JP3638809B2 - 電子写真記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真記録装置に関し、とくにOHPシート等の特殊な印刷媒体に印刷する電子写真記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、搬送ベルトを使用した電子写真記録装置においては、印刷起動がかかると、ホッピングローラまたは手差しにより給紙された印刷媒体が搬送ベルトに静電的に吸着され、さらに搬送ベルトの移動により感光体と転写部との間に搬送される。感光体にはトナー画像が付着しており、このトナー画像が転写部により印刷媒体上に転写される。
【0003】
こうした電子写真記録装置には、カラー印刷を行うために、搬送ベルトに沿って複数の、色の異なるトナー画像を担持する複数の感光体が配設されるとともに、これらの感光体に対向した複数の転写部が配設されている。搬送ベルトを駆動することにより、複数の感光体−転写部間に順次印刷媒体を搬送し、異なる色の画像を順次重ねるようにして印刷媒体上に転写することにより、カラー印刷が行われる。トナー画像を転写する場合、転写部には転写電圧が印加される。
【0004】
転写部に印加される転写電圧には、良好な転写が行われる或る範囲が存在するが、その転写良好範囲は環境変化により変化する。例えば、低温低湿環境下と高温高湿環境下では印刷媒体のインピーダンスが大きく異なり、両環境下で一定の転写電圧を印加した場合には転写部の電位が大きく変わる。そこで従来の電子写真記録装置においては、温度センサまたは湿度センサを設けて、これらのセンサから環境状態を検出し、検出した環境に合った適切な転写電圧を印加するようにしていた。例えば普通紙に印刷する場合、低温低湿環境下では乾燥によりインピーダンスが高くなっている。したがって常温常湿環境下に比較して大きな転写電圧を印加する。逆に高温高湿環境下では空気中に多く含まれている水分を普通紙が吸湿するので、普通紙のインピーダンスが下がる。したがって常温常湿環境下に比較して小さな転写電圧を印加する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特殊な印刷媒体に印刷する場合には、上記のような従来の転写電圧制御では対応できないことがある。例えば、OHPシートは普通紙に比較してインピーダンスが高く普通紙にはない特性を持っている。即ち、低温低湿環境下では、OHPシートはインピーダンスが高いことから表面に静電気を帯び易くなっている。搬送ベルトで吸着して搬送する場合、吸着時点ですでにかなり帯電しており、そこへさらに大きな転写電圧を印加すると、細かいドット等を印刷した場合には転写不良になり易い。
【0006】
他方、高温高湿環境下では、OHPシートは普通紙のように水分を吸湿するわけではないのでそれほど体積抵抗が減少することはない。したがって、普通紙の場合と同様な制御で常温常湿時より小さい転写電圧を印加すると、OHPシートの体積抵抗がそれほど小さくなっていないので、転写弱(カスレ)となる可能性がある。この場合には当然転写電圧を引き上げることが考えられる。しかしながらOHPシートは、表面処理によっては界面に水分が吸着して表面抵抗が減少することがある。そのため転写電圧を若干引き上げても、体積方向に充分な電界がかかる前に表面方向にリーク(漏れ電流)が発生し、やはり転写不良を惹き起こしていた。リーク電流の経路を絶つのはツェナーダイオードや固定抵抗を挿入することにより可能であるが、もし大きな値のツェナーダイオードや固定抵抗を挿入したとすると、低温低湿時における印刷媒体の帯電を除去することができない。
【0007】
即ち、普通紙に印刷する場合でも若干のリークが発生し、この場合のリークの経路を絶つためにもツェナーダイオードを設けるようにするが、普通紙のリークを抑えるために必要なツェナーダイオードの値はOHPシートのリークを抑えるために必要なツェナーダイオードの値とは異なる。通常は、普通紙とOHPシートの使用頻度を考慮して普通紙の合わせた値に設定されている。したがってOHPシートのリークを抑えるためだけに大きな値のツェナーダイオードや固定抵抗を挿入すると、例えば、低温低湿時におけるOHPシート以外の印刷媒体の帯電を除去することができないのである。
