は、液体であるか、あるいは凍結乾燥またはさもなくば乾燥された剤形であって、種々のpH、およびイオン強度から成る緩衝剤(例えばトリス−塩酸、酢酸塩、燐酸塩)より選択した希釈剤、表面に吸着しないようにするためのアルブミンまたはゼラチンのような添加剤、界面活性剤(例えばTween20、Tween80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、可溶化剤(例えばグリセロール、ポリエチレングリコール)、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えばチメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、賦形剤または等張化剤(例えばラクトース、マンニトール)を配合した製剤が含まれる。また、蛋白質に対するポリエチレングリコールのような重合体との共有結合、金属イオンとの錯体化、あるいはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどのような重合化合物の粒状製剤中またはその表面上への、あるいはリポソーム、ミクロエマルジョン、ミセル、単層または多層小胞、赤血球ゴースト、またはスフェロプラスト中への当該物質の取り込みを包含する。このような組成物は、TPOの物理的状態、溶解性、安定性、in vivo放出速度、in vivoクリアランスに影響を及ぼすと思われるので、組成物の選択は、TPO活性を有する蛋白質の物理的および化学的特性による。さらに、重合体(例えばポロキサマーまたはポロキサミン)と、組織特異的受容体、配位子または抗原に対する抗体に結合するか、あるいは組織特異的受容体の配位子に結合するTPOとで被覆される粒状組成物も本発明に包含される。本発明の組成物の別の剤形としては、非経口、経肺、経鼻、および経口を含めた種々の投与経路のため、粒状形態、保護被膜、プロテアーゼ阻害剤、または吸収促進剤を配合する。
本発明のタンパク質を含有する医薬組成物は、活性成分として通常0.05μg/kg体重〜1mg/kg体重を、病状、性別及び投与経路等に応じて、一日数回程度投与することができる。
本発明のタンパク質を含有する医薬組成物は、活性成分として後述のM−07eアッセイにおける相対活性量通常25,000〜500,000,000/kg体重を、病状、性別及び投与経路等に応じて、一日一回〜数回、1週間に1〜7日間程度投与することができる。
更に本発明は、本発明のタンパク質に加えてEPO、 G−CSF、GM−CSF、 M−CSF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、 IL−11、IL−12、IL−13、LIF、SCFのような因子の1つ以上を付加的造血因子として含有する組成物を包含する。
本発明のタンパク質は、単独あるいは他の付加的造血因子との組み合わせても、多数の血小板減少症の治療に有用である。他の付加的造血因子としては、EPO、G−CSF、GM−CSF、 M−CSF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、LIF、SCFを挙げることができる。
本発明によれば、本発明のタンパク質を有効成分とし、制ガン剤や免疫抑制剤の投与による化学療法や放射線療法、あるいは骨髄移植(BMT)における血小板減少症の治療剤が提供される。更に、血小板障害、例えば、血小板産生障害や血小板の寿命短縮(血小板破壊の亢進、あるいは血小板消費の亢進)による血小板減少を特徴とし、本発明のタンパク質で治療可能な多数の疾患が存在する。例えば、先天性のファンコニ貧血、化学療法や放射線療法に伴う再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、または骨髄移植のような骨髄形成不全による血小板減少症などが挙げられ、このような患者の血小板の回復を促進するために用いることができる。また、TPO産生異常による血小板減少症にも有用である。血小板や巨核球の寿命短縮による血小板減少症としては例えば、特発性血小板減少性紫斑病、後天性免疫不全症候群(AIDS)、播種性血管内凝固症候群、血栓性血小板減少症などがあり、このような患者の血小板回復促進にも有用である。更に、外科手術前にTPOを投与して自分の血小板を増加させ、その血小板を自分の手術時に輸血用血小板として用いる(自己血小板輸血)への用途としても有用である。
さらに本発明のタンパク質の別の用途は、例えば他の化学薬品または医薬品、または治療的措置による一過性の血小板の欠損または損傷によってもたらされた障害の処置である。TPOは、そのような患者で新しい“無傷の”血小板の放出を促進するのに用いることができる。
本発明はさらにTPOに特異的に結合する抗体、およびそれを得るための抗原を提供する。本発明のタンパク質または抗原決定基を有する該タンパク質の部分断片が抗原として使い得る。そのような抗体は、モノクローナルおよびポリクローナル抗体の双方、および既知の方法によって作製したキメラ抗体、即ち“組換え”抗体などを含む。種々の抗原決定基(エピトープ)に対する種々の抗体を一般に含有する慣用的抗体(ポリクローナル)製剤に対比して、モノクローナル抗体は各々、抗原上の単一抗原決定基に対する抗体である。TPOに対する特異抗体は、抗原−抗体反応を用いる診断および分析的アッセイ法の選択性および特異性を改良したり、TPOを分離・精製するのに有用である。さらに、それらは、血清からTPOを中和または除去するのに用いられる。モノクローナル抗体の利点は、それらが、他の免疫グロブリンが混入していない培地中でハイブリドーマ細胞によって合成され得ることである。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞の培養上清から、またはマウスにハイブリドーマ細胞を腹腔内接種することによって誘導される腹水から調製される。KohlerとMilsteinが最初に記載したハィブリドーマ技術(Eur.J.Immunol.6、511−519 (1976))は、多数の特異抗原に対する高レベルのモノクローナル抗体を保有するハイブリッド細胞系を生成するために広く用い得る。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
(A)ラットTPOの精製〜ラット精製TPOの部分アミノ酸配列の分析〜ラット精製TPOの生物学的特性の分析
本発明者らは、まずラットCFU−MKの増殖・分化促進活性を有するタンパク質(ラットTPO)の精製を試みた。本精製では、種々の天然の供給源の選択、更には、クロマトグラフィー担体の選択、分離手段の選択など、精製の組立について数々の試行錯誤を繰り返した。その結果、本発明者らは、X線、あるいはγ線照射により誘導した血小板減少症ラットの血漿より、後述の<参考例>に記載したラットCFU−MKアッセイに基づくTPO活性を指標として、TPO活性を有するタンパク質を精製し、その部分アミノ酸配列を決定した<実施例1〜2>。
また、その血漿由来ラットTPOの生物学的特性について試験した<実施例3>。
なお、精製から、精製されたラットTPOの部分アミノ酸配列の決定までの概要は以下の通りである。
(1) X線、あるいはγ線照射による血小板減少症ラット約1100匹分の血漿を集め、Sephadex G−25 クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー(Q−Sepharose FF)、更にレクチンクロマトグラフィー(WGA−Agarose)のステップまで進め、WGA−Agarose吸着TPO活性画分を得た。
(2)次に、このWGA−Agarose吸着TPO活性画分を色素吸着アフィニティークロマトグラフィー(TSK AF−BLUE 650MH)、疎水相互作用クロマトグラフィー(Phenyl Sepharose 6FF/LS)、ゲル濾過クロマトグラフィー(Sephacryl S−200HR)までの処理を実施した。このSephacryl S−200HRにおいては、TPO活性は4つのピーク(分子量の大きいものから、F1、F2、F3、F4)に分かれたので、TPO活性画分F2とF3とをそれぞれ濃縮し、高分子TPO標品F2、低分子TPO標品F3として、それぞれ個別に次の精製ステップに進めた。
(3)低分子TPO標品F3を分取逆相クロマトグラフィー(YMC−Pack PROTEIN−RP)、逆相クロマトグラフィー(YMC−Pack CN−AP)、更に逆相クロマトグラフィー(Capcell Pack C1)で分離した。得られたTPO活性画分を、SDSゲル電気泳動にかけ、電気泳動ゲルからTPO活性の抽出を行ったところ、非還元下で見かけ上分子量約17000〜19000のバンドにTPO活性が存在することが確認できた。
(4)そこで、全てのTPO活性画分を非還元下でSDSゲル電気泳動にかけ、PVDF膜に転写した。次いで、PVDF膜上タンパク質の系統的な限定酵素分解によるペプチド断片化を実施し、ラットTPOタンパク質の部分アミノ酸配列を決定することができた(2つの断片のアミノ酸配列情報を基にラットTPOの遺伝子クローニングを実施した。)。
(5) 一方、Sephacryl S−200HRからの高分子TPO標品F2についても、低分子TPO標品F3と同様に精製を進め、最終ステップの逆相クロマトグラフィー(Capcell Pack C1)で得られたTPO活性画分をSDSゲル電気泳動にかけ、TPO活性の抽出を行った。活性を調べてみると、F3由来のTPOと同じく、非還元下で見かけ上分子量約17000〜22000のバンドにTPO活性が存在することが確認できた。
(B)ラットTPO産生細胞の特定化〜mRNAの調製〜ラットcDNAライブラリーの構築
精製したラットTPOは血漿由来であるため、cDNAクローニングのためには、mRNAの供給源となる臓器あるいは細胞を選抜する必要があった。そこでラット血漿由来TPOの生化学的性質と生物学的性質に基づいて、種々の臓器、あるいは細胞の培養上清中のTPO活性をスクリーニングした。その結果、ラット肝臓細胞由来の細胞株であるMcA−RH8994細胞、HTC細胞、H4−II−E細胞の培養上清中、並びにラットの初代肝臓細胞の培養上清中にもラット血漿由来TPOとほぼ同等のTPO活性を見いだした<実施例4>。
一方、サル細胞(COS1細胞)でのcDNA発現ベクターpEF18Sを、2種類の発現ベクターpME18S並びにpEFBOSを組み合わせて構築した<実施例5>。このベクターの構築によりインサートの組み込みに使用できる多種類のクローニング部位を持つ、発現効率の高いベクターを用いてcDNAをクローニングすることが容易となった。
cDNAライブラリーの構築には上記の発現ベクターの他にpUC系やpBR系のプラスミドベクター、λ系のファージベクター等が主に使用される。
本発明者らは、McA−RH8994細胞を培養し、グアニジンチオシアナート溶液を加えてホモジナイズ後、CsCl密度勾配遠心法により全RNAを得た<実施例6>。
RNAの調製は熱フェノール法や酸性グアニジンフェノールクロロホルム法等でも行なうことが出来る。
この全RNAからオリゴdT固定化ラテックス粒子によりポリ (A)+RNAを精製した後、制限酵素NotI切断配列を付加したオリゴdTをプライマーとして逆転写酵素により1本鎖cDNAを合成し、RNase H およびE.coli DNAポリメラーゼIを用いて、2本鎖cDNAを得た。得られた2本鎖のcDNAにEcoRI リンカーを付加し、これを実施例5で構築したcDNA発現ベクターpEF18SをNotIとEcoRI で切断したものとつなぎ合わせて、コンピテントな大腸菌DH5株を形質転換させ、cDNAライブラリーを構築した<実施例7>。
(C)PCR法によるラットTPOcDNA断片の取得(クローニング)
ラット血漿より精製したラットTPOの部分アミノ酸配列をもとに、その配列をコードすると考えられるDNA配列を予測し、ポリメラーゼチェインリアクション(PCR)に使用する縮重プライマーを合成した。使用するプライマーは、本発明で用いたプライマー以外の位置のアミノ酸配列に基づくものであってもよい。また、イノシンを使わず縮重度の高いプライマーを用いることも出来る。更に、ラットにおいて使用頻度の高いコドンを使用して縮重度を減らしたプライマーを設計することも出来る(WadaらNucleic Acids Res.、18、2367〜2411、1990参照)。
先に作製したcDNAライブラリー全体よりプラスミドDNAを抽出し、このDNAを鋳型としてPCRを実施したところ約330bpのバンドが検出され、塩基配列を決定したところ、ラットTPOの遺伝子の一部をコードするDNA断片(A1断片)であることが分かった<実施例8>。
(D)PCR法によるラットTPOcDNAのスクリーニング〜ラットTPOcDNAのシークエンス〜発現確認
先に構築したcDNAライブラリーを約1万クローンずつのプールに分け、それらのうち100プールからプラスミドDNAを抽出した。これらDNAを鋳型とし、A1断片の塩基配列をもとに新たに合成したプライマーを使用してPCRを行なったところ、100プール中3プールに特異的と考えられるバンドが検出された。そこで、これらのうち1プールを選び、このプールをさらに約900クローンずつのサブプールに分け、それらのうち100プールについて同様のPCRを行なったところ、3サブプールでバンドが検出された。これらのうち1プールを選択し、更に、40クローンずつのサブプールに分け、最終的には1クローンづつ同様のPCRによる選別を行なった結果、ラットTPO遺伝子cDNA断片を担持したプラスミドpEF18S−A2αを持つクローンの単離に成功した<実施例9〜10>。
このcDNA断片の塩基配列を決定したところ、ラット血漿中より精製し部分的に決定したアミノ酸配列をコードしていることが明らかとなり、ラットTPO遺伝子であると考えられた<実施例10>。
上記のようにして得られたクローンよりプラスミドDNAを精製し、COS1細胞にトランスフェクションしたところ、その培養上清中にTPO活性を検出することができた。この結果、得られたpEF18S−A2αはラットTPOをコードしているcDNAを担持していることが確認できた<実施例11>。
(E)ラット各種組織でのTPOmRNAの検出
ラット体内におけるTPOmRNAの発現組織をPCRによって解析し、脳、肝臓、小腸、並びに腎臓において特異的な発現を検出した<実施例12>。
(F)ヒトcDNAライブラリーの構築
実施例4および12の結果より、ヒトTPOcDNAクローニングのための出発組織として肝臓を選択した。そこで、市販の正常ヒト肝臓由来のmRNAより、cDNAライブラリーを構築した。ベクターにはラットのライブラリーと同様にpEF18Sを用い、ラットの場合と同じ操作でcDNAを合成し制限酵素NotIとEcoRI部位を利用した方向性を持ったライブラリーとした。大腸菌株DH5に導入し作製したライブラリーのクローンの数は約120万個であった<実施例13>。
(G)PCR法によるヒトTPOcDNA断片の取得(クローニング)
pEF18S−A2αに担持されたラットTPOをコードするcDNAの塩基配列をもとに、数種類のPCR用プライマーを合成した。市販の正常ヒト肝臓由来のmRNAよりcDNAを合成し、これらのプライマーを用いてPCRを実施したところ、620bp前後のバンドが観察された。塩基配列を決定したところ、ラットTPOと約86%の相同性を有するDNA断片であることが明らかとなり、ヒトTPOをコードする遺伝子の一部であると考えられた<実施例14>。
(H)PCR法によるヒトTPOcDNAのスクリーニング〜ヒトTPOcDNAのシークエンス〜発現確認
先に調製したヒトcDNAライブラリーを増幅し、約10万クローンずつのプールに分割し、90個のプールからプラスミドを抽出した。これらのDNAを鋳型とし、実施例14で得られたヒト−TPO断片の塩基配列を基に新たに合成したプライマーを用いてPCRを行なったところ、3個のプールでバンドが観察された。
これらより1個のプールを選択し、5000個のクローンを1プールとするサブプールに分け、それらのうちの90プールよりプラスミドDNAを精製した。これらを鋳型として同様のPCRを実施したところ、5個のサブプールでバンドが検出された。そこで、これらより1プールを選び250個のクローンを1プールとするサブプールに更に分割し、それらのうちの90プールよりプラスミドDNAを精製し再度PCRによる検出を行なったところ、3個のプールでバンドが観察された。そこで、このうち1プールを選び、30個のクローンを1プールとするサブプールに分割し、それらのうちの90プールからプラスミドDNAを精製しPCRを実施した結果、3個のプールでバンドが観察された。これらのうち1プールより90個のコロニーを拾い、プラスミドDNAを調製し、PCRを実施することで最終的にクローンHL34を得た<実施例15>。
このクローンが持つプラスミドDNAの塩基配列を決定したところ、ラットTPOの塩基配列と約84%程度の相同性を持つcDNAを担持していることが明らかとなった<実施例16>。
このクローンのプラスミドDNAを精製し、COS1細胞にトランスフェクションしたところ、培養上清中にTPO活性が検出され、このクローンが持つプラスミドDNAはヒトTPOをコードする遺伝子cDNA断片を担持していることが確認された<実施例17>。
しかしながら、このcDNA断片は終止コドンが無く、また、ポリA尾部様配列を3’端に持っており、これはクローニングの際の人工産物であると考えられた。そこで、ポリA尾部様配列直前までのアミノ酸をコードする発現ベクターを構築し、COS1細胞での発現を行なったところ、培養上清中にTPO活性が検出された<実施例18>。
完全長cDNAの構造を解析するためにPCRを利用しヒトTPO3’末端側のDNA断片を得た。
この断片の塩基配列を決定したところ、実施例15で得たクローンHL34のcDNAとオーバーラップすることがわかり、オープンリーディングフレームも延び全体で353個のアミノ酸からなる蛋白質をコードすることが予想された。すなわちヒトTPOタンパク質は21個のシグナル配列を含む353個のアミノ酸からなることが示唆された<実施例19>。
ヒトTPOのcDNAクローニングは、上記のようなクローニング法以外にも、pUC系やpBR系のプラスミドベクター、λ系のファージベクター等を使用して構築したライブラリーを利用し、ラットTPOcDNA断片をプローブとしたコロニーハイブリダイゼイションあるいはプラークハイブリダイゼイションによっても行なうことができる。縮重プローブの設計にあたっては、縮重の度合いを減少させるためにイノシンを使うこともできる。TPO活性を特異的に、また感度良く検出できるアッセイ法が利用できる場合には、本発明で用いた様な発現ライブラリーを使用した発現クローニングも行なうことができる。
しかしながら、実施例15で記載するように正常ヒト肝臓においてはヒトTPOをコードするRNAの含量は著しく低いと考えられるため(この実施例から算出される含量は300万個に1個の割合であった)、合成したオリゴヌクレオチドプローブやラットやヒトTPOのcDNA断片をプローブとして用いるハイブリダイゼイションによるスクリーニング方法では、処理するクローンやプラークの数が膨大なものになり、また、ハイブリダイゼイションの感度や特異性がPCR法に及ばないため困難を極めることが予想される。実際に本発明者らも実施例13において作製した正常ヒト肝臓cDNAライブラリー200万クローンについて、ラットTPOcDNA断片をプローブとしたコロニーハイブリダイゼイションを実施したが、ヒトTPOcDNAクローンを得ることは出来なかった。
(I)ヒトTPOcDNAライブラリーの再構築
実施例15で得られたクローンHL34は不完全なcDNAを含むクローンであると考えられたため、完全長のヒトTPOcDNAを得る目的で、市販の正常ヒト肝臓由来のポリ (A)+RNAを用いてヒトTPOcDNAライブラリー(hTPO−F1)を構築し直した。大腸菌株DH5に導入し作製したライブラリーのクローンの数は約100万個であった。<実施例20>
(J)コロニーハイブリダイゼーションによるヒトTPOcDNAの再スクリーニング〜ヒトTPOcDNAのシークエンス〜発現確認
実施例14で得られた部分長のヒトTPOcDNAの塩基配列(配列番号3)、および実施例19において推定された完全長のヒトTPOcDNAの塩基配列(配列番号6)をもとに、PCR用プライマーを合成した。
実施例20で構築したcDNAライブラリー(hTPO−F1)を3つのプール(#1〜3)に分割し、それぞれのプールよりプラスミドDNAを調製し、これらのDNAを鋳型として合成したプライマーを用いてPCRを実施した。#3のプール由来のDNAを用いた場合に予想される大きさのDNAが増幅されたため、#3のプールを15000個づつのサブプールに分割し、先の合成プライマーでPCRを実施したところ、90プール中6プールで予想される大きさのDNAが増幅された。これらより1個のプールを選択し、1000個のクローンを1プールとするサブプールに分け、プラスミドDNAを調製しPCRを行ったが、DNAの増幅は観察されなかった。これは、求めるクローンの増殖が他のクローンより遅いためにプラスミドDNAの回収率が悪くなったことが原因と考えられた。
そこで、#3のプールに戻り、LBプレート1枚あたり4100個のコロニーとなるようにクローンをまき、100枚のプレート、並びにそれぞれのレプリカプレートを作製した。プレートのコロニーから抽出したDNAについて先と同様にPCRを行ったところ、100プール中1プールでバンドの増幅が観察された。このプールのプレートより2枚のレプリカフィルターを作製し、放射標識プローブ(プラスミドpEF18S−HL34のEcoRI/BamHI断片)を用いたコロニーハイブリダイゼーションを行った。その結果、陽性シグナルが1個観察されたため、元のプレートよりコロニーを拾い、LBプレートにまき直して得られたコロニー50個よりプラスミドDNAを調製し、PCRを実施することにより、最終的にクローンpHTF1を得た。<実施例21>
このようにDNAクローンのスクリーニングにおいては、ハイブリダイゼイション、PCR)発現クローニング等が主に用いられるが、これらを適宜組み合わせてスクリーニングの効率、感度を上昇させる、あるいは、労力を低減させることができる。
ここで得られたクローンpHTF1の塩基配列を決定したところ、オープンリーディングフレームが存在し、このオープンリーディングフレームにコードされると考えられるタンパク質のアミノ酸配列は、実施例19で推定されたヒトTPOのアミノ酸配列(配列番号6)と完全に一致した。塩基配列は配列番号6とは3箇所で異なっていたが、アミノ酸の変換は起こさなかった。これによりヒトTPOタンパク質は21残基のシグナル配列を含む353個のアミノ酸からなることが確認できた。<実施例22>
上記のようにして得られたクローンpHTF1よりプラスミドDNAを調製し、COS1細胞にトランスフェクションしたところ、その培養上清中にTPO活性を検出することができた。<実施例23>
(K)プラークハイブリダイゼーションによるヒトTPO染色体DNAのスクリーニング〜ヒトTPO染色体DNAのシークエンス〜発現確認
東北大学遺伝子実験施設 山本徳男教授より頂いたヒトゲノミックライブラリーより、NZYMプレート1枚あたり3万個となるようにファージをまき、18枚のプレート、並びにそれぞれのレプリカフィルターを作製した。クローンpHTF1に含まれるヒトTPOcDNA断片(配列番号7の塩基配列番号178−1025)をPCRで増幅後精製し32P標識したものをプローブとして用いて、プラークハイブリダイゼーションを行った。その結果、13個の陽性シグナルが検出されたため、それぞれ元のプレートよりプラークを拾い、NZYプレート1枚あたり1000プラークとなるようにまき直して、それぞれより作製したレプリカフィルターについて再度プラークハイブリダイゼーションを実施した。その結果、13組すべてのフィルターで陽性シグナルが検出されたため、プラークを単離し、ファージDNAを調製し、13クローンそれぞれについてヒトTPOcDNAのコーディング領域を含んでいるかどうかをPCRによりチェックした。
13クローン中5クローンは、cDNAから予想されるコーディング領域を全て含んでいると考えられたため、1クローン(λHGT1)を選択し、Southernblot解析(用いたプローブは先と同じ)を行った。制限酵素HindIIIで消化した場合に約10kbpの単一バンドが観察されたので、クローンλHGT1のDNAを制限酵素HindIIIで消化後アガロースゲルで泳動し、10kbpのバンドを切り出して精製し、クローニングベクターpUC13にサブクローニングし、最終的にクローンpHGT1を得た。<実施例24>
このクローンの塩基配列を決定したところ、担持されている染色体DNAは、配列番号6に示したヒトTPOタンパク質のコーディング領域をすべて含み、その領域に関しては塩基配列は完全に一致した。また、エクソンに相当する領域は4つのイントロンで分断されており、実施例21で取得したクローンpHTF1に担持されている完全長のヒトTPOcDNAの塩基配列とは3箇所で異なることが判明した。最終的に選択された5クローンのうち残りの4クローンについても塩基配列の決定を行ったところ、2箇所はクローンpHGT1と一致し、残りの1箇所については2クローンがpHGT1と一致し、もう2クローンpHTF1と一致していた。<実施例25>
上記のようにして得られたプラスミドクローンpHGT1のEcoRI断片を発現ベクターpEF18Sにつなぎ、ヒトTPO発現プラスミドpEFHGTEを調製し、COS1細胞にトランスフェクションしたところ、その培養上清中にTPO活性を検出することができた。<実施例26>
(L)ヒトTPO欠失誘導体の作製〜COS1細胞での発現〜活性確認
実施例18並びに22の結果よりヒトTPOタンパク質はその活性発現に全長のアミノ酸を必要としないことが予想された。そこでヒトTPOタンパク質の活性発現に必要な領域を解析する目的で、実施例18で得たクローンpHT1−231のプラスミドDNAを鋳型とし、合成したプライマーでPCRを行うことにより、ヒトTPOタンパク質のC末端側を欠失させた発現プラスミド、即ち、アミノ酸1−211位、1−191位、1−171位、および1−163位をコードする欠失誘導体のプラスミドDNAを得た。得られたそれぞれのプラスミドDNAをCOS1細胞へトランスフェクションしたところ、いずれの培養上清中においてもTPO活性が検出された。<実施例27>
TPO活性を担う領域をさらに詳細に検討するために、C末側より151番目のアミノ酸まで順次欠失させた誘導体並びに、N末側6、7、12番目のアミノ酸まで欠失させた誘導体を作製し、COS1細胞で発現させ活性を検出したところ、N末側では7番目のアミノ酸まで欠失させた場合に、C末側では151番目のアミノ酸まで欠失させた場合に活性が検出できなくなった。<実施例28、29>
このように得られたcDNAをもとに誘導体(欠失、置換、挿入、付加等)を作製することにより、本来のタンパク質の活性を担う改変型タンパク質を得ることができる。この場合に用いる手法としては、PCR法、Site directed mutagenesis法、化学合成法等がある。
(M)ヒトTPOcDNAのCHO細胞での発現〜精製
配列番号6のアミノ酸配列をコードするcDNA動物細胞用発現プラスミド、pHTP1を構築した。<実施例30>
このpHTP1のTPOcDNA領域を用い、CHO細胞発現用ベクターpDEF202−hTPO−P1を構築した。<実施例31>
このベクターをCHO細胞にトランスフェクションし選択を行った結果、染色体中にヒトTPOをコードする発現ベクターが組み込まれた形質転換細胞が得られた。この細胞クローンを培養したところ培養上清中にTPO活性が検出された。<実施例32>
実施例32において、ヒトTPO発現プラスミドpDEF202−hTPO−P1をCHO細胞にトランスフェクションして得られたヒトTPO産生CHO細胞株(CHO28−30細胞、25nM MTX耐性)を大量培養した<実施例55>。
その培養上清100LからヒトTPOを精製した。<実施例56>
また、別法により実施例55で得られた培養上清からTPOを精製した。<実施例57>
(N)ヒトTPOcDNAのX63.6.5.3.細胞での発現〜活性確認
実施例30で調製されたプラスミド、pBLTENのTPOcDNA領域を用い、X63.6.5.3細胞用発現ベクター、BMCGSneo−hTPO−P1を構築した。<実施例33>
このベクターをX63.6.5.3細胞にトランスフェクションしたところ、染色体中にヒトTPOをコードする発現ベクターを組み込んだ、形質転換細胞が得られた。この細胞を培養したところ、培養上清中にTPO活性が検出された。<実施例34>
(O)ヒトTPOのCOS1細胞での大量発現〜精製〜分子量測定、生物学的特性
実施例30で調製された発現ベクター、pHTP1をCOS1細胞にトランスフェクションし発現させた培養上清を大量(合計約401)に調製した。<実施例35>
実施例35の方法で調製された発現ベクター、pHTP1由来TPOを含むCOS1細胞無血清培養上清約71から、TPOの精製を行った。疎水相互作用クロマトグラフィー、陽イオン交換カラム、WGAカラム、逆相カラムの各段階を経て、高活性のTPOを得ることができた。<実施例36>
このようにCOS1細胞培養上清より部分精製されたTPOについて、分子量測定、および生物学的特性の分析を行った。<実施例37、38>
(P)ヒトTPOの大腸菌における発現
グルタチオン−S−トランスフェラーゼとヒトTPO(アミノ酸1−174位)の融合タンパク質(「GST−TPO(1−174)」)の大腸菌発現用ベクター、pGEX−2T/hT(1−174)を構築した。この際のヒトTPOcDNAの塩基配列の一部(5’側およそ半分の領域)は大腸菌優先コドンに変換した。<実施例39>
GST−TPO(1−174)を大腸菌で発現させ、菌体を破砕後、沈殿画分に含まれるGST−TPO(1−174)の可溶化を行った。次に、TPOの巻き戻し(リフォールディング)条件の検討、精製条件の検討(グルタチオンアフィニティーカラム、陽イオン交換カラム等)、トロンビン消化によるGST蛋白質領域の 切断などの段階を組み合わせた結果、設計通りのTPOのアミノ酸配列を含む蛋白質が部分精製できた。この蛋白質はラットCFU−MKアッセイ系にてTPO活性を有することが確認できた。<実施例40、41>
また、ヒトTPO(アミノ酸1−163位)の1位のSer残基をAla残基に、かつ3位のAla残基をVal残基に変換し、さらに−1位にLys残基、−2位にMet残基を付加した変異型ヒトTPOタンパク質(「h6T(1−163)」と称す)の大腸菌発現用ベクター、pCFM536/h6T(1−163)を構築した。このベクターが担持するヒトTPOcDNAによってコードされるアミノ酸(1−163)の塩基配列は全て大腸菌での優先コドンに変換した。<実施例42>
h6T(1−163)を大腸菌で発現させ、菌体を破砕後、沈殿画分に含まれるh6T(1−163)の可溶化を検討、リフォールディング条件の検討を実施した結果、設計通りのTPOのアミノ酸配列を含むタンパク質が部分精製できた。このタンパク質はラットCFU−MKアッセイ系にてTPO活性を有することが確認できた。<実施例43、44>
さらに、ヒトTPOcDNA(アミノ酸1−163)の−1位にLys残基、−2位にMet残基を付加した変異型ヒトTPOタンパク質(「hMKT(1−163)」と称す)の大腸菌発現用ベクターpCFM536/hMKT(1−163)を構築した。hMKT(1−163)を実施例43と同様に大腸菌で発現させ、得られた発現タンパク質をSDS−PAGE後PVDF膜に転写し、N末端アミノ酸配列分析を行った結果、設計通りのアミノ酸配列を含むことが確認できた。<実施例52>
また、ヒトTPO(アミノ酸1−332位)の−1位にLys残基、−2位にMet残基を付加した変異型ヒトTPOタンパク質(「hMKT(1−332)」と称す)の大腸菌発現用ベクターpCFM536/hMKT(1−332)を構築した。hMKT(1−332)を実施例42と同様に大腸菌で発現させ、後述の実施例45で作製した抗ヒトTPOペプチド抗体を用いたウェスタンブロッティングにより発現を確認した。<実施例66>
(Q)抗TPOペプチド抗体の作製〜抗TPOペプチド抗体カラムの調製
実施例10にて判明されているラットTPOのアミノ酸配列のうち、3箇所の部分領域に相当するペプチドを合成し、ウサギポリクローナル抗TPOペプチド抗体を作製した。これらの抗体がラット及びヒトTPOを認識することを確認した。また、配列番号6(もしくは配列番号7)に示されるヒトTPOのアミノ酸配列のうち、6箇所の部分領域に相当するペプチドを合成し、ウサギポリクロナール抗TPOペプチド抗体を作製した。これらの抗体がヒトTPOを認識することを確認した。<実施例45>
TPOに対して結合親和性を持つような分子、即ち、抗TPO抗体、TPO受容体などをカラム坦体に結合させ、アフィニティーカラムクロマトグラフィーによりTPOを精製する方法が考えられる。そこでまず実施例45で得られた抗TPOペプチド抗体をゲル坦体に結合させた抗TPO抗体カラムを調製した。<実施例46>
(R)COS1細胞で発現させたヒトTPOの抗TPOペプチド抗体カラムを用いた精製〜分子量測定、生物学的特性
発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクションした培養上清を材料として部分精製TPOを得て、これを抗TPO抗体カラムにかけた。吸着画分にTPO活性を有することが確認できたので、これをさらに逆相カラムクロマトグラフィーにかけ精製し、その分子量と生物学的活性を調べた。<実施例47>
(S)COS1細胞で発現させたヒトTPOの部分精製標品の活性確認
実施例36で精製されたTPO活性画分、すなわち、発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクションして得られた培養上清由来で、CapcellPak C1 300Aカラムの段階まで精製されたTPOの生物学的活性を調べた結果、生体内において血小板増加作用を有することがわかった。<実施例48>
また、発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクションして得られた、培養上清33Lを出発材料にし、陽イオン交換カラムで得られた粗精製TPO画分の生物学的活性を調べた結果、生体内において血小板増加作用を有することがわかった。<実施例49>
(T)ヒトTPO染色体DNAのCHO細胞での発現〜活性確認
CHO細胞でのヒトTPO染色体発現ベクター、pDEF202−ghTPOを構築した。<実施例50>
このベクターをCHO細胞に導入したところ、染色体中にヒトTPO染色体DNAを担持する発現ベクターが組み込まれた形質転換細胞が得られた。この細胞を培養したところ、培養上清中にTPO活性が検出された。<実施例51>
(U)大腸菌で発現させた変異型ヒトTPOの部分精製〜活性確認
大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするクローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異型ヒトTPOについて、塩酸グアニジンとグルタチオンを用いたリフォールディング操作を行い、ここで得たh6T(1−163)が、生体内において血小板増加作用を有することを確認した。<実施例53>
大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするクローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異型ヒトTPOについて、N−ラウロイルサルコシンナトリウムと硫酸銅を用いたリフォールディング操作を行い、さらに陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製したh6T(1−163)が、生体内において血小板増加作用を有することを確認した。<実施例54>
また、更に別法を用いて、変異型ヒトTPO、h6T(1−163)のリフォールディング〜精製を行った。<実施例60、61>
(V)ヒトTPOcDNAの昆虫細胞での発現〜活性確認
ヒトTPOの昆虫細胞での発現用組換えウィルスを作製し<実施例58>、昆虫細胞Sf21で発現させ、培養上清中の活性を確認した。<実施例59>
(W)ヒトTPO(アミノ酸1−163位)のCHO細胞での発現〜精製
配列番号6に示したヒトTPOのアミノ酸配列のうち、1−163位のアミノ酸配列を有するヒトTPOタンパク質(「hTPO163」と称す)のCHO細胞発現用ベクターpDEF202−hTPO163を構築した。発現ベクターpDEF202−hTPO163をCHO細胞にトランスフェクションして得られたhTPO163産生CHO細胞株を大量培養し、その培養上清からhTPO163を精製した。<実施例62〜65>
(X)ヒトTPO誘導体の作成
ヒトTPOの25位のArg残基がAsn残基に、231位のGlu残基がLys残基にそれぞれ置換され、更にC末端に付加的ペプチドを有する誘導体(「N3/TPO」と称す)、および33位のHis残基がThr残基に置換され、更にC末端に付加的ペプチドを有する誘導体(「O9/TPO」と称す)をコードするプラスミドでトランスフェクションしたCOS7細胞培養上清中にTPO活性が検出された。<実施例67>
hTPO163にアミノ酸を挿入した誘導体またはhTPO163のアミノ酸の一部を欠失させた誘導体をコードするプラスミドでトランスフェクションしたCOS7細胞培養上清中にTPO活性が検出された。<実施例68>
h6T(1−163)を鋳型として、大腸菌を用いてTPO誘導体を作製し、そのTPO活性を確認した。<実施例77>
(Y)TPOによる薬理作用
実施例56で得られたヒトTPOの静脈内投与、並びに皮下投与による正常マウスにおける血小板増加作用を確認した。<実施例69、70>
また、実施例56で得られたヒトTPOが、制ガン剤投与による血小板減少の阻止効果および血小板減少からの血小板数回復促進効果、更にはBMT(骨髄移植)施行後、並びに放射線照射後の血小板数の回復促進効果を有することを確認した。<実施例71〜74>
また、実施例65で得られたヒトTPOの正常マウスにおける血小板増加作用、および制ガン剤投与による血小板減少からの血小板数回復促進効果を確認した。<実施例75、76>
(Z)ヒトTPO製剤の調製
ヒトTPOを有効成分とする製剤の調製例を示した。<製剤実施例1〜9>
なお、本発明において用いたTPO活性の測定方法(invitroアッセイ系)を<参考例>として以下に説明する。
<参考例>
A.ラット巨核球前駆細胞(CFU−MK)アッセイ(ラットCFU−MKアッセイ)系(液体培養系)
巨核球は、エネルギー依存性に細胞外のセロトニン(serotonin)を取り込んで、濃染顆粒に蓄積する(Fedorko、Lab.Invest.、36巻、310−320頁、(1977))。この現象は、少なくともCFU−MKと認識可能な巨核球の間の分化段階に位置する小型で単核のアセチルコリン陽性細胞においてすでに認められ(BrickerとZuckerman、Exp.Hematol.、12巻、672−675頁、(1984))、その後、巨核球サイズの増大に応じてserotoninの取り込み量が増加する(SchickとWeinstein、J.Lab.Clin.Med.、98巻、607−615頁、(1981))。しかも、骨髄細胞の中では巨核球系細胞だけに特異的である(SchickとWeinstein、J.Lab.Clin.Med.、98巻、607−615頁、(1981))ことが知られている。本アッセイ系は、高度に濃縮されたラットCFU−MK(GpIIb/IIIa+ CFU−MK画分;後述)を被検検体の存在下に培養し、巨核球の増殖・分化を14C−セロトニン(14C−5−hydroxy tryptaminecreatinine sulphate:14C−5HT))の取り込みを指標とした測定法である。
本アッセイ系の利点は、用いる細胞に含まれるCFU−MKの割合が極めて高く(後述の「アッセイ方法」参照)、これに反して混入するTPOの標的細胞以外の細胞が少ないので、混入細胞による間接的影響(例えば、本因子以外の何らかの物質が混入細胞に作用してMeg−CSF活性を誘導させたり、混入細胞が本因子と協同作用する何らかの因子を産生したりするなど)を軽減することができ、また、1つのウエルの中で培養する全細胞数が少なくてすむために、比較的長い期間良好な培養環境を維持することができることにある。さらに、培養期間中に活性標品によってCFU−MKから生成した数多くのサイズの大きい成熟巨核球を位相差顕微鏡下に観察することができ、活性の有無や程度を定性的に判定できることも利点である。この定性判定の結果は14C−セロトニンの取り込みによる定量結果と良く対応している。従って、定性判定を併用することにより、定量結果の信頼性を高めることができる。
「アッセイ方法」
まず、アッセイに用いる高度に濃縮されたラットCFU−MK(「GpIIb/IIIa+CFU−MK画分」)を既に報告している方法(Miyazakiら、Exp,Hematol.、20巻、855〜861頁、(1992年))を若干改良した方法に従って調製した。その概略は次のとおりである。
Wistar系ラット(♂、8〜12週齢)の大腿骨、および脛骨を摘出し、常法に従い、骨髄細胞浮遊液を調製する。骨髄細胞浮遊液の調製には、LevineとFedorkoが報告した巨核球分離用媒体(LevineとFedorko、 Blood)50巻、713−725頁、(1977))を若干改良した媒体(13.6mMクエン酸三ナトリウム、11.1mMグルコース、1mMアデノシン、1mMテオフィリン、10mM HEPES (pH7.25)、0.5%ウシ血清アルブミン(以下、BSAと略す) (Path−0−Cyte4 ;生化学工業)、およびCa2+とMg2+を含まないHanks平衡塩類溶液からなる溶液:以下、HATCH溶液と略す)を用いる。骨髄細胞浮遊液を、Percoll原液(Pharmacia社製)をHATCH溶液で希釈して調製したPercoll不連続密度勾配溶液(密度;1.050g/ml/1.063g/ml/1.082g/ml)の上に重層し、20℃にて、400×gで20分間遠心する。遠心後、密度1.063g/mlと1.082g/mlの界面に集まった細胞を回収する。細胞を洗滌後、10%ウシ胎仔血清(以下FCSと略す)を含むIscove改変Dulbecco培養液(以下IMDM培養液と略す)で浮遊させ、直径100mmの組織培養用プラスティックディッシュに入れて、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で1時間培養する。培養後、非付着性細胞画分を回収し、再び直径100mmのプラスティックディッシュに入れ、さらに37℃で1時間培養した後、非付着性細胞画分を集める。回収した細胞をHATCH溶液に再浮遊させ、予めマウスモノクローナル抗ラット血小板GpIIb/IIIa抗体であるP55抗体(Miyazakiら、Thromb.Res,、59巻、941−953頁、(1990))を吸着させておいた細菌検査用100mmペトリディッシュ(Falcon1005;Becton−Dickinson社製)に入れ、室温で1時間静置する。その後、非吸着細胞をHATCH溶液で十分に洗滌、除去した後、固相化P55抗体に吸着した細胞をピペッティングにてはがし、回収する。通常、ラット1匹から3〜4×105個の細胞が得られる。得られた細胞画分にはラットCFU−MKが高度に濃縮されており(以下、「GpIIb/IIIa+CFU−MK画分」と言う)、後述するコロニーアッセイ系における飽和濃度のラットIL−3存在下の検定により通常5〜10%程度のCFU−MKが含まれることが分かっている。なお、上記P55抗体を産生するハイブリドーマ(p55細胞)は、1994年2月14日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−4563として寄託されている。
次に、得られたGpIIb/IIIa+CFU−MK画分を10%FCSを含むIMDM培養液で再浮遊させ、組織培養用96ウエル平底プレートヘ1ウエル当たり104個の細胞が入るように分配し、さらにIMDM培養液に対して十分に透析した標準品(後に詳述する)や、被検検体を加え、最終培養液量を200μl/ウエルにする。プレートを炭酸ガス培養器に入れ、37℃で4日間培養する。4日目の培養終了3時間前に1ウエル当たり0.1μCi(3.7KBq)の14C−セロトニンを添加し、引き続き37℃で培養する。培養終了後、プレートを1000rpmにて、3分間遠心し、上清を吸引除去する。続いて、0.05%EDTAを含むPBSを1ウエル当たり200μl加えて遠心し、上清を吸引除去し、細胞を洗滌する。この洗滌操作をもう一度繰り返す。得られた細胞ペレットへ2%TritonX−100を1ウエル当たり200μl加え、プレートをプレートミキサーで5〜10分程度振蕩し、細胞を十分に溶解する。得られた細胞溶解液のうちの150μlを市販のカップ状の固体シンチレーター(Ready Cap ;Beckman社製)の中へ移し、一晩50℃の乾燥器中に静置して、乾固させる。翌日、Readycapをガラスバイアルに入れ、液体シンチレーションカウンターにて14Cの放射活性を測定する。
なお、上述の細胞溶解液中のアセチルコリンエステラーゼ活性をIshibashiとBursteinの方法(IshibashiとBurstein、 Blood)67巻、1512−1514頁、(1986))に従って測定しても、14C−セロトニンの取り込みによる定量結果と極めて類似した結果が得られる。
「標準品」
まず、標準品の作製に用いる血小板減少症ラット血漿を以下の方法で調製した。
7〜8週齢のWistar系正常ラット(♂)へ、前述したP55抗体を1回の投与量を0.5mgとして、約24時間間隔で2回、静脈注射し、2回目の投与の約24時間後の血小板減少期にエーテル麻酔下に開腹し、予め抗凝固剤として1mlの3.8%(v/v)クエン酸三ナトリウム溶液を吸い上げておいた10ml用注射筒を用いて腹大動脈から採血した。血液をプラスティック製の遠心チューブに移し、1200×gで、10分間遠心し、血漿画分を回収した。この血漿画分を再度1200×gで、10分間遠心し、遠心後、細胞や血小板などからなるペレットを吸い上げないように十分に気をつけながら血漿画分を回収し、プールした(以下、このようにして得られた血漿を「TRP」と言う)。
続いて、TRPから実施例1に記載する方法に従って調製したCa処理TRP(標準品C)、WGA−Agaroseカラム活性画分(標準品W)、あるいはPhenyl Sepharose 6 FF/LSカラム活性画分(標準品P)を、十分量のIMDM培養液に対して徹底的に透析し、活性検定用の標準品とした。
なお、実施例1に示したラットTPO精製過程においては、初期は標準品Cを用いたが、途中から標準品W、さらにその後は標準品Pを用いた。恣意的に標準品Cの活性を1と定義し、それを基に標準品wおよび標準品Pの相対活性を求めた。被検検体の相対活性の求め方は、標準品と被検検体との用量反応曲線を描き、被検検体の活性が標準品Cの活性のn倍であったとき、その検体の相対活性をnとした。
B.コロニーアッセイ系
骨髄細胞を半固型の培養液中で被検検体の存在下に培養し、CFU−MKが増殖・分化して形成される巨核球コロニーの数を算定することによりMeg−CSF活性を測定するアッセイ法である。
「アッセイ法」
(a)ラット非分離骨髄細胞などを用いる場合
ラット非分離骨髄細胞、前記A.のGpIIb/IIIa+CFU−MKの分離・濃縮操作の各段階で得られる細胞、あるいはGpIIb/IIIa+CFU−MK画分、10%FCS、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、50μM2−メルカプトエタノール、0.3%の寒天(AGAR NOBLE、DIFCO 社製)を含む最終液量1mlのIMDM培養液を直径35mmの組織培養用プラスチックディッシュに入れて室温で固化させた後、炭酸ガス培養器中にて37℃で培養する。通常、1つのディッシュ当たりのまき込み細胞数を、非分離骨髄細胞、Percoll遠心分離段階およびプラスティックディッシュ付着性細胞除去段階の細胞、およびGpIIb/IIIa+CFU−MK画分で、それぞれ、2〜4×105、2〜5×104、0.5〜2×103個とする。6〜7日目に寒天ゲルをディッシュから取り出してスライドガラス(76mm×52mm)に受け、孔径50μmのナイロンメッシュ、続いて濾紙をのせて水分を吸収し、それらを除いてから室温で十分に乾燥させる。50℃のホットプレート上で5分間熱固定した後、Jacksonの方法(Jackson、 Blood、42巻、413−421頁、(1973))に従って調製したアセチルコリンエステラーゼ染色液に2〜4時間浸し、巨核球が十分に染色されているのを確認してから取りだして水洗し、乾燥後Harrisヘマトキシリン液にて30秒間、後染色を施し、水洗、風乾させる。アセチルコリンエステラーゼ陽性の巨核球3個以上から成る集塊を一つのコロニーとして巨核球コロニー数を算定する。
