JP3651069B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は自動変速機付車両の変速ショック軽減を目的とした自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動変速機付車両では、ライン圧により各種摩擦要素(クラッチやブレーキ等)を選択的に油圧作動させて所定の変速段数を選択し、作動する摩擦要素の変更により他の変速段への変速を行っている。しかしこの変速時には、変速ギヤ比の変化に伴う変速ショックが生じるのを免れない。
【0003】
この変速ショックを軽減するための従来技術として、例えば、特開平2−38748号公報に記載されたものが提案されている。
【0004】
これによれば、自動変速機の出力回転数に変速後のギヤ比を乗じて擬似入力回転数を求め、更にこの擬似入力回転数とエンジンの出力回転数との比で示されるトルクコンバータの擬似速度比を演算し、変速検知手段により、変速開始をエンジン回転数の落下にて検出し、前記トルクコンバータの擬似速度比が予め定めた設定値になった時を変速終了時とみなして、この間を変速時間として計測して、計測した変速時間が目標時間となるよう変速中のライン圧を学習制御することにより、変速ショックを軽減しようとするものである。
【0005】
そして、上述した従来の制御装置では、エンジン回転数Neが変速機の変速直前のエンジン回転数の最大値NeS からエンジン落下判定定数δ以上低下したか否かによって、変速の開始か否かを判定するようになっており、このエンジン落下判定定数δは、スロットル開度によるエンジン負荷やエンジン回転数に関係なく固定値として与えるように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このエンジン落下判定定数δを、エンジン負荷やエンジン回転数に関係なく固定値とした場合、次のような問題が発生する。
【0007】
i)エンジン落下判定定数δの値を大きくすると、エンジン負荷が小さい低スロットル開度(低TVO)の時に、変速の開始検出が遅れ、実際の変速時間を正確に検出することができない。結果として、誤った変速時間を学習制御することになる。
【0008】
ii)エンジン落下判定定数δの値を小さくすると、エンジン負荷が大きい高スロットル開度(高TVO)の時の、ノッキング制御等の点火時期リタードによりエンジン回転数が変動した場合でも、変速開始を誤判定し、誤った変速時間を学習することになる。
【0009】
以下、その理由を図8および図9に基づいて詳細に説明する。
【0010】
まず、図8は、エンジン低負荷時及び高負荷時における変速中のエンジン回転数および出力回転数の変化状態を示すタイムチャートである。ここで、変速開始検出に用いるエンジン落下判定定数δを固定値にし、エンジン低負荷および高負荷時での実際の変速時間が同じであるとした場合には、高負荷時に対し低負荷時は変速前後のエンジンの回転数差が小さいため低負荷では変速の開始が高負荷に対して遅くなる。
【0011】
このため、変速時間を正確に検出することができず、誤った変速時間を学習制御することになり、変速ショック軽減することができなくなる。
【0012】
また、図9はエンジン回転数をベースにして、点火時期リタード変化量とエンジン回転数の変化量との関係を示している。
【0013】
これによれば、例えば、リタード変化量を5度にするとエンジンが2,000 回転の場合で15回転変動するが、5,000 回転では、同じリタード量でも倍の30回転以上変動してしまう。
【0014】
この結果、エンジン落下判定定数δを、エンジンの低回転時(低負荷時)に合わせて小さくした場合、逆にエンジンの高回転時(高負荷時)において、ノッキング制御等のための点火時期リタードによりエンジン回転数が変化した場合も、変速開始と誤って判定し、誤った変速時間を学習制御することとなってしまう。