【0008】
即ち、OHPシート等の特殊な用紙に印刷する場合には、環境変化による体積抵抗方向のインピーダンス変化だけを考慮して転写電圧を設定してもそれだけでは転写不良を防止しきれないという問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明は、印刷媒体を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトに沿って配設された複数の感光体と、該複数の感光体に搬送ベルトを介してそれぞれ対向する複数の転写部とを有し、搬送ベルトにより搬送される印刷媒体に複数の感光体から転写部により画像を転写する電子写真記録装置において、温度を検出する温度検出手段と、湿度を検出する湿度検出手段と、前記複数の転写部に個別に転写電圧を印加する転写電圧印加手段と、前記温度検出手段により検出された温度と前記湿度検出手段により検出された湿度と印刷媒体の特性とにより、前記転写電圧印加手段によって印加する転写電圧の湿度の上昇に伴う転写電圧の増減を温度に応じて可変に制御し、かつ前記複数の転写部の転写電圧を個別的に制御する転写電圧制御手段とを設けたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。図1は第1の実施の形態の電子写真プリンタの制御ブロック図、図2は第1の実施の形態における電子写真プリンタを示す概略構成図である。本実施の形態では電子写真記録装置として電子写真プリンタで説明する。
【0011】
図2において、電子写真プリンタ1は、イエローの感光ドラム2Y、マゼンタの感光ドラム2M、シアンの感光ドラム2C、ブラックの感光ドラム2Kを有し、これらの感光ドラムにそれぞれ対向して転写ローラ3Y、3M、3C、3Kが設けられている。各転写ローラ3Y、3M、3C、3Kにはそれぞれ転写電源4Y、4M、4C、4Kが接続されている。感光ドラム2Y、2M、2C、2Kと転写ローラ3Y、3M、3C、3Kの間には搬送ベルト5が移動可能に配設されている。
【0012】
搬送ベルト5は、駆動ローラ6、アイドルローラ7、8および吸着ローラ9により張設されており、駆動ローラ6により矢印方向に駆動される。吸着ローラ9は搬送ベルト5を挟んで設けられているもう一つの吸着ローラ10とで吸着部11を構成する。吸着部11は印刷媒体12を搬送ベルト5に静電気的に吸着させるものである。駆動ローラ6は図示しない駆動手段により回転され、ブラックの感光ドラム2Kと転写ローラ3Kの間を通過した印刷媒体12が搬送ベルト5から離れ易くするために接地されている。
【0013】
ブラックの感光ドラム2Kの搬送方向下流には定着部13が設けられている。定着部13はヒートローラ14とバックアップローラ15から成り、印刷媒体12上に転写されたトナー画像を熱溶融により印刷媒体12に定着させるものである。
【0014】
なお電子写真プリンタ1はカラー印刷を行う場合は図に示すように各感光ドラム2Y、2M、2C、2Kは搬送ベルト5に接している(ダウン状態)が、モノクロ印刷を行う場合には、イエローとマゼンタとシアンの各感光ドラム2Y、2M、2Cは図示しない駆動手段により搬送ベルト5から離され(アップ状態)、ブラックの感光ドラム2Kだけが搬送ベルト5に接し転写可能となっている。
【0015】
図1において、制御部21は電子写真プリンタ1の全体の制御を行うもので、ホストコンピュータ22、オペレーションパネル23、温度センサ24、湿度センサ25、媒体検出センサ26、YM高圧出力部27およびCK高圧出力部28が接続されている。ホストコンピュータ22からは印刷データや各種のコマンドが制御部21へ送られ、オペレーションパネル23は印刷媒体の種類、例えば普通紙またはOHPシート、等の設定を行う。
【0016】
温度センサ24は電子写真プリンタ1が置かれている環境の温度を検出し、検出結果を制御部21へ送る。湿度センサ25は電子写真プリンタ1が置かれている環境の湿度を検出し、検出結果を制御部21へ送る。温度センサ24と湿度センサ25により、温度および湿度の環境条件を検出する環境条件検出手段が構成される。媒体検出センサ26は、印刷媒体の大きさ、搬送位置、搬送状態等を検出し、検出結果を制御部21へ送る。
