JP3647766B2 - 燃料用パイプまたはタンク - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ガソリン、特に含酸素ガソリンに対する耐ストレスクラック性およびガソリンガスバリアー性に優れた、EVOH樹脂組成物層を有する燃料用パイプまたはタンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素類、例えばガソリンを保存するための容器あるいは移送するためのパイプの素材としてプラスチックは多くの分野において期待されており、自動車用燃料タンク、燃料パイプなどが一例としてあげられる。また、プラスチックとしてはポリエチレン(特に、超高密度ポリエチレン)が経済性、成形加工性、機械的強度等の点で期待されている。しかし、ポリエチレン製燃料タンクは、保存されるガソリンの気体あるいは液体が容器のポリエチレンの壁を通して大気中に飛散しやすいという欠点を有する事が知られている。そこで、かかる欠点を解消するため、ポリエチレン製容器にハロゲンガス(フッ素、塩素、臭素等)あるいは三酸化硫黄(SO3)などを容器に吹き込み、容器内面をハロゲン化あるいはスルホン化する方法が、また、ポリアミド樹脂とポリエチレン樹脂とを多層化する方法が考案されており一部で実用化されている。しかしながら、既述の方法で処理したポリエチレン容器においても、近年ガソリンの消費節約、高性能化、地球環境改善のため、メチルアルコール、エチルアルコールなどの沸点の低いアルコール類、あるいはメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)などのエーテル類をブレンドした含酸素ガソリンや、燃料タンク使用時に実際上避けることのできない水分混入ガソリンおよび水分混入含酸素ガソリンに対しては、透過量が増大するという欠点を有しており、これ等の欠点の改善が望まれる。
【0003】
そこで、さらなる改善方法として、ガソリンおよび含酸素ガソリンの透過性が非常に小さい(バリアー性良好)素材として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下これを「EVOH」と略称する)に注目が集まっており、EVOHとポリエチレンとを積層した多層容器、あるいはEVOHとポリアミドとを積層した多層パイプなどが試作されている。また、特開昭50−103528号公報には、内外2層よりなる中空成形容器あるいはチューブ状容器において、一方の層がポリオレフィンで形成され、他方の層がEVOHを主体としこれに金属イオンを含有するエチレン共重合体(デュポン社製サーリン)とナイロンの三成分からなる樹脂組成物で形成されている中空成形容器あるいはチューブ状容器はガソリンの透過度が小さく、耐油性に優れていることが紹介されている。
【0004】
その結果、これ等の多層構成体はガソリンおよび含酸素ガソリンのバリアー性が良好であり、実用化を目指し積極的な検討がなされているが、予想外の大きな問題点がある事が判明した。すなわち、例えば、超高密度ポリエチレン(UHDPE)/接着性樹脂(Ad)/EVOH/Ad/UHDPE3種5層多層構成の燃料タンクにおいて、各種ガソリンを充填して長期間保存すると、タンクの一部に微小なクラックが生じる為か、ガソリンバリアー性が急激に悪化する場合がある。種々原因の調査を行った結果、該多層構成容器において、ガソリン充填時、UHDPEおよびAdのガソリン膨潤性(寸法変化率)とEVOHのそれとが大きく異なりEVOHに異常なストレスが掛かる事、およびEVOHは含酸素ガソリンおよび水分混入含酸素ガソリンでストレスクラックが生じやすい事が判明した。それゆえ、ガソリン、特に含酸素ガソリンに対する耐ストレスクラック性、およびガソリンバリアー性に優れたEVOHの開発が重要な課題の一つである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガソリン、特に含酸素ガソリンに対する耐ストレスクラック性、およびガソリンバリアー性に優れたEVOH樹脂組成物を用いたガソリンバリアー性を有する燃料用パイプまたはタンクを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、エチレン含有量10〜80モル%のEVOH(A)100重量部に対し、ポリオレフィン樹脂(B)5〜40重量部を配合し、さらに疎水性可塑剤(F)を配合してなる組成物(C)層を少なくとも一層有する燃料用パイプまたはタンクを提供することによって、また前記組成物(C)層と熱可塑性樹脂(D)層とを接着性樹脂(E)層を介して積層した多層構造体からなる燃料用パイプまたはタンクを提供することにより達成される。本発明者らは、種々の熱可塑性樹脂などをEVOHにブレンドしたフィルムを用い、10%引張定歪み条件下におけるガソリンに対するストレスクラック性およびガソリンバリアー性の評価を実施した。その結果、EVOH(A)に前記ポリオレフィン樹脂(B)および疎水性可塑剤(F)を配合した場合、ストレスクラックが改善すること、すなわち10%引張定歪み条件下におけるガソリンに対するストレスクラックが生じないことを見出した。
