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JP3660156B2 - 設計支援装置、設計情報管理装置、設計情報編集方法、設計支援システムおよび設計情報編集プログラムを格納する記録媒体 - Google Patents
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JP3660156B2 - 設計支援装置、設計情報管理装置、設計情報編集方法、設計支援システムおよび設計情報編集プログラムを格納する記録媒体 - Google Patents

設計支援装置、設計情報管理装置、設計情報編集方法、設計支援システムおよび設計情報編集プログラムを格納する記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、設計支援装置、設計情報管理装置、設計情報編集方法、設計支援システムおよび設計情報編集プログラムを格納する記録媒体に関する。特に、複数のユーザーにより設計情報を共有して製品設計を行う協調型製品設計環境において、製品全体における各設計因子の解析を容易に行うことによって、製品設計の効率化を実現するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、メカトロ製品設計などにおける設計は複雑化の一途を辿っている。メカトロ製品は膨大な設計因子を有し、かつこれら設計因子の間の関係は複雑となる。このため一般には、例えば、機械、熱力学、材料などの多岐にわたる各分野の専門知識を有する設計者が相互に協調することにより、1つの製品についての複合的な設計を行う。
【0003】
このいわゆる複合的設計において、各分野の設計者はそれぞれ、種々の設計制約を設計知識として入力し、自己の関与する各設計因子の解析に用いるツールに適合する解析モデルを作成する。これらの解析モデルを用いて、1つあるいは複数の設計因子に関する解析が個別に行われていた。この解析により、製品の各特性値に適合する各設計因子についての設計のパラメータ値が得られ、設計データが作成されていた。
【0004】
一方、全体の設計作業を管理する設計管理者は、それぞれの設計者が決定した設計因子から主要な設計因子を選択し、この設計因子の条件値を設定した上で、製品全体の挙動解析を各種解析ツールを用いて行う。この挙動解析の結果、各設計因子の最適化が図られていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の複合的設計には、以下の問題点があった。
【0006】
上述したように、設計因子の数は膨大であって他分野にわたり、かつ設計因子相互の関係は複雑である。また、設計の早期段階においてはこれら設計因子の間の交互作用の有無・程度は不明である。このため、実際には設計の後期段階にならないと、実用的な精度での製品の性能検証は行えないことが多い。従って、設計のやり直し(バックトラック)が頻発していた。
【0007】
すなわち、各設計者は、例えば有限要素法(Finite-Element Method:以下、「FEM」と称する)などを用いたツールにより、自己の関与する設計因子の解析を行うことはできる。しかし、各設計者が他分野の設計因子が不明である設計早期段階で、製品全体の挙動解析等の複合的解析を行うことは困難であった。仮に、ある設計者がこの複合的解析のための複合的モデルを作成しても、自己の関与する設計因子以外の設計制約は詳細にはわからない。このため、この複合的モデルについての解析の探索空間は非常に広く、実用的な時間で実用的な精度の解析を行うことはできなかった。
【0008】
一方、設計管理者は、製品全体の挙動解析のために製品の性能を左右する膨大な設計因子を実験・解析などにおいて最適化する種々のツールを用いることができる。しかし、上述したように、メカトロ製品設計においては、設計因子が膨大かつ多分野にわたり、さらに設計因子間の関係は複雑に絡み合っている。設計管理者は、膨大な設計因子のそれぞれの設計制約や交互作用の有無が詳細にはわからない。このため、設計管理者が、複雑な解析対象を効率よく包括的にモデル化することが困難であった。さらに、モデル化できてもその設計因子のパラメータ解析等の各種解析の際に、適切に設計パラメータを選択し、かつこれらの設計パラメータに適切な条件値(水準)を与えて解析を実施して設計因子を最適化するには多くの労力と時間を要した。このため、製品全体の挙動解析・性能検証を行うことは大規模製品設計である程、より困難であった。
【0009】
より具体的には、ある設計者が、例えば、米国SDRC社のI−DEASなどに代表される解析ツールでFEMに基づく解析を行うためには、FEMの原理上、製品の形状情報が不可欠である。しかしこの製品の形状情報は、種々の設計制約を満たすように決定される必要があるため、設計後期でないと決定できない場合が多い。
