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JP3647066B2 - 焼結体の製造方法 - Google Patents
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JP3647066B2 - 焼結体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、金属粉末を所望形状に成形し焼結することにより焼結体とする焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属部品、特に複雑形状である金属部品を多数個製造する方法として、金属粉末とバインダーとを混練したコンパウンドを射出法で成形し、得られた成形体(グリーン体)を脱脂してブラウン体とし、このブラウン体を焼結してシンター体とする、いわゆるMetal Injection Molding(MIM)プロセスがよく用いられる。
近年、このMIMのプロセスをさらに発展させて、同一形状もしくは異形状の成形体を複数個連結すると共に、連結された成形体が相互に可動する可動連続体を、射出成形と同時に得る(組み立てる)型内組み立て技術が開発されている。
【0003】
このような型内組み立ての従来技術として、特願平4−164341号の焼結体の製造方法がある。
図37はこの方法により製造される可動連続体102を示す。この可動連続体102は、図35に示すように、円筒状の突起100aを有したリング状の第1の成形体100と、図36に示すように、この突起100aに対応した円筒状の凹部101aを有するリング状の第2の成形体101とからなり、第1の成形体100の突起を第2の成形体101の凹部に嵌め合わせることで、互いの成形体100,101を可動するように連結している。
【0004】
かかる可動連続体102の製造は、第1の成形体100の形状が反転されたキャビティを有する第1の可動側金型(入子)および第1の固定側金型(入子)より構成される金型により第1の成形体100を射出成形して、グリーン体を得る。この成形後、金型を開き、第1の成形体100に対してフロリナート等の溶媒に分散したc−BN等のセラミックス粉末を塗布する。この溶媒は成形体(グリーン体)100の構成要素であるバインダーを侵すこがないものが使用される。また、セラミックス粉末は焼結時において、成形体の構成要素である金属粉末と何等反応しない、化学的に安定なものが使用される。
【0005】
次に、第1の固定側金型と、第2の成形体の形状を反転したキャビティを有する第2の固定側金型とを交換する。このとき、第1の成形体100は第1の可動側金型のキャビティ内に残ったままであり、この第1の成形体と第2の固定側金型のキャビティとによって第2の成形体101を成形するキャビティが形成される。また、第1の成形体100の突起100aが、第2の成形体101の凹部101aを形成するためのキャビティとなる。
そして、第2の成形体101を射出成形し、第1の成形体(グリーン体)100と第2の成形体(グリーン体)101とからなる連続体102を成形する。この連結体102を金型より取り出し、脱脂してブラウン体とし、焼結してシンター体とする。
【0006】
この方法によると、第1の成形体100と第2の成形体101との間にセラミックス粉末が介在しているため、焼結時において、第1の成形体100と第2の成形体101とが相互に溶着することなく、相互の可動を行う連続体とすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の方法では、グリーン体を相互に組み立てた後に脱脂し、焼結する場合、グリーン体が脆いため、グリーン体が相互に動き、これにより組み立てたグリーン体が脱脂工程に移す間に破損してしまうことがあった。また、グリーン体が摺動すると、摺動部位に塗布されたセラミックス粉末がそぎ落されてしまい、焼結時に溶着してしまうことがあった。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、相互に可動するよう組み立てられたグリーン体を脱脂工程に移す際に、グリーン体相互の可動に基づいた破損を防止するとともに、成形体同士の溶着を防止することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明の焼結体の製造方法は、金属粉末と有機バインダーとを混練したコンパウンドにより成形された成形体にセラミックス粉末を分散した接着剤を塗布し、前記コンパウンドにより成形された新たな成形体を前記接着剤を介して前記成形体に接着して相互に固定した連結体とし、この連結体を脱脂および焼結することにより前記接着剤を除去して相互に可動にするを特徴とする。
【0010】
この方法においては、接着剤を介した新たな成形体の接着工程を順次繰り返して以上の成形体が連続された連結体を形成し、その後、この連結体を脱脂および焼結することにより前記接着剤を除去して相互に可動にするができる。
【0011】
また別の本発明の焼結体の製造方法は、金属粉末と有機バインダーとを混練したコンパウンドを射出成形して成形体を成形した後、この成形体にセラミックス粉末を分散した接着剤を塗布し、この成形体に対して前記コンパウンドを射出成形し当該成形体に接着剤を介して連結される新たな成形体を成形して相互に固定した連結体とし、この連結体を脱脂および焼結することにより前記接着剤を除去して相互に可動にするを特徴とする。
【0012】
この方法においては、射出成形した成形体に前記接着剤を塗布する工程と、この成形体に対する新たな成形体の射出成形工程とを順次、繰り返して以上の成形体が連結された連結体を成形し、この連結体を脱脂および焼結することにより前記接着剤を除去して相互に可動にすることができる。
また、別の本発明の焼結体の製造方法は、金属粉末と有機バインダーとを混練したコンパウンドにより成形されたグリーン体を相互に連結した後に脱脂してブラウン体とし、次いでこのブラウン体を焼結して相互に可動な焼結体とする焼結体の製造方法において、前記連結する1つのグリーン体の少なくとも前記連結により接触する部位にセラミックス粉末介在させて他のグリーン体を成形し、次いで前記連結により接触する部位に前記有機バインダーを溶解する溶剤を接着剤として供給し、有機バインダーを溶解して各グリーン体を固定して相互に連結したグリーン体を得、その後、前記連結体を脱脂および焼結をして前記セラミックス粉末を残留させ相互に可動な焼結体とすることを特徴とする。