(b)マウスの非分離骨髄細胞を用いる場合
1つのディッシュ当たりのまき込み細胞数を2〜4×105個として、上記(a)と同様の方法で行なうことができる。
(c)ヒト骨髄細胞やヒト腑帯血細胞を用いる場合
ヒト骨髄細胞やヒト腑帯血細胞をそのまま用いることもできるが、以下のようにそれらから濃縮したCFU−MK画分を用いることができる。
まず骨髄液、あるいは腑帯血をLymphoprep(第一化学社製)上に重層し、遠心後、界面に集まった白血球画分を回収する。この細胞画分から、ビオチン化したヒトの細胞表面抗原(CD2、CD11c、およびCD19)に対するビオチン化したモノクローナル抗体が結合する細胞を、アビジンを結合させた磁気ビーズを用いて除去する。この磁気ビーズ法で除去できる細胞は、主にB細胞、T細胞、マクロファージ、および一部の顆粒球である。残った細胞を、FITC標識された抗CD34抗体、およびPE標識された抗HLA−DR抗体で染色し、続いてセルソーター(例えば、ELITE ;COULTER 社製)を用いて、CD34陽性、かつHLA−DR陽性の細胞画分を回収する。この画分にCFU−MKが濃縮されている(CD34+DR+CFU−MK画分と略す)。ヒトのコロニーアッセイは、上記のラットの骨髄細胞を用いたコロニーアッセイとほぼ同様の方法で行なうが、1つのプラスティックディッシュ当たりのCD34+DR+CFU−MK画分のまき込み数を3〜5×103個とし、10%FCSの代わりに12.5%ヒトAB血漿と12.5%FCSの混合物を用いる。また、巨核球コロニーを形成させるまでの培養期間は12日間から14日間である。ヒト巨核球の検出には、巨核球の表面抗原であるヒトGpIIb/IIIaに対するマウスモノクローナル抗体を用いたアルカリフォスファターゼ−抗アルカリフオスファターゼ抗体法で巨核球を免疫染色し(例えば、Teramuraら、Exp.Hematol. 16巻、843−848頁、(1988))、3個以上の巨核球からなるコロニーを巨核球コロニーとして算定する。
C.ヒト巨核芽球性細胞株を用いたアッセイ系(M−07eアッセイ)
ヒト巨核芽球性細胞株であるM−07e細胞は、GM−CSF、IL−3、SCF、IL−2などに応答して増殖する細胞株であることが知られているが(Avanziら、J.Cell.Physiol.、145巻、458−464頁、(1990)、Kissら、Leukemia)7巻、)、TPOにも応答することが判明し、ラットCFU−MKアッセイ系の代替アッセイ法として使うことができる。
「アッセイ法」
GM−CSF存在下に継代培養しているM−07e細胞を回収し、十分に洗滌後、10%FCSを含むIMDM培養液に再浮遊させる。組織培養用96ウエル平底プレートヘ1ウエル当たりの細胞数が104個になるようにM−07e細胞を入れ、さらに標準品、および被検検体を加えて、最終液量を200μl/ウエルにする。プレートを5%炭酸ガス培養器に入れ、37℃で、3日間培養する。3日目の培養終了4時間前に1μCi(37KBq)/ウエルの3H−thymidineを添加し、培養終了後、セルハーベスターで細胞をガラス繊維フィルター上に集め、3Hの放射活性を液体シンチレーションカウンター(例えば、ベータプレート;Pharmacia 社製)にて測定する。
なお、M−07eアッセイにおける相対活性量の定義は、前述A.のラットCFU−MKアッセイにおける定義と同じである。
D.マウスプロB細胞株を用いたアッセイ系(Ba/F3アッセイ)
マウスプロB細胞株Ba/F3細胞は、IL−3やIL−4などに応答して増殖する細胞株であることが知られている(Palaciosら、Cell、41巻、727−734頁)。
その亜株であるBF−TE22細胞はIL−3やIL−4ばかりでなくTPOに応答し、細胞増殖する事が判明し、ラットCFU−MKアッセイやヒト巨核芽球性細胞株を用いたアッセイ(M−07eアッセイ)の代替アッセイ法として用いることができる。このアッセイ系の概要は以下の通りである。まず、1ng/mlのマウスIL−3存在下に継代培養しているBF−TE22細胞を回収し、イスコフ改変DME培地(IMDM;GIBCO 社)で3回洗浄したのちに、10%FCSを含むIMDM培地に再懸濁させる。次に、組織培養用96ウエル平底プレートに1ウエルあたり細胞数が1x104個になるように細胞を接種し、さらにTPO標準品あるいは被検検体を加えて、最終液量を200ml/ウエルとなるようにし、プレートを5%炭酸ガス培養器中で2−3日間培養する。2または3日目の培養終了4時間前に1mCi (37KBq)/ウエルの3H−thymidineを添加し、さらに培養を継続する。培養終了後、セルハーベスターを用いて細胞をガラス繊維フィルター上に回収し、細胞に取り込まれた3Hの放射活性を液体シンチレーションカウンターにて測定する。本アッセイ系ではTPO活性を含まない被検検体では、細胞はほぼ死滅し3H−thymidineをほとんど取り込まないのに対し、TPO活性を含む被検検体では、細胞はTPO濃度依存的に活発な増殖を示し3H−thymidineの取り込みが認められる。また、本アッセイは、M−07eアッセイやCFU−MKアッセイとパラレルな結果を示す。
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
<実施例1−1>
抗血小板抗体投与による血小板減少症ラットの血漿からのラットTPO精製
「抗血小板抗体投与による血小板減少症ラットの血漿の調製」
前述の<参考例>A.ラット巨核球前駆細胞(CFU−MK)アッセイ系に記載の方法でラット約1000匹分のTRPを調製し、精製の供給源とした。
「TRPからのラットTPOの精製」
当初、TRP中のTPO含有量は多くとも300万分の1程度であろうとの推定に基づき、ラット約1000匹分のTRPを材料に精製を進めた結果、1pmole弱のラットTPOの部分精製標品を得た。次にこの標品の部分アミノ酸配列の分析を試行し、3種の部分アミノ酸配列の結果を得た。これらは肝臓でつくられるセリンプロテアーゼインヒビター(SPI)のアミノ酸配列と一致しているか、類似したものであった。従って、TPOがセリンプロテアーゼインヒビターと類似した構造をもつものであるという可能性、及びTPO以外の混入タンパク質由来の配列である可能性のいずれについても否定はできなかった。
これらの不確定な配列をもとにラットcDNAライブラリーからのTPO遺伝子クローニングを実施したが、結局、候補遺伝子を得ることはできなかった。これは、分析した標品の純度と量に不足があったためと考え、あらためて鋭意研究を重ねることとなった。アミノ酸配列分析のために必要な最終精製標品を得るため、次の実施例1−2に述べる精製を行った。尚、特筆すべきことは、本実施例1−2による結果より、TRPあるいはXRP(後述)に存在するTPO量は、驚くべきことに全血漿蛋白質の1億分の1から10億分の1と推定され、これを精製することが通常は極めて困難であるほど、微量の含有量であることが判明した。
<実施例1−2>
X線、あるいはγ線照射による血小板減少症ラットの血漿からのラットTPOの精製
「X線、あるいはγ線照射による血小板減少症ラットの血漿の調製」
亜致死線量(6〜7Gy)のX線、あるいはγ線を7〜8週齢のWistar系正常ラット(♂)へ全身照射し、血小板減少期の14日目に採血し、前述のTRPと同様の操作で血漿画分を調製した(以下、この血漿を「XRP」と言う。)。
ここでは、合計してラット約1100匹分のXRP (約8L)を精製の供給源とした。
「XRPからのラットTPOの精製」
ラット約1100匹分の血漿の総蛋白質量は493000mgにも達するため、一度に処理することができなかった。そこで、以下に述べる精製ステップのうち、(1)〜(4)では約100匹ずつ11のロットに分けて実施した。次いで(5)〜(7)では6つのバッチに分けて実施した。(8)以降は約1100匹分から粗精製されたものをまとめて実施した。
このうち、あるひとつのロット(XW9)、バッチ(XB6)における精製例を代表として説明のために挙げ、併せて精製の各ステップについて述べる。
尚、精製の全ステップに於いて、TPO活性は前述の<参考例>に記載したラットCFU−MKアッセイ系を用いて測定した。
逆相クロマトグラフィーを室温で実施した以外は、特に記載しない限り4℃で精製を行った。
また、蛋白質の定量は、クーマジー色素結合法(PIERCE社製試薬、カタログ番号23236X)、または、ビシンコニン酸法(PIERCE社製試薬、カタログ番号23225)を用いて実施した。
精製の概要を、表1に示した。
【表1】
(1)ラット血漿の塩化カルシウム処理・遠心処理・蛋白質分解酵素阻害剤処理 −80℃で保存した約100匹分のXRP(742ml,蛋白濃度54.8mg/ml,総蛋白質量40686mg)を解凍し、ポリプロピレン製遠心チューブ(ナルゲン社製)に移した。これに各々最終濃度100mMになるように塩化カルシウム粉末を加え、4℃で一晩静置した。次に8000RPMで60分遠心後、上清を回収した。TPO活性を含むこの上清(742ml,蛋白濃度54.9mg/ml,総蛋白質量40740mg)に、最終濃度1mMの蛋白質分解酵素阻害剤であるp−APMSF(p−アミノジフェニルメタンスルホニルフルオリド 塩酸塩、和光純薬工業、カタログ番号010−10393)を加え、次に述べるSephadex G−25カラムによるバッファー交換のステップへ進めた。
このようにして、約100匹分ごとにひとつのロットにまとめ、塩化カルシウム・p−APMSF処理し、合計11ロット、約1100匹分のXRP(総体積8184ml)総蛋白質量493007mg)の処理を繰り返し、それぞれSephadex G−25カラムへ進めた。
(2)Sephadex G−25<バッファー交換>
(1)で得られた塩化カルシウム処理後の上清(742ml,蛋白濃度54.9mg/ml、総蛋白質量40740mg)を、20mM Tris−HCI,pH8で予め平衡化してあったSephadex G−25Mカラム(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−0033−03;直径11.3cm、ベッド高47cm)に流速40〜70ml/minで添加し、蛋白質が溶出してくるまでの1300mlを捨てた。次に、紫外吸収が立ち上がってきた時点から、電気伝導度が500μS/cmに達するまでを集め、20mM Tris−HCl pH8溶液に置換されたTPO活性を含む蛋白質画分(1377ml,蛋白濃度27.56mg/ml)を回収した。TPO活性画分の総蛋白質量は、37882mg、このステップでの蛋白収量は、93%であった。また、TPOの相対活性は、2.3であった。
このようにして、全ロットについてそれぞれSephadex G−25カラムを実施した結果、合計すると、総体積 21117ml、総蛋白質量 480306mg、平均相対活性 1.8、相対活性量 864600のSephadex G−25のTPO活性画分を得た。
(3)Q−Sepharose FF<強陰イオン交換クロマトグラフィー>
(2)で得られたSephadex G−25MのTPO活性画分(1375ml,蛋白濃度27.5mg/ml、総蛋白質量37841mg、相対活性2.3)を流速40ml/minで、Q−Sepharose FF(ファルマシアバイオテク社製、カタログ番号17−0510−01;直径 5cm、ベッド高 27cm)に添加し、20mM Tris−HCl,pH8で素通る画分F1(3949ml,蛋白濃度0.98mg/ml,総蛋白質量3870mg,相対活性0)を溶出した。
次に、175mM NaClを含む20mM Tris−HCl,pH8緩衝液に換えて、TPO活性画分F2(4375ml,蛋白濃度5.36mg/ml)を溶出した。
最後に、1000mM NaClを含む20mM Tris−HCl pH8緩衝液で、F3(1221ml,蛋白濃度3.9mg/ml,総蛋白質量4783mg,相対活性3.8)を溶出した。TPO活性画分F2の総蛋白質量は、23440mg、このステップでのF2の蛋白収量は、61.9%であった。また、TPOの相対活性は、6.8に上昇した。
このようにして、Sephadex G−25のTPO活性画分の全ロットをQ−SepharoseFFにかけた結果、合計すると総体積 35842ml、総蛋白質量 314384mg、平均相対活性 8.6、相対活性量 2704000のQ−Sepharose FFのTPO活性画分F2を得た。
(4)小麦胚芽アグルチニン(WGA)−Agarose<レクチンアフィニティークロマトグラフィー>
(3)で得られたQ−Sepharose FF(7)TPO活性画分F2を3回に分けて、WGA−Agarose (ホーネン社製、カタログ番号800273;直径 5cm、ベッド高 22.5cm)に流速5ml/minで添加し、ダルベッコ氏リン酸等張緩衝液(DPBS)で素通る画分F1(9336ml,蛋白濃度2.30mg/ml,総蛋白質量21407mg,相対活性6.9)を得た。
次に、0.2MN−アセチル−D−グルコサミン(GlcNAc、ナカライ社製、カタログ番号005−20)、150mM NaCl)0.02%アジ化ナトリウムを含む20mM Na Phosphate,pH7.2緩衝液により溶出されたプールを、限外濾過ユニット(フィルトロン社製、オメガウルトラセット分子量8000カット)で濃縮し、WGA−Agarose吸着TPO活性画分F2(2993ml,蛋白濃度0.376mg/ml)を得た。
このTPO活性画分F2の総蛋白質量は、1125mg、このステップでのF2の蛋白収量は、4.8%であった。また、TPOの相対活性は、101に上昇した。ここで得られたF2は−80℃で保存した。
このようにして、Q−Sepharose FFのTPO活性画分F2の全ロットについて、繰り返しWGA−Agaroseにかけた結果、総体積 33094ml、総蛋白質量 15030mg、平均相対活性 132、相対活性量 1987000のWGA−AgaroseのTPO活性画分F2を得た。
(5)TSK−gel AF−BLUE 650 MH<色素吸着アフィニティークロマトグラフィー>
(4)で得られた、合計215匹分のXRPから出発したロットXW8のWGA−Agarose吸着TPO活性画分とロットXW9のWGA−Agarose吸着TPO活性画分F2をバッチXB6としてまとめた(5974ml,蛋白濃度0.388mg/ml、総蛋白質量2319mg、相対活性150)。
この体積5974mlに対し、0.85molesのNaCl(296.76g)を加え、最終濃度0.822M NaCl,6132mlの溶液とした後、IM NaCl,20mM Na Phosphate, pH7.2で予め平衡化してあったTSK−gel AF−BLUE 650 MHカラム(トーソー社製、カタログ番号08705 ;直径 5cm、ベッド高 23cm)に、流速7ml/minで添加した。
添加終了後、流速10ml/minにて、20mM Na Phosphate, 1MNaCl, pH7.2で溶出される素通り(約8470ml)を集め、これを限外濾過ユニット(フィルトロン社製、オメガウルトラセット分子量8000カット)で濃縮し、素通り画分F1(543ml,蛋白濃度2.05mg/ml,総蛋白質量1112mg,相対活性31)を得た。
次に、溶出液を2M NaSCNにかえ、溶出されたTSK−gel AF−BLUE 650MH吸着TPO活性画分F2(1427ml,蛋白濃度0.447mg/ml)を得た。
このTPO活性画分F2の総蛋白質量は638mg、このステップでのF2の蛋白収量は27.5%であった。また、TPOの相対活性は、1500に上昇した。
このようにして、WGA−Agarose吸着TPO活性画分F2の全バッチについて、各々TSK AF−BLUE 650MHにかけた結果、総体積 10655ml、総蛋白質量4236mg、平均相対活性 905、相対活性量 3834000のTSK−gelΛF−BLUE 650MHのTPO活性画分F2を得た。
(6)Phenyl Sepharose 6FF/LS<疎水相互作用クロマトグラフィー>
(5)で得られたTSK−gel AF−BLUE650MHのTPO活性画分F2(1424ml,蛋白濃度0.447mg/ml)総蛋白質量638mg)相対活性1500)の体積1424mlに対し、1.5molesのAmmonium Sulfate(282.2g)の粉末を加え、最終濃度1.35MAmmonium Sulfate, 1581mlの溶液とした。
これを1.5M Ammonium Sulfate, 50mM Na Phosphate, pH7.2で予め平衡化してあったPhenyl Sepharose 6FF(Low Sub)カラム(ファルマシアバイオテク社製、カタログ番号17−0965−05;直径 5cm、ベッド高 10cm)に、流速7ml/minにて添加し、添加終了後、溶出液を0.8M Ammonium Sulfate, 36mM Na Phospha{eにかえ、流速10ml/minにて溶出される画分(約3160ml)までを集め、これを限外濾過ユニット(フィルトロン社製、オメガウルトラセット分子量8000カット)で濃縮し、F1(485ml,蛋白濃度0.194mg/ml,総蛋白質量94.2mg,相対活性0)を得た。
次に、溶出液を20mM Na Phosphate,pH7.2にかえ、溶出されたTPO活性画分F2(約3500ml)を得た。これを限外濾過ユニット(フィルトロン社製、オメガウルトラセット分子量8000カット)で濃縮し、一旦サンプリングした。この段階のTPO活性画分F2(220ml)の蛋白濃度は1.45mg/ml,総蛋白質量319mg)このステップでのF2の蛋白収量は、50.0%であった。また、TPOの相対活性は、1230であった。
このようにして、TSK−gel AF−BLUE 650MHのTPO活性画分F2の全バッチについて、繰り返しPhenyl Sepharose FF/LSにかけた結果、総体積 1966ml、総蛋白質量 2762mg、平均相対活性 847、相対活性量 2339000のPhenyl Sepharose FF/LSのTPO活性画分F2を得た。
(7)Sephacryl S−200HR<ゲル濾過クロマトグラフィー>
(6)で得られたPhenyl Sepharose 6FF/LS(7)TPO活性画分F2(217ml,蛋白濃度1.45mg/ml)総蛋白質量315mg、相対活性1230)に、144.8mlの5MNaCl溶液を加えて362mlの2M NaClとした後、さらに限外濾過ユニット(アミコン社製;YM3膜、直径76mm)で約50mlまで濃縮した。
これに8M尿素を等量体積(50ml)加え、最終濃度1M NaCl、4M尿素の溶液約100mlにした。さらに約80mlまで濃縮し、最終的に88.78mlのサンプルにし、Sephacryl S−200HRカラム(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−0584−01;直径 7.5cm、ベッド高 100cm)に、注入した。
その後3ml/minの流速にてDPBSで展開し、ボイド体積(1200ml)以降45mlずつ60本のポリプロピレン製チューブに集めた。この溶出パターンを図1に示した。2本ごとにアッセイにかけ、残りは1100匹分の全てのSephacryl S−200HRのプロセスを終えるまで、−85℃にて凍結保存した。アッセイの結果よりXB6では以下のようにフラクションをまとめた(図1)。
(F1)チューブ番号 1〜15(ボイド体積付近の分子量94000以上の画分)
(F2)チューブ番号 16〜26(分子量94000〜33000)
(F3)チューブ番号 27〜44(分子量33000〜3000)
(F4)チューブ番号 45〜55(分子量3000以下)
このようにして、Phenyl Sepharose 6FF/LSで得たTPO活性画分F2の全バッチについて、各々Sephacryl S−200HRにかけ、それぞれのフラクションについてアッセイを行ない、−85℃にて凍結保存をした。すべてのバッチについてSephacryl S−200HR終了後、次の逆相クロマトグラフィー(YMC−Pack PROTEIN−RP)を実施する直前に解凍をし、限外濾過ユニット(アミコン社製;YM3膜、直径76mm)で濃縮し、下記の2つの標品を得た。以下、このSephacryl S−200HRのTPO活性画分F2の濃縮標品を「高分子TPO標品F2」、Sephacryl S−200HRのTPO活性画分F3の濃縮標品を「低分子TPO標品F3」と言う。ここで述べる高分子TPO標品F2、低分子TPO標品F3とは便宜上、ゲル濾過クロマトグラフィーで溶出位置の異なった画分をまとめたものを称するのであって、必ずしも真の分子量を表現したものではない。
【表2】
以降、低分子TPO標品F3と高分子TPO標品F2とをそれぞれ次の精製ステップに進めた。
以下(8)〜(11)に低分子TPO標品F3の精製の各ステップについて述べる。
(8)YMC−Pack PROTEIN−RP<逆相クロマトグラフィー>
(7)で得られた低分子TPO標品F3(総蛋白質量50.3mg,蛋白濃度0.184mg/ml,相対活性20000,相対活性量1007000、総体積274ml)に展開溶媒A(0.025%トリフルオロ酢酸(TFA))および展開溶媒B(0.025% TFAを含む1−プロパノール)を加え、最終体積508.63ml、最終プロパノール濃度約20%、TFA濃度0.012%、蛋白濃度0.0989mg/mlに調製した。ここで不溶物の発生があったので、これを遠心し、上清のみを254.3ml (25.2mg)ずつ2回に分けて、予め30%Bで平衡化してあったYMC−Pack PROTEIN−RP(YMC社、カタログ番号A−PRRP−33−03−15 ;直径 3cm、ベッド高 7.5cm)カラムに流速2ml/minで添加した。沈殿物は5mMのCHAPS (3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルフォナート;同仁化学研究所製、カタログ番号75621−03−3)を含む20mM酢酸ナトリウム、pH5.5を20ml加えて可溶化し、合わせてカラムに送り込んだ。
サンプルを添加した後、約50mlの溶媒(展開溶媒A:展開溶媒B=3:1)を通液し、まず素通り画分を集めた。次に展開プログラム(120分の30%B〜45%Bの直線濃度勾配)を開始して、10mlずつ合計36本のフラクションをポリプロピレン製チューブに集め取った。これを繰り返して同じチューブに集めたため、最終的に20mlずつ、合計36本フラクションとなった。素通り画分はそのまま限外濾過ユニット(アミコン社製:YM3膜、直径76mm)で20mlまで濃縮した。
素通り画分及びチューブ番号1〜36の各20mlのフラクションより0.1ml取り、20μlの5%BSAを添加後遠心エバポレーションで乾固し、最終的に0.25mlのIMDMアッセイ培養液に溶解し、アッセイにかけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チューブ番号17〜27(プロパノール濃度で36.0〜43.0%の範囲)にTPOの活性があり、これを低分子TPO標品F3由来のYMC−Pack PROTEIN−RPのTPO活性画分F2とした。次のYMC−Pack CN−APに進める直前まで−85℃で保存した。低分子TPO標品F3由来のYMC−Pack PROTEIN−RPのTPO活性画分F2
総体積 220ml
蛋白濃度 0.0130mg/ml
総蛋白質量 2.85mg
相対活性 130000
相対活性量 371000
(9)YMC−Pack CN−AP<逆相クロマトグラフィー>
(8)で得られた低分子TPO標品F3由来のYMC−Pack PROTEIN−RPのTPO活性画分F2のうち214.9ml(総蛋白質量2.79mg,蛋白濃度0.0130mg/ml,相対活性130000,相対活性量36300)に、50%グリセロールを0.6ml加え、1.8mlまで濃縮した。最終的に体積5mlで、プロパノール濃度は20%以下、グリセロールは約6%であった。
これを5回(各回の注入蛋白質量0.555mg,体積1ml)に分けて実施した。毎回ごとに、展開溶媒Aに0.1%TFA)展開溶媒Bに0.05%TFAを含む1−プロパノールを用い、15%Bで平衡化したYMC−Pack CN−AP(YMC社製、カタログ番号AP−513;直径 6mm、ベッド高 250mm)カラムに、流速0.6ml/minで注入した。
注入終了後、15%Bから25%Bにプロパノール濃度を上げ、さらに25%Bから50%Bまで65分の直線濃度勾配で展開した。最後の回に、蛋白を含まない同じ組成の溶液1mlを注入、展開し、カラム内に残存するTPO活性の回収を行った。合計6回分同じポリプロピレン製チューブに集めたため、各フラクションは、7.2mlずつ44本となった。
このうち30μl (240分の1フラクション)を取り20μlの5%BSAを加え、遠心エバポレーションで乾固し、最終的に0.24mlのIMDMアッセイ培養液に溶解し、アッセイにかけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チューブ番号28〜33(プロパノール濃度で37.0〜42.0%の範囲)に強いTPOの活性があったため、これを低分子TPO標品F3由来YMC−Pack CN−APのメインのTPO活性画分FAとした。
低分子TPO標品F3由来のYMC−Pack CN−APのTPO活性画分FA
総体積 43.20ml
蛋白濃度 0.00863mg/ml
総蛋白質量 0.373mg
相対活性 800000
相対活性量 298400
(10)Capcell Pak C1 300A<最終の逆相クロマトグラフィー> (9)で得られた低分子TPO標品F3由来のTPO活性画分FA43.20mlのうち43.12ml(総蛋白質量0.372mg,蛋白濃度0.00863mg/ml,相対活性800000,相対活性量297600)に、0.2mlの50%グリセロールを加え、0.1mlのグリセロール溶液となるまで濃縮した。
これに展開溶媒A(0.1%TFA):展開溶媒B(0.05%TFAを含む1−プロパノール)=85;15 (15%B)の溶液2mlを加えて、最終的に、体積2.1ml)プロパノール濃度が約14%、グリセロールが約4.8%、蛋白濃度0.177mg/mlのサンプルに調製した。これを15%Bで平衡化したCapcell Pak C1 300A (資生堂製、カタログ番号C1 TYPE;SG300A;直径 4.6mm、ベッド高 250mm)カラムに注入し、27%Bから38%Bまで65分の直線濃度勾配で流速0.4ml/minで展開し、ポリプロピレン製チューブ72本に0.6mlずつ集めた。
各フラクションから、3μl (200分の1フラクション)を取り20μlの5%BSAを加え、最終的に225μlのIMDMアッセイ培養液に置換し、オリジナル体積から75倍希釈したものをアッセイにかけた。
各フラクションから、電気泳動のために1μl (600分の1フラクション)を取り、遠心エバポレーションし、還元剤を含まないSDSゲル電気泳動サンプルバッファーを10μl加え、95℃で5分処理した。これを15−25%SDS−ポリアクリルアミドプレキャストゲル(第一化学薬品社製)を用いてSDSゲル電気泳動し、2D−銀染色試薬・「第一」銀染色キット(第一化学薬品社製、カタログ番号167997、以下「銀染色キット」と言う)で染色した。分子量マーカーには「第一」・III低分子量マーカー(第一化学薬品社製、カタログ番号181061、以下「DPCIII」と言う)を用いた。
以上の分析の結果、チューブ番号35〜43(プロパノール濃度で30.0〜32.5%の範囲)に明らかにTPOの活性があった。このうちチューブ番号36〜42(プロパノール濃度で30.5〜32.0%の範囲)をメインのTPO活性画分FAとした。以上の結果を図2に示した。
蛋白質量をクロマトグラムから推定し、アッセイの結果と合わせて評価すると、総蛋白質量39.6μg,蛋白濃度9.4μg/ml,相対活性4890000,相対活性量193600となった。TPO活性画分チューブ番号36〜42のSDSゲル電気泳動像を調べてみると、活性の強さと、染色された濃さが相関するバンドが存在することが明らかとなった。しかもこのバンドの分子量は、見かけ上、即ち還元状態での標準分子量蛋白に対し、17000〜19000の位置にあり、TPOの候補となる有力なバンドであることがわかった。
(11)電気泳動ゲルからのTPO活性の抽出<15%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動>
TPO活性画分FAの分析例
(10)で得られた低分子TPO標品F3由来のTPO活性画分FA 4200μl(総蛋白質量39.6μg,蛋白濃度9.4μg/ml,相対活性4890000,相対活性量193600)の内、5.5μl (764分の1フラクション)を活性抽出のため、2.5μl (1680分の1フラクション)を銀染色のためにそれぞれサンプルチューブに取り、遠心エバポレーションし、還元剤不含のSDSゲル電気泳動サンプルバッファー10μlを加え、37℃1時間処理後、室温で18時間放置することによりSDS化した。
分子量マーカーには、プレステインド・ローレンジマーカー(Bio−Rad社161−0305)、及びDPCIIIマーカーを用いた。これらのサンプルを常法(Laemmli)Nature、227巻、680−685頁、(1970))に従って、マイクロスラブゲルを用いた15%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を4℃にて実施した。泳動終了後、直ちに銀染色に付す部分をナイフで切断し固定液に入れ、銀染色キットを用いて銀染色した。
一方、活性を切り出すべき部分を、分子量の全域に渡って、ナイフを用いて幅1.5〜2.5mmの34本のゲルにスライスし、小林の方法(小林幹彦、生化学、第59巻、第9号(1987))を改良した方法でゲルの破砕を行った。微細な断片に破砕されたゲルに各々0.3mlの抽出バッファー(20mM Tris−HCl,pH8,500mM NaCl,0.05%BSA)を加え、4℃で6時間振とうし、抽出を行った。
次に最終濃度20mMの500mMリン酸カリウム、pH6.8を加え、4℃で1時間振とうし、沈殿したSDSを除くためウルトラフリーC3GV 0.22μmフィルター付濾過ユニット(ミリポア社製、型番UFC3 OGV 0S)に移し、1000xg(4000RPM)で15分間遠心し、濾液を回収した。これをウルトラフリーC3−LGC分子量10000カット限外濾過ユニット(ミリポア社製、型番UFC3 LGC 00)に移し3000xg(7000RPM)で遠心した。濃縮液が約50μlに達した時点で、300μlの20mM Na Phosphate,pH7.2のバッファーを加え、再び限外濾過を行った。
これを2回繰り返し、残存するSDSを除去した。さらにアッセイ培養液に対し同様な操作を繰り返し、最終的に300μlに調製した。これを滅菌し、TPO活性を測定した。
このような実験の結果、銀染色で明瞭に検出できた蛋白質は、DPCIIIマーカーに対し、見かけ上の分子量約17000〜19000、 14000、11000の3種であった。
Capcell Pak C1カラムのTPO活性画分の電気泳動で、活性の強さと、染色されたバンドの濃さが相関する見かけ上の分子量が約17000〜19000のバンドが観察できたが、本実験においてもTPO活性が検出された見かけ上の分子量は約17000〜19000であった。以上の結果を図3に示した。
以上の結果、TPO活性を示す蛋白質は、最終的に電気泳動ゲル上で確認可能なまでにCapcell Pak C1 300Aカラムの活性画分中に精製されたと確認できた。
このサンプルを15%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(非還元下)して銀染色されたバンドの濃さから、全TPO活性画分中の見かけ上の分子量約17000〜19000のTPO候補蛋白質の量は、約1.7μgであった。
以下(12)〜(15)に高分子TPO標品F2の精製の各ステップについて述べる。
(12)YMC−Pack PROTEIN−RP<逆相クロマトグラフィー>
(7)で得られた高分子TPO標品F2(総蛋白質量257mg,蛋白濃度0.894mg/ml,相対活性7840,相対活性量2015000、総体積287ml)に展開溶媒A(0.025% TFA)およびサンプルの3分の1容の95.8mlの展開溶媒B(0.025% TFAを含む1−プロパノール)を加え、最終体積383ml、最終プロパノール濃度約25%、TFA濃度0.006%、蛋白濃度0.671mg/mlとした。ここで不溶物の発生があったので、遠心後の上清のみを62.3ml(42.8mg)ずつ6回に分けて、予め30%Bで平衡化してあったYMC−Pack PROTEIN−RP(YMC社製、カタログ番号A−PRRP−33−03−15;直径 3cm、ベッド高 7.5cm)カラムに流速2ml/minで注入した。沈殿物は5mMのCHAPSを含む20mM酢酸ナトリウム、pH5.5を10ml加えて可溶化できたので、合わせてカラムに送り込んだ。
それぞれサンプルを注入した後、約50mlの溶媒(展開溶媒A:展開溶媒B=3:1)を通液し、素通り画分を集めた後、展開プログラム(120分の30%Bから45%Bの直線濃度勾配)を開始し、15mlずつ合計24本のフラクションをポリプロピレン製チューブに集め取った。1回目から6回目まで同じ様に繰り返し、最終的に90mlずつのフラクションが24本となった。素通り画分とチューブ番号1はそのまま限外濾過ユニット(アミコン社製;YM3膜、直径76mm)で90mlまで濃縮した。
素通りを含むチューブ番号1から24までのフラクションより0.3ml取り、10μlの5%BSAを添加後遠心エバポレーションで乾固し、最終的に0.3mlのIMDMアッセイ培養液に溶解し、アッセイにかけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チューブ番号10〜15(プロパノール濃度で34.0〜39.5%の範囲)にTPOの活性があり、これを高分子TPO標品F2由来のYMC−Pack PROTEIN−RPのTPO活性画分F2とした。次のYMC−Pack CN−APに進める直前まで、−85℃で保存した。
高分子TPO標品F2由来のYMC−Pack PROTEIN−RPのTPO活性画分F2
総体積 540ml
蛋白濃度 0.021mg/ml
総蛋白質量 11.4mg
相対活性 227000
相対活性量 2588000
(13)Superdex 75pg<CHAPS存在下でのゲル濾過クロマトグラフィー>
(12)で得られた高分子TPO標品F2由来のYMC−Pack PROTEIN−RPのTPO活性画分F2のうち、538.2ml(総蛋白質量11.3mg,蛋白濃度0.021mg/ml,相対活性227000,相対活性量2565000)に50%グリセロールを0.6ml添加後、遠心エバポレーション濃縮した。次に、6mlの20mM CHAPSを加えた。さらに、18mlの20mM CHAPSを加え攪拌し、4℃に移し、41時間後に最初のサンプルをHiLoad26/60 Superdex 75pg(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−1070−01;直径 2.6cm、ベッド高 60cm)カラムに注入し、流速1ml/minで、5mM CHAPSを含むDPBSで展開した。一回に4ml(蛋白濃度0.466mg/ml,蛋白質量1.86mg)のサンプルをカラムに注入した。
6回目に分けてカラムで展開し、全てのYMC−Pack PROTEIN−RPのTPO活性画分をSuperdex 75pgカラムで分取した。フラクションは5mlずつ6回分、即ち合計30mlのフラクションが45本となった。
それぞれのフラクションより0.1ml取り、10μlの5%BSAを添加後、遠心エバポレーションで乾固し、最終的に0.25mlのIMDMアッセイ培養液に溶解し、アッセイにかけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チューブ番号13〜31(分子量で78000〜3000の範囲)にTPOの活性があったため、これを高分子TPO標品F2由来のSuperdex 75pgのTPO活性画分F2とした。
高分子TPO標品F2由来のSuperdex 75pgのTPO活性画分F2
総体積 540ml
蛋白濃度 0.00216mg/ml
総蛋白質量 1.17mg
相対活性 1750000
相対活性量 2041000
(14)YMC−Pack CN−AP<逆相クロマトグラフィー>
(13)で得られた高分子TPO標品F2由来のSuperdex 75pgのTPO活性画分F2(分子量78000〜3000)540mlのうち、513.2ml(総蛋白質量1.11mg,蛋白濃度0.00216mg/ml,相対活性1750000,相対活性量1943000)に10分の1容の展開液B(0.05%TFAを含む1−プロパノール)を加えた後、展開溶媒A(0.1%TFA)と展開液Bを用いて15%Bで平衡化したYMC−Pack CN−AP (YMC社製、カタログ番号AP−513;直径 6mm、ベッド高 250mm)カラムに、流速0.6ml/minで注入した。注入終了後、15%Bから25%Bにプロパノール濃度を上げ、さらに25%Bから50%Bまでの65分の直線濃度勾配で展開した。
YMC−Pack CN−APカラムに進めるにあたり、全インプットサンプルの20分の1をまずパイロット的に進め、活性が良好に回収できることを確認できた。そこで、残りの20分の19を2回に分けて分取した。つまり合計3回の展開をおこなった。計3回分で分取された各フラクションを同じポリプロピレン製チューブ44本に集めたので、合計3.6mlずつとなった。
このうち5μl (720分の1フラクション)を取り、最終的に0.25mlのIMDMアッセイ培養液に置換した。アッセイの結果、チューブ番号24〜30(プロパノール濃度で36.0〜42.0%の範囲)に極めて強いTPOの活性があったため、これを高分子TPO標品F2由来のYMC−Pack CN−APのメインのTPO活性画分FAとした。
高分子TPO標品F2由来のSuperdex 75pgのTPO活性画分FA
総体積 25.20ml
蛋白濃度 0.0246mg/ml
総蛋白質量 0.620mg
相対活性 700000
相対活性量 434000
(15)Capcell Pak C1 300A<最終の逆相クロマトグラフィー>
(14)で得られた高分子TPO標品F2由来のYMC−Pack CN−APのTPO活性画分FA25.20mlのうち、24.66ml(総蛋白質量0.606mg,蛋白濃度0.0246mg/ml,相対活性700000,相対活性量424000)に、0.4mlの50%グリセロールを加え、遠心エバポレーションで濃縮した。
最終的に、プロパノール濃度は数%、グリセロールは10%、蛋白濃度0.303mg/mlの2mlのサンプルとなった。展開溶媒A(0.1%TFA)、展開溶媒B(0.05%TFAを含む1−プロパノール)を用いて、15%Bで平衡化したCapcell Pak C1300A(資生堂 カタログ番号C1 TYPE:SG300A;直径 4.6mm、ベッド高 250mm)カラムに注入し、27%Bから38%Bまで65分の直線濃度勾配で流速0.4ml/minで展開し、ポリプロピレン製チューブ72本に0.6mlずつ集めた。
各フラクションから、0.75μl (800分の1フラクション)を取り、20μlの5%BSAを加え、最終的に225μlのIMDMアッセイ培養液に置換し、オリジナル体積から300倍希釈したものをアッセイにかけた。
各フラクションから、電気泳動のために2μl (300分の1フラクション)を取り、遠心エバポレーションし、10μlの還元剤を含まないSDS電気泳動サンプルバッファーを加え、95℃で5分処理した。これを15〜25%SDS−ポリアクリルアミドプレキャストゲル(第一化学薬品製)を用いてSDSゲル電気泳動し、銀染色キットで染色した。分子量マーカーにはDPCIIIマーカーを用いた。
以上の分析の結果、チューブ番号33〜39(プロパノール濃度で29.5〜31.5%の範囲)に明らかにTPOの活性があった。このうち、チューブ番号34〜39(プロパノール濃度で30.0〜31.5%の範囲)をメインのTPO活性画分FAとした。メインのTPO活性画分のSDSゲル電気泳動像を調べてみると、(10)に述べた低分子TPO標品F3から出発したものと同じく見かけ上17000〜22000の分子量範囲に、活性の強さと、染色された濃さが相関するバンドが存在することが明らかとなった。
<実施例2>
ラット精製TPOの部分アミノ酸配列の分析
岩松の方法(岩松ら、新基礎生化学実験法、第4巻、33〜84頁(丸善刊);岩松明彦、生化学、第63巻、第2号、139−143頁、(1991) ;Akihiro Iwamastu、Electorophoresis、第13巻、142−147頁、(1992))により、実施例1の(10)で得られたCapcell Pak C1 300AカラムのTPO画分FA中のラットTPO候補タンパク質のアミノ酸配列の分析を行った。即ち、サンプルをSDSゲル電気泳動し、電気的にポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜に転写した。次いで、PVDF膜上の蛋白質を還元S−アルキル化した後、系統的、段階的に3種のプロテアーゼで限定酵素分解し、ペプチドフラグメント化し、これを逆相クロマトグラフィーで分離精製し、得られたペプチドを高感度アミノ酸配列決定法により分析した。以下にその詳細を述べる。
低分子TPO標品F3由来のCapcell PakC1 300AのTPO画分FAのTPO候補蛋白質の分析例
(1)Capcell Pak C1 300AカラムのTPO画分FA(チューブ番号36〜42)の濃縮
実施例1の(10)で得られた低分子TPO標品F3由来の、CapcellPak C1300AカラムのTPO活性画分FA(チューブ番号36〜42)4200μl(総蛋白質量39.6μg,蛋白濃度9.4μg/ml,相対活性4890000,相対活性量193600)のうち、4151μl(全フラクションの98.8%)をアミノ酸配列のための分析に進めた。クロマトグラムから推定される蛋白質量は39.1μgであるが、このうちSDSゲル電気泳動で銀染色された見かけ上の分子量約17000〜19000のTPO候補蛋白質の量は、約1.6μgであった。
このサンプルにグリセロールを添加し、遠心エバポレーションで濃縮し、5μlのグリセロール溶液とした。これに還元剤を含まないSDS電気泳動サンプルバッファー、及びpHを調整するために1M Tris−HCl,pH8を加え、最終的に、200mM Tris−HCl,pH8.0,50mM Tris−HCl,pH6.8,1.1%SDS,2mM EDTA,0.02%BPB,30%グリセロールを含む約25μlのサンプルにした。
このサンプルを過度に加熱することなく十分にSDS化するために、まず室温に14時間置き、次に60℃で5分処理した。
(2)電気泳動
常法に従って、マイクロスラブゲル(4.0%アクリルアミド濃縮ゲル、15%アクリルアミド分離ゲル)を調製し、SDSゲル電気泳動を室温下で12.5mA)次いで17.5mAの一定電流にて2時間かけて実施した。分子量マーカーには、プレステインド・ローレンジマーカー(Bio−Rad社161−0305)、及びDPCIIIマーカーを用いた。泳動終了後直ちPVDF膜に転写した(次項)。
また、分析に付したサンプルの一部を、非還元のまま、及びジチオスレイトール(DTT)で還元化し、15〜25%ポリアクリルアミドプレキャストゲル(第一化学薬品社製;マルチゲル15/25、カタログ番号211072)で電気泳動した。これを銀染色キットを用いて銀染色したところ、TPOと期待されたバンドは、還元下において分子量約19000であり、Capcell Pak C1 300AカラムでのTPO活性画分中のTPO候補蛋白質の純度が、数%程度であることが確認できた。また非還元・還元それぞれの移動度が異なるため、分子内部に少なくとも一つ以上のS−S結合を持つことが示唆された。
(3)PVDF膜へのエレクトロブロット法による転写・バンドの検出
セミドライ転写装置(マリソル社製、ウエットフォー転写装置モデルKS−8460)を用いて、常法に従い、160mA(11〜17V)の一定電流で1時間かけてPVDF膜(アプライドバイオシステムズ社製ProBlott、カタログ番号400994)に転写を行った。陽極液に、0.3M Tris,20%メタノール,pH10.4、転写膜液に、25mM Tris,20%メタノール,pH10.4、陰極液に、25mM Tris, 40mMアミノカプロン酸,20%メタノール,pH10.4を用いた。
転写された膜をポンソーS染色液(100m1中0.1gのポンソーSと1m1の酢酸を含む)で染色したところ、複数のバンドが染色され、この中にTPOと期待された分子量約19000のバンドを確認することができた。これを切り出し、ペプチドの断片化に進めた。(次項)
(4)ペプチドフラグメント化とペプチドマッピング・アミノ酸配列分析
PVDF膜上に転写・還元S−アルキル化されたTPO候補蛋白質の断片化を系統的に行うために、次の三つのプロテアーゼにより、段階的に限定的酵素分解を行った。
一次消化 リシルエンドペプチダーゼ(Achromobacter lyticus m497−1、和光純薬工業製、カタログ番号129−02541)二次消化 エンドプロテイナーゼAsp−N(ベーリンガー・マンハイム社製、カタログ番号1054589)
三次消化 トリプシン−TPCK (Worthington Biochemical社製、カタログ番号3740)
各々の酵素消化で得られたペプチド断片を回収し、展開溶媒Aに0.05%TFA)展開溶媒Bに0.02%TFAを含むイソプロパノール:アセトニトリル=7:3の混液を用いて、Wakosil−II 5C18 C18逆相カラム(和光純薬工業製;直径2,0mm)長さ150mm)で、カラム温度30℃、流速0.25ml/分、1%Bから50%Bを30分の直線濃度勾配にて展開することによりマッピング(図4)し、得られたペプチドフラグメントを回収した。それぞれのペプチドフラグメントを気相アミノ酸シークエンサー(島津製作所製、PPSQ−2)にてエドマン分解後、順次回収されたN末端のPTHアミノ酸を、アイソクラティック溶出法によるC18逆相カラムクロマトグラフィーにて同定を行った。この結果を次にまとめた。
一次消化 リシルエンドペプチダーゼによるペプチド断片のアミノ酸配列
フラグメント名 アミノ酸配列
【表3】
【表4】
【表5】
以上の配列のうち、()付きで示したものは、系統的酵素消化から演鐸推定しうるアミノ酸残基である。
(5)得られたアミノ酸配列の類似性分析<ホモロジーサーチ>
得られたアミノ酸配列が、すでに報告されている既知の蛋白質に含まれているかどうか、あるいは、類似配列をもつ蛋白質があるかどうかについて、配列解析ソフトウエアであるマックベクター(Kodak InternationalBiotechnologies, Inc.)を用いて分析した。既知蛋白質あるいは既知遺伝子の情報は、Entrez Release 6データベース(米国National Center for Biotechnology Information,National Library of Medicine,National Institutes of Health)1993年8月15日発行)を利用した。これに含まれる各種データベースは以下の通りである。
Entrez Release 6データベース
NCBI−GenBank,August 15, 1993(Release78.0)EMBL,July 15,1993(Release35.0 plus updates)DDBJ,July 15,1993
SWISS−PROT,April,1993(Release 25.0)
PIR,June 30,1993(Release 37,0)
PDB,April,1993
PRF,May,1993
dbEST,July 15,1993(Release 1.10)
U.S.and Europian Patents(一部)
