JP3645285B2 - シリンダー錠 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は電気信号により施錠・解錠を制御する電子錠に関し、特に少ない消費電力で安定して動作可能なシリンダー錠に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気的に記憶されたデータを用いて、信号処理により認証を行って錠の開閉を制御する電子錠あるいは電気錠(以降、電子錠と言う。)は、特にセキュリティ面での有効性から普及し始めている。
その電子錠を用いた一般的な錠の開閉装置は、次のようなものである。
予め定めた所定の認証コードが記録された電子鍵を電子錠に挿入する。電子鍵から電子錠に認証コードが送信され、電子錠内の電子回路によってその認証コードがチェックされる。その認証コードが正当なコードであれば、制御回路により電子錠内の電磁アクチュエータが起動され、その電磁アクチュエータの駆動力によりボルトを駆動し錠を施錠または解錠する。
しかし、そのような電子錠においては、ボルトを電磁アクチュエータにより直接駆動しているため、電磁アクチュエータに相当の出力が要求され、小型の電磁アクチュエータでは不十分であった。また、その電磁アクチュエータを駆動するために、十分な容量の電源が必要であり、電子鍵に内蔵できるような小型のバッテリィでは実現が難しかった。
【0003】
前記問題に対処するシリンダー錠として、特公平6−13800号に開示されているシリンダー錠が挙げられる。このシリンダー錠は、通常時は内筒と外筒をピンにより結合して回転不可能な状態にしておき、施錠・解錠時にこのピンを外して内筒を回転可能な状態にし、手動で内筒を回転させて施錠・解錠を行うものである。したがって、このピンを外す時のみ電力を使用すればよいので、僅かな電力で錠の開閉の制御が可能である。このシリンダー錠は、ピンが固定され、永久磁石による磁力とバネによるバネ力が作用している板バネに対して、電磁石により一時的に永久磁石による磁力を打ち消すことにより、バネ力により前記板バネを移動させ、ピンを外す構造である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記シリンダー錠においては、前記ピンを外す機構の各部の力の大きさを厳密に調整しなければならなかった。通常時はバネによる力より永久磁石による磁力の方が強く板バネに作用し、ピンを外す時はバネによる力の方が大きくなり板バネが移動するように電磁石により永久磁石の磁力を打ち消し、板バネが移動した後は電磁石が作用しなくなっても永久磁石による磁力よりもバネによる力の方が強く作用するようにしなければならなかった。つまり、永久磁石による磁力と、バネによるバネ力と、電磁石による磁力のバランスにより板バネを移動させたり、支持したりしているため、それらの微妙な調整を正確に行う必要があり、シリンダー錠の設置条件が難しかった。
【0005】
したがって本発明の目的は、小さい電力で錠の開閉を制御可能であり、その結果、駆動装置および電源が小型化でき、さらに、厳密な、微妙な調整を行わなくとも安定して動作し、設置が容易なシリンダー錠を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本願発明者は、重力などの外的要因の影響を受けず、動作が正確で安定しているモータ、特に低消費電力の小型モータを駆動源として用い、錠の開閉を制御する構造について検討した。
【0007】
本発明によれば、認証用データの送信を行う電子回路を有する電子鍵に加える回転力によって施錠・解錠を行うシリンダー錠であって、前記電子鍵を挿入する鍵穴を有し、該鍵穴に挿入された前記電子鍵の回転により一体的に回転可能な回転体と、前記鍵穴に挿入された前記電子鍵の前記電子回路より前記認証用データを受信し、その電子鍵の認証を行う信号処理手段と、前記回転体に設けられ、前記信号処理手段における認証結果が正当であった場合のみ回転駆動するモータ装置と、該モータ装置と連結して該モータ装置の駆動により前記回転体の回転と当該シリンダー錠の施錠・解錠を行うボルトの駆動とを連動させるクラッチ機構と、前記鍵穴に前記電子鍵が挿入されていない場合はバネ力によって前記鍵穴の開口部付近に保持され、前記鍵穴に前記電子鍵が挿入された場合は該電子鍵の移動にともなって移動するよう前記鍵穴の底部に設けられる押し板と、該押し板の移動を伝達するかぎ棒とを具備して前記回転体に収容され、前記モータ装置とクラッチ機構とを連結するまたは連結を解除する連結機構とを有し、
