JP3660142B2 - 触媒コンバータ用保持マットおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は触媒コンバータ用保持マット、特に、触媒コンバータにおいて、そのアウタシェル内に触媒担体を保持すべく、その触媒担体外周面に巻付けられる保持マットおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の保持マットとしては、セラミック繊維、および/またはアルミナ繊維、バインダならびにバーミキュライト(膨脹材)より構成されたものが知られている。この保持マットは、例えば円柱状触媒担体の外周面に巻付けられるため、その外周面側には、そこに作用する引張り力に起因して亀裂が生じ易い。この亀裂は、未浄化排気ガスの漏れ通路となるので在ってはならないものである。
【0003】
そこで、マット本体の外周面側にクラフト紙、プラスチックフィルム等よりなる補強層を接着して、耐亀裂性を向上させるようにした保持マットが開発されている(特開平3−7333号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の如く補強層を設けると、その補強層の接着工程が必須工程となるため、それに応じて保持マットの製造工数および製造コストが増加する、という問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アウタシェル側および触媒担体側の両領域におけるバインダの密度を変えることによって、アウタシェル側、つまり外周面側における亀裂の発生を回避し、また触媒担体外周面への巻付けに際しなじみ性の良い前記保持マットを提供することを目的とする。
【0006】
前記目的を達成するため請求項1の発明によれば、触媒コンバータにおいて、そのアウタシェル内に触媒担体を保持すべく、その触媒担体外周面に巻付けられる保持マットであって、前記アウタシェルと接触する外周面を含む円筒状の第1領域と、前記触媒担体と接触する内周面を含み且つ前記第1領域の内周側に隣接する円筒状の第2領域とよりなり、前記第1領域の耐亀裂性を向上させるべく、その領域におけるバインダの密度が、前記第2領域における前記バインダの密度よりも高くなるように設定されており、前記第1領域及び前記第2領域は、前記バインダに関すること以外は同一性状の素材で構成されていて、その両領域相互間には継ぎ目が無いことを特徴とし、また請求項2の発明によれば、触媒コンバータにおいて、そのアウタシェル内に触媒担体を保持すべく、その触媒担体外周面に巻付けられる保持マットであって、前記アウタシェルと接触する外周面を含む円筒状の第1領域と、前記触媒担体と接触する内周面を含み且つ前記第1領域の内周側に隣接する円筒状の第2領域とよりなり、前記第1領域は、それの耐亀裂性を向上させるべく、バインダを含み、前記第2領域は、それの、前記触媒担体に対するなじみ性を向上させるべく、バインダを含まない領域であり、前記第1領域及び前記第2領域は、前記バインダに関すること以外は同一性状の素材で構成されていて、その両領域相互間には継ぎ目が無いことを特徴とする。
【0007】
前記請求項1,2の発明の特徴のように第1領域におけるバインダの密度を高くすると、保持マット外周面側の強度を高めて耐亀裂性を向上させ、これにより保持マットの触媒担体外周面への巻付け時および巻付け後において、その外周面側に亀裂が発生するのを回避することが可能である。またバーミキュライトを用いた場合には、それの保持マット外周面側からの脱落を防止することが可能である。さらに保持マット外周面側の硬さが増すので、その保持マットの取扱い性が良好となる。さらにまた保持マットを触媒担体外周面に巻付けた後、そのマットの両端部を粘着テープで固定する場合、その粘着テープの貼付を確実に行うことができる。
【0008】
一方、請求項1の発明の特徴のように第2領域におけるバインダの密度を低くすると、その領域の硬さを低くして、触媒担体外周面への巻付けに際し保持マットのなじみ性を良好にすることが可能である。また請求項2の発明の特徴のように第2領域を、バインダを含まない領域にすると、前記なじみ性を一層向上させることができる。
【0009】
また本発明は前記保持マットを量産し得る製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