また、別の本発明の焼結体の製造方法は、金属粉末と有機バインダーとを混練したコンパウンドにより成形されたグリーン体を相互に連結した後に脱脂してブラウン体とし、次いでこのブラウン体を焼結して相互に可動な焼結体とする焼結体の製造方法において、前記連結する1つのグリーン体の少なくとも前記連結により接触する部位にセラミックス粉末介在させて他のグリーン体を成形し、次いで前記連結する部位に接着剤を供給して各グリーン体を接着により固定して相互に連結したグリーン体の連結体を得、その後、前記連結体を脱脂および焼結をして接着剤を除去するとともにセラミックス粉末を残留させ相互に可動な焼結体とすることを特徴とする。
また、別の本発明の焼結体の製造方法は、金属粉末と有機バインダーとを混練したコンパウンドにより成形されたグリーン体を相互に連結した後に脱脂してブラウン体とし、次いでこのブラウン体を焼結して相互に可動な焼結体とする焼結体の製造方法において、前記連結する1つのグリーン体の少なくとも両者が連結により接触する部位にセラミックス粉末とともに接着剤を介在させた状態で、前記グリーン体を相互に接着により固定してグリーン体の連結体とし、その後、前記連結体を脱脂および焼結をして前記接着剤を除去するとともにセラミックス粉末を残留させて相互に可動な焼結体とすることを特徴とする。
【0013】
上記それぞれの方法においては、セラミックス粉末を分散した接着剤を介して、或いはセラミックス粉末とともに介在さた接着剤を介して、成形体同士が相互に固定して接着された状態となり、脱脂工程への移送時に相互に動くことがなく、破損を防止できる。この接着剤としては、脱脂工程時の加熱により、略完全に除去されるものを使用する。これにより焼結の際に、成形体(脱脂工程によりブラウン体となっている)相互の間にセラミックス粉末だけが残留して、焼結時における成形体(すなわち、ブラウン体)相互の溶着を防止する。このため焼結後においては、成形体(焼結工程により焼結体となっている)が相互に可動することができる。
【0014】
【実施例1】
図1ないし図3は本発明の実施例1により成形される成形体を示す。
本実施例は同一形状の複数の成形体を相互に可動可能に連結した連結体を製造するものである。成形体1は図1に示すように、略リング状を有しており、一方の端面には円筒状の突起1aが、また、この突起に対向する位置には突起1aに対応する円筒状の凹部1bが形成されることにより構成されている。
【0015】
この成形体1は以下のプロセスにより成形される。
まず、平均粒度10μmのステンレス鋼(SUS 316L)粉末91wt%、有機バインダーとしてポリスチレン3wt%、アクリル3wt%、ワックス2wt%、ステアリン酸1wt%を混練機に投入し、混練した後に造粒機に投入し、ペレット状に造粒してコンパウンドとする。
【0016】
そして、このコンパウンドを成形体1と同形状のキャビティが形成された金型内に射出する。これにより図1に示す成形体(グリーン体)1を複数成形する。
このグリーン体1は接着剤を介して相互に接着される。すなわち図3に示すように、一方のグリーン体1の凹部1bおよび連結するもう一方のグリーン体1と接触する部位(図3において斜線で図示)に、ディスペンサー2によって接着剤4を塗布する。
この接着剤4としてはa−シアノアクリレート系のいわゆる瞬間接着剤に、セラミックス粉末であるc−BN粉末(平均粒径10μm)を、重量比1:4で分散させたものが使用される。
【0017】
かかる接着剤の塗布後、凹部1bに対応するもう一方のグリーン体1の突起部1aをはめ込み、グリーン体1を接着剤を介して相互に接着する。以上の操作を複数回(連結する成形体1の数の分)繰り返すことにより、図2に示す連結体3とする。
次に、この連結体3をセラミックス製の皿(セッター)に載置し、このセッターを脱脂炉に投入し、大気雰囲気中、325℃の温度で加熱する。これにより成形体1から有機バインダー成分を脱脂し、全ての成形体1(すなわち連結体3)をグリーン体からブラウン体とする。
【0018】
そして、この脱脂後、ブラウン体を焼結炉に投入し、N2 雰囲気中、1350℃の温度で焼結し、SUS 316Lのシンター体とする。なお、脱脂および焼結における雰囲気および処理温度以外の例えば、昇温速度、処理時間等の処理条件は、公知であるため、その説明を省略する。焼結終了後、焼結炉よりセッターを取り出し、シンター体となった連結体3をセッターから取り出す。
【0019】
本実施例において、a−シアノアクリレート系の接着剤は、約80℃以上の温度に加熱されることにより分解を開始する。これに対し、脱脂を行う脱脂炉内の雰囲気温度は325℃まで上昇するので、接着剤の成分は、脱脂時において完全に分解される。すなわち、接着剤は成形体のバインダー成分と同じ様に脱脂される。一方、接着剤の中に分解したc−BN粉は成形体1の接触部に残留するためグリーン体とグリーン体とは、c−BNによって、非接触な状態のまま脱脂されてブラウン体となり、引き続き非接触のまま焼結されてシンター体となる。c−BNは、化学的に安定な物質であり、グリーン体(脱脂後はブラウン体)の構成要素であるSUS 316Lと焼結中に反応することがなく、また、焼結後においても粉末の状態を維持する。このような本実施例では、グリーン体を相互に連結する際にc−BN粉を分散させた接着剤によりグリーン体を相互に接着して固定するため、グリーン体の相互連結から脱脂までの間に連結体が破損することがない。また、接着剤の中にセラミックス粉末を分散させているので、焼結時に成形体が相互に溶着することもない。
【0020】
【実施例2】
本実施例は図2に示す同一形状の成形体からなる連結体3をその成形体を成形する金型内で成形と同時に連結するものである。
図4は本実施例における成形装置を示し、図5は第1の成形体を成形する金型を示し、図6および図7は第1の成形体を成形する金型の要部およびその作用を示す。
【0021】
図8は第2の成形体を成形する金型を示し、図9、図10は第2の成形体を成形する金型の要部およびその作用を示す。図11は第1の成形体の成形後における型開きした金型をパーティング面側から示し、図12は第1の成形体に接着剤を塗布する工程を示し、図13は第2の成形体の成形後における型開き状態を示す。
【0022】