前記連結機構は、前記電子鍵が前記鍵穴に挿入されたとき、前記電子鍵の先端部が前記バネ力に抗して前記押し板を押し動かすことにより前記かぎ棒が移動して前記モータ装置と前記クラッチ機構とを連結し、前記電子鍵が前記鍵穴から抜き取られると、前記バネ力にて前記押し板が前記鍵穴の開口部方向に移動することにより前記かぎ棒が移動して前記モータ装置と前記クラッチ機構の連結を解くとともに、前記クラッチ機構における前記回転体の回転と前記ボルトの駆動との連動を解除する、シリンダー錠が提供される。
好適には、前記信号処理手段は前記電子鍵から電力の供給を受けて動作し、前記モータ装置は前記電子鍵から供給された電力により駆動する。
【0008】
さらに好適には、前記クラッチ機構は、前記回転体の外部に進退可能な結合ピンと、前記施錠・解錠を行う前記ボルトを駆動する軸を回転軸として、前記結合ピンが進退する面の近傍に、該面に平行に設けられ、前記結合ピンを掛止する開口部または凹部を有し、該開口部または凹部に前記結合ピンが掛止された場合に前記回転体と連動して回転するクラッチ板とを有する。
また好適には、前記信号処理手段は、前記電子鍵の電子回路と情報の伝達を行う伝達手段と、予め定めた所定の認証用データを記憶する記憶手段と、前記電子鍵の電子回路より受信した前記認証用データと前記記憶手段に記憶されている認証用データを照合し認証を行う演算手段とを有する。
【0009】
【作用】
本発明のシリンダー錠においては、まず、電子鍵が挿入されると、連結機構によりモータ装置とクラッチ機構が連結され、モータによりクラッチが駆動可能な状態になる。また、その電子鍵から認証用のデータが信号処理手段に送信され、信号処理手段においてそのデータの正当性をチェックする認証処理が行われる。その認証結果が正当であればモータ装置においてモータを作動させ、クラッチ機構を駆動し、回転体と、ボルトに連動するクラッチ板とを連結させる。その結果、挿入された電子鍵を回転することにより、回転体が回転し、クラッチ板も回転し、錠の開閉が行われる。
電子鍵が抜き取られた場合は、連結機構により、モータ装置とクラッチ機構の連結が切断され、さらに、クラッチ機構の連結が切断される。したがって、回転体を回転させても空回りをするのみで、錠の開閉は行われない。
また、電子鍵が挿入されても、認証結果が正当でない場合には、モータが作動しないためクラッチ機構が連結されず、その結果電子鍵を回転させても錠は開閉されない。
【0010】
【実施例】
本発明のシリンダー錠の一実施例を図1〜図7を参照して説明する。
まず、本実施例のシリンダー錠の構造について説明する。
図1は本実施例のシリンダー錠の構造を説明する図であり、(A)は上面断面図、(B)は側面断面図である。
シリンダー錠1は、外筒11、内筒16、クラッチ機構、信号処理回路、モータ装置、連結機構より構成される。
以下、各部の構造について説明する。
【0011】
外筒11は、信号処理回路、モータ装置などを収容した内筒16を、その円筒側面の曲面に沿って任意に回転可能に収容する円筒形のケースである。外筒11には、一方の底面の中心部に電子鍵を挿入するための鍵穴15aが、他方の底面の中心部にボルト駆動軸30を通過するための開口部が設けられている。
また、外筒11は、シリンダー錠1を扉などに設置する場合の支持部であり、扉などにこの外筒11と同等の径を有する孔を設け、接着剤、ピン、ネジなどによりこの外筒11をその孔に埋設することにより、シリンダー錠1を扉に設置することができる。
なお、外筒11は、外部カバー12とベース13より構成されているが、これは成形、組み立てを容易にするための構造であり、本発明の主旨とは関係なく、これ以外の任意の構成にしてもよい。
【0012】
内筒16は、シリンダー錠1の前記各構成部を収容し、外筒11に内接して収容され、その外筒11の内部でその円筒側面に沿って任意に回転可能な円筒状部材である。内筒16には、一方の底面の中心部に電子鍵を挿入するための鍵穴15bが、他方の底面の縁部に、結合ピン23を進退させるための開口部19が設けられている。鍵穴15bは、内筒16を外筒11に収容した場合に、外筒11の鍵穴15aとともに、電子鍵の鍵穴15を形成する。
内筒16には、信号処理回路、モータ装置、連結機構、クラッチ機構の結合ピン23が収容される。
なお、内筒16も、3つの内部カバー17a〜17cより構成されているが、これも外筒11同様に成形、組み立てを容易にするための構成であり、これ以外の任意の構成にしてよい。
