JP3638231B2 - 画像処理装置および記録媒体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理における「線切れ」現象の発生箇所となる細線を検出する技術、および線切れ現象を防止する技術に関する。
【0002】
【背景技術】
デジタル画像の網点化処理を行うに際して、線切れ現象が発生することがある。たとえば、次のように、網点ピッチとデジタル画像の画素ピッチとの比が整数比の関係にない場合に生じる「線切れ」現象が存在する。図22および図23は、その原理について説明する図である。
【0003】
図22は、網点ピッチとデジタル画像の画素ピッチとの比が整数比の関係にある場合において、50%濃度の垂直方向(縦方向)の細線を網点化する例を示すものである。ここでは、たとえば、網点の線数が175線(1インチあたりの線数)、画素ピッチが350dpi(1インチあたりの画素数)である場合のように、網点ピッチU1(=1/175(インチ))と画素ピッチU2(1/350(インチ))」との比U2/U1が350/175=2/1=2(整数)の場合を示している。この場合には、元のデジタル画像における各画素が網点化される際に、網点パターンの単位領域(以下「単位網点領域DU」)と個々の画素PXとの間での相対位置はどの部分でも同一であって、それらの間に空間的変化は生じないため、いずれの画素位置に存在する細線であっても、同様の網点面積を有するように網点化される。
【0004】
しかしながら、網点ピッチとデジタル画像の画素ピッチとの比が整数比の関係にない場合には、網点化処理において、原画像の画素が同じ濃度(階調値)を有する場合であっても、網点化時における画素の相対位置に応じて、網点化の結果(網点化時に於ける面積の大きさ)は異なるものとなる。
【0005】
たとえば、図23において、網点の線数が175線(1インチあたりの線数)、画素ピッチが400dpi(1インチあたりの画素数)である場合のように、網点ピッチU1(=1/175(インチ))と画素ピッチU3(1/400(インチ))」との比U3/U1が400/175=2.2、すなわち整数でない場合について考える。この場合において、デジタル画像の各画素PXの網点パターン上における単位網点領域DUとの相対位置は、徐々にずれていき比較的大きな周期で変動する。したがって、網点パターン上での画素の相対位置が、PAの位置に存在することもあれば、PBの位置に存在することもある。そして、PAの位置に1画素幅の細線が存在する場合には網点化時の面積が比較的小さく(大きく)、PBの位置に1画素幅の細線が存在する場合には網点化時の面積が比較的大きく(小さく)なる。ここで、1画素幅の細線LAが垂直方向に対して微小角θだけ傾いて存在する場合(図24(a)参照)には、網点化時における画素の相対位置がPAからPBなどへと比較的大きな周期で周期的に変動する状態に相当し、その周期的変動に応じて細線の太さも変動して見えることになるが、特に、網点化時の面積が小さな部分では、人間の目にはその細線が途切れた様に映る「線切れ」現象となって現れる。この状況が、図24(b)に模式的に示されている(便宜上、各網点は黒丸で示している)。この線切れ現象は、網点ピッチに対して、線幅が小さい場合に顕著に生じる。
【0006】
以上が網点ピッチとデジタル画像の画素ピッチとの比が整数比の関係にない場合に生じる「線切れ」現象の概略である。
【0007】
また、このような線切れ現象は、USM(アンシャープマスク)処理によって生じることもある。このUSM処理は、網点化出力の際に一般的に生じるシャープネスの低下を回避するために行うものである。この際の線切れ現象は、両側からのエッジ強調により、細線の濃度レベルが低下することに伴うものである。これは、図25に示すように、細線部では高濃度領域の両側からのエッジ強調によるピークが重なって画素値が飽和してしまうことがあり、そのために細線部の濃度(したがってその部分の網点面積率)が、本来のものよりも低下することに起因する。細線におけるこの領域は、上記と同様、人間の目には「線切れ」として映ることになる。さらに、「線切れ」を発生させる細線が等間隔で平行に並んでいる場合には、各線の低濃度部がお互いに連なって、長周期の濃度変動=モアレが発生する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そして、上記のような各種の原因で生ずる線切れ現象は、画像品質を低下させるものであり、画像出力時の大きな障害となる。
【0009】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、線切れの発生源となる細線を検出する画像処理に関する技術、および当該検出結果に基づき線切れを防止する処理を行う画像処理に関する技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の画像処理装置は、原画像に対して処理を施す画像処理装置であって、前記原画像を所定方向に縮小して縮小画像を生成する縮小画像生成手段と、前記縮小画像について、前記所定方向に直交する方向において特定濃度領域を細らせる細らせ処理を行うことにより第1処理画像を生成する細らせ処理手段と、前記第1処理画像について、前記所定方向に直交する方向において特定濃度領域を太らせる太らせ処理を行うことにより第2処理画像を生成する太らせ処理手段と、前記縮小画像と前記第2処理画像との差分である差分画像を生成する差分画像生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記縮小画像生成手段は、前記原画像を前記所定方向に縮小するにあたって前記所定方向に沿うn画素の平均化処理を伴うことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記特定濃度領域は、高濃度領域であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記特定濃度領域は、低濃度領域であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記所定方向は、互いに異なる2つの方向であり、前記縮小画像生成手段、前記細らせ処理手段、前記太らせ処理手段、および前記差分画像生成手段は、前記2つの方向のそれぞれに関する各処理を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の画像処理装置は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記差分画像に対して、前記縮小画像生成手段における縮小率の逆数倍に前記所定方向に拡大する拡大処理を行うことにより、前記原画像の各画素位置における細線の有無の程度を表す細線指標を生成する拡大処理手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の画像処理装置は、請求項6に記載の画像処理装置において、前記原画像に所定のフィルタ処理を施した結果を前記原画像に加重する際の加重係数を前記細線指標に基づいて決定する加重係数決定手段と、前記原画像に所定のフィルタ処理を施した結果を、前記加重係数を用いて前記原画像に加重した処理画像を得るフィルタ処理手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の画像処理装置は、請求項7に記載の画像処理装置において、前記加重係数決定手段は、あらかじめ細線指標と加重係数との対応関係を参照テーブルとして有していることを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の画像処理装置は、請求項7に記載の画像処理装置において、前記拡大処理手段は、前記拡大処理を行うにあたって、前記差分画像の高濃度領域を拡張する処理をも行うことにより前記細線指標を生成することを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の記録媒体は、コンピュータを、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の画像処理装置として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
<A.構成>
図1は、この発明の実施形態に係る画像処理装置1のハードウエア構成を表す概念図である。画像処理装置1は、CPU2、半導体メモリおよびハードディスクなどを含む記憶部3、各種の記録媒体から情報を読み出すメディアドライブ4、モニタなどを含む表示部5、キーボートおよびマウスなどを含む入力部6、デジタル画像を読み込む画像入力部7、処理後の画像を出力する画像出力部8を備えるコンピュータシステムである。CPU2は、バスラインBLおよび入出力インターフェースIFを介して、記憶部3、メディアドライブ4、表示部5、入力部6、画像入力部7、画像出力部8などに接続されている。また、メディアドライブ4は、CD−ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスクなどの可搬性の記録媒体9からその中に記録されている情報を読み出す。このコンピュータシステムは、プログラムを記録した可搬性記録媒体9からそのプログラムを読み込むことによって、後述するような細線検出機能とそれに基づく線切れ防止機能とを持つようになる。さらに、記憶部3は、読み込まれたプログラムの全部または一部を記憶するプログラム記憶部3a、および各種の処理画像を記憶する画像記憶部3bなどを有する。
【0021】
図2は画像処理装置1の概略構成を表す機能ブロック図であり、図3は画像処理装置1のさらに詳細な機能ブロック図である。図3においては、垂直方向および水平方向に伸びる細線を検出し、その検出結果に基づいて線切れ防止処理を行う場合の機能ブロックを記載している。
【0022】
図2および図3に示されるように、画像処理装置1は、デジタル画像を読み込む画像入力部7と、細線検出機能を有する細線検出部20と、検出結果に基づく線切れ防止機能を有する線切れ防止処理部50と、処理後の画像を網点化して出力する画像出力部8とを備えている。
【0023】
細線検出部20は、一般的には、所定方向に伸びる細線を検出することが可能であるが、ここでは、細線検出部20は、垂直方向の細線を検出する垂直方向細線検出部20Aと水平方向の細線を検出する水平方向細線検出部20Bとを有するものとし、垂直方向および水平方向に伸びる細線を検出する場合を示している(図3)。ここにおいて、「水平方向」とは画素のマトリクス配列における行方向を指しており、「垂直方向」とはそのマトリクス配列における列方向を指しているが、これらは相対的なものであって、上記とは逆に定義することもできる。
【0024】
この細線検出部20(20A,20B)は、読み込まれたデジタル画像(原画像)を所定方向(ここでは垂直方向および水平方向)に縮小して縮小画像を生成する縮小画像生成部21(21A,21B)と、白細線抽出部23w(23wA,23wB)および黒細線抽出部23b(23bA,23bB)とを有している。
【0025】
ここにおいて、この実施形態では「黒」が階調値「0」で、「白」が階調値「255」で表現されている場合を考えている(8ビット表現の場合)。このため、黒側の階調領域が「低濃度領域」として、また、白側の階調領域が「高濃度領域」としてそれぞれ定義される。このため、この実施形態での「濃度」は「白濃度」であって、たとえば「白線」とは「低濃度領域(黒領域)の中に存在する高濃度(白)の線」ということになる。一般には、原画像の背景色(白または黒)側の濃度を持つ領域が低濃度領域として定義される。
【0026】
白細線抽出部23wは、大きな階調値(高濃度値)を有する画素の集合として表現される細線(白細線)を抽出するものであり、黒細線抽出部23bは、小さな階調値(低濃度値)を有する画素の集合として表現される細線(黒細線)を抽出するものである。なお、ここでは、白黒の両細線を抽出しているが、白細線または黒細線のうちのいずれか一方のみを抽出すればよい場合には、対応する一方の抽出部23w,23bのみを設ければよい。
【0027】