本実施例における成形体1は、図1に示すように、略リング状を有しており一方の端面には円筒状の突起1aが、この突起に対向する位置には、突起1aに対応する円筒状の凹部1bが形成されている。この成形体1の突起1aと凹部1bとを、成形と同時に金型内で交互に連結することにより、図2に示す連結体3を形成する。
【0023】
本実施例に用いる成形装置は図4に示すように、加熱筒5を有しており、この加熱筒5は、図示を省略した射出成形機のノズルに接続されている。
加熱筒5には固定側プラテン6が備えられており、この固定側プラテン6には、第1の固定側金型7と第2の固定側金型8とが備えられている。加熱筒5には溶融したコンパウンドを第1および第2の固定側金型7,8へ供給するための流路が2系統設けられており、流路の周囲には、この流路内のコンパウンドの溶融状態を維持するためのヒータ(図示省略)が配設されている。
【0024】
一方、固定側プラテン6には可動プラテン9が対向しており、可動プラテン9には、第1の固定側金型7に対向して第1の可動側金型10が配設されていると共に、第2の固定側金型8との対向位置にはこの第1の可動側金型10と同形状の第2の可動側金型11が配設されている。可動プラテン9は、回転軸12によって金型のパーティング面に対して直角な軸回りに回動自在となっており、回転軸12を180°回転することで、第2の固定側金型8に対して第1の可動側金型10を、第1の固定側金型7に対して第2の可動側金型11をそれぞれ対向させることができる。
【0025】
尚、本実施例における射出成形機(図示省略)は、ノズルを2頭備え、このうちの一方のノズルを選択的に閉鎖することのできるシャットオブノズルが備えられている。この場合、各ノズルは、上記加熱筒5の流路に各々接続してある。
【0026】
図5は第1の成形体1を成形する第1の可動側金型10および第1の固定側金型7の構成を示す。
第1の固定側金型7は、固定側取付板13と、固定側板13に固定された固定側型板14と、固定側プラテンとの位置決めを行うためのロケートリング15と、固定側取付板13および固定側型板14に固定された第1のマニホールド16と、固定側型板14に保持された固定側入子17と、固定側入子17に保持された第2のマニホールド18とからなる。
一方、第1の可動側金型10は、可動側取付板19と、スペーサブロック20を介して可動側取付板19に固定された可動側型板21と、可動側型板21に保持された可動側入子22と、可動側入子22内の成形体を突き出す突出しロッド23と、突出しロッド23を可動側入子22に対して摺動するための突出し板24とからなる。
【0027】
図6および図7は、第1の固定側金型7と第1の可動側金型10を示し、第1の固定側金型7における第1のマニホールド16には、溶融したコンパウンドの流路16aが設けられているとともに、この流路16内の溶融したコンパウンドの固化を防ぐためのヒータ16bを有している。この流路16aと連通する流路18aは第1のマニホールド16と第2のマニホールド18とによって形成されると共に、内部のコンパウンドの固化を防ぐためのヒータ18bをその周囲に有している。
【0028】
固定側入子17には、図7に示すように、第1の成形体の突起部1aおよび凹部1b(図1参照)を成形するための凹部17aおよび突起17bが形成されているとともに、第1の成形体の中心部の孔1c(図1参照)を成形する凸部17eが形成されている。一方、可動側入子22には、第1の成形体1の外形を成形するための凹部22aが形成されている。そして、固定側入子17と可動側入子22とが密着することで、第1の成形体1を成形するためのキャビティ25が形成される。
【0029】
このキャビティ25は、図6に示すように、ゲート26を介して流路18aに連通するとともに、内部のコンパウンドの固化を防ぐためのヒータ18dをその周囲に配置した流路18cに連通している。
尚、ゲート26となるキャビティ25と流路18cとの境界部分は、型の開く方向に向かって先端が細くなるようなテーパとなっている。
【0030】
図8〜図10は第1の成形体と同一形状、同一寸法の第2の成形体1’を成形する第1の可動側金型10および第2の固定側金型8を示す。第2の固定側金型8は、図7および図8に示すように、その構成要素である固定側入子27のキャビティ部の形状が第1の固定側金型7と異なるだけであるため、固定側入子27以外の詳細な説明は省略する。固定側入子27には、図9および図10に示すように、第2の成形体1’の中心部の孔1c(図1参照)を成形する凸部27b、およびすでに成形が完了している第1の成形体1の中心部の孔1cにはめ込まれる凸部27aが形成されている。そして、すでに成形されている第1の成形体1の突起部1aが第2の成形体1’の凹部1′bの、またすでに形成されている第1の成形体の凹部1bが第2の成形体1′の突起部1’aを形成するキャビティとなり、第1の成形体1と固定側入子27とによつて第2の成形体の全体を成形するキャビティ28が形成される。
【0031】
次に、上記構成からなる成形装置を用いた連結体の成形について説明する。
まず、平均粒度10μmのステンレス鋼(SUS 316L)粉末91wt%、有機バインダーとしてポリスチレン3wt%、アクリル3wt%、ワックス2wt%、ステアリン酸1wt%を混練機に投入し、混練した後に造粒機に投入し、ペレット状に造粒してコンパウンドとする。
このコンパウンドを図6に示す第1の固定側金型7と第1の可動側金型10とが組合わさった状態で形成されるキャビティ25内に射出し、第1の成形体1を成形し、この成形後、型開きする。
このとき、ゲート26に形成されたテーパによって、流路18c内のコンパウンドはカットされる。
【0032】
図11は金型を開きそれをパーティング面側より見た図であり、成形された第1の成形体1が第1の可動側入子22のキャビティ25内に残っている。型開き後、図12に示すようにスプレーノズルなどの接着剤塗布手段29を第1の成形体1に接近させ、第1の成形体1に対して、接着剤をスプレーする。この接着剤としては、ホットメルト型の接着剤20wt%にセラミックス粉末として平均粒径10μmのc−BN粉80wt%を分散させたものが使用される。なお基材となるホットメルト型の接着剤としては、ポリエチレン系であり、180℃以上の温度に加熱してスプレー可能な粘度に調整した。ここで、ホットメルト型の接着剤には、ポリエチレン系の他に、ポリアミド系、ポリエステル系、ブチラール系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース誘導体系、ポリメチルメタクリレート系、ポリメチルエーテル系、ポリウレタン系、ポリカーボネート系の内、いずれかのものを用いてもよい。これらのホットメルト型の接着剤には、溶剤が含まれていないため、成形体の構成要素であるバインダ樹脂成分を侵すことがない。