この結果、AP12の配列(K)DSFLADVKは、ラットのCorticosteroid−binding globulin (CBG)precursor[PIRデータベース登録番号 A40066;Smith and Hammond:“Rat corticosteroid−binding globulin;primary structure and messenger ribonucleic acid levels in the liver under differentphysiological conditions.” Mol.Endocrinol.. (1989),3,420−426,]の内部配列KDSFLADVKと完全一致した。
さらによく調べてみると、AP3の配列(K)XYYESZ((XはA、S、G、M、Qのどれか)、(ZはEまたはK))と類似性の高いKQYYESEという配列が、ラットCBGのアミノ酸配列に含まれていることが判明した。これらのAP12、AP3に相当する配列はラットCBGでは連続しており、KDSFLADVKQYYESEという内部アミノ酸配列に相当する。
しかしながら、AP12、AP3以外のフラグメントのアミノ酸配列に関しては、類似性を考慮すべき既知の蛋白質や遺伝子は見つからなかった。
<実施例3>
血小板減少症ラット血漿由来TPOの生物学的特性分析
(1) ラットCFU−MKアッセイ系(液体培養系)において
代表例として、血小板減少症ラット血漿からのTPO部分精製標品(実施例1の(8)に記載したYMC Pack Protein−RPカラムTPO活性画分F2)を用いた場合の用量反応曲線を図5に示した。培養を経時的に顕微鏡下で観察したところ、日を追って巨核球の分化、成熟の進行、即ち細胞サイズの増大が認められ、おそらく、細胞の増加も起こっていることと思われた。特に顕著な変化として、培養最終日の4日目に数多くの巨核球による突起形成が認められた(培養3日目ではほとんど認められない)。この突起形成は、cytoplasmic process formation(LevenとYee、 Blood、69巻、1046−1052頁、(1987))、あるいは、proplatelet process formation (Toppら、Blood7、76巻、912−924頁、(1990))などと呼ばれ、巨核球からさらに分化の進んだ血小板の前駆構造体であり、現在までのところinvitroで観察できる巨核球分化の最終形態と考えられている。TPO標品単独でこのような形態変化が高い頻度で認められたことから、本因子は単独でCFU−MKの増殖・分化を促進し、成熟巨核球を生成させ、さらに最終的に血小板産生まで進行させる可能性が考えられる。
(2) コロニーアッセイ系において
血小板減少症ラット血漿からのTPO部分精製標品について、ラットの非分離骨髄細胞、分離・濃縮各段階の細胞、あるいはGpIIb/IIIa+CFU−MK画分を用いたコロニーアッセイ系で検定したところ、ラット血漿由来のTPOは、巨核球コロニーを形成させた。TPOによって形成される巨核球コロニーと他の既知サイトカイン、即ち、ラットIL−3、マウスGM−CSF、あるいはヒトEPOによって形成される巨核球コロニーを比較すると、TPOによって形成される巨核球コロニーには、個々のコロニーを構成する巨核球数は少ないが、各々の巨核球のサィズが大きい、即ち成熟度が進んでいるという特徴がある。さらに、他の細胞系統のコロニーはほとんど形成されず、TPOが示すMeg−CSF活性は巨核球特異的な活性と考えられる。これらのことから、TPOは、本コロニーアッセイ系においてMeg−CSF活性を発揮する他の既知サイトカイン、即ち、ラットIL−3、マウスGM−CSF、あるいはヒトEPOとは、生物学的特性を異にし、ユニークなMeg−CSF活性を発揮することが明白となった。
ヒト骨髄細胞、あるいはヒト瞬帯血細胞由来のCD34+DR+細胞画分に対しても血小板減少症ラット血漿からのTPO部分精製標品はMeg−CSF活性を示し、有意な数のヒト巨核球コロニーを形成させた。このことは本因子に種特異性のないことを示している。
<実施例4>
ラットTPO産生細胞の特定化
(1) ラットTPO産生臓器の探索
まず、ラットTPOの部分アミノ酸配列に基づくラットTPO遺伝子のクローニング、あるいは発現クローニングのためのmRNA供給源を確保する目的で、ラットTPO産生臓器の探索、特定化を行った。当初、P55抗体投与により血小板減少症にしたラットから経時的に骨髄、肺、肝臓、脾臓を摘出し、その細胞(肺、肝臓の場合は臓器切片)の培養上清を採取し、ラットCFU−MKアッセイ系にて上清中の活性を評価したが、明確な結果は得られなかった。続いて、ラットにおける肝臓とTPO産生との関連性を示唆する報告(Siemensmaら、J.Lab.Clin.Med.、86巻、817−833頁、(1975))を考慮して、P55抗体投与により血小板減少症にしたラットの肝臓からコラゲナーゼかん流法にて調製した肝細胞を培養し、その上清からWGA−Agaroseカラムに吸着した画分をVydac phenyl逆相カラムに展開したところ、ラットCFU−MKアッセイ系にてラット血漿由来TPO活性と同じ位置に極めて類似した活性が認められた。正常ラット肝細胞の培養上清からも弱いながらも活性が認められた。これらの結果から、肝臓がTPO産生臓器の1つである可能性が強く示唆された。
(2) ラットTPO産生細胞株のスクリーニング
上記の結果を基に、ラットTPO産生細胞株のスクリーニングを行った。まず、20種類のラット肝臓由来細胞株をそれぞれの継代培養用の培養液中でほぼコンフルエントになるまで培養した後、培養液に含まれる血清を5%FCSに統一したそれぞれの培養液で置換して、さらに3日間培養を継続し、それぞれの培養上清を採取した。その上清を(1)に記した方法で部分精製して、TPO産生の有無を調べたところ、3種類のラット肝実質細胞由来細胞株、即ち、McA−RH8994細胞(ATCC寄託番号CRL1602、Beckerら、“Oncodevelopmental Gene Expression″ ed.by Fishman and Sell、Academic Press、 NY、259−270頁、(1976)、大日本製薬より購入)、H4−II−E細胞(ATCC寄託番号CRL1548、Pitotら、Nat. Cancer Inst.Monogr.、13巻、229−245頁、(1964)、大日本製薬より購入)、およびHTC細胞(Thompsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、56巻、296−303頁、(1966)、大日本製薬より購入)から明らかにTPO活性の産生が確認された。
(3) McA−RH8994細胞、H4−II−E細胞、およびHTC細胞が産生するTPO活性の詳細な分析
これらの3種類のラット細胞株から分泌されるTPO活性と平行して精製を進めていたラット血漿由来のTPO活性を、生化学的性質と生物学的性質の両面からさらに詳細に比較検討した。
McA−RH8994細胞を10%FCSを含むalpha−MEM(−)培養液に浮遊させて、底面積175cm2の組織培養用培養プラスティックフラスコに1×106個/フラスコになるように入れ、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で3日間培養した後、5%FCSを含むIMDM培養液に置き換え、さらに3日間培養し、上清を回収した。H4−II−E細胞を10%FCSを含むDulbecco改変Eagle培養液(グルコース4.5g/l含有)(以下、DMEM培養液)に浮遊させて、底面積175cm2の組織培養用プラスティックフラスコに5×105個/フラスコになるように入れ、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で3日間培養した後、5%FCSを含むIMDM培養液に置き換え、さらに3日間培養し、上清を回収した。また、HTC細胞を5%FCSを含むDMEM培養液に浮遊させて、底面積175cm2の組織培養用プラスティックフラスコに2.5×105個/フラスコになるように入れ、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で3日間培養した後、5%FCSを含むIMDM培養液に置き換え、さらに3日間培養し、上清を回収した。
このようにして得た3種類の細胞株の培養上清それぞれ2リットルから、実施例1−2に記載したXRPからのTPOの精製法に従って、細胞株由来TPOの部分精製を行った。以下に概略を述べる。
まず、限外濾過器により培養上清を約6倍に濃縮した後、SephadexG−25カラムで20mM Tris−HCl(pH8.0)にバッファー交換した。溶出液をQ−Sepharose FFカラムに添加し、20mM Tris−HCl(pH8.0)で洗滌後、吸着画分を175mM NaClを含む20mM Tris−HCl(pH8.0)で溶出した。この画分をWGA−Agaroseカラムに添加し、PBSで洗った後、吸着画分を0.2M GlcNAcと0.15M NaClを含む20mMNa Phosphate(pH7.2)により溶出した。この溶出液をTSK−gel AF−BLUE 650MHカラムに添加し、IM NaClを含む20mM Na Phosphate(pH7.2)で洗った後、2MNaSCNにより溶出した。これをPhenyl−Sepharose 6 FF/LSカラムに添加し、1.5M硫酸アンモニウム(Ammonlum Sulfate)を含む50mM Na Phosphate (pH7.2)、次いで0.8M硫酸アンモニウムを含む36mMNa Phosphateで洗った後、20mMNa Phosphate(pH7.2)により溶出した。この吸着画分を、濃縮後、逆相VydacProteinC4カラム(The Separations Group社製 カタログ番号214TP51015;直径1cm、ベッド高15cm)で分画した。展開溶媒Aに0.1%TFA、展開溶媒Bに0,05%TFAを含む1−プロパノールを用い、予めカラムを20%Bで平衡化し、サンプルを注入後、流速1ml/minで20%Bから40%Bまで90分の直線濃度勾配により溶出した。この結果、どの細胞株由来のTPO活性も、30%から43%濃度の1−プロパノールで溶出された。
各精製段階の標品をラットCFU−MKアッセイ系にて活性測定した結果、3種類の細胞株由来のTPO活性はいずれもXRP由来のTPO活性と極めて類似した挙動を示した(実施例1−2を参照)(表6に、ラットCFU−MKアッセイ系での各段階における相対比活性、活性収率などを記載)。さらに、最終段階の逆相カラムからの溶出画分をラットCFU−MKアッセイ系にて活性測定した結果、3種類の細胞株由来のTPO活性とXRP由来のTPO活性は同じピーク位置に溶出されていた。この逆相カラムの活性画分を中心に、ラットGpIIb/IIIa+CFU−MKの分離・濃縮過程の付着細胞除去段階で得られる非付着性細胞を用いてコロニーアッセイを行ったところ、いずれもラットCFU−MKアッセイ系での活性の溶出パターンにほぼ一致して巨核球コロニーの形成が認められ(表7)、また、XRP由来のTPO活性と同様に、3種類の細胞株由来の活性はいずれも専ら巨核球コロニーを形成させ、他の系統のコロニーはほとんど形成させなかった。
実施例1−2に記載した方法に従って、プールした逆相カラムの活性画分をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、泳動後にゲルから蛋白質を抽出して、ラットCFU−MKアッセイ系にて活性測定したところ、XRP由来のTPOは見かけの分子量17000〜22000、McA−RH8994細胞由来のTPOは見かけの分子量33000〜39000、H4−II−E細胞由来のTPOは見かけの分子量31000〜38000、HTC細胞由来のTPOは見かけの分子量17000〜22000、および分子量28000〜35000を有していた。
以上のように、McA−RH8994細胞、H4−II−E細胞、およびHTC細胞が産生するTPO活性は、XRP由来のTPOと比べて、見かけ上の分子量の点で生化学的性質を若干異にするものの、生物学的性質において同等であることが明らかとなった。本発明において、ここで特筆すべきことは、血液中に存在するTPO活性を持つ分子が、産生細胞において、あるいは産生細胞から分泌後に、分子内の特定な、あるいは不特定な位置で切断されたものである可能性を示唆する。また、TPO遺伝子(mRNAやcDNA)においても様々な長さのものが存在する可能性をも示したものである。
【表6】
【表7】
<実施例5>
cDNAライブラリー作製用発現ベクター(pEF18S)の構築
ベクターへのcDNA断片の組み込みが容易で、クローニングしたcDNAの発現効率が高いベクターを作製し、TPOcDNAのクロニングと発現に備えた。すなわち、発現効率が高いプロモーターとして知られるエロンゲーションファクター1α(EF1α)のプロモーターを、扱いやすい発現ベクターpME18SのSRαプロモーターと入れ替え、発現ベクターpEF18Sを構築した(図6参照)。エロンゲーションファクター1αのプロモーターは発現ベクターpEF−BOS(Mizushimaら、Nucleic Acids Res.、18、5322、1990)1μgを制限酵素HindIIIとEcoRIで部分的に消化した後、2%アガロースゲル(FMC Bio Products社製)を用いた電気泳動にかけ、約1200bpのDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製;Willisら、Bio Techniques、 9、92−99、1990の方法にもとづいたもので、多孔性シリカベースのマトリックスを利用した吸着により選択的にDNAを精製するキット)を用いて精製した。このDNA断片100ngを同様にHindIIIとEcoRIで消化した50ngの発現ベクターpME18S(Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90、8957−8961、1993)につなぎこんだ。宿主菌にはコンピテント・ハイE.coliDH5(東洋紡績社製;Hanahanら、J.Mol.Biol.、166、557−580、1983の方法の変法により作製したコンピテントな宿主菌)を用い、得られたコロニー12個をランダムに選びプラスミドDNAを精製し、それらDNAの制限酵素での消化パターンにより目的のプラスミド(pEF18S)を含む10クローンの中から1個を選択し、大量にプラスミドDNAを調製した。
プラスミドDNAの精製は本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載されているようにして実施した。
すなわち、上記のようにして得られたクローンpME18Sを50μg/mlのAmpicilinを含む50mlのLB培地(1%Bacto−tryptone、 0.5%Baclo−yeast extract、0.5%NaCl)で一夜培養した後、遠心分離により得た菌体を4mlのTEG−lysozyme(25mM Tris−Cl(pH8)、10mM EDTA、50mM Glucose、0.5%lysozyme)溶液に懸濁し、8m1の0.2NNaOH/1%SDS溶液を加えてよく懸濁する。さらに3M potassium/5M acetate溶液を6ml加えてよく懸濁した後遠心し、上清を得る。上清はフェノールークロロホルム(1:1)処理後、等量のイソプロパノールを加えて遠心し、ペレットを得た。ペレットはTE溶液(10mMトリス−塩酸(pH7.5)、1mM EDTA)に溶解後、RNase処理、フェノール−クロロホルム(1:1)処理を施し、エタノール沈殿を行なう。ペレットを再度TE溶液に溶解し、NaCl、ポリエチレングリコール3000をそれぞれ0.63M、7.5%になるように加えて遠心する。
最後に、ペレットはTE溶液に溶解後エタノール沈殿を行なう。これにより約300μgのプラスミドDNAを得た。このDNA100μgを制限酵素EcoRIおよびNotIで完全に消化後、0.8%のアガロースゲル(FMC BioProducts社製)で泳動し、ベクター断片を回収後プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製しおよそ55μgのプラスミドDNAを得た。このDNAを以下のcDNAライブラリー作製に使用した。
<実施例6>
McA−RH8994細胞からのmRNAの精製
実施例4のコロニーアッセイの結果より比較的活性の高かったMcA−RH8994細胞をラットTPOcDNAクローニングの材料に選び以下の実験に供した。
全RNAの単離は本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載されているようにして実施した。McA−RH8994細胞を直径90mmのシャーレ15枚に完全に密に増殖させた後、シャーレから培養液を除き、1枚のシャーレ当り0.8mlの5Mグアニジン溶液(5Mグアニジンチオシアナート、5mMクエン酸ナトリウム (pH7.0)、0.1Mβ−メルカプトエタノール、0.5%ザルコシル硫酸ナトリウム)を加え、よく懸濁した後1本のチューブに混合液を集め、グアニジン溶液を加えて全量を20mlとした。この細胞が壊れて粘稠になった混合液は、18Gさらに21Gの注射針を装填した20ml容の注射器を用い、粘性がほとんどなくなるまでおよそ20回吸入排出を繰り返した。ベックマン社製SW28ローターに合うポリアロマー製の遠心チューブに18mlの5.7M CsCl−0.1MEDTA(pH7.5)をクッションとして先に加えておき、チューブがほぼ満たされるように上述の混合液約20mlを層が乱れないように静かに重層した。このようにして調製された遠心チューブを20℃で25000r.p.m.、20時間遠心した後、得られたペレットを少量の80%エタノールを用いて2回洗浄した。ペレットはTE溶液に溶解せしめ、フェノール−クロロホルム(1:1)にて抽出後、1/10量の3M酢酸ナトリウムと2.5倍量のエタノールを加えてエタノール沈殿を行い全RNAを得た(約108個の細胞より全RNA約2.5mgを得た)。
全RNAからのポリ (A)+RNAの精製はOligotexTM−dT30(Super)(日本合成ゴム/日本ロッシュ社製;ラテックス粒子の表面にオリゴdTが共有結合で固定してあり、ポリ (A)+RNA精製に使われるオリゴdTカラムと同様にポリ (A)+RNAの精製ができる)を用いて行った。全RNA約500μgより20μgのポリ (A)+RNAを得た。
<実施例7>
ラットcDNAライブラリーの構築
実施例5で得られた5μgのポリ (A)+RNAからTimeSaverTMcDNA SynthesisKit(Pharmacia社製;Okayama−Berg法:Mol.Cell. Biol.、2、161−170、1982、の変法によるcDNA合成法のキット)およびDIRECTIONAL CLONING TOOLBOX (Pharmacia社製;NotI配列を含むcDNA合成のためのプライマー: 5′−AACTGGAAGAATTCGCGGCCGCAGGAA(T)18−3′並びにEcoRI配列付加用アダプター:5′−AATTCGGCACGAG−3′および5′−CTCGTGCCG−3′のセット)を用いて、5’端にEcoRI、3’端にNotI認識部位を持つ2本鎖cDNAを合成した。合成したcDNAは1.2μgの予めEcoRIおよびNotIで処理した発現ベクターpEF18S(実施例5参照)と連結させ、8.4mlのコンピテント・ハイE.coli DH5 (東洋紡績社製)を形質転換した。その結果、5.3×105個の形質転換体が得られた。<実施例8>
PCR法によるラットTP0cDNA断片の取得(クローニング)
実施例7で作製したMcA−RH8994cDNAライブラリー53万クローンを50μg/mlのAmpicilinを含む50mlのLB培地で一夜培養した後、遠心分離により得た菌体からQIAGEN−tip100 (DIAGEN社製;DNA精製用シリカゲルベースの陰イオン交換カラム)を用いてMcA−RH8994cDNAライブラリープラスミドを精製し、約200μgのプラスミドDNAを得た。
実施例2に記載のペプチド断片AP8のアミノ酸配列に対応する2種類のアンチセンスヌクレオチドプライマーAP8−1R,AP8−2R、及びcDNAライブラリー作製に用いた図6に示したプラスミドベクターpEF18Sのヒトエロンゲーションファクター1αの第1イントロンに対応するセンスヌクレオチドプライマーEF1α−1,EF1α−2を合成した。合成にはアプライドバイオシステムズ社製394DNA/RNAシンセサイザー(β−シアノエチルアミダイト法にもとづく合成機)を使用し、同社製の合成DNA精製用OPCカラム(逆相シリカゲルを充填したカラムでトリチル基を持つ合成DNAを精製するカラム)を用いて精製した。精製した合成DNAはTE溶液に50μMとなるように溶解し、使用時まで−20℃に保存した。以下用いる合成オリゴヌクレオチドは全て同様に合成並びに精製して使用した。
プライマーAP8−1R,AP8−2Rは、連続した17個のヌクレオチドからなる混合型プライマーであり、タカハシらの研究にあるようにデオキシイノシンを使用した(Takahashi,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci. (USA)82,1931−1935(1985))。
プライマーEF1α−1,EF1α−2は、Uetsuki,et al.,J.Biol.Chem. 264,5791−5798(1989)にあるゲノム配列の1491−1512、1513−1532に相当する塩基配列を基にして合成したそれぞれ21、20個のヌクレオチドからなるプライマーである。合成したプライマーの配列を表8に示す。
【表8】
McA−RH8994cDNAライブラリープラスミド3μgを鋳型とし、AP8−1R(500pmol)、EF1 α−1(100pmol)をプライマーとして、GeneAmpTMPCR Reagent Kit with AmpliTaqTM DNA Polymerase (宝酒造社製;PCR用耐熱性Taqいポリメラーゼ、反応バッファー、dNTPのセット)を用いて、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKIN−ELMER社製;PCR用反応機)により100μlの容量でPCR反応(95℃で2分間加熱後、95℃で1分間の変性条件、40℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で35回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。増幅されたDNA断片の特異性を上げるために、得られたPCR反応液1μlを鋳型とし、EF1α−2(100pmol)、AP8−2R(500pmol)をプライマーとして、同様に100μlの容量でPCR反応(95℃で2分間加熱後、95℃で1分間の変性条件、45℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で35回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。
ここで得られた反応液を、2%アガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、このPCR反応の主要産物である約330bpのDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)を用いて精製した。このDNA断片をT4DNAリガーゼ(ライフテクノロジー社製)を用いてpCRTMII(Invitrogen社製;PCR産物TAクローニング用ベクター:PCRに使用する耐熱性ポリメラーゼが末端トランスフェラーゼ活性を有するために、PCRで増幅したDNAの3’末端にデオキシアデニル酸を1個付加する性質を利用し、5’−dT突出末端を持つベクターpCRTMIIにそのままサブクローニングする方法)ベクターにサブクローンした。任意に選択した28クローンについてQIAGEN−tip100(DIAGEN社製)を使用してプラスミドDNAを精製し、これをTaq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit (アプライドバイオシステムズ社製;PCRを利用した、蛍光色素で行なうジデオキシ法:Sangerら、Proc.Natl.Acad. Sci.USA、74、5463−5467、1977)を用いて、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサー(蛍光シークエンサー)によりシークエンスし、各クローンの塩基配列を決定した。
得られたDNA断片の中で、AP8のアミノ酸のN末端側3個(Ile/Thr/Ser) −Val−ProをAP8−2Rのプライマーに隣接してコードするものを選択し、全長をシークエンスしたところ、26lbpを有するcDNAを含んでいた。
このcDNA断片の173〜175の塩基配列はメチオニンをコードするものでありコーディングのフレームはAP8のアミノ酸のフレームと一致した。またこの配列の前後はKozakの配列(Kozak,M.,Cell,44,283−292、1986)に適合することから翻訳の開始部位と推定され、ラットTPOタンパク質のN末部分をコードするcDNA断片と考えられた。このcDNA断片をA1と命名した。ベクターの配列を除いたA1断片の塩基配列およびそれから演鐸されるアミノ酸配列を配列表(配列番号1)に示した。
<実施例9>
PCR法によるラットTPOcDNAのスクリーニング
前述のcDNAライブラリーを約1万クローンづつのプールに分け、50μg/mlのAmpicilinを含む1mlのLB培地中で一夜培養した後、プラスミド自動分離装置PI−100(倉敷紡績社製、VER−3.0;アルカリSDS法:Molecular Cloning[Sambrookら、ColdSpring Harbor Laboratory Press、1989] :の変法にもとづくプラスミドDNA自動抽出機)を用いてプラスミドDNAを抽出した。その1/30量を鋳型としてフラグメントA1をもとに設計した2種の合成オリゴヌクレオチド
5’ CGAGGGTGTACCTGGGTCCTG3’ (配列番号1の配列の1−17のセンス配列;CGAGはアダプターの配列)および
5’ CAGAGTTAGTCTTGCGGTGAG3’ (配列番号1の配列の212−232のアンチセンス配列)
をプライマーとして合成・精製し、GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTMDNA Polymerase (宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTMPCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)によりPCR反応(94℃で30秒間の変性条件、66℃で30秒間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反応)を行った結果、100プール中3プールに236bpの特異的バンドが検出された。このうちの1プールを約900クローンづつのプールに分けプラスミドDNAを抽出し、同様のPCR反応を行ったところ、100プール中3プールにバンドが検出された。さらにこのうちの1プールを40クローンづつのプールに分け、同様の選別を行なった結果100プール中3プールで特異的と考えられるバンドが観察された。これらのうち1プールを選び50μg/mlのAmpicilinを含むLBプレート(15%アガーを含むLB培地)上に蒔き、出現した1つ1つのコロニーについてプラスミドDNAを抽出し同様のPCR反応を行った結果、100クローン中2クローンで陽性バンドを検出した。
<実施例10>
ラットTP0cDNAのシークエンス
プラスミドDNAの精製は本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載されているようにして実施した。
実施例9で最終的に得られた2個のクローンを50μg/mlのAmpicilinを含む50mlのLB培地で一夜培養した後、実施例5と同様に精製し、最終的に約300μgのプラスミドDNAを得た。
ここで得られたプラスミドDNAをTaq Dye DeoxyTMTerminater Cycle Sequening Kit (アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、実施例8と同様にシークエンスし、cDNA全長の塩基配列を決定した。その結果、2個のクローンの塩基配列は完全に一致し同一のクローンであることが明かとなった。この中から1クローンを選び該cDNAを担持したプラスミドクローンをpEF18S−A2αと命名した。塩基配列およびそれから演繹されるアミノ酸配列を配列表(配列番号2)に示した。
配列表(配列番号2)に示す配列の特徴は顕著である。172bpの5’非翻訳領域後の配列は、メチオニンに始まる21個のタンパク質から成る分泌のためのシグナル配列と推定される、疎水性に富むアミノ酸をコードしている。このタンパク質は126個のアミノ酸残基を有し、停止コドン(TAA)の後に1022塩基の3’非翻訳配列及びポリA尾部の多数のアデニンが続く。このタンパク質中には、実施例2で解析された部分アミノ酸配列AP8に対応する配列のみが含まれていた(配列番号2におけるアミノ酸番号1〜12)。N−グリコシル化のための配列部位は存在しない。また、3’非翻訳配列末端近くの1624〜1629の塩基配列は、コンセンサス配列とは異なるが、潜在的ポリアデニル化配列と考えられる。
大腸菌DH5に担持されたベクターpEF18S−A2αは1994年2月14日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−4565として寄託した。これはまた、1995年3月22日付で中華民国食品工業発展研究所(FIRDI)に受託番号940083として寄託した。
<実施例11>
ラットTPOcDNAのCOS1細胞での発現〜活性確認
プラスミドpEF18S−A2αのCOS1細胞へのトランスフェクションは、クロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法(Sompayracら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78巻、7575−7578頁、(1981) ;Luthmanら、Nucl.Acids Res.、11巻、1295−1308頁、(1983))に若干の改変を加えた以下の方法に従い実施した。10%FCSを含むDMEM培養液に浮遊させたCOS1細胞(ATCC CRL1650)を直径100mmの組織培養用プラスティックシャーレに入れ、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で約40%コンフルエントになるまで培養した。一方、500μg/ml(7)DEAE−デキストラン(ファルマシア社)、80μMのクロロキン(シグマ社)、8%(v/v)のHBS (21mM HEPES−145mM NaCl、pH7.1)及び9%(v/v)のNu−Serum(コラボレイティブ社)を含む4mlのDMEM培養液に30μlのHBSに溶解したプラスミドpEF18S−A2α(10μg)を混和し、トランスフェクション直前にDMEM培養液で2度洗浄した上記のCOS1細胞に添加した後、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で5時間培養した。その後、培養上清を吸引除去しDMEM培養液でシャーレを2度洗浄した後、10%FCSを含むDMEM培養液を15ml加え、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で3日ないしは5日間培養し、培養上清を回収した。
得られた培養上清をIMDM培養液に対して十分に透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で評価した。その結果、プラスミドpEF18S−A2αをトランスフェクションして発現させたCOS1細胞の培養上清中に用量依存的にTPO活性が認められ(図7)、また、ラットTPOの場合と同様に培養4日目に多数のcytoplasmic process formation形成が認められた。一方、インサートを含まないプラスミドpEF18SをトランスフェクションしたCOS1細胞培養上清ではTPO活性は検出されなかった(図7)。また、M−07eアッセイ系においても、プラスミドpEF18S−A2αをトランスフェクションして発現させたCOS1細胞の培養上清中に用量依存的にM−07e細胞増殖促進活性が認められ、インサートを含まないプラスミドpEF18SをトランスフェクションしたCOS1細胞培養上清では活性が認められなかった。これらの結果から、pEF18S−A2αがTPO活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を担持していることが確認された。
次に、このTPO活性の血小板増加作用を調べるため、部分精製品を調製した。
調製過程でのTPO活性測定には、ラットCFU−MKアッセイ系を用いた。まず、プラスミドpEF18S−A2αをトランスフェクションしたCOS1細胞を、0.2mgのBSAを含む無血清培養液で3日間培養し、約5.8Lの無血清培養上清を得た。その無血清培養上清に、p−APMSFを最終濃度1mM加え、0.22μmの濾過フィルターで通過する濾液をとった。この体積5793ml(蛋白質濃度0.229mg/ml)総蛋白質量1326mg、相対活性1000、相対活性量1326080)に対し1000ml当り0.85molesのNaCl(合計288g)を加え、最終濃度0.822M NaCl,5849mlの溶液とした後、1M NaCl, 20mM NaPhosphate pH7.2で予め平衡化してあったTSK−gel AF−BLUE 650MHカラム(トーソー社製、カタログ番号08705 ;直径5cm、ベッド高 6cm)に、流速7ml/minで添加した。添加終了後、20mMNa Phosphate, 1M NaCl, pH7.2で溶出される素通り(約7900ml)を集め、これを限外濾過ユニット(フィルトロン社・オメガウルトラセット 分子量8000カット)で濃縮し、素通り画分F1(460ml,蛋白質濃度2.11mg/ml,総蛋白質量973mg,相対活性16.3)を得た。次に、溶出液を2M NaSCNにかえ、溶出されたTSK−gel AF−BLUE 650MH吸着TPO活性画分F2(2840ml)を限外濾過ユニット(アミコン社製;YM3膜、直径76mm)を用いて、6.81mlまで濃縮した。このTPO活性画分F2の総蛋白質量は12.5mg、このステップでのF2の蛋白質収量は0.62%であった。また、TPOの相対活性は、240であった。次に、HiLoad26/60 Superdex 200pg(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−1071−01;直径 2,6cm、ベッド高 60cm)カラムに注入し、流速1ml/minで、50mMのNaClを含む20mM Na Acetate, pH5.5で展開した。展開開始後に溶出した194mlから260mlまでの範囲の画分にTPO活性が確認できた。そこで、これをまとめて、Superdex 200pgのTPO活性画分F2(66ml,蛋白質濃度0.112mg/ml,総蛋白質量7.41mg,相対活性142860、相対活性量1058600)とした。次に、展開溶媒A(20mM Na Acetate, pH5.5)および展開溶媒B(500mMのNaClを含む20mM Na Phophate,pH7.2)を用意し、100%Aで平衡化した強陽イオン交換カラムのRESOURCES(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−1178−01:直径 0.64cm、ベッド高 3cm)カラムに、流速1ml/minで、注入した。次いで、流速0.3ml/minで、40分かけて100%Aから100%Bまでの直線濃度勾配にて展開した。アッセイの結果、広い範囲(5%Bから32%Bの範囲)にTPO活性が溶出されていることが分かった。このTPO活性画分をまとめて、限外濾過ユニット(アミコン社製;YM3膜、直径25mm)で濃縮し、RESOURCESのTPO活性画分F2(1.65ml,蛋白質濃度4.74mg/ml,総蛋白質量7.82mg,相対活性71400、相対活性量558600)を得ることができた。
得られた標品は純粋なTPO標品ではなかったが、ラットCFU−MKアッセイ系において、十分に高い活性が確認されたので、マウスへの投与実験を実施した。即ち、投与前日に血小板数を測定しておいたICR系マウス(9週齢;♂)の皮下へ、TPO部分精製品(474μg(100μl)/マウス/日)、対照としてBSA (200μg(100μl)/マウス/日)、あるいは対照としてTPO部分精製品が溶解されている緩衝液と同じ組成の緩衝液(100μl/マウス/日)を5日間連日投与し、6日目に心臓より採血して血小板数を測定した(F800;東亜医用電子)。TPO部分精製品投与マウスでは投与前に比べて平均して約2.14倍の血小板数の増加を認めた。また、投与群の間で比較すると、TPO部分精製品投与マウスでは、BSA投与マウスに比べて約1.74倍、あるいは緩衝液のみを投与したマウスに比べて約1.90倍の血小板数の増加を認めた。この結果から、TPOが生体内において血小板増加作用を有することが明らかとなった。なお、TPO部分精製品投与マウスにおいて、マウスの急性期蛋白質の1種であるimmunosuppresive acidic protein (IAP)の増加が認められなかったことから、TPOは急性期蛋白質の誘導に関してIL−6やIL−11とは性格を異にすることが強く示唆された。
<実施例12>
ラット各種組織でのTPOmRNAの検出
ラットTPOmRNAがラット体内においてどの組織で発現しているかを確認するために、ラットの各種組織よりRNAを抽出した。実施例1に記載されているものと同様にX線照射を行なった11日目ないし14日目のラット6匹より各種組織(脳、胸腺、肺、肝臓、心臓、脾臓、小腸、腎臓、精巣および骨髄細胞)を摘出し速やかに液体窒素で凍結した。全RNAの抽出にはRNA単離用試薬ISOGEN(和光純薬)を使用した。凍結した組織の重量に応じた量のISOGEN試薬を加え、ホモジナイザー(ヒスコトロン;日音医理科器械製作所:NS−60)により、組織が完全に破砕されるまで(およそ10000RPMで45〜60秒)処理した後、全RNA抽出操作を行なった(ChomczynskiらのAcid Guanidium Phenol Chrololorm法にもとづく抽出法:Anal. Biochem.、162:156−159、1987を参照)。その結果、それぞれの組織より1.1mg〜5.6mgの全RNAが得られた。
全RNAからポリ (A)+RNAの精製はOligotexTM−dT30(Super)(日本合成ゴム/日本ロッシュ社製)を用いて行い全RNA約500μgより20pgのポリ (A)+RNAを得た。
得られた各種組織のポリ (A)+RNAそれぞれ1μgよりランダムプラィマーを使用してcDNAの1本鎖目を合成した。ポリ (A)+RNA 1μgを10μlの滅菌水に溶かし70℃で15分間加温後急冷し、75pmoleランダムプライマー(宝酒造社製)、10U RNase Inhibitor(ベーリンガーマンハイム社製)、50mMTris−HCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM MgCl2、200U SuperScriptTMIIライフテクノロジー社製逆転写酵素)となるようにそれぞれの試薬を加え(全量20μl)、37℃で1時間保温した。反応液を70℃で10分間加熱し酵素を失活させた後−20℃で使用時まで保存した。
実施例10で得られたラットTPOのcDNA配列より新たにPCR用プライマーを合成した。合成したプライマーの配列は以下の通り。
rTPO−I:5’−CCTGTCCTGCTGCCTGCTGTG−3’ (配列番号2の347〜367)
rTPO−N:5’−TGAAGTTCGTCTCCAACAATC−3’ (配列番号2の1005〜1025に対応するアンチセンス)
合成したcDNA反応液のそれぞれ0.1容を鋳型に用いここで合成したプライマー(rTPO−I、rTPO−N)をそれぞれ1μM使用してPCRを実施した。
GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTMDNA Polymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で2分間加熱後、95℃で1分間の変性条件、57℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。ここで得られた反応液を、2%アガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ増幅されたバンドを観察したところ、脳、肝臓、小腸並びに腎臓で特異的と考えられるバンドが観察された。この結果より、発現量の多少は判断できないがラットにおいてはこれらの組織でTPOmRNAが発現していると考えられた。人においても同様な発現様式を示すことが示唆されるが実施例4の結果と合わせて考えると、肝臓がヒトTPOcDNA取得のための出発材料としては適当であると判断された。
<実施例13>
ヒト正常肝臓由来cDNAライブラリーの構築
実施例12の結果より、肝臓をヒトTPOcDNAクローニングのための材料に選び、市販の正常ヒト肝臓由来ポリ (A)+RNA (Clontech社製:ChomczynskiらのAcid Guanidium PhenolChroloform法にもとづいて抽出したもの)5μgを用い実施例7と同様にTimeSaverTM cDNA Synthesis Kit (Pharmacia社製)およびDIRECTIONAL CLONING TOOLBOX (Pharmacia社製)を使用して、5’端にEcoRI、3’端にNotI認識部位を持つ2本鎖cDNAを合成した。合成したcDNAは1.2μgの予めEcoRIおよびNotIで処理した発現ベクターpEF18Sと連結させ、8.4mlのコンピテント・ハイE.coli DH5 (東洋紡績社製)を形質転換した。その結果、1.2×106個の形質転換体が得られた。
<実施例14>
PCRによるヒトTPOcDNA断片の取得(クローニング)
市販の正常ヒト肝臓由来ポリ (A)+RNA (Clontech社製)1μgよりランダムプライマーを使用してcDNAの1本鎖目を合成した。ポリ (A)+RNA 1μgを10μlの滅菌水に溶かし70℃で15分間加温後急冷し、75pmoleランダムプライマー(宝酒造社製)、10U RNaseInhibitor(ベーリンガーマンハイム社製)、50mM Tris−HCl(pH8.3)、75mM KCl、3mM MgCl2、200U SuperScriptTMII(ライフテクノロジー社製)となるようにそれぞれの試薬を加え(全量20μl)、37℃で1時間保温した。反応液を70℃で10分間加熱し酵素を失活させた後−20℃で使用時まで保存した。
ラットTPOcDNA配列(配列番号2)よりPCR用プライマーを合成した。プライマーの配列は以下の通り。
rTPO−AIN:5’−ATGGAGCTGACTGATTTGCTC−3’(配列番号2の173〜193)
rTPO−N :5’−TGAAGTTCGTCTCCAACAATC−3’(配列番号2の1005〜1025に対応するアンチセンス)
合成したcDNA反応液の0.1容を鋳型に用いここで合成したプライマー(rTPO−AIN、rTPO−N)をそれぞれ1μM使用してPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTM DNA Polymerase (宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)により100μ1の容量でPCR反応(95℃で2分間加熱後、95℃で1分間の変性条件、40℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で35回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。
ここで得られた反応液を、2%アガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、このPCR反応の主要産物である約620bpのDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)を用いて精製 した。この精製したDNA断片をTaq Dye DeoxyTM Terminater Cycle SequeningKit(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーにより直接シークエンスし塩基配列を決定した。
プラィマー部分を除く塩基配列およびそれから演繹されるアミノ酸配列を配列表(配列番号3)に示した。
このDNA断片はプライマー配列を除くと580bpの長さを有し、ラットcDNA塩基配列との比較を行なった結果、86%の相同性を持つことが明かとなり、ヒトTPOcDNAの一部をコードするDNA断片であると考えられた。
<実施例15>
PCR法によるヒトTPOcDNAのスクリーニング
配列表−配列番号3をもとにヒトTPOに対応するPCR用プライマーを合成した。配列は以下の通り。
hTPO−I:5’−TTGTGACCTCCGAGTCCTCAG−3’ (配列番号3の60−80)
hTPO−J:5’−TGACGCAGAGGGTGGACCCTC−3’ (配列番号3の479−499に対応するアンチセンス)
実施例13において構築したヒトcDNAライブラリーを増幅し約10万個のクローンを1個の集団とするプールに分割し、50μg/ml(7)Ampicilinを含む1mlのLB培地中で一夜培養した後、プラスミド自動分離装置PI−100(倉敷紡績社製、VER−3.0)を用いてプラスミドDNAを抽出した。抽出したDNAはTE溶液に溶解した。
抽出したDNAの5%を鋳型として使用し、合成したプライマー(hTPO−I、hTPO−J)をそれぞれ1μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTM DNA Polymerase (宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR Syslem 9600(PERKIN−ELMER社製)により20μlの容量でPCR反応(95℃で1分間の変性条件、59℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で35回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った結果、90プール中3プールで特異的と考えられるバンドが検出された。これらのうち1プールを選び、約5000クローンづつのプールに分け90プールよりプラスミドDNAを精製し、再度同一の条件でPCRを実施した。その結果、5個のプールでバンドが検出された。これらより1プールを選択し250個のクローンを1プールとするサブプールに分け、90プールについてプラスミドDNAを抽出した。これらについて同様にPCRを行なった処、3個のプールでバンドが観察された。
これらより1プールを選択し30個のクローンを1プールとしてサブプールを作り、90プールからプラスミドDNAを精製しPCRを実施した結果3個のプールでバンドが観察された。これらのうち1プールを選び50μg/mlのAmpicilinを含むLBプレート上にまき、90個のコロニーについて同様にプラスミドDNAを抽出しPCRによる確認を行なった結果、最終的にクローンHL34を得た。
<実施例16>
ヒトTPOcDNΛのシークエンス
プラスミドDNAの精製は本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)]に記載されているようにして実施した。