これらの白細線抽出部23wおよび黒細線抽出部23bは、それぞれ、縮小画像生成部21(21A,21B)において生成された縮小画像についてその縮小方向に直交する方向(直交方向)において特定濃度領域(高濃度領域または低濃度領域)を細らせる細らせ処理を行うことにより第1処理画像を生成する細らせ処理部25(25wA,25bA,25wB,25bB)と、第1処理画像について、縮小方向に直交する方向において特定濃度領域を太らせる太らせ処理を行うことにより第2処理画像を生成する太らせ処理部27(27wA,27bA,27wB,27bB)と、縮小画像と第2処理画像との差分である差分画像を生成する差分画像生成部29(29wA,29bA,29wB,29bB)とを有している。
【0028】
また、細線検出部20は、白細線に関する差分画像と黒細線に関する差分画像とを合成する細線データ合成部31(31A,31B)と、高濃度領域を拡張する処理を行う高濃度領域拡張部33(33A,33B)と、得られた差分画像を縮小方向と同じ方向に今度は拡大(縮小画像生成部21における縮小率の逆数倍に拡大して原画像の画素数と同一となるように拡大)する拡大処理部35(35A,35B)とをさらに有している。なお、拡大処理部35における拡大処理により、原画像の各画素位置における細線の有無の程度を表す細線指標が生成される。また、高濃度領域拡張部33は、拡大処理部35による拡大処理を行うにあたって、差分画像の高濃度領域を拡張する処理を併せて行うものであり、高濃度領域拡張部33と拡大処理部35とを併せて広義の拡大処理手段と称することもできる。
【0029】
また、線切れ防止処理部50は、上記の垂直方向および水平方向の細線指標に関するデータを合成する垂直水平方向細線データ合成部51と、得られた細線指標に基づいて加重係数を決定する加重係数決定部53と、その加重係数に基づいて原画像に所定のフィルタ処理を施した結果を原画像に加重して処理画像を得るフィルタ処理部55と、を有している。
【0030】
以下では、このような概略構成を有する画像処理装置1において、垂直方向および水平方向に伸びる細線を検出する動作について、ならびにその検出結果に基づいて線切れ防止を行う動作について説明する。
【0031】
<B.動作>
<B1.概要>
図4は、画像処理装置1における処理動作について示すフローチャートである。図4に示すように、まず、ステップSP10において、画像入力部7などを用いて、処理対象となる原画像Gを読み込む。この原画像Gは、複数の画素が垂直方向および水平方向においてマトリクス配列され、それらの各画素が複数の階調値(たとえば2の8乗=256階調)を有するデジタル画像として得られる。
【0032】
次に、ステップSP20において垂直方向に伸びる細線を検出する動作を行い、ステップSP30において水平方向に伸びる細線を検出する動作を行う。これらの両方向に伸びる細線の検出結果は、ステップSP60において合成される。そして、ステップSP70において細線の検出結果に基づいて線切れ防止のための処理を行い、ステップSP80において処理後の画像が出力される。
【0033】
<B2.垂直方向の細線検出>
ここで、垂直方向に伸びる細線を検出する動作(ステップSP20)の詳細について説明する。図5は、その処理の手順を示すフローチャートである。
【0034】
まず、ステップSP21において、原画像Gを垂直方向において1/mに縮小して縮小画像を生成する縮小画像生成処理が行われる。
【0035】
図6は、この処理を説明するための概念図であり、原画像Gにおいて垂直方向に配列されているn画素(n=8)の階調値の平均を算出することにより縮小処理後の縮小画像G0の1画素の画素値が算出される。ただし、nは2以上の整数である。言い換えれば、このステップSP21の縮小処理においてn画素が1画素に縮小される。ここでは、変倍率1/mは、1/n(すなわちm=n)となる。
【0036】
<白細線抽出>
次に、ステップSP22において、高濃度の領域が1画素幅程度の幅で線状に連なった細線としての白細線を抽出する処理を行う。そのため、縮小画像G0に対して、ステップSP23〜SP25の動作を行う。図8は、白細線の検出動作の原理について説明するための図であり、これらの動作を図8を参照しながら説明する。
【0037】
ステップSP23では、縮小画像G0について水平方向において高濃度領域を細らせる細らせ処理を行うことにより第1処理画像G1を生成する。具体的には、縮小画像G0における各注目画素Pv(i,j)(図7)の画素値とその水平方向の隣接画素Pv(i+1,j)の画素値との最小値を算出し、その値を第1処理画像G1における各画素Pvi(i,j)の画素値とする。すなわち、Pvi(i,j)=min{Pv(i,j),Pv(i+1,j)}である。そして、縮小画像G0内の全ての画素のそれぞれを順次に注目画素として上記処理を進めることにより、第1処理画像G1を生成する。
【0038】
図8(a)は、処理前の縮小画像G0における水平方向に配列される複数の画素の画素値の一例を表すものである。この画素列は、水平方向に1画素分の幅を有し、かつ、垂直方向にn画素分の長さを有する細線(白細線)が存在する場合に相当する。このような画素Pvの配列にステップSP23の処理を施すと、図8(b)の画素Pviの配列が生成される。図8(b)では、各画素値はゼロとなっている。
【0039】
つぎに、ステップSP24において、第1処理画像G1について、水平方向において高濃度領域を太らせる太らせ処理を行うことにより第2処理画像G2を生成する。具体的には、第1処理画像G1における各注目画素Pvi(i,j)の画素値とその水平方向において反対側の隣接画素Pvi(i−1,j)の画素値との最大値を算出し、その値を第2処理画像G2における各画素Pvia(i,j)の画素値とする。すなわち、Pvia(i,j)=max{Pvi(i−1,j),Pvi(i,j)}である。そして、第1処理画像G1内の全ての画素のそれぞれを順次に注目画素として上記処理を進めることにより、第2処理画像G2を生成する。
【0040】
図8(b)の画素Pviの配列にステップSP24の高濃度領域太らせ処理を施すと、図8(c)の画素Pviaの配列が生成され、ここでは、左から2番目の画素値は復元されずにゼロとなったままである。
【0041】
そして、ステップSP25において、縮小画像G0と第2処理画像G2との差分である差分画像G3を生成する。具体的には、縮小画像G0における各注目画素Pv(i,j)の画素値と、第2処理画像G2における対応する位置の画素Pvia(i,j)の画素値との差分値を、差分画像G3の画素Mvw(i,j)における画素の画素値とする。すなわち、Mvw(i,j)=Pv(i,j)−Pvia(i,j)である。ただし、この差分値が負となる場合には、ゼロに修正するものとし(リミット処理)、この修正動作をも含めた差分動作により得られる画像を差分画像と称するものとする。
【0042】
そして、第2処理画像G2内の全ての画素のそれぞれを順次に注目画素として上記処理を進めることにより、差分画像G3を生成する。
【0043】
図8(d)は、図8(a)の画素Pvの配列と図8(c)の画素Pviaの配列とについてステップSP25の処理を施した結果を示した図である。ここでは、左から2番目の画素の画素値が大きな値を有しており、この部分に細線が存在する程度が高いことが示されている。
【0044】
ここで、図8は、検出すべき細線が存在する部分に関してステップSP23〜SP25の処理を施した場合について説明するための図であったが、図9を参照しながら、検出すべき細線が存在しない場合について例示する。図9は、水平方向に2画素分の幅を有し、かつ、垂直方向にn画素分の長さを有する線が存在する場合に同様の処理を施した場合について説明するための図である。
【0045】
この場合には、画素Pvの配列にステップSP23の処理を施すと、図9(b)の画素Pviの配列が生成されるが、左から2番目の画素の画素値はゼロとはならずに、値255を有している。そして、この画素Pviの配列にステップSP24の高濃度領域太らせ処理を施すと、図9(c)の画素Pviaの配列が生成され、ここでは、左から2番目の画素値と3番目の画素値が縮小画像G0の元の値に復元され、高濃度領域が2画素幅に戻る。したがって、差分画像G3の画素Mvw(i,j)は、全てゼロとなり、細線が存在しないものとして判定される。
【0046】
このように縮小方向に直交する方向である水平方向に細らせ処理および太らせ処理を順次に行い、その結果得られた画像G2と縮小画像G0との差分である差分画像G3を得ることにより、1画素幅の高濃度領域として表現される白細線を抽出することができる。
【0047】
図10は、このような処理を平面的に行う場合について説明する図であり、図10(a)は処理前の縮小画像G0を表し、図10(b)は処理後の差分画像G3を表す。図10(b)に示すように、処理前の縮小画像G0の水平方向の画素配列であるラインL2,L3,L5、L6においては、水平方向の幅が1画素分である高濃度領域が存在し、このような領域が差分画像G3において細線が存在する程度が高い領域として抽出されている。一方、処理前の縮小画像G0のラインL1,L4,L7においては、水平方向の幅が2画素分である高濃度領域が存在するが、差分画像G3においてこのような領域は細線が存在する程度が低いとして差分画像G3の各画素の値はゼロとなっている。
【0048】
<黒細線抽出>
次に、ステップSP26において、低濃度の領域が1画素幅程度の幅で線状に連なった細線としての黒細線を抽出する処理を行う。そのため、縮小画像G0に対して、ステップSP27〜SP29の動作を行う。上記のステップSP22の白細線抽出処理動作においては、特定濃度領域である高濃度領域を水平方向に細らせた後に同方向に太らせることにより、その結果画素値が復元される程度の差に基づいて細線が存在する程度を検出していたが、このステップSP26の黒細線抽出処理動作においては、特定濃度領域として低濃度領域を選択し、この低濃度領域を水平方向に細らせた後に同方向に太らせることにより、各画素値が復元される程度の差に基づいて細線が存在する程度を検出する。
【0049】
具体的には、ステップSP27において、縮小画像G0について水平方向において低濃度領域を細らせる細らせ処理を行うことにより第1処理画像G1を生成する。具体的には、縮小画像G0における各注目画素Pv(i,j)(図7)の画素値とその水平方向の隣接画素Pv(i+1,j)の画素値との「最大値」を算出し、その値を第1処理画像G1における各画素Pva(i,j)の画素値とする。すなわち、Pva(i,j)=max{Pv(i,j),Pv(i+1,j)}である。
【0050】
つぎに、ステップSP28において、第1処理画像G1について、水平方向において低濃度領域を太らせる太らせ処理を行うことにより第2処理画像G2を生成する。具体的には、第1処理画像G1における各注目画素Pva(i,j)の画素値とその水平方向において反対側の隣接画素Pva(i−1,j)の画素値との「最小値」を算出し、その値を第2処理画像G2における各画素Pvai(i,j)の画素値とする。すなわち、Pvai(i,j)=min{Pva(i−1,j),Pva(i,j)}である。
【0051】
そして、ステップSP29において、縮小画像G0と第2処理画像G2との差分である差分画像G3を生成する。具体的には、第2処理画像G2における対応する位置の画素Pvai(i,j)の画素値と、縮小画像G0における各注目画素Pv(i,j)の画素値との差分値を、差分画像G3の画素Mvb(i,j)における画素の画素値とする。すなわち、Mvb(i,j)=Pvai(i,j)−Pv(i,j)である。ただし、この差分値が負となる場合には、ゼロに修正するものとする。
【0052】
なお、上記各ステップSP27〜SP29においては、各画像G0〜G2内の全ての画素のそれぞれを順次に注目画素として各処理を進めることにより、各画像G1〜G3を生成する。
【0053】
図11(a)は、処理前の縮小画像G0における水平方向に配列される複数の画素の画素値の一例を表すものである。この画素列は、水平方向に1画素分の幅を有し、かつ、垂直方向にn画素分の長さを有する黒細線が存在する場合に相当する。このような画素Pvの配列にステップSP27の処理を施すと、図11(b)の画素Pvaの配列が生成され、ここでは、各画素値は255となっている。
