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JP3660152B2 - 移動観測用レーダ装置 - Google Patents
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JP3660152B2 - 移動観測用レーダ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、航空機や衛星などの移動プラットフォーム上に配設され、地表や海面などの上を移動する移動物体を検出する移動観測用レーダ装置に係り、特に移動物体の観測方向を特定することができる移動観測用レーダ装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は“DETECTION LIMITS FOR SIDEWAYS LOOKING MTI RADARS”(White,R.G.他著,Proc.of Radar 97,pp434-438,1997.)に基づいて想定される従来の移動観測用レーダ装置の構成図である。図において、1は移動プラットフォーム、45,46,47はそれぞれ送受信アンテナ、48は一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機、49,50,51はそれぞれ受信機、52,53,54はそれぞれ切替器、55,56,57はそれぞれクラッター追尾回路、58,59はそれぞれ遅延回路、60,61はそれぞれ差分演算回路、62は方探手段である。
【0003】
次に動作について説明する。
3つの切替器52,53,54を動作させて3つの送受信アンテナ45,46,47に同時に送信機48を接続し、この3つの送受信アンテナ45,46,47から1つ目のパルスを放出する。そして、3つの切替器52,53,54を動作させてこの1つ目のパルスの散乱波を受信し、クラッター追尾処理を行う。
【0004】
また、移動プラットフォーム1がこの送受信アンテナ45,46,47の移動方向長さの半分移動した時点で3つの切替器52,53,54を再び動作させて、3つの送受信アンテナ45,46,47に同時に送信機48を接続し、この3つの送受信アンテナ45,46,47から2つ目のパルスを放出する。そして、3つの切替器52,53,54を動作させてこの2つ目のパルスの散乱波を受信し、クラッター追尾処理を行う。
【0005】
次に、1つ目のパルスの散乱波である受信信号は2つの遅延回路58,59で遅延されているので、2つの差分演算回路60,61はこの遅延された信号と新たに受信した散乱波に基づく信号との差分演算を行う。そして、この2つのパルスを出力する間において物体が移動するとそのエコーが一致しなくなるので、2つの差分演算回路からは移動物体の移動速度などに応じた波形が出力されることになる。
【0006】
そして、このように2つの差分信号が入力されると、方探手段62はまずそれらの波形に基づいてこの2つの差分信号の位相差を演算し、次にこの位相差に基づいて観測方向を演算する。
【0007】
図10はこのような従来の移動観測用レーダ装置の動作を説明するためのジオメトリである。図において、63は1つ目のパルスを出力したときの3つの送受信アンテナ45,46,47の状態、64は1つ目のパルスの散乱波を受信するときの3つの送受信アンテナ45,46,47の状態、65は2つ目のパルスを出力したときの3つの送受信アンテナ45,46,47の状態、66は2つ目のパルスの散乱波を受信するときの3つの送受信アンテナ45,46,47の状態である。そして、パルス送信時の送信位相中心と散乱波受信時の受信位相中心との関係から、各送受信アンテナ45,46,47の送受信の位相中心はそれぞれこの2つのパルスを出力する間に移動していないものとみなすことができる。したがって、上記2つの受信信号の差分演算結果として生成される信号波形の位相差は、各送受信アンテナ45,46,47の送受信の位相中心点と移動物体29との距離の差とみなすことができ、この位相差に基づいて移動物体29の観測方向のスクイント角度θを特定することができる。
【0008】