【0013】
前記クラッチ機構は、内筒16の回転と錠の開閉を連動させたり、連動を切断したりする機構であり、ボルト駆動軸30、クラッチ板31、および、結合ピン23より構成される。
ボルト駆動軸30は、ボルトの移動に連動している回転軸である。したがって、このボルト駆動軸30を回転させることにより錠の開閉が行われる。
クラッチ板31は、鍵穴15と反対側の底面の内筒16と外筒11の間に、内筒16と同じ方向で自由に回転可能に設けられた円板である。このクラッチ板31の中心にボルト駆動軸30が接合されている。したがって、このクラッチ板31を回転させることにより錠の開閉が可能となっている。また、このクラッチ板31の縁部には、結合ピン23を掛止するための開口部34が設けられている。
【0014】
結合ピン23は、内筒16の開口部19より、内筒16の外部に進退可能に設けられている棒である。この結合ピン23が内筒16より外部に突出し、クラッチ板31の開口部34に掛止されると、内筒16の回転がクラッチ板31に伝達され、両者が一体となって回転する状態となる。
なお、この結合ピン23は、モータ装置のモータ27により駆動され内筒16より外部に突出される。また、この結合ピン23は、施解錠後、電子鍵が引き抜かれると連結機構のバネ22のバネ力により内筒16に格納される。
【0015】
前記連結機構は、電子鍵が挿入されるとモータ装置とクラッチ機構を連結させ、モータ装置によりクラッチ機構を駆動可能にする。また、電子鍵が引き抜かれると前記連結を解除し、さらに、クラッチ機構の連結を解除させる。
この連結機構の構造について、図2を参照して説明する。
図2は、シリンダー錠1の連結機構の構造を説明するための図であり、図1に示したシリンダー錠1の該当部のみを抜き出して模式的に表した図である。
図2に示すこの連結機構は、押し板20、かぎ棒21、バネ22、板バネ24、固定された磁石25、および、板バネ24に設けられた磁石26より構成される。
【0016】
押し板20は、電子鍵が鍵穴15に挿入された場合、その電子鍵の先端部に当接し、その電子鍵の移動にともなって移動可能に、鍵穴15の底部に設けられている板状部材である。押し板20には内筒16に端部を固定されたバネ22が作用しており、電子鍵が挿入されていない場合は、このバネ力により押し板20は鍵穴15の開口部近くに保持されている。また、押し板20の辺部にはかぎ棒21が接合されている。
かぎ棒21は、押し板20の移動を伝達するための棒であって、一方の端が押し板20の辺部に接合されている。押し板20に接合されていない方の端部は、板バネ24を徐々に押動させるために、板バネ24の側に45度に傾斜した部分と、最終的に板バネ24を掛止し移動させるためにさらに同じ方向に屈曲した部分の、2段階に折れ曲がった形状に加工されている。このかぎ棒21は、前記傾斜部分および前記屈曲部分が板バネ24に接触し作用するように、板バネ24の近傍に設けられる。
【0017】
板バネ24は、モータ27により結合ピン23を移動させるための連結板であり、一方の端を結合ピン23に固定されており、その結合ピン23を回転軸として回転可能な構造になっている。
また、板バネ24の他方の端には磁石26が設けられており、内筒16のこの磁石26に対峙する位置に、固定された磁石25が設けられている。これら2つの磁石25、26は板バネ24に、モータ27のらせん溝29が設けられた回転軸28の方向へ移動させる力が作用するように磁化されている。本実施例においては、磁石25、26は吸引力が作用するように磁化されている。
【0018】
この連結機構において、電子鍵50が挿入されかぎ棒21が板バネ24に作用していない場合には、磁石25と磁石26の磁力により板バネ24はらせん溝29に噛み合わされ、モータ27と結合ピン23は連結状態となる。すなわち、モータ27が回転するとそのらせん溝29に沿って板バネ24が移動し、板バネ24に固定されている結合ピン23も移動する。
電子鍵50が引き抜かれると、かぎ棒21の前記傾斜部分により板バネ24は、モータ27の回転軸28とは反対側方向へ押される。その結果、板バネ24はらせん溝29よりはずれる。そしてさらに、かぎ棒21の前記屈曲部分により板バネ24が掛止され、バネ22の力により鍵穴15方向に引っ張られる。これにより、結合ピン23は内筒16内に移動され所定の位置に保持される。
【0019】