【0054】
そして、図11(b)の画素Pvaの配列にステップSP28の低濃度領域太らせ処理を施すと、図8(c)の画素Pvaiの配列が生成され、ここでは、左から2番目の画素値は復元されずに255となったままである。
【0055】
図11(d)は、図11(c)の画素Pvaiの配列と図11(a)の画素Pvの配列とについてステップSP29の処理を施した結果を示した図である。ここでは、左から2番目の画素の画素値が大きな値を有しており、この部分に細線が存在する程度が高いことが示されている。
【0056】
ここで、図11は、検出すべき細線が存在する部分に関してステップSP27〜SP29の処理を施した場合について説明するための図であったが、図12を参照しながら、検出すべき細線が存在しない場合について例示する。図12は、水平方向に2画素分の幅を有し、かつ、垂直方向にn画素分の長さを有する黒線(低濃度の線)が存在する場合に同様の処理を施した場合について説明するための図である。
【0057】
この場合には、画素Pvの配列にステップSP27の処理を施すと、図12(b)の画素Pvaの配列が生成されるが、左から2番目の画素の画素値は255とはならずに、値ゼロを有している。そして、この画素Pvaの配列にステップSP28の高濃度領域太らせ処理を施すと、図12(c)の画素Pvaiの配列が生成され、ここでは、左から2番目の画素値と3番目の画素値が縮小画像G0の元の値に復元され、低濃度領域が2画素幅に戻る。したがって、差分画像G3の画素Mvb(i,j)は、全てゼロとなり、細線が存在しないものとして判定される。
【0058】
このように縮小方向に直交する方向である水平方向に細らせ処理および太らせ処理を順次に行い、その結果得られた画像G2と縮小画像G0との差分である差分画像G3を得ることにより、1画素幅の低濃度領域として表現される黒細線を抽出することができる。
【0059】
図13は、このような処理を平面的に行う場合について説明する図であり、図13(a)は処理前の縮小画像G0を表し、図13(b)は処理後の差分画像G3を表す。このように、処理前の縮小画像G0の水平方向の画素配列であるラインL2,L3,L5、L6においては、水平方向の幅が1画素分である低濃度領域が存在し、このような領域が差分画像G3において細線が存在する程度が高い領域として抽出されている。一方、処理前の縮小画像G0のラインL1,L4,L7においては、水平方向の幅が2画素分である低濃度領域が存在するが、差分画像G3においてこのような領域は細線が存在する程度が低いものとされている。
【0060】
<白黒細線抽出結果の合成など>
つぎに、ステップSP30(図5)において、上記の白細線抽出結果と黒細線抽出結果とを合成する。具体的には、各画素(i,j)における上記の画素Mvw(i,j)と画素Mvb(i,j)とを加算することにより、白細線および黒細線の両方の細線に関する細線データを合成する。すなわち、Mv(i,j)=Mvw(i,j)+Mvb(i,j)である。
【0061】
そして、ステップSP31において、高濃度領域を拡張する処理(高濃度領域拡張処理)を行う。この高濃度領域拡張処理は、たとえば、注目画素およびその隣接8画素の合計9個の画素の画素値のうちの最大値をその注目画素の画素値とするフィルタを用いることにより実現できる。図14は、そのような最大値フィルタを用いて高濃度領域拡張処理を行う場合の処理前(a)および処理後(b)の画像の画素値を表す図である。この高濃度領域拡張処理処理は、後述するように、細線データをマスクデータとして用いてフィルタ処理を行うにあたって、細線が存在する近傍の領域にもフィルタ処理による影響を加えるために行うものであり、細線の位置を検出することのみを目的とする場合においては不要である。
【0062】
さらに、ステップSP32において、各画素Mv(i,j)で構成される画像を垂直方向に拡大処理する。具体的には、各画素Mv(i,j)を最近隣内挿法(ニアレストネイバー法)を用いて、垂直方向にm倍(=n倍)に拡大する。
【0063】
この拡大率m(=n)は、縮小画像生成部21における拡大率(縮小率)1/m(=1/n)の逆数であり、この拡大の結果、原画像の画素数と同一となるようにする。これにより、細線の存在位置を原画像の各画素位置に対応づけて特定することが容易になる。なお、細線の存在位置を検出する必要がない場合、たとえば細線の有無のみを検出する場合などにおいては、この拡大処理は不要である。
【0064】
以上のようにして、垂直方向の細線を検出することができる。
【0065】
<B3.水平方向の細線検出>
つぎに、ステップSP40(図4)における水平方向の細線の検出について説明する。水平方向の細線検出は、垂直方向の細線検出と同様の処理に基づいて行うことができる。
【0066】
図15は、水平方向に伸びる細線を検出する手順を示すフローチャートであり、図5に対応するものである。図15において「水平方向」を表す添え字hを有する参照符号は、図5において「垂直方向」を表すvを添え字として有する参照符号に対応する。また、ステップSP41〜SP52の処理は、それぞれ、対応するステップSP21〜SP32の処理と同様の処理である。
【0067】
ここで、垂直方向の細線検出と相違する点は、原画像Gを(垂直方向ではなく)「水平方向」に縮小し、その水平方向と直交する方向である「垂直方向」に太らせ処理および細らせ処理を行うことにより細線を検出する点である。すなわち、上記の垂直方向の細線検出動作において、垂直方向を水平方向と置き換え、水平方向を垂直方向と置き換えればよい。
【0068】
また、これに応じて、ステップSP22,ステップSP26に対応する工程においても、「垂直方向」の隣接画素との最大、最小演算を行うことになる。たとえば、ステップSP23においては、高濃度領域細らせ処理を行うにあたって、縮小画像G0における各注目画素Ph(i,j)(図7)の画素値とその垂直方向の隣接画素Ph(i,j+1)の画素値との最小値を算出し、その値を第1処理画像G1における各画素Phi(i,j)の画素値とする。すなわち、Phi(i,j)=min{Ph(i,j),Ph(i,j+1)}である。また、その他の処理についても同様である。
【0069】
このようなステップSP40の処理により、細線検出動作などを行うことができる。
【0070】
<B4.両方向の細線データ合成>
次のステップSP60(図4)では、このようにして得られた垂直方向の細線データと水平方向の細線データとを合成して両方向の細線データを考慮した細線データ(マスクデータ)Mを生成する。具体的には、上記のMv(i,j)とMh(i,j)とについて、両者の差の絶対値を新たな値M(i,j)として算出する。すなわち、M(i,j)=abs{Mv(i,j)−Mh(i,j)}である。ただし、記号abs{}は、絶対値を表す。
【0071】
なお、この演算は排他的論理和に準ずるものである。ここで、MvとMhとについて論理和(加算)ではなく排他的論理和(減算)を行うのは、次のような理由による。MvおよびMhの値が両方とも大きな値となるのは、たとえば、垂直方向の細線が存在し、かつ、水平方向の細線が存在する部分、すなわち両細線が交差する部分である。しかしながら、このような交差部分は、線切れが生じる部分であるとは考えにくく、逆に、一つの方向にのみ、細線が生じる場合に特に線切れが生じやすいと考えられる。たとえば、図16においては、線切れは、交差部分A1ではなく、厳密な垂直方向からわずかの角度だけずれた方向に伸びる細線部分A2などにおいて起こりやすいものと考えられる。したがって、MvとMhとについて排他的論理和(減算)を行うことにより、細線部分としての検出領域から上記のような交差部分を排除し、一つの方向にのみ細線が存在する場合を特徴的に抽出することが好ましいと考えられる。
【0072】
<B5.線切れ防止処理>
次にステップSP70において、上記のマスクデータMに基づいて、線切れ防止処理を行う。この処理は、線切れ防止処理部50により行われる。
【0073】
図17は、ステップSP70における詳細動作を表すフローチャートである。図17の各ステップSP71〜SP75の工程を、原画像G内の全ての画素について行うことにより、原画像Gに対して線切れ防止のための処理を施すことが可能になる。
【0074】
まず、ステップSP71において、原画像Gの注目画素位置に対応するマスクデータMの値に基づいて、対応する加重係数kを決定する。この加重係数kは、マスクデータMの値を変数とする関数により表される値であり、たとえば図18に示すような関数により表される。図18は、横軸にマスクデータMの値をとり、縦軸に加重係数k(ここでkはゼロ以上1以下の実数)の値をとったグラフである。
【0075】
具体的には、この各マスクデータMの値に対応するkの値を参照テーブルLUT(図18)にあらかじめ記憶しておくことができる。これにより、各マスクデータMの値に対応するkを即時に参照することができる。また、Mとkとの関係の数式による表現が困難な場合であっても容易にkの値を決定することができる。
【0076】
なお、Mとkとの関係が所定の数式で表せる場合などには、その所定の数式に基づいて随時計算によってMに対応するkを求めてもよい。
【0077】
また、図19は、線切れ防止処理の概要を示す説明図である。上記の加重係数kを用いて、原画像Gに対してフィルタ処理を施した結果を原画像Gに加重して処理画像を出力画像として得る。
【0078】
そのため、次のステップSP73において、注目画素およびその近傍画素を用いてフィルタ処理を行う。この処理の際のフィルタとしては、たとえば、図20に示すような加重平均フィルタを用いることができる。この加重平均フィルタは、注目画素の画素値に4/16を乗じた値と、注目画素に対して左右上下に隣接する画素のそれぞれの画素値に2/16を乗じた値と、注目画素に対して斜め方向に隣接する画素のそれぞれの画素値に1/16を乗じた値とを加算することにより当該注目画素の位置における新たな画素値とするフィルタであり、これにより、「ぼかし」処理を行うことができる。
【0079】
そして、ステップSP75において、図19に示すように、原画像Gに対して図20のような加重平均フィルタによる処理を行って得た値を、原画像Gの画素値に加重して新たな画素値とするにあたって、その加重時の係数として上述の加重係数kを用いる。より具体的には、注目画素およびその近傍画素に対して加重平均フィルタ処理を行って得られた画素値p2に加重係数kを乗じた値と、注目画素の画素値p1に係数(1−k)を乗じた値とを加算することにより、注目画素位置における新たな画素値とする。
【0080】
このような各ステップSP71〜SP75の動作を、原画像G内の全ての画素について行うことにより、原画像Gに対して線切れ防止のための処理を施すことができる。
【0081】
ここで、マスクデータMは、原画像Gの各画素位置に関して、線切れの発生原因である細線の存在程度を表す指標としての値を有している。したがって、このマスクデータMに基づいて定められた係数kに応じて、加重平均フィルタによる影響をどの程度加えるかを決定することにより、細線が存在する位置を特定した上で、適切に加重平均フィルタによる処理を特定の領域において施すことができる。言い換えれば、線切れが発生する可能性が高い部分のみに対して、選択的に加重平均フィルタによる「ぼかし」効果を加えることができる。
【0082】
なお、ここでは図18に示すように、マスクデータMが閾値S1以下の場合には、加重係数kをゼロにしている。この閾値S1をゼロでない所定の値(たとえば20程度)として設定することにより、縮小画像G0において隣接する2つの画素が若干異なる画素値(たとえば、両画素の画素値が245,255)を有しておりステップSP20などにおいて細線として「誤検出」されていた場合(正確には細線が存在する程度がゼロではないものとして検出されていた場合)にも、その影響を排除して、上記加重平均フィルタによる処理が必要な位置に対して選択的にフィルタ処理の結果を加重することができる。
【0083】
