JP3655464B2 - ポリマーフィルムとその製造方法並びに積層体 - Google Patents
ポリマーフィルムとその製造方法並びに積層体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3655464B2 JP3655464B2 JP10119698A JP10119698A JP3655464B2 JP 3655464 B2 JP3655464 B2 JP 3655464B2 JP 10119698 A JP10119698 A JP 10119698A JP 10119698 A JP10119698 A JP 10119698A JP 3655464 B2 JP3655464 B2 JP 3655464B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- temperature
- heat treatment
- polymer
- polymer film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Polyamides (AREA)
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的異方性の溶融相を形成し得るポリマー(以下、これを「液晶ポリマー」と称することがある)からなるフィルムとその製造方法並びにそのフィルムに被着体が熱圧着されてなる積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子・電気工業分野において機器の小型化・軽量化の要求から、FPC(フレキシブルプリント配線板)の需要が増大しつつある。このFPCの一般的な製法は、基材フィルムの少なくとも一方の面に銅箔等の金属箔を積層した後、電気回路を形成する。基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が多用されている。しかし、これらフィルムは耐熱性が悪いので、FPCへの部品実装時に、該FPCをハンダ浴へ浸漬するような場合に不都合を招く。そこで、耐熱性に優れた液晶ポリマーからなるフィルムが基材フィルムとして注目されている。
【0003】
ところで、液晶ポリマーは一般に高い耐熱性(融点)を有しているため、フィルム化するとき、その成形温度を高くする必要があって、多大のエネルギーを必要とする。また液晶ポリマーの中には、比較的低い温度で成形できるものもあるが、それから得られたフィルムは耐熱性が低くなるので、耐熱基材としての使用は困難である。そこで、成形温度の低い液晶ポリマーを用いてフィルムを成形した後、該フィルムをそのポリマー融点Tm 以下の温度で、窒素雰囲気中で熱処理することにより、フィルムの耐熱性を向上させる方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
液晶ポリマーからなるフィルムは、高強力と高弾性率を有し、また耐熱性、耐薬品性等にも優れた性能を有している。しかし、実用に耐え得る十分な耐熱性を得るためには、窒素雰囲気下で長時間にわたって熱処理する必要があるので、エネルギー消費量が大となり、また窒素ガスの使用量が多くなってコストアップとなる。しかも、得られたフィルムは、剛直な分子が高度に配向しているため、硬く、またフィブリル化(擦ったときに生じる毛羽立ち現象)が発生し易く、耐摩耗性にも劣るという問題がある。
【0005】
本発明者等は、以上のような優れた特長を有する液晶ポリマーフィルムについて研究を行った結果、次のことが判明した。つまり、窒素ガスを使用する代わりに空気のような安価な活性ガスを使用すれば、設備およびユーティリティの面でも非常に大きなコストダウンになり、しかも活性ガス中で熱処理することにより、酸化反応に基づく架橋反応等がフィルム表面で起こって、フィブリル化の起こり難いフィルムが得られる。しかし、活性ガス中で熱処理すれば、フィルムの変色(劣化)や強度の頭打ち現象が起こり、長時間処理しても、目的とする高耐熱高強度フィルムが得られない場合が多い。そこで、更に研究を重ねた結果、液晶ポリマーのフィルム成形方法に改良を加え、かつフィルムを特殊な条件下で熱処理することにより、上記問題を解決できることを見出した。
しかして、本発明の目的は、低コストで製造可能で、高度の耐熱性や強度を保持し、かつフィブリル化が起こり難く、耐摩耗性に優れた液晶ポリマーフィルムの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のポリマーフィルムの製造方法は、光学的異方性の溶融相を形成し得るポリマーを、該ポリマーの流れ開始温度Tflowより10℃以上高い温度で、かつ剪断速度が500sec-1以上となるような条件下でダイから製膜し、この製膜したフィルムを、示差走査熱量計により窒素雰囲気中5℃/分の昇温速度で測定した時の処理中におけるフィルムの融解ピーク温度TA が、該フィルムの熱処理前の融点Tm より10℃高い温度に到達するまで、該フィルムの強度が初期値の1.3倍を越えないように不活性雰囲気下でかつ前記融点T m よりも低い温度で熱処理し、その後活性雰囲気下で更に前記融解ピーク温度TAが前記融点Tmよりも10℃以上高くなるように熱処理することにより行なわれる。
【0007】
