JP3638420B2 - セラミックヒータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種加熱用や点火用に用いられるセラミックヒータに関するもので、特に、燃費改善や出力向上、及び排気ガス改善を目指した自動車用の直噴型のディーゼルエンジンの始動促進をはじめ、船舶用あるいは発電用等の大型ディーゼルエンジンに用いられる全長の長い各種内燃機関用点火補助に使用されるグロープラグとして好適なセラミックヒータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種加熱用や点火用ヒータとして、耐熱金属製の筒状体内に高融点金属線から成る発熱抵抗体を耐熱絶縁粉末と共に埋設した各種シーズヒータが多用されていた。
【0003】
しかし、前記シーズヒータをディーゼルエンジンの始動時やアイドリング時に副燃焼室内を急速に予熱するために用いられる内燃機関用グロープラグとして用いた場合、急速昇温が困難であり、その上、耐摩耗性や耐熱性、耐食性等の耐久性に劣るという欠点があった。
【0004】
そこで熱伝達効率が優れ、急速昇温が可能で、耐摩耗性や耐熱性、耐食性等の耐久性に優れた信頼性の高い内燃機関用のグロープラグとして、熱伝導性が良好な電気絶縁性セラミック焼結体に、高融点金属やその化合物、及びそれらを主成分とする各種無機導電材から成る発熱抵抗体を担持したり、接合したり、あるいは埋設したりして一体化したセラミック発熱体が広く利用されるようになり、それに伴ってその他の各種加熱用や点火用ヒータとしても適用されるようになってきた。
【0005】
かかるセラミック発熱体は、例えば、リード部材を介してそれぞれの電極をハウジング金具と絶縁された外部接続端子にそれぞれ電気的に接続することによりセラミックヒータが構成されるか、あるいは図7に示すように、その一方の電極25がハウジング金具27に電気的に接続され、他方の電極26はリード部材28を介してハウジング金具27と絶縁された外部接続端子29に電気的に接続することによりセラミックヒータ30が構成されている。
【0006】
このようなセラミックヒータには、従来から大別して二種の形態に分類され、一つはセラミック発熱体に直接電圧が印加される特公昭59−52725号公報に示されるような構成を基本とする発熱温度の自己飽和型が、他は過昇温を抑制するためのブレーキングコイル、即ち抵抗体がセラミック発熱体電極部と外部接続端子部との間に直列に接続された発熱温度の自己制御型がある。
【0007】
とりわけ、昨今のディーゼルエンジンは燃費改善や出力向上、及び排気ガス改善を目指して従来の副燃焼室型から直噴型へ移行しつつあり、これに伴ってエンジンへの組み付け上、グロープラグとして用いられるセラミックヒータはその全長を長くする必要が生じており、発熱体を構成する発熱部と絶縁部材の構造は従来のままで、金属ハウジングを延長すると共に、前記発熱体と外部接続端子間のリード部材を延長した構造が採用されている。
【0008】
しかし、前記リード部材として線材やコイル等を採用し、発熱体と外部接続端子間を電気的に接続した構造では、全長の長い線材やコイルが屈曲してハウジング金具と接触し、短絡する恐れがあった。
【0009】
そこで、リード部材の屈曲等によるハウジング金具との短絡を防止するために、例えば円筒状や円柱状の導電材料から成る棒でリード部を形成して強度を向上させたり、またセラミック発熱体と接続用金属棒との間、及び接続用金属棒と外部接続端子との間をリードコイルで接続したりする他、前記図7に示すセラミックヒータでは、リード部材28に絶縁チューブ31を挿通すること等が提案されている(特開平7−55144号公報参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記提案のようにリード部材28を棒状の導電材料で構成したり、リード部材28に絶縁チューブ31を挿通したりした場合、該リード部材28とハウジング金具27との短絡は回避されるものの、振動負荷が加わるような使用条件下では共振してリード部材28が破断する恐れが大であるという課題があった。
【0011】
例えば、通常、エンジンには燃焼爆発による振動で重力加速度が発生し、一般的な4気筒ディーゼルエンジンでは前記振動により発生する重力加速度のピークは500Hz付近にあり、一方、前記全長を延長したセラミックヒータ30では、そのリード部材28の固有振動数が500Hz前後となっていることから、重量の大なる金属棒をリードコイル等で接続した場合、該金属棒はハウジング金具27の中空部分に固定することなく配設されているため、大きな負荷がリードコイルに加わり、共振の影響を受け易くなり、リード部材28が共振してそれ自体が、あるいはその接続部分で断線する恐れがある他、リード部材28のコストが大幅に増加し、更にはエンジンの振動が直接発熱体32に負荷を与えるため、とりわけ前記発熱体の絶縁体がセラミック焼結体から成る絶縁部材33の場合、該絶縁部材33自体が破壊される可能性もあるという課題があった。