また、マスクデータMは、上述のステップSP31において高濃度領域拡張処理を施すことによって得られている。したがって、このような加重平均フィルタ処理をさらに施すことにより、細線部分のみならず細線近傍の部分においてもフィルタ処理による影響を加えることができるので、滑らかに細線を太らせるような処理を施すことが可能になる。これにより、線切れの防止の効果をさらに大きくすることができる。この際に、拡張処理後のマスクデータから、拡張処理前のマスクデータMを除外(減算)することで、「細線自体の濃度を保ったまま、周囲のみぼかして太らせる」ことができる。このため、低コントラストの細線が消えてしまうことがなくなる。
【0084】
なお、上述の例においては、kがゼロでない場合にもステップSP73においてフィルタ処理を行ったが、kがゼロである場合にはフィルタ処理を行わずに原画像の対応画素の画素値をそのまま新たな画素値として出力してもよい。
【0085】
<C.変形例など>
上記実施形態の垂直方向の細線検出動作(ステップSP20)においては、縮小画像G0,第1処理画像G1,第2処理画像G2、差分画像G3の各画像の作成にあたって、それぞれの全画素全てについて画像を作成した後に次の処理に移行する場合を示したがこれに限定されず、たとえば、1ライン(行)ずつ各画像G0〜G3の作成を進めてもよい。また、ステップSP40の水平方向の細線検出動作についても同様であり、1カラム(列)ずつ各画像G0〜G3を作成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態においては、ステップSP60などにおいて、2つの方向に関する細線検出データを合成することによりマスクデータMを得ていたが、これに限定されず、1つの方向に関する細線検出データをマスクデータMとして用いてもよい。
【0087】
上記実施形態においては、原画像を垂直または水平方向に縮小する際の縮小率1/mの逆数mと、その方向に沿う平均化処理の画素数nとが等しい(m=n)場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、原画像を所定方向に縮小する際の縮小率1/mの逆数mは、所定方向に沿う平均化処理の画素数nよりも小さくてもよい。
【0088】
図21は、そのような場合のステップSP21における縮小画像生成動作について説明する図であり、上記実施形態の図6に対応する図である。
【0089】
上記実施形態では、原画像Gにおける所定方向の8画素(n=8)の平均値を縮小画像G0の1画素とし、同様の動作を所定方向に8画素(m=n=8)ずつずらしながら繰り返すことにより、原画像Gを所定方向において1/8に縮小して縮小画像を生成していたが、この変形例では、原画像Gにおける所定方向のn画素(n=8)ごとの平均値を縮小画像G0の1画素とするものの、同様の動作を4画素(m=4≠n)ずつずらしながら繰り返すことにより、原画像Gを所定方向において1/4に縮小して縮小画像を生成する。これによれば、n画素の平均化処理により特定方向に伸びる細線の検出を行うにあたって、縮小時の所定方向の情報の欠落を低下させることができるので、生成されるマスクデータMにおける「がたつき」を防止することができる。
【0090】
ここで、検出すべき細線の方向は、上記平均化処理における画素数nの値を変更することにより調整することができる。すなわち、この画素数nが大きくなるにつれて特定方向からのずれ角が小さな細線を検出することができ、逆に画素数nを小さくするにつれて特定方向からのずれ角が大きな細線を検出することができる。言い換えれば、画素数nが大きいほど、検出する細線の特定方向からのずれの範囲を限定することができ、特定方向に伸びる細線を検出することができる。このように、平均化処理における画素数nを調整することにより、検出すべき細線の方向性を調整することができ、指向性を有する細線検出が可能である。
【0091】
また、上記実施形態においては、垂直方向および水平方向に配列された画素配列の垂直方向および水平方向に近い方向に伸びる細線検出などについて説明した。これは、たとえば、網点パターンの方向と画素の配列方向とが傾きを有しない場合(平行の場合)に生じる線切れ現象を回避するために用いることができる。しかしながら、本発明は、これに限定されず、垂直方向および水平方向以外の特定の方向に伸びる細線の検出などについても適用することができる。たとえば、網点パターンが画素の配列方向に所定の傾きを有している場合において、線切れの発生源となる細線の方向性も変化することになるが、このような線切れの発生源となる細線の方向性に応じて、その方向に伸びる細線を検出し、さらには、その検出結果に基づいて、線切れ防止処理を行うことができる。この場合においては、線切れの発生源となる細線の方向性に応じて、検出すべき細線の方向(斜め方向)に縮小し、その直交方向に細らせ処理および太らせ処理を順次行うことなどにより、細線を検出することができる。なお、斜め方向の縮小動作においては、その斜め方向において座標変換により投影される複数の対応画素の平均を求めればよい。また、細らせ処理および太らせ処理においては、検出すべき細線の方向に応じて、垂直水平双方向に配列された画素列において注目画素の垂直方向、水平方向、斜め方向に隣接する画素を用いて細らせ太らせ処理を適宜に使い分けることができる。具体的には、検出すべき細線の方向に直交する方向に最も近い方向の隣接画素を用いることができる。
【0092】
さらに、上記実施形態においては、互いに垂直な2つの方向(垂直方向および水平方向)近傍において伸びる細線の検出などについて説明したが、これに限定されず、検出すべき細線が互いに異なる任意の2つの方向近傍に指向性を有する場合にもその2つの方向近傍に伸びる細線の検出を行うことができる。これによれば、たとえば、直交しない2つの軸方向を基準にする網点パターンを用いて網点化を行う場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0093】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の画像処理装置によれば、原画像を所定方向に縮小して生成した縮小画像について所定方向に直交する方向に細らせ処理を行った後に太らせ処理を行うことにより第2処理画像が得られ、この第2処理画像と縮小画像との差分である差分画像が得られるので、得られた差分画像により所定方向に近い方向において伸びる細線を検出することができる。
【0094】
請求項2に記載の画像処理装置によれば、原画像を所定方向に縮小するにあたって所定方向に沿うn画素の平均化処理を伴うので、このnの値を調整することにより、検出すべき細線の指向性を調整することができる。
【0095】
請求項3に記載の画像処理装置によれば、特定濃度領域は高濃度領域であるので、差分画像に基づいて高濃度の細線を検出することができ、請求項4に記載の画像処理装置によれば、特定濃度領域は低濃度領域であるので、差分画像に基づいて低濃度の細線を検出することができる。
【0096】
請求項5に記載の画像処理装置によれば、特に線切れが生じやすい2つの方向の細線を検出することができる。
【0097】
請求項6に記載の画像処理装置によれば、差分画像に対して、縮小画像生成手段における縮小率の逆数倍に所定方向に拡大する拡大処理を行うことにより、原画像の各画素位置における細線の有無の程度を表す細線指標を生成するので、検出された細線の原画像における対応位置を容易に求めることができる。
【0098】
また、請求項7に記載の画像処理装置によれば、原画像に所定のフィルタ処理を施した結果を前記原画像に加重する際の加重係数を前記細線指標に基づいて決定する加重係数決定手段と、前記原画像に所定のフィルタ処理を施した結果を、前記加重係数を用いて前記原画像に加重した処理画像を得るフィルタ処理手段と、を備えているので、線切れが発生する可能性が高い部分である細線部分を特定して選択的にフィルタ処理の影響を加えて、線切れ防止処理を行うことができる。
【0099】
請求項8に記載の画像処理装置によれば、加重係数決定手段は、あらかじめ細線指標と加重係数との対応関係を参照テーブルとして有しているので、加重係数決定手段は、細線指標に基づいて加重係数を容易に決定することができる。
【0100】
請求項9に記載の画像処理装置によれば、拡大処理手段は、拡大処理を行うにあたって、差分画像の高濃度領域を拡張する処理をも行うことにより細線指標を生成し、その細線指標に基づいて得られた加重係数を用いてフィルタ処理手段がフィルタ処理を行うので、細線の近傍にもフィルタ処理を施すことができる。
【0101】
さらに、請求項10に記載の記録媒体によれば、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置1のハードウエア構成を表す図である。
【図2】画像処理装置1に関する機能ブロック図である。
【図3】画像処理装置1の詳細機能ブロック図である。
【図4】画像処理装置1における処理動作に関するフローチャートである。
【図5】垂直方向に伸びる細線を検出する動作に関するフローチャートである。
【図6】縮小画像生成処理を説明するための概念図である。
【図7】注目画素Pv(i,j)について説明するための概念図である。
【図8】白細線の検出動作について説明するための図である。
【図9】白細線の検出動作について説明するための図である。
【図10】白細線の検出動作について説明するための図である。
【図11】黒細線の検出動作について説明するための図である。
【図12】黒細線の検出動作について説明するための図である。
【図13】黒細線の検出動作について説明するための図である。
【図14】高濃度領域拡張処理(ステップSP31)について説明するための図である。
【図15】水平方向に伸びる細線を検出する動作に関するフローチャートである。
【図16】原画像Gの細線を示す図である。
【図17】線切れ防止処理の詳細動作を表すフローチャートである。
【図18】マスクデータMと加重係数kとの関係を示す図である。
【図19】線切れ防止処理の概要を示す説明図である。
【図20】フィルタの一例である加重平均フィルタを示す図である。
【図21】縮小画像生成動作の変形例に関する説明図である。
【図22】線切れについて説明するための図である。
【図23】線切れについて説明するための図である。
【図24】線切れについて説明するための図である。
【図25】USM処理による線切れについて説明するための図である。
【符号の説明】
1 画像処理装置
20 細線検出部
20A 垂直方向細線検出部
20B 水平方向細線検出部
21 縮小画像生成部
23bA,23bB 黒細線抽出部
23wA,23wB 白細線抽出部
50 線切れ防止処理部
G 原画像
G0 縮小画像
G3 差分画像
LUT 参照テーブル
M マスクデータ
k 加重係数
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理における「線切れ」現象の発生箇所となる細線を検出する技術、および線切れ現象を防止する技術に関する。
【0002】
【背景技術】
デジタル画像の網点化処理を行うに際して、線切れ現象が発生することがある。たとえば、次のように、網点ピッチとデジタル画像の画素ピッチとの比が整数比の関係にない場合に生じる「線切れ」現象が存在する。図22および図23は、その原理について説明する図である。
【0003】
図22は、網点ピッチとデジタル画像の画素ピッチとの比が整数比の関係にある場合において、50%濃度の垂直方向(縦方向)の細線を網点化する例を示すものである。ここでは、たとえば、網点の線数が175線(1インチあたりの線数)、画素ピッチが350dpi(1インチあたりの画素数)である場合のように、網点ピッチU1(=1/175(インチ))と画素ピッチU2(1/350(インチ))」との比U2/U1が350/175=2/1=2(整数)の場合を示している。この場合には、元のデジタル画像における各画素が網点化される際に、網点パターンの単位領域(以下「単位網点領域DU」)と個々の画素PXとの間での相対位置はどの部分でも同一であって、それらの間に空間的変化は生じないため、いずれの画素位置に存在する細線であっても、同様の網点面積を有するように網点化される。
【0004】
しかしながら、網点ピッチとデジタル画像の画素ピッチとの比が整数比の関係にない場合には、網点化処理において、原画像の画素が同じ濃度(階調値)を有する場合であっても、網点化時における画素の相対位置に応じて、網点化の結果(網点化時に於ける面積の大きさ)は異なるものとなる。