【0033】
なお、セラミックス粉末を分散したホットメルト型の接着剤の塗布方法としては、スプレーが可能なものはスプレーにより塗布するのが望ましいが、溶融粘度と加熱温度の関係上、粘度の高くスプレーが不可能なものは、ノズルタイプのアプリケーションを用いて接着剤を吐出もしくは滴下して塗布してもよい。
また、セラミックス粉末に関しては、成形体を構成する金属粉末(本実施例においてはSUS 316L)と、焼結時において何ら反応せず、また、それ自身も、成形体の焼結温度では焼結されないような化学的に安定したものであればよく、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化チタン、酸化ジルコニア、カーボン等を単体で、あるいは、組み合わせて使用してもよい。また、接着剤とセラミックス粉末との配合比も上記のものに限らない。
【0034】
かかる接着剤塗布後、回転軸12を回転させて第1の固定側金型7と第2の固定側金型8とを交換し、第2の固定側金型8と第1の可動側金型10とを閉める。この型閉め後、第2の成形体1’を射出成形する。
ここで、ホットメルト型の接着剤は温度が低くなるとすぐに固化するため、第1の成形体1に塗布した直後に固化するが、第2の成形体1’が射出される際の温度によって再び溶融し、その後の第2の成形体1’を構成するコンパウンドの固化に伴って固化する。これにより接着剤としての効力を発揮する。
第2の成形体1’を成形後、図13に示すように、型を開き、突出しロッド23によって第1の成形体1および第2の成形体1’よりなる連結体61を取り出す。
以後、この連結体61を窒素ガス雰囲気内で325℃の温度で脱脂し、その後、窒素ガス雰囲気内で1300℃に加熱して焼結する。
【0035】
上記構成において、第1の成形体1を成形後、第1の成形体1に対してc−BN粉末が分散されている接着剤を塗布した後に第2の成形体1’を成形するため、第2の成形体1’の成形後における成形体1,1’からなる連結体61を型より取り出す際、第1の成形体1と第2の成形体1’とは接着剤を介して相互に接着された状態となる。この接着剤は、脱脂時に分散され除去されるため、脱脂後の第1の成形体1と第2の成形体1’との間にはc−BN粉のみが残る。
このc−BN粉は、成形体1,1’の構成要素であるSUS 316Lと何ら反応しない化学的に安定な物質であるため、焼結時においては、第1の成形体1と第2の成形体1’とが非接触のまま焼結される。
【0036】
このような本実施例では第1の成形体と第2の成形体とが接着剤によって固定されているため、型から取り出す際に、相互に可動することなく、相互可動に起因した成形体の破損がなくなる。
また、焼結時には、接着剤に分散したセラミックスの粉末が成形体の間に存在するため、焼結時に第1の成形体と第2の成形体とが溶着することもない。
【0037】
なお、本実施例では、セラミックス粉末を分散した接着剤としてホットメルト型を用いたが、同じように溶剤を含まないエポキシ系の接着剤を用いてもよい。このエポキシ系の接着剤は、ホットメルト型の接着剤と同様に、溶剤を含まないため、成形体を構成するバインダー樹脂を侵すことがない。なお、ホットメルト型の接着剤は冷却されるとともに硬化して接着剤としての機能を発揮するため、その硬化は成形体の硬化時間にほぼ相当するのに対して、エポキシ系の接着剤を用いる場合は、その硬化時間が長いために、型開きの時期および成形体の型からの取り出し時期を、ホットメルト型の接着剤の場合よりも遅くする必要がある。しかし、エポキシ系の接着剤は、ホットメルト型の接着剤と同様、耐熱性があり、また、ホットメルト型の接着剤に比べて接着強度が大きいため、特に強い接着力を必要とする場合に、有効となる。このエポキシ系の接着剤に関しても、スプレーが可能なものはスプレーによって塗布するのが望ましいが、スプレーが不可能なものに関しては、滴下による塗布や、へらによる塗布を行ってもよい。
【0038】
本実施例におけるその他の接着剤としては、例えばアクリル、スチレン、ポリアミド、セルロース、ポリウレタン等の熱可塑性の合成樹脂系接着剤や、フェノール、不飽和ポリエステル、アクリル、シリコーン、アクリル酸ジエステル等の熱硬化性の合成樹脂系接着剤や、エポキシーフェノーリック、エポキシ−ポリアミド、ナイロン−エポキシ系の混合系接着剤でもよい。
また、本実施例では、成形体を構成するバインダ樹脂成分を侵す溶剤を含まないホットメルト型の接着剤およびエポキシ系の接着剤を選択したが、接着剤に含まれる溶剤によって成形体を構成するバインダ樹脂を溶かすことにより接着力を高めるようなタイプの接着剤を用いてもよい。この場合、成形体相互の接触部位において、成形体を構成するバインダ成分が溶解するため、成形体の間のクリアランスが大きくなるが、特に大きなクリアランスを必要としている場合には有効である。なお、接着剤に求められる機能は、成形体の成形後、脱脂工程までに成形体が可動するのを防止する程度で十分であるところから、特に強力な接着力を有した接着剤を選定する必要はない。
【0039】
【実施例3】
本実施例は、複数の管状構造体からなる湾曲管を成形と同時に組み立てるものである。管状構造体30は、図14に示すように筒状の胴部32と、胴部32の軸方向にそれぞれ対向して突出した第1の耳部33および第2の耳部34と、第1の耳部33に形成された円柱状の突起35および第2の耳部34に形成された孔部36とからなる。各耳部33,34における相互間隔は図15に示すように、第1の耳部33の相互間隔が第2の耳部34の相互間隔よりも狭く、第1の耳部33の突起35が第2の耳部34の孔部36に挿入されることにより、管状構造体30が順次連結され、これにより図17に示す湾曲管37を構成する。
そして、この湾曲管37は、耳部33,34の突起35と孔部36とが摺動し合うことにより、図18の様に湾曲することができる。
尚、この管状構造体30を成形金型により成形する場合、図16に示す直線L(パーティングライン)で分割されるものである。
【0040】
図19は湾曲管37を成形しつつ連結状態となるように組み立てる金型装置38を示す。この金型装置38は一対のスライド型39,40と、このスライド型39,40の中心に位置するスライドコア41と、スライドコア41に摺動自在に備えられたスリーブ42とを備えている。
