JP3644800B2 - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数のセラミック層と複数の内部電極とが積層されてなるセラミック積層体を備える積層セラミック電子部品の製造方法に関するもので、特に、内部電極の形態に特徴ある積層セラミック電子部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品を製造するとき、複数のセラミックグリーンシートが用意され、これらセラミックグリーンシートを積み重ねることが行なわれる。この積み重ねられるセラミックグリーンシートの特定のものの上には、得ようとする積層セラミック電子部品の機能に応じて、コンデンサ、バリスタ等を構成するための内部電極が、たとえばスクリーン印刷により形成されている。
【0003】
しかしながら、上述した積層セラミック電子部品において、たとえば小型化および高性能化を実現するため、積み重ねられるべきセラミックグリーンシートの薄膜化および多層化を図ろうとした場合、セラミックグリーンシート間に存在する内部電極の厚みが無視できなくなり、複数のセラミックグリーンシートを積層しプレスして得られたセラミック積層体において、内部電極が重なり合う部分と、内部電極が存在しない部分との間で、比較的大きな段差が形成されてしまう。このような段差が形成されるということは、プレス工程において、積み重ねられた複数のセラミックグリーンシートに及ぼされる圧力がセラミックグリーンシートの面方向に関して均等に付与されていなかったことを意味している。
【0004】
そのため、内部電極が存在しない部分では、セラミックグリーンシート間の密着力が劣り、たとえばカットして得られたセラミック積層体において剥がれが生じたり、また、焼成後のセラミック積層体において、たとえばデラミネーションのような構造欠陥を招くことがある。
このような問題の改善策として、図3または図4に示すような方法が提案されている。
【0005】
図3では、セラミックグリーンシート1上に形成された内部電極2の厚みを補償するように、内部電極2が形成されない領域に、セラミックスラリー膜3が形成される。セラミックスラリー膜3は、たとえば、セラミックスラリーを印刷、スプレー、転写等の方法によりセラミックグリーンシート1上の所定の領域に付与することにより形成される。
【0006】
したがって、上述した段差の原因となる内部電極2の厚みの少なくとも一部は、セラミックスラリー膜3によって吸収されるため、プレス後のセラミック積層体において段差が生じることを抑制できる。
他方、図4では、キャリアフィルム4上でセラミックグリーンシート5を成形しようとするとき、キャリアフィルム4上に内部電極6を予め形成しておき、この内部電極6がセラミックグリーンシート5内に埋まるように、セラミックグリーンシート5が成形される。
【0007】
したがって、キャリアフィルム4から内部電極6とともに剥離されたセラミックグリーンシート5が積層されることになり、このとき、内部電極6はセラミックグリーンシート5の厚みの範囲内に収まっているので、プレス後のセラミック積層体において段差が生じることを抑制できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、図3および図4に示した方法は、いずれも、段差の発生を抑制し、その結果、上述したような剥がれやデラミネーションのような構造欠陥の問題を克服しようとするものである。
しかしながら、これらの方法によって段差の発生を抑制しながら得られた積層セラミック電子部品において、今度は、熱衝撃によりクラック等が発生する、といった耐熱衝撃性の低下の問題が発生することがわかった。
【0009】
そこで、この発明の目的は、構造欠陥の問題を解決しながらも、上述したような耐熱衝撃性の低下の問題も解決し得る、積層セラミック電子部品の製造方法を提供しようとすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、次のような構成を有する積層セラミック電子部品に向けられる。すなわち、この発明が向けられる積層セラミック電子部品は、積層された複数のセラミック層と、複数のセラミック層間の複数の特定の界面に沿って延びる複数の内部電極とをもって構成される、セラミック積層体を備える。このセラミック積層体は、セラミック層の延びる方向に平行な相対向する2つの主面と、主面に対してそれぞれ直交する方向に延びる、相対向する2つの端面と、相対向する2つの側面とによって規定される直方体状をなしている。
【0011】
上述の各内部電極の輪郭は、相対向する2つの端縁とこれら端縁に隣接しながら相対向する2つの側縁とによって規定されている。そして、各内部電極の各側縁は、各側面に対して所定のギャップを介して位置している。