従って、このような構成と動作とにより、上記従来の移動観測用レーダ装置は送受信アンテナの指向特性などに拘わらず、その観測範囲内を移動する移動物体29の観測方向θを特定することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の移動観測用レーダ装置は以上のように構成されているので、各送受信アンテナ45,46,47が受信する散乱波の中から移動物体29からの散乱波を抽出し、この抽出した2つの移動物体29からの散乱波の位相差に基づいて移動物体29の観測方向を特定するために、3つの送受信アンテナ45,46,47を設ける必要があり(アンテナを3分割する必要があり)、しかも、3系統の受信波処理経路、すなわち3つの受信機49,50,51、3つのクラッター追尾回路55,56,57、2つの遅延回路58,59、2つの差分演算回路60,61などを必要としていた。その結果、移動観測用レーダ装置の構造が複雑化し、高額な部品の使用点数も増加し、さらにはこれら3系統の受信波処理経路の受信特性などを一致させるために微妙な調整作業が必要となって製造期間も格段に増加してしまうなどの課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、3つの送受信アンテナや3系統の受信波処理経路などを必要とすることなく簡易な構成にて、従来よりも格段なコストダウンや製造期間短縮などの効果を期待することができる移動観測用レーダ装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る移動観測用レーダ装置は、移動プラットフォーム上に配設され、移動物体を検出する移動観測用レーダ装置において、一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機と、上記観測信号を第一観測電波として放射するとともに、受信した散乱波を第一散乱波として受信する第一送受信アンテナと、上記第一散乱波が入力され、これに応じた第一受信信号を出力する第一受信機と、第一受信信号を上記パルス波の周期の整数倍の時間分だけ遅延させる第一遅延回路と、遅延後の第一受信信号と上記第一受信機から直接入力された第一受信信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の第一検出信号として出力する第一差分演算回路と、上記観測信号を第二観測電波として放射するとともに、受信した散乱波を第二散乱波として受信する第二送受信アンテナと、上記第二散乱波が入力され、これに応じた第二受信信号を出力する第二受信機と、第二受信信号を上記第一遅延回路と同じ時間だけ遅延させる第二遅延回路と、遅延後の第二受信信号と上記第二受信機から直接入力された第二受信信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の第二検出信号として出力する第二差分演算回路と、第一検出信号と第二検出信号との位相差に基づいて上記移動物体の観測方向を特定する方探手段と、上記移動プラットフォームの移動方向前方側に位置する送受信アンテナから上記パルス波を出力してから上記遅延時間の後に出力されるパルス波は上記移動プラットフォームの移動方向後方側に位置する送受信アンテナから出力されるように、上記観測信号の周期に同期して上記第一送受信アンテナと上記第二送受信アンテナとを上記送信機に択一的に接続するとともに、この2つのパルスの散乱波に基づいて上記方探手段には移動物体の観測方向を特定させる同期制御手段とを備えたものである。
【0012】
この発明に係る移動観測用レーダ装置は、第一受信機と第一遅延回路との間に配設され、第一受信信号を圧縮する第一パルス圧縮手段と、第二受信機と第二遅延回路との間に配設され、第二受信信号を圧縮する第二パルス圧縮手段と、この第一パルス圧縮手段あるいは第二パルス圧縮手段により圧縮された受信信号が入力され、この信号に基づいて観測方向の画像を生成する画像生成手段と、この生成された画像と上記方探手段により観測された移動物体の位置とを重ねて表示する表示手段とを備えたものである。
【0013】
この発明に係る移動観測用レーダ装置は、方探手段の移動物体の2つ以上の検出方向情報と、その2つ以上の検出方向情報の観測期間における移動プラットフォームの移動経路および移動速度とに基づいて当該移動物体の移動方向情報を生成する速度算出手段を設け、表示手段はこの移動速度を生成画像や移動物体の位置とともに表示するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、1は航空機や衛星などの移動プラットフォーム、2はこの移動プラットフォーム1の一側面上に設けられ、電波を送受信する第一送受信アンテナ、3はこの第一送受信アンテナ2に隣接して配置され、電波を送受信する第二送受信アンテナである。
【0015】
4は一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機、5はこの観測信号を第一送受信アンテナ2と第二送受信アンテナ3とに交互に供給する第一切替えスイッチである。
【0016】
