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JP3636066B2 - トランジスタ電力増幅器 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトランジスタ電力増幅器に関し、特に動作中のトランジスタのアイドル電流を測定するトランジスタ電力増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、テレビ放送機や無線送信機に使用される高周波の大電力増幅器では、増幅用素子としては、ABクラスで動作するトランジスタ(FETを含む)が使用される。図6は従来のトランジスタ電力増幅器の一例を示す回路図である。
【0003】
図6の従来例は、増幅用素子のトランジスタ3と、OFDM信号が入力されるRF1と、トランジスタ3からの出力電力のRF2と、電源(+VDD)8からトランジスタ3のコレクタに供給される平均電流を測定する平均電流センサー6と、トランジスタ3のベースに接続されるバイアス回路13とを有して構成される。
【0004】
次に従来例の動作について説明すると、OFDM信号の流れは、まずRF入力1からトランジスタ3へ入力され、増幅されたのちRF出力2から出力される。その際、トランジスタ3に供給の電流Idsを平均電流センサー6で計測することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のトランジスタ電力増幅器の課題(問題点)について以下に記述する。
【0006】
第一に従来例では、本放送開始後即ち電力の増幅中に、常温時のアイドル電流を測定することができない。その理由は、大電力増幅器のトランジスタはABクラス動作をしているので、Idsが出力電力に依存して変動するためである。
【0007】
第二に従来例では、本放送中に、アイドル電流を微調整・再設定することができない。その理由は、従来例の回路では電力増幅中に常温時のアイドル電流が測定できず、微調整・再設定する機能も持っていないためである。
【0008】
第三に従来例では、増幅器が動作中にパワーを低下させた場合、トランジスタの破損状況を確認することが困難であることである。その理由は、通常のABクラスの動作でトランジスタのIdsは出力電力を低下させた場合、それに従ってIdsも下がるので、「パワーを低下させた」のか「トランジスタが破損した」のか判定が困難であるためである。
【0009】
本発明の目的は、電力増幅器の動作状態でトランジスタの常温時におけるアイドル電流を測定することが出来るトランジスタ電力増幅器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のトランジスタ電力増幅器は、A級乃至AB級で動作する電力増幅用の半導体素子と、前記半導体素子に供給される電流であって、前記半導体素子に入力される無線周波数(RF)信号に従い高速に変動する電流(高速電流)を測定する手段と、前記半導体素子に供給される平均電流を測定する手段と、前記平均電流と前記半導体素子に供給される電源電圧を乗算し前記半導体素子の平均消費電力であるDC入力電力を算出する手段と、前記RF信号の入力平均電力であるRF入力電力を測定する手段と、前記半導体素子から出力されるRF信号の平均出力電力であるRF出力電力を測定する手段と、前記DC入力電力に前記RF入力電力を加算し前記RF出力電力を減算することにより前記半導体素子の消費電力を算出する手段と、前記半導体素子の温度を測定する手段と、前記温度並びに前記半導体素子の熱抵抗及び前記消費電力から動作中の前記半導体素子のジャンクション温度を算出する手段と、動作中の前記高速電流前記ジャンクション温度、並びに前記高速電流及び前記ジャンクション温度に対応させ前記半導体素子の常温時におけるアイドル電流値を予め設定した変換テーブルメモリーとから、動作中の前記半導体素子の前記常温時におけるアイドル電流を算出する手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のトランジスタ電力増幅器は、A級乃至AB級で動作する電力増幅用のトランジスタと、前記トランジスタに供給される前記高速電流を測定する高速電流センサーと、前記トランジスタに供給される前記平均電流を測定する平均電流センサーと、前記トランジスタに入力される前記RF入力電力を測定して出力する入力信号検波器と、前記トランジスタから出力されるRF信号の前記RF出力電力を測定して出力する出力信号検波器と、動作中の前記トランジスタの温度を測定して出力する温度センサーと、動作中の前記高速電流、前記ジャンクション温度及び前記変換テーブルメモリーを基に、動作中の前記トランジスタの前記常温時におけるアイドル電流値を算出して出力する演算装置とを有することを特徴とする。