前記目的を達成するため請求項3の発明によれば、触媒コンバータにおいて、そのアウタシェル内に触媒担体を保持すべく、その触媒担体外周面に巻付けられる保持マットを製造するに当り、バインダおよび水分を含む未乾燥保持マットを支持ロール外周面に巻付ける工程と、この支持ロール外周面に巻付けた状態の未乾燥保持マットに、そのマット外周側から乾燥媒体を吹き付けて乾燥処理を施すことにより、同マットの前記バインダの密度を、マット内周面側から外周面側に向かって漸増させる工程と、乾燥処理後の保持マットを支持ロールから取り外す工程とを含むことを特徴する。
【0011】
前記のように、未乾燥保持マットの外周側からそのマットに乾燥媒体としての、例えば温風を吹付けると、内部の水分が外周面側に移動してその外周面から蒸発する。その水分の移動はバインダを伴うので、バインダの密度が、マット内周面側から外周面側に向かって漸増する、即ち外周面側で高く、支持ロール側の内周面側で低くなる、といったように保持マット内にバインダ密度の傾斜が生じる。これによりバインダの密度が高い第1領域と、それよりもバインダの密度が低い第2領域とを持つ保持マットが得られる。またこの保持マットには支持ロールによって巻き癖が付けられているので、触媒担体に対する保持マットの巻付け作業性が良好となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1〜3において、車両用触媒コンバータ1は、筒状本体2と、その排気ガス導入側の端部に接合されるインレットコーン3と、その排気ガス排出側の端部に接合されるアウトレットコーン4とよりなる。筒状本体2は、触媒を担持する触媒担体としての円柱状モノリス担体5と、そのモノリス担体5の外周面に一重に巻付けられた保持マット6と、その保持マット6を覆うアウタシェル7とを有する。このようにモノリス担体5は保持マット6を介してアウタシェル7内に保持される。アウタシェル7は、保持マット6の外周面に巻付けられてその保持マット6を圧縮する金属板8の一方の端縁部8a上に他方の端縁部8bを重ねて両端縁部8a,8b間を溶接部9により接合したものである。
【0013】
モノリス担体5は、セラミックスであるコージェライトより構成されたハニカムである。また保持マット6は、アルミナ繊維、シリカ繊維、バインダおよびバーミキュライトの混合物よりなり、その両端部に形成された凹,凸部10,11を嵌合させてモノリス担体5外周面に巻付けられている。バインダとしてはアクリル酸エステル、NBR等が用いられている。アウタシェル7、インレットコーン3およびアウトレットコーン4はフェライト系ステンレス鋼板(例えば、JIS SUS409、またはJIS SUS410)を用いて形成されたものである。
【0014】
図4に明示するように保持マット6は、その厚さ方向に配置された、アウタシェル7と接触する外周面12を含む第1領域R1 と、モノリス担体5と接触する内周面13を含む第2領域R2 とよりなる。第1領域R1 の耐亀裂性を向上させるべく、その領域R1 におけるバインダの密度は第2領域R2 におけるバインダの密度よりも高くなるように設定されている。
【0015】
前記両領域R1 ,R2 における密度の高低は、例えば図5、実線示のように内周面13側から外周面12側に向ってバインダの密度を漸増させることによって付される。このようなバインダ密度の傾斜は、水分を含み、且つバインダを均一に分散させた未乾燥保持マットにおいて、その外周面12となる一方の平面に、乾燥媒体としての温風を吹付ける乾燥処理を施すことによって得られる。つまり、未乾燥保持マットに温風を吹付けると、内部の水分が前記平面、つまり外周面12側に移動してその外周面12から蒸発する。その水分の移動はバインダを伴うので、バインダの密度が、外周面12側で高く、内周面13側で低くなる、といったように保持マット6内にバインダ密度の傾斜が生じる。これによりバインダの密度が高い第1領域R1 と、それよりもバインダの密度が低い第2領域R2 とを持つ保持マット6が得られる。
【0016】
未乾燥保持マットには、アルミナ繊維、シリカ繊維、バーミキュライトおよびバインダを水と混合し、その混合物に水切り処理を施したものや、アルミナ繊維等を堆積させたブランケット状物に、バインダを含む水溶液を加えたものが該当する。
【0017】