6は第一送受信アンテナ2が受信する第一散乱波が入力され、これに応じた第一受信信号を出力する第一受信機、7は送信機4と第一受信機6との第一送受信アンテナ2に対する接続を切り替える第一切替器、8は第一受信信号に対してクラッター追尾処理を行う第一クラッター追尾回路、9は第一受信信号をパルス波の周期のn倍(nは整数)の時間分だけ遅延させる第一遅延回路、10はこの第一遅延回路9により遅延された第一受信信号から上記第一クラッター追尾回路8より直接入力される第一受信信号を減算し、それにより得られる第一差分信号を出力する第一差分演算回路、11はこの第一差分演算回路10と第一クラッター追尾回路8とを直接接続する第一バイパス信号線である。
【0017】
12は第二送受信アンテナ3が受信する第二散乱波が入力され、これに応じた第二受信信号を出力する第二受信機、13は送信機4と第二受信機12との第二送受信アンテナ3に対する接続を切り替える第二切替器、14は第二受信信号に対してクラッター追尾処理を行う第二クラッター追尾回路、15は第二受信信号を第一遅延回路9と同様の時間だけ遅延させる第二遅延回路、16はこの第二遅延回路15により遅延された第二受信信号から上記第二クラッター追尾回路14より直接入力される第二受信信号を減算し、それにより得られる第二差分信号を出力する第二差分演算回路、17はこの第二差分演算回路16と第二クラッター追尾回路14とを直接接続する第二バイパス信号線である。
【0018】
18は第一差分信号と第二差分信号とが入力され、これら2つの信号波形の位相差に基づいて移動物体の観測方向を特定する方探手段、19はこの方探手段18と第一差分演算回路10との間に配設された第二切替えスイッチ、20はこの方探手段18と第二差分演算回路16との間に配設された第三切替えスイッチ、21は観測信号が入力され、この観測信号の一定の周期毎のパルス波に同期して第一切替えスイッチ5、第二切替えスイッチ19および第三切替えスイッチ20を切り替え制御する同期制御手段である。
【0019】
次に動作について説明する。
ここでは説明を簡便にするために、移動プラットフォーム1が第一送受信アンテナ2の配設位置と第二送受信アンテナ3の配設位置とを結ぶ方向に、第二送受信アンテナ3が移動方向前方となるように移動する場合を例に説明する。
【0020】
まず、観測信号に同期して、同期制御手段21が送信機4を第二送受信アンテナ3に接続するように第一切替えスイッチ5を設定するとともに第二切替えスイッチ19および第三切替えスイッチ20を開状態に設定する。この状態で第二切替器13が送信機4を第二送受信アンテナ3に接続すると、送信機4から出力されるパルス波からなる観測信号は第二送受信アンテナ3に入力され、この第二送受信アンテナ3から外部空間へ第二観測電波(観測信号)が放出され、更に、この第二観測電波の物体による散乱波が第一送受信アンテナ2および第二送受信アンテナ3に入力される。
【0021】
このように第一送受信アンテナ2および第二送受信アンテナ3に散乱波が入力された状態において、第一切替器7および第二切替器13がそれぞれの送受信アンテナ2,3にそれぞれの受信機6,12を接続すると、この2つの受信機6,12は受信信号を出力する。
【0022】
そして、このように第一受信機6から第一受信信号が出力されると、第一クラッター追尾回路8はこの第一受信信号に対してクラッター追尾処理を行い、第一遅延回路9はこのクラッター追尾処理後の第一受信信号をパルス波の周期のn倍の時間分だけ遅延させる。また、第二受信機12から第二受信信号が出力されると同様に、第二クラッター追尾回路14はこの第二受信信号に対してクラッター追尾処理を行い、第二遅延回路15はこのクラッター追尾処理後の第二受信信号をパルス波の周期のn倍の時間分だけ遅延させる。
【0023】
次に、上記パルスを出力してから遅延時間の後に観測信号に同期して、同期制御手段21が送信機4を第一送受信アンテナ2に接続するように第一切替えスイッチ5を切り替え、しかも、第二切替えスイッチ19および第三切替えスイッチ20を閉状態に切り替える。この状態で第一切替器7が送信機4を第一送受信アンテナ2に接続すると、送信機4から出力されるパルスは第一送受信アンテナ2に入力され、この第一送受信アンテナ2から外部空間へ第一観測電波が放出され、更に、この第一観測電波の物体による散乱波が第一送受信アンテナ2および第二送受信アンテナ3に入力される。
【0024】
このように第一送受信アンテナ2および第二送受信アンテナ3に散乱波が入力された状態において、第一切替器7および第二切替器13がそれぞれの送受信アンテナ2,3にそれぞれの受信機6,12を接続すると、この2つの受信機6,12は受信信号を出力する。
【0025】