【0005】
たとえば、図23において、網点の線数が175線(1インチあたりの線数)、画素ピッチが400dpi(1インチあたりの画素数)である場合のように、網点ピッチU1(=1/175(インチ))と画素ピッチU3(1/400(インチ))」との比U3/U1が400/175=2.2、すなわち整数でない場合について考える。この場合において、デジタル画像の各画素PXの網点パターン上における単位網点領域DUとの相対位置は、徐々にずれていき比較的大きな周期で変動する。したがって、網点パターン上での画素の相対位置が、PAの位置に存在することもあれば、PBの位置に存在することもある。そして、PAの位置に1画素幅の細線が存在する場合には網点化時の面積が比較的小さく(大きく)、PBの位置に1画素幅の細線が存在する場合には網点化時の面積が比較的大きく(小さく)なる。ここで、1画素幅の細線LAが垂直方向に対して微小角θだけ傾いて存在する場合(図24(a)参照)には、網点化時における画素の相対位置がPAからPBなどへと比較的大きな周期で周期的に変動する状態に相当し、その周期的変動に応じて細線の太さも変動して見えることになるが、特に、網点化時の面積が小さな部分では、人間の目にはその細線が途切れた様に映る「線切れ」現象となって現れる。この状況が、図24(b)に模式的に示されている(便宜上、各網点は黒丸で示している)。この線切れ現象は、網点ピッチに対して、線幅が小さい場合に顕著に生じる。
【0006】
以上が網点ピッチとデジタル画像の画素ピッチとの比が整数比の関係にない場合に生じる「線切れ」現象の概略である。
【0007】
また、このような線切れ現象は、USM(アンシャープマスク)処理によって生じることもある。このUSM処理は、網点化出力の際に一般的に生じるシャープネスの低下を回避するために行うものである。この際の線切れ現象は、両側からのエッジ強調により、細線の濃度レベルが低下することに伴うものである。これは、図25に示すように、細線部では高濃度領域の両側からのエッジ強調によるピークが重なって画素値が飽和してしまうことがあり、そのために細線部の濃度(したがってその部分の網点面積率)が、本来のものよりも低下することに起因する。細線におけるこの領域は、上記と同様、人間の目には「線切れ」として映ることになる。さらに、「線切れ」を発生させる細線が等間隔で平行に並んでいる場合には、各線の低濃度部がお互いに連なって、長周期の濃度変動=モアレが発生する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そして、上記のような各種の原因で生ずる線切れ現象は、画像品質を低下させるものであり、画像出力時の大きな障害となる。
【0009】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、線切れの発生源となる細線を検出する画像処理に関する技術、および当該検出結果に基づき線切れを防止する処理を行う画像処理に関する技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の画像処理装置は、原画像に対して処理を施す画像処理装置であって、前記原画像を所定方向に縮小して縮小画像を生成する縮小画像生成手段と、前記縮小画像について、前記所定方向に直交する方向において特定濃度領域を細らせる細らせ処理を行うことにより第1処理画像を生成する細らせ処理手段と、前記第1処理画像について、前記所定方向に直交する方向において特定濃度領域を太らせる太らせ処理を行うことにより第2処理画像を生成する太らせ処理手段と、前記縮小画像と前記第2処理画像との差分である差分画像を生成する差分画像生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記縮小画像生成手段は、前記原画像を前記所定方向に縮小するにあたって前記所定方向に沿うn画素の平均化処理を伴うことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記特定濃度領域は、高濃度領域であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記特定濃度領域は、低濃度領域であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記所定方向は、互いに異なる2つの方向であり、前記縮小画像生成手段、前記細らせ処理手段、前記太らせ処理手段、および前記差分画像生成手段は、前記2つの方向のそれぞれに関する各処理を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の画像処理装置は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記差分画像に対して、前記縮小画像生成手段における縮小率の逆数倍に前記所定方向に拡大する拡大処理を行うことにより、前記原画像の各画素位置における細線の有無の程度を表す細線指標を生成する拡大処理手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の画像処理装置は、請求項6に記載の画像処理装置において、前記原画像に所定のフィルタ処理を施した結果を前記原画像に加重する際の加重係数を前記細線指標に基づいて決定する加重係数決定手段と、前記原画像に所定のフィルタ処理を施した結果を、前記加重係数を用いて前記原画像に加重した処理画像を得るフィルタ処理手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の画像処理装置は、請求項7に記載の画像処理装置において、前記加重係数決定手段は、あらかじめ細線指標と加重係数との対応関係を参照テーブルとして有していることを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の画像処理装置は、請求項7に記載の画像処理装置において、前記拡大処理手段は、前記拡大処理を行うにあたって、前記差分画像の高濃度領域を拡張する処理をも行うことにより前記細線指標を生成することを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の記録媒体は、コンピュータを、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の画像処理装置として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
<A.構成>
図1は、この発明の実施形態に係る画像処理装置1のハードウエア構成を表す概念図である。画像処理装置1は、CPU2、半導体メモリおよびハードディスクなどを含む記憶部3、各種の記録媒体から情報を読み出すメディアドライブ4、モニタなどを含む表示部5、キーボートおよびマウスなどを含む入力部6、デジタル画像を読み込む画像入力部7、処理後の画像を出力する画像出力部8を備えるコンピュータシステムである。CPU2は、バスラインBLおよび入出力インターフェースIFを介して、記憶部3、メディアドライブ4、表示部5、入力部6、画像入力部7、画像出力部8などに接続されている。また、メディアドライブ4は、CD−ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスクなどの可搬性の記録媒体9からその中に記録されている情報を読み出す。このコンピュータシステムは、プログラムを記録した可搬性記録媒体9からそのプログラムを読み込むことによって、後述するような細線検出機能とそれに基づく線切れ防止機能とを持つようになる。さらに、記憶部3は、読み込まれたプログラムの全部または一部を記憶するプログラム記憶部3a、および各種の処理画像を記憶する画像記憶部3bなどを有する。
【0021】
図2は画像処理装置1の概略構成を表す機能ブロック図であり、図3は画像処理装置1のさらに詳細な機能ブロック図である。図3においては、垂直方向および水平方向に伸びる細線を検出し、その検出結果に基づいて線切れ防止処理を行う場合の機能ブロックを記載している。
【0022】
図2および図3に示されるように、画像処理装置1は、デジタル画像を読み込む画像入力部7と、細線検出機能を有する細線検出部20と、検出結果に基づく線切れ防止機能を有する線切れ防止処理部50と、処理後の画像を網点化して出力する画像出力部8とを備えている。
【0023】
細線検出部20は、一般的には、所定方向に伸びる細線を検出することが可能であるが、ここでは、細線検出部20は、垂直方向の細線を検出する垂直方向細線検出部20Aと水平方向の細線を検出する水平方向細線検出部20Bとを有するものとし、垂直方向および水平方向に伸びる細線を検出する場合を示している(図3)。ここにおいて、「水平方向」とは画素のマトリクス配列における行方向を指しており、「垂直方向」とはそのマトリクス配列における列方向を指しているが、これらは相対的なものであって、上記とは逆に定義することもできる。
【0024】
この細線検出部20(20A,20B)は、読み込まれたデジタル画像(原画像)を所定方向(ここでは垂直方向および水平方向)に縮小して縮小画像を生成する縮小画像生成部21(21A,21B)と、白細線抽出部23w(23wA,23wB)および黒細線抽出部23b(23bA,23bB)とを有している。
【0025】
ここにおいて、この実施形態では「黒」が階調値「0」で、「白」が階調値「255」で表現されている場合を考えている(8ビット表現の場合)。このため、黒側の階調領域が「低濃度領域」として、また、白側の階調領域が「高濃度領域」としてそれぞれ定義される。このため、この実施形態での「濃度」は「白濃度」であって、たとえば「白線」とは「低濃度領域(黒領域)の中に存在する高濃度(白)の線」ということになる。一般には、原画像の背景色(白または黒)側の濃度を持つ領域が低濃度領域として定義される。
【0026】
白細線抽出部23wは、大きな階調値(高濃度値)を有する画素の集合として表現される細線(白細線)を抽出するものであり、黒細線抽出部23bは、小さな階調値(低濃度値)を有する画素の集合として表現される細線(黒細線)を抽出するものである。なお、ここでは、白黒の両細線を抽出しているが、白細線または黒細線のうちのいずれか一方のみを抽出すればよい場合には、対応する一方の抽出部23w,23bのみを設ければよい。
【0027】
これらの白細線抽出部23wおよび黒細線抽出部23bは、それぞれ、縮小画像生成部21(21A,21B)において生成された縮小画像についてその縮小方向に直交する方向(直交方向)において特定濃度領域(高濃度領域または低濃度領域)を細らせる細らせ処理を行うことにより第1処理画像を生成する細らせ処理部25(25wA,25bA,25wB,25bB)と、第1処理画像について、縮小方向に直交する方向において特定濃度領域を太らせる太らせ処理を行うことにより第2処理画像を生成する太らせ処理部27(27wA,27bA,27wB,27bB)と、縮小画像と第2処理画像との差分である差分画像を生成する差分画像生成部29(29wA,29bA,29wB,29bB)とを有している。
【0028】
また、細線検出部20は、白細線に関する差分画像と黒細線に関する差分画像とを合成する細線データ合成部31(31A,31B)と、高濃度領域を拡張する処理を行う高濃度領域拡張部33(33A,33B)と、得られた差分画像を縮小方向と同じ方向に今度は拡大(縮小画像生成部21における縮小率の逆数倍に拡大して原画像の画素数と同一となるように拡大)する拡大処理部35(35A,35B)とをさらに有している。なお、拡大処理部35における拡大処理により、原画像の各画素位置における細線の有無の程度を表す細線指標が生成される。また、高濃度領域拡張部33は、拡大処理部35による拡大処理を行うにあたって、差分画像の高濃度領域を拡張する処理を併せて行うものであり、高濃度領域拡張部33と拡大処理部35とを併せて広義の拡大処理手段と称することもできる。
【0029】