このような構成の積層セラミック電子部品を製造するため、セラミック層となるべき複数のセラミックグリーンシートを用意する工程と、セラミックグリーンシートのうちの特定のものの上に、内部電極を形成する工程と、内部電極の厚みによる段差の発生を抑制するため、セラミックグリーンシートの、内部電極が形成されない領域にセラミックスラリー膜を形成する工程と、セラミック積層体となる生のセラミック積層体を得るため、複数のセラミックグリーンシートを積層する工程と、生のセラミック積層体をプレスする工程と、プレス工程の後、生のセラミック積層体を焼成する工程とが実施される。
この発明において特徴とするところは、前記プレス工程において、複数の内部電極のうち、積層方向に関して相対的に外側に位置するものには、各側縁の近傍において、積層方向における中央側に向かって傾斜する傾斜側縁部が形成され、積層方向に関して最も外側に位置する内部電極の傾斜側縁部は、主面の延びる方向に対して5度以上15度以下の角度をもって傾斜するようにされることである。
【0012】
この発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法において、セラミック層が誘電体セラミックからなるとき、積層セラミックコンデンサが製造され、セラミック層がバリスタ特性を有するセラミックからなるとき、積層セラミックバリスタが製造される。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、たとえば積層セラミックバリスタにも適用可能であるが、以下に、この発明の実施形態の説明を積層セラミックコンデンサに関連して行なう。
図1には、この発明の一実施形態による積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサ11が斜視図で示されている。積層セラミックコンデンサ11は、図1において一部が破断されて図示され、それによって、一部において断面を表している。また、図2は、この断面における図1の1点鎖線で囲んだ部分IIを正面から示す拡大図である。図2において、この発明の特徴的構成が図示されているが、当該特徴的構成は、積層セラミックコンデンサ11の微細な領域に存在するものであるので、図1からは認識できない。
【0014】
周知のように、積層セラミックコンデンサ11は、積層された複数のセラミック層12および複数のセラミック層12間の複数の特定の界面に沿って延びる複数の内部電極13および14をもって構成された直方体状のセラミック積層体15を備えている。直方体状のセラミック積層体15は、セラミック層12の延びる方向に平行な相対向する2つの主面16および17と、主面16および17に対してそれぞれ直交する方向に延びる、相対向する2つの端面18および19と、相対向する2つの側面20および21とによって規定されている。
【0015】
また、セラミック積層体15の2つの端面18および19上には、外部電極22および23がそれぞれ形成されている。
上述の内部電極13および14の各々の輪郭は、相対向する2つの端縁(図1および図2では現れない。)とこれら端縁に隣接しながら相対向する2つの側縁24および25とによって規定されている。そして、内部電極13および14の各々の側縁24および25は、それぞれ、セラミック積層体15の側面20および21に対して所定のギャップを介して位置している。
【0016】
また、複数の内部電極13および14は、第1の外部電極22に電気的に接続されるように一方の端縁を第1の端面18上に位置させながら他方の端縁が第2の端面19に対して所定のギャップを介して位置している、第1グループの内部電極13と、第2の外部電極23に電気的に接続されるように一方の端縁を第2の端面19上に位置させながら他方の端縁が第1の端面18に対して所定のギャップを介して位置している、第2グループの内部電極14とに分類され、これら第1グループの内部電極13と第2グループの内部電極14とが、積層方向に関して交互に配置されている。
【0017】
以上の構成は、従来の一般的な積層セラミックコンデンサにおいても採用されている。
この実施形態における特徴的構成は、図2において積層セラミックコンデンサ11の一部を示すように、複数の内部電極13および14のうち、積層方向に関して相対的に外側に位置するものは、各々の側縁24および25の近傍において、積層方向における中央側に向かって傾斜する傾斜側縁部26を形成しており、特に、積層方向に関して最も外側に位置する内部電極13または14の傾斜側縁部26は、主面16または17に対して5度以上15度以下の角度θをもって傾斜していることにある。
【0018】