【0012】
また本発明のトランジスタ電力増幅器は、前記変換テーブルメモリーには、トランジスタのジャンクション温度(Tj)と前記高速電流値との各組み合わせに対応させて、前記RF信号が入力されない状態での前記常温時のアイドル電流設定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のトランジスタ電力増幅器は、前記演算装置が出力する前記常温時のアイドル電流の数値を表示するモニターを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のトランジスタ電力増幅器は、前記常温時のアイドル電流の数値に基づき前記トランジスタに供給するアイドル電流を調整する手段を備えることを特徴とする。また、本発明のトランジスタ電力増幅器は、前記演算装置からのアイドル電流値を入力し、前記トランジスタに供給する電圧を自動調整するバイアス回路を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のトランジスタ電力増幅器は、前記温度センサーとして、温度変化に対して抵抗値が変化する熱電対を前記トランジスタのフランジに近接して装着することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例のブロック図である。
【0017】
本実施例は、A級(クラス)乃至AB級(クラス)で動作する電力増幅用のトランジスタ3と、このトランジスタ3が増幅した信号電流の高速な変動(以下高速電流と記す)を測定する高速電流センサー7と、トランジスタ3に流入される平均電流を測定する平均電流センサー6と、デジタル放送に使用されているOFDM(直交周波数分割多重)信号のRF入力1の平均電力を測定して出力する入力信号検波器4と、トランジスタ3から出力される信号のRF出力2の平均電力を測定して出力する出力信号検波器5と、トランジスタ3が動作中に放出される温度を測定して出力する温度センサー9と、上記測定の高速電流、平均電流、RF入出力信号の平均電力、および温度の情報とメモリー11に予め設定された変換テーブルとにより演算したトランジスタ3の常温時のアイドル電流値を出力する演算装置10と、測定結果及びアイドル電流値を表示するモニター12と、測定結果がフィードバックされトランジスタ3のアイドル電流を調整するバイアス電流回路13と、トランジスタ3及びバイアス回路13に供給する+VDD(電源)8とを有して構成される。
【0018】
次に本実施例の動作について説明する。通常、テレビ放送に使用される大電力増幅器においての増幅用素子としては、ABクラスで動作するトランジスタ3が使用される。図2はトランジスタの出力電力と電流(Ids)との相関図であり、トランジスタ3に供給される電流(以降Idsと記載)mAは出力電力(Power)dBmが増加するに従い増えていく傾向にある。また出力電力が0となる時のIdsは特にアイドル電流と呼ばれる。まずデジタル放送に使用されているOFDM信号は、RF入力1からトランジスタ3へ入力され、増幅されたのちRF出力2から出力される。その際、平均入力電力を入力信号検波器4、平均出力電力を出力信号検波器5、またトランジスタ3の平均電流を平均電流センサー6で測定する。通常、トランジスタ3が電力増幅する際に消費する電力は、式(1)、(2)により算出される。
消費電力=DC入力電力+RF入力電力−RF出力電力 (1)
DC入力電力=(+VDD8)×(平均電流センサー6の値:Ids) (2)