【0010】
ここで、製品形状データの入力自体を各種CAEツールを用いて省力化をすることはできる。しかし、この製品形状データからFEM用の3次元要素からなるメッシュモデルと呼ばれる有限要素モデルを生成し、各種拘束条件や負荷などを適切に定義し、解析結果を得るためには、多分野にわたる各設計者の多くの経験・工学的知識が必要となる。さらに、得られた解析結果を読み取ってその工学的な意味を判断し、具体的な設計情報の改善を講じるためにもこの設計者の経験や工学的知識に依るところが多い。このため、解析に要する多くの時間に対して解析結果として有用な情報が得られる場合は少なかった。その上、設計代替案選択などの重要な判断をなさなければならないのはむしろ製品形状も決定されていない設計初期である場合が多い。このため、定量的な解析精度はある程度に留めても、膨大な設計因子の感度解析を実用的時間で簡易に行える手法・環境が必要となる。しかし、各設計者が個別のツールにより製品全体にわたる膨大な設計因子の感度解析を行うことは困難であった。
【0011】
また、設計環境をネットワーク化することにより、それぞれの設計者の入力したCADデータ・図表ファイルなどの設計情報を共有することができる。この設計情報共有により、ある設計者は、他の設計者が作成した解析モデルにアクセスすることは可能であった。しかし、ある設計者あるいは設計管理者が、他の設計者が固有の解析ツールに適合すべく作成した解析モデルを分析し、所望する設計因子の条件値を得ることは困難であった。さらに自己の関与する設計因子の条件値を反映すべく、他の設計者が作成した解析モデルの各設計因子を把握し、この解析モデルに修正を加えることは困難であった。
【0012】
以上説明したように、本発明は、従来の複合的設計手法において、設計早期段階での、製品全体についての多数の設計因子の感度解析、製品の性能分析を行うことが困難であるため、設計のやり直しが頻発していたという問題点を解決するためになされたものである。
【0013】
そして、その目的とするところは、各設計者に自己の関与する設計因子のみを意識して設計知識を入力させ、かつこれらの設計知識を相互に編集させることで、設計の早期段階で、製品全体における各設計因子の感度解析、製品の性能分析を可能とする設計支援装置、設計情報管理装置および設計支援システムを提供することにある。
【0014】
また、他の目的は、製品の性能を左右する設計因子の感度を分析する解析エンジンへの解析条件を各設計者に容易に設定させることで、設計の早期段階で、各設計因子の感度解析を実用的時間で簡易に行って各設計因子を容易に最適化することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明の特徴は、ネットワーク上に配置され、設計制約の数式からなる設計知識を複数のユーザーに相互に編集させる点にある。さらに、この相互に編集された設計知識から導出された数理モデルを解析するための解析条件を、設計知識の編集と連動させて設定させる点にある。
【0016】
かかる機能を実現するための、本発明の第1の特徴は、設計対象に関する設計条件を規定する数式からなる設計情報を編集する設計情報編集部と、前記数式に用いられる設計因子群から任意の設計因子を選択させるとともに前記選択された設計因子の属性情報を入力させることにより、前記設計情報を解析するための解析条件を設定する解析条件設定部とを具備することを特徴とする設計支援装置を提供する点にある。尚、設計対象である製品に関する設計条件を規定する数式を、以下設計制約式と称する。また、設計因子とは、この設計制約式中で用いられる設計変数等を含む。
【0017】
上記構成によれば、複数の設計者により入力された各設計制約式を連立させて数理モデル化し、この数理モデルを解析条件に従い挙動解析することで各設計因子の感度を解析することができる。このため、各設計者が自己の関与する設計因子のみならず、他の設計者が入力した設計制約も容易に理解しながら製品全体の設計因子を容易に最適化することができる。
【0018】
また、本発明の第2の特徴は、前記設計情報編集部は、さらに、既に入力された他の数式群および前記数式群に用いられる設計因子群のいずれか1つ以上を一覧表示する設計情報表示手段を具備する点にある。
【0019】
上記構成によれば、他の設計者により既に入力された設計制約式に関連させて、自己の関与する設計因子に関する新たな設計制約式を容易に入力・編集することができる。
【0020】
また、本発明の第3の特徴は、前記解析条件設定部は、前記設計情報表示手段が表示する前記一覧表示された前記設計因子群に基づいて、前記設計因子を選択させる点にある。
【0021】
上記構成によれば、設計制約式、設計因子などの設計モデル情報の編集と連動させて所望する設計因子の解析条件の設定を容易に行うことができる。