クローンHL34を50μg/ml(7)Ampicilinを含む50mlのLB培地で一夜培養した後、遠心分離により得た菌体を4mlのTEG−lysozyme溶液に懸濁し、8mlの0.2N NaOH/1%SDS溶液を加えてよく懸濁する。さらに3M potassium/5M acetate溶液を6ml加えてよく懸濁した後遠心し、上清を得る。上清はフェノールークロロホルム(1:1)処理後、等量のイソプロパノールを加えて遠心し、ペレットを得た。ペレットはTE溶液に溶解後、RNAse処理、フェノールークロロホルム(1:1)処理を施し、エタノール沈殿を行なう。ペレットを再度TE溶液に溶解し、NaCl、ポリエチレングリコール3000をそれぞれ0.63M、 7.5%になるように加えて遠心する。最後に、ペレットはTE溶液に溶解後エタノール沈殿を行なう。これにより約300μgのプラスミドDNA pEF18S−HL34を得た。
精製したプラスミドDNAについてTaq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーによりシークエンスし、全長の塩基配列を決定した。塩基配列およびそれから演鐸されるアミノ酸配列を配列表(配列番号4)に示した。塩基配列決定に必要なプライマーは配列番号3の配列をもとに合成したプライマー並びに、それらのプライマーによるシークエンス反応で解析された内部配列をもとに設計した合成プライマーを使用した。
その結果、得られたプラスミドクローンpEF18S−HL34は861塩基対のcDNA断片を含み、実施例2で分析されたラットTPOの部分アミノ酸配列AP8(配列番号4:アミノ酸番号1〜12)及びTP2/TP3(配列番号4:アミノ酸番号157〜162)と相同性の高い配列が確認された。このDNA断片は、25塩基目から始まるオープンリーディングフレームをコードしていると考えられたが、終止コドンは無く3’端には76塩基からなるポリA尾部様配列を持っていた。ポリA尾部様配列直前までの253個のアミノ酸配列はラットTPOcDNAのもの(配列番号2の147残基のアミノ酸配列部分)と比較すると84%の相同性を持っておりラットTPOに対応するヒトのcDNAの一部をコードするDNA断片と考えられた。終止コドンが無く3’端にポリA尾部様配列を持っていたことから、このクローンは完全なcDNAを反映するものではなく、cDNAライブラリー作製時の人工産物であることが示唆された。
<実施例17>
ヒトTPOcDNAのCOS1細胞での発現〜活性確認
得られたプラスミドクローンpEF18−HL34のCOS 1細胞へのトランスフェクションは、実施例11に従って行なった。すなわちプラスミDNA10μgを使用しクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法を用いたトランスフェクションを行ない、3日ないし5日後に培養上清を回収した。
得られた培養上清をIMDM培養液に対して十分に透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で評価した。その結果、pEF18S−HL34をトランスフェクションして発現させたCOS1細胞培養上清では用量依存的にTPO活性が認められ(図8)、また、培養4日目に多数の巨核球による突起形成が観察された。一方、インサートを含まない発現プラスミドをトランスフェクションしたCOS1細胞培養上清では活性が認められなかった(図8)。また、M−07eアッセイ系においてもpEF18S−HL34をトランスフェクションして発現させたCOS1細胞培養上清にのみM−07e細胞増殖促進活性が認められた。これらの結果から、pEF18S−HL34がTPO活性を有するタンパク質をコードする遺伝子cDNA断片を担持していることが判明した。また、ヒトTPOがラットにも作用する(種特異性がない)ことも明らかとなった。
<実施例18>
ヒトTPO欠失型cDNAの発現〜活性確認
実施例15で得られたクローンHL34のヒトTPOcDNAは、その3’側にポリA尾部様の連続するアデニン配列を持っていたが、この配列はラットTPOcDNAには観られず実験上の人工産物である可能性が示唆された。そこで、このポリA尾部様の連続するアデニン配列を欠失させたcDNAを作製し、発現させた蛋白質がTPOとしての活性を示すか検討した。欠失体の作製にはPCRを利用した。PCR用プライマーの配列を表9に示す。それぞれの5’端には制限酵素認識配列を付加してある(hTPO5にはEcoRI、hTPO3にはNotI並びに2つのストップコドンTAATGAを付加した)。
【表9】
実施例16で得られたプラスミドクローンpEF18S−HL34のプラスミドDNA1μgを鋳型として使用し、合成したプライマー(hTPO5、hTPO3)各10μMを使ってPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTM DNA Polymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR System9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で1分間の変性条件、65℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で15回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。得られた約800bpのバンドを制限酵素EcoRl並びにNotlで消化後精製し、同様に制限酵素処理した発現ベクターpEF18Sにサブクローニングした。得られた形質転換体より約800bpのDNA断片を含むクローンを5個選択しプラスミドDNAを大量調製した(方法は実施例5参照)。それぞれのプラスミドについては、PCRで増幅した部分の約800bp全領域に関して塩基配列の決定を行ない実施例16で解析した塩基配列(配列番号4の1−780)と完全に一致していることを確認した。
このプラスミドクローンをpHT1−231と命名した。大腸菌DH5に担持されたべクターpHT1−231は1994年2月14日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−4564として寄託した。これはまた、1995年3月22日付で中華民国 食品工業発展研究所(FIRDI)に受託番号940082として寄託した。
得られたプラスミドのCOS1細胞での発現は実施例11に従って行なった。すなわちプラスミドDNA各10μgを使用しクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法を用いたトランスフェクションを行ない、3日ないし5日後に培養上清を回収した。
得られた培養上清をIMDM培養液に対して透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で評価した。その結果、pHT1−231をトランスフェクションして発現させたCOS1細胞培養上清ではTPO活性が認められ(図9)、また、培養4日目に多数の巨核球による突起形成が観察された。一方、cDNAインサートを含まない発現プラスミドをトランスフェクションしたCOS1細胞培養上清では活性が認められなかった(図9)。また、M−07eアッセイ系においてもpHT1−231をトランスフェクションして発現させたCOS1細胞培養上清にのみM−07e細胞増殖促進活性が認められた。これらの結果から、pHT1−231に含まれるcDNA断片はTPO活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であることが明らかとなった。
<実施例19>
PCRによるヒトTPOC末側領域のクローニング
実施例15で得られたクローンHL34のヒトTPOcDNAはその3’末端にポリA尾部様配列を持っており、3’部分は不完全なクローンであることが示唆された。そこで、PCRにより完全長の3’領域を取得することを試みた。実施例16で決定した塩基配列よりPCR用5’側プライマーを4種類合成した。
【表10】
また、3’側プライマーとしてはポリA部分直後からの増幅を期待して3’端にミックスのヌクレオチドを4ベース含む以下のプライマーを合成した。また、ミックス部分を含まないアンカープライマーも合成した。
【表11】
実施例14と同様にヒト正常肝臓由来ポリ(A)+RNA (Clontech社製)1μgよりcDNAの1本鎖目を合成した。ただし、プライマーとしてはオリゴdTプライマー(Pharmacia社製のTimeSaverTMcDNA Synthesis Kitに添付のものを0.5μg)を使用した。cDNA合成の反応液の0.1容を鋳型として1回目のPCRを実施した。PCRにはGeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTMDNAPolymerase(宝酒造社製)並びに、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)を用いた。プライマーにはhTPO−H(20μM)及びhTPO3mix(10μM)を使用し50μlの容量で反応を行なった(96℃2分間の後に、96℃1分間/48℃1分間/72℃1分間を10サイクル反応し、さらに72℃7分間)。1回目の反応液の0.1容を鋳型として2回目のPCRを行なった。プライマーにはhTPO−K(20μM)及びhTPO3mix(10μM)を使用し50μlの容量で反応を行なった(96℃2分間の後に、96℃1分間/63℃1分間/72℃1分間を10サイクル反応し、さらに72℃7分間)。2回目の反応液の0.1容を鋳型として3回目のPCRを行なった。プライマーにはhTPO−N(20μM)及びhTPO3mix(10μM)を使用し50μlの容量で反応を行なった(96℃2分間の後に、96℃1分間/63℃1分間/72℃1分間を10サイクル反応し、さらに72℃7分間)。3回目の反応液の0.1容を鋳型として4回目のPCRを行なった。プライマーにはhTPO−O(20μM)及びhTPO3mix(10μM)を使用し50μlの容量で反応を行なった(96℃2分間の後に、96℃1分間/63℃1分間/72℃1分間を10サイクル反応し、さらに72℃7分間)。4回目の反応液の0.1容を鋳型として5回目のPCRを行なった。プライマーにはhTPO−O(20μM)及びhTPO3anchor(20μM)を使用し50μlの容量で反応を行なった(96℃2分間の後に、96℃1分間/58℃1分間/72℃1分間を10サイクル反応し、さらに72℃7分間)。ここで得られた反応液を、2%アガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、このPCR反応の主要産物である約600bpのDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)を用いて精製した。この精製したDNA断片をTaq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit (アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーにより直接シークエンスし塩基配列を決定した。塩基配列およびそれから演鐸されるアミノ酸配列を配列表(配列番号5)に示した。
このDNA断片はプライマーhTPO−Oに始まる130個のアミノ酸をコードする塩基配列を持っており、さらに3’側に180塩基以上の配列が続いていた(577塩基目以降は解読できなかった)。このDNA断片にコードされるグリシンに始まる30個のアミノ酸配列は配列番号4で記載したアミノ酸番号203〜232のアミノ酸配列と一致した。同時に1番から94番目までの塩基配列も配列番号4の692〜785のものと一致していた。
実施例17のcDNA断片の解析及び本例のPCR増幅断片の解析の結果より、配列番号6に記載するように、ヒトTPOタンパク質は21残基のシグナル配列を含む353個のアミノ酸からなると推定される。
なお、配列番号6に示されたヒトTPOタンパク質の成熟タンパク質部分に相当するアミノ酸配列を配列番号16として示した。
<実施例20>
ヒト正常肝臓由来cDNAライブラリーの再構築
実施例15で得られたクローンHL34は、オープンリーディングフレームに終止コドンを持たず、その3’末端にポリA尾部様配列を持っておりcDNA合成の際の人工産物であることが考えられたため、新たに市販の正常ヒト肝臓由来ポリ(A)+ RNA(Clontech社製)5μgを用い、cDNAライブラリーを構築し直した。cDNAの合成にはSuperScriptTM Lambda System forcDNA Synthesisand λCloning Kit並びにSuperScriptTMII RNaseH−(ともにLIFETECHNOLOGIES社製)を使用した。ポリ(A)+ RNAを熱変性後、Kitに付属のNotI配列付きオリゴdTをプライマーとして含む20μlの反応液(50mM Tris−HCl、pH8.3/75mMKCl/3mM MgCl2/1mM DTT/1mM dNTP/200USuperScriptTMII RNaseH−)に加え、37℃で60分間保温した。cDNAの2本鎖目を合成(25mMTris−HCl、pH8.3、100mM KCl、5mM MgCl2、各250 μM dNTPs)5mM DTT、40U E,coli DNA polymerase I、2U E.coli RNaseH)I0U E.coli DNA ligaseを含む150μlの反応液中で16℃2時間保温)後、10U T4 DNA polymaraseを加えさらに16℃で5分間保温した。反応液を65℃で10分間加熱後等量のフェノール−クロロホルムで1回抽出し、S1zeSepTM 400spun column(Pharmacia社製のTimeSaverTM cDNA Synthesis Kitに付属の低分子量DNA除去用スパンカラム)により400bpより小さいcDNAを除いた。このサンプルにEcoRI Adaptor (Pharmacia社製のTimeSaverTM cDNA Synthesis Kitに付属のもの)を付加後制限酵素NotIで消化したものを、再度SizeSepTM 400 spun columnにかけ、低分子量のDNAを除去した。これによって得られた、5’端にEcoRI、3’端にNotI認識配列を持つ2本鎖cDNAはそれぞれ1.3μgであり、予めEcoRIおよびNotIで処理した発現ベクターpEF18Sと連結させ、9.2mlのコンピテント・ハイE.coli DH5 (東洋紡績社製)を形質転換した。その結果、得られたヒト肝臓cDNAライブラリー(hTPO−F1)は1.0×106個の形質転換体を含むものであった。
<実施例21>
ヒト肝臓cDNAライブラリーhTPO−F1からのTPOcDNAクローンのスクリーニング
配列表−配列番号3及び6をもとにヒトTPOcDNAに対応するPCR用プライマーを合成した。配列は以下の通り。
hTPO−I :5’−TTGTGACCTCCGAGTCCTCAG−3’(配列番号3の60−80)
hTPO−KU:5’−AGGATGGGTTGGGGAAGGAGA−3’(配列番号6の901−921に対応するアンチセンス)
実施例20において構築したヒト肝臓cDNAライブラリ−hTPO−F1(1.0×106個)を3つのプール(#1〜3)に分割し凍結保存した。それぞれのプールよりプラスミドDNAを調製し、その1%を鋳型として、合成したプライマー(hTPO−I及びhTPO−KU)各1μMを用いてPCRを行なった。
GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTMDNA Polymerase (宝酒造社製)を使用して、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)により100μ1の容量でPCR(95℃で1分間の変性条件、59℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で35回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った結果、#3のプール由来のプラスミドDNAを用いた場合に予想される大きさのDNAが増幅された。そこで、この#3のプールを15000個のサブプールに分割し、50μg/mlのAmpicillinを含む1ml(7)LB培地中で1夜培養した後、プラスミド自動分離装置PI−100を用いてプラスミドDNAを抽出した。抽出したDNAはTE溶液に溶解し、その5%を鋳型としてPCRを実施した(使用したプライマー、反応条件は上記と同一である)。その結果、90プール中6プールで予想される大きさのDNAが増幅された。これらのうち1プールを選択し1000個のクローンを1つの集団とするサブプールに分割し、上記と同様にプラスミドDNAを調製しPCRを行なったがDNAの増幅は観察されなかった。一連のPCRで増幅されるDNAの電気泳動上のバンドの濃さは、サブプールを細かくして行くに連れ、薄くなってきた。そのため、求めるクローンの増殖が良くないためプラスミドDNAの回収が悪く、PCRによる増幅が弱くなり最終的に増幅されなくなったことが考えられた。そこで#3のプールに戻り、コロニーハイブリダイゼイションによるスクリーニングを行なうことにした。
#3のプールより、15cmのLBプレートあたり4100個のコロニーとなるようにクローンをまき、100枚のプレートを作製した。それぞれのプレートについて1枚づつレプリカプレートを作製し、それらのうち片方のプレートを37℃でさらに6時間培養してからコロニーを回収しプラスミドDNAを抽出した。これらのDNAについて上記と同様のPCRを実施したところ、100プール中1プールで予想される大きさのバンドの増幅が観察された。そこでこのプールのプレートより2枚のレプリカフィルターを作製した(PALL社製 BIODYNETMA TRANSFER MEMBRANEを使用)。フィルターの変性は10%SDS10分間、0.5N NaOH/1.5M NaCl 10分間、0.5M Tris−HCl(pH8,0)/1.5M NaCl 10分間行ない、30分間風乾後80℃の真空オーブン中で1時間ベーキングした。ベーキングしたフィルターは6×SSC (20XSSCは11中に175.3gNaCl、88.2gを含みpH7.0の溶液)/1%SDSで軽く洗浄後、プレハイブリダイゼイションを行なった。反応液の組成は50%ホルムアミド、5×SSC、 5×Denhardt’s solution (50×Denhardt’s solutionは500ml中に5g Ficoll、5gpolyvinylpyrrolidone、5g bovine serum albuminfraction Vを含む溶液)、1%SDS、20μg/mlサケ精子DNAを含むもので、30mlの溶液中で42℃30分間振盪しながら保温した。プレハイブリダイゼイションを行なった後、同組成のハイブリダイゼイション溶液30mlと交換後、[α−32P]dCTP(アマシャム社製)で放射標識したプローブ(プラスミドpEF18S−HL34のEcoRI/BamHI断片:配列番号4の5’末端から458塩基目までを精製し、ランダムプライマー法で標識したもの;Anal. Biochem.、132、6−13、1983に記載の方法を利用したアマシャム社製キットMegaprime DNA labelling systemを使用)を加え、42℃で20時間振盪しながら保温した。フィルターは2×SSC/0.1%SDS溶液中で42℃30分間洗浄後、さらに0.2×SSC/0.1%SDS溶液中で42℃30分間洗浄した。フィルターを増強スクリーン及びX−OMATTMAR5フィルム(イーストマンコダック社製)により−70℃16時間オートラジオグラフィーを行なった。その結果、陽性と考えられるシグナルが1個観察された。そこで、もとのプレートよりシグナル周辺のコロニーをかきとり、10cmのLBプレートにまきなおした。得られたコロニー50個を培養しDNAを調製後プライマーhTPO−I及びhTPO−KUを用いてPCRを実施した(条件等は上記と同一)。その結果、1クローンのみ予想通りのバンドが増幅された。このクローンをpHTF1と命名した。
<実施例22>
ヒトTPOcDNAクローンpHTF1のシークエンス
プラスミドDNAの精製は本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、ColdSpring Harbor Laboratory Press(1989)に記載されているようにして実施した。クローンpHTF1を50μg/ml(7)Ampicillinを含む50mlのLB培地で一夜培養した後、遠心分離により得た菌体を4mlのTEG−lysozyme溶液に懸濁し、8mlの0.2NNaOH/1%SDS溶液を加えてよく懸濁する。さらに3M potassium/5M acetate溶液を6ml加えてよく懸濁した後遠心し、上清を得る。上清はフェノールークロロホルム(1:1)処理後、等量のイソプロパノールを加えて遠心し、ペレットを得た。ペレットはTE溶液に溶解後、RNAse処理、フェノールークロロホルム(1:1)処理を施し、エタノール沈殿を行なう。ペレットを再度TE溶液に溶解し、NaCl、ポリエチレングリコール3000をそれぞれ0.63M、7.5%になるように加えて遠心する。最後に、ペレットはTE溶液に溶解後エタノール沈殿を行なう。これにより約300μgのプラスミドDNApHTF1を得た。
精製したプラスミドDNAについてTaq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ΛDNAシークエンサーによりシークエンスし、全長の塩基配列を決定した。塩基配列およびそれから演鐸されるアミノ酸配列を配列表(配列番号7)に示した。塩基配列決定に必要なプライマーは配列番号6の配列をもとに合成したプライマー並びに、それらのプライマーによるシークエンス反応で解析された内部配列をもとに設計した合成プライマーを使用した。
その結果、得られたクローンpHTF1は1721塩基対のcDNA断片からなり、実施例2で分析されたアミノ酸配列AP8(配列番号7:アミノ酸番号1〜12)及びTP2/TP3(配列番号7:アミノ酸番号157〜162)と相同性の高い配列が確認された。このDNA断片は、101塩基目までの5’ノンコーディング領域に続く、102〜104塩基目にコードされるメチオニンに始まり1158〜1160塩基目にコードされるグリシンまで続く353個のアミノ酸からなるオープンリーディングフレームをコードしていると考えられ、それに続く停止コドン(TAA)以降の3’ ノンコーディング領域を531塩基と30個のポリA尾部配列を持っていた。このオープンリーディングフレームにコードされると考えられるタンパク質のアミノ酸配列は配列番号6に記載の、ヒトTPOの予想されるアミノ酸配列と完全に一致した。塩基配列は配列番号6の配列より5’側で77塩基分、3’側のポリA尾部配列直前までの領域で347塩基分長いcDNAをコードしていた。また塩基配列は、配列番号6と3箇所で異なっていた。異なる塩基配列は配列番号7のA(84塩基目)が配列番号6ではC、A(740塩基目)がT、G(1198塩基目)がAであった。2番目の塩基(740塩基目)のみ、タンパク質のコーディング領域内の変異であったが、スレオニンの3番目のコドンであり、アミノ酸の変換は起こさなかった。この塩基配列の置換が何に起因するのかはこの時点では明らかでなかったが、得られたクローンpHTF1の解析より、ヒトTPOタンパク質は21残基のシグナル配列を含む353個のアミノ酸からなることが確認できた。シグナル配列を除いたタンパク質の推定分子量は35466であった。
大腸菌DH5に担持されたベクターpHTF1は1994年3月24日付けで通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−4617として寄託した。これはまた、1995年3月22日付で中華民国 食品工業発展研究所(FIRDI)に受託番号940085として寄託した。
<実施例23>
ヒトTPOcDNAクローンpHTF1のCOS1細胞での発現〜活性確認
得られたクローンpHTF1のCOS1細胞へのトランスフェクションは、実施例11に従って行なった。すなわちプラスミドDNA10μgを使用しクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法を用いたトランスフェクションを行ない、3日後に培養上清を回収した。
得られた培養上清をIMDM培養液に対して透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で評価した。その結果、pHTF1を発現させたCOS1細胞培養上清では用量依存的にTPO活性が認められたが、cDNAインサートを含まない発現プラスミドをトランスフェクションしたCOS1培養上清では活性が認められなかった(図10a)。類似の結果は、M−07eアッセイ系においても得られ、pHTF1を発現させたCOS1細胞培養上清中に有意なM−07e細胞増殖促進活性を認めた(図10b)。
これらの結果から、pHTF1に含まれるcDNAはTPO活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であることが明確になった。
<実施例24>
ヒトTPO染色体DNAのクローニング
ヒトTPOcDNAをプローブとしてヒトTPO染色体DNAのクローニングを行なった。クローニングに使用したゲノミックライブラリーは東北大学 遺伝子実験施設山本徳男教授よりいただいた(Sakaiら、J.Biol.Chem.、269、2173−2182、1994に記載のライブラリーで、ヒト染色体DNAを制限酵素Sau3AIによって部分分解したものをStatagene社製ファージベクターLambda EMBL3のBamHI部位につないで構築したライブラリー)。このライブラリーよりヒトTPOcDNAをプローブとしてスクリーニングを実施したが、用いた手法はすべて本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、Cold Spring Harbo Laboratory Press(1989)]に記載されているようにして実施した。大腸菌LE392を宿主菌として、15cmのNZYMプレート(1l中に10g NZamine、 5g NaCl、5g bacto yeast e xtract、 2g MgCl4 7H2O、15% agarを含むpH7.0のもの)1枚あたり3万個となるようにファージをまき、18枚のプレートを作製した。それぞれのプレートより各2枚のレプリカフィルターを作製した(PALL社製 BIODYNETM A TRANSFERMEMBRANEを使用)。フィルターの変性は0.5N NaOH/1.5M NaCl10分間、0.5MTris−HCl(pH8.0)/1.5M NaCl 10分間行ない、30分間風乾し80℃の真空オーブン中で1.5時間ベーキングした。プレハイブリダイゼイションは50%ホルムアミド、5×SSC、 5×Denhardt’s solution、1%SDS、20μg/mlサケ精子DNAを含む500mlの溶液中で42℃1時間行なった。プローブはヒトTPOcDNA断片(配列番号7の塩基配列番号178−1025)をPCRで増幅後精製したものをRandom Primer DNA labelling kit (宝酒造社製;Anal.Biochem.、132、6−13、1983に記載のランダムプライマー法を利用したDNA標識キット)を用いて32P標識したものを用いた。PCRに使用したプライマーの配列は以下の通り。
hTPO−I:5’−TTGTGACCTCCGAGTCCTCAG−3’ (配列番号7の178−198)
hTPO−N:5’−AGGGAAGAGCGTATACTGTCC−3’ (配列番号7の1005−1025に対応するアンチセンス)
ハイブリダイゼイションはプレハイブリダイゼイションと同じ組成の溶液を500ml使用し、放射標識したプローブを加え42℃で20時間行なった。フィルターは2×SSC/0.1%SDS溶液中室温で5分間づつ3回洗浄後、0.1×SSC/0.1%SDS溶液中で68℃1時間の洗浄を行なったのち、増強スクリーン及びX−OMATTM AR5フィルム(イーストマンコダック社製)により−70℃16時間オートラジオグラフィーを行なった。その結果、13個の陽性シグナルが得られた。もとのプレートより13個の陽性シグナル周辺のプラークを拾い上げ、15cmのNZYMプレート1枚あたり1000プラークとなるようにまき直した。それぞれのプレートから各2枚のレプリカフィルターを作製し、上記と同じ条件でハイブリダイゼイションを実施した。その結果、13組全てのフィルターで陽性シグナルが検出された。各プートより1個づつプラークを単離し、Molecular Cloningに記載のPlate Lysate法でファージDNAを調製した。13クローンのファージDNAについてcDNAのコーディング領域を含んでいるかどうかをPCRによってチェックした。チェックに使用したプライマーの配列は以下の通り。
hTPO−L:5’−GGCCAGCCAGACACCCCGGCC−3’ (配列番号6の1−21)
hTPO−F:5’−ATGGGAGTCACGAAGCAGTTT−3’ (配列番号6の127−147に対応するアンチセンス)
hTPO−P:5’−TGCGTTTCCTGATGCTTGTAG−3’ (配列番号6の503−523)
hTPO−V:5’−AACCTTACCCTTCCTGAGACA−3’ (配列番号6の1070−1090に対応するアンチセンス)
これらのプライマーの組み合わせにてPCRを実施したところ、13クローンのうち5クローンはcDNAから予測されるアミノ酸のコーディング領域を全て含んでいると考えられた。これら5クローンに含まれる染色体DNAの長さは約20kbpとそろっており、予備的に検討した制限酵素解析でもほぼ同一のパターンを示した。そこでこれらのクローンのうち1個(クローンλHGT1)を選択し、Southern blot解析を行なった。すなわち、クローンλHGT1のDNA各1μgを制限酵素EcoRIまたはHindIIIで完全に消化し、0.8%アガロースゲルで泳動後、PALL社製 BIODYNETM A TRANSFER MEMBRANEに転写した。フィルターは30分間風乾後80℃の真空オーブン中で2時間ベーキングした。プレハイブリダイゼイションは50%ホノレムアミド、5×SSC、 5×Denhardt’ s solution、1%SDS、20μg/mlサケ精子DNAを含む50mlの溶液中で42℃1時間行なった。プローブはヒトTPOcDNA断片(配列番号7の塩基配列番号178−1025)をPCRで増幅後精製したものをRandomPrimer DNA labelling kit (宝酒造社製)を使用して32P標識したものを用いた。ハイブリダイゼイションはプレハイブリダイゼイションと同じ組成の溶液を50ml使用し、放射標識したプローブを加え42℃で20時間行なった。フィルターは2×SSC/0.1%SDS溶液中室温で5分間づつ3回洗浄後、0.1×SSC/0.1%SDS溶液中で68℃1時間の洗浄を行なったのち、増強スクリーン及びX−OMATTMAR5フィルム(イーストマンコダック社製)により−70℃16時間オートラジオグラフィーを行なった。その結果、制限酵素HindIIIで消化した場合に約10kbpの単一のバンドが観察された。そこで、クローンλHGTIのDNA10μgを制限酵素HindIIIで消化後0.8%アガロースゲルで泳動し、10kbpのバンドを切り出して、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製し、同様にHindIIIで消化したクローニングベクタ−pUC13(Pharmacia社製)にサブクローニングした(宿主菌は東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli DH5を使用した)。
得られたクローンのうち、10kbpのHindIII断片を含むクローンを選択しpHGT1と命名した。
ファージクローンλHGT1のおおまかな制限酵素地図を図11に示す。
<実施例25>
ヒトTPO染色体クローンpHGT1のシークエンス
pHGT1クローンを培養しプラスミドDNAの精製を行なった。方法は本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載されているようにして実施した。クローンpHGT1を50μg/mlのAmpicillinを含む50mlのLB培地で一夜培養した後、遠心分離により得た菌体を4mlのTEG−lysozyme溶液に懸濁し、8mlの0.2N NaOH/1%SDS溶液を加えてよく懸濁する。さらに3M potassium/5M acetate溶液を6ml加えてよく懸濁した後遠心し、上清を得る。上清はフェノールークロロホルム(1:1)処理後、等量のイソプロパノールを加えて遠心し、ペレットを得た。ペレットはTE溶液に溶解後、RNase処理、フェノールークロロホルム(1:1)処理を施し、エタノール沈殿を行なう。ペレットを再度TE溶液に溶解し、NaCl、ポリエチレングリコール3000をそれぞれ0.63M、7.5%になるように加えて遠心する。最後に、ペレットはTE溶液に溶解後エタノール沈殿を行なう。これにより約300μgのプラスミドDNApHGT1を得た。
精製したプラスミドDNAについてTaq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーによりシークエンスし、cDNAの塩基配列から予想される、タンパク質コーディング領域周辺の塩基配列を決定した。塩基配列およびそれから演鐸されるアミノ酸配列を配列表(配列番号8)に示した。
塩基配列決定に必要なプライマーは実施例22で使用した、cDNAの塩基配列解析に用いたもの並びに、それらのプライマーによるシークエンス反応で解析された内部配列をもとに設計した合成プライマーを使用した。
その結果、プラスミドクローンpHGT1が担持する染色体DNAは、配列番号6で予想されたアミノ酸のコーディング領域を全て含みその領域に関しては、塩基配列は完全に一致していた。また、アミノ酸をコードするエクソンに相当する領域は4つのイントロンによって分断されており、イントロンの長さは5’側から順に231bp、 286bp、1932bp、236bpであった。配列番号7に記載のcDNA塩基配列とは3箇所で異なっていた。異なる塩基配列は実施例22で記載した箇所(配列番号6と7の相違点)と同一であり、配列番号7のA(84塩基目)がC、A(740塩基目)がT、G(1198塩基目)がAであった。すなわち、実施例21で取得したヒトTPOcDNAクローンpHTF1の塩基配列は、ヒト染色体の塩基配列と3箇所で異なることが明かとなった。そこで、この塩基配列の変異が本来の配列を反映するものであるか解析するために、スクリーニングで最終的に選択された5個の染色体DNAクローンのうち、塩基配列を決定していない残りの4クローンについて、配列の決定を行なった。配列の解析はMolecular Cloningに記載のPlate Lysate法で調製したファージDNAを使用した直接塩基配列決定法で行なった。反応には上記3箇所の塩基配列変異点を解析できる位置の実施例22で合成したシークエンスプライマー並びに、Taq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーによりシークエンスした。その結果、4個全てのクローンで配列番号7の84塩基目がC、740塩基目がTであり、配列番号7のcDNAとは異なり、配列番号6のものと一致した。1198塩基目についてはGのクローンが2個、Aのクローンが2個であった。すなわち、染色体DNA本来の塩基配列が2種類あることが明かとなった。この配列の違いが相同染色体に由来するものか、複数存在する遺伝子に由来するものかは、現時点では不明である。また、購入したClontech社製ポリ (A)+RNAがCaucasian由来であるのに対し、染色体DNAの由来が日本人であることから、塩基配列の変異は人種の違いに起因する可能性も示唆される。
大腸菌DH5に担持されたベクターpHGT1は1994年3月24日付けで通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−4616として寄託した。これはまた、1995年3月22日付で中華民国 食品工業発展研究所(FIRDI)に受託番号940084として寄託した。
<実施例26>
ヒトTPO染色体DNAのCOS1細胞での発現と活性確認
サブクローニングして得られたプラスミドクローンpHGT1には、インサート部分に3箇所、ベクター内に1箇所、合計4箇所のEcoRI認識配列が存在するが、インサート内の一番5’側のEcoRI認識配列とベクター内のEcoRI認識配列にはさまれる約4.3kbpのDNA断片に、ヒトTPOタンパク質のコーディング領域が全て含まれることが、塩基配列の解析から明らかになった。そこで、この断片をEcoRI処理した発現ベクターpEF18Sにつなぎ、4個のヒトTPO発現プラスミドpEFHGTE#1−4を得た(前述の図11)。これらのプラスミドDNAを調製し発現実験を行なった。プラスミドDNAの精製は本質的にMolecular Cloning [Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)]に記載されているようにして実施し、約250μgのプラスミドDNAを得た。
得られたクローンpEFHGTE#1−4のCOS1細胞へのトランスフェクションは、実施例11に従って行なった。すなわちプラスミドDNA10μgを使用しクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法を用いたトランスフェクションを行ない、3日後に培養上清を回収した。
得られた培養上清をIMDM培養液に対して透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で評価した。その結果、pEFHGTEを発現させたCOS1細胞培養上清中に用量依存的にTPO活性が認められ、一方、DNAインサートを含まない発現プラスミドをトランスフェクションしたCOS1細胞培養上清では活性が認められなかった。クローン#1〜4のいずれでもほぼ同様の結果が得られたが、代表例としてpEFHGTE#1における結果を図12aに示した。また、M−07eアッセイ系においても、pEFHGTEを発現させたCOS1細胞培養上清にて用量依存的に有意なM−07e細胞増殖促進活性が認められた。代表例として、pEFHGTE#1における結果を図12bに示した。
これらの結果より、得られたクローンpEFHGTEが担持するDNAはヒトTPOの機能的染色体DNAであることが、明らかとなった。
<実施例27>
ヒトTPO欠失誘導体の作製とCOS1細胞での発現〜活性確認
実施例18の結果より、ヒトTPOは完全長でなくても活性を発現しうることが明かとなったが、その活性発現に必要な領域を解析する目的で、欠失誘導体の作製並びに発現を行なった。実施例18で得たプラスミドクローンpHT1−231をもとにC末端側から順次20個のアミノ酸を欠失させた発現プラスミド並びにTP2/3の直後(163番目)までのアミノ酸を含む発現プラスミドを作製した。作製にはPCRを利用した。PCR用に作製したプライマーの配列は以下の通り。
hTPO−5:5’−TTTGAATTCGGCCAGCCAGACACCCCGGCC−3’
(配列番号4の1−21にEcoRI配列を付加したもの;表9に記載のものと同一)
hTPO−S:5’−TTTGCGGCCGCTCATTAGCTGGGGACAGCTGTGGTGGGT−3’(配列番号4の555−576のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加;アミノ酸1−163をコードする欠失誘導体作製用)
hTPO−4:5’ −TTTGCGGCCGCTCATTACAGTGTGAGGACTAGAGAGGTTCTG−3’ (配列番号4の576−600のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加;アミノ酸1−171をコードする欠失誘導体作製用)
hTPO−30:5’ −TTTGCGGCCGCTCATTATCTGGCTGAGGCAGTGAAGTTTGTC−3’ (配列番号4の636−660のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加;アミノ酸1−191をコードする欠失誘導体作製用)
hTPO−2:5’−TTTGCGGCCGCTCATTACAGACCAGGAATCTTGGCTCTGAAT−3’ (配列番号4の696−720のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加;アミノ酸1−211をコードする欠失誘導体作製用)
実施例18で得たクローンpHT1−231のプラスミドDNA1μgを鋳型として使用し、合成したプライマー(hTPO−5を5’側として使用、hTPO−2、−3、−4、−Sを3’側として使用)をそれぞれ10μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTMPCR Reagent Kit withAmpliTaqTM DNA Polymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTMPCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR(95℃で1分間の変性条件、66℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で20回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。それぞれのPCRで得られたバンドを制限酵素EcoRI及びNotIで消化後、1%アガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、それぞれのPCR反応の予想される大きさの主要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製し、同様に制限酵素処理した発現ベクターpEF18Sにサブクローニングした(宿主菌としては東洋紡績社製コンピテント・ハイ E.coli DH5を使用)。得られた形質転換体のうち、それぞれ予想される長さのインサートを含むクローンをそれぞれ4個ないし5個づつ選択し、プラスミドDNAを調製した。方法は本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、Cold Spring Harbor LaboratoryPress(1989月に記載されているようにして実施した。一連の操作によってアミノ酸1−163をコードする欠失誘導体(pHT1−163#1−5)、アミノ酸1−171をコードする欠失誘導体(pHT1−171#1−4)、アミノ酸1−191をコードする欠失誘導体(pHT1−191#1−4)、アミノ酸1−211をコードする欠失誘導体(pHT1−211#1−4)のプラスミドDNAを得た。
精製したプラスミドDNAについてはTaq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーによりシークエンスし、全長にわたり塩基配列の置換がなく、予想通りのTPOcDNΛ配列を持つことを確認した。
得られたそれぞれのクローンのCOS1細胞へのトランスフェクションは、実施例11に従って行なった。すなわちプラスミドDNA各10μgを使用しクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法を用いたトランスフェクションを行ない、3日後に培養上清を回収した。培養上清をIMDM培養液に対して透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で評価した。その結果、pHT1−211、pHT1−191、pHT1−171、およびpHT1−163を発現させたいずれのCOS1細胞培養上清でも用量依存的にTPO活性を認めた。代表例としてpHT1−211#1、pHT1−191#1、およびpHT1−171#2における結果を図13aに、pHT1−163#2における結果を図13bに示した。類似の結果は、M−07eアッセイ系においても得られ、pHT1−211、pHT1−191、pHT1−171、およびpHT1−163を発現させたいずれのCOS1細胞培養上清でも用量依存的に有意なM−07e細胞増殖促進活性を認めた。代表例として、pHT1−211#1、pHT1−191#1、pHT1−171#2、およびpHT1−163#2における結果を図14に示した。
これらの結果より、ヒトTPOタンパク質を構成するアミノ酸353個(21個のシグナル配列を含む)のうち、164位のアルギニン以降のアミノ酸を欠失させても、in vitroにおける活性が保持されることが明らかとなり、164位のアルギニンより前に、TPO活性発現のために必須な領域が含まれていることが示唆された。
<実施例28>
ヒトTPO C末側欠失体の作製とCOS1細胞での発現〜活性確認
ヒトTPO蛋白質の活性発現に必須な領域の解析を行なう目的で、実施例27で得られた欠失体よりもさらにC末側アミノ酸を欠失させた誘導体を作製しTPO活性を発現しうるかどうか検討した。実施例16で得たプラスミドクローンpEF18S−HL34をもとに、163番目のセリンを基準にC末端側から順次ァミノ酸を欠失させた発現プラスミドを構築した。構築にはPCRを利用した。PCR用に作製したプライマーの配列は、次の通りである。
hTPO−5:5’−TTTGAATTCGGCCAGCCAGACACCCCGGCC−3’
(配列番号4の1−21にEcoRI配列を付加したもの;表9に記載のものと同一)
hTPO−150:5’−TTTGCGGCCGCTCATTAGAGGGTGGACCCTCCTACAAGCAT−3’
(配列番号4の514−537のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加:アミノ酸1−150をコードする欠失体作製用)
hTPO−151:5’−TTTGCGGCCGCTCATTAGCAGAGGGTGGACCCTCCTACAA−3’
(配列番号4の518−540のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加;アミノ酸1−151をコードする欠失体作製用)
hTPO−153:5’−TTTGCGGCCGCTCATTACCTGACGCAGAGGGTGGACCC−3’
(配列番号4の526−546のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加;アミノ酸1−153をコードする欠失体作製用)
hTPO−154:5’−TTTGCGGCCGCTCATTACCGCCTGACGCAGAGGGTGGA−3’
(配列番号4の529−549のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加;アミノ酸1−154をコードする欠失体作製用)
hTPO−155:5’−TTTGCGGCCGCTCATTAGGCCCGCCTGACGCAGAGGGT−3’
(配列番号4の532−552のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加:アミノ酸1−155をコードする欠失体作製用)
hTPO−156:5’−TTTGCGGCCGCTCATTATGGGGCCCGCCTGACGCAGAG−3’
(配列番号4の535−555のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加:アミノ酸1−156をコードする欠失体作製用)
hTPO−157:5’−TTTGCGGCCGCTCATTAGGGTGGGGCCCGCCTGACGCA−3’
(配列番号4の538−558のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加;アミノ酸1−157をコードする欠失体作製用)。