【0012】
【発明の目的】
本発明は前記課題に鑑み成されたもので、その目的は、セラミックヒータのリード部材をエンジン個別の実機や振動発生源を有する実機での評価や専用設計を行うことなく、エンジンや振動発生源の振動で発生する重力加速度により発熱体と外部接続端子間を電気的に接続するリード部材の共振破断を有効に防止したセラミックヒータを安価にかつ簡便に製造でき、特に直噴型のディーゼルエンジンの始動促進をはじめ、各種エンジンのあらゆるモードの運転状態にも適用可能な全長の長い内燃機関用各種グロープラグに好適なセラミックヒータを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題について種々検討した結果、前記発熱体の少なくとも一方の電極と外部接続端子を電気的に接続する各種リード部材に施した絶縁被覆が、その横断面において絶縁被覆外周とハウジング金具の内側の間隙が、少なくとも一部で一定範囲以下となるように設定することにより、前記課題が解消できることを見いだし、あらゆるモードの運転状態下でも適用可能であることが明らかとなった。
【0014】
即ち、本発明のセラミックヒータは、通電により発熱する無機導電材から成る発熱部と絶縁部材とで構成される発熱体の少なくとも一方の電極が、ハウジング金具に挿通され絶縁体を被覆した棒状のリード部材を介して外部接続端子に電気的に接続されたセラミックヒータであって、前記絶縁被覆は少なくとも一部が同一断面における絶縁被覆外形の最大寸法がハウジング金具内側の寸法の90%以上を占めると共に、前記絶縁被覆外周にはハウジング金具内側の空間に連通した直線状又はスパイラル状の溝からなる空隙を有することを特徴とするものである。
【0015】
とりわけ、棒状のリード部材は、断面形状が矩形状又は歯車状に形成されているのがより望ましいものである。
【0016】
【作用】
本発明のセラミックヒータは、発熱体の電極とハウジング金具から絶縁された外部接続端子とを電気的に接続するリード部材の絶縁被覆の少なくとも一部を、ハウジング金具内側の寸法に対して該絶縁被覆の最大の寸法が90%以上を占めるようにしたことから、共振によるリード部材の振幅を効果的に抑制し、あらゆるモードの運転状態下でもリード部材自体やその接続部分で共振破断する恐れがなくなる。
【0017】
また、ハウジング金具と絶縁被覆との間にハウジング金具の空間に通じた空隙を有するようにしたことから、製造工程で発生する接続部のリーク不良が解消される。
【0018】
従って、特に自動車用の直噴型のディーゼルエンジンや船舶用あるいは発電用等の大型ディーゼルエンジンに用いられる発熱体の電極と外部接続端子との距離を延長した全長の長いグロープラグとして好適な、より安価に高い信頼性を保持したセラミックヒータを提供できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミックヒータについて一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明のセラミックヒータをグロープラグに適用した場合を示し、(A)はその縦断面図であり、(B)は要部の横断面図である。
【0020】
図1において、1は通電により発熱する無機導電材から成る発熱部2と、セラミック焼結体から成る絶縁部材3とで構成され電極5、6を有する発熱体4と、発熱体4を一端に固定したハウジング金具7と、その内部に絶縁被覆8により絶縁された状態で組み込まれたリード部材9と、ハウジング金具7と絶縁された外部接続端子10とから成るセラミックヒータである。
【0021】
前記セラミックヒータ1は、発熱体4の一方の電極5が外筒金具15を介してハウジング金具7にろう付け等により電気的に接続され、他方の電極6には同一断面におけるハウジング金具7の内側の寸法12の90%以上を絶縁被覆8の最大寸法11が占めるリード部材9が接続され、更にリード部材9の他端はハウジング金具7と電気的に絶縁された外部接続端子10と接続されている。
【0022】
また、前記絶縁被覆8には、絶縁被覆8の外形の最大寸法11がハウジング金具7の内側の寸法12の90%以上を占める場合、前記絶縁被覆8の外形の最大寸法部以外の外周で、ハウジング金具内側の空間13に連通した空隙14を有するように配設されている。