前記信号処理回路は、電子鍵から認証データを受信し、予め記憶された認証データと比較照合し、その認証データが正当なデータか否かを判定することにより、その電子鍵の認証を行う電子回路である。
この信号処理回路の構成について、図3を参照して説明する。
図3は、シリンダー錠1の信号処理回路の構成を説明するブロック図である。信号処理回路40は、コイル41、電源回路42、信号検出回路43、演算回路44、記憶回路45、信号出力端子46、および、電力出力端子47より構成される。
【0020】
コイル41は、電子鍵より電磁波を受信するためのループアンテナであり、通常の小型平面コイルである。コイル41は、鍵穴15の近傍に設けられる。鍵穴15に挿入された電子鍵からの電磁波により、このコイル41により電圧、すなわち信号が誘起され、電源回路42、および、信号検出回路43に入力される。電源回路42は、コイル41により受信された電圧を整流し、平滑化し、直流電流を得る。得られた直流電流は、信号検出回路43、演算回路44に入力され、各回路の電源とされる。さらに、得られた直流電流の一部は、電力出力端子47より出力され、モータ27の駆動用電源とされる。
信号検出回路43は、コイル41により受信された信号より、データの信号を検知し、抽出し、増幅する回路である。得られたデータ信号は演算回路44に入力される。本実施例において、この電子鍵より受信したデータ信号は、認証コードを暗号化したデータであるとする。
【0021】
演算回路44は、信号検出回路43より入力されたデータ信号より認証用コードを算出し、該算出結果の認証コードと、予め記憶回路45に記憶されている認証コードを比較し、前記算出された電子鍵の認証コードが正当であるか、すなわち、施錠・解錠が許可されている電子鍵か否かをチェックする。そのチェック結果は信号出力端子46よりモータ装置に出力される。
本実施例においては、前記受信したデータは、認証コードを暗号化したデータなので、演算回路44において、信号検出回路43より入力されたデータ信号を予め定めたキーデータを用いて復号し、比較照合する認証コードを得る。
なお、この信号処理回路40は、図1の断面図中には図示しないが、コイル41は鍵穴15の近傍の、挿入された電子鍵の電磁波を受信可能な位置に設けられる。その他の回路は、内筒16内の任意の空間に設けてよい。
【0022】
前記モータ装置は、図示せぬ制御回路とモータ27より構成される。
制御回路は、前記信号処理回路の信号出力端子46より認証結果を入力し、その認証結果が正当であった場合には所定の時間、所定方向にモータ27を作動させる。前記認証結果が正当でなかった場合、制御回路はモータ27を作動させない。
【0023】
モータ27は、前記制御回路により作動される結合ピン23駆動用の直流モータである。このモータ27は前記信号処理回路の電力出力端子47より供給される電力により駆動される。
また、モータ27の回転軸28にはらせん溝29が設けられている。このらせん溝29に板バネ24が噛み合わされると、モータ27の回転により板バネ24が移動し、板バネ24に固定されている結合ピン23も移動される。
なお、モータ27を作動させる前記所定の時間は、結合ピン23がクラッチ板31を安定して掛止可能な程度に内筒16より突出した位置に移動する時間である。
また、モータ27を回転をさせる前記所定方向は、結合ピン23が内筒16より突き出る方向に移動するように、らせん溝29を回転させる方向である。
なお、本実施例のシリンダー錠1において、結合ピン23の移動は約2mm程度であり、その移動のためのモータ27への通電時間は約0.2秒、消費電力は、約10mWである。
【0024】
次に、本実施例のシリンダー錠1に、電子鍵を挿入し、錠を開閉する動作について、図4〜図7を参照して順次説明する。
図4は、シリンダー錠1に電子鍵50が挿入されていない状態を示す図であり、(A)は上面断面図、(B)は側面断面図である。
図5は、シリンダー錠1に電子鍵50が挿入された状態を説明する図であり、(A)は上面断面図、(B)は側面断面図である。
図6は、シリンダー錠1のクラッチ機構が連結され、錠が開閉可能になった状態を説明する図であり、(A)は上面断面図、(B)は側面断面図である。
図7は、シリンダー錠1より電子鍵50が抜き取られる状態を説明する図であり、(A)は上面断面図、(B)は側面断面図である。
【0025】
