JP3659779B2 - 蛋白質含有ゼリーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、栄養価の高い乳蛋白濃縮物を含有する蛋白質含有ゼリーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば糖類、果汁、ミネラル、ビタミン等の栄養分を含有する、流動性が損なわれない程度にゲル化したゼリーを、チアーパック等と呼ばれる、蓋のできる吸い口を有する柔軟性容器に充填した製品が市販され、手軽に摂取できる栄養補助食品として脚光を浴びている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような流動性を有するゼリーを利用した栄養補助食品のうち、蛋白質を含むものは今のところ市販されていない。これは、一般に蛋白質を加熱すると凝集によって蛋白質の強固なゲルが形成され、このゲルは外観上不均一である場合が多く、食感のざらつきが多くなって、ゼリー特有の滑らかな食感が損なわれてしまうからである。
【0004】
したがって、本発明の目的は、蛋白質を豊富に含有し、均一で食感のざらつきが少ない蛋白質含有ゼリーの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、脱脂粉乳を限外濾過することによって得られる乳蛋白濃縮物とゲル化剤とを含有する分散液を80℃以上まで加熱後、他の原料を加えて均一化した後、静置にて加圧加熱殺菌を行うことを特徴とする蛋白質含有ゼリーの製造方法を提供するものである。
【0007】
本発明の蛋白質含有ゼリーの製造方法によれば、脱脂粉乳を限外濾過することによって得られる乳蛋白濃縮物(以下「MPC」と略称する)とゲル化剤とを含有する分散液を80℃以上まで加熱後、他の原料を加えて均一化した後、静置にて加圧加熱殺菌を行うことにより、均一で滑らかな食感のゼリーを製造することができる。
【0008】
また、本発明の蛋白質含有ゼリーの製造方法によって得られる蛋白質含有ゼリーによれば、ゼリーであるから短時間で手軽に摂取することができ、飲料に比べると腹持ちもよく、含有させた蛋白質の沈殿が生じにくい。また、蛋白質として、MPCを用いたことにより、本発明の製造方法によって均一で滑らかな食感のゼリーとすることができ、且つ、栄養価が高い食品を提供できる。
【0009】
本発明において、ゲル化剤としては、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガムから選ばれた少なくとも1種が好ましく使用され、製品のpH値は6.2〜8.0とされることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について好ましい態様を挙げて更に詳細に説明する。
本発明で用いるMPCは、脱脂粉乳を限外濾過することによって得られる乳蛋白濃縮物であって、乳糖含量が少なく、かつカルシウム、リン、マグネシウムといった微量金属を多量に含み、栄養学的にも優れているといった特徴を有しており、市販品としては、例えば蛋白質含量を80%に調整したDMV社の「MPC80」(商品名)等が知られている。因みに、上記「MPC80」の組成は、蛋白質80.5%、ラクトース5.5%、灰分7.5%、水分5.0%、脂質1.5%、カルシウム2.3%、リン1.4%とされている。
【0011】
MPCの含量は、ゼリー中、2.0〜7.0重量%とすることが好ましい。MPC含量が上記よりも少ないと、蛋白質を含有するゼリー食品としての商品価値が乏しくなる。MPC含量が上記よりも多いと、水へ分散させることが大変になると共に、粘度も高くなり、気泡も発生しやすくなる。更に、製造工程における加熱変性時に焦げ付きを生じやすくなる。
【0012】
本発明においてゲル化剤としては、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガムから選ばれた少なくとも1種が好ましく用いられる。特に寒天を主体とし、これに必要に応じてカラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム等の他のゲル化剤を組み合わせたものが好ましい。寒天は、通常使用される粉末寒天、棒寒天等を必要に応じて選択することが可能であり、その使用量は目的とするゲルの状態に応じて調整すればよい。
【0013】
また、寒天以外のゲル化剤、例えばローカストビーンガムとカラギーナンの組合せや、ローカストビーンガムとキサンタンガムの組合せでも可能であるが、前者の組合せは耐熱性に乏しく、後者の組合せは溶液の粘度が高くなるので、寒天と併用することが望ましい。熱凝固性のあるゲル化剤、例えばカードランでは蛋白質の限定加熱変性(80℃以上、好ましくは90℃以上まで加熱、撹拌して、寒天等のゲル化剤を溶解させると共に、蛋白質を一部加熱変性させること)時に凝固を始めてしまうので好ましくない。