実施例16で得たクローンpEF18S−HL34のプラスミドDNA1μgを鋳型として使用し、合成したプライマー(hTPO−5を5’側として使用、hTPO−150、−151、−153、−154、−155、−156、−157を3’側として使用)をそれぞれ10μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTMDNA Polymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTMPCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で1分間の変性条件、66℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で20回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。それぞれのPCRで得られたバンドを制限酵素EcoRI及びNotIで消化後、1%アガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、それぞれのPCR反応の予想される大きさの主要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製し、同様に制限酵素処理した発現ベクターpEF18Sにサブクローニングした(宿主菌としては東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli DH5を使用)。得られた形質転換体のうち、それぞれ予想される長さのインサートを含むクローンをそれぞれ3個ないし5個づつ選択し、プラスミドDNAを調製した。方法は本質的にMolecularCloning[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載されているようにして実施した。一連の操作によって配列番号4において、アミノ酸番号1−150をコードする欠失体(pHT1−150#21、22、25)、アミノ酸番号1−151をコードする欠失体(pHT1−151#16、17、18)、アミノ酸番号1−153をコードする欠失体(pHT1−153#1−5)、アミノ酸番号1−154をコードする欠失体(pHT1−154#1−5)、アミノ酸番号1−155をコードする欠失体(pHT1−155#1−5)、アミノ酸番号1−156をコードする欠失体(pHT1−156#1−5)、アミノ酸番号1−157をコードする欠失体(pHT1−157#1−5)のプラスミドDNAを得た。
精製したプラスミドDNA pHT1−150#21、22、25並びにpHT1−151#16、17、18についてはTaq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーによりシークエンスし、全長にわたり塩基配列の置換がなく、予想通りのTP0cDNA配列を持つことを確認した。
得られたそれぞれのクローンのCOS1細胞へのトランスフェクションは、実施例11に従って行なった。すなわちプラスミドDNA各10μgを使用しクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法を用いたトランスフェクションを行ない、3日後に培養上清を回収した。培養上清をIMDM培養液に対して十分に透析後、M−07eアッセイ系で評価した。その結果、151位のアミノ酸であるシステインを含む、それぞれアミノ酸1−151位、1−153位、1−154位、1−155位、1−156位、1−157位からなるC末側欠失誘導体をコードするクローンをトランスフェクションしたCOS1細胞培養上清中には用量依存的にTPO活性が検出された。しかしながら、151個目のシステインまでを欠失させたアミノ酸1−150位のC末側欠失誘導体をコードするクローンをトランスフェクションしたCOS1細胞培養上清中にはTPO活性が検出されなかった。
<実施例29>
ヒトTPO N末側欠失体の作製とCOS1細胞での発現〜活性確認
ヒトTPO蛋白質の活性発現に必須な領域の解析を行なう目的で、実施例28で得られた欠失体をもとに、N末側アミノ酸を欠失させた誘導体を作製しTPO活性を発現しうるかどうか検討した。実施例18で得たプラスミドクローンpEF18S−HL34並びに、実施例27で得たプラスミドクローンpHT1−163をもとに、シグナル配列に続くN末端側アミノ酸を欠失させた発現プラスミドを構築した。構築にはPCRを利用した。PCR用に作製したプライマーの配列は、次の通りである。
hTPO−5:5’−TTTGAATTCGGCCAGCCAGACACCCCGGCC−3’
(配列番号4の1−21にEcoRI配列を付加したもの;表9に記載のものと同一)
hTPO3:5’−TTTGCGGCCGCTCATTATTCGTGTATCCTGTTCAGGTATCC−3’
(配列番号4の757−780のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加;アミノ酸1−231をコードする欠失体作製用に合成したものと同一)
hTPO−S:5’−TTTGCGGCCGCTCATTAGCTGGGGACAGCTGTGGTGGGT−3’
(配列番号4の555−576のアンチセンス;2個の終止コドンTAATGA及びNotI配列を付加;アミノ酸1−163をコードする欠失体作製用)
hTPO−13:5’−AGTAAACTGCTTCGTGACTCCCATGTCCTTCACAGCAGACTGAGCCAGTG−3’
(配列番号4の124−173;アミノ酸番号1−12を欠失する誘導体作製用)
hTPO−13R:5’−CATGGGAGTCACGAAGCAGTTTACTGGACAGCGTTAGCCTTGCAGTTAG−3’
(配列番号4の64−87並びに124−148のアンチセンス;アミノ酸番号1−12を欠失する誘導体作製用)
hTPO−7:5’−TGTGACCTCCGAGTCCTCAGTAAACTGCTTCGTGACTCCCATGTCCTTC−3’
(配列番号4の106−154;アミノ酸番号1−6を欠失する誘導体作製用)hTPO−7R:5’−TTTACTGAGGACTCGGAGGTCACAGGACAGCGTTAGCCTTGCAGTTAG−3’
(配列番号4の64−87並びに106−129のアンチセンス:アミノ酸番号1−6を失する誘導体作製用)
hTPO−8:5’−GACCTCCGAGTCCTCAGTAAACTGCTTCGTGACTCCCATGTCCTTCACA−3’
(配列番号4の109−157;アミノ酸番号1−7を欠失する誘導体作製用)hTPO−8R:5’−CAGTTTACTGAGGACTCGGAGGTCGGACAGCGTTAGCCTTGCAGTTAG−3’
(配列番号4の64−87並びに109−132のアンチセンス:アミノ酸番号1−7を欠失する誘導体作製用)。
(1)アミノ酸番号1−12を欠失する誘導体(pHT13−231)作製
実施例18で得たクローンpEF18S−HL34のプラスミドDNA1.4μgを鋳型として使用し、合成したプライマー(hTPO−13及びhTPO3を組で使用:hTPO−5並びにhTPO−13Rを組で使用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTMDNAPolymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で5分間変性後、95℃で1分間の変性条件、65℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。それぞれのPCR産物を1.2%アガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、各々予想される大きさの主要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製し、15μlのTEバッファーに溶解した。この溶液各1μlを鋳型として用い2回目のPCRを実施した。
合成したプライマー(hTPO−5並びにhTPO3を使用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTMDNAPolymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTMPCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で5分間変性後、95℃で1分間の変性条件、60℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。PCR産物を1.2%アガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、予想される大きさの主要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製し、15μlのTEバッファーに溶解した。制限酵素EcoRI並びにNotIで消化後、等量のフェノール/クロロホルムで1回抽出後エタノール沈殿を行なった。遠心で得られた沈殿を15μlのTEバッファーに溶解後、同様に制限酵素処理した発現べクターpEF18Sにサブクローニングした(宿主菌としては東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli DH5を使用)。得られた形質転換体のうち、予想される長さのインサートを含むクローンを45個選択し、プラスミドDNAを調製した。方法は本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載されているようにして実施した。配列番号4において、アミノ酸番号1−231をコードする蛋白質のうち1−12を欠失する欠失誘導体(pHT13−231)のプラスミドDNAを得た。これらについてhTPO−5並びにhTPO3のプライマーを用いたPCRを行ない、45クローンのうち8クローンで予想される大きさ程度のインサートが確認された。それらのうち3クローンついてはTaq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーによりシークエンスし、1クローンで、予想通りの欠失が起こっており、またその他の部分も含めて全長にわたり塩基配列の置換等がなく、設計通りのTP0cDNA配列を持っクローンpHT13−231#3が得られた。
(2)アミノ酸番号1−6を欠失する誘導体(pHT7−163)の作製
上記(1)の欠失誘導体作製においては、TPO蛋白質のC末端を231番目のアミノ酸として設計したが、C末端側はさらに欠失させてもTPO活性を発現しうることが確認されたため、今回の欠失体作製にあたってはC末端を163番目のアミノ酸までとして設計した。下記(3)においても同様に163番目のアミノ酸をC末端として設計した。実施例27で得たクローンpHT1−163のプラスミドDNAI.4μgを鋳型として使用し、合成したプライマー(hTPO−7及びhTPO−Sを組で使用:hTPO−5並びにhTPO−7Rを組で使用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM PCRReagent Kitwit hAmpliTaqTM DNA Polymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTMPCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で5分間変性後、95℃で1分間の変性条件、65℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。それぞれのPCR産物を1.2%アガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、各々予想される大きさの主要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製し、15μlのTEバッファーに溶解した。この溶液各1μlを鋳型として用い2回目のPCRを実施した。
合成したプライマー(hTPO−5並びにhTPO−Sを使用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTMDNA Polymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で5分間変性後、95℃で1分間の変性条件、60℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。PCR産物を1.2%アガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、予想される大きさの主要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製し、15μlのTEバッファーに溶解した。制限酵素EcoRI並びにNotIで消化後、等量のフェノール/クロロホルムで1回抽出後エタノール沈殿を行なった。遠心で得られた沈殿を15μlのTEバッファーに溶解後、同様に制限酵素処理した発現ベクターpEF18Sにサブクローニングした(宿主菌としては東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli DH5を使用)。得られた形質転換体のうち、予想される長さのインサートを含むクローンを30個選択し、プラスミドDNAを調製した。方法は本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載されているようにして実施した。配列番号4において、アミノ酸番号1−163をコードする蛋白質のうち1−6を欠失する欠失誘導体(pHT7−163)のプラスミドDNAを得た。これらのクローンにつてはhTPO−5並びにhTPO−Sをプライマーとして用いたPCRを実施し、全てのクローンで予想される大きさ程度のインサートを含むことが確認された。これらのクローンより3個を選択し、Taq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーによりシークエンスし、2クローンで、予想通りの欠失が起こっており、またその他の部分も含めて全長にわたり塩基配列の置換等がなく、設計通りのTPOcDNA配列を持つ2個のクローンpHT7−163#4、#29が得られた。
(3)アミノ酸番号1−7を欠失する誘導体(pHT8−163)作製
アミノ酸番号1−7を欠失する誘導体(pHT8−163)の作製方法は上記、アミノ酸番号1−6を欠失する誘導体(pHT7−163)の作製と本質的には同様の方法で行なった。実施例27で得たクローンpHT1−163のプラスミドDNA1.4μgを鋳型として使用し、合成したプライマー(hTPO−8及びhTPO−Sを組で使用:hTPO−5並びにhTPO−8Rを組で使用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Reagent Kit withAmpliTaqTMDNA Polymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR System9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で5分間変性後、95℃で1分間の変性条件、65℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。それぞれのPCR産物を1.2%アガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、各々予想される大きさの主要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製し、15μlのTEバッファーに溶解した。この溶液各1μlを鋳型として用い2回目のPCRを実施した。
合成したプライマー(hTPO−5並びにhTPO−Sを使用)をそれぞれ5μM使ってPCRを実施した。GeneAmpTM PCR Reagent Kit with AmpliTaqTMDNA Polymerase(宝酒造社製)を用いて、GeneAmpTM PCR System 9600(PERKIN−ELMER社製)により100μlの容量でPCR反応(95℃で5分間変性後、95℃で1分間の変性条件、60℃で1分間のアニール条件、72℃で1分間の合成条件で30回の反応を行い、さらに7分間72℃でインキュベート)を行った。PCR産物を1.2%アガロースゲル(FMC BioProducts社製)を用いた電気泳動にかけ、予想される大きさの主要なDNA断片を分離し、プレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)で精製し、15μlのTEバッファーに溶解した。制限酵素EcoRI並びにNotIで消化後、等量のフェノール/クロロホルムで1回抽出後エタノール沈殿を行なった。遠心で得られた沈殿を15μlのTEバッファーに溶解後、同様に制限酵素処理した発現べクターpEF18Sにサブクローニングした(宿主菌としては東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli DH5を使用)。得られた形質転換体のうち、予想される長さのインサートを含むクローンを30個選択し、プラスミドDNAを調製した。方法は本質的にMolecular Cloning[Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載されているようにして実施した。配列番号4において、アミノ酸番号1−163をコードする蛋白質のうち1−7を欠失する欠失誘導体(pHT8−163)のプラスミドDNAを得た。これらのクローンについてはhTPO−5並びにhTPO−Sをプライマーとして用いたPCRを実施し、全てのクローンで予想される大きさ程度のインサートを含むことが確認された。これらのクローンより3個を選択し、Taq Dye DeoxyTMTerminater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーによりシークエンスし、2クローンで、予想通りの欠失が起こって起こっており、またその他の部分も含めて全長にわたり塩基配列の置換等がなく、設計通りのTPOcDNA配列を持つ2個のクローンpHT8−163#33、#48が得られた。
(4)欠失誘導体のCOS1細胞での発現とTPO活性の確認
得られたそれぞれの欠失体クローンのCOS1細胞へのトランスフェクションは、実施例11に従って行なった。すなわちプラスミドDNA各10μgを使用しクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法を用いたトランスフェクションを行ない、3日後に培養上清を回収した。培養上清をIMDM培養液に対して十分に透析後、M−07eアッセイ系で評価した。
その結果、アミノ酸7−163位の欠失誘導体をコードするクローンをトランスフェクションしたCOS1細胞培養上清中に弱いながらも用量依存的にTPO活性を認めた。一方、アミノ酸8−163位、13−231位の欠失誘導体をコードするクローンをトランスフェクションしたCOS1細胞培養上清中にはTPO活性が認められなかった。
<実施例30>
ヒトTPO完全長cDNAプラスミド(pHTP1)の作製
配列番号6のように予想されたヒトTPOcDNAのアミノ酸コーディング領域を全て持つ、動物細胞発現べクターの構築を行なった。
PCRによりヒトTPOcDNAコーディング領域を全てカバーするDNA断片を以下の様に作製した。
用いたプライマーの塩基配列は次の通りである。
hTPO−I:5’−TTGTGACCTCCGAGTCCTCAG−3’
(配列番号6の105〜125)
SA:5’−CAGGTATCCGGGGATTTGGTC−3’
(配列番号6の745〜765に対応するアンチセンス)
hTPO−P:5’−TGCGTTTCCTGATGCTTGTAG−3’
(配列番号6の503〜523)
hTPO−KO:5’−GAGAGAGCGGCCGCTTACCCTTCCTGAGACAGATT−3’
(配列番号6の1066〜1086に対応するアンチセンス配列に制限酵素NotIの認識配列並びにGAGAGA配列を付加したもの)。
実施例16で得られたクローンpEF18S−HL34の300ngを鋳型として1回目のPCRを行なった。プライマ−hTPO−I並びにSA各0.5μMを用い、Vent RTM DNA polymerase(New England BioLabs社製)1ユニットを使用して反応(96℃1分間、62℃1分間、72℃1分間という反応を30サイクル行なった後72℃7分間)を行なった。反応溶液の組成は以下の通り。最終濃度で10mMKCl、10mM(NH4)2SO4、20mM Tris−HCl(pH8.8)、2mM MgSO4、0.1% TritonX−100、200μM dNTP mix。
市販のヒト正常肝臓由来ポリ(A)+RNA(Clontech社製)1μgを70℃で10分間加熱後氷上で急冷し、10mM DTT、500μM dNTPmix、25ng random primer(宝酒造社製)、10ユニットRNase Inhibitor(ベーリンガーマンハイム社製)、200ユニットSuperScriptTMII RNaseH−(LIFE TECHNOLOGIES社製)を加え、37℃で1時間保温しcDNAを合成した。合成したcDNA反応液の20分の1量を鋳型として使用して2回目のPCRを行なった。プライマーhTPO−P並びにhTPO−KO各2.5μM、2.5ユニットのAmpliTaqTM DNA polymerase(宝酒造社製)を用いて反応(95℃1分間、58℃1分間、72℃1分間の反応を30サイクル)を行なった。
2回のPCR溶液を1%アガロースゲル電気泳動にかけ、それぞれ予想された大きさの主要なバンドをプレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)を用いて精製した。それぞれの精製量のうち各20分の1量を鋳型として3回目のPCRを実施した。Vent RTM DNApolymerase(New England BioLabs社製)1ユニットを使用して反応(96℃2分間加熱後、96℃2分間、72℃2分間、という反応を3サイクル行なった後72℃7分間)を行なった。この反応液にそれぞれ1μMとなるようにhTPO−I並びにhTPO−KOを加えた後、96℃2分間の加熱を行ない、そののち96℃1分間、62℃1分間、72℃1分間の反応を25サイクル行なったあと72℃でさらに7分間反応させた。反応液を等量の水飽和フェノールークロロホルムで1回抽出後、さらに等量のクロロホルムで1回抽出したのち、エタノール沈殿(0.3M酢酸ナトリウム、0.5μlベーリンガーマンハイム社製グリコーゲン、2.5倍量エタノール存在下)を行なってDNAを回収した。
回収したDNAを制限酵素BamHI並びにNotIで消化後1%アガロースゲル電気泳動にかけ、予想された大きさの主要なバンドをプレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)を用いて精製したのち、予め同様に制限酵素BamHI並びにNotIで消化したpBluescriptII SK+べクター(Stratagene社)に連結後、コンピテントハイE.coli DH5(東洋紡績社製)を形質転換した。得られたコロニーより4クローンを選びプラスミドDNAを調製した。精製したプラスミドDNAについてはTaq Dye DeoxyTM Terminater Cycle Sequening Kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーによりシークエンスし、BamHIからNotIにかけての領域に塩基配列の置換がなく、予想通りのTPOcDNA配列を持つことが確認できたクローンpBLTPを得た。
pBLTPを制限酵素EcoRI並びにBamHIで消化後1%アガロースゲル電気泳動にかけ、高分子量のバンドをプレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)を用いて精製した。同様にpEF18S−HL34も制限酵素処理し450bpのバンドを精製した。それぞれのDNAをLigationしコンピテントハイE.coli DH5(東洋紡績社製)を形質転換した。得られたコロニーよりプラスミドDNAを調製し、ヒトTPOcDNAのインサートを含むクローンpBLTENを得た。
得られたpBLTENを制限酵素EcoRI並びにNotIで消化後、1%アガロースゲル電気泳動にかけ、約1200bpのバンドをプレップ−A−ジーンDNA精製キット(バイオラッド社製)を用いて精製した後、同様に制限酵素処理した発現ベクタ−pEF18Sに連結しコンピテントハイE.coli DH5(東洋紡績社製)を形質転換した。得られたコロニーよりプラスミドDNAを調製し、ヒトTPOcDNAのコーディング領域を全て含むクローンpHTP1を得た。このクローンのプラスミドDNAを大量に調製し以下の実験に使用した。プラスミドDNAの調製は本質的にMolecular Cloning(Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)に記載されているようにして実施した。
<実施例31>
CHO細胞用組換えベクター、pDEF2O2−hTPO−P1の構築
マウスDHFRミニ遺伝子を含むプラスミドpMG1、1μgを制限酵素EcoRIとBamHIで処理した後、アガロースゲル電気泳動しマウスDHFRミニ遺伝子を含む断片(約2.5kbp)を回収した。回収した断片を50mM Tris−HCl(pH7.5)、7mM MgCl2、1mM mercaptoethnol、0.2mM dNTPからなる反応液25μl中に溶解し、Klenowフラグメント2単位を加え、室温で30分間反応させ、DNAの末端を平滑化した。
次いで、フェノール/クロロホルム処理、エタノール沈殿後、10mM Tri−HCl(pH8.0)、1mM EDTAからなる溶液10μlに溶解した。次に、得られたマウスDHFRミニ遺伝子を含む断片と動物細胞用発現ベクターpEF18Sを制限酵素Smalで処理した後、アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)で脱リン酸化してえられたベクターDNAをT4DNAリガーゼ(宝酒造製)で結合させ、発現ベクターpDEF202を得た。
次に、このベクターpDEF202を制限酵素EcoRIとSpelで処理し、アガロースゲル電気泳動で大きい方のベクターフラグメントを回収したのち、このフラグメントとヒトTPOcDNΛ(P1クローン)を含むプラスミドpHTP1を制限酵素EcoRIとSpelで処理して得られたヒトTPOcDNA(P1クローン)とをT4DNAリガーゼ(宝酒造製)で結合させ、発現ベクターpDEF202−hTPO−P1得た。このプラスミドはSV40の複製開始領域、ヒトエロンゲーションファクタ−1−アルファプロモーター、SV40初期ポリアデニル部位、マウスDHFRミニ遺伝子、pUC18の複製開始領域、β−ラクタマーゼ遺伝子(Ampr)を含み、ヒトエロンゲーションファクタ−1−アルファプロモーター下流にヒトTPOcDNAが接続されている。
<実施例32>
CHO細胞でのヒトTPOの発現
CHO細胞(dhfr−株、UrlaubとChasin;Proc.Natl.Acad.Sci.USA;77巻4216頁、1980)を6cm径のプレート(Falcon社製)中10%牛胎児血清を含むα最小必須培地(α−MEM(−)、チミジン、ヒポキサンチン添加)で培養増殖させ、これをリン酸カルシウム法(CellPhect、ファルマシア社製)によって形質転換した。すなわち、実施例31で調製したpDEF202−hTPO−P1プラスミド10μgにバッファーA:120μlおよびH2O:120μlを加え混合したのち、室温で10分間放置した。つぎに、この溶液にバッファーB:120μlを加え、再度混合したのち、室温で30分間放置した。このDNA溶液をプレートに滴下したのち、CO2インキュベーター中で6時間培養した。プレートから培地を除去し、α−MEM(−)にて2回洗浄後、10%ジメチルスルフォオキシド含有α−MEM(−)を添加し、室温で2分間処理した。次いで、10%透析牛胎児血清含有非選択培地(前出α−MEM(−)、ヒポキサンチン、チミジン添加)を添加して2日間培養したのち、10%透析牛胎児血清含有選択培地(α−MEM(−)、ヒポキサンチン、チミジン無添加)での選択をおこなった。選択は細胞をトリプシン処理した後、6cm径プレート1枚あたりを、10cm径プレート5枚あるいは24ウエルプレート20枚に分割したのち、2日ごとに選択培地にて培地交換を行いながら培養を続行する事により実施した。細胞が増殖してきたプレートあるいはウエルについてはその培養上清中のヒトTPO活性をM−07eアッセイ及びBa/F3アッセイを用いて測定したところ、いずれのアッセイ系においても活性が認められた。培養上清中にヒトTPO活性の認められたものについては新しいプレートあるいはウエルに25nMのメソトレキセートを含む選択培地で1:15に細胞を分割し、培養を続行することによりメソトレキセートに耐性の細胞を増殖させてクローニングを行った。
なお、CHO細胞の形質転換はCHO細胞に対しpHTP1とpMG1を同時形質転換(co−transfection)することによっても行うことができる。
プラスミドpDEF202−hTPO−P1によって形質転換されたCHO細胞株(CHO−DUKXB11)は1995年1月31日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−4988として寄託されている。
これはまた、1995年3月22日付で中華民国 食品工業発展研究所(FIRDI)に受託番号960023として寄託されている。
<実施例33>
X63.6.5.3.細胞用組換えベクター、BMCGSneo−hTPO−P1の構築
動物細胞用発現ベクターBMCGSneo1μgを制限酵素XhoIとNotIで処理した後、アガロースゲル電気ゲル電気泳動し、ベクターDNA部分を回収した。次いで得られたDNA断片とヒトTPOcDNAを含むプラスミドpBLTENを制限酵素XhoIとNotIで処理して得られたヒトTPOcDNA(P1クローン)とをT4DNAリガーゼで結合させ、発現プラスミドBMCGSneo−hTP0−P1を得た。この発現プラスミドはサイトメガロウイルス初期プロモーター、ウサギβグロビン遺伝子由来のイントロンおよびポリアデニル部位ヒトβグロビン遺伝子の一部、ウシパピローマウイルス1遺伝子の69%、チミジンキナーゼプロモーターおよびポリアデニル部位、ホスホトランスフェラーゼI(ネオマイシン耐性遺伝子)、pBR322の複製開始領域およびβ−ラクタマーゼ遺伝子(AmpR)を含みサイトメガロウイルスプロモーター下流にヒトTPOcDNAが接続されている。
<実施例34>
X63.6.5.3.細胞での発現
X63.6.5.3.細胞は10%牛胎児血清を含むDulbecco′s minimalessential (DME)培地中で培養増殖させ、これをエレクトロポレーション法によって形質転換した。
すなわち、実施例33で調製したBMCGSneo−hTP0−P1プラスミド20μgを107個の細胞を含むDME培地750μlに加え、エレクトロポレーション用の4mmギャップのキュベットにセットし、4℃で10分間放置した。このキュベットをエレクトロポレーション装置(BTX600、BTX社製)にセットし、380V)25mF、24オングストロームの条件で遺伝子導入した。遺伝子導入後、キュべットを再び4℃で15分間放置したのち、細胞を10%牛胎児血清を含むDMEで一回洗浄した。次に細胞を50mlの10%牛胎児血清を含むDMEに懸濁し、96ウエルプレート5枚に分割したのち、CO2インキュベーター中で2日間培養した。その後、培養液を1mg/mlのG418(GIBCO社)、10%牛胎児血清を含むDMEに交換し、以後3日ごとに培地交換した。細胞が増殖してきたウエルについてはその培養上清中のヒトTPO活性をCFU−MKアッセイ、M−07eアッセイ及びBa/F3アッセイを用いて測定したところ、いずれのアッセイ系においても活性が認められた。培養上清中にヒトTPO活性の認められたものについては耐性の細胞を増殖させて、2回クローニングを行い、ヒトTPO産生細胞株を樹立した。
<実施例35>
ヒトTPOのCOS1細胞での大量発現
COS1細胞へのトランスフェクションは、実施例11に記載のクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法で実施した。COS1細胞(ATCC CRL1650)をコラーゲンコート処理した175cm2の培養フラスコ中で、10%(v/v)のFCSを含むIMDMを用いて、37℃の5%炭酸ガスインキュベーター内で約100%コンフルエントになるまで培養した。培養フラスコのコラーゲンコート処理は、1mM HClで0.3mg/mlに調製したコラーゲン溶液(イワキ社製Cellmatrix typeI−C)を175cm2の培養フラスコあたり25ml加え、室温で1時間放置後コラーゲン溶液を回収し、20〜50mlのPBSで1回洗浄することで行なった。トランスフェクションは175cm2の培養フラスコ1枚あたり、250μg/mlのDEAE−デキストラン(ファルマシア社)、60μMのクロロキン(シグマ社)、および10%(v/v)のNu−Serum(コラボレイティブ社)を含む20mlのIMDM溶液に500μlのHBSに溶解したプラスミドpHTP1(40μg)を混和し、トランスフェクション直前にIMDMで1回洗浄した上記のCOS1細胞に添加した後、37℃の5%炭酸ガスインキュベーター内で3時間培養した。その後、培養上清を吸引除去しIMDMで1回洗浄した後、50mlの無血清培地を添加し、37℃の5%炭酸ガスインキュベーター内で培養し、5日後に培養上清を回収した。1回の操作には175cm2の培養フラスコ100から260枚を使用し、5〜131の培養上清を回収した。無血清培地の組成は、5μg/ml Insulin(シグマ社製)、5μg/ml Transferrin(シグマ社製)、10μM monoethanolamine(和光純薬)、25nM Sodium selenite(シグマ社製)、200μg/mlのBSA(ニチレイ社製脂肪酸フリー高純度ウシアルブミン)を含むIMDMである。
<実施例36>
COS1細胞で発現したヒト完全長TPO(発現プラスミドpHTP1,P1クローン由来)の精製と活性確認
COS1細胞で発現したヒト完全長TPO(発現プラスミドpHTP1由来)の活性と精製の実施例を以下に述べる。TPOの血小板増加作用を調べるため、部分精製品をまず調製し、かつ高純度のTPO標品を得るための精製を行った。以下の調製過程でのTPO活性測定には、M−07eアッセイ系を主に用いたが、ラットCFU−MKアッセイ系においても同様のTPO活性が示された。またこれらのアッセイに際し、最終濃度0.02〜0.05%のヒト血清アルブミン(HSA)を標品に添加した。
まず、プラスミドpHTP1を大橋、須藤の方法(Hideya Ohashi and Tadashi Sudo,Biosci.Biotech.Biochem.,58(4),758−759,1994)を用いてトランスフェクションしたCOS1細胞を、1000ml当たり0.2gのBSA、5mgの牛インシュリン、5mgのヒトトランスフェリンを含みかつ、0.02mMのモノエタノールアミン、25nMのSodium Seleniteを含む無血清IMDM培養液で5日間、5%炭酸ガス培養器中にて37℃で培養し、約7Lの無血清培養上清を得た。その無血清培養上清に、蛋白質分解酵素阻害剤であるp−APMSF及びPefabloc SC(4−(2−Aminoethyl)−benzenesulfonyl fluoride hydrochloride,Merk社製、カタログ番号24839)を最終濃度約1mM加え、0.22μmの濾過フィルターの濾液をとった。これを限外濾過ユニット(フィルトロン社製・オメガウルトラセット分子量8000カット、またはミリポア社製・PLGCペリコンカセット 分子量10000カット)で約10倍濃縮し、体積723ml(蛋白質濃度3.38mg/ml、総蛋白質量2445mg、相対活性43000、相対活性量105100000)に対し1000ml当り1.6molesのAmmonium Sulfate(合計288g)を加え、最終濃度1.5M Ammonium Sulfateを含む804mlの溶液とした後、1.25M Ammonium Sulfateを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)で予め平衡化してあったMacro−Prep Methyl HICカラム(Bio−Rad社製、カタログ番号156−0080;直径5cm、ベッド高 9cm)に、流速10ml/minで添加した。添加終了後、1.25MAmmonium Sulfateを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)で溶出された素通り画分F1(2384ml,蛋白質濃度0.864mg/ml,総蛋白質量2061mg,相対活性6000)を得た。
次に、溶出液を20mM Na Citrate,pH5.8にかえ、溶出された画分F2(1092ml,蛋白質濃度0.776mg/ml,総蛋白質量847mg,相対活性150000)を集めた。
さらに、Macro−Prep Methyl HICカラム F2(1081ml)を、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.8)で予め平衡化したSP Sepharose Fast Flow(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−0729−01;直径 3cm、ベッド高 10cm)カラムに注入し、流速10ml/minで添加した。添加終了後、さらに110mM NaClを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.6)で溶出されたものをまとめた画分F1(2262ml,蛋白質濃度0.270mg/ml,総蛋白質量610mg,相対活性30000)を得た。次に、溶出液を400mM NaClを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)にかえ、溶出された画分F2(856ml,蛋白質濃度0.189mg/ml,総蛋白質量162mg,相対活性300000)を集めた。次に、溶出液を1000mM NaClを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)にかえ、溶出された画分F3(370ml,蛋白質濃度0.034mg/ml,総蛋白質量12.6mg,相対活性150000)を集めた。
さらに、SP Sepharose Fast Flowカラムにおいて主たるTPO活性画分F2(845ml)に、最終濃度約10%の1−プロパノールを加え、400mMのNaClを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)で予め平衡化したLA−WGAカラム(ホーネン社製、カタログ番号WG−007;直径 2cm、ベッド高 14cm)カラムに注入し、流速3ml/minで添加した。添加終了後、400mMのNaClを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)と1−プロパノールの混液(9:1)で溶出されたものをまとめた画分F1(64.4ml,蛋白質濃度0.0178mg/ml,総蛋白質量1.15mg,相対活性17220)を得た。次に、溶出液を0.4M GlcNac,10%1−プロパノールを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.1)にかえ、溶出された画分F2(45ml,蛋白質濃度0.0104mg/ml,総蛋白質量0.470mg,相対活性675000)を集めた。
そこで、LA−WGAカラムにおいて主たるTPO活性画分F2(340ml)に、最終濃度約0.005%のTFAを加えた後、YMC−Pack CN−AP(YMC社製、カタログ番号AP−513;直径 6mm、ベッド高 250mm)カラムにて展開した。即ち、展開溶媒Aに0.1%TFA、展開溶媒Bに0.05%TFAを含む1−プロパノールを用い、15%Bで平衡化したYMC−Pack CN−APカラムに、流速0.6ml/minで注入した。注入終了後、15%Bから25%Bにプロパノール濃度を上げ、さらに25%Bから50%Bまで65分の直線濃度勾配で展開し、1.5ml(2.5min)ずつポリプロピレン製チューブに集めた。
それぞれ0.5μl(3000分の1フラクション)を取りHSAを加え、限外濾過濃縮し、最終的に0.05%HSAを含む0.25mlのIMDMアッセイ培養液溶液とし、これをアッセイにかけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チューブ番号24〜30(プロパノール濃度で35.0〜42.0%の範囲)に強いTPOの活性(相対活性約630000〜4800000)があったため、TPO活性画分FA(13.5ml)とした。
そこでさらに、YMC−Pack CN−APで得られたFAを、展開溶媒Aに0,1%TFA、展開溶媒Bに0.05%TFAを含む1−プロパノールを用いたCapcell Pak C1 300A (資生堂製、カタログ番号C1TYPE:SG300A;直径 4.6mm、ベッド高 150mmに加え、直径 4.6mm、ベッド高 35mmのプレカラムを接続したもの)カラムにて展開した。即ち、YMC−Pack CN−APで得られたFAの一部(8,9ml)をとり、0.3mlのグリセロールを添加後、遠心エバポレーションで濃縮後、約2.5mlの10%B液を加え、20%Bで平衡化したCapcell Pak C1 300Aカラムに流速0.4ml/minで注入した。注入終了後、20%Bにて5分溶出した後、20%Bから40%Bまで50分の直線濃度勾配で展開し、1ml(2.5min)ずつポリプロピレン製チューブに集めた。
それぞれ1μl(1000分の1フラクション)を取りHSAを加え、限外濾過濃縮し、最終的に0.05%HSAを含む0.25mlのIMDMアッセイ培養液溶液とし、これをアッセイにかけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チューブ番号20〜23(プロパノール濃度で28.5〜32.5%の範囲)に強いTPOの活性(相対活性約3000000〜22500000)を示す高活性標品を得ることができた。
<実施例37>
COS1細胞で発現したヒトTPOの分子量測定
COS1細胞で発現したヒト完全長TPO(発現プラスミドpHTF1、F1クローン由来)の分子量は、糖鎖が付加された結果、ペプチド鎖の大きさから推定しうる分子量よりも大きいことが考えられた。そこでまず、COS1細胞で発現したヒト完全長TPO(発現プラスミドpHTF1、F1クローン由来)を含む培養上清から部分精製TPO画分を以下のように調製した。即ち、展開溶媒A(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA))および展開溶媒B(0.05% TFAを含む1−プロパノール)を用いて、25%Bで予め平衡化したYMC−Pack PROTEIN−RP(YMC社、カタログ番号A−PRRP−33−46−25;直径 0.46cm、ベッド高 15cm)カラムに、培養上清0.3mlを注入し、流速0,4ml/minで5分25%Bを通液した後、50分間の25%Bから50%Bまでの直線濃度勾配にて分画した。TPO活性は34.5%〜43.5%1−プロパノールの範囲に溶出され、これを遠心エバポレーションで乾固し、部分精製標品を得た。
次に、実施例1に述べた非還元下SDS−PAGEのゲルから蛋白質抽出操作後、M−07eアッセイ系にてTPO活性を調べ、あるいは実施例45に述べるウエスターン分析により、還元処理されたDPCIIIマーカーに対する分子量を測定した。この結果、見かけ上の分子量約69000〜94000の広い範囲にTPO活性が存在し、分子量の不均一性を確認できた。さらにこれと同様にして、N−Glycanase(ジェンザイム社製、カタログ番号1472−00)によるN結合型糖鎖切断後のTPOについて、還元処理されたDPCIIIマーカーに対する見かけ上の分子量を調べてみると、36000〜40000となり、ペプチド鎖の大きさから推定しうる分子量約35000よりもなおも大きいことが判明し、O結合型糖鎖をも含むことが強く示唆された。
これらと同様、COS1細胞で発現したヒト完全長TPO(発現プラスミドpHTPI、P1クローン由来)の見かけ上の分子量についても調べたところ、63000〜83000であった。
<実施例38>ヒトTPOの生物学的特性
主に発現プラスミドpHTF1をCOS1細胞へトランスフェクションして得られたTPO活性を含有する培養上清を用いて、ヒトTPOのヒト、およびラット血液系細胞に対する作用を調べた。
ヒト臍帯血から調製したCD34+、DR+細胞画分を用いたコロニーアッセイ系で検定したところ、ヒトTPOにより有意な数の巨核球コロニーが形成された。例えば、発現プラスミドpHT1−231をトランスフェクション、発現させたCOS1細胞培養上清を10%添加した条件下で、6000個のCD34+、DR+細胞から平均11.5個の巨核球コロニーが形成された。ヒト抹消血からFicoll−Paqueを用いた比重遠心法にて得られた白血球画分からプラスティック付着性細胞を除去し、さらにSBA(ダイズアグルチニン)に親和性を有する細胞をAISマイクロセレクターCD34(旭メディカル株)を用いたパニング法にて除去し、最終的にAISマイクロセレクターCD34(旭メディカル株)を用いたパニング法にてCD34+細胞画分を得た。この細胞画分にヒトTPO(発現プラスミドpHTF1をトランスフェクション、発現させたCOS1細胞培養上清)を添加し、10日間液体培養したところ、サイズの大きいGpIIb/III a+細胞の選択的増殖が認められ、さらにこのGpIIb/III a+細胞では核の倍数性(ploidy)が増加していた。このことから、ヒトTPOがヒト巨核球系前駆細胞に特異的に作用し、その増殖・分化を促進することが強く示唆された。
ラット骨髄細胞から分離・精製したGpIIb/III a+細胞画分、及びGpIIb/III a+細胞画分を得る前段階のプラスティック非付着性細胞画分を用いたコロニーアッセイ系で検定したところ、ヒトTPOにより有意な数の巨核球コロニーが形成された。例えば、発現プラスミドpHTF1をトランスフェクション、発現させたCOS1細胞培養上清を20%添加した条件下で、培養5日目に1000個のGpIIb/III a+細胞から平均34.5個の巨核球コロニー、また20000個のプラスティック非付着性細胞から平均28.5個の巨核球コロニーが形成された。さらに、プラスチック非付着細胞画分には巨核球系以外の様々な系統の前駆細胞が存在するが、ヒトTPOの添加では巨核球コロニーしか形成されず、ヒトTPOが巨核球系前駆細胞に特異的に作用することが強く示唆された。また、ラット骨髄由来のGpIIb/III a+細胞画分をヒトTPO(発現プラスミドpHTF1をトランスフェクション、発現させたCOS1細胞培養上清を20%添加)の存在下に3〜5日間液体培養し、核の倍数性(ploidy)を調べたところ、培養5日目に明らかにploidyが増加していた。
<実施例39>
グルタチォン−s−トランスフェラーゼ(GST)とヒトTPO (アミノ酸1−174)の融合タンパク質(以下、この融合タンパク質を「GST−TPO(1−174)」と称す)の大腸菌発現用ベクターの構築
大腸菌でのヒトTPOの発現を容易にするために、ヒトTPOをコードしかつ大腸菌優先コドンを含有する人工遺伝子を作製した。なお、このDNA塩基配列は大腸菌翻訳開始用のアミノ末端メチオニンコドン(ATG)を−1の位置に有する。