【0017】
制御部21内には転写電圧を決定する高圧決定部29が設けられ、高圧決定部29は転写電圧値を決定するための転写電圧テーブル30を備えている。YM高圧出力部27は、高圧決定部29で決定された転写電圧値で、イエローとマゼンタの転写ローラ3Y、3Mに転写電圧を印加する。CK高圧出力部28は、高圧決定部29で決定された電圧値で、シアンとブラックの転写ローラ3C、3Kに転写電圧を印加する。イエローとマゼンタの転写ローラ3Y、3Mに印加される転写電圧値とシアンとブラックの転写ローラ3C、3Kに印加される転写電圧値とは必ずしも同じではない。
【0018】
図3は第1の実施の形態においてOHPシートに対して環境条件に応じて設定される転写電圧を表す図である。図3において、本実施の形態では環境条件として、高温高湿、常温常湿、低温低湿の3つの条件を想定する。各環境条件において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色をOHPシートに転写する場合の各色毎の良好な転写電圧の範囲(双方向の矢印で示す)を実験的に求める。高温高湿において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各転写良好範囲はそれぞれ異なっている。例えば高温高湿において、イエローの転写良好範囲は広いがブラックの転写良好範囲は狭くなっている。これは各色によってトナーの特性が異なるためである。また同じ色でも環境条件によって転写良好範囲は異なっている。例えばブラックの転写良好範囲は高温高湿では狭いが、常温常湿になると広くなっている。
【0019】
図3において、×印は設定される転写電圧を示す。OHPシートに転写する場合、高温高湿におけるブラックの転写電圧を、常温常湿におけるよりも低めに設定した場合、OHPシートは高温高湿環境下でも体積抵抗があまり変化していないので、転写弱となる。そこで高温高湿におけるブラックの転写電圧を、常温常湿における転写電圧設定値と同じ程度まで引き上げる。すると課題の項で述べたように、リーク電流が発生する。そこで本実施の形態においては、リーク電流により正規の方向に流れなかった分だけ転写電源4K側から補償するように、かつ転写強とならない範囲で、転写電圧を引き上げる制御を行う。
【0020】
他の色の転写電圧についても同様に高温高湿時は常温常湿時よりも引き上げる制御を行う。この結果、各色において高温高湿時における転写電圧設定値は、常温常湿時よりも高い設定値となる。
【0021】
次に常温常湿時における転写電圧設定について説明する。常温常湿においては、OHPシートを使用した場合でも、リーク電流および帯電の影響は少なく、また図3に示すようにどの色の転写良好範囲も他の環境下に比較して広くなっており、かつ各転写良好範囲の共通部分も広い。したがって各転写良好範囲の中央付近に電圧値を設定することにより、転写強および転写弱のそれぞれに対して共にマージンの大きい電圧設定が可能である。
【0022】
次に低温低湿環境下においては、OHPシートのインピーダンスが高いために搬送ベルト5による搬送時および吸着部11での吸着時にOHPシートは大きく帯電する。この状態で常温常湿下よりかなり強い転写電圧を印加すると課題の項で述べたように、細かいドット印刷が転写不良となる。そこで本実施の形態では、常温常湿環境下とあまり変らないレベルでやや高めの転写電圧値に設定している。
【0023】
以上のようにして各環境において設定された転写電圧の値が表1および表2に示されている。表1は各環境における転写電圧を数字で表したもので、その数字に対応する具体的な電圧値を表2に示す。電圧値の単位はキロボルトである。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