そして、このように第一受信機6から第一受信信号が出力されると、第一クラッター追尾回路8はこの第一受信信号に対してクラッター追尾処理を行い、第一差分演算回路10は、第一遅延回路9で遅延されていた第一受信信号とこの新たに第一クラッター追尾回路8から出力された第一受信信号との差分演算を行って第一差分信号を出力し、この第一差分信号は方探手段18に入力される。同様に、このように第二受信機12から第二受信信号が出力されると、第二クラッター追尾回路14はこの第二受信信号に対してクラッター追尾処理を行い、第二差分演算回路16は、第二遅延回路15で遅延されていた第二受信信号とこの新たに第二クラッター追尾回路14から出力された第二受信信号との差分演算を行って第二差分信号を出力し、この第二差分信号も方探手段18に入力される。
【0026】
そして、上記第一送受信アンテナ2に入力された2つの第一散乱波が静止物体からの散乱波のみからなる場合、この2つの第一散乱波は同様な波形となるので、2つの散乱波の差演算の結果はゼロとなり、移動物体無しの第一差分信号が出力される。逆に、第一送受信アンテナ2に入力された2つの第一散乱波に移動物体からの散乱波を含む場合には、この移動物体からの2つの散乱波のエコーに位相差が生じるので、上記2つの散乱波の差演算の結果はゼロとはならない。第二差分信号も同様である。
【0027】
従って、方探手段18には、観測範囲内を移動する移動物体があれば、それに基づく波形を有する第一差分信号と第二差分信号が入力されることになる。そして、この方探手段18では、この第一差分信号の波形と第二差分信号の波形とを比較し、この2つの信号波形の位相差に基づいて移動物体の観測方向を特定する。
【0028】
また、この一連の観測動作を繰り返すことにより、移動プラットフォーム1の移動に伴って広範囲における移動物体をその観測方向を含めて観測することができる。
【0029】
次に以上の動作により移動物体の存在とともにその観測方向を特定できるアルゴリズムを説明する。図2はこの発明による移動物体の観測アルゴリズムを説明するためのジオメトリである。図において、22は1つ目のパルスを出力したとき(t=t1)の2つの送受信アンテナ2,3の状態、23は1つ目のパルスの散乱波を受信するとき(t=t1)の2つの送受信アンテナ2,3の状態、24は2つ目のパルスを出力したとき(t=t1+n×PRI)の2つの送受信アンテナ2,3の状態、25は2つ目のパルスの散乱波を受信するとき(t=t1+n×PRI)の2つの送受信アンテナ2,3の状態である。そして、1つ目のパルスにおいては、第二送受信アンテナ3から送信しているので、第一送受信アンテナ2の送受信の電気的な位相中心は同図の26の位置となり、第二送受信アンテナ3の送受信の電気的な位相中心は同図の27の位置となる。また、2つ目のパルスにおいては、第一送受信アンテナ2から送信しているので、やはり、第一送受信アンテナ2の送受信の電気的な位相中心は同図の26の位置となり、第二送受信アンテナ3の送受信の電気的な位相中心は同図の27の位置となる。なお、同図においては、移動プラットフォーム1はこの2つの送受信アンテナ2,3の配列方向と平行に移動し、かつ、下記式(1)の速度で移動しているものと仮定している。但し、Bは2つの送受信アンテナ2,3の位相中心同士の間隔であるベースライン長、uは移動プラットフォーム1の移動速度、PRI×nは当該2つのパルスの送出間隔、θは移動方向に対する観測方向のスクイント角度である。
【0030】
B/2=(u×PRI×n)sinθ (1)
【0031】
そして、このように制御することにより、移動物体29からの2つの散乱波は第一の経路30を通って第一送受信アンテナ2に受信され、かつ、第二の経路31を通って第二送受信アンテナ3に受信されることになり、2つの散乱波はそれぞれの送受信アンテナ2,3が同一位置に固定された状態で観測したものと等価とみなすことができる。
【0032】
従って、同図にあるように、移動物体29と第一送受信アンテナ2の位相中心点とを結ぶ第一の経路30の距離と、移動物体29と第二送受信アンテナ2の位相中心点とを結ぶ第二の経路31の距離との間に差がある場合、その経路差分だけ第一送受信アンテナ2が受信する散乱波(第一散乱波)の位相と第二送受信アンテナ3が受信する散乱波(第二散乱波)の位相とに差が生じ、この位相差を下記式(2)に代入することにより方探手段18において移動物体29の観測方向θを特定することができる。但し、ΔΦは2つの差分信号の位相差、λは散乱波の波長である。
【0033】
ΔΦ=(4π/λ)×Δr=(4πB/2λ)sinθ (2)
【0034】