【0014】
本発明のゼリー原料としては、上記MPC、ゲル化剤の他に、例えば、砂糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、アスパルテーム、ステビア等の甘味料、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の酸味料、デキストリン、澱粉等の賦形剤、果汁、ビタミン、ミネラル、香料、着色料等を適宜使用することができる。
【0015】
本発明の蛋白質含有ゼリーの製造に際しては、まず、MPCとゲル化剤との分散溶液を作る。その際、撹拌機、ミキサー、ホモゲナイザー、粉乳溶解機等を使用し機械的に十分分散させることが必要である。この分散溶液を80℃以上、好ましくは寒天の溶解温度である90℃以上まで撹拌加熱し、MPCの限定加熱変性を生じさせると共に、ゲル化剤を溶解させる。その後、必要に応じて他の原料を加えて再度、撹拌機、ミキサー、ホモゲナイザー、粉乳溶解機等により機械的に十分均質化処理を行う。この均質化を行わないと、でき上がったゼリーの食感が悪くなる。
【0016】
なお、上記において、ゲル化剤のみを加熱溶解後、MPCを含む他の原料を後から混合する方式では、後の工程である殺菌後、MPCの凝集が見られ不均一なゲルとなりやすい。また、MPCとゲル化剤を個々に撹拌加熱し、その後に両者を併せる方式では、各々に使える仕込水が少ないため、焦げ付き等の原因となり好ましくない。
【0017】
こうして各原料を溶解させ、均質化させた後、この溶液が冷えてゲル化剤が凝固する前、具体的には50℃以上の状態で容器に充填し、静置殺菌する。ここで静置殺菌とは、殺菌対象品をレトルト内に静置して殺菌する加圧加熱殺菌法である。殺菌方法としては、この他に殺菌対象品をレトルト内で回転させることにより、内容物への熱伝導を早めて殺菌する回転殺菌があるが、この回転殺菌では、殺菌又は殺菌冷却中に内容物が機械的に強制撹拌されるため、蛋白質同士がくっつき合い凝集を起す。これに対して、静置殺菌によれば、単なる対流による自然撹拌のみで、蛋白質同士のくっつき合いも起こりにくく、結果として凝集も発生しないため、ざらつきのない、均一で滑らかな食感のゼリーが得られる。
【0018】
本発明において、製品のpHは6.2〜8.0が好ましく、6.5〜8.0とすることがより好ましい。上記においてpH6.2以上とした理由は、一般的にpHが蛋白質の等電点(酸性側)に近いほど、蛋白質が変性を起して凝集沈殿が発生しやすくなるからである。また、pH8.0以下とした理由は、乳蛋白質をアルカリ側で加熱するとリジノアラニンといった好ましくない物質が生ずるからである。
【0019】
【実施例】
実験例1
乳、卵、大豆由来の粉末蛋白質(サンプルA〜H)を使用し、その蛋白質濃度を製品100g当り5.6重量%とし、これに寒天、砂糖、食塩を表1に示す配合割合で添加し、仕込水で重量を調整後、卓上式撹拌機で十分に混合した後、容器に充填し殺菌した。殺菌は高温高圧調理殺菌装置「RCSー40RTG」(商品名、日阪製作所製)を使用し、サンプルA〜Hの各々につき静置と回転の両殺菌を121℃でF値10まで行った。それらの殺菌後の状態を観察した結果を表2に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
表2に示されるように、静置・回転といった殺菌方法にかかわらず、乳由来蛋白質以外(サンプルF〜H)は、外観上の問題はないが、風味及び食感が悪く商品としては好ましくないと判定された。一方、乳由来蛋白質では、静置殺菌の場合、寒天が容器下部に沈降するため、容器下部のみ強固なゲルを形成し、内容物全体としてはゲル化しなかった(サンプルA〜E)。また、回転殺菌では、乳由来蛋白のうちカゼインナトリウム(サンプルE)以外(サンプルA〜D)は、蛋白質が凝集を起し、外観上も好ましくなく、食感的にもザラザラしたものであった。また、カゼインナトリウムは、凝集は起こさないものの、他と比べてゲル強度が著しく低いものであった。
【0023】
実験例2
そこで、実験例1の静置殺菌で蛋白質の凝集を起さなかったサンプルA〜Dに絞り、実験例1の表1と同様の配合で、製造方法を下記の2つの方法に変え、ゼリーを製造した。
【0024】
▲1▼寒天を仕込水に分散させ、95℃まで撹拌加熱溶解後、加熱を止め、蛋白質を含むその他の原料を加え、卓上撹拌機で十分撹拌後ゲル化が始まる前に容器へ充填して、実験例1と同様に静置殺菌を行った。
【0025】
▲2▼蛋白質と寒天を撹拌機で仕込水へ十分分散させ、95℃まで撹拌加熱後、加熱を止め、その他の原料を加え、再度撹拌機で十分に撹拌後、ゲル化が始まる前に容器へ充填して、実験例1と同様に静置殺菌を行った(本発明の方法)。この結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
【0027】