【0015】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、自動変速機における実際の変速時間を正確に検出して、変速時の変速ショックを軽減することを目的とした自動変速機の制御装置を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は、エンジン回転数検出手段と、変速機出力軸回転数検出手段と、 エンジン負荷を検出する手段と、エンジン回転数が低下し始めてエンジン回転落下判定定数以上低下した時に、変速開始を検出する変速開始検出手段と、変速機出力軸回転数に変速後のギヤ比を乗じて求めた擬似入力回転数とエンジン回転数との比で表されるトルクコンバータ擬似速度比、又はエンジン回転数が、エンジン負荷に応じて予め定めた設定値になった時に変速終了を判定する変速終了判定手段と、前記変速開始検出手段により変速開始が検出されてから前記変速終了判定手段により変速の終了を判定するまでの間を変速時間として検出する変速検知手段と、この変速検知手段により検出した変速時間が目標変速時間になるよう変速機のライン圧を学習制御するライン圧学習制御手段とを有する自動変速機の制御装置において、
少なくとも変速機への変速指令から前記変速開始までのエンジンの点火時期リタード量を検出する点火時期リタード量検出手段と、第1の基準リタード量を設定する第1基準リタード量設定手段と、第2の基準リタード量を設定する第2の基準リタード量設定手段と、検出された点火時期リタード量が、前記第1の基準リタード量設定手段より設定された第1の基準リタード量より大きく、かつ、前記第2の基準リタード量設定手段により設定された第2の基準リタード量以下のとき前記点火時期リタード量に応じてエンジン回転落下判定定数を補正する手段を備えており、更に、前記検出された点火時期リタード量が前記第2の基準リタード量より大きいとき、前記ライン圧学習制御手段の学習制御を禁止する学習制御禁止手段を備えている。
【0017】
【作用】
このような構成に基づいて、本発明によれば変速開始前の点火時期リタード量が第1の基準リタード量より大きく、第2の基準リタード量以下のとき、エンジン回転落下判定用定数δが、点火時期リタード量に応じて補正される結果、変速開始時期を正確に検出して、エンジン負荷全域において変速ショックを確実に軽減することが可能となる。
【0018】
また変速開始前の点火時期リタード量が第2の基準リタード量以上で誤検出につながるような点火時期リタードの発生時は、自動変速機の変速時間の学習制御を禁止することによって、学習制御の品質向上が図られ、確実に変速ショックを軽減することが可能になった。
【0019】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1(1)は本発明による自動変速機の制御装置を説明するブロック図、図1(2)は図1(1)の全体構成を説明するシステム図であり、図1(2)において、1はエンジン、2は自動変速機、3はエンジン制御コンピュータ、4は自動変速機制御コンピュータをそれぞれ示している。エンジン1の動力は、トルクコンバータ5を経て自動変速機2に入力され、自動変速機2は自動変速機制御コンピュータ4より出力された変速制御信号により選択変速段数に応じたギヤ比で動力を出力軸6に伝え、車両を走行させる。
【0021】
エンジン1は多気筒エンジンで、各気筒の点火プラグには、エンジン制御コンピュータ3からの点火信号により点火電流が供給されるようになっており、エンジン制御コンピュータ3は、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ7(エンジン負荷検出手段)からのスロットル開度信号およびアイドルSW信号、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ8(エンジン回転数検出手段)からのエンジン回転信号、車両の速度を検出する出力軸回転数センサ9(変速機出力軸回転数検出手段)からの出力軸回転信号、及びエンジン制御コンピュータ3と自動変速機制御コンピュータ4との間で点火時期リタード信号などの総合制御が行われるデューティ信号などに基づいて、エンジン1の点火信号を演算した後、この点火信号によりエンジン1の運転を可能にしている。
【0022】
また、自動変速機制御コンピュータ4は、スロットル開度センサ7からのスロットル開度信号およびアイドルSW信号、エンジン回転数センサ8からのエンジン回転数信号、出力軸回転数センサ9からの出力軸回転数信号、及びエンジン制御コンピュータ3と自動変速機制御コンピュータ4との間で点火時期リタード信号などの総合制御が行われるデューティ信号などに基づいて、自動変速機2の変速制御信号を演算した後、この変速制御信号により自動変速機2に備えている変速制御用コントロールバルブ10を制御するようになっている。