本発明で用いる液晶ポリマーの具体例としては、以下に例示する(1)から(4)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。ただし、光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーを得るためには、繰り返し単位の好適な組み合わせが必要とされることは言うまでもない。
【0008】
(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
【0009】
【表1】
【0010】
(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
【0011】
【表2】
【0012】
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
【0013】
【表3】
【0014】
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
【0015】
【表4】
【0016】
(5)これらの化合物から得られる液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0017】
【表5】
【0018】
これらの液晶ポリマーは、フィルムの耐熱性、加工性の点で200〜400℃、特に250〜350℃の範囲内に光学的異方性の溶融相への転移温度を有するものが好ましい。また、本発明の効果が失われない範囲内、つまりフィルムとしての物性を損なわない範囲内で、滑剤、酸化防止剤、充填材等を配合してもよい。
【0019】
本発明者等の検討結果では、上記液晶ポリマーのフィルム化にあたっては、ポリマーの流れ開始温度Tflowより10℃以上高い温度で、かつ剪断速度が500sec-1以上となるようにダイから製膜する必要がある。この条件を外れると、分子の配向が不十分なため、前記の熱処理で、目的とする高耐熱、高強度のフィルムが得られ難くなる。ここで、流れ開始温度Tflowとは、重合体が一定荷重下で流れを開始する温度であり、例えば高化式フローテスターで容易に測定できる。
【0020】
また、剪断速度(γ)とは、次式により定義される。
γ=6Q/π(Ro+R i )H2ρ
ここで、
Q:液晶ポリマーの吐出量(g/sec)
Ro:環状の成形ダイスリットの外周半径 (cm)
Ri:環状の成形ダイスリットの内周半径 (cm)
H:成形ダイスリット間隔=Ro−Ri (cm)
ρ:液晶ポリマーの密度 (g/cm3)である。
【0021】
本発明の液晶ポリマーフィルムは、光学的異方性の溶融相を形成し得るポリマーを押出成形して得られる。その押出成形には、任意の方法が採用できるが、周知のTダイ法、インフレーション法等を採用するのが工業的に有利である。特にインフレーション法では、フィルムの機械軸方向(以下、MD方向と略す)だけでなく、これと直交する方向(以下、TD方向と略す)にも応力が加わり、MD方向とTD方向との間における機械的性質および熱的性質のバランスのとれたフィルムを得ることができる。
【0022】
液晶ポリマーフィルムの厚みとしては、500μm以下が好ましく、特に10〜250μmがより好ましい。
【0023】
また本発明では、フィルムを熱処理するにあたって、不活性雰囲気下での熱処理と、それに引き続く活性雰囲気下での熱処理を組み合わせて行う。これにより、目的とするフィルム物性が得られる。
【0024】
つまり、不活性雰囲気下では、フィルムのTAがTm より10℃高い温度に到達するまで、フィルムの強度が初期値の1.3倍を越えないように、T m よりも低い温度でフィルムの熱処理を行う。この不活性雰囲気下では、10℃程度のTAの増加は、比較的短時間で行われるので、不活性ガスの使用量が少なくてすむが、本発明が目的とするフィブリル化の防止や耐摩耗性の改善が得られない。しかも、フィルムの強度を初期値の1.3倍以上とすると、次の活性雰囲気下での酸化架橋反応が十分進行しなくなるので、フィブリル化の防止や耐摩耗性の改善が期待できなくなる。
【0025】
上記の不活性雰囲気下とは、窒素、アルゴン等の不活性ガス中あるいは減圧下を意味し、酸素等の活性ガスが0.1体積%以下であることを言う。特に、不活性ガスとしては、純度99.9%以上の加熱窒素気体が好適に用いられる。
【0026】
そして、上記の不活性雰囲気下で熱処理を行った後、直ちに(処理温度をあまり低下させず)活性雰囲気中で熱処理を行う。このとき、最終的にフィルムのTAがTmよりも10℃以上高くなるようにすることが、製造コスト及び得られるフィルムの物性上必要である。また、フィルムの重合体の流れ開始温度Tflowは、熱処理により漸進的に上昇するので、活性雰囲気下において、熱処理前のTflowより高い温度で熱処理しても、形態不良は発生しない。
【0027】
上記の活性雰囲気とは、酸素等の活性ガスを1%以上含んでいる活性ガス含有気体を言い、特に10%以上の酸素含有気体が好適に用いられる。かかる気体として空気を用いることがコスト的に最も有利である。
【0028】
上記Tm とは、熱処理前のフィルムを、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気中5℃/分の速度で400℃まで昇温し、ついで50℃/分の速度で室温まで降温し、さらに5℃/分の速度で昇温したとき現われる融解ピークの温度である。