表1において、14.9度以下が低温、15度から29.9度までが常温、30度以上が高温で、34.9%以下が低湿、35%から64.9%までが常湿、65%以上が高湿である。表2において、ここでイエローとマゼンタは図1に示すYM高圧出力部27により同じ転写電圧値で印加され、シアンとブラックはCK高圧出力部28により同じ転写電圧値で印加される。これらに示すように、本実施の形態では、全体的な傾向として、常温常湿時では設定値が低く、高温高湿になるにつれて設定値が次第に高くなるとともに、低温低湿になるにつれて、高温高湿におけるほどではないが、徐々に高くなっている。
【0027】
本実施の形態においては、イエローとマゼンタは同じ設定値にし、シアンとブラックで同じ設定値にして、両者の間に差を設けている。その差は数百V程度であるが、差を設けたのは、シアンとブラックはイエローとマゼンタよりも印刷媒体の搬送方向に対して下流側に位置し、混色印刷時においてイエローとマゼンタのトナーの上にシアンおよびブラックのトナーが転写されることになり、したがってシアンとブラックのトナーを転写する場合は、イエローとマゼンタのトナーの抵抗分よけいに転写電圧を強めに印加する必要があるためである。
【0028】
次に第1の実施の形態におけるOHPシートに印刷する動作を図4乃至図8に示すフローチャートにしたがって説明する。
まず図4において、ホストコンピュータ22から印刷データが送られてくると(ステップS1)、制御部21は印刷起動する。制御部21はまず印刷データがカラーモードからモノクロモードかを判断し(ステップS2)、カラーモードの場合は全色の感光ドラム2をダウンさせ(ステップS3)、搬送ベルト5に接触させる。またモノクロモードの場合は、ブラックの感光ドラム2Kだけをダウンさせ、他の感光ドラムはアップしたままにさせる(ステップS4)。次に制御部21は転写電圧を決定する(ステップS5)。またオペレーションパネル23から印刷媒体がOHPシートである旨の情報が入力され、制御部21に通知される。なお印刷媒体の種類はオペレーションパネル23の代わりにプリンタドライバで設定するようにしてもよい。
【0029】
図5において、制御部21は温度センサ24および湿度センサ25からの出力値を読み込んで(ステップS21)、電子写真プリンタが現在置かれている環境条件を検出する(ステップS22)。そして制御部21は、印刷媒体がOHPシートであること、および検出した環境条件に基づいて、各色(YM、CK)の最適な転写電圧を転写電圧テーブル30により設定する。即ち、環境条件が高温高湿の場合は、高温高湿用のイエロー、マゼンタの転写電圧を設定するとともに(ステップS23)、高温高湿用のシアン、ブラックの転写電圧を設定する(ステップS24)。また環境条件が常温常湿の場合は、常温常湿用のイエロー、マゼンタの転写電圧を設定するとともに(ステップS25)、常温常湿用のシアン、ブラックの転写電圧を設定する(ステップS26)。また環境条件が低温低湿の場合は、低温低湿用のイエロー、マゼンタの転写電圧を設定するとともに(ステップS27)、低温低湿用のシアン、ブラックの転写電圧を設定する(ステップS28)。
【0030】
図4において、制御部21は搬送ベルト5を駆動するとともに、図示しない給紙ローラを駆動し、印刷媒体(OHPシート)12を吸着部11へ搬送し、吸着部11によりOHPシート12を搬送ベルト5に吸着させる(ステップS6)。吸着されたOHPシート12は搬送ベルト5によりイエローの転写部(感光ドラム2Yと転写ローラ3Yとの対向部)、マゼンタの転写部、シアンの転写部へと搬送されていく。制御部21はカラーモードとなっていると判断すると(ステップS7)、カラー印刷を行う(ステップS8)。
【0031】
図6において、OHPシート12がイエローの転写部に差しかかる前は、各転写ローラ3Y、3M、3C、3Kには紙間電圧が印加されている(ステップS31)。紙間電圧というのは、装置は動作しているが印刷媒体にトナーの転写が行われないときに転写ローラ2に印加される電圧のことで、通常転写を行っているときの転写電圧を越えない値に設定されている。カラーモードの場合は各感光ドラム2Y、2M、2C、2Kがダウンして搬送ベルト5に接触しており、OHPシート12がそれぞれの転写部に差し掛かると各色のトナー画像がOHPシート12に転写される(ステップS32乃至ステップS35)。