【0023】
次いで、上述した自動変速機の制御装置を、図1(1)に示したブロック図に基づいて説明する。まず、エンジン制御コンピュータ3のリタード信号がリタード量を検出するリタード量検出手段11に入力され、ここで検出されたリタード量の検出信号に基づいて、基準リタード量設定手段18により基準リタード量を設定し、この基準リタード量信号がエンジン回転落下判定定数補正手段12を介して変速開始検出手段13に入力されている。そして変速開始検出手段により算出された変速開始信号が変速時間検出手段14およびトルクコンバータのライン圧補正を行うライン圧学習制御手段または学習制御禁止手段17に入力されている。
【0024】
一方、エンジン回転数信号、変速後のギヤ比および出力軸回転数信号がトルクコンバータ擬似速度比算出手段15に入力され、このトルクコンバータ擬似速度比算出手段15から変速終了判定手段16を介して算出された変速終了信号が変速時間検出手段14に入力される。そして、変速時間検出手段14では、変速開始判定手段13から入力された変速開始信号と、変速終了判定手段16から入力された変速終了信号とにより変速時間が算出され、この変速時間がトルクコンバータのライン圧補正手段である学習制御手段または学習制御禁止手段17に入力される。上記ライン圧学習制御手段または学習制御禁止手段17では目標変速時間に応じてライン圧補正量を所定値だけアップ・ダウンさせることにより学習制御補正を実施している。
【0025】
図2(a)および図2(b)は、本発明による自動変速機の制御装置が実行するメインのフローチャートと、変速時間の学習制御用フローチャートであり、変速によってエンジン回転数が低下するアップシフト変速時の変速時間(イナーシャフェーズ時間)検出及び学習制御について示しており、例えば10ms毎にこれらの演算が行われるものである。
【0026】
まずステップ21で、エンジン回転数センサ8、スロットル開度センサ7および出力軸回転数センサ9によって、現時点でのエンジン回転数Ne 、出力軸回転数N0 、車速Vsp、スロットル開度Tvo、アイドルSW Idle Sw などの基本的物理量を読み込みステップ22に進む。なお、ここで各パラメータの算出方法は一般的にコンピュータで計測される方法に準じるものであり、詳細説明は省略する。ステップ22では、変速開始判定手段13が予め設定したシフトパターンに従い、現時点でのスロットル開度Tvoと車速Vspからギヤ位置を決定して変速判定を行い、ステップ23にて、アップシフトか否かを判定する。アップシフトでなければステップ24により変速開始検出用エンジン回転数NeS、変速時間検出タイマーTimer、変速時間検出結果に伴う学習制御判定(実施または禁止の判定)フラグFlag 、最大リタード量格納変数rmax 、変速開始(エンジン回転数落下判定)検出終了判定フラグIp SFlag をクリア(0にする)して、今後のシフトアップ変速に備える。
【0027】
ステップ23で、アップシフト変速と判定された場合は、ステップ25にて、エンジン回転数落下判定定数δの補正または学習禁止判定を行いステップ26に進むが、ここでステップ25によるエンジン回転数落下判定定数δの補正または学習禁止判定には、図4に示した第1の実施例と図5に示した第2の実施例による方法があるので、後で詳細に説明する。
【0028】
ステップ26にて変速開始検出手段13により変速が開始(イナーシャフェーズが開始)したか否かを判定する。基本的には自動変速機2への変速指令後アップシフト変速を開始すると、それまではエンジン回転が上昇していたものが変速後のエンジン回転に向かって落下するので、それを検出している。つまり、エンジン回転Ne >NeSならば、エンジン回転はまだ上昇中と判断し、ステップ27にてNeSを更新(NeS←Ne )して終了する。この結果NeSはその変速時の最大エンジン回転数を検出する役割となる。また、ステップ26でエンジン回転Ne >NeSでないならば、ステップ28へ進み、次に変速が開始したか否かを判定する。すなわち、ここでは、誤判定を避けるために、(NeS−Ne )≧δ(エンジン回転数落下判定定数)となったかを判定する。そして、最大エンジン回転数NeSからδ回転数以上低下したことをもって変速開始と判断している。
【0029】