表12に示した1−12の合成オリゴヌクレオチドを作製し、2−11の合成オリゴヌクレオチドをT4キナーゼ(ファルマシア社製)により1mM ATP,10mM Tris−acetate,10mM Mg−acetate,50mM K−acetateの溶液中でリン酸化した。これらの合成オリゴヌクレオチドを6本の二本鎖DNAにするために1及び2;3及び4;5及び6;7及び8;9及び10;11及び12それぞれの組み合わせの一本鎖DNAを10mM Tris/HCl(pH7.5),10mM MgCl2。,50mM NaClの溶液中でアニールした。次に1及び2;3及び4;5及び6の三組の二本鎖DNAと、7及び8;9及び10;11及び12の三組の二本鎖DNAをそれぞれT4リガーゼ(ライフテクノロジー社製)を用いて反応し、更にこれら二種の反応液を同様にしてT4リガーゼを用いて反応した。このライゲーション反応で得られたDNAをBamHI (べーリンガーマンハイム社製)で消化後、2%のアガロースゲルで泳動し、約390−400bpの大きさのフラグメントを回収してプレップ−A−ジーンDNA精製キットで精製し、Xbal,BamHIで消化したpUC18にサブクローニングした(宿主はE.coli DH5αを使用した)。得られたクローンのうち、表13に示したヒトTPOをコードしかつ大腸菌優先コドンを含有する人工遺伝子をもつクローンを、塩基配列の解析により選択し、これをpUC18(XB)(1−123)とした。表13のコーディング鎖のDNA配列を配列表(配列番号9)に示した。
【表12】
【表13】
ヒト正常肝臓由来ポリ (A)+RNA1μgよりcDNAの1本鎖目をオリゴdTプライマーをプライマーとして合成し、cDNA合成の反応液の0.1容を鋳型としてPCRを行った。プライマーにはhTPO−C及びhTPO−こ(EcoRI)を使用し、100μlの容量で反応を行った(96℃2分間の後に、95℃1分間/58℃1分間/72℃1分間を30サイクル反応し、さらに72℃7分間)。これによって得られた、ヒトTPOcDNA断片をBamHIとEcoRIで消化後2%のアガロースゲルで泳動し、約600bpの大きさのフラグメントを回収してプレップ−A−ジーンDNA精製キットで精製し、EcoRI,BamHIで消化したpUC18にサブクローニングした(宿主はE.coli DH5αを使用した)。正しいヒトTPO塩基配列をコードするクローンを、塩基配列の解析により選択し、pUC18(BE)(124−332)とした。ここで用いたPCR用プライマーの配列は以下の通りである。
hTPO−C:5’−GGAGGAGACCAAGGCACAGGA−3’
(pHTF1クローンの329−349)
hTP0−こ(EcoRI):5’−CCGGAATTCTTACCCTTCCTGAGACAGATT−3’
(pHTF1クローンの1143−1163に対応するアンチセンスにEcoRI配列を付加)。
pUC18(BE)(124−332)をBamHIとEcoRIで消化後2%のアガロースゲルで泳動し、約600bpの大きさのヒトTPOcDNAのC末端側フラグメントを回収してプレップ−A−ジーンDNA精製キットで精製し、EcoRI,BamHIで消化したpUC18(XB)(1−123)にサブクローニングした(宿主はE.coli DH5αを使用した)。ここで得られたクローンをpUC18(XE)(1−332)とした。
ヒトTPOcDNAのC末端側の種々のデリーションコンストラクトを作製し、それを発現させインビトロのヒトTPO活性の測定を行った実施例より、ヒトTPOアミノ酸1−163はヒトTPO活性を保持することが明らかになったので、このぺプチド断片を含んだ発現ベクターを構築することにした。ここでは、GST−TPO(1−174)の発現を行った。
pHTF1クローンの681−686(アミノ酸173−174)に相当する塩基配列は、制限酵素Saclにより認識されるので、この制限酵素認識部位を利用して2本の合成オリゴヌクレオチドにより終止コドンを導入した。具体的には、2本の合成オリゴヌクレオチドSSE1,SSE2を10mM Tris/HCl(pH7.5),10mM MgCl2,50mMNaClの溶液中でアニールし、ここで得られた二本鎖DNAを、SacI,EcoRIで消化してヒトTPOcDNAのC末端側約480bpを除いたpUC18(XE)(1−332)にDNA LigationKit(宝酒造社製)を用いて導入し、クローンpUC18(XS)(1−174)を得ることができた(宿主はE.coli DH5αを使用した)。ここで用いた合成オリゴヌクレオチドの配列を表14に示した。
【表14】
pUC18(XS)(1−174)をXbaI,EcoRIで消化後、2%のアガロースゲルで泳動し、ヒトTPOアミノ酸1−174をコードする約600bpの大きさのフラグメントを回収してプレップ−A−ジーンDNA精製キットで精製し、XbaI,EcoRIで消化したpBluescript IISK+ (ストラタジーン社製)にサブクローニングした(宿主はE.coliDH5αを使用した)。ここで得られたクローンをpBL(XS)(1−174)とした。さらに、これと同様にしてpBL(XS)(1−174)をXbaI,HindIIIで消化後、ヒトTPOアミノ酸1−174をコードする約550bpの大きさのフラグメントを回収してプレップーA−ジーンDNA精製キットで精製し、XbaI,HindIIIで消化したpCFM536(特表示昭60−501988)にクローニングした(宿主はE.coli DH5αを使用した)。ここで得られたクローンをpCFM536/hT(1−174)とした。
グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク発現ベクターであるpGEX−2T (ファルマシア社製)によって、GST−TPO(1−174)を発現させるために、次のことを行った。pCFM536/hT(1−174)を鋳型として、2本のPCR用プライマーGEX1,GEX3を用いてPCRを行った(96℃2分間の後に、95℃1分間/41℃1分間/72℃1分間を22サイクル反応し、さらに72℃7分間)。これによって得られた、ヒトTPOをコードする断片をNaeIとEcoRIで消化後2%のアガロースゲルで泳動し、約550bpの大きさのフラグメントを回収してプレップ−A−ジーンDNA精製キットで精製し、EcoRI,Smalで消化したpGEX−2Tにクローニングし(宿主はE,coli DH5を使用した)、正しいヒトTPO塩基配列をコードするクローンpGEX−2T/hT(1−174)を、塩基配列の解析により選択し、これをGST−TPO(1−174)発現用の形質転換体とした。ここで用いたPCR用プライマーの配列は以下の通りである。
GEX1:5′−ATCGCCGGCTCCGCCAGCTTGTGAC−3′(配列番号10の21−39にNaeI配列を付加)
GEX3:5′−GCCGAATTCTCATTAGAGCTCGTTCAGTGT−3′(配列番号10の523−549のアンチセンス)。
またこの発現プラスミドは、GSTタンパクに続いてトロンビン認識配列、及びヒトTPO(アミノ酸1−174)をコードする配列を含んでいる。トロンビン認識配列、及びヒトTPO(アミノ酸1−174)をコードする配列を配列表(配列番号10)に示した。
<実施例40>
GST−TPO(1−174)の大腸菌での発現
実施例39で得られた形質転換株を、アンピシリン50μg/mlを含むLB培地60mlに37℃で一晩振盪培養し、この培養液25mlをアンピシリン50μg/mlを含むLB培地1000mlに加えて、ODはA600が0.7−0.8に至るまで37℃で振盪培養した。次いで最終濃度が、0.1mMになるようにIPTGを添加し、さらに3時間振盪培養して、GST−TPO(1−174)の発現を誘導した。
<実施例41>
大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするクローンpGEX−2T/hT(1−174)由来GST−TPO(1−174)の精製と活性確認
ヒトTPO塩基配列をコードするクローンpGEX−2T/hT(1−174)由来GST−TPO(1−174)生産組換体凍結菌体5.9gに水10mlを加えてけん濁し、高圧破砕機で菌体を破砕した。遠心分離により、GST−TPO(1−174)を沈殿画分に回収し、大部分の混在蛋白質、菌体成分等を除去した。次に、回収されたGST−TPO(1−174)を含む沈殿画分に水5mlを加えてけん濁した後、攪拌しながら1MTris緩衝液pH8.5を6ml、10M尿素120ml、水16mlを加えた。室温にて5分間攪拌可溶化後、溶液を4等分し、各々、以下のとおり(1)〜(4)の4種の操作を行った。
(1)20mMTris緩衝液pH8.5で10倍希釈した。これに還元型グルタチオンと酸化型グルタチオンを加えて、各々、最終濃度5mM及び0.5mMとし、4℃で一晩静置した。遠心分離により、上清中にGST−TPO(1−174)を回収し、これに20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で2倍希釈した後、酢酸を用いてpH5.5に調整した。20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で平衡化したSP Sepharose Fast Flow(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−0729−01)陽イオン交換カラムにGST−TPO(1−174)を吸着させた。同樹脂を20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で洗浄した後、500mM塩化ナトリウムを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5を用いてGST−TPO(1−174)を溶出させた。溶出液129mlに2.6mlの1MTris緩衝液pH8.5を加えて、pHを8.1にした後、グルタチオンセファロース4B(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−0756−01)カラムに添加しGST−TPO(1−174)を吸着させた。PBSで洗浄した後、10mM還元型グルタチオンを含む20mMTris緩衝液pH8.5でGST−TPO(1−174)を溶出させた。溶出液にトロンビン37NIH Unitを加えて室温で4時間静置した後、PBSで10倍希釈し、グルタチオンセファロース4Bカラムに添加し切断されたGSTを吸着させ、非吸着画分にTPO(1−174)を回収した。回収した非吸着画分を20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で3倍希釈し、同緩衝液で平衡化したSP SepharoseFast Flow陽イオン交換カラムに添加し、同緩衝液中で塩化ナトリウム濃度0Mから500mMまでの直線濃度勾配法によって溶出を行なった。
(2)(1)の操作を全て0.1%ポリソルベート80存在下で行った。
(3)20mMTris緩衝液pH8.5で10倍希釈した。これに還元型グルタチオンと酸化型グルタチオンを加えて、各々、最終濃度5mM及び0.5mMとし、4℃で一晩静置した。遠心分離により、上清中にGST−TPO(1−174)を回収し、これに20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で2倍希釈した後、酢酸を用いてpH5.5に調整した。20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で平衡化したSP Sepharose Fast Flow陽イオン交換樹脂にGST−TPO(1−174)を吸着させた。同樹脂を20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で洗浄した後、500mM塩化ナトリウムを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5を用いてGST−TPO(1−174)を溶出させた。溶出液に1MTris緩衝液pH8.5を加えてpHを約8とし、トロンビン320NIH Unitを加えて室温で4時間静置した後、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で5倍希釈し、同緩衝液で平衡化したSP Sepharose Fast Flow陽イオン交換カラムに添加し、同緩衝液中で塩化ナトリウム濃度0Mから500mMまでの直線濃度勾配法によって溶出を行なった。
(4)(3)の操作を全て0.1%ポリソルベート80存在下で行った。
(1)〜(4)の操作で得られたSP Sepharose Fast Flow陽イオン交換クロマトグラフィーの塩化ナトリウム濃度約200mMから400mMで溶出された画分を、各々、IMDM培養液に対して十分に透析後、ラットCFU−MK系で評価した結果、容量依存的にTPO活性を認めた。同画分を還元剤存在下でのSDS−PAGEで分析した結果、この画分の主タンパク質バンドの一つとして分子量19Kダルトンのバンドが検出された(純度1−20%)。このバンドについて実施例1に記載された方法により、SDS−PAGE後、PVDF膜に転写しN末端シークエンス分析を行なった結果、このpGEX−2T/hT(1−174)由来の融合蛋白質として発現されるべきTPOの配列を含むことが確認できた。
<実施例42>
アミノ酸1(Ser→Ala)、アミノ酸3(Ala→Val)に変換したヒトTPO (アミノ酸1−163)の大腸菌用発現べクターの構築
実施例39で作製したpUC18(XE)(1−332)をXbaI,EcoRIで消化後、2%のアガロースゲルで泳動し、ヒトTPOアミノ酸1−332をコードする約1000bpの大きさのフラグメントを回収してプレップ−A−ジーンDNA精製キットで精製し、XbaI,EcoRIで消化したpBluescript II SK+(ストラタジーン社製)にサブクローニングした(宿主はE.coli DH5αを使用した)。ここで得られたクローンをpBL(XE)(1−332)とした。
次にこのクローンpBL(XE)(1−332)のBamHI認識配列からアミノ酸163(366−489)までを大腸菌優先コドンに変更することとした。表に示した13−20の合成オリゴヌクレオチドを作成し、13及び14;15及び16;17及び18の合成オリゴヌクレオチドを同チューブ中でT4キナーゼ(ファルマシア社製)を用いて0.1mM ATP,10mM Tris−acetate,10mM Mg−acetate,50mM K−acetateの溶液中でリン酸化した。さらに1/10量の100mM Tris/HCl(p7.5),100mM MgCl2,500mM NaClの溶液を加え、水浴中で3分間煮沸した後、放置することにより2本鎖DNAとした。次に13及び14;15及び16;17及び18の三組の二本鎖DNAをDNAライゲーションキット(宝酒造社製)を用いて連結し、これを鋳型として19及び20の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCR反応を行った。これによって得られたPCR産物をBamHIとHidIIIで消化後2%のアガロースゲルで泳動し、約130bpの断片をプレップ−A−ジーンDNA精製キットにより回収した。これをBamHIとHidIIIで消化したpBL(XE)(1−332)にサブクローニングした(宿主はE.coli DH5を使用した)。得られたクローンのうち表15に示した塩基配列を有するものをシークエンシングにより選択し、これをpBL(XH)(1−163)とした。
【表15】
さらに、ヒトTPO(アミノ酸1−163)の発現量を増すこと、またN末端のプロテアーゼによる分解を防ぐことを目的として、ヒトTPO(アミノ酸1−163)の1位のアミノ酸をSer→Alaに、3位のアミノ酸をAla→Valに変換し、更に−1位にLys、−2位にMetをコードするような変異型ヒトTPO(アミノ酸1−163) (以下、このようなタンパク質を「h6T(1−163)」と称す)を発現させるための発現ベクターの構築を行った。表に示した4種の合成オリゴヌクレオチドを作製し、2−9、3−3の合成オリゴヌクレオチドをT4キナーゼ(ファルマシア社製)により1mM ATP,10mMTris−acetate,10mMMg−acetate,50mM K−acetateの溶液中でリン酸化した。これらの合成オリゴヌクレオチドを2本の二本鎖DNAにするために1−9及び2−9;3−3及び4−3それぞれの組み合わせの一本鎖DNAを10mM Tris/HCl(pH7.5),10mM MgCl2,50mM NaClの溶液中でアニールした。次に1−9及び2−9;3−3及び4−3の二組の二本鎖DNAをDNA LigationKit(宝酒造社製)を用いて反応した。このライゲーション反応で得られたDNAを、XbaI,NruIで消化したpBL(XH)(1−163)にサブクローニングし、塩基配列の解析により表16に示した合成オリゴヌクレオチドにより正しく置換されたクローンを選択し(宿主はE.coli DH5αを使用した)、これをpBL(XH)h6T(1−163)とした。
【表16】
pBL(XH)h6T(1−163)をXbaI,HindIIIで消化後、変異型のヒトTPOアミノ酸1−163をコードする約500bpの大きさのフラグメントを回収してプレップ−A−ジーンDNA精製キットで精製し、XbaI,HindIIIで消化したpCFM536(特表昭60−501988)にクローニングした(宿主はpMW1(ATCC No.39933)で予め形質転換されたE,coli JM109を使用した)。ここで得られたクローンをpCFM536/h6T(1−163)とし、この発現ベクターを有する大腸菌株を変異型のヒトTPO、すなわちh6T(1−163)発現用の形質転換体とした。この発現プラスミドは、配列表(配列番号11)に示されたDNA配列を含んでいる。
<実施例43>
h6T(1−163)の大腸菌での発現
発現プラスミドpCFM536の発現制御は、λPLプロモーターによるが、これ自体が、cl857リプレッサー遺伝子の制御下にある。<実施例42>で得られた形質転換株を、アンピシリン50μg/ml)テトラサイクリン12.5μg/mlを含むLB培地60mlに30℃で一晩振盪培養し、この培養液25mlをアンピシリン50μg/mlを含むLB培地1000mlに加えて、ODはA600が1.0−1.2に至るまで30℃で振盪培養した。次いで最終温度が、42℃になるように65℃の約330mlLB培地を添加し、さらに3時間42℃で振盪培養してh6T(1−163)の発現を誘導した。
<実施例44>
大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするクローンpCFM536/h6T(1−163)由来h6T(1−163)の精製と活性確認
h6T(1−163)生産組換体凍結菌体3.6gに水10mlを加えてけん濁し、高圧破砕機で菌体を破砕した。遠心分離により沈殿画分を回収し、大部分の混在蛋白質、菌体成分等を除去する。回収されたh6T(1−163)を含む沈殿画分に水7mlを加えてけん濁した後、攪拌しながら1M Tris緩衝液pH8.5を3mlを加えた後、尿素(終濃度8M)、塩酸グアニジン(終濃度6M)、N−ラウロイルサルコシンナトリウム(終濃度2%)を各々加えて室温にて5−20分間攪拌して可溶化した。これを20mM Tris緩衝液pH8.5で10倍希釈し、4℃中にて一晩でタンパク質の巻き戻し(リフオールディング)操作を行なった。この際に、空気酸化の他、添加物としてグルタチオン及び硫酸銅を各々添加した。遠心分離により、上清中にh6T(1−163)を回収した。各々の回収画分について還元剤存在下でのSDS−PAGEで分析した結果、どの方法に於ても、この画分の主タンパク質バンドとして分子量約18Kダルトンのバンドが検出された(純度30−40%)。このバンドについて実施例1に記載された方法により、SDS−PAGE後、PVDF膜に転写しN末端シークエンス分析を行なった結果、このpCFM536/h6T(1−163)由来の変異型TPOとして発現されるべきTPOの配列を含むことが確認できた。
各々の画分をIMDM培養液に対して十分に透析後、ラットCFU−MK系で評価した結果、全ての画分に於て容量依存的にTPO活性を認めた。
<実施例45>
抗TPOペプチド抗体の作製と、SDS−PAGE→ウエスターン分析によるTPOの検出
抗TPO抗体が作製できれば、免疫学的手法によりTPOの蛋白質を検出することができる。そこで、最初に判明したラットTPOのアミノ酸配列のうち、比較的抗原として適していると考えられた3カ所の領域(表17に示す)を選び、Tam (Proc.Natl.Acad.Sci,USA,85,5409−5413,1988)の方法により4本鎖のMultiple AntigenPeptide(MAP)型のペプチドを合成し、100μgずつ8回にわたってそれぞれウサギ2把に免疫した結果、これらの抗血清を得ることができた。合成ペプチド抗原に含まれるアミノ酸配列
【表17】
次いで、これらの抗血清のうち、まず抗RT1ペプチド、抗RT2ペプチド抗体について、プロテインAカラム(PROSEP−A;Bioprocessing Ltd社製、カタログ番号8427)を用いて、IgG画分(それぞれ2344mg、1920mg)を得、これらのうちそれぞれ54mg、32mgをとり活性型ビオチン(NHS−LC−Biotin II、PIERCE社製、カタログ番号21336)とカップリングすることにより、ビオチン化した。。実施例1に述べた方法と同様に、組み換え体TPOを含む標品をSDS−PAGEにかけ、次いでPVDFあるいは、ニトロセルロース膜にエレクトロブロティングし、定法によりこれらのビオチン化抗体を一次抗体として用いてウェスタン分析を行った。
即ち、ブロッティング後の膜を20mM Tris−HCl、0.5M NaCl(pH7.5)(TBS)で5分洗浄し、0.1%Tween20入りTBS(TTBS)で5分2回洗浄後、ブロッキング剤(BlockAce、大日本製薬社製、カタログ番号uk−B25)で60分処理した。次に10μg/mlの濃度のビオチン化抗TPOぺプチド抗体、0.05%BSA、10%BlockAceを含むTTBS溶液で60分後処理後、TTBSで5分2回洗浄した。次にアルカリフォスファターゼ標識アビジン(Leinco Technologies社製、カタログ番号A108)を10%BlockAce、TTBS溶液で5000倍希釈したものを含む溶液で30分処理し、5分2回のTTBS洗浄、5分間のTBS洗浄を行った後、アルカリフォスファターゼ基質(Bio−Rad社製、カタログ番号170−6432)により発色させた。以上のウエスタン分析は室温にて実施した。
この結果、COS1細胞で発現した各種組み換えラットTPOのみならず、COS1細胞及び大腸菌で発現した各種組み換えヒトTPO(具体的には、これまでの実施例に述べたCOS1細胞で発現したプラスミドpHTP1あるいはプラスミドpHTF1由来ヒトTPOとそのN結合型糖鎖切断後のTPO、大腸菌で発現したGST−TPO(1−174)及びそのトロンビン消化後のTPO、大腸菌で発現した変異型TPOであるh6T(1−163))をも認識することができた。そして、これら各種組み換えヒトTPOの分析に用いることが可能となった。
以上の手法と同様にして、抗ヒトTPOぺプチド抗体の作製が可能であることが示された。これらの手法で得た抗体により、ウェスタン分析のみならず、抗体カラムによるTPOの精製をはじめ、通常考えられる抗体を用いたあらゆる免疫学的手法への応用が可能となる。
また、配列番号6に示されるヒトTPOのアミノ酸配列のうち、比較的抗原として適していると考えられた6カ所の領域(表19に示す)を選び、Tam(Proc.Natl,Acad.Sci.USA,85,5409−5413,1988)の方法により4本鎖のMultiple Antigen Peptide(MAP)型のペプチドを合成し、100μgずつ8回にわたってそれぞれウサギ2把に免疫した。
表19で示された各ペプチド領域のC末端にシステイン残基を結合させた1本鎖ペプチドを別途合成し、これを試験抗原として酵素免疫測定法を用いて抗体価を調べたところ、いずれの血清についても抗体価の上昇が確認されたので、これらを抗血清とした。
抗体は、1種の抗原ペプチドにつきウサギ抗血清2把ずっ免疫したため、それぞれのウサギごとに抗体を分けて調製した。具体的には、これら由来するウサギの個体ごとに区別して、抗HT1ペプチド抗体では、それぞれ、抗HT1−1ペプチド抗体、抗HT1−2ペプチド抗体の様に称する。
以下に抗HT1−1ペプチド抗体についての精製を例として示す。
まず、システイン残基を結合したHT1の1本鎖ペプチド30mgを12mlのSulfoLinkカップリングゲル(Pierce社製、カタログ番号44895)に結合させた。即ち、ゲル体積の6倍容のカップリングバッファー(50mMTris)5mM EDTA−Na pH8.5)で平衡化したゲルに、抗原の含まれるペプチド溶液を15分間カップリングさせた。次に30分間静置した後、ゲル体積の3倍容のカップリングバッファーでゲルを洗浄した。次に0.05M L−Cystein−HClを含むカップリングバッファーを、1ml/mlゲルの割合で添加し、15分間未反応基をブロックした。次に30分間静置した後、ゲル体積の8倍容のカップリングバッファーでゲルを洗浄した。以上のカップリングは室温で行った。このようにして、抗原領域を含むペプチドをカップリング効率28.3%にてゲルに共有結合させ、1mlゲル当たりに結合したペプチドが0.8mgである抗原ペプチド抗原カラムを調製した。次に、全採血後の抗HT1−1ペプチド抗体を含む抗血清78.4mlのうち76.7ml(蛋白質量3620mg)を予め150mMのNaCl、0.05%アジ化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH8)で平衡化した抗原カラムに添加し、さらに同緩衝液で洗浄後105.9mlの素通り画分(蛋白質量3680mg)を得た。次に0.1Mクエン酸緩衝液(pH3.0)で吸着画分を溶出し、ただちに21.1mlの0.1M炭酸緩衝液(pH9.9)を加えて中和後、限外濾過(アミコン社製YM30膜)にて濃縮し、11.2ml(蛋白質量77.7mg)の150mMのNaCl、0.05%アジ化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH8)の溶液中に精製された抗HT1−1ペプチド抗体を得ることができた。
同様にして、抗HT1−2ペプチド抗体(60.0mg)、抗HT2−1ペプチド抗体(18.8mg)、抗HT2−2ペプチド抗体(8.2mg)などを得ることができた。抗HT3〜6ペプチド抗体も同様にして得ることができる。
アフィニティ精製した抗HT1−1ペプチド抗体、抗HT1−2ペプチド抗体、抗HT2−1ペプチド抗体、抗HT2−2ペプチド抗体をそれぞれ3mgをとり活性型ビオチン(NHS−LC−Biotin II、PIERCE社製、カタログ番号21336)とカップリングすることにより、ビオチン化した。
【表19】
のアミノ酸配列をコードする遺伝子を導入・発現させたCHO細胞の培養上清から部分精製された組換えヒトTPO標品を定法に従い、SDS−PAGEにかけ、次いでPVDFあるいはニトロセルロース膜にエレクトロブロテイングし、上述の抗RTペプチド抗体の場合と同様にウェスタン分析を行ったところ、それぞれの精製された抗体により、ヒトTPOが認識、検出されることが確認できた。<実施例46>
抗TPOペプチド抗体カラムの調製
実施例45で得られた抗ラットTPOペプチド抗体は、ラット及びヒトTPOを認識することができたため、抗RTIペプチド抗体、抗RT2ペプチド抗体の免疫グロブリン(IgG)画分を以下のようにして、クロマトグラフィー坦体に結合させ、抗TPOペプチド抗体カラムを作製した。材料となった抗体は、それぞれの抗原ペプチドにっきウサギ抗血清2把ずつから由来し、それぞれのウサギごとに抗体を分けて調製した。具体的には、抗RT1ペプチド抗体では、それぞれ、抗RT1−1ペプチド抗体と抗RT1−2ぺプチド抗体と称し、抗RT2ペプチド抗体では、抗RT2−1ペプチド抗体と抗RT2−2ペプチド抗体と称す。これらを別々にして抗体カラムを調製したため、抗RT1ペプチド抗体カラムは2種(それぞれ抗RT1−1抗体カラム、抗RT1−2抗体カラムと称す)、抗RT2ペプチド抗体カラムは2種(それぞれ抗RT2−1抗体カラム、抗RT2−2抗体カラムと称す)、さらに抗RT1−2ペプチド抗体と抗RT2−1ペプチド抗体を混合してゲルにカップリングした抗体カラム(抗RT1−2+2−1混合抗体カラム)、の5種類を調製した。
各々の抗体を5mg/ml(抗RT1+2mix抗体カラムでは抗RT1−2ペプチド抗体と抗RT2−1ペプチド抗体を等量混合した2.5mg/ml)の濃度で含む50mM Na Phosphate,0.15M NaCl(pH8.0)の溶液とし、これを2.31mlとり、1.54m体積の膨潤したホルミル活性化ゲル(Formyl−Cellulofine、チッソ株式会社製)と合わせ、4℃で2時間カップリング反応させた。次いで、10mg/mlの濃度の還元剤溶液(Trimethylamine borane(TMAB)、生化学工業製、カタログ番号680246)を1.1ml加え、さらに6時間カップリング反応させた後、遠心分離によりゲル部分のみを回収した。これに10mlの精製水を加え、遠心分離でゲル部分のみの回収といった操作を4回繰り返し、未反応の抗体を取り除いた。次に4.6mlのブロッキング緩衝液(0.2M Na Phosphate,1M ethanol amine(pH7.0))と1,1mlの還元剤溶液を加え、4℃で2時間以上処理することにより、未反応のゲルの活性基をブロックした。最後にゲルを遠心分離を用いて精製水、DPBSで洗浄し、小カラムチューブに充填し、3Mチオシアン酸カリウム溶液、0.1Mグリシン−HCl(pH2.5)溶液で洗浄後、再度DPBSで再平衡化して保存した。
抗RT1−1抗体カラム、抗RT1−2抗体カラム、抗RT2−1抗体カラム、抗RT2−2抗体カラム、抗RT1−2+2−1混合抗体カラムの5種類それぞれの抗TPOペプチド抗体ゲルでは、各IgG画分のカップリング効率は順に97.4%、95.4%、98.4%、98.3%、99.4%に達した。また、それぞれのゲル体積当たりにカップリングしたIgG画分量は、5.6mg/mlゲル、5.8mg/mlゲル、5.7mg/mlゲル、5.7mg/mlゲル、2.9mg/mlゲルであった。従って、抗体の由来や抗原の違いによって、カップリング効率やカップリング量に大きな差がないことが確認できたため、これらの抗体カラムを利用して、以下、実施例47に示す実験を行った。
<実施例47>
発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクションして得られた培養上清由来TPOの抗TPO抗体カラム→逆相カラムクロマトグラフィーでの精製〜生物学的活性の確認
以下の精製サンプルの評価のためのin vitroアッセイ方法は、M−07eアッセイ系を用いた。発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクションして得られた、実施例35の培養上清由来TPOの部分精製標品(TPOが回収された主たる画分ではない画分、即ち、Macro−Prep Methyl HICカラムの素通り画分F1と、F2の後に20mM Na Citrate,pH5.8でカラム洗浄し溶出したF3、SP Sepharose Fast FlowカラムのF1とF3をまとめてTPOサブプール画分(5463.79ml,蛋白質濃度0.490mg/ml,総蛋白質量2676mg,相対活性12100,相対活性量32380000)とし、限外濾過ユニット(フィルトロン社製・オメガウルトラセット 分子量8000カット)でまず濃縮し、さらに溶媒をDPBSに置換し、小体積になってからはYM−10膜付き限外濾過ユニット(アミコン社製)を用いて最終的に120.2mlの0.05%アジ化ナトリウムを含むDPBS溶液にした。次に実施例46で調製した5種類の抗TPOペプチド抗体ゲルを全て混合し、1本の抗体カラム(直径1.6cm,ベッド高4.8cm,抗RT1+2混合抗体カラムと称す)にまとめ、室温にて流速0.033ml/minでTPOサブプール画分を添加した。添加終了後、DPBSで溶出液の紫外線吸収が十分下がるまでを集め、さらにYM−10膜付き限外濾過ユニット(アミコン社製)で濃縮した素通り画分F1(82.62ml,蛋白質濃度14.3mg/ml,総蛋白質量1184mg,相対活性67500,相対活性量79900000)を集めた。次に酸性溶離液(0.1Mグリシン−HCl(pH2.5))で溶出されるカラム吸着画分F2(92.97ml,蛋白質濃度0.12mg/ml,総蛋白質量11.1mg,相対活性257100,相対活性量2860000)を溶出した。素通り画分F1には相当量のTPO活性があったが、抗体カラムに吸着したTPOについては約20倍の相対活性の上昇が認められたため、さらに精製を行った。即ち、展開溶媒Aに0.1%TFA、展開溶媒Bに0.05%TFAを含む1−プロパノールを用いたCapcell Pak C1 300A(資生堂製、カタログ番号C1 TYPE:SG300A;直径4.6mm、ベッド高150mmに加え、直径4.6mm)ベッド高35mmのプレカラムを接続したもの)カラムにて、抗体カラムで得られたF2に10分の1体積の展開溶媒Bを加え、20%Bで平衡化したCapcell Pak C1 300Aカラムに流速0.4ml/minで注入した。注入終了後、20%Bにて5分溶出した後、20%Bから40%Bまで50分の直線濃度勾配で展開し、1ml(2.5min)ずつポリプロピレン製チューブに集めた。
それぞれ2μl(500分の1フラクション)を取りHSAを加え、限外濾過濃縮し、最終的に0.02%HSAを含む0.25mlのIMDMアッセイ培養液溶液とし、これをアッセイにかけ、TPO活性画分を特定した。この結果、チューブ番号20〜23(プロパノール濃度で28.5〜32.5%の範囲)に強いTPOの活性を示す標品を得ることができた。またこれらの標品を<実施例45>に述べた方法によりウエスターン分析をしたところ、DPCIII分子量マーカーに対し、還元下において見かけ上の分子量が60000〜70000のTPOが確かに存在し、これとは別に、32000〜43000、20000〜30000の分子量をもっ分子も存在していることが判明した。
<実施例48>
発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクションして得られた培養上清由来で、Capcell Pak C1 300Aカラムの段階まで精製されたTPOの生物学的活性の確認
実施例36で精製されたTPO活性画分、即ちCapcell Pak C1300Aカラムのチューブ番号20〜23(プロパノール濃度で28.5〜32.5%の範囲)までを集め、0.21mlのグリセロールを添加後遠心エバポレーションで濃縮した。これに6M塩酸グアニジン溶液0.21mlを加えたものをDPBSで1mlに希釈後、Sephadex G25カラム(NAP−10,ファルマシア バイオテック社製、カタログ番号17−0854−01)で0.01%HSAを含むDPBS溶液に置換し、さらに1.1mlの0.01%HSAを含むDPBSを加えて、最終的にTPO活性画分FA(2.6ml)を調製した。この標品の生物学的TPO活性をについて調べるために、in vivoアッセイを行った。即ち、1群4匹のICR系雄性マウス(8週齢)に、活性画分100μl(M−07eアッセイ系での相対活性量87400を含む)を1日1回、5日間連日皮下投与した。対照として、0.01%HSAを含むDPBS100μlを同様のスケジュールで皮下投与した。採血は、投与開始直前及び投与終了翌日に眼底より行い、血球測定装置(東亜医用電子製、F800)を用いて血小板数を測定した。TPO投与群では、投与終了後において投与前と比較して平均で1.42倍の血小板の増加を認め、対照群の血小板数と比較しても1.23倍の高値を示し、両者の間に有意差(p<0.05,Student t−test)を認めた。この結果から、動物細胞で生産された上記のヒトTPOが、生体内において血小板増加作用を有することが明らかとなった。
<実施例49>
発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクションして得られた、培養上清33Lを出発材料にし、陽イオン交換カラムで得た粗精製TPO画分の生物学的活性の確認
(1)以下の精製サンプルの評価のためのin vitroアッセイ方法は、M−07eアッセイ系を用いた。実施例36で記載された方法と同様にして、33Lの発現ベクターpHTP1をCOS1細胞にトランスフェクションして得られた無血清培養上清を得て、0.22μmの濾過フィルターの濾液をとった。これを限外濾過ユニット(ミリポア社製・PLGCペリコンカセット 分子量10000カット)で約10倍濃縮し、蛋白質分解酵素阻害剤であるp−APMSFを最終濃度約1mM加え、体積2018ml(蛋白質濃度3.22mg/ml、総蛋白質量6502mg、相対活性66000、相対活性量429100000)を得た。次に、限外濾過ユニット(フィルトロン社製・オメガウルトラセット 分子量30000カット)で濃縮工程を繰り返し、分子量30000以上の画分(体積1190ml)蛋白質濃度2.54mg/ml、総蛋白質量3020mg、相対活性82500、相対活性量249000000)と、分子量30000以下の画分(体積2975ml、蛋白質濃度0.471mg/ml、総蛋白質量1402mg、相対活性4500、相対活性量6310000)を得ることができた。分子量30000以下の画分にTPO活性が存在することは、TPOの動物細胞での発現・分泌の過程において、最終的に培養上清中に、低分子化したTPOが含まれている可能性を示す。一方、分子量30000以上の画分をさらに20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.1)に置換し、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.1)で予め平衡化したSP Sepharose Fast Flow(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−0729−01;直径2.6cm、ベッド高29cm)カラムに注入し、流速5ml/minで添加した。添加終了後、さらに20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.1)で洗浄溶出した。次に展開溶媒Aに20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.1)、展開溶媒A中に1M NaClを含む溶液を展開溶媒Bとして用い、流速3ml/minで0%Bから50%Bまで215分間、さらに50%Bから100%Bまで20分の直線濃度勾配で展開し、30ml(10min)ずつポリプロピレン製チューブに集めた。これらの一部を取り、M−07eアッセイ系で活性の分布を調べたところ、広範囲にわたりTPO活性が溶出されたことが判明した。そこで素通りを含め、50mM以下のNaClで溶出された画分をF1、TPOの主画分として50〜1000mMのNaClで溶出された画分をF2としてまとめた。F1は体積1951ml(蛋白質濃度2.05mg/ml、総蛋白質量3994mg、相対活性13500、相対活性量53900000)、F2は体積649.8ml(蛋白質濃度1.11mg/ml、総蛋白質量721mg、相対活性268000、相対活性量193000000)であった。
(2)SP Sepharose Fast Flow F2の生物学的活性の確認 (1)で分取したSP Sepharose Fast FlowのF2を2.5ml取り、Sephadex G25カラム(NAP−25,ファルマシア バイオテック社製、カタログ番号17−0852−−01)で0.01%HSAを含むDPBS溶液3.5mlに置換し、このサンプル(蛋白質濃度1.46mg/ml)の生物学的TPO活性について調べるために、invivoアッセイを行った。即ち、1群4匹のICR系雄性マウス(8週齢)に、活性画分100μ1(M−07eアッセイ系での相対活性量3150を含む)を1日1回、5日間連日皮下投与した。対照として、0.01%HSAを含むDPBS100μlを同様のスケジュールで皮下投与した。採血は、投与開始直前及び投与終了翌日に眼底より行い、血球測定装置(東亜医用電子製、F800)を用いて血小板数を測定した。TPO投与群では、投与終了後において投与前と比較して平均で1.29倍の血小板の増加を認め、対照群の血小板数と比較しても1.12倍の高値を示し、両者の間に有意差(p<0.05,Student t−test)を認めた。この結果から、動物細胞で生産された上記のヒトTPOが、生体内において血小板増加作用を有することが明らかとなった。
<実施例50>
ヒトTPO染色体DNAのCHO細胞用組換え発現ベクター、pDEF202−ghTPOの構築
ベクターpDEF202を制限酵素KpnlとSpelで処理し、アガロースゲル電気泳動で小さい方のマウスDHFRミニ遺伝子とSV40ポリアデニル化シグナルを含むフラグメントを回収したのち、このフラグメントとヒトTPO染色体DNAを含むプラスミドpEFHGTEを制限酵素KpnIとSpeIで処理しSV40ポリアデニル化シグナルを含む領域を除去したべクターDNAとをT4DNAリガーゼ(宝酒造製)で結合させ、発現ベクターpDEF202−ghTPOを得た。このプラスミドはSV40の複製開始領域、ヒトエロンゲーションファクタ−1−アルファプロモーター、SV40初期ポリアデニル部位、マウスDHFRミニ遺伝子、pUC18の複製開始領域、β−ラクタマーゼ遺伝子(Ampr)を含み、ヒトエロンゲーションファクタ−1−アルファプロモーター下流にヒトTPO染色体DNAが接続されている。
<実施例51>
CHO細胞によるヒトTPO染色体DNAの発現
CHO細胞(dhfr−株、UrlaubとChasin;Proc.Natl.Acad.Sci.USA;77巻4216頁、1980)を6cm径のプレート(Falcon社製)中10%牛胎児血清を含むα最小必須培地(α−MEM(−)、チミジン、ヒポキサンチン添加)で培養増殖させ、これをリン酸カルシウム法(CellPhect)ファルマシア社製)によって形質転換した。すなわち、実施例50で調製したpDEF202−ghTP0プラスミド10μgにバッファーA:120μlおよびH20:120μlを加え混合したのち、室温で10分間放置した。つぎに、この溶液にバッファーB:120μlを加え、再度混合したのち、室温で30分間放置した。このDNA溶液をプレートに滴下したのち、CO2インキュベーター中で6時間培養した。プレートから培地を除去し、α−MEM(−)にて2回洗浄後、10%ジメチルスルフォオキシド含有α−MEM(−)を添加し、室温で2分間処理した。次いで、10%透析牛胎児血清含有非選択培地(前出α−MEM(−)、ヒポキサンチン、チミジン添加)を添加して2日間培養したのち、10%透析牛胎児血清含有選択培地(α−MEM(−)、ヒポキサンチン、チミジン無添加)での選択をおこなった。選択は細胞をトリプシン処理した後、6cm径プレート1枚あたりを、10cm径プレート5枚あるいは24ウエルプレート20枚に分割したのち、2日ごとに選択培地にて培地交換を行いながら培養を続行する事により実施した。細胞が増殖してきたプレートあるいはウエルについてその培養上清中のヒトTPO活性をBa/F3アッセイを用いて測定した結果、ヒトTPO活性が認められた。
なお、CHO細胞の形質転換はCHO細胞に対しpEFHGTEとpMG1を同時形質転換(co−transfection)することによっても行うことができる。
<実施例52>
−1位にLys、−2位にMetが付加されたヒトTPO(アミノ酸1−163)(以下、このタンパク質を「hMKT(1−163)」と称す)の大腸菌用発現ベクターの構築〜発現・発現の確認
配列番号6のアミノ酸配列(1−163位)の−1位にLys)−2位にMetが付加されたタンパク質を発現するため、実施例42と同様にして、以下の表18に示した1−13、2−13、3−3、4−3の合成オリゴヌクレオチドを用いて、hMKT(1−163)の大腸菌用発現べクターpCFM536/hMKT(1−163)を構築した。
【表18】
この発現プラスミドは、配列表(配列番号12)に示されたDNA配列を含んでいる。さらに、実施例43と同様にして、hMKT(1−163)の発現を誘導した。
ここで得られた発現タンパクをSDS−PAGE後PVDF膜に転写し、N末端アミノ酸配列分析を行った結果、発現されるべきhMKT(1−163)のアミノ酸配列を含むことが確認できた。
<実施例53>
大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするクローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異型ヒトTPO、h6T(1−163)の塩酸グアニジンとグルタチオンを用いたリフォールディング〜精製〜生物学的活性の確認実施例43で調製されたh6T(1−163)生産組換体凍結菌体1.2gに水3mlを加えてけん濁し、高圧破砕機で菌体を破砕した。遠心分離により沈殿画分を回収し、大部分の混在蛋白質、菌体成分等を除去する。回収されたh6T(1−163)を含む沈殿画分に水を加えてけん濁し、最終4mlとした。攪拌しながら1mlの1MTris緩衝液pH8.5を加えた後、20mlの8M塩酸グアニジンを加えて室温にて5分間攪拌して可溶化した。これを20mMTris緩衝液pH8.5で10倍希釈し、5mM還元型グルタチオンと0.5mMの酸化型グルタチオンを加えて攪拌し溶かした後、4℃中にて一晩静置した。遠心分離により、上清中にh6T(1−163)を回収した。得られた上清のうち160mlをYM10限外濾過膜(アミコン社製)を用いて濃縮し、DPBSにて緩衝液を置換して最終容量3.4mlとした(蛋白濃度2.18mg/ml)。この画分をIMDM培養液に対して十分に透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で評価した結果、強いTPOの活性(相対活性58000)を示した。
上記の方法により調製したTPO活性画分についてin vivoアッセィを行った。1群4匹のICR系雄性マウス(7週齢)に、活性画分170μl(ラットCFU−MKアッセイ系での相対活性量22000を含む)を1日1回、5日間連日皮下投与した。対照として、1群6匹の同様のマウスにDPBS170plを同様のスケジュールで皮下投与した。採血は、投与開始直前及び投与終了翌日、終了3日後に眼底より行い、血球測定装置(東亜医用電子製、F800)を用いて血小板数を測定した。TPO投与群では、投与終了翌日において投与前と比較して平均で2.15倍の血小板の増加を認め、また投与終了3日後においてもその効果は持続しており2.13倍の高値を維持した。投与終了翌日及び3日後のいずれの日においても、血小板数は、それぞれの日の対照群のそれと比較して1.73倍、1.80倍と高値を示し、両者の間に有意差(p<0.001,Student t−test)を認めた。
この結果から、大腸菌より生産され、上記の方法で調製したヒトTPOが、生体内において血小板増加作用を有することが明らかとなった。
<実施例54>
大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするクローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異型ヒトTPONh6T(1−163)のN−ラウロイルサルコシンナトリウムと硫酸銅を用いたリフォールディング〜精製〜生物学的活性の確認
実施例43で調製されたh6T(1−163)生産組換体凍結菌体0.6gに水3mlを加えてけん濁し、高圧破砕機で菌体を破砕した後、遠心分離により沈殿画分を回収した。沈殿画分に3.1mlの水を加えて懸濁した後、0.19mlの1MTris緩衝液pH9.2、11.25μlの1M DTT、38μlの0.5MEDTA、0.38mlの10%デオキシコール酸ナトリウムを攪拌しながら加え、室温にて40分間攪拌した。遠心分離により沈殿画分を回収し、大部分の混在蛋白質、菌体成分等を除去した。沈殿に水4mlを加えてけん濁した後、遠心分離によってh6T(1−163)を含む沈殿画分を回収した。得られた沈殿画分に水3.8mlを加え懸濁した後、攪拌しながら0.2mlの1MTris緩衝液pH8と1mlの10%N−ラウロイルサルコシンナトリウムを加えて室温にて20分間攪拌して可溶化した。これに5μlの1%硫酸銅を加え、室温にて一晩(約20時間)攪拌した。遠心分離によりh6T(1−163)を含む上清画分を回収した後、上清5mlに5mlの水、10mlの20mMTris緩衝液pH7.7加えた後、2.6gのDowex 1−x4,20−50mesh,chloride formイオン交換樹脂を加え、90分間撹拌した。グラスフィルターを用いてイオン交換樹脂非吸着画分を回収した後、遠心分離によって上清を回収した。得られた上清を20mMTris緩衝液pH7.7で平衡化したSP Sepharose Fast Flow陽イオン交換カラムに添加し、同緩衝液中でNaCl濃度0Mから500mMまでの直線濃度勾配法によって溶出を行なった。溶出画分をIMDM培養液に対して十分に透析後、ラットCFU−MKアッセイ系で評価した結果、SP Sepharose Fast Flow陽イオン交換クロマトグラフイーのNaCl濃度約100mM付近で溶出された画分に強いTPOの活性(相対活性約19000000)を示した。この画分をウルトラフリーCL分画分子量5000限外濾過ユニット(ミリポア社製、型番UFC4LCC25)を用いて1.6倍濃縮した(2.5ml、蛋白濃度25μg/ml)。同画分を還元剤存在下でSDS−PAGEで分析した結果、TPOのバンドが主バンドとして検出された(純度70−80%)。