【0029】
上記TA とは、フィルムをDSCを用いて、窒素雰囲気中5℃/分の速度で昇温し、この時に現われる融解ピークの温度である。
【0030】
また熱処理時に、水分が存在すると、加水分解反応がおこるので、活性雰囲気下での熱処理時には、−40℃以下の露点をもつ乾燥空気が好適に用いられる。これを使用すれば、高耐熱、高強度で、フィブリル化が起こらず耐摩耗性に優れたフィルムが低コストで得られる。かかる低露点の乾燥空気は、例えばモレキュラーシーブスを用いることにより容易に得られる。
【0031】
以上の熱処理は、目的により緊張下あるいは無緊張下で行うことができる。また、その熱処理は、ロール状(すきまを設けて触れあうことを防止する)、カセ状(ガス透過性の良好なスペーサーをともに巻く)やトウ状(金網等に乗せる)で行ってもよいし、あるいはローラーを用いて連続的に行ってもよい。
【0032】
本発明の大きな利点は、高価な不活性ガスの使用量が少なくてすむため、不活性ガスの再使用を行わなくとも工業的に十分成立することである。また、複雑な回収装置が不要であり、しかも副生成物の除去作業も不要となるので、コストメリットが大きい。
【0033】
以上の方法によって得られたフィルムは、優れた耐熱性と強度を保持し、かつフィブリル化が起こり難く、耐摩耗性に優れている。しかも、活性雰囲気下で熱処理するにもかかわらず着色しない。
【0034】
上記のポリマーフィルムは、熱処理によりその融点(耐熱性)を任意に調節できる。つまり、上記フィルムの融解ピーク温度TAに対し、フィルムの熱処理温度を(TA−20℃)以下とし、該熱処理により増加したフィルムの融点に応じて該熱処理温度を増加させる。このようにすれば、同一化学組成のフィルムを用いてその耐熱性を変えることができるので、フィルムを多層に積層して多層積層板を作製するような場合に、各フィルムの熱圧着による接着一体化が確実に行える。この結果、液晶ポリマーフィルムが本来有する高強力と高弾性率を有し、また耐熱性と耐薬品性に優れ、しかも加工工程や製品後の環境変化により剥離することもなく、長期的に安定使用が可能な多層積層板が得られる。
【0035】
また、上記のポリマーフィルムに被着体を熱圧着することで積層体が得られるため、上記のポリマーフィルムは、金属箔やガラスなどの被着体を熱圧着して使用される。このとき、熱圧着により発生するフィルムの流れをなくし、かつフィルムと被着体間の接着強度を高めるためには、フィルムの流れを熱圧着前に対し10重量%以下(好ましくは5重量%以下)とし、被着体との接着強度を0.5Kg/cm以上とする。つまり、一般的にFPC(フレキシブルプリント配線板)やガラス強化樹脂積層板を製造する場合、熱硬化性樹脂板や熱可塑性樹脂板と被着体を熱圧着するとき、10〜20重量%の樹脂流れ出しが発生することがある。この流れ出した樹脂は製品を汚染するので、製品から汚れを除去するためには非常に多くの労力を要し、各社個々の技術により努力しているのが現状である。しかし、以上のようにすれば、熱圧着時に樹脂流れ出しがほとんど発生しないので、後処理が簡単となって良好な製品が生産性よく得られる。また、被着体との接着強度を0.5Kg/cm以上とすることにより、フィルムと被着体間の接着強度が実用に耐え得る十分な強度にまで高められる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。但し、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
(A)先ず、下記実施例1〜5と比較例1〜5において、共通に使用する液晶ポリマーフィルムを次のようにして製膜した。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸単位27モル%、p−ヒドロキシ安息香酸単位73モル%からなり、高化式フローテスターで圧力50Kg/cm2 で測定した流れ開始温度Tflowが250℃であるサーモトロピック液晶ポリエステルを、単軸押出機を用いて280〜300℃で加熱混練し、直径40mm、スリット間隔0.6mmのインフレーションダイより、剪断速度550sec -1で押出し、厚さ30μmの液晶ポリマーフィルムを得た。この加熱未処理のフィルムについて、DSCを用いてTmを測定したところ280℃であった。また、強度は39.7Kg/mm2であった。なお、同フィルムは、着色はないものの、フィブリル化が発生する。
【0037】
(B)実施例1〜3および比較例1〜3での熱処理は、何れも次のような共通条件でプログラムコントロールにより行った。
(1)気体を180℃に予熱して試料を仕込む。
(2)180℃から240℃までの昇温を1時間で行う。
(3)240℃から260℃までの昇温を1時間で行う。
(4)260℃から275℃までの昇温を2時間で行う。
(5)275℃から285℃までの昇温を6時間で行う。
(6)285℃から180℃までの降温を1時間で行う。
このときの気体の流量は、何れも0.3Nm3 /minである。
【0038】
実施例1