一対のスライド型39,40は、管状構造体30の外形を成形するキャビティを有し、スライドコア41は管状構造体30の内部形状および軸方向の一方の端面を成形するキャビティ、スリーブ42はスライドコア41とは反対側のもう一方の端面を成形するキャビティの作用を行う。
スライドコア41は小径部43と大径部44とが連設されており、大径部44の一部と小径部43とが管状構造体30の内径形状を成形するためのキャビティとなる。このスライドコア41は図示しない駆動手段によって軸方向に進退自在となっており、スライドコア41の小径部43には、その内径がスライドコアの小径部43と同一で、かつ、その外径がスライドコア41の大径部44と同一径であるスリーブ42が備えられている。
【0041】
スリーブ42のスライドコア41側における端面と外径の一部分は管状構造体30を成形するためのキャビティであり、このスリーブ42は図示しない駆動手段によって、スライドコア41上で進退自在となっている。一方、管状構造体30の外径を成形するスライド型39,40はこのスライドコア41を挟んだ上下位置に設けられている。
このスライド型39,40は、図示しない駆動手段によってスライドコア41の軸心に対して直交する方向に進退する。
【0042】
スライドコア41とスライド型39,40との間には、管状構造体30に接着剤を塗布するための接着剤塗布装置45が配置されている。この接着剤塗布装置45は、図示しない駆動手段により、型39,40が開いた時にはスライドコア41とスライド型39,40との間に移動し、型が閉じるときには、この型締めを阻害しないように、他の位置に回避する。
【0043】
図20〜図23はスライド型39,40を示し、図20はスライドコア41およびスリーブ42を所定の位置に移動し、一対のスライド型39,40を閉め、管状構造体30を成形するためのキャビティを形成した状態を表している。一方のスライド型39は溶融したコンパウンドが通過する流路46を有するとともに、流路46内のコンパウンドの固化を防ぐヒータ47を有したマニホールド48を備えている。流路46はキャビティに連通しており、キャビティとの境界であるゲート49は、キャビティ側ほど先が細くなるテーパとなっている。
このスライド型39のキャビティには、管状構造体30の第2の耳部34を成形するための凹部50が設けられているとともに、第1の耳部33の突起35を成形する凹部51が設けられている。
管状構造体30の第1の耳部33を成形するためのキャビティの一部は、スリーブ42によって形成されるものであり、そのため、スリーブ42には、図20、図21に示すように、管状構造体30の第1の耳部33の外径を成形するキャビティとしての切り欠き部53が形成されている。
【0044】
他方のスライド型40は、コンパウンドを供給するマニホールド48を有していない点以外は、スライド型39の形状と同一であるため、その説明は省略する。
なお、管状構造体30を相互に可動するように連結するためには、各々の管状構造体30の間に図17に示すようなクリアランス70が必要となる。このクリアランスを成形するために、スライド型39,40には、クリアランス形成用のスライド54,55がそれぞれ備えられている。
【0045】
図22〜24はかかるスライド54,55の構成を示し、図22はスライド型39のキャビティ側からの斜視図(図19におけるZ矢視図)であり、スライド型39には一対のスライド54が備えられている。
一対のスライド54は、それぞれがスライドコア41の軸心に対して直交する方向に進退自在となっており、その対向する先端は、キャビティの中心で相互に当接している。このスライド54の先端(キャビティ側)は、スライドコア41の小径部43と同一の曲率を有しており、スライド54を前進させたとき、この曲率部位がスライドコア41の小径部43に当接する。また、このスライド54を前進させたときに、スライド型39に形成された凹部50(管状構造体の耳部34を成形する)にかかる部位では平面となっている。
【0046】
図23は図20のX−X断面であり、スライド型40にもスライド型39のスライド54と同様の一対のスライド55が備えられている。図24は図23で示す状態から各スライド54,55を後退させた状態を示し、各スライド54,55はそれぞれのスライド型39,40のキャビティより奥に(管状構造体30の外径より奥に)退くことにより、管状構造体30成形後におけるスライドコア41およびスリーブ42の後退が可能になる。
【0047】
次に、上記構成からなる金型装置38による湾曲管37の連続成形について説明する。
まず、図19に示す状態から、スライド型39,40を閉じ、スリーブ42、スライドコア41、スライド54,55を前進させて、図20に示す状態となる。すなわち、型閉めを行い、第1の管状構造体30を成形するためのキャビティを形成する。
続いて、マニホールド48の流路46内にある溶融状態のコンパウンドを、ゲート49よりキャビティに射出して充填し、図25に示す状態となる。本実施例にて使用したコンパウンドは、平均粒度8μmのステンレス鋼(SUS 316L)粉末91wt%、有機バインダーとしてポリスチレン3wt%、ポリエステル3wt%、ワックス2wt%、ステアリン酸1wt%を混練し、この混練物をペレットに造粒したものである。
【0048】
このコンパウンドの充填後、一定時間保持して、充填したコンパウンドを固化し、この固化後に、図26に示すように型を開く。このとき、まず先にスライド54,55を後退(図24参照)した後にスライド型39,40を開く。ここで、第1の管状構造体30には金型の構成上、孔部36は形成されない。この孔部36は第2の管状構造体以降に形成される。
次に、接着剤塗布手段45を前進し、第1の管状構造体30に対して、セラミックス粉末を分散した接着剤をスプレー等により塗布する。塗布する位置は、第2の管状構造体30’と接触する部位のみでよい。
本実施例の接着剤は管状構造体の構成要素であるバインダ成分の1つであるポリスチレン系の接着剤10wt%に、セラミックス粉末として平均粒径8μmのアルミナ粉末90wt%を分散したものを使用した。
【0049】
接着剤塗布後、図27に示すようにスリーブ42およびスライドコア41を後退するとともに、スライド型39,40を閉じる。
このとき、スライドコア41の後退とともにスリーブ42を前進させ、スライドコア41の後退が完了した後にスリーブ42を所定の位置に後退させてもよい。