図4に示すように、電子鍵50がシリンダー錠1に挿入されていない場合は、バネ22により押し板20は鍵穴15付近に保持されている。板バネ24はかぎ棒21の屈曲部分により掛止されているため、これも鍵穴15側で保持されており、その結果、板バネ24に固定されている結合ピン23は内筒16内に格納されている。
次に、図5に示すように、鍵穴15に電子鍵50が挿入されると、電子鍵50の先端部がバネ22のバネ力に抗して押し板20を押し動かし、押し板20に固定されているかぎ棒21を移動させる。板バネ24はかぎ棒21の屈曲部分および傾斜部分による掛止、支持から解除される。板バネ24は磁石25と磁石26の磁力の作用を受け、モータ27の回転軸28の向きに力を受ける。その結果、板バネ24はモータ27のらせん溝29に噛み合わされ、モータ27により結合ピン23が駆動可能な状態に連結される。
【0026】
この状態で、前記信号処理回路による認証処理の結果に基づいて、モータ27が作動すると、図6に示すように、らせん溝29の溝に沿って板バネ24が移動する。板バネ24とともに結合ピン23も移動し、結合ピン23の先端部が内筒16の開口部19より外部に突出する。さらにその突出した結合ピン23の先端部はクラッチ板31の開口部34内に移動し、クラッチ板31を掛止する。この状態で、電子鍵50が回転されると、電子鍵50、内筒16、および、その内筒16に結合ピン23により掛止されているクラッチ板31が一体的に回転し、ボルト駆動軸30を回転させて、錠が開閉される。
【0027】
錠の開閉を終了し、電子鍵50が抜き取られると、図7に示すように、その抜き取りにともなって、押し板20は再びバネ22のバネ力により、鍵穴15方向に移動する。かぎ棒21も鍵穴15方向に移動し、その傾斜部分が徐々に板バネ24を押す。その結果、まず、板バネ24をらせん溝29の噛み合わせより解除し、次に、かぎ棒21の屈曲部分により板バネ24を掛止して鍵穴15方向に移動させる。結合ピン23も移動し、クラッチ板31の開口部34から抜き取られ内筒16内に格納される。最終的に、モータ27と結合ピン23の連結が解除され、またクラッチ板31と内筒16の連結も解除される。
【0028】
以上説明したように本実施例のシリンダー錠1においては、結合ピン23をモータ27により駆動し移動させることにより、内筒とクラッチ板を結合させ、人力により錠の開閉が可能な状態にする。したがって、モータはピンを移動させるためだけなので、小型の低消費電力のモータでよい。また、そのため電源の容量も少なくてよく、たとえば、電子鍵から電磁波により供給された電力によっても駆動可能となり、電源を内部に有さないシリンダー錠も実現可能となる。
また、このような最終的に手動により錠の開閉を行う電子錠は、通常の機械式の鍵と使用手順が同じであるため、使用者に違和感を感じさせず、また、施錠をした安心感が得られるという効果もある。
【0029】
なお、本発明のシリンダー錠は本実施例に限られるものではなく、種々の改変が可能である。
たとえば、本実施例のクラッチ機構において、結合ピンは、内筒の鍵穴の面と対向する底面の縁部より、この内筒の回転軸と平行的に外部に進退するように設けられていた。また、クラッチ板は、前記結合ピンにより掛止されるように、この底面と平行に設けられた平板であった。しかし、結合ピンは、回転体である内筒の側面より外部に進退するようにしてもよく、この回転体を回転させたときに占有する領域より外部に突出するピンであればよい。また、クラッチ板も、前記結合ピンにより掛止可能であり、掛止された状態で前記回転体と一体的に回転可能であれば、前記結合ピンに対応した種々の形状よい。
また、本実施例の信号処理回路は、回転体と一体的に設けるようにしても、また、回転体の外部に設けるようにしてもよく、その設置場所を何ら制限されるものではない。回転体の外部に設けるようにした場合の信号の伝達手段は、回転体の回転角度が決まっているのであれば通常の導電線で行え、また、回転角度に制限がない場合でも電気ブラシなどの周知の技術で実現可能である。
【0030】
【発明の効果】
本発明のシリンダー錠によれば、電気的に動作させる部分は、内筒とクラッチ板を掛止するための結合ピンの駆動だけであり、実際の錠の開閉は手動により行う。そのため、錠の開閉を電気的に行う場合に比べて非常に低電力で駆動可能な電子錠を実現できた。また、小型のモータで実現できた。したがって、小型で、低消費電力のシリンダー錠を提供できた。