【0022】
また、本発明の第4の特徴は、前記設計情報表示手段は、前記一覧表示された前記数式群または設計因子群の中から、指示された箇所に対応する前記設計因子を、該設計因子の内容を示す設計因子記述あるいは短縮化設計因子記述に切り替え表示可能な表示制御手段を具備する点にある。
【0023】
上記構成によれば、設計者は必要に応じて既に入力されている設計制約式、設計因子の内容を必要に応じて、設計因子の内容を端的に示す設計因子名と設計制約式の表示に適した短縮化された設計因子名とを、適宜簡略表示又は詳細表示して、これらの内容を把握することができる。
【0024】
また、本発明の第5の特徴は、前記設計情報表示手段は、前記一覧表示された設計因子群の中から指示された任意の前記設計因子を、入力領域に新たな前記数式を構成する設計因子として自動入力する入力補助手段を具備する点にある。
【0025】
上記構成によれば、設計者は既に入力されている設計因子を利用して、新たな設計制約式を容易に入力することができる。
【0026】
また、本発明の第6の特徴は、さらに、前記設計情報中の選択された設計因子に関する数値解析結果情報を提示する解析情報提示部を具備する点にある。
【0027】
上記構成によれば、各設計者は自己の関与する設計因子のボトルネックを早期に把握し、設計変更することができる。
【0028】
また、本発明の第7の特徴は、前記設計情報は、さらに、設計対象に関するテーブル情報、図表情報のいずれか1つ以上を含む点にある。
【0029】
上記構成によれば、解析ツール依存性のないラフな設計制約の数式に対応付けて、種々のデータを解析用モデルに反映させることができる。
【0030】
また、本発明の第8の特徴は、前記解析条件設定部は、実験計画法に基づいて、直交表に対して解析対象とすべき設計因子および該設計因子の水準を入力させることにより前記解析条件を設定する点にある。
【0031】
上記構成によれば、製品モデルの膨大な解空間を収束させて、各設計因子の数値傾向を導出することで、設計の早期段階においても実用的時間で簡易に設計因子の感度を解析することができる。
【0032】
また、本発明の第9の特徴は、外部からの入力により蓄積され、設計対象に関する設計条件を規定する数式からなる設計情報を記憶する設計情報記憶部と、前記設計情報から数理モデルを導出する数理モデル生成部と、前記設計情報中の解析すべき設計因子および該設計因子の属性情報を、前記導出された数理モデルの解析条件として生成する解析情報制御部とを具備することを特徴とする設計情報管理装置を提供する点にある。
【0033】
上記構成によれば、複数の設計者により入力された各設計制約式を連立させて数理モデル化し、この数理モデルを解析条件に従い挙動解析することで各設計因子の感度を解析することができる。このため、各設計者が自己の関与する設計因子のみならず、他の設計者が入力した設計制約も容易に理解しながら製品全体の設計因子を容易に最適化することができる。
【0034】
また、本発明の第10の特徴は、さらに、前記数理モデルを前記解析条件に従って数値解析する解析部と、前記解析条件に基づいて、前記解析部が出力する解析結果を用いて前記設計因子を最適化する設計因子最適化部とを具備する点にある。
【0035】
上記構成によれば、数理モデルの解析結果に基づき、最適な設計条件を容易に導出することができる。
【0036】
また、本発明の第11の特徴は、上記設計情報管理装置は、さらに、前記数理モデル生成部により導出された前記数理モデルを、前記解析部が解析可能な解析モデルに変換するモデル変換部とを具備する点にある。
【0037】
上記構成によれば、生成された数理モデルを解析目的に応じて選択的に種々の解析エンジンにより解析することができる。
【0038】
また、本発明の第12の特徴は、前記解析情報制御部は、実験計画法に基づいて、解析対象とすべき設計因子および該設計因子の水準を保有する所定の直交表を前記解析条件として設定する点にある。
【0039】
上記構成によれば、製品モデルの取りうる膨大な因子水準の空間を現実的な組み合わせ数に収束させて、各設計因子の数値傾向を導出することで、設計の早期段階においても実用的時間で簡易に設計因子の感度を解析することができる。
【0040】
また、本発明の第13の特徴は、複数の設計情報編集装置と、前記複数の設計情報編集装置とネットワークを介して接続される設計情報管理装置とからなる設計支援システムであって、前記設計情報編集装置は、設計対象に関する設計条件を規定する数式からなる設計情報を編集する設計情報編集部と、前記数式に用いられる設計因子群から任意の設計因子を選択させるとともに前記選択された設計因子の属性情報を入力させることにより、前記設計情報を解析するための解析条件を設定する解析条件設定部とを具備し、前記設計情報管理装置は、前記複数の設計情報編集装置からの相互入力により蓄積され、前記数式からなる設計情報を記憶する設計情報記憶部と、前記設計情報から数理モデルを導出する数理モデル生成部と、前記複数の設計情報編集装置からの相互入力に基づいて、前記設計情報中の解析すべき設計因子および該設計因子の属性情報を、前記導出された数理モデルの解析条件として生成する解析情報制御部とを具備することを特徴とする設計支援システムを提供する点にある。