上記(A)のフィルムを上記(B)の(1)〜(4)まで99.9%の窒素ガス中で熱処理し、その後(5)および(6)については乾燥空気中(露点−60℃)で熱処理を行った。このとき、(1)〜(4)の処理により得られたフィルムの強度は、50Kg/mm2、TAは300℃であった。また(6)までの熱処理を行ったフィルムについて、フィブリル化、着色、TA、強度を調べた結果は、表6に示す通りである。
【0039】
実施例2
上記(B)の(1)〜(4)まで99.9%の窒素ガス中で熱処理し、その後(5)および(6)については2体積%の酸素を含有する窒素ガス中で熱処理した。得られたフィルムについて、実施例1と同様に諸性能を調べた結果を表6に示す。
【0040】
実施例3
上記(A)のフィルムと支持体としてのアルミ箔(厚さ50μm)とをともに巻き、実施例2と同様に処理した。得られたフィルムについて、実施例1と同様に諸性能を調べた結果を表6に示す。
【0041】
比較例1
上記(A)のフィルムを上記(B)の(1)〜(6)まで99.9%の窒素ガス中で熱処理した。なお、熱処理中の窒素ガス使用量は、製品1kg当り33Nm 3 である。得られたフィルムについて、実施例1と同様に諸性能を調べた結果を表6に示す。
【0042】
比較例2
上記(A)のフィルムを上記(B)の(1)〜(4)、および(5)の2時間まで99.9%の窒素ガス中で熱処理した。このときのフィルムの強度は、60Kg/mm2、TAは310℃であった。その後(5)および(6)については、乾燥空気中(露点−60℃)で熱処理を行った。得られたフィルムについて、実施例1と同様に諸性能を調べた結果を表6に示す。
【0043】
比較例3
上記(A)のフィルムを上記(B)の(1)〜(6)まで乾燥空気中(露点−60℃)で熱処理を行った。得られたフィルムについて、実施例1と同様に諸性能を調べた結果を表6に示す。
【0044】
上記フィブリル化は、フィルムの表面に、表面を布で覆った10mm×15mmの大きさの摩耗子を乗せ、500gの荷重を負荷しながら、30mmの距離を往復して1時間連続走査し、摩耗子に付着するフィブリルの量により評価した。そして、フィブリル量が多いものを×、全くでないものを○、中間を△として、表6に示している。
【0045】
上記フィルムの強度とは、引張り試験機を用いて、JIS C 2318に準じて測定したものである。
【0046】
【表6】
【0047】
上記表6から明らかなように、実施例1〜3によれば、フィブリル化および着色が発生せず、また強度の高いフィルムが得られる。一方、比較例1〜3によればフィブリル化が発生し、しかも比較例3では強度の増加が少なく着色が発生する。また、比較例1によれば、実施例と同等の性能が得られるものの、製品1kg当り33Nm 3 というように多量の窒素ガスを必要とするので、コストの増大を招く。
【0048】
また、前述のとおり、以上のポリマーフィルムは、熱処理によりその融点(耐熱性)を任意に調節できる。つまり、上記フィルムの融解ピーク温度TAに対し、フィルムの熱処理温度をTA−20℃とし、熱処理により増加したフィルムのTAに応じて該熱処理温度を増加させるのが好ましい。さらに、前述のとおり、以上のポリマーフィルムは、金属箔やガラスなどの被着体を熱圧着して使用される。このとき、熱圧着により発生するフィルムの流れによる製品の汚れをなくし、かつフィルムと被着体との密着性を確保するためには、フィルムの流れを熱圧着前に対し10%以下とし、被着体との接着強度を0.5Kg/cm以上とするのが好ましい。その具体例を実施例により説明する。
【0049】
実施例4
(C)先ず、上記(A)で得られたフィルムについて、熱処理温度を設定するために、熱処理中のフィルムの融点TAの変化を以下の方法で測定した。次のような熱処理条件をプログラムコントロールにより行った。
(1)99.9%の窒素ガスを180℃に予熱して試料を仕込む。
(2)180℃から260℃までの昇温を1時間で行う。
(3)260℃の一定温度で4時間にわたり熱処理するが、1時間単位でフィルムを取り出してフィルムの融点TAを測定する。
(4)フィルムの取り出し前には、260℃から180℃までの降温を1時間で行う。
この時の気体の流量は、0.3Nm3 /minである。フィルムのTAは上記(3)の条件が、1時間の時には285℃、2時間の時には296℃、4時間の時には306℃に変化していた。
(D)ついで、上記(3)の条件を260℃で1時間の熱処理後、熱処理温度を265℃にして1時間、さらに275℃にして2時間の合計4時間の熱処理条件に変更して、熱処理を施したフィルムを作製した。得られたフィルムのTAは315℃であった。
上記フィルムを直径10cmの円形に切断した後、同様なサイズの厚さ18μmの電解銅箔2枚で挟み、真空熱圧着機により熱接着した。この熱接着は、圧着熱板の周囲を40mm水銀柱以下の真空状態とした中で、圧着熱板により温度305℃で10分間、30Kg/cm2 の圧力に保持して行った。このときの樹脂の流れ出し量と、銅箔とフィルムの接着強度を測定した結果は、表7に示す通りである。
【0050】
実施例5
上記(D)のフィルムを使用し、熱圧着温度を325℃とした以外は実施例4と同様な条件下で銅箔と熱接着した。これについて、実施例4と同様の評価を行った結果は、表7の通りである。
【0051】
比較例4
上記(A)のフィルムを、熱処理することなく、そのまま熱圧着温度を270℃とした以外は実施例4と同様な方法で銅箔と熱接着した。これについて、実施例4と同様の評価を行った結果は、表7の通りである。