なお、セラミック積層体15の製造に際してのプレス工程によって、上述したような傾斜側縁部26が形成されるのであるが、このプレス時の生のセラミック積層体において生じる変形の挙動に起因して、これら傾斜側縁部26がなす角度θは、一般的に、積層方向に関して最も外側に位置する内部電極13または14のものが最も大きく、積層方向におけるより中央側に位置するものほど、より小さくなる。
【0019】
前述した図3または図4に示した方法は、剥がれやデラミネーションのような構造欠陥の原因となる、プレス後のセラミック積層体において生じ得る段差を、できるだけ小さくするために実施されるものであり、このような方法が理想的に実施されたときには、上述の角度θは0度となるはずである。しかしながら、この発明は、このように角度θを0度としたときには、耐熱衝撃性が低下することを見出してなされたもので、この発明では、角度θを、0度とするのではなく、上述したように、5度以上15度以下というような特定の値の範囲内に収まるようにされる。これによって、構造欠陥の問題が生じないようにしながら、耐熱衝撃性の向上を図ることができる。
【0020】
上述のように内部電極13および14に形成される傾斜側縁部26の角度θの調整は、図3に示した方法を採用しながら、たとえば、プレス圧を調整したり、セラミックスラリー膜3を形成するためのセラミックスラリーの付与厚やセラミックスラリーに含有する溶剤量を変更したりすることによって、行なうことができる。
【0021】
このような角度θに関する好ましい範囲は、以下に説明する実験例から求められたものである。
【0022】
【実験例】
図1および図2に示すような積層セラミックコンデンサ11を以下の要領で製造した。
後のカット工程により複数の積層セラミックコンデンサの各々のためのセラミック層となるべきマザーのセラミックグリーンシートとして、厚み5μmのものを用意し、そのうちの特定のものの所定の領域上に、厚み3μmの内部電極を形成した。また、このように内部電極が形成されたセラミックグリーンシート上に、前述した段差対策として、図3に示したセラミックスラリー膜3に相当するセラミックスラリー膜を印刷により形成した。このとき、セラミックスラリー膜の厚みを、以下の表1に示すように、0μm〜3μmの範囲で種々に変えたいくつかの試料を用意した。
【0023】
上述のように内部電極が形成されたセラミックグリーンシートを200層積層し、その上下に、内部電極が形成されていないセラミックグリーンシートをそれぞれ30層ずつ積層した。このようにして得られた複数の積層セラミックコンデンサのためのマザー状態の生のセラミック積層体を、静水圧プレスによりプレスした。
【0024】
次に、上述のマザー状態のセラミック積層体をカットし、個々の積層セラミックコンデンサのための生のセラミック積層体チップを得た。この段階で、これら得られた生チップにおける剥がれの発生の有無を調査し、表1に示した各試料について、剥がれ発生率を求めた。表1において、「剥がれ発生率」は、各試料100個中、剥がれが発生した試料数を示しており、その単位は、すなわち「%」ということになる。
【0025】
次いで、上述の生チップを焼成して得られた積層セラミックコンデンサのためのセラミック積層体について、積層方向に関して最も外側に位置する内部電極の傾斜側縁部の角度θ(図2参照)を測定するとともに、耐熱衝撃試験を実施し、クラックが発生した温度を求めた。表1において、「クラック発生温度」は、各試料20個について測定したもので、熱衝撃試験において付与する温度を25℃刻みで上昇させ、試料に初めてクラックが発生した温度を示している。
【0026】
【表1】
【0027】
表1において、内部電極の「傾斜側縁部の角度θ」は、「セラミックスラリー膜厚」が大きくなるほど、小さくなる傾向が現れている。
このような「傾斜側縁部の角度θ」と「剥がれ発生率」との関係を見ると、「傾斜側縁部の角度θ」が15度以下である試料4〜8において、「剥がれ発生率」が0%であり、プレス工程において十分な圧力が内部電極の存在しない部分にも及ばされていたものと推定できる。これに対して、「傾斜側縁部の角度θ」が15度を超える試料1〜3では、「剥がれ発生率」が5%以上であり、プレス工程において十分な圧力が内部電極の存在しない部分には及ばされていなかったものと推定できる。
【0028】
他方、「傾斜側縁部の角度θ」と「クラック発生温度」との関係を見ると、「傾斜側縁部の角度θ」が5度以上の試料1〜6において、350℃といった比較的高い「クラック発生温度」を維持し、耐熱衝撃性が低下していないことがわかる。これに対して、「傾斜側縁部の角度θ」が5度未満、すなわち0度の試料7および8では、300℃および275℃といった比較的低い「クラック発生温度」を示し、耐熱衝撃性が低下していることがわかる。これは、「傾斜側縁部の角度θ」が小さいと、耐熱衝撃試験において生じる熱歪みが、内部電極の側縁部に集中するためであると推測される。