【0041】
上記構成によれば、複数の設計者により入力された各設計制約式を連立させて数理モデル化し、この数理モデルを解析条件に従い挙動解析することで各設計因子の感度を解析することができる。このため、各設計者が自己の関与する設計因子のみならず、他の設計者が入力した設計制約も容易に理解しながら製品全体の設計因子を容易に最適化することができる。
【0042】
さらに、本発明の第14の特徴は、設計情報を編集する設計情報編集方法であって、設計対象に関する設計条件を規定する数式からなる設計情報を編集する設計情報編集ステップと、前記数式に用いられる設計因子群から任意の設計因子を選択させるとともに前記選択された設計因子の属性情報を入力させることにより、前記設計情報を解析するための解析条件を設定する解析条件設定ステップとを含むことを特徴とする設計情報編集方法を提供する点にある。
【0043】
上記構成によれば、複数の設計者により入力された各設計制約式を連立させて数理モデル化し、この数理モデルを解析条件に従い挙動解析することで各設計因子の感度を解析することができる。このため、各設計者が自己の関与する設計因子のみならず、他の設計者が入力した設計制約も容易に理解しながら製品全体の設計因子を容易に最適化することができる。
【0044】
また、本発明の第15の特徴は、設計情報を編集する設計情報編集プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、設計対象に関する設計条件を規定する数式からなる設計情報を編集する設計情報編集処理と、前記数式に用いられる設計因子群から任意の設計因子を選択させるとともに前記選択された設計因子の属性情報を入力させることにより、前記設計情報を解析するための解析条件を設定する解析条件設定処理とを含むことを特徴とする設計情報編集プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する点にある。
【0045】
上記構成によれば、複数の設計者により入力された各設計制約式を連立させて数理モデル化し、この数理モデルを解析条件に従い挙動解析することで各設計因子の感度を解析することができる。このため、各設計者が自己の関与する設計因子のみならず、他の設計者が入力した設計制約も容易に理解しながら製品全体の設計因子を容易に最適化することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態は、製品の設計制約および設計因子解析のための解析条件を複数のユーザーにインタラクティブに編集させる機能を提供する。
【0047】
図1は本発明の実施形態に係る設計支援装置、設計情報管理装置および設計支援システムの機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る設計支援システムは、設計情報を編集するエディタ部1と、各エディタ部1とネットワーク3を介して接続され、編集された設計情報に対して後述する実験計画法に基づく解析における各設計因子の水準(条件値)の組み合わせを計算し、得られた解析条件により各設計因子の数値解析をし、因子の要因効果分析やパラメータ設計を行い、最適化指針を提示する設計情報サーバ2とから構成される。
【0048】
設計情報サーバ2はさらに、設計データ記憶部21と、解析情報制御部23と、数値解析エンジン部24と、計算手続き生成処理部25と、最適化エンジン部26とを具備する。
【0049】
エディタ部1は、ネットワーク上のクライアント側に配置され、例えばWWWなどを経由して設計情報サーバ2にアクセスする。ユーザーは、エディタ部1を用いて、各種設計データを設計知識として設計データ記憶部21に入力する。尚、ユーザーが入力するこの設計データは、各種ツールに依存性のない、簡易な数式レベルの設計制約式として入力される。尚、この設計データは、テーブルデータ、図表データを含んで構成されてもよい。エディタ部1は、各ユーザに、すでに編集された設計データを適宜提示し、編集させることができる。また、エディタ部1は、数値解析エンジン部24が出力する解析結果を、解析情報制御部23を介して表示する。また、それぞの分野の設計者であるユーザーが使用する各エディタ部1は、グラフィック・ユーザー・インターフェースを介して設計データ記憶部21を共有・編集することができる。尚、エディタ部1は、請求項における設計モデル情報編集部と、解析条件設定部と、解析情報提示部とを具備する設計支援装置に対応する。