【0032】
図7において、OHPシート12がいずれかの転写部X(X=Y、M、C、K)に差し掛かると(ステップS41)、その転写部用に設定された転写電圧が印加される(ステップS42)。即ち、イエローまたはマゼンタの転写部であれば図3若しくは表1、2で説明した如く設定される電圧値でYM高圧出力部27により転写電圧が印加され、シアンまたはブラックの転写部であれば同様に図3若しくは表1、2で説明した如く設定される電圧値でCK高圧出力部27により転写電圧が印加される。ここで前述したように、シアンおよびブラックの転写部に印加される転写電圧は、イエローおよびマゼンタの転写部に印加される転写電圧より若干高めに設定される。OHPシート12が転写部Xを抜けると(ステップS43)、OHPシート12が抜けたあとの転写ローラには再び紙間電圧が印加される(ステップS44)。
【0033】
図4に戻り、ステップS7において制御部21はモノクロモードとなっていると判断するとモノクロ印刷を行う(ステップS9)。図8によりモノクロ印刷動作を説明する。
【0034】
図8において、転写動作が行われる前は各転写部には紙間電圧が印加されている(ステップS51)。モノクロ印刷の場合はイエロー、マゼンタ、シアンの各感光ドラム2Y、2M、2Cは搬送ベルト5から離れているが、イエロー、マゼンタ、シアンの各転写ローラ3Y、3M、3Cに対しては紙間電圧が印加されている。OHPシート12は搬送ベルト5により搬送されて、各感光ドラム2Y、2M、2Cの下を通って、イエローの転写部、マゼンタの転写部、シアンの転写部をそれぞれ通過する(ステップS52乃至54)。OHPシート12がブラックの転写部に差し掛かると(ステップS55)、感光ドラム2K上のトナーをOHPシート12に転写するのに適当な転写電圧を転写ローラ3Kに印加する(ステップS56)。OHPシート12がブラックの転写部を抜けると(ステップS57)、転写ローラ3Kには紙間電圧が印加される(ステップS58)。
【0035】
図4に戻り、カラー印刷にしろモノクロ印刷にしろ、OHPシート12にトナーの転写が行われた後は、OHPシート12は定着部13へ搬送され、ヒートローラ14およびバックアップローラ15によりトナーがOHPシート12に定着される(ステップS10)。その後OHPシート12は装置外へ排出される(ステップS11)。
【0036】
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。OHPシートに印刷を行う場合、4か所の転写部で順次転写電圧を印加していくのであるが、前半の転写部で高い転写電圧が印加されると、OHPシートが必要以上に帯電し、後半の転写部においてOHPシート上に残っている帯電電荷分だけ転写弱になる。そのため第1の実施の形態では、シアンとブラックの転写電圧はイエローとマゼンタの転写電圧に対して数百V程度の差を設けることにより、前半の転写部ではできるだけ低い転写電圧を印加してOHPシートの帯電を抑え、後半の転写部で前半の転写部で帯電した分を打ち消すようにした。第1の実施の形態ではイエローとマゼンタ、およびシアンとブラックを同じ転写電圧値に設定したのに対し、第2の実施の形態では、各色の転写電圧をさらに細かく制御するものである。
【0037】
図9は第2の実施の形態の電子写真プリンタを示す制御ブロック図である。図9において、制御部31は電子写真プリンタ1の全体の制御を行うもので、ホストコンピュータ22、オペレーションパネル23、温度センサ24、湿度センサ25、媒体検出センサ26、Y高圧出力部32、M高圧出力部33、C高圧出力部34およびK高圧出力部35が接続されている。また制御部31内には転写電圧を決定する高圧決定部29が設けられ、高圧決定部29は転写電圧値を決定するための転写電圧テーブル30を備えている。
【0038】
Y高圧出力部32は、高圧決定部29で決定された転写電圧値で、イエローの転写ローラ3Yに転写電圧を印加する。M高圧出力部33は、高圧決定部29で決定された転写電圧値で、イエローの転写ローラ3Mに転写電圧を印加する。C高圧出力部34は、高圧決定部29で決定された電圧値で、シアンの転写ローラ3Cに転写電圧を印加する。K高圧出力部35は、高圧決定部29で決定された電圧値で、ブラックの転写ローラ3Kに転写電圧を印加する。