表3に示されるように、サンプルD(MPC含有品)を上記▲1▼の方法によって製造したゼリー(本発明品)だけが、蛋白質の凝集が見られず、均一で滑らかな食感を有するゼリーとなった。その他のゼリーは、全て凝集を起したり、2層に別れたりして、均一で滑らかな食感を得ることができなかった。
【0028】
実験例3
サンプルDを用いて、実験例2における▲1▼の方法で配合終了時のpHを4.0から7.5まで0.5きざみで変えた試料を調製した。この場合のpHは、酸性側は10%クエン酸溶液で、アルカリ性側は10%炭酸水素ナトリウム溶液で調整した。
【0029】
この結果、pHが4.0〜5.0では、限定加熱変性時に蛋白質が小さな凝集を起して沈殿し、均質化後、殺菌した製品は蛋白質が容器下部に沈殿し、食感的にも大変ざらつきの大きいものであった。また、pHが5.5〜6.0では限定加熱変性時に蛋白質が著しい沈殿を起し、均質化後、殺菌したものでも再凝集を起し、全く好ましくなかった。しかし、pHが6.5〜8.0だと蛋白質の凝集が全く見られず、大変滑らかで均一なゼリーであった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ゼリーの持つ食感の滑らかさと風味を損なうことなく、栄養価の非常に高い蛋白質であるMPCを比較的多量に含有ささせることができる。したがって、短時間で手軽に摂取することができ、飲料に比べると腹持ちもよく、栄養的なバランスにも優れた、これまでにないゼリー食品を提供することができる。
Claims (4)
- 脱脂粉乳を限外濾過することによって得られる乳蛋白濃縮物とゲル化剤とを含有する分散液を80℃以上まで加熱後、他の原料を加えて均一化した後、静置にて加圧加熱殺菌を行うことを特徴とする蛋白質含有ゼリーの製造方法。
- 前記乳蛋白濃縮物を2.0〜7.0重量%含有させる請求項1記載の蛋白質含有ゼリーの製造方法。
- 前記ゲル化剤として、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガムから選ばれた少なくとも1種を含有させる請求項1又は2記載の蛋白質含有ゼリーの製造方法。
- 製品のpH値を6.2〜8.0に調整する請求項1〜3のいずれか1つに記載の蛋白質含有ゼリーの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27648097A JP3659779B2 (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | 蛋白質含有ゼリーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27648097A JP3659779B2 (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | 蛋白質含有ゼリーの製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1189525A JPH1189525A (ja) | 1999-04-06 |
| JP3659779B2 true JP3659779B2 (ja) | 2005-06-15 |
Family
ID=17570048
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP27648097A Expired - Lifetime JP3659779B2 (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | 蛋白質含有ゼリーの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3659779B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| US6572898B2 (en) * | 1999-05-21 | 2003-06-03 | Pts Labs Llc | Electrolyte gels for maintaining hydration and rehydration |
| CN113349354B (zh) * | 2020-03-05 | 2024-08-06 | 宜兰食品工业股份有限公司 | 一种含乳含酒精果冻及其制造方法 |
-
1997
- 1997-09-24 JP JP27648097A patent/JP3659779B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
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| JPH1189525A (ja) | 1999-04-06 |
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