【0050】
設計データ記憶部21は、複数のユーザーから入力された設計データを設計情報サーバ側のデータベースとして保存する。設計データ記憶部21は、入力された設計制約データの一貫性を維持する。また、複数のクライアント側ユーザーに対してデータベース中の設計データの内容を適宜表示し情報共有を可能とする。またエディタ部1により入力された設計制約データは、最終的に連立方程式として数理モデル化され、後述される数値解析エンジン部24へ、性能予測解析を行うために出力とされる。尚、設計データ記憶部21は、請求項における設計モデル情報記憶部および数理モデル生成部に対応する。あるいは、数理モデル生成部が行う設計制約データからの数理モデル生成処理は、必要に応じて数値解析エンジン部24の一部として構成されてもよい。
【0051】
解析情報制御部23は、設計データ記憶部21に入力され、生成された数理モデルに含まれる各設計因子を抽出し、この抽出された設計因子の解析条件を編集および管理する。ユーザーは、エディタ部1を介して、解析情報制御部23に、解析すべき設計因子と、当該設計因子の条件値である水準値と、必要に応じて当該設計因子の種別とを解析条件として設定する。解析条件は、例えば一般に知られる実験計画法に基づき設定される。尚、解析情報制御部23は、数値解析エンジン部24のプリ・プロセッサおよびポスト・プロセッサとして機能する。
【0052】
実験計画法は、製品の性能を左右する多数の因子を実験や解析などで効率良く最適化するために利用される手法である。実験計画法の利用手順は、「実験計画法入門」(鷲尾泰俊著、日本規格協会発行)に詳しい。この実験計画法利用を支援するソフトウェアとしては、(株)リコーが開発している「Ripses」や、日本規格協会が発売している「Anova」などが知られている。
【0053】
実験計画法において、まず、ユーザーは、エディタ部1上で一覧表示されたそれぞれの設計因子から、設計上重要と思われる因子を選択する。これらの選択された因子に、制御因子・信号因子・誤差因子等の因子種別を割り付ける。制御因子は、解析の対象となり、設計者がコントロール可能な因子である。一方、誤差因子は、制御因子の解析における各種環境条件や誤差要因を表すための因子である。信号因子は、入力の変化に対する出力特性を解析する場合の入力因子である。
【0054】
次に、ユーザーは、各因子を、与えられた直交表に割り付ける。直交表は、例えば図3に示すように、各因子の取りうる条件値である水準値の組み合わせのパターンを記述する表である。この直交表は、ある因子の各水準に対して、他の因子の各水準値の組み合わせが必ず同数回ずつ定義されている。このため、解析すべき因子に対して他の因子の影響が均質に働く性質を利用して、直交表に定義された各因子固有の要因効果(主効果および交互作用効果)を分析することができる。本来、要因解析では、評価したい因子を同時にとりあげ、これらの因子の水準のすべての組み合わせ全部について解析して各因子の要因効果を評価する必要がある。この直交表は、この要因解析における解析パターンを削減し、探索空間を狭めるために用いることができる。尚、ある因子の水準効果が、別の因子の水準がどうであるかによって異なる場合があるが、これらの因子の間の水準の組み合わせに対して特別に生ずる組み合わせ効果を交互作用と称する。主効果とは、この交互作用に対する、各因子の水準の平均的な効果をいう。
【0055】
直交表には、L18(61×36)、L18(21×37)、L8(27)、L16(215)、L27(313)、L36(211×312)などの実験計画法に所定の種類がある。ユーザーはこれらの直交表の中から、所望する設計因子の解析に適切な直交表を、因子の数、水準数、また要因効果解析を行うのかパラメータ設計によるロバスト性評価を行うのかなどの解析のタイプ等を考慮して選択する。あるいは、ユーザが解析情報制御部23に対して入力した設計因子の数、種別、水準値などの解析条件に基づき、解析条件制御部23が、最適な直交表を選択してユーザーに提示してもよい。
【0056】
この直交表により、所定回数の解析を実行する際の因子の水準の組み合わせが決定される。例えば、L18(61×36)の直交表では、最大で6水準の因子1種と、3水準の因子6種の組み合わせで因子の水準の組み合わせが決定される。単純にこの組み合わせの全てを実験もしくは解析する場合には、61×36=4374通りの組み合わせの解析を行うことになる。他方、各因子間の交互作用を無視して評価を行うという立場に立ってL18(61×36)の直交表を利用すれば、18通りの実験もしくは解析の試行で各因子の要因分析が可能となる。あるいは、交互作用も含めたノイズに対するロバスト性も考慮した解析を行う場合でも、(18×誤差因子の水準数)通りの実験もしくは解析の試行で各因子の要因分析やパラメータ設計が可能となる。このため、各因子の設計に与える影響が短期に効率よく定量的に評価できる。