ステップ28で変速開始と判断した場合、ステップ29にて変速開始検出終了判定フラグIp SFlag をセット(Ip SFlag ←1)する。このフラグIp SFlag は、点火時期リタード量の検出(=定数δ補正または学習禁止判定)を変速指令から変速開始検出までの間だけ行うために設けたものである。従ってIp SFlag をセットしたら、ステップ30にて変速時間タイマーTimerのインクリメント(Timer←Timer+1)を行う(ここで変速時間=イナーシャフェーズ時間=タイマー値×演算周期である)。
【0030】
次に変速終了判定を行うために、トルクコンバータ擬似速度比算出手段15が変速終了の判定を行うためのトルクコンバータ擬似速度比の判定を行うものであり、まず始めに、ステップ31にて変速終了時のトルクコンバータ擬似速度比設定値e0(スライスレベル)を、出力軸回転数とスロットル開度との関係を示した2次元テーブルを参照して検索する。
この2次元テーブルは、変速の種類毎に、例えば、1速→2速へ変速、2速→3速へ変速毎に設定されるものとする。
そして、ステップ32に進み、ここで、出力軸回転数No に変速後ギヤ比を乗じ、エンジン回転数Ne で割ってトルクコンバータ擬似速度比eを求めた後、ステップ33にて、変速終了判定手段16がe≧e0となったか否かを判断する。
ここで、e≧e0の場合は変速終了と判断し、ステップ34にて、変速時間検出手段14が検出した変速時間に基づく学習制御を図 2 (b)の学習制御フローチャートにより行う。
なお、これによりアップシフト変速での変速時間検出が終了し、次回演算ではステップ23でアップシフト変速中とはみなされず、この演算が繰り返されることはない。
【0031】
次いで、図2(b)により学習制御フローチャートについて説明する。
まず、ステップ41により、学習制御又は学習制御禁止手段17は変速の種類(例えば1速→2速へ変速、2速→3速へ変速等)、及びスロットル開度に応じて予め設定した目標変速時間(イナーシャフェーズ目標時間)を算出する。
そしてステップ42により、この目標変速時間と今回計測した変速時間を比較する。
この目標変速時間に対して変速時間が大きければステップ44にてライン圧補正量を所定値だけアップさせ、目標変速時間に対して変速時間が小さければステップ43にてライン圧補正量を所定値ダウンさせるなどの従来から行われている学習制御補正を実施している。
【0032】
なお、ここでは、変速時のライン圧制御については詳述していないが、基本的には変速に応じて最適なライン圧(各種摩擦要素に最適な供給油圧)が与えられるものとし、それに対して上述したような学習制御による油圧補正が行われるものとする。
【0033】
一方、図4は、エンジン回転数落下判定定数δ補正または学習禁止判定を行うための第 1の実施例を示した学習制御フローチャートである。
この実施例では、まず始めにステップ61にて学習制御判定(実施または禁止判定)用フラグFlag のチェックを行う。
ここで、Flag =1の場合は、規定値より大きい点火時期リタードが発生したと判断し、学習制御を禁止して終了する。
また、Flag =1でない場合は、ステップ62に進み、変速開始検出終了判定用フラグIp SFlag のチェックが行われる。
ここで、Ip SFlag =1の場合は、変速開始検出は終了したものと判断して、リタード量の検出は行わずステップ73へ進む。
【0034】
また、Ip SFlag =1でない場合は、ステップ63にてリタード量r1を読み込み、次のステップ64にて、図7(a)に示した1次元テーブルから、エンジン回転数又はエンジン負荷(例えばスロットル開度)に基づき、検出判定用基準リタードr2を検索する。
【0035】
次にステップ65にて、ステップ63で読み込んだリタード値r1とステップ64にて検索した第1の基準リタード値r2を用いてエンジン回転落下誤検出の有無を判定する。そして、r1>r2でない場合は、誤検出の発生はないと判断し、ステップ73へ進み、図2(a)のメインフローにおけるステップ26以降と同様に変速時間検出及び学習制御を実施する。
【0036】
また、r1>r2の場合は、誤検出発生と判定し、ステップ66に進み、図7(b)に示した1次元テーブルから、エンジン回転数又はエンジン負荷(例えばスロットル開度)に基づき、定数δ補正又は学習制御禁止判定用の第2の基準リタード値r3を検索する。この第2の基準リタード値r3は、各エンジン回転(又はエンジン負荷)において、定数δの補正限界を基準に設定されたものであり、補正を大きくし過ぎると変速開始検出が実際の変速開始に対して遅れ、変速時間を正確に検出できない。したがって、補正限界を基準値として、それ以上の点火時期リタードが発生した場合には、学習制御を禁止するようにしている。