以上のように、この実施の形態1によれば、各送受信アンテナ2,3と、各受信機6,12と、各遅延回路9,15と、各差分演算回路10,16とからなる2系統の受信波処理経路と、このそれぞれの系統から出力される2つの検出信号の間の位相差に基づいて移動物体29の観測方向を特定する方探手段18とともに、移動プラットフォーム1の移動方向前方側に位置する第二送受信アンテナ3から上記送信機4のパルスを出力してから上記各遅延回路9,15の遅延時間の後に出力されるパルスが上記移動プラットフォーム1の移動方向後方側に位置する第一送受信アンテナ2から出力されるように、上記観測信号の周期に同期して上記第一送受信アンテナ2と上記第二送受信アンテナ3とを上記送信機4に択一的に接続する同期制御手段21を備えたので、2つの送受信アンテナ2,3のみを用いて従来とは全く異なる観測制御によって移動物体29を観測する2つの差分演算信号を生成することができる。
【0035】
従って、この発明に係る移動観測用レーダ装置は、従来の移動観測用レーダ装置のように3つの送受信アンテナおよび3系統の受信波処理経路を用いることなく、この2つのパルスの散乱波に基づいて方探手段18に移動物体29の観測方向を特定させることができるので、簡易な構成にて、従来よりも格段なコストダウンや製造期間短縮などの効果を期待することができる効果がある。
【0036】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係る移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、32は第一受信機6と第一クラッター追尾回路8との間に配設され、観測信号のパルスをリニアFM変調したチャープパルスを用いて第一受信信号を圧縮する第一パルス圧縮手段、33は第二受信機12と第二クラッター追尾回路14との間に配設され、観測信号のパルスをリニアFM変調したチャープパルスを用いて第二受信信号を圧縮する第二パルス圧縮手段、34は合成開口レーダのアジマス圧縮としてよく知られているもので、直線状の軌道を飛行しながら観測した時に第二パルス圧縮手段33から出力される第二受信信号の受信信号列の角度分解能力を改善し、この改善された信号に基づいて観測方向の画像を生成する画像生成手段、35はこれらによりレンジ方向およびアジマス方向において高分解能化されたレーダ画像と、方探手段18により観測された移動物体29の位置とを重ねて表示する表示手段である。これ以外の構成は実施の形態1と同様であり同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
次に動作について説明する。
第一受信機6から第一受信信号が出力されると、第一パルス圧縮手段32はチャープパルスを用いてこの第一受信信号を圧縮する。同様に、第二受信機12から第二受信信号が出力されると、第二パルス圧縮手段33はチャープパルスを用いてこの第二受信信号を圧縮する。従って、図4のY軸方向(レンジ方向)の距離分解能力を観測信号パルスのパルス幅で決まる分解能よりも高くすることができる。なお、図4は移動プラットフォーム1の移動方向をX軸としている。
【0038】
また、画像生成手段34は、このようにレンジ方向の距離分解能が向上された第二受信信号に対して更に角度分解能力を改善する処理を行い、これを観測方向の画像として出力している。
【0039】
そして、表示手段35は、このように二次元的に高分解能化された画像の上に、方探手段18から出力される移動物体29の観測方向情報に基づいて移動目標のシンボルを表示する。図5はこの表示例である。図において、36は移動目標のシンボルである。これ以外の動作は実施の形態1と同様であり説明を省略する。
【0040】
以上のように、この実施の形態2によれば、第一受信機6と第一遅延回路9との間に配設され、第一受信信号を圧縮する第一パルス圧縮手段32と、第二受信機12と第二遅延回路15との間に配設され、第二受信信号を圧縮する第二パルス圧縮手段33と、この第一パルス圧縮手段32あるいは第二パルス圧縮手段33により圧縮された受信信号が入力され、この信号に基づいて観測方向の画像を生成する画像生成手段34と、この生成された画像と上記方探手段18により観測された移動物体29の位置とを重ねて表示する表示手段35とを備えるので、この表示手段35の表示に基づいて容易に移動物体29の位置を把握することができる効果がある。
【0041】
従って、この実施の形態2の構成によれば、開口が2つしかないアンテナで移動目標を検出してその方位を測定し、その位置をレーダ画像上に表示できるレーダ装置を得ることができる。
【0042】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3に係る移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、37は方探手段18から出力される移動物体29の観測方向情報が入力され、複数の観測方向情報に基づいて移動物体29の移動速度情報を生成する速度算出手段、38は生成画像や移動物体29の観測方向情報とともにこの移動物体29の移動速度情報が入力され、生成画像に重ねて移動物体29の現在位置を表示するとともに、その現在位置を基点として上記移動速度情報をベクトルとして表示する表示手段である。