【0023】
本発明において、前記絶縁被覆は少なくともその一部が同一断面におけるハウジング金具内側の寸法に対して、絶縁被覆外形の最大寸法が90%以上の占有率を有するもので、ハウジング金具の内側に装着可能であればいかなる形状形態でも良く、例えば、図2乃至図4に示すように円形断面の絶縁被覆8の全長にわたって同一寸法で前記占有率を有するように設けたものや、図5及び図6に示すように矩形断面や歯車状の異型断面でも良く、それらはいずれも絶縁被覆8の全長にわたって形成されていても、一部に形成された断面形状であっても良いことは言うまでもない。
【0024】
また、前記絶縁被覆8はいずれも少なくともその一部が、ハウジング金具内側の寸法12に対して90%以上の最大寸法を有する部分があれば良いが、装着状態で前記絶縁被覆8がハウジング金具7の内側全周に密着している場合、即ちハウジング金具内側の形状寸法と絶縁被覆外形寸法が同一の場合には、製造工程において外筒金具15とハウジング金具7のロウ付けによる組み付け時に、ハウジング金具7の内側の空間13が閉じ込められた状態では、内部の気体が膨張してロウ付け部のロウ材に気体が漏出する穴が開き、セラミックヒータとしての気密性が保たれなくなる。
【0025】
従って、前記のような絶縁被覆8がハウジング金具7の内側全周に密着している状態では、絶縁被覆8の外周にはハウジング金具7の内側の空間13に連通するように、直線状やスパイラル状の溝から成る空隙14を設けることが必要となる。
【0026】
尚、前記直線状やスパイラル状の溝から成る空隙14は、絶縁被覆8がハウジング金具7の内側に密着していない状態であっても絶縁被覆8の外周に設けても良いことはいうまでもない。
【0027】
一方、本発明の絶縁被覆は、柔軟性を有するものや固体状でもいずれでも良く、ハウジング金具内に圧入、嵌着、装着できるものであれば、一般に電線の絶縁被覆に使用されている各種有機樹脂や絶縁碍子のような材料のいずれでも良く、それらを組み合わせて使用しても良く、特に限定するものではない。
【0028】
とりわけ、前記絶縁被覆は、実機搭載時の使用環境が100℃を越える場合があることを考慮すると、例えば前記有機樹脂としてはシリコン系やPPS系、TTFE系のような耐熱性の樹脂が望ましく、特にシリコンゴム等のSiを含有するもの、あるいはテフロン等のFを含有する樹脂材料、及び窒化珪素質焼結体等の各種セラミックス等の無機材料が最適である。
【0029】
尚、前記絶縁被覆として無機材料の内、セラミック材料を用いる場合には、ハウジング金具内側への組み込みを容易にするために、絶縁被覆を適宜、複数に分割したものとしても良い。
【0030】
【実施例】
次に、本発明のセラミックヒータを以下に詳述するようにして評価した。
先ず、Si3 N4 粉末に希土類元素の酸化物等の焼結助剤を加えたセラミック粉末を周知のプレス成形法等で平板状の成形体に成形し、該成形体上にWCを主成分とするペーストを用いてスクリーン印刷法によりU字状のパターンで発熱部を形成し、同様にしてセラミック成形体の側面まで電極部を形成する。
【0031】
次に、前記発熱部と電極部を電気的に接続するようにリード線を載置し、その上に別の成形体を重ねた後、還元性雰囲気下、1700〜1900℃の温度で焼成一体化してセラミック発熱体を作製した。
【0032】
かくして得られたセラミック発熱体を用いて、ハウジング金具の長さを種々設定し、それと共に直径が0.7mmのNiメッキ鋼線から成るリード部材に、絶縁被覆としてシリコーン及びテフロンの樹脂材料と、アルミナから成る無機材料を用いて、その断面形状及び最大寸法を種々変更して作製した表1に示す自己飽和型のセラミックグロープラグを評価用のセラミックヒータとした。
【0033】
一方、代表的な4気筒のディーゼルエンジンでのグロープラグに加わる振動により発生する重力加速度Gを測定した結果、0〜2000Hzの範囲において、500Hz付近での共振によると判断される100Gを最大値としてそれ以外の振動領域では30G以下であることが明らかとなった。
【0034】
そこで、前記評価用のセラミックヒータをそれぞれ10本づつ用いて、振動試験器を用いて、周波数0〜2000Hzの全領域に対して300Gに達するまでの負荷を与えて振動試験を行い、振動試験後の通電テストにより断線発生本数を求めた。
【0035】
尚、通電テスト後のグロープラグはX線透過検査による非破壊検査と共に、ハウジング金具を分解してリード部材の破断の有無を確認した。
【0036】
また、ハウジング金具内側の寸法形状と絶縁部材外形寸法が同一で、ハウジング金具の空間に連通する空隙を設けないものでは、ヘリウムガスリーク試験で気密性がないことが認められたが、空隙を設けた本発明では気密性が保たれていることが確認できた。