【0029】
これらの結果から、上述の「剥がれ発生率」と「クラック発生温度」との双方を考慮したとき、試料4〜6が好ましいことがわかる。すなわち、「傾斜側縁部の角度θ」について言えば、これを5度以上15度未満に選ぶことが好ましく、これによって、剥がれやデラミネーションの発生がなく、耐熱衝撃性も低下しない積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品を提供することができる。
【0030】
【発明の効果】
このように、この発明によれば、積層方向に関して最も外側に位置する内部電極の傾斜側縁部が、主面の延びる方向に対して5度以上15度以下の角度をもって傾斜しているので、上述した実験結果からわかるように、剥がれやデラミネーションの発生を抑制するという条件を満たしながらも、耐熱衝撃性も満足する、積層セラミック電子部品を得ることができる。
【0031】
それゆえ、この発明は、小型化および高性能化が進む積層セラミックコンデンサや積層セラミックバリスタに対して有利に適用されることができる。この発明を特に積層セラミックコンデンサに適用すると、剥がれやデラミネーションの問題や耐熱衝撃性低下の問題に煩わされることなく、積層セラミックコンデンサの小型化かつ大容量化を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による積層セラミックコンデンサ11を示す斜視図であり、その一部を破断して図示することによって、一部において積層セラミックコンデンサ11の断面を表している。
【図2】図1の1点鎖線で囲んだ部分IIを正面から示す拡大図である。
【図3】積層セラミックコンデンサの製造に際してのプレス工程において、内部電極が存在する部分とそうでない部分との間で発生し得る段差対策のために採用される、この発明にとって興味ある第1の方法を説明するための断面図である。
【図4】図3に示した方法に代えて採用される第2の方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
11 積層セラミックコンデンサ
12 セラミック層
13,14 内部電極
15 セラミック積層体
16,17 主面
18,19 端面
20,21 側面
22,23 外部電極
24,25 側縁
26 傾斜側縁部
Claims (3)
- 積層された複数のセラミック層と、複数の前記セラミック層間の複数の特定の界面に沿って延びる複数の内部電極とをもって構成され、かつ、前記セラミック層の延びる方向に平行な相対向する2つの主面と、前記主面に対してそれぞれ直交する方向に延びる、相対向する2つの端面と、相対向する2つの側面とによって規定される直方体状のセラミック積層体を備え、
各前記内部電極の輪郭は、相対向する2つの端縁とこれら端縁に隣接しながら相対向する2つの側縁とによって規定され、
各前記内部電極の各前記側縁は、各前記側面に対して所定のギャップを介して位置されている、
積層セラミック電子部品を製造する方法であって、
前記セラミック層となるべき複数のセラミックグリーンシートを用意する工程と、
前記セラミックグリーンシートのうちの特定のものの上に、前記内部電極を形成する工程と、
前記内部電極の厚みによる段差の発生を抑制するため、前記セラミックグリーンシートの、前記内部電極が形成されない領域にセラミックスラリー膜を形成する工程と、
前記セラミック積層体となる生のセラミック積層体を得るため、複数の前記セラミックグリーンシートを積層する工程と、
前記生のセラミック積層体をプレスする工程と、
前記プレス工程の後、前記生のセラミック積層体を焼成する工程と
を備え、
前記プレス工程において、複数の前記内部電極のうち、積層方向に関して相対的に外側に位置するものには、各前記側縁の近傍において、積層方向における中央側に向かって傾斜する傾斜側縁部が形成され、積層方向に関して最も外側に位置する前記内部電極の前記傾斜側縁部は、前記主面の延びる方向に対して5度以上15度以下の角度をもって傾斜するようにされることを特徴とする、積層セラミック電子部品の製造方法。 - 前記セラミック層は、誘電体セラミックからなる、請求項1に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
- 前記セラミック層は、バリスタ特性を有するセラミックからなる、請求項1に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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