【0037】
次に、基準リタード値r3を検索した後、ステップ67にて定数δの補正か、又は学習禁止かの判定を行い、r1>r3の場合は補正限界以上のリタード発生と判断し、ステップ68にて学習制御禁止フラグFlag をセット(Flag ←1)して終了する。また、r1>r3でない場合は、ステップ69にて、今回検出したリタード量の大きさを判定する。すなわち、変速決定から前回までに検出したリタード量の最大値との比較を行い、rmax <r1でない場合は終了し、rmax<r1の場合はステップ70に進み、rmax を更新(rmax ←r1)する。
【0038】
次に、ステップ71に進み、エンジン回転又はエンジン負荷(例えばスロットル開度)と点火時期リタード値r1からなる図7(c)の2次元マップより定数δを補正するための補正量Δδが検索される。そして補正量Δδが検索されると、ステップ72に進み、定数δの補正(δ=δ+Δδ)を行い、ステップ73へ進み、図2(a)のメインフローにおけるステップ26以降と同様に変速時間検出及び学習制御を実施する。
【0039】
図5は、エンジンのリタード量が規定値より大きい場合に学習制御を禁止する判定を行うための第2の実施例を示す学習制御フローチャートである。
図において、まず始めに、ステップ51にてライン圧学習制御判定(実施または禁止判定)用フラグFlag のチェックを行う。
このフラグFlag は後述するが、点火時期リタード量が規定値より大きい場合に学習制御を禁止するために設けたものである。
【0040】
ここで、Flag =1の場合は、規定値より大きい点火時期リタードが発生したと判断し、学習制御又は学習制御禁止手段17が学習制御を禁止して終了する。また、Flag =1でない場合は、ステップ52に進み、変速開始検出終了判定用フラグIp SFlag のチェックが行われる。この変速開始検出終了判定用フラグIp SFlag は、図2(a)のメインフローの説明でも詳述したように、点火時期リタード量の検出(=定数δ補正または学習禁止判定)を変速指令から変速開始検出までの間だけ行うために設けたものである。ここで、Ip SFlag =1の場合は、変速開始検出は終了したものと判断して、リタード量の検出は行わずステップ57へ進む。
【0041】
また、Ip SFlag =1でない場合は、ステップ53にてリタード量r1を読み込み、次のステップ54にて、図6に示した1次元テーブルから、エンジン回転数又はエンジン負荷(例えばスロットル開度)に基づき、検出判定用の第1の基準リタードr2を検索する。ここで検索される第1の基準リタード値r2は、エンジン落下判定に用いる定数δを基に設定されたものであって、各エンジン回転(又はエンジン負荷)において、定数δにおいて誤判定が発生する点火時期リタード値(限界値)を設定したものである。
【0042】
次にステップ55にて、ステップ53で読み込んだリタード値r1とステップ54にて検索した基準リタード値r2を用いてエンジン回転落下誤検出の有無を判定する。そしてr1>r2の場合は、誤検出発生と判定し、ステップ56にて学習禁止フラグFlag をセット(Flag ←1)して終了する。また、r1>r2でない場合は、誤検出の発生はないと判断し、ステップ57へ進み、図2(a)のメインフローにおけるステップ26以降と同様に変速時間検出及び学習制御を実施する。
【0043】
なお、本発明による制御装置では、エンジン回転数の算出を点火信号を用いた周期計測方式により説明したが、周波数計測方式によっても同様の作用効果を得ることが可能である。また、変速終了をトルクコンバータ擬似速度比を用いて判定したが、これに限るものでなく、変速後のエンジン回転数を用いて判定するようにしても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明による自動変速機の制御装置では、エンジン回転落下判定用定数である変速開始検出の定数δがエンジン負荷およびエンジン回転数との関連において決定される点火時期リタード量に応じて補正される結果、エンジン負荷全域において変速ショックを確実に軽減することが可能となり、また、誤検出につながるような点火時期リタードの発生時は、自動変速機の変速時間の学習禁止をするようにしたので、変速時間をより正確に検出することが可能になる。