【0007】
本発明において、ポリオレフィン樹脂(B)としては、ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレンとプロピレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸などのビニルモノマーとの共重合体;これらと酸無水物、ビニルシラン系化合物あるいはエポキシ基含有化合物を共重合あるいはグラフト重合したポリオレフィン;エチレン含有量40〜95モル%、けん化度50%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などがあげられる。
【0008】
ポリオレフィン樹脂をブレンドすると、EVOH(A)との組成物(C)の熱安定性が良好であり、フィルム等の成形加工時成形機の長時間運転によってもゲル、ブツの発生による耐ストレスクラック性の悪化を防止することができる。
【0009】
本発明において、EVOH(A)とはエチレン−ビニルエステル共重合体鹸化物であり、エチレン含有量はそれぞれ10〜80モル%、好適には20〜70モル%の範囲が、また鹸化度は80%以上、好適には85%以上から選ばれる。エチレン含有量が20モル%未満では溶融成形性が悪く、一方80モル%以上では、ガスバリアー性が不足する。また、鹸化度が80%未満では、ガスバリアー性および熱安定性が悪くなる。本発明においては、EVOH製造時に用いるビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとしてあげられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。
【0010】
また、EVOHに共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場合にも基材と該EVOHとの溶融粘性の整合性が改善され、均質な共押出多層フィルムの製造が可能なだけでなく、EVOH同士のブレンドに際し分散性が改善され成形性などの改善の面で有効である。
【0011】
ここで、ビニルシラン系化合物としては、たとえばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランが挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
【0012】
更に、本発明の目的が阻害されない範囲で、他の共単量体、例えばプロピレン、ブチレン、不飽和カルボン酸又はそのエステル{(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(メチル、エチル)など}、ビニルピロリドン(N−ビニルピロリドンなど)を共重合することも出来るし、さらに、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、ホウ素系化合物をブレンドすることもできる。特に、ゲル発生防止、成形性改善、クラック防止対策として、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなど)、あるいはホウ素系化合物の一種または二種以上を0.01〜1重量%添加する事は好適である。
【0013】
また、本発明に用いるEVOHの好適なメルトインデックス(MI)(190℃、2160g荷重下で測定した値;ただし、融点が190℃付近あるいは190℃を越えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、メルトインデックスを縦軸としてプロットし、190℃に外挿して求めた値)は0.1〜50g/10min.、最適には0.5〜20g/10min.である。
【0014】
ポリオレフィン樹脂(B)としては、ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレンとプロピレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸などとの共重合体、前記ポリオレフィンに、不飽和カルボン酸、その酸無水物、ビニルシラン系化合物、あるいはエポキシ基含有化合物を共重合あるいはグラフト重合してなる変性ポリオレフィン系樹脂であり、EVOH(A)との相溶性、分散性改善に有効な、酸無水物、ビニルシラン系化合物、あるいはエポキシ基含有化合物を共重合あるいはグラフト重合してなる変性ポリオレフィン系樹脂が好適であり、中でも酸無水物あるいはエポキシ基含有系が、また、樹脂としては、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体がより好適である。
【0015】