【0037】
【表1】
【0038】
表から明らかなように、リード部材の絶縁被覆外形の最大寸法がハウジング金具内側の寸法の90%未満である試料番号1、3、6、9、12、15、19では、いずれも振動試験でリード部材の断線が確認されたのに対して、本発明にかかるセラミックヒータはいずれも、全くリード部材の断線は発生しておらず、前記通電テスト後の分解確認においてもリード部材の劣化も全く認められなかった。
【0039】
尚、前記実施例では自己飽和型のセラミックヒータについて説明したが、本発明のセラミックヒータは前記実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しないものであればいかなるものでも良く、自己制御型のセラミックヒータは勿論、発熱体の両方の電極にそれぞれリード部材を接続して個別に外部接続端子に電気的に接続したセラミックヒータや、従来のシーズヒータを用いたセラミックヒータに適用しても同様の効果を奏するものである。
【0040】
【発明の効果】
叙上の如く、本発明のセラミックヒータは、棒状のリード部材の絶縁被覆の少なくとも一部を、ハウジング金具内側の寸法に対して該絶縁被覆の最大の寸法を90%以上にしてハウジング金具の内側全周に密着させると共に、ハウジング金具内側の空間に連通した直線状又はスパイラル状の溝からなる空隙を設けたことから、セラミックヒータのリード部材をエンジン個別の実機や振動発生源を有する各種実機での評価や専用設計を行うことなく、前記エンジンや振動発生源の振動で発生する重力加速度によるリード部材の共振破断は勿論、絶縁部材自体の破壊をも有効に防止できると共に、各種加熱用、点火用をはじめ、特に直噴型のディーゼルエンジンの始動促進をはじめ、各種エンジンのあらゆるモードの運転状態にも適用可能な全長の長い内燃機関用各種グロープラグ用として耐久性に優れたセラミックヒータを安価にかつ簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックヒータをグロープラグに適用した例を示し、(A)はその縦断面図であり、(B)は要部の横断面図である。
【図2】本発明のセラミックヒータをグロープラグに適用した他の例を示し、(A)はその縦断面図であり、(B)は要部の横断面図である。
【図3】本発明のセラミックヒータをグロープラグに適用した他の例を示し、(A)はその縦断面図であり、(B)は要部の横断面図である。
【図4】本発明のセラミックヒータをグロープラグに適用した他の例を示し、(A)はその縦断面図であり、(B)は要部の横断面図である。
【図5】本発明のセラミックヒータをグロープラグに適用した他の例を示し、(A)はその縦断面図であり、(B)は矩形断面の絶縁被覆の角部とハウジング金具との間が離れている状態を示す要部の横断面図であり、(C)は絶縁被覆の角部とハウジング金具とが密着した状態を示す要部の横断面図である。
【図6】本発明のセラミックヒータをグロープラグに適用した他の例を示し、(A)はその縦断面図であり、(B)は異型断面の絶縁被覆先端とハウジング金具との間が離れている状態を示す要部の横断面図であり、(C)は絶縁被覆先端とハウジング金具とが密着した状態を示す要部の横断面図である。
【図7】従来のグロープラグを成すセラミックヒータの例を示し、(A)はその縦断面図であり、(B)は要部の横断面図である。
【符号の説明】
1 セラミックヒータ
2 発熱部
3 絶縁部材
4 発熱体
5、6 電極
7 ハウジング金具
8 絶縁被覆
9 リード部材
10 外部接続端子
11 絶縁被覆外形の最大寸法
12 ハウジング金具内側の寸法
13 空間
14 空隙
Claims (2)
- 通電により発熱する無機導電材から成る発熱部と絶縁部材とで構成される発熱体の少なくとも一方の電極が、ハウジング金具に挿通され絶縁体を被覆した棒状のリード部材を介して外部接続端子に電気的に接続されたセラミックヒータであって、前記絶縁被覆は少なくとも一部が同一断面における絶縁被覆外形の最大寸法がハウジング金具内側の寸法の90%以上を占めると共に、前記絶縁被覆外周にはハウジング金具内側の空間に連通した直線状又はスパイラル状の溝からなる空隙を有することを特徴とするセラミックヒータ。
- 前記棒状のリード部材は、断面形状が矩形状又は歯車状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセラミックヒータ。
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