前記のように第1領域R1 におけるバインダの密度を高くすると、保持マット6の外周面12側の硬さを増して、その保持マット6の取扱い性を良好にすることができ、また保持マット外周面12側の強度を高めて耐亀裂性を向上させ、これにより保持マット6のモノリス担体5への巻付け時および巻付け後において、その外周面12側に亀裂が発生するのを回避することが可能である。またバーミキュライトを用いた場合には、それの保持マット外周面12側からの脱落を防止することが可能である。さらに保持マット6をモノリス担体5外周面に巻付けた後、そのマット6の両端部を粘着テープで固定する場合、その粘着テープの貼付を確実に行うことができる。
【0018】
一方、第2領域R2 におけるバインダの密度を低くすると、その領域R2 の硬さを低くして、モノリス担体5外周面への巻付けに際し保持マット6のなじみ性を良好にすることが可能である。
【0019】
前記両領域R1 ,R2 にバインダ密度の高低を付する場合、図5、鎖線示のように第1,第2領域R1 ,R2 全体のバインダ密度を略一定にし、且つ第1領域R1 の密度を第2領域R2 のそれよりも高くなるようにしてもよい。
【0020】
保持マット6の他の実施例には、第1領域R1 が、それの耐亀裂性を向上させるべく、バインダを含み、第2領域R2 は、それの、モノリス担体5に対するなじみ性を向上させるべく、バインダを含まない領域であるものが該当する。
【0021】
この場合、第1領域R1 のバインダ密度は、図6に示すように第2領域R2 との境界付近から外周面12に向って漸増するように設定される。このようなバインダ密度の傾斜は、前記のようなブランケット状物に、その外周面12となる一方の平面側からバインダを含む水溶液をスプレにより吹付けるか、シャワにより付与し、その未乾燥保持マットに前記平面、つまり外周面12側から前記同様の乾燥処理を施すことによって得られる。
【0022】
ブランケット状物へのバインダを含む水溶液の付与に当っては、そのブランケット状物の第1領域R1 対応部分を、前記水溶液を入れた槽に漬けるようにしてもよい。また第1領域R1 のバインダ密度は、図6鎖線示のようにその領域R1 全体に亘って略等しくてもよい。
【0023】
前記のように第2領域R2 を、バインダを含まない領域にすると、モノリス担体5に対する保持マット6のなじみ性を一層向上させることができる。
【0024】
図7は保持マット6の製造方法の一例を示す。この方法においては、バインダおよび水分を含む未乾燥保持マット60 を支持ロール14外周面に巻付けて、その未乾燥保持マット60 に、その外周側から乾燥媒体を付与する乾燥処理を施すものである。具体的には、モノリス担体5よりも大径の支持ロール14の外周に複数のガイドロール15と、乾燥媒体としての温風を吹出す複数のノズル16を配設し、また未乾燥保持マット60 の進入側にカッタ17を配置する。
【0025】
そして、(a)各ノズル16から温風を吹出させながら、未乾燥保持マット60 を、図7、時計方向に回転する支持ロール14と各ガイドロール15との協働で、その支持ロール14外周面に所定の長さに亘って巻付ける。(b)支持ロール14の回転を停止して未乾燥保持マット60 を十分に乾燥する。(c)カッタ17を作動させて切断を行うことにより保持マット6を得る。(d)所定のガイドロール15を保持マット6から離間して、そのマット6を支持ロール14から外す。
【0026】
このように、未乾燥保持マット60 の外周側からそのマット60 に温風を吹付けると、前記の理由によりバインダの密度が高い第1領域R1 と、それよりもバインダの密度が低い第2領域R2 とを持つ保持マット6を得ることができる。またこの保持マット6には、支持ロール14によって巻き癖が付けられているので、モノリス担体5に対する保持マット6の巻付け作業性が良好となる。
【0027】
未乾燥保持マット60 の乾燥処理に当り、その保持マット60 を支持ロール14に螺旋状に巻付けることもある。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、触媒コンバータの触媒担体に対する保持マットが、アウタシェルと外周面が接触するバインダ密度が高い第1領域と、触媒担体と内周面が接触するバインダ密度が低い第2領域とを持つので、アウタシェル側、つまり外周面側における亀裂の発生を回避し、また触媒担体外周面への巻付けに際しなじみ性の良い触媒コンバータ用保持マットを提供することができる。また特に第1領域及び前記第2領域は、前記バインダに関すること以外は同一性状の素材で構成されていて、その両領域相互間には継ぎ目が無い。
【0029】