【0045】
したがって、学習制御の品質向上が図られ、確実に変速ショックを軽減することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)は本発明による自動変速機の制御装置を説明するブロック図、(2)は(1)の全体構成を説明するシステム図である。
【図2】図2(a)は本発明による自動変速機の制御装置が実行するメインのフローチャートであり、図2(b)は変速時間の学習制御用フローチャートである。
【図3】本発明による出力軸回転数とスロットル開度との関係を示した2次元テーブルである。
【図4】 エンジンのリタード量が規定値より大きい場合に、エンジン回転数落下判定定数補正または学習制御を禁止する判定を行うための第1の実施例を示す学習制御フローチャートである。
【図5】 エンジンのリタード量が規定値より大きい場合に、エンジン回転数落下判定定数補正または学習制御を禁止する判定を行うための第2の実施例を示す学習制御フローチャートである。
【図6】エンジン回転数又はエンジン負荷に基づき、検出判定用基準リタードを検索する1次元テーブルである。
【図7】図7(a)はエンジン回転数又はエンジン負荷に基づき、検出判定用基準リタードを検索する1次元テーブル、図7(b)は定数δ補正又は学習制御禁止判定用基準リタード値を検索する1次元テーブル、図7(c)はエンジン回転落下判定定数を補正するための補正量を検索する2次元テーブルである。
【図8】従来の自動変速機でエンジン低負荷時及び高負荷時における変速中のエンジン回転数、擬似速度比の変化状態、変速機の出力回転数などの変化状態を示すタイムチャートである。
【図9】従来のエンジン回転数をベースにした点火時期リタード変化量とエンジン回転数の変化量との関係を示した説明図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 エンジン制御コンピュータ
4 自動変速機制御コンピュータ
5 トルクコンバータ
6 出力軸
7 スロットル開度センサ(エンジン負荷を検出する手段)
8 エンジン回転センサ(エンジン回転数検出手段)
9 出力軸回転センサ(変速機出力軸回転数検出手段)
12 エンジン回転落下判定定数補正手段
17 ライン圧学習制御手段又は学習制御禁止手段
Claims (2)
- エンジン回転数検出手段と、変速機出力軸回転数検出手段と、 エンジン負荷を検出する手段と、エンジン回転数が低下し始めてエンジン回転落下判定定数以上低下した時に、変速開始を検出する変速開始検出手段と、変速機出力軸回転数に変速後のギヤ比を乗じて求めた擬似入力回転数とエンジン回転数との比で表されるトルクコンバータ擬似速度比、又はエンジン回転数が、エンジン負荷に応じて予め定めた設定値になった時に変速終了を判定する変速終了判定手段と、前記変速開始検出手段により変速開始が検出されてから前記変速終了判定手段により変速の終了を判定するまでの間を変速時間として検出する変速検知手段と、この変速検知手段により検出した変速時間が目標変速時間になるよう変速機のライン圧を学習制御するライン圧学習制御手段とを有する自動変速機の制御装置において、
少なくとも変速機への変速指令から前記変速開始までのエンジンの点火時期リタード量を検出する点火時期リタード量検出手段と、第1の基準リタード量を設定する第1基準リタード量設定手段と、第2の基準リタード量を設定する第2の基準リタード量設定手段と、検出された点火時期リタード量が、前記第1の基準リタード量設定手段より設定された第1の基準リタード量より大きく、かつ、前記第2の基準リタード量設定手段により設定された第2の基準リタード量以下のとき前記点火時期リタード量に応じてエンジン回転落下判定定数を補正する手段を備えたことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1において、前記検出された点火時期リタード量が前記第2の基準リタード量より大きいとき、前記ライン圧学習制御手段の学習制御を禁止する学習制御禁止手段を備えたことを特徴とする自動変速機の制御装置。
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