他のポリオレフィン樹脂(B)としては、エチレン含有量40〜95モル%、鹸化度50%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物が挙げられる。該エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物のエチレン含有量が40%以下の場合には耐ストレスクラック性の改善効果が十分でなく、一方95%以上ではEVOHとの相溶性の悪化による機械的強度の低下およびガソリンバリアー性が悪化する。一般的な傾向としてはエチレン含有量が低い事が望ましく好適には44〜90モル%である。また、鹸化度に関しては50%以下では熱安定性が悪く、また相溶性の面からも好ましくない。一般的な傾向としては鹸化度が低い事が望ましく好適には60%以上である。なおEVOH(A)のエチレン含有量よりも少なくとも5モル%、さらには10モル%大きいことが望ましい。
【0016】
ポリオレフィン樹脂(B)の配合量は、EVOH(A)100重量部に対して、5〜40重量部である。配合量が5重量部未満では耐ストレスクラック性の改善効果が十分でない。一方、40重量部をこえるとガソリンバリアー性が十分でない。
【0017】
本発明においては、前記(A)および(B)からなる組成物に、疎水性可塑剤(F)を配合することが必要である。ここで疎水性可塑剤(F)としては次の式を満足するものがより好適である。
6.5≧19−CH(A)×0.1−SP(F)≧1.5・・・・・・(i)
−1≦SP(F)−SP(B)≦3.5 ・・・・・(ii)
[但し、CH(A)はEVOH(A)の平均エチレン含有量(モル%)を、SP(F)は疎水性可塑剤(F)の溶解性パラメーター(Fedorsの式)を、SP(B)はポリオレフィン樹脂(B)の溶解性パラメーター(Fedrosの式)を示す。]
【0018】
疎水性可塑剤(F)添加による予想外の改善効果発現の原因は定かでは無いが、耐ストレスクラック性は疎水性可塑剤(F)添加により、ポリオレフィン樹脂(B)の添加量を大きく削減出来る事、すなわち、疎水性可塑剤(F)が溶解性(パラメーター)の関係でEVOH樹脂(A)側よりはポリオレフィン樹脂(B)に優先的に分配され、ポリオレフィン樹脂(B)の可塑化による耐ストレスクラック性の改善が計れたものと推定される。
【0019】
疎水性可塑剤(F)としては、芳香族エステル、脂肪族エステル、リン酸エステル、及びそれらのエポキシ化合物などが挙げられる。
【0020】
芳香族エステルとしては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルラウリルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ブチルココナッツアルキルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチレングリコレート、メチルフタリルエチレングリコレート、ブチルフタリルブチレングリコレート、ジノニルフタレート、オクチルデシルフタレート、ジカプリルフタレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)フタレート、イソオクチルイソデシルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジブトキシジエチルフタレート、ビス(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)フタレートなどが挙げられる。
【0021】
脂肪族エステルとしては、ポリプロピレンアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(2−メチルヘキシル)アジペート、ジカプリルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート、イソオクチルイソデシルアジペート、ジブチルフマレート、ジオクチルフマレート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリ(2−エチルヘキシル)シトレートなどがある。
【0022】
リン酸エステルとしては、トリクレシルフォスフェート、フェニルジクレシルフォスフェート、キシレニルジクレシルフォスヘート、クレシルジキシレニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリクロルエチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、アリルアルキルフォスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルフォスフェートなどがある。
【0023】
エポキシ系化合物としては、エポキシモノエステル、ブチルエポキシステアレート、オクチルエポキシステアレート、エポキシブチルオレエート、エポキシ化オレイン酸ブチル、エポキシ化ダイズ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化アルキルオイル、エポキシ化アルキルオイルアルコールエステルなどがある。
【0024】
中でもエポキシ化ダイズ油、エポキシ化アマニ油、ジ(2−メチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、メチルフタリルエチレングリコレートなどが好適に用いられる。
【0025】