【0052】
比較例5
上記(A)のフィルムを、熱処理することなく、そのまま熱圧着温度を290℃とした以外は、実施例4と同様な方法で銅箔と熱接着した。これについて、実施例4と同様の評価を行った結果は、表7の通りである。
【0053】
表7中、樹脂流れ出し量は、フィルムから銅箔を塩化第二鉄溶液で除去し、熱接着前のサイズ(直径10cm)に対する樹脂はみ出し量を測定した。はみ出し量は重量%に換算し、指標とした。
【0054】
また、接着強度は、1.5cm幅の剥離試験片を作成し、そのフィルム層を両面接着テープで平板に固定し、JIS C 5016に準じ、180゜法により銅箔部を50mm/分の速度で剥離したときの強度を測定した。
【0055】
【表7】
【0056】
上記表7から明らかなように、実施例4および5によれば、樹脂流れ出し量が5%以下で、また接着強度も1.0Kg/cm以上と強い。一方、比較例4によれば、樹脂流れ出し量が実施例4および5と同等になるが、接着強度が0.4Kg/cmとなって弱くなる。また、比較例5によれば、実施例4および5と同等の接着強度が得られるものの、樹脂流れ量が大きくなる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、低コストで製造可能で、高度の耐熱性や強度を保持し、かつフィブリル化が起こり難く、耐摩耗性に優れた液晶ポリマーフィルムを得ることができる。
Claims (7)
- 光学的異方性の溶融相を形成し得るポリマーを、該ポリマーの流れ開始温度Tflowより10℃以上高い温度で、かつ剪断速度が500sec-1以上となるような条件下でダイから製膜し、この製膜したフィルムを、示差走査熱量計により窒素雰囲気中5℃/分の昇温速度で測定した時の処理中におけるフィルムの融解ピーク温度TA が、該フィルムの熱処理前の融点Tm より10℃高い温度に到達するまで、該フィルムの強度が初期値の1.3倍を越えないように不活性雰囲気下でかつ前記融点T m よりも低い温度で熱処理し、その後活性雰囲気下で更に前記融解ピーク温度TAが前記融点Tmよりも10℃以上高くなるように熱処理することを特徴とするポリマーフィルムの製造方法。
- 請求項1において、前記不活性雰囲気が純度99.9%以上の加熱窒素気体であり、活性雰囲気が酸素を1%以上含有した加熱気体であるポリマーフィルムの製造方法。
- 請求項1または2において、前記活性雰囲気が、露点が−40℃以下の乾燥空気であるポリマーフィルムの製造方法。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記活性雰囲気下での熱処理を、前記フィルムの融解ピーク温度TA に対し、熱処理温度を(TA −20℃)以下とし、該熱処理により増加したフィルムの融点に応じて該熱処理温度を順次増加させることにより行うポリマーフィルムの製造方法。
- 請求項1〜4の何れかの方法により作製されたポリマーフィルム。
- 請求項5に記載のポリマーフィルムに被着体が熱圧着されてなる積層体。
- 請求項6において、前記フィルムに被着体を熱圧着したとき、該フィルムの流れが熱圧着前に対し10重量%以下であり、被着体との接着強度が0.5Kg/cm以上である積層体。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10119698A JP3655464B2 (ja) | 1998-04-13 | 1998-04-13 | ポリマーフィルムとその製造方法並びに積層体 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10119698A JP3655464B2 (ja) | 1998-04-13 | 1998-04-13 | ポリマーフィルムとその製造方法並びに積層体 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11291329A JPH11291329A (ja) | 1999-10-26 |
| JP3655464B2 true JP3655464B2 (ja) | 2005-06-02 |
Family
ID=14294199
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10119698A Expired - Lifetime JP3655464B2 (ja) | 1998-04-13 | 1998-04-13 | ポリマーフィルムとその製造方法並びに積層体 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3655464B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2002060494A (ja) * | 2000-08-11 | 2002-02-26 | Sumitomo Chem Co Ltd | 熱可塑性樹脂の製造方法 |
| JP2002178414A (ja) * | 2000-12-18 | 2002-06-26 | Sumitomo Chem Co Ltd | 熱可塑性樹脂フィルムおよびその製造方法 |