【0057】
数値解析エンジン部24は、エディタ部1からの設計制約データの入力に基づき構築された、ツール依存性のない数理モデルを取得し、解析情報制御部23で決定された因子の水準などを解析条件として、数理モデルの挙動を解析する数学エンジンである。
【0058】
製品設計に頻出する設計制約のパターンとしては、二階程度の常微分方程式を基本式として、方程式の各定数が各種の非線形性を持ち、しかもその特性が数式や表などの形で与えられることが多い。これらの設計に関する設計情報がエディタ部1で収集され集中化され、数理モデル化される。
【0059】
数値解析エンジン部24は、この数理モデルを連立方程式や補間関数など数値解析エンジン部24で取り扱える形式に変換し、この数理モデルの挙動を解析する。一般に、解析には、代数的に数式を簡略化してゆく代数的解法と、微少時間に解析時間を分割して数値的に積分を繰り返し数値解を得る数値解法とがあり、両者は適宜使い分けられながら解析が実行されることが通常である。但し、設計情報のように複雑な非線形性や条件分岐などを含む複雑なモデルには、数値解法の方が適する場合が多い。数値解析エンジン部24は、各設計因子の相対的数値傾向を簡易に導出する。このため、ユーザーは、製品の設計指針として工学的に十分な情報量を得ることができる。尚、数値解析エンジン部24は、請求項における解析部に対応する。
【0060】
計算手続き生成処理部25は、得られた数理モデルを、数値解析エンジン部24が用いる構文・取り扱える演算の種類・手続きのアルゴリズム等の特有のルールに適合する解析モデルに必要に応じて変換する。尚、計算手続き生成処理部25は、請求項におけるモデル変換部に対応する。
【0061】
最適化エンジン部26は、数値解析エンジン部24で得られた解析結果に基づき、製品の特性値に則した最適な設計因子の値を算出する。この設計因子の最適化により、ユーザーは、最適な設計指針を設計早期において得ることができる。尚、最適化エンジン部26は、請求項における設計因子最適化部に対応する。
【0062】
次に、本実施形態における設計支援装置および設計情報管理装置のハードウエア構成を説明する。本発明に係る設計支援装置および設計情報管理装置は、ワークステーション、汎用コンピュータ、PC、各種携帯情報端末等の各種コンピュータに実装される。尚、本発明に係る設計支援装置は図1中のクライアント側に配置されるエディタ部1を成す。一方、設計情報管理装置は、図1中の設計情報サーバ2を成す。これらクライアントおよびサーバは、ネットワーク3を介して設計支援システムを成す。
【0063】
各コンピュータは、CPUと、データメモリと、プログラムメモリと、ハードディスクと、外部ディスク駆動機構と、通信インターフェースと、入出力部とを具備する。CPUは、設計支援装置および設計情報管理装置を実現するソフトウエアを制御・実行することにより、本実施形態を実現する。
【0064】
尚、本発明に係る設計支援および設計情報管理の各種処理を実現するためのプログラムは、各種記録媒体に保存することができる。かかる記録媒体を、上記ハードウエアを具備するコンピュータのCPUにより読み出し、このプログラムを実行することにより、本発明が実施される。ここで、記録媒体とは、例えば、半導体メモリ・磁気ディスク(フロッピーディスク・ハードディスク)・光ディスク(CD−ROM・DVD等)、プログラムを記録することのできる装置全般を含む。さらに、上記プログラムは、ネットワーク等の各種通信手段を通じて配布されてもよい。
【0065】
本実施形態は上記のように構成されており、以下その処理の流れを図2乃至図13を参照して順に説明する。
【0066】
まず、設計に関与する設計者や専門家などのユーザーは、エディタ部1を用いて、設計対象である製品に関する各種情報や専門知識を設計データ(設計情報)として入力する(S10)。この入力の際、エディタ部1は、例えばインターネットブラウザなどを利用して複数の画面を切り替え表示する。ユーザーは、これらの画面に対して設計データなどを入力したり、あるいは他ユーザーが入力した設計データを閲覧・編集する。具体的には、クライアント側である各ユーザーは、例えばインターネットブラウザなどを介して設計情報サーバ2に接続する。次に、ユーザは、HTML(Hyper Text Markup Language)やCGI(Common Gateway Interface)などの技術を用いて提供されるグラフィック画面に設けられたダイアログボックスに、設計データをクライアント側のキーボードから入力する。あるいは、設計に関するドキュメントや図表などの電子ファイル類を設計情報サーバ2へアップロードする。