また、線切れ防止処理部50は、上記の垂直方向および水平方向の細線指標に関するデータを合成する垂直水平方向細線データ合成部51と、得られた細線指標に基づいて加重係数を決定する加重係数決定部53と、その加重係数に基づいて原画像に所定のフィルタ処理を施した結果を原画像に加重して処理画像を得るフィルタ処理部55と、を有している。
【0030】
以下では、このような概略構成を有する画像処理装置1において、垂直方向および水平方向に伸びる細線を検出する動作について、ならびにその検出結果に基づいて線切れ防止を行う動作について説明する。
【0031】
<B.動作>
<B1.概要>
図4は、画像処理装置1における処理動作について示すフローチャートである。図4に示すように、まず、ステップSP10において、画像入力部7などを用いて、処理対象となる原画像Gを読み込む。この原画像Gは、複数の画素が垂直方向および水平方向においてマトリクス配列され、それらの各画素が複数の階調値(たとえば2の8乗=256階調)を有するデジタル画像として得られる。
【0032】
次に、ステップSP20において垂直方向に伸びる細線を検出する動作を行い、ステップSP30において水平方向に伸びる細線を検出する動作を行う。これらの両方向に伸びる細線の検出結果は、ステップSP60において合成される。そして、ステップSP70において細線の検出結果に基づいて線切れ防止のための処理を行い、ステップSP80において処理後の画像が出力される。
【0033】
<B2.垂直方向の細線検出>
ここで、垂直方向に伸びる細線を検出する動作(ステップSP20)の詳細について説明する。図5は、その処理の手順を示すフローチャートである。
【0034】
まず、ステップSP21において、原画像Gを垂直方向において1/mに縮小して縮小画像を生成する縮小画像生成処理が行われる。
【0035】
図6は、この処理を説明するための概念図であり、原画像Gにおいて垂直方向に配列されているn画素(n=8)の階調値の平均を算出することにより縮小処理後の縮小画像G0の1画素の画素値が算出される。ただし、nは2以上の整数である。言い換えれば、このステップSP21の縮小処理においてn画素が1画素に縮小される。ここでは、変倍率1/mは、1/n(すなわちm=n)となる。
【0036】
<白細線抽出>
次に、ステップSP22において、高濃度の領域が1画素幅程度の幅で線状に連なった細線としての白細線を抽出する処理を行う。そのため、縮小画像G0に対して、ステップSP23〜SP25の動作を行う。図8は、白細線の検出動作の原理について説明するための図であり、これらの動作を図8を参照しながら説明する。
【0037】
ステップSP23では、縮小画像G0について水平方向において高濃度領域を細らせる細らせ処理を行うことにより第1処理画像G1を生成する。具体的には、縮小画像G0における各注目画素Pv(i,j)(図7)の画素値とその水平方向の隣接画素Pv(i+1,j)の画素値との最小値を算出し、その値を第1処理画像G1における各画素Pvi(i,j)の画素値とする。すなわち、Pvi(i,j)=min{Pv(i,j),Pv(i+1,j)}である。そして、縮小画像G0内の全ての画素のそれぞれを順次に注目画素として上記処理を進めることにより、第1処理画像G1を生成する。
【0038】
図8(a)は、処理前の縮小画像G0における水平方向に配列される複数の画素の画素値の一例を表すものである。この画素列は、水平方向に1画素分の幅を有し、かつ、垂直方向にn画素分の長さを有する細線(白細線)が存在する場合に相当する。このような画素Pvの配列にステップSP23の処理を施すと、図8(b)の画素Pviの配列が生成される。図8(b)では、各画素値はゼロとなっている。
【0039】
つぎに、ステップSP24において、第1処理画像G1について、水平方向において高濃度領域を太らせる太らせ処理を行うことにより第2処理画像G2を生成する。具体的には、第1処理画像G1における各注目画素Pvi(i,j)の画素値とその水平方向において反対側の隣接画素Pvi(i−1,j)の画素値との最大値を算出し、その値を第2処理画像G2における各画素Pvia(i,j)の画素値とする。すなわち、Pvia(i,j)=max{Pvi(i−1,j),Pvi(i,j)}である。そして、第1処理画像G1内の全ての画素のそれぞれを順次に注目画素として上記処理を進めることにより、第2処理画像G2を生成する。
【0040】
図8(b)の画素Pviの配列にステップSP24の高濃度領域太らせ処理を施すと、図8(c)の画素Pviaの配列が生成され、ここでは、左から2番目の画素値は復元されずにゼロとなったままである。
【0041】
そして、ステップSP25において、縮小画像G0と第2処理画像G2との差分である差分画像G3を生成する。具体的には、縮小画像G0における各注目画素Pv(i,j)の画素値と、第2処理画像G2における対応する位置の画素Pvia(i,j)の画素値との差分値を、差分画像G3の画素Mvw(i,j)における画素の画素値とする。すなわち、Mvw(i,j)=Pv(i,j)−Pvia(i,j)である。ただし、この差分値が負となる場合には、ゼロに修正するものとし(リミット処理)、この修正動作をも含めた差分動作により得られる画像を差分画像と称するものとする。
【0042】
そして、第2処理画像G2内の全ての画素のそれぞれを順次に注目画素として上記処理を進めることにより、差分画像G3を生成する。
【0043】
図8(d)は、図8(a)の画素Pvの配列と図8(c)の画素Pviaの配列とについてステップSP25の処理を施した結果を示した図である。ここでは、左から2番目の画素の画素値が大きな値を有しており、この部分に細線が存在する程度が高いことが示されている。
【0044】
ここで、図8は、検出すべき細線が存在する部分に関してステップSP23〜SP25の処理を施した場合について説明するための図であったが、図9を参照しながら、検出すべき細線が存在しない場合について例示する。図9は、水平方向に2画素分の幅を有し、かつ、垂直方向にn画素分の長さを有する線が存在する場合に同様の処理を施した場合について説明するための図である。
【0045】
この場合には、画素Pvの配列にステップSP23の処理を施すと、図9(b)の画素Pviの配列が生成されるが、左から2番目の画素の画素値はゼロとはならずに、値255を有している。そして、この画素Pviの配列にステップSP24の高濃度領域太らせ処理を施すと、図9(c)の画素Pviaの配列が生成され、ここでは、左から2番目の画素値と3番目の画素値が縮小画像G0の元の値に復元され、高濃度領域が2画素幅に戻る。したがって、差分画像G3の画素Mvw(i,j)は、全てゼロとなり、細線が存在しないものとして判定される。
【0046】
このように縮小方向に直交する方向である水平方向に細らせ処理および太らせ処理を順次に行い、その結果得られた画像G2と縮小画像G0との差分である差分画像G3を得ることにより、1画素幅の高濃度領域として表現される白細線を抽出することができる。
【0047】
図10は、このような処理を平面的に行う場合について説明する図であり、図10(a)は処理前の縮小画像G0を表し、図10(b)は処理後の差分画像G3を表す。図10(b)に示すように、処理前の縮小画像G0の水平方向の画素配列であるラインL2,L3,L5、L6においては、水平方向の幅が1画素分である高濃度領域が存在し、このような領域が差分画像G3において細線が存在する程度が高い領域として抽出されている。一方、処理前の縮小画像G0のラインL1,L4,L7においては、水平方向の幅が2画素分である高濃度領域が存在するが、差分画像G3においてこのような領域は細線が存在する程度が低いとして差分画像G3の各画素の値はゼロとなっている。
【0048】
<黒細線抽出>
次に、ステップSP26において、低濃度の領域が1画素幅程度の幅で線状に連なった細線としての黒細線を抽出する処理を行う。そのため、縮小画像G0に対して、ステップSP27〜SP29の動作を行う。上記のステップSP22の白細線抽出処理動作においては、特定濃度領域である高濃度領域を水平方向に細らせた後に同方向に太らせることにより、その結果画素値が復元される程度の差に基づいて細線が存在する程度を検出していたが、このステップSP26の黒細線抽出処理動作においては、特定濃度領域として低濃度領域を選択し、この低濃度領域を水平方向に細らせた後に同方向に太らせることにより、各画素値が復元される程度の差に基づいて細線が存在する程度を検出する。
【0049】
具体的には、ステップSP27において、縮小画像G0について水平方向において低濃度領域を細らせる細らせ処理を行うことにより第1処理画像G1を生成する。具体的には、縮小画像G0における各注目画素Pv(i,j)(図7)の画素値とその水平方向の隣接画素Pv(i+1,j)の画素値との「最大値」を算出し、その値を第1処理画像G1における各画素Pva(i,j)の画素値とする。すなわち、Pva(i,j)=max{Pv(i,j),Pv(i+1,j)}である。
【0050】
つぎに、ステップSP28において、第1処理画像G1について、水平方向において低濃度領域を太らせる太らせ処理を行うことにより第2処理画像G2を生成する。具体的には、第1処理画像G1における各注目画素Pva(i,j)の画素値とその水平方向において反対側の隣接画素Pva(i−1,j)の画素値との「最小値」を算出し、その値を第2処理画像G2における各画素Pvai(i,j)の画素値とする。すなわち、Pvai(i,j)=min{Pva(i−1,j),Pva(i,j)}である。
【0051】
そして、ステップSP29において、縮小画像G0と第2処理画像G2との差分である差分画像G3を生成する。具体的には、第2処理画像G2における対応する位置の画素Pvai(i,j)の画素値と、縮小画像G0における各注目画素Pv(i,j)の画素値との差分値を、差分画像G3の画素Mvb(i,j)における画素の画素値とする。すなわち、Mvb(i,j)=Pvai(i,j)−Pv(i,j)である。ただし、この差分値が負となる場合には、ゼロに修正するものとする。
【0052】
なお、上記各ステップSP27〜SP29においては、各画像G0〜G2内の全ての画素のそれぞれを順次に注目画素として各処理を進めることにより、各画像G1〜G3を生成する。
【0053】
図11(a)は、処理前の縮小画像G0における水平方向に配列される複数の画素の画素値の一例を表すものである。この画素列は、水平方向に1画素分の幅を有し、かつ、垂直方向にn画素分の長さを有する黒細線が存在する場合に相当する。このような画素Pvの配列にステップSP27の処理を施すと、図11(b)の画素Pvaの配列が生成され、ここでは、各画素値は255となっている。
【0054】
そして、図11(b)の画素Pvaの配列にステップSP28の低濃度領域太らせ処理を施すと、図8(c)の画素Pvaiの配列が生成され、ここでは、左から2番目の画素値は復元されずに255となったままである。
【0055】
図11(d)は、図11(c)の画素Pvaiの配列と図11(a)の画素Pvの配列とについてステップSP29の処理を施した結果を示した図である。ここでは、左から2番目の画素の画素値が大きな値を有しており、この部分に細線が存在する程度が高いことが示されている。
【0056】
ここで、図11は、検出すべき細線が存在する部分に関してステップSP27〜SP29の処理を施した場合について説明するための図であったが、図12を参照しながら、検出すべき細線が存在しない場合について例示する。図12は、水平方向に2画素分の幅を有し、かつ、垂直方向にn画素分の長さを有する黒線(低濃度の線)が存在する場合に同様の処理を施した場合について説明するための図である。
【0057】
この場合には、画素Pvの配列にステップSP27の処理を施すと、図12(b)の画素Pvaの配列が生成されるが、左から2番目の画素の画素値は255とはならずに、値ゼロを有している。そして、この画素Pvaの配列にステップSP28の高濃度領域太らせ処理を施すと、図12(c)の画素Pvaiの配列が生成され、ここでは、左から2番目の画素値と3番目の画素値が縮小画像G0の元の値に復元され、低濃度領域が2画素幅に戻る。したがって、差分画像G3の画素Mvb(i,j)は、全てゼロとなり、細線が存在しないものとして判定される。
【0058】