EVOH(A)とポリオレフィン樹脂(B)との組成物に疎水性可塑剤(F)を配合した組成物の190℃、2160g荷重下におけるMIは0.1〜50g/10min.好適には、0.3〜30g/10min.である。
【0026】
前記(A)および(B)、さらにはこれに(F)をブレンドする方法に関しては、特に限定されるものではないが、EVOHと該熱可塑性樹脂をドライブレンドしてそのまま使用する、あるいはより好適にはバンバリミキサー、単軸又は二軸スクリュー押出機などでペレット化、乾燥する方法等がある。ブレンドが不均一であったり、またブレンドペレット化操作時にゲル、ブツの発生、混入があるとクラックが発生する可能性が大きい。従って、ブレンドペレット化操作時混練度の高い押出機を使用し、ホッパー口をN2シールし、低温で押出しする事が望ましい。また、ブレンドペレット化する際、他の添加剤(可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、ホウ素系化合物、他の樹脂など)を本発明の目的が阻害されない範囲で使用する事は自由である。特にゲル発生防止対策として、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(たとえば、ステアリン酸カルシウムなど)の一種または二種以上を0.01〜1重量%添加する事は好適である。
【0027】
本発明の燃料用パイプまたはタンクは、前記(A)および(B)に(F)を配合した組成物(C)の層を少なくとも1層有するものであるが、組成物(C)層に他の熱可塑性樹脂(D)層を積層したものが好適である。ガスバリアー性およびガソリンバリアー性を付与する組成物(C)層の厚みは5〜250μ、通常10〜100μの範囲から選ばれる。一方、内層および/または外層に使用する熱可塑性樹脂(D)は任意のものが採用され、特に制限はないが、目的によっては透湿性、耐熱性、ヒートシール性、などの点を配慮することにより優れたガソリンバリアー性の多層構造体を得る事が出来る。熱可塑性樹脂(D)としては、ポリプロピレン、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン樹脂および照射架橋したポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体鹸化物、エチレン−アクリル酸系共重合体、エチレン−メタクリル酸系共重合体、エチレン−アクリル酸エステル系共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル系共重合体などが挙げられ、中でも高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドが好適に用いられる。また両外層に使用する樹脂には前述したような酸化防止剤、着色剤、充填剤などの添加物を添加しても良い。
【0028】
本発明において組成物(C)と該熱可塑性樹脂(D)とを積層する場合、ストレスクラック性を向上させるために接着性樹脂(E)を使用することが好ましい。接着性樹脂(E)としては、組成物(C)層と該熱可塑性樹脂(D)層とを強固に接着するものであれば、特に限定されるものではないが、不飽和カルボン酸又はその無水物(無水マレイン酸など)をポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系重合体、あるいはエチレンとこれを共重合しうるモノマー(酢酸ビニル、アクリル酸エステルなど)との共重合体[たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステル、またはエチルエステル)共重合体]にグラフトしたものが好適に用いられる。
【0029】
多層構造体を得る方法としては、組成物(C)、熱可塑性樹脂(D)を接着性樹脂(E)を介して押出ラミネート法、ドライラミネート法、共押出ラミネート法、共押出成形法、共射出成形法、共押出インフレ成形法、溶液コート法などによりフィルム状、シート状、パイプ状、タンク(含ボトル)状構造体、とくに多層構造体を得る方法があげられる。この構造体を得る場合、構造体をEVOHの融点以下の範囲で再加熱し、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、あるいはインフレ延伸法、ブロー延伸法などにより一軸、あるいは二軸延伸することができる。また、該多層構造体に放射線、電子線、紫外線などを照射し、組成物(C)層、熱可塑性樹脂(D)層を架橋すること、あるいは押出成形時、化学架橋剤を添加し化学架橋することもできる。
【0030】