【0039】
図10は第2の実施の形態においてOHPシートに対して環境条件に応じて設定される転写電圧を表す図である。第1の実施の形態と同様に、本実施の形態では環境条件として、高温高湿、常温常湿、低温低湿の3つの条件を想定する。また各環境条件において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色をOHPシートに転写する場合の各色毎の良好な転写電圧の範囲(双方向の矢印で示す)を実験的に求める。
【0040】
図10において、×印は設定される転写電圧を示す。前半の転写部における転写電圧をできるだけ抑えるために、図に示すように、いずれの環境下においても、前半の転写部であるイエローとマゼンタの転写電圧を転写良好範囲の下限寄りに設定する。このように設定することにより、転写弱となるまでのマージンが狭くなるものの、OHPシートの帯電は最小限に抑えられる。イエローとマゼンタについて見た場合、イエローの転写部はマゼンタの転写部より搬送方向の上流にあるので、イエローの転写電圧よりマゼンタの転写電圧を大きくした方が望ましいと考えられるが、本実施の形態ではイエローの転写電圧をマゼンタの転写電圧と同じ値に設定する。その理由は次の通りである。
【0041】
即ち、図2からわかるように、イエローの転写部の直前には吸着部11があり、吸着部11を通過したOHPシートには搬送ベルト5に静電吸着させるための帯電電荷が存在する。搬送ベルト5に印刷媒体を吸着させるための電荷量は印刷媒体の材質によって異なるが、電荷量が少ないと搬送ベルト5に対する印刷媒体の吸着力が低下し、搬送に支障を来す。イエローの転写部に印加される転写電圧は、吸着用の帯電電荷と極性が反対であり、トナーを転写させるためには吸着用の帯電電荷を打ち消してさらにトナーを転写させるだけの大きさの電圧が必要となる。したがってイエローの転写部に印加する転写電圧をあまり下げることはできない。しからばマゼンタの転写部に印加する転写電圧を引き上げることが考えられるが、マゼンタの転写電圧は後半の転写部であるシアンとブラックの転写電圧より高く設定するわけにはいかず、シアンとブラックの転写電圧にも上限があり、無闇に引き上げるわけにはいかない。以上のような理由によりイエローとマゼンタの転写電圧を設定する。
【0042】
次に後半の転写部であるシアンとブラックの転写電圧の設定について説明する。前述したように前半の転写部に比較的高い転写電圧が印加されると、OHPシート上には若干の帯電電荷が存在する。したがって後半の転写部では、この帯電電荷を打ち消す分だけより高い転写電圧を印加させる必要がある。
【0043】
シアンの転写電圧は、環境条件に応じて、直前のマゼンタの転写電圧よりも高めに設定する。具体的に説明すると、高温高湿環境下では、シアンの転写電圧をイエロー、マゼンタの転写電圧とほぼ同じ値に設定しても、図10に示す転写良好範囲内に入ることもあり、問題はない。低温低湿環境下になるにつれてシアンの転写良好範囲の下限は高電圧側へシフトしていく。これに伴ってシアンの転写電圧は低温低湿になるにつれて徐々に引き上げる制御をする。
【0044】
ブラックの転写電圧も環境条件に応じて変化させる制御をする。直前のシアンの転写電圧が上がると、それに伴ってOHPシートの帯電量が大きくなる。したがってブラックの転写電圧も引上げなければならないが、例えば低温低湿時においてはブラックの転写良好範囲の上限がそれほど高くないので、無闇にブラックの転写電圧を高く引き上げることはできない。低温低湿環境になると、OHPシートはかなり帯電し易くなり、ドットの細かい印刷等を強めの電圧で転写すると、すぐに転写強による印刷不良が発生するため、低温低湿環境下の転写良好範囲の上限を高くできないのである。そこでブラックの転写電圧は低温低湿に近付くにつれて常温常湿時よりも若干低めに設定している。
【0045】
【表3】
【0046】