このように縮小方向に直交する方向である水平方向に細らせ処理および太らせ処理を順次に行い、その結果得られた画像G2と縮小画像G0との差分である差分画像G3を得ることにより、1画素幅の低濃度領域として表現される黒細線を抽出することができる。
【0059】
図13は、このような処理を平面的に行う場合について説明する図であり、図13(a)は処理前の縮小画像G0を表し、図13(b)は処理後の差分画像G3を表す。このように、処理前の縮小画像G0の水平方向の画素配列であるラインL2,L3,L5、L6においては、水平方向の幅が1画素分である低濃度領域が存在し、このような領域が差分画像G3において細線が存在する程度が高い領域として抽出されている。一方、処理前の縮小画像G0のラインL1,L4,L7においては、水平方向の幅が2画素分である低濃度領域が存在するが、差分画像G3においてこのような領域は細線が存在する程度が低いものとされている。
【0060】
<白黒細線抽出結果の合成など>
つぎに、ステップSP30(図5)において、上記の白細線抽出結果と黒細線抽出結果とを合成する。具体的には、各画素(i,j)における上記の画素Mvw(i,j)と画素Mvb(i,j)とを加算することにより、白細線および黒細線の両方の細線に関する細線データを合成する。すなわち、Mv(i,j)=Mvw(i,j)+Mvb(i,j)である。
【0061】
そして、ステップSP31において、高濃度領域を拡張する処理(高濃度領域拡張処理)を行う。この高濃度領域拡張処理は、たとえば、注目画素およびその隣接8画素の合計9個の画素の画素値のうちの最大値をその注目画素の画素値とするフィルタを用いることにより実現できる。図14は、そのような最大値フィルタを用いて高濃度領域拡張処理を行う場合の処理前(a)および処理後(b)の画像の画素値を表す図である。この高濃度領域拡張処理処理は、後述するように、細線データをマスクデータとして用いてフィルタ処理を行うにあたって、細線が存在する近傍の領域にもフィルタ処理による影響を加えるために行うものであり、細線の位置を検出することのみを目的とする場合においては不要である。
【0062】
さらに、ステップSP32において、各画素Mv(i,j)で構成される画像を垂直方向に拡大処理する。具体的には、各画素Mv(i,j)を最近隣内挿法(ニアレストネイバー法)を用いて、垂直方向にm倍(=n倍)に拡大する。
【0063】
この拡大率m(=n)は、縮小画像生成部21における拡大率(縮小率)1/m(=1/n)の逆数であり、この拡大の結果、原画像の画素数と同一となるようにする。これにより、細線の存在位置を原画像の各画素位置に対応づけて特定することが容易になる。なお、細線の存在位置を検出する必要がない場合、たとえば細線の有無のみを検出する場合などにおいては、この拡大処理は不要である。
【0064】
以上のようにして、垂直方向の細線を検出することができる。
【0065】
<B3.水平方向の細線検出>
つぎに、ステップSP40(図4)における水平方向の細線の検出について説明する。水平方向の細線検出は、垂直方向の細線検出と同様の処理に基づいて行うことができる。
【0066】
図15は、水平方向に伸びる細線を検出する手順を示すフローチャートであり、図5に対応するものである。図15において「水平方向」を表す添え字hを有する参照符号は、図5において「垂直方向」を表すvを添え字として有する参照符号に対応する。また、ステップSP41〜SP52の処理は、それぞれ、対応するステップSP21〜SP32の処理と同様の処理である。
【0067】
ここで、垂直方向の細線検出と相違する点は、原画像Gを(垂直方向ではなく)「水平方向」に縮小し、その水平方向と直交する方向である「垂直方向」に太らせ処理および細らせ処理を行うことにより細線を検出する点である。すなわち、上記の垂直方向の細線検出動作において、垂直方向を水平方向と置き換え、水平方向を垂直方向と置き換えればよい。
【0068】
また、これに応じて、ステップSP22,ステップSP26に対応する工程においても、「垂直方向」の隣接画素との最大、最小演算を行うことになる。たとえば、ステップSP23においては、高濃度領域細らせ処理を行うにあたって、縮小画像G0における各注目画素Ph(i,j)(図7)の画素値とその垂直方向の隣接画素Ph(i,j+1)の画素値との最小値を算出し、その値を第1処理画像G1における各画素Phi(i,j)の画素値とする。すなわち、Phi(i,j)=min{Ph(i,j),Ph(i,j+1)}である。また、その他の処理についても同様である。
【0069】
このようなステップSP40の処理により、細線検出動作などを行うことができる。
【0070】
<B4.両方向の細線データ合成>
次のステップSP60(図4)では、このようにして得られた垂直方向の細線データと水平方向の細線データとを合成して両方向の細線データを考慮した細線データ(マスクデータ)Mを生成する。具体的には、上記のMv(i,j)とMh(i,j)とについて、両者の差の絶対値を新たな値M(i,j)として算出する。すなわち、M(i,j)=abs{Mv(i,j)−Mh(i,j)}である。ただし、記号abs{}は、絶対値を表す。
【0071】
なお、この演算は排他的論理和に準ずるものである。ここで、MvとMhとについて論理和(加算)ではなく排他的論理和(減算)を行うのは、次のような理由による。MvおよびMhの値が両方とも大きな値となるのは、たとえば、垂直方向の細線が存在し、かつ、水平方向の細線が存在する部分、すなわち両細線が交差する部分である。しかしながら、このような交差部分は、線切れが生じる部分であるとは考えにくく、逆に、一つの方向にのみ、細線が生じる場合に特に線切れが生じやすいと考えられる。たとえば、図16においては、線切れは、交差部分A1ではなく、厳密な垂直方向からわずかの角度だけずれた方向に伸びる細線部分A2などにおいて起こりやすいものと考えられる。したがって、MvとMhとについて排他的論理和(減算)を行うことにより、細線部分としての検出領域から上記のような交差部分を排除し、一つの方向にのみ細線が存在する場合を特徴的に抽出することが好ましいと考えられる。
【0072】
<B5.線切れ防止処理>
次にステップSP70において、上記のマスクデータMに基づいて、線切れ防止処理を行う。この処理は、線切れ防止処理部50により行われる。
【0073】
図17は、ステップSP70における詳細動作を表すフローチャートである。図17の各ステップSP71〜SP75の工程を、原画像G内の全ての画素について行うことにより、原画像Gに対して線切れ防止のための処理を施すことが可能になる。
【0074】
まず、ステップSP71において、原画像Gの注目画素位置に対応するマスクデータMの値に基づいて、対応する加重係数kを決定する。この加重係数kは、マスクデータMの値を変数とする関数により表される値であり、たとえば図18に示すような関数により表される。図18は、横軸にマスクデータMの値をとり、縦軸に加重係数k(ここでkはゼロ以上1以下の実数)の値をとったグラフである。
【0075】
具体的には、この各マスクデータMの値に対応するkの値を参照テーブルLUT(図18)にあらかじめ記憶しておくことができる。これにより、各マスクデータMの値に対応するkを即時に参照することができる。また、Mとkとの関係の数式による表現が困難な場合であっても容易にkの値を決定することができる。
【0076】
なお、Mとkとの関係が所定の数式で表せる場合などには、その所定の数式に基づいて随時計算によってMに対応するkを求めてもよい。
【0077】
また、図19は、線切れ防止処理の概要を示す説明図である。上記の加重係数kを用いて、原画像Gに対してフィルタ処理を施した結果を原画像Gに加重して処理画像を出力画像として得る。
【0078】
そのため、次のステップSP73において、注目画素およびその近傍画素を用いてフィルタ処理を行う。この処理の際のフィルタとしては、たとえば、図20に示すような加重平均フィルタを用いることができる。この加重平均フィルタは、注目画素の画素値に4/16を乗じた値と、注目画素に対して左右上下に隣接する画素のそれぞれの画素値に2/16を乗じた値と、注目画素に対して斜め方向に隣接する画素のそれぞれの画素値に1/16を乗じた値とを加算することにより当該注目画素の位置における新たな画素値とするフィルタであり、これにより、「ぼかし」処理を行うことができる。
【0079】
そして、ステップSP75において、図19に示すように、原画像Gに対して図20のような加重平均フィルタによる処理を行って得た値を、原画像Gの画素値に加重して新たな画素値とするにあたって、その加重時の係数として上述の加重係数kを用いる。より具体的には、注目画素およびその近傍画素に対して加重平均フィルタ処理を行って得られた画素値p2に加重係数kを乗じた値と、注目画素の画素値p1に係数(1−k)を乗じた値とを加算することにより、注目画素位置における新たな画素値とする。
【0080】
このような各ステップSP71〜SP75の動作を、原画像G内の全ての画素について行うことにより、原画像Gに対して線切れ防止のための処理を施すことができる。
【0081】
ここで、マスクデータMは、原画像Gの各画素位置に関して、線切れの発生原因である細線の存在程度を表す指標としての値を有している。したがって、このマスクデータMに基づいて定められた係数kに応じて、加重平均フィルタによる影響をどの程度加えるかを決定することにより、細線が存在する位置を特定した上で、適切に加重平均フィルタによる処理を特定の領域において施すことができる。言い換えれば、線切れが発生する可能性が高い部分のみに対して、選択的に加重平均フィルタによる「ぼかし」効果を加えることができる。
【0082】
なお、ここでは図18に示すように、マスクデータMが閾値S1以下の場合には、加重係数kをゼロにしている。この閾値S1をゼロでない所定の値(たとえば20程度)として設定することにより、縮小画像G0において隣接する2つの画素が若干異なる画素値(たとえば、両画素の画素値が245,255)を有しておりステップSP20などにおいて細線として「誤検出」されていた場合(正確には細線が存在する程度がゼロではないものとして検出されていた場合)にも、その影響を排除して、上記加重平均フィルタによる処理が必要な位置に対して選択的にフィルタ処理の結果を加重することができる。
【0083】
また、マスクデータMは、上述のステップSP31において高濃度領域拡張処理を施すことによって得られている。したがって、このような加重平均フィルタ処理をさらに施すことにより、細線部分のみならず細線近傍の部分においてもフィルタ処理による影響を加えることができるので、滑らかに細線を太らせるような処理を施すことが可能になる。これにより、線切れの防止の効果をさらに大きくすることができる。この際に、拡張処理後のマスクデータから、拡張処理前のマスクデータMを除外(減算)することで、「細線自体の濃度を保ったまま、周囲のみぼかして太らせる」ことができる。このため、低コントラストの細線が消えてしまうことがなくなる。
【0084】
なお、上述の例においては、kがゼロでない場合にもステップSP73においてフィルタ処理を行ったが、kがゼロである場合にはフィルタ処理を行わずに原画像の対応画素の画素値をそのまま新たな画素値として出力してもよい。
【0085】
<C.変形例など>
上記実施形態の垂直方向の細線検出動作(ステップSP20)においては、縮小画像G0,第1処理画像G1,第2処理画像G2、差分画像G3の各画像の作成にあたって、それぞれの全画素全てについて画像を作成した後に次の処理に移行する場合を示したがこれに限定されず、たとえば、1ライン(行)ずつ各画像G0〜G3の作成を進めてもよい。また、ステップSP40の水平方向の細線検出動作についても同様であり、1カラム(列)ずつ各画像G0〜G3を作成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態においては、ステップSP60などにおいて、2つの方向に関する細線検出データを合成することによりマスクデータMを得ていたが、これに限定されず、1つの方向に関する細線検出データをマスクデータMとして用いてもよい。
【0087】