| EP2467416B8 (en) * | 2009-08-20 | 2015-08-26 | Iqlp, Llc | Ultra high-temperature plastic package and method of manufacture |
| CN111808616A (zh) * | 2019-04-12 | 2020-10-23 | 佳胜科技股份有限公司 | 改质液晶高分子的制作方法、液晶高分子组合物及改变液晶高分子的熔点的方法 |
-
1998
- 1998-04-13 JP JP10119698A patent/JP3655464B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH11291329A (ja) | 1999-10-26 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP4216433B2 (ja) | 回路基板用金属張積層板の製造方法 | |
| JP7330968B2 (ja) | 熱可塑性液晶ポリマーフィルム、その製造方法およびフレキシブル銅張積層板 | |
| JP3245437B2 (ja) | 積層体の製造方法 | |
| EP0951206B1 (en) | Liquid crystal polymer film, laminate, method of making them and multi-layered parts-mounted circuit board | |
| JP5661051B2 (ja) | 片面金属張積層体の製造方法 | |
| JPH0890570A (ja) | 液晶ポリマーフイルムの処理方法 | |
| CN107079594A (zh) | 电路基板及其制造方法 | |
| CN104220236A (zh) | 热塑性液晶聚合物薄膜及其制造方法 | |
| JP3659721B2 (ja) | 接着性表面又は金属表面を有する液晶ポリマーフィルム延伸物 | |
| JP2006137011A (ja) | 金属張積層体およびその製造方法 | |
| TW202035167A (zh) | 兩面覆金屬積層體及其製造方法、絕緣薄膜及電子電路基板 | |
| TWI890814B (zh) | 熱塑性液晶聚合物成形體、覆金屬積層體及電路基板 | |
| CN1798647A (zh) | 层压体的制造方法 | |
| JP3655464B2 (ja) | ポリマーフィルムとその製造方法並びに積層体 | |
| JP3121445B2 (ja) | 積層体およびその製造方法 | |
| JP3878741B2 (ja) | ポリマーフィルムの製造方法 | |
| JPH11291350A (ja) | ポリマーフィルムとその製造方法 | |
| JP4184529B2 (ja) | 熱可塑性液晶ポリマーフィルムとその改質方法 | |
| TW202440747A (zh) | 熱塑性液晶聚合物薄膜及積層體、以及彼等之製造方法 | |
| JP3568171B2 (ja) | 金属表面を有する液晶ポリマーシート積層体及び接着性表面を有する液晶ポリマーシート積層体 | |
| JP7182030B2 (ja) | 金属張積層体の製造方法 | |
| JPH0453739A (ja) | 積層板 | |
| JP2002331589A (ja) | 金属張積層板の製造方法 | |
| JP2001081215A (ja) | 高耐熱性フィルムおよびその製造方法 | |
| JP2004358678A (ja) | 積層体の製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041105 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20041116 |
|
| A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050114 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050301 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050303 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090311 Year of fee payment: 4 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100311 Year of fee payment: 5 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110311 Year of fee payment: 6 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120311 Year of fee payment: 7 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130311 Year of fee payment: 8 |
|
| EXPY | Cancellation because of completion of term |