以上のようにして各環境において設定した転写電圧を表1および表3に示す。表3において、イエローの転写電圧とマゼンタの転写電圧は図9に示すY高圧出力部32およびM高圧出力部33により同じ転写電圧値で印加され、シアンの転写電圧はC高圧出力部34により印加され、ブラックの転写電圧はK高圧出力部35により印加される。
【0047】
表3に示すように、本実施の形態では、イエローとマゼンタは常に一定であり、シアンの転写電圧は高温および高湿になるにつれて徐々に高くなっている。またブラックの転写電圧は、常温または常湿時で最も設定値が高く、高温高湿時と低温低湿時はほぼ同じ設定値で一定になっている。
【0048】
次に第2の実施の形態における転写電圧を設定する動作を図11に示すフローチャートにしたがって説明する。印刷動作については第1の実施の形態とほぼ同様であり、ここでは転写電圧を設定する動作だけを説明する。
【0049】
図11において、制御部31は温度センサ24および湿度センサ25からの出力値を読み込んで(ステップS61)、電子写真プリンタが現在置かれている環境条件を検出する(ステップS62)。そして制御部31は、印刷媒体がOHPシートであること、および検出した環境条件に基づいて、各色(Y、M、C、K)の最適な転写電圧を転写電圧テーブル30により設定する。即ち、環境条件が高温高湿の場合は、高温高湿用のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各転写電圧を設定する(ステップS63乃至ステップS66)。また環境条件が常温常湿の場合は、常温常湿用のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの転写電圧を設定する(ステップS67乃至ステップS70)。また環境条件が低温低湿の場合は、低温低湿用のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの転写電圧を設定する(ステップS71乃至ステップS74)。
【0050】
イエローとマゼンタの転写電圧は、その環境において転写良好範囲内でできるだけ低い値に設定し、シアンとブラックの転写電圧は直前の転写電圧より強めに設定する。ここでブラックの転写電圧は低温低湿環境になるにつれて徐々に引き上げていくが、空気中の乾燥度が上がってきた場合には引き上げずに一定値に保つように制御する。
【0051】
カラーモードのときは各感光ドラム2がダウンして搬送ベルト5に接触しているので、印刷媒体が各転写部に差し掛かると、その環境条件下において感光ドラムに付着しているトナー像を印刷媒体に転写するのに適した転写電圧、即ち、温度センサ及び湿度センサの出力に基づいて決定された電圧が印加され、その転写部を抜けると紙間電圧が印加される。前述したように、前半のイエローとマゼンタの転写電圧は、OHPシートの帯電量をできるだけ抑えるために低めに設定する。後半のシアンは、M≦Cの関係を保ちながらその環境に適した転写電圧を印加する。またブラックは、C<Kの関係を保ちながらその環境に適した転写電圧を印加する。
【0052】
モノクロモードの場合は、イエロー、マゼンタ、シアンの感光ドラム2Y、2M、2Cは搬送ベルト5から離れているが、これらの転写部には印刷媒体の有無に拘らず常に一定の紙間電圧が印加される。印刷媒体の先端がブラックの転写部に差し掛かると、温湿度センサの出力に基づいて決定された値の転写電圧が印加される。
【0053】
以上のように第2の実施の形態によれば、各色の転写電圧を環境条件により個別に制御することにより、OHPシートの帯電特性により発生する転写不良を防止することができる。
【0054】
上記各実施の形態では印刷媒体としてOHPシートを例に説明したが、印刷媒体はこれに限るものではなく、例えば普通紙であってもインピーダンスが高くOHPシートと似た特性をもつものについても本発明は適用可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、各色の転写電圧制御を環境条件により独立して行うことにより、印刷媒体に対応した転写電圧制御ができる。以て転写不良を防止でき、OHPシートへの印刷を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の電子写真プリンタを示す制御ブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の電子写真プリンタを示す概略構成図である。