上記実施形態においては、原画像を垂直または水平方向に縮小する際の縮小率1/mの逆数mと、その方向に沿う平均化処理の画素数nとが等しい(m=n)場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、原画像を所定方向に縮小する際の縮小率1/mの逆数mは、所定方向に沿う平均化処理の画素数nよりも小さくてもよい。
【0088】
図21は、そのような場合のステップSP21における縮小画像生成動作について説明する図であり、上記実施形態の図6に対応する図である。
【0089】
上記実施形態では、原画像Gにおける所定方向の8画素(n=8)の平均値を縮小画像G0の1画素とし、同様の動作を所定方向に8画素(m=n=8)ずつずらしながら繰り返すことにより、原画像Gを所定方向において1/8に縮小して縮小画像を生成していたが、この変形例では、原画像Gにおける所定方向のn画素(n=8)ごとの平均値を縮小画像G0の1画素とするものの、同様の動作を4画素(m=4≠n)ずつずらしながら繰り返すことにより、原画像Gを所定方向において1/4に縮小して縮小画像を生成する。これによれば、n画素の平均化処理により特定方向に伸びる細線の検出を行うにあたって、縮小時の所定方向の情報の欠落を低下させることができるので、生成されるマスクデータMにおける「がたつき」を防止することができる。
【0090】
ここで、検出すべき細線の方向は、上記平均化処理における画素数nの値を変更することにより調整することができる。すなわち、この画素数nが大きくなるにつれて特定方向からのずれ角が小さな細線を検出することができ、逆に画素数nを小さくするにつれて特定方向からのずれ角が大きな細線を検出することができる。言い換えれば、画素数nが大きいほど、検出する細線の特定方向からのずれの範囲を限定することができ、特定方向に伸びる細線を検出することができる。このように、平均化処理における画素数nを調整することにより、検出すべき細線の方向性を調整することができ、指向性を有する細線検出が可能である。
【0091】
また、上記実施形態においては、垂直方向および水平方向に配列された画素配列の垂直方向および水平方向に近い方向に伸びる細線検出などについて説明した。これは、たとえば、網点パターンの方向と画素の配列方向とが傾きを有しない場合(平行の場合)に生じる線切れ現象を回避するために用いることができる。しかしながら、本発明は、これに限定されず、垂直方向および水平方向以外の特定の方向に伸びる細線の検出などについても適用することができる。たとえば、網点パターンが画素の配列方向に所定の傾きを有している場合において、線切れの発生源となる細線の方向性も変化することになるが、このような線切れの発生源となる細線の方向性に応じて、その方向に伸びる細線を検出し、さらには、その検出結果に基づいて、線切れ防止処理を行うことができる。この場合においては、線切れの発生源となる細線の方向性に応じて、検出すべき細線の方向(斜め方向)に縮小し、その直交方向に細らせ処理および太らせ処理を順次行うことなどにより、細線を検出することができる。なお、斜め方向の縮小動作においては、その斜め方向において座標変換により投影される複数の対応画素の平均を求めればよい。また、細らせ処理および太らせ処理においては、検出すべき細線の方向に応じて、垂直水平双方向に配列された画素列において注目画素の垂直方向、水平方向、斜め方向に隣接する画素を用いて細らせ太らせ処理を適宜に使い分けることができる。具体的には、検出すべき細線の方向に直交する方向に最も近い方向の隣接画素を用いることができる。
【0092】
さらに、上記実施形態においては、互いに垂直な2つの方向(垂直方向および水平方向)近傍において伸びる細線の検出などについて説明したが、これに限定されず、検出すべき細線が互いに異なる任意の2つの方向近傍に指向性を有する場合にもその2つの方向近傍に伸びる細線の検出を行うことができる。これによれば、たとえば、直交しない2つの軸方向を基準にする網点パターンを用いて網点化を行う場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0093】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の画像処理装置によれば、原画像を所定方向に縮小して生成した縮小画像について所定方向に直交する方向に細らせ処理を行った後に太らせ処理を行うことにより第2処理画像が得られ、この第2処理画像と縮小画像との差分である差分画像が得られるので、得られた差分画像により所定方向に近い方向において伸びる細線を検出することができる。
【0094】
請求項2に記載の画像処理装置によれば、原画像を所定方向に縮小するにあたって所定方向に沿うn画素の平均化処理を伴うので、このnの値を調整することにより、検出すべき細線の指向性を調整することができる。
【0095】
請求項3に記載の画像処理装置によれば、特定濃度領域は高濃度領域であるので、差分画像に基づいて高濃度の細線を検出することができ、請求項4に記載の画像処理装置によれば、特定濃度領域は低濃度領域であるので、差分画像に基づいて低濃度の細線を検出することができる。
【0096】
請求項5に記載の画像処理装置によれば、特に線切れが生じやすい2つの方向の細線を検出することができる。
【0097】
請求項6に記載の画像処理装置によれば、差分画像に対して、縮小画像生成手段における縮小率の逆数倍に所定方向に拡大する拡大処理を行うことにより、原画像の各画素位置における細線の有無の程度を表す細線指標を生成するので、検出された細線の原画像における対応位置を容易に求めることができる。
【0098】
また、請求項7に記載の画像処理装置によれば、原画像に所定のフィルタ処理を施した結果を前記原画像に加重する際の加重係数を前記細線指標に基づいて決定する加重係数決定手段と、前記原画像に所定のフィルタ処理を施した結果を、前記加重係数を用いて前記原画像に加重した処理画像を得るフィルタ処理手段と、を備えているので、線切れが発生する可能性が高い部分である細線部分を特定して選択的にフィルタ処理の影響を加えて、線切れ防止処理を行うことができる。
【0099】
請求項8に記載の画像処理装置によれば、加重係数決定手段は、あらかじめ細線指標と加重係数との対応関係を参照テーブルとして有しているので、加重係数決定手段は、細線指標に基づいて加重係数を容易に決定することができる。
【0100】
請求項9に記載の画像処理装置によれば、拡大処理手段は、拡大処理を行うにあたって、差分画像の高濃度領域を拡張する処理をも行うことにより細線指標を生成し、その細線指標に基づいて得られた加重係数を用いてフィルタ処理手段がフィルタ処理を行うので、細線の近傍にもフィルタ処理を施すことができる。
【0101】
さらに、請求項10に記載の記録媒体によれば、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置1のハードウエア構成を表す図である。
【図2】画像処理装置1に関する機能ブロック図である。
【図3】画像処理装置1の詳細機能ブロック図である。
【図4】画像処理装置1における処理動作に関するフローチャートである。
【図5】垂直方向に伸びる細線を検出する動作に関するフローチャートである。
【図6】縮小画像生成処理を説明するための概念図である。
【図7】注目画素Pv(i,j)について説明するための概念図である。
【図8】白細線の検出動作について説明するための図である。
【図9】白細線の検出動作について説明するための図である。
【図10】白細線の検出動作について説明するための図である。
【図11】黒細線の検出動作について説明するための図である。
【図12】黒細線の検出動作について説明するための図である。
【図13】黒細線の検出動作について説明するための図である。
【図14】高濃度領域拡張処理(ステップSP31)について説明するための図である。
【図15】水平方向に伸びる細線を検出する動作に関するフローチャートである。
【図16】原画像Gの細線を示す図である。
【図17】線切れ防止処理の詳細動作を表すフローチャートである。
【図18】マスクデータMと加重係数kとの関係を示す図である。
【図19】線切れ防止処理の概要を示す説明図である。
【図20】フィルタの一例である加重平均フィルタを示す図である。
【図21】縮小画像生成動作の変形例に関する説明図である。
【図22】線切れについて説明するための図である。
【図23】線切れについて説明するための図である。
【図24】線切れについて説明するための図である。
【図25】USM処理による線切れについて説明するための図である。
【符号の説明】
1 画像処理装置
20 細線検出部
20A 垂直方向細線検出部
20B 水平方向細線検出部
21 縮小画像生成部
23bA,23bB 黒細線抽出部
23wA,23wB 白細線抽出部
50 線切れ防止処理部
G 原画像
G0 縮小画像
G3 差分画像
LUT 参照テーブル
M マスクデータ
k 加重係数
Claims (10)
- 原画像に対して処理を施す画像処理装置であって、
前記原画像を所定方向に縮小して縮小画像を生成する縮小画像生成手段と、
前記縮小画像について、前記所定方向に直交する方向において特定濃度領域を細らせる細らせ処理を行うことにより第1処理画像を生成する細らせ処理手段と、
前記第1処理画像について、前記所定方向に直交する方向において特定濃度領域を太らせる太らせ処理を行うことにより第2処理画像を生成する太らせ処理手段と、
前記縮小画像と前記第2処理画像との差分である差分画像を生成する差分画像生成手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置において、
前記縮小画像生成手段は、前記原画像を前記所定方向に縮小するにあたって前記所定方向に沿うn画素の平均化処理を伴うことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置において、
前記特定濃度領域は、高濃度領域であることを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置において、
前記特定濃度領域は、低濃度領域であることを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置において、
前記所定方向は、互いに異なる2つの方向であり、
前記縮小画像生成手段、前記細らせ処理手段、前記太らせ処理手段、および前記差分画像生成手段は、前記2つの方向のそれぞれに関する各処理を行うことを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記差分画像に対して、前記縮小画像生成手段における縮小率の逆数倍に前記所定方向に拡大する拡大処理を行うことにより、前記原画像の各画素位置における細線の有無の程度を表す細線指標を生成する拡大処理手段、
をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。 - 請求項6に記載の画像処理装置において、
前記原画像に所定のフィルタ処理を施した結果を前記原画像に加重する際の加重係数を前記細線指標に基づいて決定する加重係数決定手段と、
前記原画像に所定のフィルタ処理を施した結果を、前記加重係数を用いて前記原画像に加重した処理画像を得るフィルタ処理手段と、
をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。 - 請求項7に記載の画像処理装置において、
前記加重係数決定手段は、あらかじめ細線指標と加重係数との対応関係を参照テーブルとして有していることを特徴とする画像処理装置。 - 請求項7に記載の画像処理装置において、
前記拡大処理手段は、前記拡大処理を行うにあたって、前記差分画像の高濃度領域を拡張する処理をも行うことにより前記細線指標を生成することを特徴とする画像処理装置。 - コンピュータを、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の画像処理装置として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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