【0043】
図7はこの発明の実施の形態3の速度算出手段の速度算出処理を説明するためのジオメトリである。同図は移動プラットフォーム1の移動方向と平行にX軸が設定されている。図において、39は1回目の観測を行ったときの移動プラットフォーム1の位置、40は2回目の観測を行ったときの移動プラットフォーム1の位置、41は1回目の観測を行ったときの移動物体29の位置、42は2回目の観測を行ったときの移動物体29の位置、43はこの2回の観測期間の間における移動物体29の移動方向ベクトルである。
【0044】
そして、同図に示すように、1回目の観測により得られた移動物体29の観測方向のスクイント角度をθ1、1回目の観測時の移動プラットフォーム1と移動物体29との距離をr1、2回目の観測により得られた移動物体29の観測方向のスクイント角度をθ2、2回目の観測時の移動プラットフォーム1と移動物体29との距離をr2、移動プラットフォーム1の地上からの高さをhとし、座標の中心点を移動プラットフォーム1の鉛直方向の地表上に設定すれば、下記式(3)から式(5)により移動物体29の移動速度を求めることができる。なお、以下の式において、Tはこの2つのパルスを送出する間の時間である。
【0045】
【数1】
Figure 0003660152
【0046】
図8はこの発明の実施の形態3による表示手段38の表示画面の一例である。図において、44は上記速度算出手段37が求めた移動速度情報を表示する速度ベクトルである。これ以外の構成および動作は実施の形態2と同様であり説明を省略する。
【0047】
以上のように、この実施の形態3によれば、方探手段18からの移動物体29の2つ以上の検出方向情報と、その2つ以上の検出方向情報の観測期間における移動プラットフォーム1の移動経路および移動速度とに基づいて当該移動物体29の移動方向情報を生成する速度算出手段37を設け、表示手段38はこの移動速度を再生画像や移動物体の位置とともに表示するので、単にある瞬間の移動物体29の位置を容易に把握できるのみに留まらず、今後どのように移動していくかについても容易に把握することができる効果がある。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、送受信アンテナと、受信機と、遅延回路と、差分演算回路とからなる2系統の受信波処理経路と、このそれぞれの系統から出力される2つの検出信号の間の位相差に基づいて移動物体の観測方向を特定する方探手段とともに、移動プラットフォームの移動方向前方側に位置する送受信アンテナから上記送信機のパルスを出力してから上記遅延回路の遅延時間の後に出力されるパルスが上記移動プラットフォームの移動方向後方側に位置する送受信アンテナから出力されるように、上記観測信号の周期に同期して上記第一送受信アンテナと上記第二送受信アンテナとを上記送信機に択一的に接続する同期制御手段を備えたので、2つの送受信アンテナのみを用いて従来とは全く異なる観測制御によって移動物体を観測する2つの差分演算信号を生成することができる。
【0049】
従って、この発明に係る移動観測用レーダ装置は、従来の移動観測用レーダ装置のように3つの送受信アンテナおよび3系統の受信波処理経路を用いることなく、この2つのパルスの散乱波に基づいて方探手段に移動物体の観測方向を特定させることができるので、簡易な構成にて、従来よりも格段なコストダウンや製造期間短縮などの効果を期待することができる効果がある。
【0050】
この発明によれば、第一受信機と第一遅延回路との間に配設され、第一受信信号を圧縮する第一パルス圧縮手段と、第二受信機と第二遅延回路との間に配設され、第二受信信号を圧縮する第二パルス圧縮手段と、この第一パルス圧縮手段あるいは第二パルス圧縮手段により圧縮された受信信号が入力され、この信号に基づいて観測方向の画像を生成する画像生成手段と、この生成された画像と上記方探手段により観測された移動物体の位置とを重ねて表示する表示手段とを備えるので、この表示手段の表示に基づいて容易に移動物体の位置を把握することができる効果がある。
【0051】
この発明によれば、方探手段の移動物体の2つ以上の検出方向情報と、その2つ以上の検出方向情報の観測期間における移動プラットフォームの移動経路および移動速度とに基づいて当該移動物体の移動方向情報を生成する速度算出手段を設け、表示手段はこの移動速度を生成画像や移動物体の位置とともに表示するので、単にある瞬間の移動物体の位置を容易に把握できるのみに留まらず、今後どのように移動していくかについても容易に把握することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明による移動物体の観測アルゴリズムを説明するためのジオメトリである。