上記の方法により調製したTPO活性画分についてin vivoアッセイを行った。1群4匹のICR系雄性マウス(8週齢)に、活性画分100μl(ラットCFU−MKアッセイ系での相対活性量47500を含む)を1日1回、5日間連日皮下投与した。対照として、100mMNaClを含む20mMTris緩衝液pH7.7100μl.を同様のスケジュールで皮下投与した。採血は、投与開始直前及び投与終了翌日に眼底より行い、血球測定装置(東亜医用電子製、F800)を用いて血小板数を測定した。TPO投与群では、投与終了後において投与前と比較して平均で1.73倍の血小板の増加を認め、対照群の血小板数と比較しても1.59倍の高値を示し、両者の間に有意差(p<0.01,Student t−test)を認めた。この結果から、大腸菌より生産され、上記の方法で調製したヒトTPOが、生体内において血小板増加作用を有することが明らかとなった。
<実施例55>
CHO細胞の大量培養
実施例32にぉぃてヒトTPO発現プラスミドpDEF202−hTP0−P1をCHO細胞にトランスフェクションして得られたヒトTPO産生CHO細胞株(CHO28−30細胞、25nM MTX耐性)の大量培養は以下のようにして実施した。細胞を25nM MTXおよび10%FCSを含むDMEM/F−12培地(GIBCO社)を用いて培養増殖させた。この細胞をトリプシン溶液を用いて剥離したのち、200mlの同培地を含むFalcon社製ローラーボトル(Falcon3000)に1×107個の細胞を接種し、37℃で1rpmの回転速度で3日間培養した。3日後、培養液を吸引除去し、100mlのPBSで細胞培養表面をリンスしたのち、25nM MTXおよび10%FCSを含まないDMEM/F−12培地(GIBCO社)を200ml加え、37℃、1rpmの回転速度で7日間培養し、7日後その培養上清を回収し、次の精製操作の出発材料にした。上記の操作をローラーボトル500本分実施し、培養上清100Lを得た。
<実施例56>
ヒトTPO産生CHO細胞株からヒトTPOの精製
(1)実施例55より無血清培養上清約100Lを得て、0.22μmの濾過フィルターの濾液をとった。これを限外濾過ユニット(ミリポア社製・PLTKペリコンカセット 分子量30000カット)で濃縮かつ溶媒を精製水に置換し、蛋白質分解酵素阻害剤であるp−APMSF(和光純薬社製)を最終濃度1mM及びPefabloc SC (Merk社製)を最終濃度0.35mM加え、体積3628ml(蛋白質濃度1.60mg/ml)総蛋白質量5805mg、相対活性1230000、相対活性量7149000000)の分子量30000以上の画分を得た。この画分を実施例45で述べたウエスターン分析で調べたところ、分子量66000〜100000の範囲にTPO蛋白質が存在することが明らかとなった。さらによく調べてみると、これとは別に、より低分子のTPOをも含まれていることが判明した。
分子量30000以下の限外濾液はこれとは別に限外濾過ユニット(ミリポア社製・PLGCペリコンカセット 分子量10000カット)で濃縮したところ、体積1901ml(蛋白質濃度0.36mg/ml、総蛋白質量684mg、相対活性245500、相対活性量167900000)であったため、低分子化したTPO分子が培養工程において生じたことが確認された。
次に、分子量30000以上の画分3614mlに764gの硫酸アンモニウム、及び144.5mlの0.5Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を加え、最終濃度1.41M硫酸アンモニウム、17.7mMのクエン酸ナトリウム緩衝液を含む4089mlの溶液とし、生じた不溶物を遠心分離後可溶物を得た。
これを1.2M硫酸アンモニウムを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)で予め平衡化してあったMacro−Prep Methyl HICカラム(Bio−Rad社製、カタログ番号156−0080;直径5cm、ベッド高 24.5cm)に、流速約25ml/minで添加した。添加終了後、1.2M硫酸アンモニウムを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)で溶出されたものを限外濾過ユニット(フィルトロン社製・オメガウルトラセット 分子量8000カット)で濃縮し、素通り画分F1(4455ml,蛋白質濃度0.400mg/ml,総蛋白質量1780mg,相対活性1831000)を得た。
次に、溶出液を20mM Na Citrate,pH6.0にかえ、溶出されたものを限外濾過ユニット(フィルトロン社製・オメガウルトラセット 分子量8000カット)で濃縮し、画分F2(1457ml,蛋白質濃度0.969mg/ml,総蛋白質量1411mg,相対活性1715000)を集めた。SDS−PAGEにより、このF2には分子量66000〜100000の蛋白質が存在することが確認された。さらにウエスターン分析により、この蛋白質がTPOであることが明らかとなった。
次に、Macro−Prep Methyl HICカラム F2(1443ml)を、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で予め平衡化したSP Sepharose Fast Flow(ファルマシア バイオテク社製、カタログ番号17−0729−01;直径 5cm、ベッド高 12cm)カラムに注入し、流速15ml/minで添加した。添加終了後、さらに50mM NaClを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で溶出されたものまでをまとめ、画分F1(3007ml,蛋白質濃度0.226mg/ml,総蛋白質量679mg,相対活性88830)を得た。次に、溶出液を750mM NaClを含む20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)にかえ、溶出された画分F2(931ml,蛋白質濃度0.763mg/ml,総蛋白質量710mg,相対活性5558000)を集めた。これを限外濾過ユニット(フィルトロン社製・オメガウルトラセット 分子量8000カット、及びアミコン社製YM3膜)で202mlまで濃縮した。
次に、SP Sepharose Fast FlowカラムのTPO活性画分F2の濃縮液(197ml)をSephacryl S−200HRカラム(ファルマシア・バイオテク社製、カタログ番号17−0584−05;直径 7.5cm、ベッド高 100cm)に注入し、流速3ml/minでゲル濾過を行った。溶離液体積1200〜1785ml、1785〜2010ml、2010〜2280ml、2280〜3000mlの各範囲をまとめ、それぞれ画分F1(585ml,蛋白質濃度1.00mg/ml,総蛋白質量589mg,相対活性4118000)、画分F2(225ml,蛋白質濃度0.263/ml,総蛋白質量59.2mg,相対活性2509000)、画分F3(270ml,蛋白質濃度0.119/ml,総蛋白質量32.1mg,相対活性2535000)、画分F4(720ml, 蛋白質濃度0.0467/ml, 総蛋白質量33.6mg,相対活性1155000)を得た。
このように、分画されたTPO活性はゲル濾過法での分子量範囲が広いことが判明したため、SDS−PAGE後、ウエスターン分析を実施したところ、F1ではほとんどが分子量66000〜100000のTPOであったのに対し、F2、F3ではそれぞれ分子量32000〜60000、分子量32000〜42000のTPO分子種が存在していた。いずれの分子量のTPO分子も全てTPO活性をもっていた。
なお、分子量66000〜100000のTPO分子についてN末端アミノ酸配列分析を実施したところ、ヒトTPO遺伝子でコードされるタンパク質のアミノ酸配列を含むことが確認できた。
また、分子量66000〜100000(7)TPO分子について、N−グリカナーゼ(N−glycanase:Genzyme社製、カタログ番号1472−00)、ノイラミニダーゼ(Neuraminidase:ナカライテスク社製、カタログ番号242−29 SP)、エンド−α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ(Endo−α−N−acetylgalactosaminidase:生化学工業製、カタログ番号100453)、およびO−グリコシダーゼ(O−Glycosidase:Boehringer Mannheim Biochemica社製、カタログ番号1347101)の糖鎖切断酵素を単独あるいは組み合わせて酵素消化実験を行いSDS−PAGEで調べたところ、TPOのポリペプチド部分は理論値から推定される分子量約36000であり、N結合型糖鎖とO結合型糖鎖の両方を持つ糖タンパク質であることが判明した。<実施例57>
ヒトTPO産生CHO細胞株からヒトTPOの精製
(1)実施例55と同様にして得られたCHO細胞無血清培養上清1Lに211.4gの硫酸アンモニウムを加え、0.2μmフイルター(Gelman Science社製、カタログ番号12992)で濾過し、予め1.2M硫酸アンモニウム,20mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.6)で平衡化しておいたMacro−Prep Methyl HICカラム(Bio−Rad社製,カタログ番号156−0081,直径50mm、ベッド高90mm)に流速15ml/minで添加した。添加終了後、20mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.6)450mlで溶出した。この溶出液をVydac 逆相C4カラム(The Separations Group社製、カタログ番号214BTP54,直径4.6mm,ベッド高250mm)に流速0.75ml/minで添加した。添加終了後、15分間5%エタノールを含む10mMトリス緩衝液(pH6.4)(展開溶媒A)で洗浄後、展開溶媒Aから10mMトリス緩衝液(pH6.4)を含む94%エタノール(展開溶媒B)まで66分間の直線グラジエントで溶出した。このクロマトグラムを図15に示した。TPOと思われる分子量約65000−100000の分子は、SDS−PAGEによる分析の結果、サンプル添加後の保持時間68−72分付近の画分に得ることができ、単一なバンドであることが確認できた(図16参照)。さらにウエスターン分析により、このタンパク質がTPOであることを確認した。
このサンプルの一部を取り、N末端アミノ酸分析を行った結果、ヒトTPO遺伝子でコードされるタンパク質のアミノ酸配列を含むことが確認できた。
<実施例58>
ヒトTPOの昆虫細胞での発現用組換えウイルスの作製
実施例30で作製したpHTP1を制限酵素EcoRI並びにNotIで消化後1%アガロースゲル電気泳動にかけ、約1200bpのバンドをプレップ−A−ジーンDNA精製キットを用いて精製した後、同様に制限酵素処理したトランスファーベクターpVL1393(インビトローゲン社製)に連結しコンピテントハイE.coli DH5(東洋紡績社製)を形質転換した。得られたコロニーよりプラスミドDNAを調製し、ヒトTPOcDNAのコーディング領域を全て含むクローンpVL1393/hTPOを得た。このクローンのプラスミドDNAをMolecular Cloning(Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)に記載されているようにして調製し、BaculoGoldTM Transfection Kit(ファーミンゲン社製)を用いて昆虫細胞Sf21(インビトローゲン社製)にトランスフェクション後、Sf−900培地(ライフテクノロジー社製)中で27℃で4日間培養し、そのウイルスを含んだ上清を回収した。この上清を109〜105倍に希釈してその1mlを用いて、35mm径のシャーレ中で約7×105個のSf21細胞に27℃で1時間感染させた。上清を抜きとりSf−900培地を含む1%アガロースを流し込みアガロースが固まった後、加湿下で27℃で6日間培養した。ここで形成されたシングルプラークをピックアップし、200μlのSf−900培地中でウイルスを溶出させた。このウイルスクローンを24ウエルプレート中でSf21細胞に感染させウイルスの増幅を行った。得られたシングルプラーク由来のウイルス液の一部をフェノール/クロロホルム処理後、エタノール沈殿してウイルスDNAを回収した。このウイルスDNAを鋳型としてヒトTPOcDNAに特異的なプライマーを用いてPCRを行い、特異的なDNA断片が増幅されるか否かにより、ヒトTPOcDNAを含む組換え体ウイルスを選択した。ここで得られたヒトTPOcDNAを含む組換え体ウイルスを含む上清を用いてSf21細胞に感染させ、さらにウイルスの増幅を行った。
<実施例59>
Sf21昆虫細胞でのヒトTPOの発現と活性確認
175cm2の培養フラスコ中に、Sf21細胞を約80%コンフルエントになるまで培養し、実施例58で作製したヒトTPOcDNAを含む組換え体ウイルスを27℃で1時間感染させた後、Sf−900培地中で27℃で4日間培養し、その上清を回収した。得られた培養上清をNAPTM−5カラム(ファルマシア社製)を用いてIMDM培養液に置換し、これをラットCFU−MKアッセイ系及びM−07eアッセイ系にかけたところ、用量依存的に有意なTPO活性及びM−07e細胞増殖促進活性が認められた。また、実施例45に記載したのと同様のウエスタン分析により、Sf21細胞で発現した組み換えヒトTPOが確認された。
<実施例60>
大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするクローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異型ヒトTPO、h6T(1−163)のN−ラウロイルサルコシンナトリウムと硫酸銅を用いたリフォールディング法とリフォールディング〜精製
実施例43で調製されたh6T(1−163)生産組換体凍結菌体30gに水300mlを加えてけん濁し、高圧破砕機(10000psi、Rannie High PressureLaboratory)で菌体を破砕した後、遠心分離により沈殿画分を回収した。沈殿画分に90mlの水を加えて懸濁し、さらに撹拌しながら水を加えて液量を150mlにした後、9mlの1MTris緩衝液pH9.2、540μlの1MDTT、1.8mlの0.5MEDTA、18mlの10%デオキシコール酸ナトリウムを攪拌しながら加え、室温にて30分間攪拌した。遠心分離により沈殿画分を回収し、大部分の混在蛋白質、菌体成分等を除去した。沈殿に180mlの5mMDTTを加えてけん濁した後、遠心分離によってh6T(1−163)を含む沈殿画分を回収した。得られた沈殿画分に水300mlを加え懸濁し、さらに撹拌しながら水を加えて液量を570m1にした後、攪拌しながら30mlの1MTris緩衝液pH8と150mlの10%N−ラウロイルサルコシンナトリウムを加えて室温にて20分間攪拌して可溶化した。これに750μlの1%硫酸銅を加え、室温にて一晩(約20時間)攪拌した。遠心分離によりh6T(1−163)を含む上清画分を回収した後、上清750mlに750mlの水、1500mlの20mMTris緩衝液pH7.7加えた後、撹拌しながら3mlのポリソルベート80(日光ケミカルズ)を加えた。同溶液に600gのDowex 1−x4,20−50mesh,chlorideformイオン交換樹脂を加え、室温にて90分間撹拌した。グラスフィルターを用いてイオン交換樹脂非吸着画分を回収した後、750mlの20mMTris緩衝液pH7.7でイオン交換樹脂を洗浄した。イオン交換樹脂非吸着画分と洗浄液を合わせた溶液に2N水酸化ナトリウム加えてpHを9.2に調整し、0.1%ポリソルベート80を含む20mMTris緩衝液pH9.2で平衡化したQ Sepharose Fast Flow陰イオン交換カラム(内径5cm x 10cm)に添加し、非吸着画分を回収した。塩酸を用いて得られた非吸着画分のpHを7.2に調整し、0.1%ポリソルベート80を含む20mMTris緩衝液pH7.2で平衡化したSP Sepharose Fast Flow陽イオン交換カラム(内径5cm x 10cm)に添加し、同緩衝液中で塩化ナトリウム濃度0Mから500mMまでの直線濃度勾配法によって溶出を行なった。溶出液についてSDS−PAGEによって分析を行い、TPO溶出画分を集めた。TPO溶出画分にトリフルオロ酢酸を0.1%になる様に加え、カプセルパック5μm300A C1カラム(内径2.1cmx 5cm x 2本、資生堂)に添加した後、0.1%トリフルオロ酢酸中で1−プロパノール濃度を上昇させる直線濃度勾配溶離法によって逆相HPLCを行なった。溶出液について還元剤非存在下でのSDS−PAGEにより分析した結果及び逆相HPLCでの溶出位置によって、3画分に分画し、各々について0.1%トリフルオロ酢酸を用いて3倍希釈した後、上記の逆相HPLCカラムに添加し、同様の方法で再クロマトグラフィーを行なった。得られたTPO3画分を逆相HPLCの溶出順にFr.S−a、Fr.S−b、 Fr,S−c (図17参照)として還元剤非存在下でのSDS−PAGEで分析した結果、各々、分子量18Kダルトン(Fr.S−a)、19Kダルトン(Fr.S−b)、18Kダルトン(Fr.S−c)付近に単一のバンドとして検出された(図18参照)。各々についてアミノ酸組成分析を行った結果、得られたアミノ酸組成はシークエンス情報からの理論値とほぼ一致し,またN末端アミノ酸配列分析の結果、予想される配列のみが得られた。またアミノ酸分析の結果から得られた各画分の蛋白質量は、各々、0.64mg(Fr.S−a)1.81mg(Fr.S−b)、3.49mg(Fr.S−c)であった。各画分をIMDM培養液に対して十分に透析後、M−07eアッセイを行った結果、相対活性約1620000(Fr.S−a)、相対活性約23500000(Fr.S−b)、相対活性約746000000(Fr.S−c)のTPO活性を示した。
<実施例61>
大腸菌で発現した、ヒトTPO塩基配列をコードするクローンpCFM536/h6T(1−163)由来変異型ヒトTPO)h6T(1−163)の塩酸グアニジンとシステインーシスチンを用いたリフォールディング〜精製
実施例43で調製されたh6T(1−163)生産組換体凍結菌体50gに水500mlを加えてけん濁し、高圧破砕機(10000psi、Rannie High PressureLaboratory)で菌体を破砕した後、遠心分離により沈殿画分を回収した。沈殿画分に水を加えて懸濁し、さらに撹拌しながら水を加えて液量を250mlにした後、15mlの1MTris緩衝液pH9.2、900μlの1MDTT、3mlの0.5MEDTA、30mlの10%デオキシコール酸ナトリウムを攪拌しながら加え、室温にて30分間攪拌した。遠心分離により沈殿画分を回収し、大部分の混在蛋白質、菌体成分等を除去した。沈殿に300mlの5mMDTTを加えてけん濁した後、遠心分離によってh6T(1−163)を含む沈殿画分を回収した。回収されたh6T(1−163)を含む沈殿画分に水を加えてけん濁し、最終104m1とした。攪拌しながら20mlの1MTris緩衝液pH8.5を加えた後、376mlの8M塩酸グアニジンを加えて室温にて10分間攪拌して可溶化した。これに撹拌しながら2500mlの0.1%ポリソルベート80を含む20mMTris緩衝液pH8.5を加え、さらに1M塩酸グアニジンを含む20mMTris緩衝液pH8.5を2000ml加えた後、5mMシステインと0 5mMシスチンを加えて攪拌し溶かした。4℃中にて一晩静置した後、遠心分離によって上清中にh6T(1−163)を回収した。得られた上清をプレップスケールUFカートリッジPLDC限外濾過膜(ミリポア)を用いて濃縮し、0.1%ポリソルベート80を含む20mMTris緩衝液pH9.2にて緩衝液を置換して最終容量約1000mLとした。これを0.1%ポリソルベート80を含む20mMTris緩衝液pH9.2で平衡化したQ Sepharose Fast Flow陰イオン交換カラム(内径5cm x10cm)に添加し、同緩衝液中で塩化ナトリウム濃度0Mから500mMまでの直線濃度勾配法によって溶出を行ない、塩化ナトリウム濃度20mMから150mM付近までの塩濃度で溶出された画分240mLを回収した。得られた画分を20mMTTis緩衝液pH7.2で4倍に希釈して960mLとし、酢酸を用いてpHを7.2に調整した。これを0.1%ポリソルベート80を含む20mMTris緩衝液pH7.2で平衡化したSP Sepharose Fast Flow陽イオン交換カラム(内径5cmx 10cm)に添加し、同緩衝液中で塩化ナトリウム濃度0Mから500mMまでの直線濃度勾配法によって溶出を行なった。溶出液についてSDS−PAGEによって分析を行い、TPO溶出画分を集めた。TPO溶出画分にトリフルオロ酢酸を0.1%になる様に加え、カプセルパック5μm300AC1カラム(内径2.1cm x 5cm x 2本、資生堂)に添加した後、0.1%トリフルオロ酢酸中で1−プロパノール濃度を上昇させる直線濃度勾配溶離法によって逆相HPLCを行なった。溶出液について還元剤非存在下のSDS−PAGEにより分析した結果及び逆相HPLCでの溶出位置によって2画分に分画した。得られたTPO溶出2画分を逆相HPLCの溶出順にFr.G−a、Fr.G−d(図17参照)として各々について還元剤非存在下でのSDS−PAGEで分析した結果、各々、分子量18Kダルトン(Fr.G−a)、32Kダルトン(Fr.G−d)付近に単一のバンドとして検出された(図18参照)。また、還元剤存在下でのSDS−PAGE分析を行った結果、どちらの画分も分子量20Kダルトン付近に単一のバンドとして検出された。各々にっいてアミノ酸組成分析を行った結果、得られたアミノ酸組成はシークエンス情報からの理論値とほぼ一致し,またN末端アミノ酸配列分析の結果、予想される配列のみが得られた。またアミノ酸分析の結果から得られた各画分の蛋白質量は、各々、2.56mg(Fr.G−a)、1.16mg(Fr.G−d)であった。各画分をIMDM培養液に対して十分に透析後、M−07eアッセイを行った結果、相対活性約3960000(Fr.G−a)、相対活性約7760000(Fr.G−d)のTPO活性を示した。
<実施例62>
部分長ヒトTPO(アミノ酸1−163) (以下、このタンパク質を「hTPO163」と称す)のCHO細胞用組換えベクター、pDEF202−hTPO163の構築 実施例31で得られたべクターpDEF202を制限酵素EcoRIとSpeIで処理し、アガロースゲル電気泳動で大きい方のべクターフラグメントを回収したのち、このフラグメントと−21から163位のアミノ酸までをコードするhTPO163cDNA (配列表 配列番号13参照)を含むプラスミドpEF18S−hTP0163を制限酵素EcoRIとSpeIで処理して得られたhTPO163cDNAとをT 4DNAリガーゼ(宝酒造製)で結合させ、発現べクターpDEF202−hTPO163を得た。このプラスミドはSV40の複製開始領域、ヒトエロンゲーションファクター1−アルファプロモーター、SV40初期ポリアデニル部位、マウスDHFRミニ遺伝子、pUC18の複製開始領域、β−ラクタマーゼ遺伝子(Ampr)を含み、ヒトエロンゲーションファクター1−アルファプロモーター下流にhTPO163cDNAが接続されている。
<実施例63>
CHO細胞によるhTPO163の発現
CHO細胞(dhfr−株、UrlaubとChasin;Proc.Natl.Acad.Sci.USA;77巻4216頁、1980)を6cm径のプレート(Falcon社製)中10%牛胎児血清を含むα最小必須培地(α−MEM(−)、チミジン、ヒポキサンチン添加)で培養増殖させ、これをトランスフェクタム法(生化学工業社製)によって形質転換した。
すなわち、実施例62で調製したpDEF202−hTPO163プラスミド10μgに0.3M NaCl240μlを加え混合したのち、トランスフェクタム20μlとH2O220μlとの混合液を加え、再度混合した。このDNA溶液をプレートに滴下したのち、CO2インキュベーター中で6時間培養した。プレートから培地を除去し、α−MEM(−)にて2回洗浄後、10%ジメチルスルフォオキシド含有α−MEM(−)を添加し、室温で2分間処理した。次いで、10%透析牛胎児血清含有非選択培地(前出α−MEM(−)、ヒポキサンチン、チミジン添加)を添加して2日間培養したのち、10%透析牛胎児血清含有選択培地(α−MEM(−)、ヒポキサンチン、チミジン無添加)での選択をおこなった。選択は細胞をトリプシン処理した後、6cm径プレート1枚あたりを、10cm径プレート5枚あるいは24ウエルプレート20枚に分割したのち、2日ごとに選択培地にて培地交換を行いながら培養を続行する事により実施した。細胞が増殖してきたプレートあるいはウエルについてはその培養上清中のTPO活性をBa/F3アッセイ法を用いて測定したところ、TPO活性が認められた。培養上清中にTPO活性の認められたものについては新しいプレートあるいはウエルに25nMのメソトレキセートを含む選択培地で1:15に細胞を分割し、培養を続行することによりメソトレキセートに耐性の細胞を増殖させてクローニングを行った。
なお、CHO細胞の形質転換はCHO細胞に対しpEF18S−hTPO163とpMGIを同時形質転換(co−transfection)することによっても行うことができる。
プラスミドpDEF202−hTPO163によって形質転換されたCHO細胞株(CHO−DUKXB11)は1995年1月31日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−4989として寄託されている。
これはまた、1995年3月22日付で中華民国 食品工業発展研究所(FIRDI)に受託番号960024として寄託されている。
<実施例64>
CHO細胞の大量培養
実施例63においてhTPO163発現プラスミドpDEF202−hTPO163をCHO細胞にトランスフェクションして得られたhTPO163産生CHO細胞株(CHO109細胞、0nM MTX耐性)の大量培養は以下のようにして実施した。細胞を10%FCSを含むDMEM/F−12培地(GIBCO社)を用いて培養増殖させた。この細胞をトリプシン溶液を用いて剥離したのち、200mlの同培地を含むFalcon社製ローラーボトル(Falcon3000)に1000万個の細胞を接種し、37℃で1rpmの回転速度で3日間培養した。3日後、培養液を吸引除去し、100mlのPBSで細胞培養表面をリンスしたのち、10%FCSを含まないDMEM/F−12培地(GIBCO社)を200ml加え、37℃、1rpmの回転速度で7日間培養し、7日後その培養上清を回収し、次の精製操作の出発材料にした。上記の操作をローラーボトル300本分実施し、無血清培養上清60Lを得た。
<実施例65>
hTPO163産生CHO細胞株からhTPO163の精製
(1)実施例64より得られた無血清培養上清60Lを得て、0.22μmの濾過フィルターの濾液をとった。さらに限外濾過ユニット(フィルトロン社製・分子量10000カット)を用いて濃縮画分(600ml、蛋白質濃度11.2mg/ml、総蛋白質量6430mg)を得た。この画分を抗HT1ペプチド抗体を用いてウエスターン分析で調べたところ、見かけの分子量20000〜26000の範囲に発現されたhTP0163蛋白質が存在することが明らかとなった。
この濃縮培養上清573mlを流速約20ml/minにて、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)で予め平衡化してあったSephadex G−25 Fineカラム(ファルマシア・バイオテク社製、カタログ番号17−0032−02;直径10cm、ベッド高30cm)にて処理することにより、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)溶液となった蛋白質画分F1(938ml,蛋白質濃度4.9mg/ml,総蛋白質量4594mg)を得た。このSephadex G−25 Fineカラム蛋白質画分929mlを、予め10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)平衡化したSP Sepharose Fast Flow(ファルマシア・バイオテク社製、カタログ番号17−0729−01;直径5cm、ベッド高 12cm)カラムに流速15ml/minで添加した。添加終了後、さらに10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)、次いで10%エタノールを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)で溶出されたものまでをまとめ、画分F1(1608ml,蛋白質濃度2.13mg/ml,総蛋白質量3426mg)を得た。次に、溶出液を10mMリン酸ナトリウム(pH6.8)中に750mM NaCl、25%エタノールを含む緩衝液にかえ、溶出されたhTPO163の主たる溶出画分F2(651ml,蛋白質濃度1.67mg/ml,総蛋白質量1087mg)を集めた。
SP Sepharose Fast FlowカラムのTPO活性画分F2のうち200mlをとり、エタノール及び精製水を加え、最終エタノール濃度45%の溶液300mlを調製した。ここでエタノール添加の結果生じた不溶物を遠心分離により取り除いた後、展開溶媒A(10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.7))、展開溶媒B(90%エタノールを含む10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.7))を用意し、予め50%B液にて平衡化したSOURCE 15RPCカラム(ファルマシア・バイオテク社製、カタログ番号17−0727−02;直径2cm、ベッド高20cm)に流速2ml/minで注入した。注入後、カラム非吸着物質がほぼ溶出するまで45%B液にて洗浄した後、流速を1.5ml/minにし、まず5分間50%B)次いで50%Bから100%Bまで140分の直線濃度勾配の後、100%B液にて35分間展開した。この間5分(7.5ml)ごとに集められた溶出画分をSDS−PAGE及びウエスターン分析にかけ、hTP0163の溶出範囲を調べたところ、エタノール濃度66%〜87%の範囲に見かけの分子量約20000から26000の高度に精製されたhTP0163が溶出されていることが判明した。これらのhTPO163のうち分子量の高いものほどより早く逆相カラムから溶出したことから、糖鎖がより多く結合したhTPO163分子ほど親水性が増していることが示唆された。
SOURCE 15RPCカラムのhTPO163溶出画分(エタノール濃度68%〜86.5%の範囲に溶出したhTPO163画分90ml)のうち、88.8mlにCHAPSを添加後、限外濾過法(アミコン社製、YM−3膜付き限外濾過ユニット)により濃縮、洗浄を行い、最終的に約5%エタノール、4mMCHAPSを含む2.5mlの濃縮標品とした。この標品を予め10%エタノールを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)で平衡化したSuperdex 75pgカラム(ファルマシア・バイオテク社製、カタログ番号17−1070−01;直径2.6cm)ベッド高60cm)に流速1.5ml/minで注入した。注入後60分後から、6ml(4分)ごとに溶出画分を集めたところ、SDS−PAGEにより試験管番号16番以降の画分にhTPO163が溶出しはじめ、少なくとも31番目までの広い範囲にhTPO163が溶出していることを確認した。これは、ゲルろ過の標準分子量マーカー(Bio−Rad社製Gel Filtration Standard;カタログ番号151−1901及びCalbiochem社製インシュリン;カタログ番号407696の混合物)に対して、分子量約44000から6000の範囲に相当する。しかもこれらのhTP0163は糖がより多く付加された分子量の大きいものから順に溶出していると考えられた。試験管番号16〜31(溶出体積180〜276ml)の溶出範囲にあるすべてのhTPO163の分子種をまとめたものとして画分FAを調製した。画分FAとは別に、試験管番号16〜18(溶出体積180〜198ml)、試験管番号19〜24(溶出体積198〜234ml)、試験管番号25〜31(溶出体積234〜276ml)の各々の一部をとり、それぞれ画分FH、FM、FLとした。つまり画分FAは、実質的に画分FH、FM、FLを合わせたものとなる。以上、図19に示す。
(2)次に(1)で述べたSuperdex 75pgカラムのhTPO163溶出画分FH)FM)FL及びFAについて詳細に述べる。このようにして得られたhTPO163のN末端側のアミノ酸配列を実施例1に述べた方法と同様にして調べたところ、N末端のセリンの大部分は同定不能であったことより、N末端のセリンにO結合型糖鎖が付加されていることが強く示唆された。また、N末端のセリンに続く配列は遺伝子配列から期待されたアミノ酸配列であることが確認できた。アミノ酸組成分析(AccQ.Tag法、ウォターズ社)の結果、FH、FM、FL及びFAのhTPO163蛋白質(糖鎖を含まないペプチド部分)の濃度がそれぞれ10.2ng/ml、6.2ng/ml、0.84ng/ml、3.2ng/mlであった。これらの画分100ngをマルチゲル15/25(第一化学薬品社製15〜25%プレキャストポリアクリルアミドゲル)を用いて非還元条件或いはDTTにより還元後、SDS−PAGEを実施し銀染色(第一化学薬品社製)したところ、それぞれ極めて高純度なhTPO163標品であることが確認できた。還元条件下においてはDPCIII分子量マーカー(第一化学薬品社製)を標準として算出されたFH、FM、FL及びFAのhTPO163の見かけの分子量はそれぞれ24000〜21500、23000〜21000、23000〜20500、23500〜20500であった(図20を参照)。またウエスターン分析により還元条件下においてはビオチン標識SDS−PAGEスタンダード(Bio−Rad社製Biotynylated SDS−PAGE Standards,Broad Range:カタログ番号161−0319)を標準として算出されたFH、FM、FL及びFAのhTPO163の見かけの分子量はそれぞれ26000〜22000、25500〜22000、26000〜21000、26000〜21000であった。FH、FM、FL及びFAの分子量の不均一性は、付加されたO結合型糖鎖の不均一性によることと推定できる。そこでFH、FM、FL及びFAの各画分をノイラミニダーゼ(Neuraminidase:ナカライテスク社製、カタログ番号242−29 SP)で酵素消化し、DTTで還元後SDS−PAGEで分析したところ、いずれの画分も見かけの分子量が19000付近となったことから、hTPO163蛋白質に付加された糖鎖のシアル酸の量の不均一性が確認されたのと同時に、ここで得られたhTPO163が糖蛋白質としてCHO細胞で発現されたものであることが明らかとなった。
(3)(2)で得られたFH、FM、FL及びFAの各画分をM−07eアッセイ系でin vitro活性を調べたところ、相対比活性は1mghTPO163蛋白質(糖鎖重量を含まないペプチド部分の重量)当たり、それぞれ511000000、775000000、1150000000、715000000であった。
<実施例66>
−1位にLys、−2位にMetが付加されたヒトTPO(アミノ酸1−332)(以下「hMKT(1−332)」と称す)の大腸菌用発現ベクターの構築及び発現
ヒトTPO全長アミノ酸を大腸菌で発現させるためアミノ酸164以降のアミノ酸332までの使用コドンを以下に述べるように大腸菌優先コドンに変更した。表20に示した21−40の合成オリゴヌクレオチドを作成した。
【表20】
21及び22;23及び24;25及び26;27及び28;29及び30;31及び32;33及び34;35及び36;37及び38;39および40の合成オリゴヌクレオチドを同チューブ中でT4キナーゼ(ファルマシア社製)を用いて0.1mM ATP,10mMTris−acetate,10mM Mg−acetate,50 mM K−acetateの溶液中でリン酸化した。さらに1/10量の100mM Tris/HCl(pH7.5),100mM MgCl2,500mM NaClの溶液を加え、水浴中で3分間煮沸した後、放置することにより二本鎖DNAとした。次に21及び22;23及び24(組合わせA)、25及び26:27及び28;29及び30(組合わせB)、31及び32;33及び34(組合わせC)、35及び36;37及び38;39及び40(組合わせD)の四組の二本鎖DNAをDNAライゲーションキット(宝酒造社製)を用いて連結後、さらに(組合わせA)及び(組合わせB)、(組合わせC)及び(組合わせD)をそれぞれ同様に連結し、得られた反応液を連結1及び連結2とした。これらの反応液を鋳型として、連結1については41および42、連結2については43及び44の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCR反応を行った。連結1のPCR反応で得られたPCR産物についてはSacl,EcoRV、連結2のPCR反応で得られたPCR産物についてはEcoRV,HindIIIで消化後2%のアガロースゲルで泳動し、それぞれ約240bp及び250bpの断片をプレップ−A−ジーンDNA精製キットにより回収した。これら二本の断片ををSaclとHindIIIで消化したpBluescript IIKS+(ストラタジーン社製)にサブクローニングした(宿主はE.coli DH5を使用した)。得られたクローンのうち表21に示した塩基配列を有するものをシークエンシングにより選択し、ここで得られたクローンをpBL(SH)(174−332)とした。
【表21】
次に実施例42で作成したpBL(XH)h6T(1−163)を鋳型とし、以下の45及び46の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCR反応を行い、ここで得られたPCR産物についてはBamHI,Saclで消化後6%のポリアクリルアミドゲルで泳動し、約160bpの断片をゲルより回収した。またpBL(SH)(174−332)をSacI,HindIIIで消化して得られた約480bpの断片をプレップ−A−ジーンDNA精製キットにより回収し、これら二本の断片をBamHIとHindIIIで消化したpBIuescript IIKS+ (ストラタジーン社製)にサブクローニングした(宿主はE.coliDH5を使用した)。
45:5’−AAGGATCCGAACGCTATCTTCCTG−3’
46:5’−GGGAGCTCGTTCAGGGTCAGAACCAGAGAGGTACGAGACGGAACAGCAGTGGTTGG−3’
得られたクローンのうち表22に示した塩基配列を有するものをシークエンシングにより選択し、ここで得られたクローンをpBL(BH)(123−332)とした。
【表22】
実施例42で作成したpBL(XH)h6T(1−163)をBamHIとHindIIIで消化し、pBL(BH)(123−332)を同じ制限酵素で消化して得られた約640bpの断片を連結してクローンpBL(XH)h6T(1−334)を作成した。さらに実施例52で作成したPCFM536/hMKT(1−163)をXbal,Sfilで消化して得られた約270bpの断片を、同じ制限酵素で消化したpBL(XH)h6T(1−334)に連結してクローンpBL(XH)hMKT(1−334)を作成した。pBL(XH)hMKT(1−334)をXbal,HindIIIで消化後、変異型のヒトTPOアミノ酸1−332をコードする約1040bpの大きさのフラグメントを回収して精製後、Xbal,HindIIIで消化したpCFM536 (特表昭60−501988)にクローニングした(宿主はpMW1(ATCC No.39933)で予め形質転換されたE.coli JM109を使用した)。ここで得られたクローンをpCFM536/hMKT(1−332)とし、この発現ベクターを有する大腸菌株を変異型のhMKT(1−332)タンパク発現用の形質転換体とした。この発現プラスミドは、配列表(配列番号14)に示されたDNA配列を含んでいる。
ここで得られた形質転換株を、アンピシリン50μg/ml)テトラサイクリン12.5μg/mlを含むLB培地60mlに30℃で一晩振盪培養し、この培養液25mlをアンピシリン50μg/mlを含むLB培地1000mlに加えて、ODはA600が1.0−1.2に至るまで30℃で振盪培養した。次いで最終温度が、42℃になるように65℃の約330mlLB培地を添加し、さらに3時間42℃で振盪培養して変異型のヒトTPO、hMKT(1−332)タンパクの発現を誘導した。
この培養菌体を直接サンプルとして用いてSDS−PAGEを行った。SDS−PAGEには第一化学社製のマルチゲル15/25を用い、泳動後にクマシーブルー染色を行ったところhMKT(1−332)タンパク質の発現を誘導したものに関しては、分子量約35kDのところに発現誘導に特異的なタンパク質が検出された。一方、SDS−PAGE後にゲル上のタンパク質をニトロセルロース膜にエレクトロブロッティングし、実施例45で作製した抗HT1ペプチド抗体と反応させ発色させたところ、分子量約35kDのところにバンドが検出されたことから、hMKT(1−332)の発現が確認された。
<実施例67>
ヒトTPO置換誘導体の作製とCOS7細胞での発現〜活性確認
ヒトTPOのアミノ酸の一部を置換した誘導体が活性を有するかどうかを以下のとおり検討した。
本実施例で用いた動物細胞発現ベクターpSMT201は以下のように作製した。まず、マウスエリスロポエチンレセプタ−cDNAを含む発現プラスミドpXM−mEP0Rn(Dana Farbor癌研究所D’Andrea博士より入手、Cell.57巻、277−285頁(1989))を制限酵素KpnIおよびEcoRIで処理した後、アガロースゲル電気泳動しマウスエリスロポエチンレセプターcDNA部分を除くpXMベクター断片を回収した。次に回収したpXM発現ベクターに種々のクローニング用制限酵素部位を導入するための2本の合成オリゴヌクレオチドをABI社製DNA合成機を用いて作製した。合成したオリゴヌクレオチドの塩基配列を以下に示す。
プライマー1:
プライマー2:
この2本のオリゴヌクレオチドを混合し、アニーリングさせ2本鎖オリゴヌクレオチドとした後、上記で回収したpXMベクター断片とをT4DNAリガーゼ(宝酒造製)で結合させ、発現ベクターpDMT201を得た。次にこの発現ベクターpDMT201に含まれるマウスDHFR cDNAを除去するためにpDMT201ベクター及びpEF18Sベクターを制限酵素NotIおよびHpaIで処理後アガロースゲル電気泳動し、pDMT201ベクターDNA由来の大きい方の断片とpEF18SベクターDNA由来の小さい方の断片を回収し、T4DNAリガーゼ(宝酒造製)で結合させることにより発現ベクターpSMT201を得た。このベクターは、図21に示したとおりSV40の複製開始領域およびエンハンサー配列、アデノウィルス主要後期プロモーター配列、アデノウィルストリパータイトリーダー配列、スプライス信号配列、SV40初期ポリアデニル部位配列、アデノウィルスVARNA遺伝子配列、pUC18の複製開始領域、β−ラクタマーゼ遺伝子(Ampr)を含み、目的とする遺伝子を連結するための制限酵素配列として、BglII、PstI、KpnI、XhoI、EcoRI、SmaI、SpeI、およびNotI部位を有する。実施例30で示した完全長ヒトTPOcDNAを含むpHTP1を制限酵素EcoRIおよびSpeIを用いて酵素消化し得られた完全長ヒトTPOcDNA断片を、同様に制限酵素消化したベクターpSMT201にサブクローニングすることによりプラスミドpSMT201−hTPOを得た。
以上のようにして得たプラスミドpSMT201−hTPOを鋳型にして、まず誘導体作製用の鋳型となるプラスミドβGL−TPO/pBlueを以下のように作製した。
βGL−TPO/pBlueではヒトTPOの5’非翻訳側に、Annweilerらの方法に従いウサギのβ−グロビンリーダー配列の付加を試みた(Annweilerら、NucleicAcidsResearch、19巻、3750頁)。まず以下に示す化学合成した2本のDNA鎖、そしてベクターBluescriptIISK+(東洋紡績社製)を制限酵素EcoRI及びSmaIで消化した断片とをライゲーションすることによりリーダー配列が挿入されたベクターβGL/pBlueを作製した。
PCRに用いたプライマーの配列は以下の通り。
(配列番号7の102−122にSmaI配列を付加したもの)
end:5’−TCAAGCTTACTAGTCCCTTCCTGAGACAGATTCTG−3’(配列番号7の1140−1160のアンチセンス、SpeI及びHindIII配列を付加) PCRはプラスミドpSMT201−hTPO DNA1ngを鋳型として使用し、合成したプライマーをそれぞれ10μM使って実施した。TaKaRa PCR Amplification Kit(宝酒造社製)を用いて、Programmable Thermal Controller(MJ Research社製)により100μlの容量でPCR(94℃1分間、55℃2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45秒間、55℃1分間、72℃1分間を20サイクル)を行った。PCR産物をクロロホルム抽出し、エタノール沈殿を2回行った後100μlのTEバッファーに溶解した。これを制限酵素SmaI、HindIIIで消化後、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿を行った。得られた沈殿を10μl(7)TEバッファーに溶解後、同様に制限酵素消化したベクターβGL/pBlueにサブクローニングした(宿主菌は東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli JM109を使用)。得られた形質転換体のうち20クローン選択し、プラスミドDNAを調製した。方法は本質的にMolecular Cloning [Sambookら、Cold Spring Harbor LaboratoryPress(1989)]に記載されているようにして実施した。精製したプラスミドDNAについてはTaq Dye DeoxyTMTerminater Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーにより塩基配列の確認を行った。βGL−TPO/pBlueをコードするプラスミドは全長にわたり塩基配列の置換がなく予想通りのTPOcDNA配列を持っことを確認した。さらにβGL−TPO/pB1ueを制限酵素BgIIINSpeIで消化後、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿を行った。得られた沈殿を10μlのTEバッファーに溶解し、同様に制限酵素消化したベクターpSMT201にサブクローニングした(宿主菌は東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli JM109を使用)。本質的にMolecular Cloning[Sambookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載されている方法に従い、形質転換体からプラスミドDNAを調製した。得られた発現ベクターpSMT/βGL−TPOは、図21に示したpSMT201ベクターのスプライス信号配列の下流にある制限酵素配列BglII/SpeI部位にβ−グロビンリーダー配列及びヒトTPOcDNAが接続された構造を有している。このpSMT/βGL−TPOベクターをCOS7細胞へのトランスフェクション実験に用いた。