スライドコア41の後退は管状構造体30の1つ分だけとし、スリーブ42の後退位置は、図20に示す位置とする。型閉め後、スライド54,55を前進させ(図23参照)、図28に示す様に、第2の管状構造体30’を成形するためのキャビティを形成する。
【0050】
第2の管状構造体30’のキャビティは、第1の管状構造体と、スライド54,55と、スライド型39,40と、スライドコア41と、スリーブ42とによって形成されるものである。ここで、第1の管状構造体30の第1の耳部33の突起35が第2の管状構造体30’の第2の耳部34の孔部36を形成するキャビティとなる。
スライド54,55を前進した後、図29に示す様にキャビティにコンパウンドを射出し、第2の管状構造体30’を成形する。この成形後、上記と同様の手順により型を開く。このとき、スライド54,55によって第1の管状構造体30と第2の管状構造体30’との間には、スライド54,55の厚さ分のクリアランスが70が形成される(図17参照)。このクリアランス70によって、湾曲管37は図18に示すように可動する。
【0051】
以後、上記手順を繰り返し、所定の個数、管状構造体30を連結させながら成形した後、スライドコア41よりスリーブ42を抜き、続いてスライドコア41から成形した連結体37を取り出す。成形後の連結体37は、図17に示すような形状となる。そして、この連結体37を大気雰囲気中、330℃で脱脂し、真空雰囲気中、1300℃で焼結する。
【0052】
本実施例では第1の管状構造体30を成形後、第1の管状構造体30に対してセラミックス粉末が分散されている接着剤を塗布し、その後、第2の管状構造体30’を成形する。そして、この手順を繰り返して管状構造体30の連結体37を成形し、その後、連結体37をスライドコア41より取り出す。この連結体37を構成する各管状構造体30は接着剤によって相互に接着された固定状態となり、脱脂工程へ移すときに相互に動くことがない。
【0053】
本実施例において、アルミナ粉末を分散した接着剤は管状構造体の構成要素の1つであるポリスチレン系の接着剤である。このため管状構造体相互の接合は、接着剤中に含まれる溶剤が管状構造体の連結部位をごく僅か溶解し、硬化することにより行われる。また、この接着剤の成分は、脱脂時に分解され除去されるため、各管状構造体の間にはアルミナ粉のみが残る。このアルミナ粉末は、管状構造体の構成要素であるSUS 316Lと何ら反応しない化学的に安定な物質であるため、焼結時においては、各管状構造体が相互に非接触のまま焼結される。
【0054】
以上のような本実施例では、連結体を構成する管状構造体が接着剤によって相互に固定されているため、連結体をスライドコアから取り出す際に、相互に動くことがなく、相互可動に起因した成形体の破損を防止できる。
また、焼結時には、接着剤に分散したセラミックス粉末のみが管状構造体の間に存在するため、焼結時に、管状構造体が相互に溶着することもない。尚、本実施例では、2つの管状構造体を連結したが、図17に示すように、4つ、あるいはそれ以上の管状構造体を連結することができる。
【0055】
【実施例4】
本実施例は実施例3と同様の湾曲管37を成形するものであるが、成形後の連結体の固定を行う接着工程と、焼結時における管状構造体相互の溶着を防止するセラミックス粉末の塗布工程とを別工程で行うものである。従って、実施例3と共通する説明は省略し、異なる部分のみ、図示して説明する。
本実施例では、スライド型39のスライドコア41側の側面に対して接着剤のみ(すなわち、セラミックス粉末を分散させていない)を滴下するディスペンサー56を備えた点が実施例3の金型装置38と異なり、その他構成は実施例3と同様である。
【0056】
本実施例において、第1の管状構造体30を射出成形するまでは実施例3と同様である。
本実施例では、この第1の管状構造体30の射出成形後、フロリナートに分散したc−BN粉末を第1の管状構造体30に塗布する。塗布後、第2の管状構造体を成形する。(この状態は、図29と同様である。)このフロリナートは、管状構造体30の構成要素である有機バインダーを侵さない性質を有する溶媒である。塗布手段は、実施例3と同様である。また、塗布する範囲は、実施例3と同様に、次に成形される第2の管状構造体30’と第1の管状構造体30とが接する部位のみである。
【0057】
図30に示すように、管状構造体30を成形した後、スライドコア41を後退させることにより、成形済の管状構造体30がスライド型39,40より排出される。
次の管状構造体30の成形を行う際、スライドコア41は所定の位置に停止して待機状態となる。このスライドコア41が停止した後、ディスペンサー56によって、管状構造体30の連結部位57、すなわち管状構造体30の突起と孔部とがその間隙にc−BN粉末を介在した状態で嵌め合っている部位に、接着剤を塗布する。
使用する接着剤は、瞬間接着剤と称されるa−シアノアクリレート系の接着剤である。このa−シアノアクリレート系の接着剤は、非常に低粘度で浸透性があるため、管状構造体30の連結部位57の僅かな間隙に浸透する。
【0058】
図31〜図33はこの浸透を示し、先に成形された管状構造体30と後に成形された管状構造体30との間には、図31に示すようにc−BN粉層58が介在している。この場合、分散剤として使用したフロリナートは、第2の管状構造体を成形する際の熱で気化し、c−BN粉のみが残留している。この連結部位57にa−シアノアクリレート系の接着剤59を滴下する(図32参照)と、a−シアノアクリレート系の接着剤は浸透性が高いため、管状構造体と管状構造体との隙間に位置するc−BN粉の層58にしみこむ(図33参照)。そして、周囲の水分を吸収し、固化する。このように管状構造体30の相互の隙間に浸みこんで固化したa−シアノアクリレート系の接着剤59は管状構造体を相互に強固に接着して固定する。
【0059】
この操作を、連結する管状構造体の数だけ行う。
所定数を連結した後、実施例3と同様に連結体37をスライドコア41より抜き、この連結体37を実施例3と同一条件で脱脂し、焼結する。
【0060】