多層構造体の厚み構成に関しても、成形性およびコスト等を考慮した場合、全厚みに対するEVOH組成物層の厚み比率は2〜20%程度が好適である。中間層の組成物(C)層と両外層又は片外層にある熱可塑性樹脂(D)層との位置関係は、バリアー性及び耐ストレスクラック性に大きく影響し、タンクあるいはパイプの内側、すなわち、ガソリン等の燃料と接触している層を内層、また外気に触れる層を外層とした場合、組成物(C)層が内側に位置する程、耐ストレスクラック性は改善され、またガソリンの銘柄によってはバリアー性が悪化することがある。これとは逆に組成物(C)層が外層側に位置するほど耐ストレスクラック性は悪くなるもののガソリンバリアー性が良い場合がある。従って一般的には組成物(C)層が外層と内層との中央に位置しない構成を取る事が望ましい。また多層構造体の構成としては、EVOH組成物(C)層/接着性樹脂(E)層/熱可塑性樹脂(D)層、熱可塑性樹脂(D)層/接着性樹脂(E)層/EVOH組成物(C)層、熱可塑性樹脂(D)層/接着性樹脂(E)層/EVOH組成物(C)層/接着性樹脂(E)層/熱可塑性樹脂(D)層等が代表的なものしてあげられる。両外層にポリオレフィン樹脂層を設ける場合は、該樹脂が異なっていてもよいし、また同じものでもよい。また成形時発生するトリムなどのスクラップを熱可塑性樹脂層にブレンドしたり、別途回収層をもうけて再使用される場合も多い。
【0031】
ここで燃料用パイプとは、ガソリン供給用のパイプ、自動車に使用されるガソリン移送用のパイプ、石油供給用のパイプ、石油ストーブに使用される石油移送用のパイプなどを意味し、また燃料用タンクとはガソリン貯蔵タンク、貯蔵ボトル、自動車に用いられるガソリンタンク、石油貯蔵タンク、貯蔵ボトル、石油ストーブに用いられる貯蔵タンクなどを意味する。
【0032】
またこれらのパイプまたはタンクは、前記したとおり、共押出法、共射出法などにより得られるが、フィルム状物、シート状物を得、これを使用してパイプまたはタンクを得ることもできる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
実施例1
エチレン含有量27モル%、けん化度99.5%、メルトインデックス(MI190℃、2160g荷重)1.5g/10min.のEVOH(A)100重量部とポリオレフィン樹脂(B)としてGMA(グリシジルメタアクリレート)変性HDPE(高密度ポリエチレン、SP(B)=8.6)10重量部を、また疎水性可塑剤(F)としてGMS(グリセリンモノステアレート、SP(F)=10.2)4重量部を二軸スクリュータイプ、ベント式40Φ押出機に入れ、N2雰囲気下、200℃で押出しペレット化を行った。得られた樹脂(C)の融粘性指数(MI)は1g/10min.であった。該ペレットを単層フィルム成形装置に投入し100μのフィルムを得、JISダンベル3号を用いて10%引張伸度付加のもと、40℃ガソリン(市販レギュラーガソリン)に3時間浸漬しストレスクラック性の評価を行ったがクラックは認められなかった。また、該ペレットを用いて3種5層共押出多層ダイレクトブロー装置にかけ、多層容器を作成した。シートの構成は両最外層高密度ポリエチレン樹脂層(三井石油化学(株)製 ハイゼックスHZ8200B)が各850μまた接着性樹脂層(三井石油化学 アドマーNF450A)が各100μ、さらに最内層中央には上記EVOH組成物(C)層100μである。得られた容器にガソリンを充填し40℃−65%RH条件下で1年間放置したがクラック、ガソリンバリアー性の悪化は認められなかった。加速試験として、該容器の胴部を切取り、上記単層フィルムと同様にJISダンベル3号を用いて10%引張伸度付加のもと、40℃ガソリンに3時間浸漬しストレスクラック性の評価を行ったがクラックは認められなかった。また、該容器のガソリンバリアー性は0.020g/m2.dayであった。
【0035】
実施例2
実施例1で用いたポリオレフィン樹脂(B)に代えてHDPE(高密度ポリエチレン、SP(B)=8.6)を用い、市販レギュラーガソリンに代えてRef−Cガソリンを用いて実施例1により製造した単層フィルム及び多層容器のストレスクラック性ならびにガソリンバリアー性を測定した。その結果を表1に示す。
【0036】
実施例3
実施例1で用いたポリオレフィン樹脂(B)に代えて無水マレイン酸変性HDPE(高密度ポリエチレン、SP(B)=8.6)を、また疎水性可塑剤(F)としてGMSの代わりにジエチルフタレート(DEP、SP(F)=10.5)を用い、さらに、市販レギュラーガソリンの代わりにRef−Cガソリンを用いて実施例1の操作を繰り返した。その結果を表1に示す。
【0037】
実施例4
実施例1で用いたポリオレフィン樹脂(B)に代えてSi変性エチレン−プロピレン共重合体(SP(B)=8.4)を用い、また疎水性可塑剤(F)としてGMSの代りにDEPを用い、さらに市販レギュラーガソリンに代えてMTBE15ガソリンを用いて実施例1の操作を繰り返した。その結果を表1に示す。
【0038】
実施例5
実施例1で用いたEVOH組成物(C)を用いて4種5層共押出多層パイプ成形装置にかけ、多層パイプを作成した。パイプの構成は最外層12ポリアミド(宇部興産(株)UBEナイロン3020μ)が450μ、次に、接着性樹脂層が各50μ、さらに6ポリアミド(東レ(株)製アミランCM1046)100μ、上記EVOH組成物(C)層150μであり、最内層が6ポリアミド(東レ(株)製アミランCM1046)250μである。得られたパイプの末端に金属製金具を取付け、R(半径)=30cmでループ状に巻き、ガソリン(M−15)を充填し40℃−65%RH条件下で1年間放置したがクラック、ガソリンバリアー性の悪化は認められなかった。加速試験として、該パイプの胴部を輪切りにし、10%引張伸度が付加出来るように、パイプ内径周囲長さより10%長い外周径を持つ円柱状の治具で輪切りパイプを押し広げ(10%引張伸度付加)、40℃M−15ガソリンに3時間浸漬しストレスクラック性の評価を行ったが、クラックは認められなかった。また、該パイプのガソリンバリアー性は0.2g/m2・dayであった。