図3は本実施のRF信号とトランジスタに流れる電流(Ids)との対比を示す波形図であり、トランジスタ3において、(A)は平均電力が一定時のRF(OFDM信号)出力2を時間軸(t)で計測した場合の包絡線の例である。この時同時にIds(mA)を測定すると、平均電流センサー6ではIdsの平均値が測定され(C)に示す様になる。しかし高速電流センサー7を使用して測定すると、図2に従って(B)に示す様な電力の高速な振幅変動に伴うIdsの波形を測定することができる。従って(A)のRFのレベルが0になった瞬間の高速電流センサーの値が、アイドル電流値となり、このアイドル電流値を演算装置10に転送される。
【0019】
図4は本実施例のトランジスタのIdsとTjとの相関図であり、一般的なトランジスタのIdsとそのケース内の温度(ジャンクション温度:Tj)の関係は、図4よりわかるように、Ids(mA)はTj(℃)の上昇に比例して増加する。従ってトランジスタが発熱する場合に、上記の様にRF信号の包絡線が0の時の瞬間的なIdsを測定した電流値は、常温の測定状態でのアイドル電流と異なっている。
【0020】
図5は本実施例のトランジスタのTjと常温時のアイドル電流との関係を示す図であり、トランジスタのジャンクション温度Tjとその温度の時のIds値から、RF信号がない状態(常温時)でのアイドル電流を予め測定し変換テーブルを作成しておけば、変換テーブルから常温時のアイドル電流を導出することができる。ここで、ジャンクション温度Tjは、以下の式(3)に従う。
Tj=(消費電力×熱抵抗)+ベースプレート温度 (3)
但し、トランジスタが取付けられたベースプレート(放熱板)温度は、トランジスタが装着されたベースプレートに取付けられた温度センサー9によって測定された値、また、熱抵抗はトランジスタによって決まる値である。
【0021】
なお、温度センサーとしては、温度変動に対応して電気的な出力値が変化する熱電対タイプのセンサーをトランジスタ(FET)のフランジ(金属の台座部分=ベースプレート)にネジで密着するように取付ける。また、温度センサーをFETのケース内に設ける。そして図5の例の様な関係データの変換テーブルをメモリ11に格納し、演算装置10では、測定された各種情報を演算処理すれば、常温時でのアイドル電流を等価的に測定することができる。
【0022】
また、演算装置10から出力のアイドル電流の情報をバイアス電流回路13にフィードバックすることにより、トランジスタ3のアイドル電流値を最適値に自動補正することができる。
【0023】
また、モニター12において常温時のアイドル電流を表示することができるので、操作入力により、アイドル電流値を設定する場合に、メモリ11の情報を測定時とは逆に使用すればバイアス電流回路13からトランジスタ3のベースに与えるべき電圧を変更できるので、アイドル電流値を微調整若しくは再設定することができる。
【0024】
また、本実施例では、入力のRF信号をOFDM信号として説明したが、CDMA(符号分割多元接続)またはQAM(直角位相振幅変調)方式の信号であっても、高速電流のエンベロープが“0”レベルを示す瞬間がある信号ならば同様に実施することが出来る。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、A級ないしB級で動作する電力増幅用の半導体素子と、この半導体素子に供給される高速電流を測定する手段と、前記高速電流と同時に前記半導体素子に供給される平均電流を測定する手段と、前記半導体素子が動作中に放出される温度を測定する手段と、測定された前記高速電流と前記平均電流と前記温度とにより前記半導体素子が動作中に、常温時のアイドル電流を測定する手段とを有することにより、以下に記述する効果がある。
【0026】
第一の効果は、本放送中にデジタル放送を中断することなくアイドル電流の測定ができることがある。その理由は、トランジスタの電力消費量とRF信号の包絡線が0レベルになった瞬間の電流Idsを測定し、変換テーブルを使用することにより常温状態のアイドル電流値を算出できるからである。
【0027】
第二の効果は、本放送中にデジタル放送を中断することなくアイドル電流の微調整、再設定ができることである、その理由は、メモリ上の変換テーブルのデータを測定するときと逆に利用し、トランジスタのベースにかける電圧を変更することにより、アイドル電流値を微調整、再設定ができるからである。
【0028】