以上の本実施例では第1の管状構造体30を成形後、第1の管状構造体30に対して、溶媒に分散したセラミックス粉末を塗布した後に第2の管状構造体30’を成形し、この第2の管状構造体30’の成形後、金型より排出された連結体の連結部位57に浸透性の高い接着剤を塗布することで、管状構造体30相互の隙間に介在するセラミックス粉末に接着剤を浸みこませ、接着剤を硬化させることで、管状構造体を相互に強固に固定する。この手順を繰り返して管状構造体30が連結された連結体37を成形するため、連結体37をスライドコア41から取り出す際、連結体37を構成する各管状構造体30は接着剤によって接着されて固定された状態となり、相互に動くことがなく、相対可動による管状構造体の破損を防止できる。
【0061】
この接着剤の成分は、脱脂時に分解され除去されるため、管状構造体の間にはセラミックス粉末のみが残る。このセラミックス粉として用いたc−BN粉は、管状構造体の構成要素であるSUS 316Lと何ら反応しない化学的に安定な物質であるため、焼結時において、管状構造体が相互に非接触のまま焼結される。このため、焼結時には、接着剤に分散したセラミックス粉末のみが管状構造体の間に存在して、管状構造体相互の溶着を防止できる。
【0062】
本実施例に用いるa−シアノアクリレート系の接着剤は、一般的に熱に弱いが、この方法によれば、成形体が固化した後に接着剤を塗布するため、接着剤が熱の影響を受けることがない。
尚、本実施例においては、粘度が低く浸透性の高い接着剤として、a−シアノアクリレート系の接着剤を用いたが、これに限らず他の低粘度の接着剤を用いてもよい。例えば、アセトン,ベンゼン等の管状構造体の構成要素であるバインダー樹脂を溶解する溶剤を接着剤として塗布してもよい。この場合においては、管状構造体の間の隙間にしみこんだ溶剤は、管状構造体を構成するバインダー樹脂成分、本実施例ではポリスチレンを溶解する。
この溶解されたバインダー樹脂成分、例えばポリスチレンは、セラミックス粉末へ浸透する。
そして、一定時間経過後、溶剤が揮発することで固化し、このバインダー樹脂成分の固化により接着剤としての作用を発揮し、管状構造体を相互に固定する。
【0063】
このようにして得られた管状構造体の連結体を脱脂して焼結するのに際しても実施例3と同様の効果が得られるとともに、a−シアノアクリレート系の接着剤特有の効果、すなわち被接着物の白化現象を防ぐことができる。なお、ポリスチレンを溶解する溶剤としてベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、メタノール、酢酸メチル、ジエチルケトン、ニトロメタン、アセトニトリル等があり、これらの溶剤を用いても上記と同様の効果が得られる。本実施例において溶剤は成形体の構成要素である複数のバインダー樹脂成分のうち、少なくとも1つの樹脂成分を溶解するものであれば、任意に選択できる。また塗布においては溶剤単体でもよいが、管状構造体に含まれるバインダー成分、例えばポリスチレンを少量溶解しておき、これを滴下して塗布することで、セラミックス粉末の層に浸透させてもよい。この場合は、溶剤単体で使用する場合よりも接着強度が増すメリットがある。
【0064】
【実施例5】
本実施例は、実施例3,4と同様の湾曲管37を成形するものであるが、成形後の連結体37の固定を行う接着工程と、焼結時における管状構造体30相互の溶着を防止するセラミックス粉末の塗布工程とを別工程を行うものである。従って、実施例3,4と共通する説明は省略し、異なる部分のみ図示して説明する。本実施例では、管状構造体30およびこれを連結する金型装置38および接着剤塗布手段56は実施例と同様である。また、本実施例では、第1の管状構造体30の射出成形後、フロリナートに分散したc−BN粉末を第1の管状構造体30に塗布するまでは実施例4と同様である。
【0065】
図30に示すように、管状構造体30を成形した後、スライドコア41を後退させることにより、成形済の管状構造体30がスライド型39,40から排出される。
次の管状構造体30の成形を行う際、スライドコア41は、所定の位置に停止した待機状態となっている。そして、管状構造体30の連結部位57がディスペンサー56の下に位置した時、この連結部位57に対してホットメルト型の接着剤60を滴下する。
このときにおける接着剤60の塗布は、図34に示すように、管状構造体30の連結部位57を被うように行う。この操作を、連結する管状構造体の数だけ行う。そして、所定数成形後、実施例3と同様、連結体37をスライドコア41より抜き、この連結体37を脱脂し、焼結する。
【0066】
本実施例において、第1の管状構造体を成形後、第1の管状構造体に対して、溶媒に分散したセラミックス粉末を塗布し、その後に第2の管状構造体を成形し、第2の管状構造体の成形後、金型より排出された連結体の連結部位にホットメルト型の接着剤を塗布して硬化するため管状構造体が相互に強固に固定される。
この手順を繰り返して管状構造体の連結体を成形して行くため、所定の数の管状構造体を連結状に成形後、連結体をスライドコアから取り出す際、連結体を構成する各管状構造体は接着剤によって接着されて固定された状態となる。この接着剤の成分は、脱脂時に分解され除去されるため、第1の成形体と第2の成形体との間にはセラミックス粉のみが残る。このセラミックス粉として用いたc−BN粉は、成形体の構成要素であるSUS 316Lと何ら反応しない化学的に安定な物質であるため、焼結時においては、第1の成形体と第2の成形体とが非接触のまま焼結される。
【0067】
実施例4で用いたa−シアノアクリレート系の接着剤では、塗布した成形体の周囲を白化する場合が有り、しかもこの白化した部位が焼結によってシミとなる場合があり、焼結後の湾曲管の外観品質上、好ましくない。
しかしながら、本実施例で用いるホットメルト型の接着剤は成形体にこのような影響を与えることがないため、特に焼結体の外観品質が問われるものに関しては、有効である。
かかる、ホットメルト型の接着剤を成形終了後の固化した管状構造体に塗布すると、粘度が急激に高くなって固化をはじめる。このため、この接着剤は管状構造体の間の間隙には浸透しない。以上により管状構造体の相互の接触部位では接着がなされておらず、管状構造体相互の接触部位には焼結時の溶着を防ぐセラミックス粉末の層のみが存在しているため、上記他の実施例のように、接触部位に対してセラミックス粉末とともに接着剤を介在するよりも、管状構造体相互の接触部位の隙間を小さくできる。従って、焼結後の連結体のがたつきが小さくなるメリットがある。