請求項2の発明によれば、触媒コンバータの触媒担体に対する保持マットが、アウタシェルと外周面が接触する、バインダを含む第1領域と、触媒担体と内周面が接触する、バインダを含まない第2領域とを持つので、アウタシェル側、つまり外周面側における亀裂の発生を回避し、また触媒担体外周面への巻付けに際しなじみ性を一層向上させた触媒コンバータ用保持マットを提供することができる。
【0030】
請求項3の発明によれば、バインダおよび水分を含む未乾燥保持マットを支持ロール外周面に巻付ける工程と、この支持ロール外周面に巻付けた状態の未乾燥保持マットに、そのマット外周側から乾燥媒体を吹き付けて乾燥処理を施すことにより、同マットの前記バインダの密度を、マット内周面側から外周面側に向かって漸増させる工程と、乾燥処理後の保持マットを支持ロールから取り外す工程とを含むので、アウタシェルに外周面が接触するバインダ密度が高い第1領域と、触媒担体に内周面が接触するバインダ密度が低い第2領域とを持つ触媒コンバータ用保持マットを量産し得る製造方法を提供することができる。また本発明方法で製造されて支持ロールから外された保持マットには、支持ロールによって巻き癖が付けられているので、触媒担体に対する保持マットの巻付け作業性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 触媒コンバータの正面図である。
【図2】 図1の2−2矢視図である。
【図3】 保持マットの斜視図である。
【図4】 保持マットの要部拡大図で、図2に対応する。
【図5】 保持マットにおけるバインダの密度分布の一例を示すグラフである。
【図6】 保持マットにおけるバインダの密度分布の他例を示すグラフである。
【図7】 保持マットの製造方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 触媒コンバータ
5 モノリス担体(触媒担体)
6 保持マット
60 未乾燥保持マット
12 外周面
13 内周面
R1 ,R2 第1,第2領域
Claims (3)
- 触媒コンバータ(1)において、そのアウタシェル(7)内に触媒担体(5)を保持すべく、その触媒担体(5)外周面に巻付けられる保持マット(6)であって、
前記アウタシェル(7)と接触する外周面(12)を含む円筒状の第1領域(R1 )と、前記触媒担体(5)と接触する内周面(13)を含み且つ前記第1領域(R 1 )の内周側に隣接する円筒状の第2領域(R2 )とよりなり、
前記第1領域(R1 )の耐亀裂性を向上させるべく、その領域(R1 )におけるバインダの密度が、前記第2領域(R2 )における前記バインダの密度よりも高くなるように設定されており、
前記第1領域(R 1 )及び前記第2領域(R 2 )は、前記バインダに関すること以外は同一性状の素材で構成されていて、その両領域(R 1 ,R 2 )相互間には継ぎ目が無いことを特徴とする、触媒コンバータ用保持マット。 - 触媒コンバータ(1)において、そのアウタシェル(7)内に触媒担体(5)を保持すべく、その触媒担体(5)外周面に巻付けられる保持マット(6)であって、
前記アウタシェル(7)と接触する外周面(12)を含む円筒状の第1領域(R1 )と、前記触媒担体(5)と接触する内周面(13)を含み且つ前記第1領域(R 1 )の内周側に隣接する円筒状の第2領域(R2 )とよりなり、
前記第1領域(R1 )は、それの耐亀裂性を向上させるべく、バインダを含み、前記第2領域(R2 )は、それの、前記触媒担体(5)に対するなじみ性を向上させるべく、バインダを含まない領域であり、
前記第1領域(R 1 )及び前記第2領域(R 2 )は、前記バインダに関すること以外は同一性状の素材で構成されていて、その両領域(R 1 ,R 2 )相互間には継ぎ目が無いことを特徴とする、触媒コンバータ用保持マット。 - 触媒コンバータ(1)において、そのアウタシェル(7)内に触媒担体(5)を保持すべく、その触媒担体(5)外周面に巻付けられる保持マット(6)を製造するに当り、
バインダおよび水分を含む未乾燥保持マット(60 )を支持ロール(14)外周面に巻付ける工程と、
この支持ロール(14)外周面に巻付けた状態の未乾燥保持マット(60 )に、そのマット(6 0 )外周側から乾燥媒体を吹き付けて乾燥処理を施すことにより、同マット(6 0 )の前記バインダの密度を、マット内周面(13)側から外周面(12)側に向かって漸増させる工程と、
乾燥処理後の保持マット(6)を支持ロール(14)から取り外す工程とを含むことを特徴する、触媒コンバータ用保持マットの製造方法。
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