【図3】第1の実施の形態における転写電圧の設定を示す説明図である。
【図4】第1の実施の形態の印刷動作を示すフローチャートである。
【図5】転写電圧設定動作を示すフローチャートである。
【図6】カラー印刷時の転写動作を示すフローチャートである。
【図7】転写電圧印加動作を示すフローチャートである。
【図8】モノクロ印刷時の転写動作を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態の電子写真プリンタを示す制御ブロック図である。
【図10】第2の実施の形態における転写電圧の設定を示す説明図である。
【図11】第2の実施の形態の転写電圧設定動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 電子写真プリンタ
2Y、2M、2C、2K 感光ドラム
3Y、3M、3C、3K 転写ローラ
5 搬送ベルト
12 印刷媒体
21 制御部
24 温度センサ
25 湿度センサ
27 YM高圧出力部
28 CK高圧出力部
29 高圧決定部
30 転写電圧テーブル
Claims (7)
- 印刷媒体を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトに沿って配設された複数の感光体と、該複数の感光体に搬送ベルトを介してそれぞれ対向する複数の転写部とを有し、搬送ベルトにより搬送される印刷媒体に複数の感光体から転写部により画像を転写する電子写真記録装置において、
温度を検出する温度検出手段と、
湿度を検出する湿度検出手段と、
前記複数の転写部に個別に転写電圧を印加する転写電圧印加手段と、
前記温度検出手段により検出された温度と前記湿度検出手段により検出された湿度と印刷媒体の特性とにより、前記転写電圧印加手段によって印加する転写電圧の湿度の上昇に伴う転写電圧の増減を温度に応じて可変に制御し、かつ前記複数の転写部の転写電圧を個別的に制御する転写電圧制御手段とを設けたことを特徴とする電子写真記録装置。 - 前記転写電圧制御手段の可変制御は、湿度の上昇による印刷媒体の体積抵抗の低下に応じた転写電圧の減少制御と、湿度の上昇による印刷媒体表面方向のリーク電流の増加に応じた転写電圧の増加制御である請求項1に記載の電子写真記録装置。
- 前記印刷媒体はOHPシートである請求項1記載の電子写真記録装置。
- 前記転写電圧制御手段は、カラー印刷を行う場合、印刷媒体の搬送方向上流側にある転写部と下流側にある転写部の転写電圧に差を設ける請求項1記載の電子写真記録装置。
- 前記転写電圧制御手段は、カラー印刷を行う場合、印刷媒体の搬送方向上流側の転写部に対して下流側の転写部に高い電圧を印加する請求項4記載の電子写真記録装置。
- 印刷媒体を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトに沿って配設された複数の感光体と、該複数の感光体に搬送ベルトを介してそれぞれ対向する複数の転写部とを有し、搬送ベルトにより搬送される印刷媒体に複数の感光体から
転写部により画像を転写する電子写真記録装置において、
環境条件を検出する検出手段と、
前記複数の転写部に個別に転写電圧を印加する転写電圧印加手段と、
前記検出手段により検出された環境条件と媒体の特性とに基づいて、転写電圧印加手段により前記複数の転写部に印加される転写電圧を制御し、かつ印刷媒体の搬送方向上流側の複数カ所の転写部に略同電圧を印加し、該複数カ所の転写部の下流の転写部では上流側の転写部に対して下流の転写部に高い電圧を印加する制御を行う転写電圧制御手段とを設けたことを特徴とする電子写真記録装置。 - 前記搬送方向上流側の複数カ所の転写部とは、上流側の2カ所の転写部である請求項6に記載の電子写真記録装置。
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