ヒトTPO置換誘導体の作製にはPCRを利用し、Itoらの方法に従った(Itoら、Gene、102巻、67−70頁 1991年)。ここでは、ヒトTPOの25位のArg残基をAsn残基に置換した誘導体、並びに33位のHis残基をThr残基に置換した誘導体の作製を試みた。PCRに用いたプライマーの配列は以下の通り。
T7:5’−TAATACGACTCACTATAGGGCG−3’(BluescriptIISK+のT7プロモ一タ一領域に対応)
ΔBgIII :5’−AATTCCAAGATCACACACTTGC−3’(制限酵素BgIII認識配列置換用) end :5’−TCAAGCTTACTAGTCCCTTCCTGAGACAGATTCTG−3’(配列番号7の1140−1160のアンチセンス、SpeI及びHindIII配列を付加)N3:5’−TGGGCACTGGCTCAGGTTGCTGTGAAGGACATGGG−3’(配列番号7のArg25→Asn)
09:5’−TGTAGGCAAAGGGGTAACCTCTGGGCA−3’(配列番号7のHis33→Thr) 第1段階のPCRはプラスミドβGL−TPO/pBlue DNA1ngを鋳型として使用し、合成したプライマーをそれぞれ10μM使って実施した(プライマーの組み合わせは[1]ΔBgIIIとend、[2]T7とN3、[3]T7と09)。TaKaRa PCR AmplificationKit(宝酒造社製)を用いて、Programmable Thermal Controller(MJ Research社製)により100μlの容量でPCR(94℃1分間、55℃2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45秒間、55℃1分間、72℃1分間を17サイクル)を行った。それぞれのPCR産物をクロロホルム抽出し、エタノール沈殿を2度行った後100μlのTEバッファーに溶解した。このPCR産物を2種類1μlずつ用いて第2段階のPCRを行った。鋳型の組み合わせは[1]と[2]のPCR産物、[1]と[3]のPCR産物である。用いたプライマーはすべてT7とendの組み合わせである。94℃で10分間インキュベートした後TaKaRa Taqを加え、94°C1分間、55℃2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45秒間、55℃1分間、72℃1分間を9サイクル行った。それぞれのPCR産物に5mg/ml proteinase Kを1μl)0.5M EDTAを2μl、20%SDSを2μl加え37℃で30分間保温しTaqを失活させた後、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿し20μlの滅菌水に溶解した。これを制限酵素BgIII、SpeIで消化後、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿を行った。得られた沈殿を10μlのTEバッファーに溶解後、同様に制限酵素消化しアルカリホスファターゼ(仔ウシ腸、ベーリンガー・マンハイム社製)処理した発現ベクターpSMT201にサブクローニングした(宿主菌は東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli JM109を使用)。得られた形質転換体のうち、それぞれ2クローンずつ選択し、プラスミドDNAを調製した。方法は本質的にMolecular Cloning[Sambookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)]に記載されているようにして実施した。精製したプラスミドDNAについてはTaqDye DeoxyTMTerminater Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーにより塩基配列の確認を行った。
[1]と[3]のPCR産物に由来するプラスミドには意図したアミノ酸置換[His33(CAC)→Thr(ACC)]をもち、かつC末端(Gly332)に以下のアミノ酸配列からなるペプチドが付加されたTPO置換誘導体(09/TPO)をコードするcDNAが含まれていることが確認された。
一方、[1]と[2]のPCR産物に由来するプラスミドは意図したアミノ酸置換[Arg25(AGA)→Asn(AAC)]以外に更に1カ所のアミノ酸置換[Glu231(GAA)→Lys(AAA)]もち、かつC末端(G1y332)に以下のアミノ酸配列からなるペプチドが付加されたTPO置換誘導体(N3/TPO)をコードするcDNAを含んでいることが判明した。
ペプチド:
TSIGYPYDVPDYAGVHHHHHH
得られたそれぞれのクローンのCOS7細胞へのトランスフェクションは、実施例35に従いクロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法で行った。すなわちプラスミドDNA40μgを使用し、トランスフェクション5日後に培養上清を回収した。回収した培養上清をセントリコン−30(アミコン社製)で20倍に濃縮しM−07eアッセイ系で評価した。その結果、ヒトTPO置換誘導体N3/TPO、09/TPOをコードするプラスミドでトランスフェクトしたCOS7細胞培養上清中に、いずれも用量依存的にTPO活性が検出された(図22参照)。
<実施例68>
ヒトTPO挿入・欠失誘導体の作製とCOS7細胞での発現〜活性確認
hTPO163にアミノ酸を挿入した誘導体またはhTPO163からアミノ酸を欠失した誘導体が活性を有するかどうか検討した。作製した誘導体は配列番号13の旧s33欠失体(dH33)、Gly116欠失体(dG116)、Arg117欠失体(dR117)、His33とPro34の間へのThr挿入体(T33’)、Ala挿入体(A33’)、Gly挿入体(G33’)およびGly116とArg117の間へのAsn挿入体(N116’)、Ala挿入体(A116’)、Gly挿入体(G116’)である。これらのうちT33’、N116’はそれぞれムチン型糖鎖、Asn結合型糖鎖の導入を意図した誘導体である。
誘導体の作製にはPCRを利用し、Itoらの方法に従った(Itoら、Gene、102巻、67−70頁、1991)。PCRに用いたプライマーの配列は以下の通り。
dH33:5’−TGTAGGCAAAGGAACCTCTGGGCA−3’(配列番号7の旧s33欠失体作製用)
T33’:5’−TGTAGGCAAAGGAGTGTGAACCTCTGG−3’(配列番号7の旧s33とPro34の間へのThr挿入体作製用)
A33’:5’−TGTAGGCAAAGGAGCGTGAACCTCTGG−3’(配列番号7のHis33とPro34の間へのAla挿入体作製用)
G33’:5’−TGTAGGCAAAGGTCCGTGAACCTCTGG−3’(配列番号7の旧s33とPro34の間へのGly挿入体作製用)
dG116:5’−AGCTGTGGTCCTCTGTGGAGGAAG−3’(配列番号7のGly116欠失体作製用)
dR117:5’−GTGAGCTGTGGTGCCCTGTGGAGG−3’(配列番号7のArg117欠失体作製用)
N116’:5’−AGCTGTGGTCCTGTTGCCCTGTGGAGG−3’(配列番号7のGIy116とArg117の間へのAsn挿入体作製用)
A116:5’−AGCTGTGGTCCTAGCGCCCTGTGGAGG−3’(配列番号7のGly116とArg117の間へのAla挿入体作製用)
G116’:5’−AGCTGTGGTCCTTCCGCCCTGTGGAGG−3’(配列番号7のGIy116とArg117の間へのGly挿入体作製用)
dRI:5’−CGGGCTGCAGGATATCCAAGATCTCA−3’(制限酵素EcoRI認識配列置換用)T7:5’−TAATACGACTCACTATAGGGCG−3’(BluescriptIISK+のT7プロモーター領域に対応)
endNotI:5’−GGGCGGCCGCTCAGCTGGGGACAGCTGTGGTGGG−3’(配列番号7の633−653のアンチセンス、終止コドンとNotI認識配列を付加)
第1段階のPCRは実施例67で作製したプラスミドβGL−TPO/pBlue DNA1ngを鋳型として使用し、合成したプライマーをそれぞれ10pM使って実施した。プライマーの組み合わせは[1]dRIとendNotI、[2]T7と変異導入プライマー(dH33,A33’,G33’,T33’,dG116,dR117,A116’,G116’,N116’)である。TaKaRa PCR Amplification Kit(宝酒造社製)を用いて、Programmable Thermal Controller (MJReserch社製)により100μlの容量でPCRを行った。[1]の反応は、94℃1分間、45℃2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45秒間、45℃1分間、72℃1分間を17サイクル。[2]の反応は、94℃1分間、55℃2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45秒間、55℃1分間、72℃1分間を17サイクル。それぞれのPCR産物をクロロホルム抽出し、エタノール沈殿を2度行った後100μlのTEバッファーに溶解した。
次に、[1]と[2]のPCR産物をそれぞれ1μlずつ用いて第2段階のPCRを行った。用いたプライマーはすべてT7とendNotIの組み合わせである。94℃で10分間インキュベートした後TaKaRa Taqを加え、94℃1分間、55℃2分間、72℃2分間を3サイクル、続けて94℃45秒間、55℃1分間、72℃1分間を9サイクル行った。それぞれのPCR産物に5mg/ml proteinase Kを1μl、0.5M EDTAを2μl、20%SDSを2μl加え37℃で30分間保温しTaqを失活させた後、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿し20plの滅菌水に溶解した。これを制限酵素EcoRI、NotIで消化後、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿を行った。得られた沈殿を10μl(7)TEバッファーに溶解後、同様に制限酵素消化しアルカリホスファターゼ(仔ウシ腸、ベーリンガー・マンハイム社製)処理した発現べクターpEF18Sにサブクローニングした(宿主菌は東洋紡績社製コンピテント・ハイE.coli JM109を使用)。得られた形質転換体からプラスミドDNAを調製した。方法は本質的にMolecular Cloning[Sambookら、Cold Spring HarborLaboratory Press(1989)]に記載されているようにして実施した。精製したプラスミドDNAについてはTaq Dye DeoxyTMTerminater Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、アプライドバイオシステムズ社製373ADNAシークエンサーにより塩基配列の確認を行った。その結果、dH33、A33’、T33’、dG116、dR117、A116’、G116’、N116’をコードするプラスミドは全長にわたり意図した部位以外に塩基配列の置換がなく予想通りのTPOcDNA配列を持っことを確認した。また、G33’では意図した部位以外に1カ所のアミノ酸置換をもたらす塩基置換[Pro38(CCT)→Ser(TCT)]が認められた。
得られたそれぞれのクローンのCOS7細胞へのトランスフェクションは、実施例11に従って行った。すなわちプラスミドDNA10μgを使用し、クロロキン処理を含むDEAE−デキストラン法を用いたトランスフェクションを行い、4−5日後に培養上清を回収した。回収した培養上清をM−07eアッセイ系で評価した。その結果、アミノ酸挿入・欠失誘導体をコードするプラスミドでトランスフェクトしたCOS7細胞培養上清中に、いずれも用量依存的にTPO活性が検出された(図23参照)。TPO誘導体をコードするcDNAを含まない発現プラスミドpEF18SをトランスフェクションしたCOS7細胞培養上清には活性が認められなかった。
<実施例69>
TPOによる血小板増加作用
あらかじめ眼窩静脈より採血し、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定した正常な8週齢のICR系雄性マウス20匹を無作為に4群に分けた。そのうちの1群(コントロールーiV群)には100μlのPBSを1日1回5日間連続で静脈内に投与し、他の1群(TPO−iv群)には実施例56で得られたSP Sepharose Fast FlowのヒトTPO活性画分F2の濃縮液をNAP−25カラム(ファルマシア・バイオテク社製、カタログ番号17−0852−02)でPBSに置換し、さらにPBSで希釈したもののうち100μl(M−07eアッセイ系での相対活性量211,900を含む)を1日1回5日間連続で静脈内に投与した。また、別の1群(コントロール−sc群)には100μlのPBSを1日1回5日間連続で皮下に投与し、他の1群(TPO−sc群)にはTPO−iv群と同様に100μlを1日1回5日間連続で皮下に投与した。
投与開始後6、8、10、13、15日目にそれぞれのマウスの眼窩静脈より経日的に採血し、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定した。
血小板数の推移を図24に示した。
すなわち、コントロールーiv群では血小板数は最も増加した6日目においても投与前と比較して44%の増加であり、コントロール−sc群では最も増加した8日目において47%増加が観察されたにすぎなかった。その一方で、TPO−iv群では6日目には投与前と比較して177%の増加がみられ、その後も増加を続け10日目には469%という最大の増加が観察された。また、TPO−sc群では6日目にすでに347%の増加が見られ、8日後には最大の493%の増加が観察された。
以上の結果より、ヒトTPOは種差、投与ルートに関係なく血小板の増加作用を有することが確認された。
<実施例70>
TPOによる血小板増加作用
あらかじめ眼窩静脈より採血し、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定した正常な11週齢のC3H/HeJ系雄性マウス16匹を無作為に4群に分けた。そのうちの1群(コントロール群)には100μlのPBSを1日1回5日間連続で皮下に投与した。他の1群(TPO−1群)には実施例56で得られたSephacryl S−200HRのヒトTPO活性画分F1をNAP−25でPBSに置換し、さらにPBSで希釈したもののうち100μl(M−07eアッセイ系での相対活性量83,000を含む)を1日1回5日間連続で皮下に投与した。別の1群(TPO−2群)にはTPO−1群で投与したTPO活性画分をさらにPBSで2倍に希釈したもののうち100μl(M−07eアッセイ系での相対活性量41,500を含む)を1日1回5日間連続で皮下に投与した。また最後の1群(TPO−3群)にはTPO−2群で投与したTPO活性画分をさらにPBSで2倍に希釈したもののうち100μl(M−O7eアッセイ系での相対活性量20,750を含む)を1日1回5日間連続で皮下に投与した。
投与開始後6、8、10、12日目にそれぞれのマウスの眼窩静脈より経日的に採血し、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定した。
血小板数の推移を図25に示した。
すなわち、コントロール群では血小板数にほとんど変動が見られなかった。TPO投与群では、いずれの群においても投与開始8日目に最大となるような血小板数の増加が認められた。また、各投与群の間には用量依存性が認められた。すなわち、TPO−1群では、6日目に既に約200%の増加が見られ、8日目には約270%にまで増加した。その後減少したが、12日目においても約65の増加が見られコントロール群との間に有意差(p<0.01:ダネットの多重比較検定:Dunnet multiple comparison test)が認められた。TPO−2群においても同様に増加が見られたが、増加作用はTPO−1群には及ばないものの6、8日目にはそれぞれ約140%、約160%の増加を認めた。また、12日目にはコントロール群とほぼ同様のレベルにまで減少した。TPO−3群における増加作用はTPO−2群よりもさらに弱かったが、最高値に達した8日目には約110%の増加が見られており、コントロール群との間に有意差(p<0.01)も認められた。
以上の結果より、ヒトTPOは、マウスの系統に関係なく血小板数を増加させること、またその作用には用量依存性があることが確認された。
<実施例71>
TPOによる制がん剤投与による血小板減少症阻止効果
8週齢のICR雄性マウス30匹に5−FUを200mg/kg体重の割合で静脈内投与した後、無作為に各々15匹の2群に分け、その翌日(Day1)より一方の群(コントロール群)には100μlのPBSを1日1回5日間連続で皮下に投与した。またもう一方の群(TPO群)には、実施例69で用いたヒトTPO活性画分F2100μl(M−07eアッセイ系での相対活性量211,900を含む)を1日1回5日間連続で皮下に投与した。
投与開始後Day4、6、8にそれぞれの群より各々5匹のマウスを無作為に抽出し、眼窩静脈より採血し、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、E−2500)にて血小板数を測定した。
血小板数の推移を図26に示した。
すなわち、コントロール群では5−FU投与後血小板数は経日的に減少し、Day6には最低値(5−FU投与前値の約28%)に達したが、Day8には減少の反動で約1.3倍にまで増加した。TPO群においても5−FU投与後血小板数は経日的に減少し、Day6には最低値(5−FU投与前値の約52%)に達したがDay4と6の血小板数にほとんど差はなく、また、Day6においてはコントロール群に比して有意(p<0.05:ダネットの多重比較検定)に高値を維持した。Day8においては、5−FU投与前値の約200%にまで増加した。
以上の結果より、ヒトTPOには、制がん剤による血小板減少を阻止する効果があることが確認された。
<実施例72>
TPOによる血小板減少症治療効果
7週齢のICR雄性マウス36匹に塩酸ニムスチン(ACNU)を50mg/kg体重の割合で静脈内投与した後、無作為に各々18匹の2群に分け、その翌日(Dayl)より一方の群(コントロール群)には200μlのPBSを1日2回連日皮下投与し、またもう一方の群(TPO群)には、実施例70で用いたTPO活性画分F1にPBSで希釈せずに0.04%の割合でTween−80を添加したもの200μl(M−07eアッセイ系での相対活性量360,000を含む)を1日2回連日皮下投与した。
投与開始後各々の群でマウスを無作為に3群に分け、それぞれをDay5、12に採血する群、Day8、14に採血する群そしてDay10に採血する群とした。採血は眼窩静脈より行い、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定した。
血小板数の推移を図27に示した。
すなわち、コントロール群ではACNU投与後に血小板数は経日的に減少し、Day8〜10で最低(各々ACNU投与前値の約29%)となり、Day12に約49%、Day14に約74%に回復したにすぎなかった。一方TPO群では、Day5にはACNU投与前値の約38%にまで減少した。その後は増加に転じ、ACNU投与前値に比してDay8では約63%にまで回復し、Day10以降はACNU投与前値以上の血小板数を示し、Day12では約300%、Day14では約400%にまで増加した。
以上のように、コントロール群では減少の過程にあるDay8〜10において既にTPO群では増加に転じており、Day10で既にACNU投与前値以上の血小板数まで増加していることから、ヒトTPOは制ガン剤により惹起される血小板減少からの回復を促進する効果を有することが確認された。
なお、実施例71の結果を併せてもヒトTPOには制ガン剤の種類に関係なく血小板数の減少を阻止する効果および血小板減少からの回復を促進する効果を有することが期待される。
<実施例73>
TPOによるBMT施行後の血小板減少症治療効果
7週齢のC3H/HeN系の雄性マウス48匹に10Gyの放射線を全身照射した後、同系のマウスの骨髄細胞1×106個を直ちに静脈内投与した。そこで無作為に2群に分け、翌日(Day1)より一方の群(コントロール群)にはPBSを、他方の群(TPO群)には実施例70で用いたTPO活性画分F1(M−07eアッセイ系での相対活性量44,000を含む)をそれぞれ1日1回100μlずつ20日間連日で皮下投与した。
投与開始後Day5、10、14、21にそれぞれの群より各々6匹のマウスを無作為に抽出し、眼窩静脈より採血し、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、E−2500)にて血小板数を測定した。
血小板数の推移を図28に示した。
すなわち、いずれの群においてもBMT施行後に血小板数は経日的に減少し、Day10に最低(BMT施行前の約3%)となった。その後は徐々に回復し、Day14にはコントロール群で約11%、TPO群で約13%となった。Day21にはコントロール群では37%に回復したにすぎなかったが、TPO群では約65%にまで回復し有意な回復促進効果が認められた。
以上の結果より、実施例56で精製されたヒトTPOには、BMT施行後の血小板数の回復を促進する効果があることが確認された。
<実施例74>
TPOによる放射線照射後の血小板減少症治療効果
8週齢のICR系の雄性マウス36匹に5GyのX線を全身照射した後、無作為に2群に分け、翌日(Day1)より一方の群(コントロール群)にはPBSを、他方の群(TPO群)には実施例70で用いたTPO活性画分F1(M−07eアッセイ系での相対活性量1,440,000を含む)をそれぞれ1日1回3日間連日で皮下投与し、翌日よりM−07eアッセイ系での相対活性量360,000を1日1回7日間連日で皮下投与した。投与開始後各々の群でマウスを無作為に3群に分け、それぞれをDay4、11、21に採血する群、Day7、13に採血する群そしてDay9、15に採血する群とした。採血は眼窩静脈より行い、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定した。図29に血小板数の推移を示した。
すなわち、コントロール群ではX線照射後に血小板数は経日的に減少し、Day9で最低(X線照射前値の約24%)となり、Day11に約38%、Day13に約67%に回復し、Day15にX線照射前値にまで回復した。一方TPO群では、Day7にはX線照射前値の約24%にまで減少した。その後は増加に転じ、x線照射前値に比してDay9では約82%にまで回復し、Day11以降はX線照射前値以上の血小板数を示し、Day21までその傾向は維持された。
以上のように、コントロール群では減少の過程にあるDay9において既にTPO群では増加に転じており、Day11で既にX線照射前値以上の血小板数まで増加し、その後も高値を維持した。一方、コントロール群ではX線照射前値以上の血小板数まで回復するために15日を要している。この結果より、実施例56で精製されたヒトTPOは放射線照射後の血小板減少からの回復期間を短縮することが認められ、放射線照射後の血小板減少症治療効果が認められた。
<実施例75>
hTPO163による血小板増加作用
あらかじめ眼窩静脈より採血し、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定した正常なC3H/HeN系雄性マウス15匹を無作為に4群(コントロール群、A,B,C群)に分けた。1群(コントロール群)には0.1%のマウス血清を含むPBSを1日1回5日間連続で皮下に投与した。A群には、実施例65で得られたSPSepharose Fast FlowのTPO活性画分F2を0.1%のマウス血清を含むPBSで希釈しhTPO163を1日あたり、M−07eアッセイ系での相対活性量として約40,000,000/kg体重、B群には同様にM−07eアッセイ系での相対活性量として約8,000,000/kg体重、そしてC群にも同様にM−07eアッセイ系としての相対活性量として約1,600,000/kg体重の割合で5日間連続で皮下に投与した。
投与開始後6、8、10、12日目にそれぞれのマウスの眼窩静脈より経日的に採血し、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、F−800)にて血小板数を測定した。血小板数の推移を図30に示した。
すなわち、コントロール群では血小板数にほとんど変動が見られなかった。TPO投与群では、いずれの群においても投与開始8日目に最大となるような血小板数の増加が認められた。また、各投与群の間には用量依存性が認められた。すなわち、A群では、6日目に約88%、8日目に約100%の増加が見られ、10日目においても約97%の増加を維持し、いずれもコントロール群との間に有意差(p<0.01:ダネットの多重比較検定)が認められた。B群においても同様に増加が見られたが、増加作用はA群には及ばないものの6、8日目にはそれぞれ約65%、約84%の増加を認め、コントロール群との間に有意差(p<0.01もしくはp<0.05:ダネットの多重比較検定)が認められた。C群における増加作用はB群よりもさらに弱かったが、最高値に達した8日目には約31%の増加が見られた。
以上の結果より、実施例65で精製されたhTPO163には、血小板数を増加させること、またその作用には用量依存性があることが確認された。
<実施例76>
hTPO163による血小板減少症治療効果
8週齢のC3H/HeN雄性マウス100匹に塩酸ニムスチン(ACNU)を50mg/kg体重の割合で静脈内投与した後、無作為に各々25匹の4群(コントロール,A,B,C群)に分け、その翌日(Day1)よりコントロール群にはPBSを5ml/kg体重の割合で1日1回連日皮下投与し、A群には実施例65で得られたSP Sepharose Fast FlowのTPO活性画分F2をPBSで希釈し、hTPO163をM−07eアッセィ系における相対活性量として約16,000,000/kg体重の割合で1日1回連日皮下投与した。B群には同様にM−07eアッセイ系における相対活性量として約48,000,000/kg体重の割合で、またC群にはM−07eアッセイ系における相対活性量として約160,000,000/kg体重の割合で1日1回連日皮下投与した。
投与開始後各々の群でマウスを無作為に5群に分け、それぞれをDay5、8、10、12そして14に採血した。採血は眼窩静脈より行い、マイクロセルカウンター(東亜医用電子製、E−2500)にて血小板数を測定した。血小板数の推移を図31に示した。
すなわち、コントロール群ではACNU投与後に血小板数は経日的に減少し、Day8〜10で最低(ACNU投与前値の約15〜16%)となり、Day12に約28%、Day14に約51%に回復したにすぎなかった。一方A群では、Day8にはACNU投与前値の約25%にまで減少したが、その後は増加に転じ、Day10には約34%に、Day12には約89%に、そしてDay14にはACNU投与前値以上にまで回復した。
B群では、Day8にはACNU投与前値の約23%にまで減少したが、その後は増加に転じ、Day10にはすでに約64%にまで回復し、Day14にはACNU投与前値以上にまで回復した。また、C群においても同様にDay10以降に増加に転じ、Day12以降にはACNU投与前以上にまで回復した。
以上のように、いずれの群においても血小板数の最低値はDay8に観察されたが、ヒトTPO投与群ではコントロール群に比して減少が緩やかであり、最低値の底上げが見られた。また、コントロール群ではDay10においても血小板数の回復はほとんど見られなかったが、ヒトTPO投与群ではDay10には程度の差はあるが全ての群で血小板数の回復が観察され、50μg/kg投与群ではDay12にはすでにACNU投与前置以上にまで回復した。コントロール群ではDay14においてもACNU投与前置の約51%に回復したにすぎなかったことと比較すると、参考例2で生産されたhTPO163は、血小板減少からの回復を促進する効果を有することが明らかとなった。以上、実施例65で精製されたhTPO163は制ガン剤により惹起される血小板減少症に対する治療効果が認められた。
<実施例77>
ヒトTPO誘導体の大腸菌における作製
大腸菌で発現されるTPOの生物活性、安定性、および溶解性の向上を試みて、TPO誘導体を設計し、作製した。作製した誘導体は、配列番号11のLeu129のArg置換体(L129R)、His133のArg置換体(H133R)、Met143のArg置換体(M143R)、Gly82のLeu置換体(G82L)、Gly146のLeu置換体(G146L)、Ser148のPro置換体(S148P)、Lys59のArg置換体(K59R)およびGln115のArg置換体(Q115R)である。
TPO誘導体作製のための鋳型としては、実施例42に記載のh6T(1−163)を用い、変異導入のため以下に示すオリゴDNAを合成した。
L129R;5’−ATCTTC CGT TCTTTCCAGCACCT−3’(配列番号11のLeu129のArg置換体作製用)
H133R;5’−TCTTTCCAGCGT CTGCTGCGT−3’(配列番号11のHis133のArg置換体作製用)
M143R;5’−CGTTTCCTGCGT CTGGTTGGC−3’(配列番号11のMet143のArg置換体作製用)
G82L;5’−GGCCAGCTTCTG CCGACCTGCCT−3’(配列番号11のGly82のLeu置換体作製用)
G146L:5’−ATGCTGGTTCTG GGTTCTACCCT−3’(配列番号11のGly146のLeu置換体作製用)
S148P ;5’−GTTGGCGGTCCG ACCCTGTGCG−3’(配列番号11のSer148のPro置換体作製用)
K59R;5’−GAAGAGACCCGC GCTCAGGACATCC−3’(配列番号11のLys59のArg置換体作製用)
Q115R:5’−CTGCCGCCACGT GGCCGTACCAC−3’(配列番号11のGln115のArg置換体作製用)
以下に示す変異プラスミドはすべてSculptorインビトロミュータジェネシスキツト(Amersham社製)を用いて作製した。
実施例42に記載のプラスミドpCFM536/h6T(1−163)から得られるXba I−Hind III断片をBluescript II SK− (東洋紡績社製)のXba I−Hind III切断部位間に挿入して、プラスミドpSKTPOを作製した。プラスミドpSKTPOは大腸菌JM109に保持させた。ヘルパーファージM13K07(宝酒造社製)を用いてpSKTPOから一本鎖DNAを調整し、上記の変異用合成オリゴDNAを用いて、キットに添付のプロトコールに従い、変異プラスミドを作製した。得られた候補プラスミドについて挿入断片の塩基配列を決定し、目的とする部位が変異されていることを確認した。
上記で作製したすべてのpSKTPOの誘導体よりXba I−Hind III断片を抽出し、プラスミドpCFM536のXba I−Hind III切断部位間に挿入した後、大腸菌261に形質転換し、目的とするTPO誘導体を発現させる形質転換体を完成させた。
目的とするTPO誘導体をコードする遺伝子を含む形質転換体の培養は、実施例43に従って実施した。得られたh6T(1−163)生産組換体の凍結菌体(約3g)に、10mM EDTA、10mM DTT、1mM PMSFを含む20mMトリス緩衝液(pH8,5)を約30mL加え、懸濁した後、氷冷下1分間の間隔をおいて1分間のソニケーション(超音波破砕機を使用)を5回行なった。破砕した菌体を遠心チューブに移し、4℃、15000rpmで10分間遠心し、ペレットを集めた。
このペレットに、8Mグアニジン塩酸塩、5mM EDTA、1mM PMSFを含む10mMトリス緩衝液(pH8.7)約30mLを加えて懸濁し、さらに約50mgのDTTを加え、室温にて1〜2時間攪拌し、蛋白質試料を還元した。還元後、2M塩酸溶液を用いて試料のpHを5に調整し、4℃に放置した。還元した蛋白質試料を、30%グリセロール、3M尿素、3mMシスタミン、1mML−システインを含む10mM CAPS緩衝液(pH10.5、約1.5L)に対して希釈した。
希釈は、室温で一晩かけて実施した。希釈後の試料溶液を室温で2日間攪拌し、試料蛋白質を充分に酸化した後、8000rpmで45分間遠心し、不溶物を除去した。遠心後の上澄みを6Mリン酸を用いてpH6.8に調整し、イオン交換水で2倍に希釈した後、不溶物をフィルターペーパー(東洋濾紙製、#2、直径90mm)2枚を用いてろ過した。ろ液をイオン交換樹脂(CM−Sepharose fast flow、Pharmacia製)のカラム(2.6x10cm)に吸着させた後、15%グリセロール、1M尿素を含む10mMリン酸緩衝液(pH6.8)約400mLで洗った後、15%グリセロールを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.2)約300mLでカラムを平衡化した。目的試料の溶出には、15%グリセロールを含む10mMリン酸緩衝液から0.5M食塩を含む同緩衝液までの直線濃度勾配を用い、流速1mL/minで行なった。カラムからの蛋白質の溶出を280nmにおける紫外吸収で追跡し、目的蛋白質を含むフラクションを集めた(約30〜40mL)。このフラクションを遠心濃縮器(Centriprep 10、Amicon社製)を用いて約2mLに濃縮した後、逆相HPLC(Waters社製)を用いて精製した。この時、カラムにはWaters社製μBondasphere C4(3.9x150mm)を用い、蛋白質の溶出には、0.05%TFA溶液である溶離液Aと、70%2−Propanol, 30%CH3CNおよび0.02%TFAを含む溶離液Bを用い、B溶離液の濃度を40分間で1%から100%まで変化させ、目的蛋白質を溶出させた。TPO誘導体は、この条件では、いずれも約30分の位置に溶出された。
精製されたTPO誘導体の活性測定を行なうため、溶出された誘導体を集め、2Lの10mMリン酸緩衝液に対して2日間透析した後、遠心濃縮器(Centriprep 10、Amicon社製)を用いて濃縮し、M−07eアッセイに供した。調製された各TPO誘導体は、いずれも対照として用いたh6T(1−163)と同様の生物活性を示した(図32、図33参照)。
以下、製剤例を示す。
<製剤実施例1>
実施例56で得られたヒトTPO画分を濃縮し、無菌処理した後−20℃で凍結された凍結物を用いて注射剤とした。
<製剤実施例2>
実施例56で得られたヒトTPO画分を濃縮し、これを無菌操作で10mlバイアル瓶に5ml充填し、−20℃で凍結乾燥後、ゴム栓に施栓した凍結乾燥物を用いて注射剤とした。
<製剤実施例3>
実施例56で得られたヒトTPO画分を濃縮し、これを無菌濾過した後10m1バイアル瓶に充填し注射剤とした。
<製剤実施例4>
実施例65で得られたhTPO163画分を濃縮し、これを無菌処理した後−20℃で凍結された凍結物を用いて注射剤とした。
<製剤実施例5>
実施例56で得られたhTPO163画分を濃縮し、これを無菌操作で10mlバイアル瓶に5ml充填し、−20℃で凍結乾燥後、ゴム栓に施栓した凍結乾燥物を用いて注射剤とした。
<製剤実施例6>
実施例65で得られたhTPO163画分を濃縮し、これを無菌濾過した後10m1バイアル瓶に充填し注射剤とした。
<製剤実施例7>
参考例実施例57で得られたヒトTPO画分を濃縮し、これを無菌処理した後−20℃で凍結された凍結物を用いて注射剤とした。
<製剤実施例8>
実施例57で得られたヒトTPO画分を濃縮し、これを無菌操作で10mlバイアル瓶に5ml充填し、−20℃で凍結乾燥後、ゴム栓に施栓した凍結乾燥物を用いて注射剤とした。
<製剤実施例9>
実施例57で得られたヒトTPO画分を濃縮し、これを無菌濾過した後10mlバイアル瓶に充填し注射剤とした。
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:261
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:ラット(Rattus norvegicus)
セルライン:McA−RH8994
配列:
配列番号:2
配列の長さ:1663
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:ラット(Rattus norvegicus)
セルライン:McA−RH8994
配列:
配列番号:3
配列の長さ:580
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:ホモ サピエンス(Homo Sapiens)
組織の種類:肝臓
配列:
配列番号:4
配列の長さ:861
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:ホモ サピエンス(Homo Sapiens)
組織の種類:肝臓
配列:
配列番号:5
配列の長さ:576
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:ホモ サピエンス(Homo Sapiens)
組織の種類:肝臓
配列:
配列番号:6
配列の長さ:1267
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:ホモ サピエンス(Homo Sapiens)
組織の種類:肝臓
配列:
配列番号:7
配列の長さ:1721
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:ホモ サピエンス(Homo Sapiens)
組織の種類:肝臓
配列:
配列番号:8
配列の長さ:4506
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
起源:ホモ サピエンス(Homo Sapiens)
配列:
配列番号:9
配列の長さ:416
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列:
配列番号:10
配列の長さ:549
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列:
配列番号:11
配列の長さ:535
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
起源:ヒト(Homo Sapiens)
配列番号:12
配列の長さ:535
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
起源:ヒト(Homo Sapiens)
配列番号:13
配列の長さ:555
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:ホモ サピエンス(Homo Sapiens)
組織の種類:肝臓
配列:
配列番号:14
配列の長さ:1043
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
起源:ヒト(Homo Sapiens)
配列番号:15
配列の長さ:326
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
起源:ラット(Rattus norvegicus)
配列:
配列番号:16
配列の長さ:332
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
起源:ヒト(Homo sapiens)
配列:
【図面の簡単な説明】
【図1】XRPからのラットTPO精製における、ゲル濾過クロマトグラフィー(Sephacryl S−200 HRカラム)のクロマトグラム及びラットCFU−MKアッセイにおけるTPO活性を示すグラフ。
【図2】XRP由来のラット低分子TPO標品精製における逆相クロマトグラフィー(Capcell Pak Cl 300Aカラム)のクロマトグラム、及びラットCFU−MKアッセイにおけるTPO活性を示すグラフ。
【図3】XRP由来のラット低分子TPO標品精製における逆相クロマトグラフィー(Capcell Pak Cl 300Aカラム)のTPO活性画分FA(チューブ番号36〜42)のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分離を示す写真、及びラットCFU−MKアッセイにおけるTPO活性を示すグラフ。
【図4】XRP由来のラット低分子TPO標品精製における逆相クロマトグラフィー(Capcell Pak Cl 300Aカラム)のTPO活性画分FAの、3段階消化によるペプチドマップを示すグラフ。
【図5】ラットCFU−MKアッセイにおけるラット血漿由来TPO活性を示すグラフ。
【図6】発現ベクターpEF18Sの構築を示す概念図。
【図7】ラットCFU−MKアッセイにおけるpEF18S−A2αを導入・発現させたCOS1細胞の培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図8】ラットCFU−MKアッセイにおけるpEF18S−HL34を導入・発現させたCOS1細胞の培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図9】ラットCFU−MKアッセイにおけるpHT1−231を導入・発現させたCOS1細胞の培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図10a】ラットCFU−MKアッセイにおけるpHTF1を導入・発現させたCOS1細胞の培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図10b】M−07eアッセイにおけるpHTF1を導入・発現させたCOS1細胞の培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図11】ファージクローンλHGT1の制限酵素地図の概略。(図中、E:EcoRI、H:HindIII、S:Sal Iを示す。)
【図12a】ラットCFU−MKアッセイにおけるpEFHGTEを導入・発現させたCOS1細胞培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図12b】M−07eアッセイにおけるpEFHGTEを導入・発現させたCOS1細胞培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図13a】ラットCFU−MKアッセイにおける、およびpHT1−211#1、およびpHT1−191#1、およびpHT1−171#2を導入・発現させたCOS1細胞培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図13b】ラットCFU−MKアッセイにおけるpHT1−163#2を導入・発現させたCOS1細胞培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図14】M−07eアッセイにおけるpHT1−211#1、pHT1−191#1、pHT1−171#2、およびpHT1−163#2を導入・発現させたCOS1細胞培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図15】pDEF2O2−hTPO−P1を導入・発現させたCHO細胞の培養上清からのヒトTPO精製における、逆相クロマトグラフィー(Vydac C4カラム)のクロマトグラム。
【図16】pDEF202−hTPO−P1を導入・発現させたCHO細胞の培養上清から精製されたヒトTPOのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分離を示す写真。
【図17】pCFM536/h6T(1−163)を導入・発現させた大腸菌からのヒトTPOの精製における、逆相クロマトグラフィーのクロマトグラム。
【図18】pCFM536/h6T(1−163)を導入・発現させた大腸菌から分離・精製された変異型ヒトTPO、h6T(1−163)のSOS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分離を示す写真。
【図19】ヒトTPO発現プラスミドpDEF202−hTPO163をCHO細胞にトランスフェクションして得られた培養上清を出発材料にしたhTPO163の精製におけるSuperdex 75pgカラムでのhTPO163の溶出。蛋白質は220nmの紫外吸収で測定した。
【図20】ヒトTPO発現プラスミドpDEF202−hTPO163をCHO細胞にトランスフェクションして得られた培養上清を出発材料にしたhTPO163の精製において、Superdex 75pgカラムで得られたhTPO163標品のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動写真。各hTPO163は銀染色された。
【図21】発現ベクターpSMT201の構造を示す図。
【図22】M−07eアッセイにおけるβGL−TPO、N3/TPO、09/TPOを導入・発現させたCOS7細胞培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図23】M−07eアッセイにおけるヒトTPO挿入・欠失誘導体を導入・発現させたCOS7細胞培養上清中のTPO活性を示すグラフ。
【図24】ヒトTPOを正常マウスに静脈内投与、または皮下投与した場合の血小板数の推移を示すグラフ。
【図25】ヒトTPOを正常マウスに投与量を変えて皮下投与した場合の血小板数の推移を示すグラフ。
【図26】マウスに制ガン剤(5−FU)を投与した後にヒトTPOを投与した場合の血小板数の推移を示すグラフ。
【図27】マウスに制ガン剤(ACNU)を投与した後にヒトTPOを投与した場合の血小板数の推移を示すグラフ。
【図28】マウスにBMT(骨髄移植)を施行した後にヒトTPOを投与した場合の血小板数の推移を示すグラフ。
【図29】放射線照射後のマウスにヒトTPOを投与した場合の血小板数の推移を示すグラフ。
【図30】hTPO163を正常マウスに皮下投与した場合の血小板数の推移を示すグラフ。
【図31】マウスに制ガン剤(ACNU)を投与した後にhTPO163を投与した場合の血小板数の推移を示すグラフ。
【図32】大腸菌で発現されたヒトTPO誘導体(H133R、S148P、Q115R)のM−07eアッセイにおけるTPO活性を示すグラフ。
【図33】大腸菌で発現されたヒトTPO誘導体(M143R、L129R、G82L、G146L、K59R)のM−07eアッセイにおけるTPO活性を示すグラフ。
Claims (1)
- 以下の(a)から(d)を抗原として使用して、配列番号16に示されるアミノ酸配列からなるヒトTPOタンパク質と免疫反応性を有する抗体を製造する方法:
(a)配列番号16に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号6に示されるアミノ酸配列のうち、1位〜231位、1位〜211位、1位〜191位、1位〜171位、1位〜163位、1位〜157位、1位〜156位、1位〜155位、1位〜154位、1位〜151位及び7位〜163位のアミノ酸配列から選ばれるタンパク質
(c)上記(a)〜(b)のタンパク質の−2位にメチオニン残基、かつ−1位にリジン残基を付加した誘導体、−1位にメチオニン残基を付加した誘導体、又は−1位にグリシン残基を付加した誘導体
(d)以下の(i)〜(vi)のアミノ酸配列からなるペプチドのいずれかのペプチド
(i)DLRVLSKLLRDSHVLHSRLSQ;
(ii)SLGEWKTQMEETKAQD;
(iii)LGTQLPPQGRTTAHKDPNA;
(iv)NELPNRTSGLLETNFTASA;
(v)SLPPNLQPGYSPSPTHPPTGQYT;
(vi)PSAPTPTPTSPLLNTSYTHSQNLSQEG。
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