また、前記結合ピンの駆動は、モータにより行っているので、調整、設置が容易で安定して動作するシリンダー錠を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリンダー錠の構造を説明する図であり、(A)は上面断面図、(B)は側面断面図である。
【図2】図1に示したシリンダー錠の連結機構の構造を説明する図である。
【図3】図1に示したシリンダー錠の信号処理手段の構成を説明するブロック図である。
【図4】図1に示したシリンダー錠の電子鍵が挿入されていない状態を説明する図であり、(A)は上面断面図、(B)は側面断面図である。
【図5】図1に示したシリンダー錠に電子鍵が挿入された状態を説明する図であり、(A)は上面断面図、(B)は側面断面図である。
【図6】図1に示したシリンダー錠が施錠・解錠可能になった状態を説明する図であり、(A)は上面断面図、(B)は側面断面図である。
【図7】図1に示したシリンダー錠の電子鍵が抜取られた状態を説明する図であり、(A)は上面断面図、(B)は側面断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダー錠
11 外筒
12 外部カバー 13 ベース
14 外筒底面 15a 外筒鍵穴
16 内筒
17a〜17c 内部カバー 18 内筒底面
19 開口部 15b 内筒鍵穴
15 鍵穴 20 押し板
21 かぎ棒 22 バネ
23 結合ピン 24 板バネ
25,26 磁石 27 モータ
28 回転軸 29 らせん溝
30 ボルト駆動軸 31 クラッチ板
32 位置決めバネ 33 クリック
34 開口部
40 信号処理回路
41 コイル 42 電源回路
43 信号検出回路 44 演算回路
45 記憶回路 46 信号出力端子
47 電力出力端子
50 電子鍵
Claims (4)
- 認証用データの送信を行う電子回路を有する電子鍵に加える回転力によって施錠・解錠を行うシリンダー錠であって、
前記電子鍵を挿入する鍵穴を有し、該鍵穴に挿入された前記電子鍵の回転により一体的に回転可能な回転体と、
前記鍵穴に挿入された前記電子鍵の前記電子回路より前記認証用データを受信し、その電子鍵の認証を行う信号処理手段と、
前記回転体に設けられ、前記信号処理手段における認証結果が正当であった場合のみ回転駆動するモータ装置と、
該モータ装置と連結して該モータ装置の駆動により前記回転体の回転と当該シリンダー錠の施錠・解錠を行うボルトの駆動とを連動させるクラッチ機構と、
前記鍵穴に前記電子鍵が挿入されていない場合はバネ力によって前記鍵穴の開口部付近に保持され、前記鍵穴に前記電子鍵が挿入された場合は該電子鍵の移動にともなって移動するよう前記鍵穴の底部に設けられる押し板と、該押し板の移動を伝達するかぎ棒とを具備して前記回転体に収容され、前記モータ装置とクラッチ機構とを連結するまたは連結を解除する連結機構と
を有し、
前記連結機構は、
前記電子鍵が前記鍵穴に挿入されたとき、前記電子鍵の先端部が前記バネ力に抗して前記押し板を押し動かすことにより前記かぎ棒が移動して前記モータ装置と前記クラッチ機構とを連結し、
前記電子鍵が前記鍵穴から抜き取られると、前記バネ力にて前記押し板が前記鍵穴の開口部方向に移動することにより前記かぎ棒が移動して前記モータ装置と前記クラッチ機構の連結を解くとともに、前記クラッチ機構における前記回転体の回転と前記ボルトの駆動との連動を解除する
シリンダー錠。 - 前記信号処理手段は前記電子鍵から電力の供給を受けて動作し、
前記モータ装置は前記電子鍵から供給された電力により駆動する、
請求項1記載のシリンダー錠。 - 前記クラッチ機構は、前記回転体の外部に進退可能な結合ピンと、
前記施錠・解錠を行う前記ボルトを駆動する軸を回転軸として、前記結合ピンが進退する面の近傍に、該面に平行に設けられ、前記結合ピンを掛止する開口部または凹部を有し、該開口部または凹部に前記結合ピンが掛止された場合に前記回転体と連動して回転するクラッチ板とを有する、
請求項1または2記載のシリンダー錠。 - 前記信号処理手段は、
前記電子鍵の電子回路と情報の伝達を行う伝達手段と、
予め定めた所定の認証用データを記憶する記憶手段と、
前記電子鍵の電子回路より受信した前記認証用データと前記記憶手段に記憶されている認証用データを照合し認証を行う演算手段と
を有する、
請求項1〜3いずれか記載のシリンダー錠。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
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