【図3】 この発明の実施の形態2による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】 この発明の実施の形態2の高分解能処理を説明するためのジオメトリである。
【図5】 この発明の実施の形態2による表示手段の表示画面の一例である。
【図6】 この発明の実施の形態3による移動観測用レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図7】 この発明の実施の形態3の速度算出手段の速度算出処理を説明するためのジオメトリである。
【図8】 この発明の実施の形態3による表示手段の表示画面の一例である。
【図9】 従来の移動観測用レーダ装置の構成図である。
【図10】 従来の移動観測用レーダ装置の動作を説明するためのジオメトリである。
【符号の説明】
1 移動プラットフォーム、2 第一送受信アンテナ、3 第二送受信アンテナ、4 送信機、6 第一受信機、9 第一遅延回路、10 第一差分演算回路、12 第二受信機、15 第二遅延回路、16 第二差分演算回路、18 方探手段、21 同期制御手段、29 移動物体、32 第一パルス圧縮手段、33 第二パルス圧縮手段、34 画像生成手段、35,38 表示手段、37 速度算出手段。

Claims (3)

  1. 移動プラットフォーム上に配設され、移動物体を検出する移動観測用レーダ装置において、
    一定の周期毎のパルス波からなる観測信号を生成する送信機と、
    上記観測信号を第一観測電波として放射するとともに、受信した散乱波を第一散乱波として受信する第一送受信アンテナと、
    上記第一散乱波が入力され、これに応じた第一受信信号を出力する第一受信機と、
    第一受信信号を上記パルス波の周期の整数倍の時間分だけ遅延させる第一遅延回路と、
    遅延後の第一受信信号と上記第一受信機から直接入力された第一受信信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の第一検出信号として出力する第一差分演算回路と、
    上記観測信号を第二観測電波として放射するとともに、受信した散乱波を第二散乱波として受信する第二送受信アンテナと、
    上記第二散乱波が入力され、これに応じた第二受信信号を出力する第二受信機と、
    第二受信信号を上記第一遅延回路と同じ時間だけ遅延させる第二遅延回路と、遅延後の第二受信信号と上記第二受信機から直接入力された第二受信信号との差分演算を実行し、それにより得られる差分信号を移動物体の第二検出信号として出力する第二差分演算回路と、
    第一検出信号と第二検出信号との位相差に基づいて上記移動物体の観測方向を特定する方探手段と、
    上記移動プラットフォームの移動方向前方側に位置する送受信アンテナから上記パルス波を出力してから上記遅延時間の後に出力されるパルス波は上記移動プラットフォームの移動方向後方側に位置する送受信アンテナから出力されるように、上記観測信号の周期に同期して上記第一送受信アンテナと上記第二送受信アンテナとを上記送信機に択一的に接続するとともに、この2つのパルスの散乱波に基づいて上記方探手段には移動物体の観測方向を特定させる同期制御手段とを備えたことを特徴とする移動観測用レーダ装置。
  2. 第一受信機と第一遅延回路との間に配設され、第一受信信号を圧縮する第一パルス圧縮手段と、
    第二受信機と第二遅延回路との間に配設され、第二受信信号を圧縮する第二パルス圧縮手段と、
    この第一パルス圧縮手段あるいは第二パルス圧縮手段により圧縮された受信信号が入力され、この信号に基づいて観測方向の画像を生成する画像生成手段と、
    この生成された画像と上記方探手段により観測された移動物体の位置とを重ねて表示する表示手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の移動観測用レーダ装置。
  3. 方探手段の移動物体の2つ以上の検出方向情報と、その2つ以上の検出方向情報の観測期間における移動プラットフォームの移動経路および移動速度とに基づいて当該移動物体の移動方向情報を生成する速度算出手段を設け、
    表示手段はこの移動速度を生成画像や移動物体の位置とともに表示することを特徴とする請求項2記載の移動観測用レーダ装置。
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