【0039】
比較例1
実施例1に用いたEVOH(A)を二軸スクリュータイプ、ベント式40Φの押出機を用いてペレットを製造し、このペレットを実施例1と同様の方法で100μの単層フィルムを製造した。またこのペレットを用いて実施例1と同様3種5層共押出ダイレクトブロー装置により多層容器を製造した。この単層フィルム及び多層容器について実施例2と同様Ref−C混合ガソリンに対するストレスクラック性及びガソリンバリアー性について測定した結果を表1に示した。
【0040】
比較例2
実施例1で使用した疎水性可塑剤(F)に代えて親水性可塑剤であるグリセリン(Gly、SP(F)=16.4)を用いて実施例1の操作を繰り返した。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
(註)表1中の符号は次の通りである。
(1)ポリオレフィン樹脂(B)の銘柄
A グリシジルメタアクリレート変性HDPE(高密度ポリエチレン)
B マレイン酸変性HDPE
C シリコン(Si)変性エチレンプロピレン共重合体
D HDPE(高密度ポリエチレン)
(2)疎水性可塑剤(F)の銘柄
GMS グリセリンモノステアレート
DEP ジエチルフタレート
Gly グリセリン(親水性可塑剤)
(3)多層構造体を構成する熱可塑性樹脂の銘柄
HDPE 三井石油化学(株)製 ハイゼックスHZ8200B
6PA 東レ(株)製 アラミンCM1046
12PA 宇部興産(株)製 UBEナイロン30200
AD−1 三井石油化学(株)製 アドマーNF450A
AD−2 三井石油化学(株)製 アドマーVF500
(4)ガソリンの銘柄
ガソリン 市販レギュラーガソリン
Ref−C トルエン(50容量%)+イソオクタン(50容量%)
M−15 Ref−C(85容量%)+メタノール(15容量%)
MTBE15 Ref−C(85容量%)+メチル−t−ブチルエーテル(15容量%)
【0043】
【発明の効果】
このようにして得られた本発明の燃料用パイプまたはタンクは、ガソリンに対する耐ストレスクラック性が優れており、かつガソリンバリアー性が良好で、さらにガスバリアー性、保香性あるいは耐有機溶剤性が優れている。
Claims (8)
- エチレン含有量10〜80モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対し、ポリオレフィン樹脂(B)5〜40重量部を配合し、さらに疎水性可塑剤(F)を配合してなる組成物(C)層を少なくとも一層有する燃料用パイプ。
- エチレン含有量10〜80モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対し、ポリオレフィン樹脂(B)5〜40重量部を配合し、さらに疎水性可塑剤(F)を配合してなる組成物(C)層と熱可塑性樹脂(D)層とを接着性樹脂(E)層を介して積層した多層構造体よりなる燃料用パイプ。
- 燃料が含酸素ガソリンである請求項1または2に記載の燃料用パイプ。
- エチレン含有量10〜80モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対し、ポリオレフィン樹脂(B)5〜40重量部を配合し、さらに疎水性可塑剤(F)を配合してなる組成物(C)層と、熱可塑性樹脂(D)層とを接着性樹脂(E)層を介して積層した多層構造体を得るにあたり、(C)、(D)および(E)を多層共押出成形することを特徴とする燃料用パイプの製造方法。
- エチレン含有量10〜80モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対し、ポリオレフィン樹脂(B)5〜40重量部を配合し、さらに疎水性可塑剤(F)を配合してなる組成物(C)層を少なくとも一層有する燃料用タンク。
- エチレン含有量10〜80モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対し、ポリオレフィン樹脂(B)5〜40重量部を配合し、さらに疎水性可塑剤(F)を配合してなる組成物(C)層と熱可塑性樹脂(D)層とを接着性樹脂(E)層を介して積層した多層構造体よりなる燃料用タンク。
- 燃料が含酸素ガソリンである請求項5または6に記載の燃料用タンク。
- エチレン含有量10〜80モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対し、ポリオレフィン樹脂(B)5〜40重量部を配合し、さらに疎水性可塑剤(F)を配合してなる組成物(C)層と、熱可塑性樹脂(D)層とを接着性樹脂(E)層を介して積層した多層構造体を得るにあたり、(C)、(D)および(E)を多層共押出成形することを特徴とする燃料用タンクの製造方法。
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