【0067】
これらの設計データ情報は、設計データ記憶部2へ送信されデータベースとして構築される(S20)。ここで、設計データは、製品の性能に関する設計制約式・テーブル等からなる。ユーザーは、他ユーザーが既に入力した設計制約式などの設計データを閲覧しながら適宜設計データを追加・編集する。具体的には、例えば機構設計者が製品の運動方程式を入力済みであるとする。次に熱解析の専門家が、この運動方程式に使われているバネ定数の、温度依存性に関する熱力学方程式を追加する。この際、熱解析の専門家は、既に入力されている運動方程式を、エディタ部1から容易に閲覧できる。このため、熱解析の専門家は、バネ定数を含む運動方程式に使われている変数名の統一性に留意しつつ、熱力学方程式を追加することができる。
【0068】
上記のような手順により、複数の専門家が協調しながら設計データを入力・補完し、最終的な設計情報から、製品挙動を予測することのできる数理モデルが設計データ記憶部21からバックグラウンド処理等により生成される(S30)。例えば数理モデルが時間軸上の微分方程式を中心とした連立方程式からなる場合、この数理モデルの連立方程式を時間軸上で積分して解くことにより数値解析を実行すれば、製品の時間軸応答を知ることができる。これにより、製品挙動を容易に評価できる。
【0069】
ここで、本実施形態に係る設計情報編集方法が行う図2のフローチャートのステップS10に示す設計情報入力の手順を、図4乃至図11の画面を参照して詳細に説明する。
【0070】
図4は、本実施形態に係る設計支援装置のエディタ部1が提供するGUI(Graphic User Interface)の一例を示す。図4中、数式一覧(F9)には既に他のユーザーが、3つの設計制約である数式(F1、F2、F3)を入力済みである。数式一覧の下部に位置する変数一覧(F10)には、これらの3つの数式で使用されている変数が、その変数の定義とともに一覧表示されている(F4〜F8)。
【0071】
これらの数式一覧および変数一覧の一部または全部は、それぞれのボックスの右上にある短縮表示/詳細表示切り替えアイコンをクリック等により指示される(以下、単に「クリック」すると称する)ことで、短縮表示/詳細表示を任意に切り替え表示させることができる。
【0072】
図4の数式一覧では、短縮表示が選択されているため、各数式の変数の意味内容は表示されていない。一方、図4の変数一覧では、詳細表示が選択されているため、各変数とともに当該変数の定義が表示されている。同様に、図6の入力ボックス(ダイアログボックス)では、詳細表示が選択されている(F20)ため、方程式F=i×B×lがデコードされている(F21)。このため、その方程式の意味内容を容易に把握させることができる。
【0073】
次に、他の分野の設計者であるユーザーが新たな設計制約として数式を追加する手順を説明する。まずユーザーはインターネットブラウザ(ウェブブラウザ)により設計情報サーバ2にアクセスして、図4のGUIをクライアントマシン上のエディタ部1で開く。ユーザーは、図4の数式一覧および変数一覧を適宜閲覧することで、自らが入力しようとしている設計式に関連のある情報が入力済みであるか否かを確認することができる。ここで、ユーザーは、図4の数式一覧を参照して自らの式が定義済みのFに関する式(F1)と関連する式であることを認識する。この場合、設計者は、図5に示すように、変数一覧(F10)中からFをクリックにより選択(F11)した後、さらに変数一覧右横の参照アイコンをクリックする。これらの操作により、図5に示すように、変数Fがシステムにより入力ボックスにコピーされる(F13)。あるいは、変数一覧(F10)からFを入力ボックスにドラッグおよびドロップすることでも同様に、変数Fがシステムにより入力ボックスにコピーされる。
【0074】
次に、設計者は、図7に示すように、入力ボックスでFに関する式を編集することができる。この式の編集の際、GUIの上部に配置されている各種関数アイコンを使えば、設計者は関数電卓と同様の操作で式を容易に編集することができる。
【0075】
各数式は、論理式などを適用条件として持つことができる。図8に示すように、これら論理式の際には、設計者が入力ボックス右上の適用条件アイコン(F23)をクリックすることで入力ボックス内に新たな入力ボックスが開く(F24)。図9に示すように、この新たな入力ボックスにユーザーは条件式を入力する(F25)。これらの条件式の入力のために、図中右上の“IF”、“ELSE”、“AND”、“OR”等のアイコン(F26)を適宜使うことで、条件式の入力が容易になる。図10に示すように、適用条件の入力後にユーザーが、入力ボックス左の登録アイコン(F28)をクリックすると、入力した条件式付き数式が、数式一覧に登録される(F27)。