【0068】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、セラミックス粉末を分散させた接着剤、或いはセラミックス粉末とともに介在させた接着剤等の接着剤により複数の成形体同士を相互に接着して固定するため、塗布されたセラミックス粉末がそぎ落とされることはない。従って、脱脂工程への移送までの間に成形体が相互に動くことがなく、成形体の破損を防止できる。また接着剤に分散しているセラミックス粉末、或いは接着剤とともに介在させたセラミックス粉末等の連結される成形体の間に介在したセラミックス粉末が焼結時におけるブラウン体相互の溶着を防止すると共に、焼結後においても焼結体の間に残るため、焼結体が相互に可動可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1により成形される成形体の斜視図。
【図2】実施例1により製造される連結体の斜視図。
【図3】接着剤塗布を示す斜視図。
【図4】実施例2の成形装置の側面図。
【図5】第1の成形体を成形する状態の金型の断面図。
【図6】第1の成形体成形時の金型の要部の断面図。
【図7】図6のさらに要部の断面図。
【図8】第2の成形体成形時の金型の断面図。
【図9】第2の成形体成形時の金型の要部の断面図。
【図10】図9のさらに要部の断面図。
【図11】第1の成形体成形後の金型のパーティング面からの正面図。
【図12】接着剤塗布時の金型の断面図。
【図13】第2の成形体成形後の型開き状態を示す断面図。
【図14】実施例3により成形される管状構造体の斜視図。
【図15】管状構造体の側面図。
【図16】図15と直交した側からの側面図。
【図17】実施例3の連結体の斜視図。
【図18】実施例3の連結体の動きを示す斜視図。
【図19】実施例3の成形を示す断面図。
【図20】実施例3の成形を示す断面図。
【図21】実施例3に用いるスリーブの斜視図。
【図22】実施例3のスライド型の斜視図。
【図23】図20におけるX−X線断面図。
【図24】図23に続く状態を示す断面図。
【図25】実施例3により第1の成形体を成形する金型の断面図。
【図26】接着剤塗布を示す断面図。
【図27】第1の成形体のスライドを示す断面図。
【図28】スライド後の型閉じ状態の断面図。
【図29】第2の成形体の成形時の金型の断面図。
【図30】実施例4における接着剤塗布の断面図。
【図31】実施例4の接着剤の作用を示す断面図。
【図32】実施例4の接着剤の作用を示す断面図。
【図33】実施例4の接着剤の作用を示す断面図。
【図34】実施例5における接着剤塗布の断面図。
【図35】従来方法により成形される成形体の斜視図。
【図36】従来方法により成形される別の成形体の斜視図。
【図37】従来方法により成形される連結体の斜視図。
【符号の説明】
1 成形体
3 連結体
4 接着剤

Claims (7)

  1. 金属粉末と有機バインダーとを混練したコンパウンドにより成形された成形体にセラミックス粉末を分散した接着剤を塗布し、
    前記コンパウンドにより成形された新たな成形体を前記接着剤を介して前記成形体に接着して相互に固定した連結体とし、
    この連結体を脱脂および焼結することにより前記接着剤を除去して相互に可動にすることを特徴とする焼結体の製造方法。
  2. 前記接着剤を介した新たな成形体の接着工程を順次繰り返して以上の成形体が連続された連結体を形成し、
    その後、この連結体を脱脂および焼結することにより前記接着剤を除去して相互に可動にすることを特徴とする請求項1記載の焼結体の製造方法。
  3. 金属粉末と有機バインダーとを混練したコンパウンドを射出成形して成形体を成形した後、この成形体にセラミックス粉末を分散した接着剤を塗布し、
    この成形体に対して前記コンパウンドを射出成形し当該成形体に接着剤を介して連結される新たな成形体を成形して相互に固定した連結体とし、
    この連結体を脱脂および焼結することにより前記接着剤を除去して相互に可動にすることを特徴とする焼結体の製造方法。
  4. 射出成形した成形体に前記接着剤を塗布する工程と、この成形体に対する新たな成形体の射出成形工程とを順次、繰り返して以上の成形体が連結された連結体を成形し、
    この連結体を脱脂および焼結することにより前記接着剤を除去して相互に可動にすることを特徴とする請求項3記載の焼結体の製造方法。
  5. 金属粉末と有機バインダーとを混練したコンパウンドにより成形されたグリーン体を相互に連結した後に脱脂してブラウン体とし、次いでこのブラウン体を焼結して相互に可動な焼結体とする焼結体の製造方法において、
    前記連結する1つのグリーン体の少なくとも前記連結により接触する部位にセラミックス粉末介在させて他のグリーン体を成形し、
    次いで前記連結により接触する部位に前記有機バインダーを溶解する溶剤を接着剤として供給し、
    有機バインダーを溶解して各グリーン体を固定して相互に連結したグリーン体を得、
    その後、前記連結体を脱脂および焼結をして前記セラミックス粉末を残留させ相互に可動な焼結体とすることを特徴とする焼結体の製造方法。
  6. 金属粉末と有機バインダーとを混練したコンパウンドにより成形されたグリーン体を相互に連結した後に脱脂してブラウン体とし、次いでこのブラウン体を焼結して相互に可動な焼結体とする焼結体の製造方法において、
    前記連結する1つのグリーン体の少なくとも前記連結により接触する部位にセラミックス粉末介在させて他のグリーン体を成形し、
    次いで前記連結する部位に接着剤を供給して各グリーン体を接着により固定して相互に連結したグリーン体の連結体を得、
    その後、前記連結体を脱脂および焼結をして接着剤を除去するとともにセラミックス粉末を残留させ相互に可動な焼結体とすることを特徴とする焼結体の製造方法。
  7. 金属粉末と有機バインダーとを混練したコンパウンドにより成形されたグリーン体を相互に連結した後に脱脂してブラウン体とし、次いでこのブラウン体を焼結して相互に可動な焼結体とする焼結体の製造方法において、
    前記連結する1つのグリーン体の少なくとも両者が連結により接触する部位にセラミックス粉末とともに接着剤を介在させた状態で、前記グリーン体を相互に接着により固定してグリーン体の連結体とし、
    その後、前記連結体を脱脂および焼結をして前記接着剤を除去するとともにセラミックス粉末を残留させて前記相互に可動な焼結体とすることを特徴とする焼結体の製造方法。
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