第三の効果は、電力増幅器の動作中にトランジスタの破損状況を確認できるということである。その理由は、通常のABクラスのトランジスタのIdsは出力電力に依存する為、「パワーを低下させた」のか「トランジスタが破損した」のかの判定が動作電流を測定するだけでは困難であるが、常温状態のアイドル電流値を測定すればそれを簡単に判断できるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のブロック図である。
【図2】本実施例のトランジスタのABクラスで動作の出力電力と電流(Ids)との相関図である。
【図3】本実施例のRF信号とトランジスタに流れる電流(Ids)との対比を示す波形図である。
【図4】本実施例の温度によるトランジスタの電流の変化を示す相関図である。
【図5】本実施例のジャンクション温度と常温時のアイドル電流の関係を示す図である。
【図6】従来のトランジスタ電力増幅器の一例の回路図である。
【符号の説明】
1 RF入力
2 RF出力
3 トランジスタ
4 入力信号検波器
5 出力信号検波器
6 平均電流センサー
7 高速電流センサー
8 +VDD(電源)
9 温度センサー
10 演算装置
11 メモリ
12 モニター
13 バイアス電流回路

Claims (7)

  1. A級乃至AB級で動作する電力増幅用の半導体素子と、前記半導体素子に供給される電流であって、前記半導体素子に入力される無線周波数(RF)信号に従い高速に変動する電流(高速電流)を測定する手段と、前記半導体素子に供給される平均電流を測定する手段と、前記平均電流と前記半導体素子に供給される電源電圧を乗算し前記半導体素子の平均消費電力であるDC入力電力を算出する手段と、前記RF信号の入力平均電力であるRF入力電力を測定する手段と、前記半導体素子から出力されるRF信号の平均出力電力であるRF出力電力を測定する手段と、前記DC入力電力に前記RF入力電力を加算し前記RF出力電力を減算することにより前記半導体素子の消費電力を算出する手段と、前記半導体素子の温度を測定する手段と、前記温度並びに前記半導体素子の熱抵抗及び前記消費電力から動作中の前記半導体素子のジャンクション温度を算出する手段と、動作中の前記高速電流前記ジャンクション温度、並びに前記高速電流及び前記ジャンクション温度に対応させ前記半導体素子の常温時におけるアイドル電流値を予め設定した変換テーブルメモリーとから、動作中の前記半導体素子の前記常温時におけるアイドル電流を算出する手段とを有することを特徴とするトランジスタ電力増幅器。
  2. A級乃至AB級で動作する電力増幅用のトランジスタと、前記トランジスタに供給される前記高速電流を測定する高速電流センサーと、前記トランジスタに供給される前記平均電流を測定する平均電流センサーと、前記トランジスタに入力される前記RF入力電力を測定して出力する入力信号検波器と、前記トランジスタから出力されるRF信号の前記RF出力電力を測定して出力する出力信号検波器と、動作中の前記トランジスタの温度を測定して出力する温度センサーと、動作中の前記高速電流、前記ジャンクション温度及び前記変換テーブルメモリーを基に、動作中の前記トランジスタの前記常温時におけるアイドル電流値を算出して出力する演算装置とを有することを特徴とする請求項1記載のトランジスタ電力増幅器。
  3. 前記変換テーブルメモリーには、トランジスタのジャンクション温度(Tj)と前記高速電流値との各組み合わせに対応させて、前記RF信号が入力されない状態での前記常温時のアイドル電流を設定することを特徴とする請求項2記載のトランジスタ電力増幅器。
  4. 前記演算装置が出力する前記常温時のアイドル電流の数値を表示するモニターを有することを特徴とする請求項2または3記載のトランジスタ電力増幅器。
  5. 前記常温時のアイドル電流の数値に基づき前記トランジスタに供給するアイドル電流を調整する手段を備えることを特徴とする請求項4記載のトランジスタ電力増幅器。
  6. 前記演算装置からの前記常温時のアイドル電流値を入力し、前記トランジスタに供給する電圧を自動調整するバイアス回路を有することを特徴とする請求項2または3記載のトランジスタ電力増幅器。
  7. 前記温度センサーとして、温度変化に対して抵抗値が変化する熱電対を前記トランジスタのフランジに近接して装着することを特徴とする請求項2記載のトランジスタ電力増幅器。
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