【0076】
ここで、設計データ記憶部21には、数式のみならず、テーブルデータ・図表データなども設計データとして入力される。図11の数式一覧においては、ヤング率E(F29)が、例えばマイクロソフト社の表計算ソフトウェア“EXCEL”のファイル“樹脂1234ヤング率.xls”(F30)をデータのテーブルとして参照している。すなわち、ヤング率Eの式は、ヤング率Eの引数tempを一列目の値(F31)と比較し、必要に応じて内挿・外挿も併用して、一致する温度における2列目のヤング率(F32)の値をEに代入するように定義されている。ユーザーは数式一覧の“樹脂1234ヤング率.xls”を例えばダブルクリック等の操作で選択することで、システムは“EXCEL”を起動し選択されたファイル名のファイル内容を表示する。このため、ユーザーは、同じ画面上の別ウインドウとして、ファイルの内容を閲覧することができる。
【0077】
次に、ユーザーは、上記のデータベース構築(S20)に続いて、エディタ部1を通じて、設計データ記憶部21に記憶された設計データを利用し、設計最適化の解析を行う。具体的には、まずユーザは、エディタ部1を介して、解析情報制御部23が提示する編集用画面を呼び出す。この解析条件を設定するための編集用画面では、ユーザは、設計データ記憶部21に入力された設計データを、特に最適化の対象となる設計因子である変数の一覧を閲覧する。これらの一覧表示された変数の中から、ユーザーは、上記の実験計画法に基づく解析の入力となる、因子の組み合わせ計算処理するべき変数を評価対象因子として選択する(S40)。この変数の選択基準としては、例えば製品性能に与える影響が大きいと予測される変数、あるいは設計後期での変更が特に困難なため早期に因子の感度解析を行って設計案決定指針を得る必要がある変数などが優先して選択されてよい。尚、実験計画法で割り付け可能な因子数およびその水準数は、用いる直交表によって変化する。この直交表はユーザーが選択してもよく、あるいはステップS40で決定された評価対象設計因子およびその水準数に基づき、本実施形態に係る設計支援装置が最適な直交表を自動的に選択してユーザーに提示してもよい。この選択された直交表に対して、次にユーザーは、水準を割り付ける(S50)。
【0078】
図3を参照して、この直交表への水準割付を、L18(21×37)と呼ばれる直交表を使った例を用いて具体的に説明する。ここで、L18(21×37)という表記は、この直交表で2水準の因子最大1組と3水準の因子最大7組を組み合わせて18回分の解析における因子水準の組合せを決定するということを意味する。尚、この組合せ以外にも、特定の因子の水準数を減らす方法や、所定の工夫によりL18(21×37)の直交表をL18(61×36)として使う方法などが実験計画法では確立されており、これらの方法を用いることで因子の組合せ決定の柔軟性を広げることができるが、ここでは説明を省略する。
【0079】
例えば、図3の因子No.1(変数名A)という因子には、2通りの水準値が与えられる。図3に示すように、因子No.1の解析No.1〜9には、2通りに定めた水準値のうちの一方(「1」)が割り付けられる。他方、解析No.10〜18には、もう一方の水準値(「2」)が割り付けられる。他の因子No.2〜8には3通りに定めた水準値が与えられる。これらの因子No.2〜8にはそれぞれ3水準の値が直交表に従って解析条件として割り振られる。
【0080】
このように、直交表に従って因子に対して水準値を割り振ると、ある特性値に対する各因子固有の要因効果が統計的に抽出できる。このため、製品設計データにおける各設計因子の相対的な感度分析ができる。従って、ボトルネックとなる設計因子を設計の早期段階で修正することができる。
【0081】
尚、図3の18組の解析番号のそれぞれに対して、さらに誤差要因を例えば2種類用意して18組それぞれに組み合わせることで、合計18×2=36通りの解析を行うこともできる。この誤差要因との組み合わせをさらに解析することにより、いわゆるパラメータ設計を実施することができる。このパラメータ設計とは、製品性能の安定化のために各設計因子の誤差に対する感度、即ちロバスト性を評価する手法である。
【0082】
ここで、本実施形態に係る設計情報編集方法が行う図2のフローチャートのステップS40およびS50に示す数理モデルの実験計画法に基づく要因効果分析を行う場合の解析条件の設定手順を、図12および図13の画面を参照して詳細に説明する。
【0083】
図12は、直交表割付メニュー画面の一例である。設計者は、エディタ部1のメニュー画面切り替えアイコン(図示せず)をクリックする。このクリックにより、解析情報制御部23は、エディタ部1を介して、図12に示す直交表割付メニュー画面を出力する。尚、上述の図4乃至図13は、例えばウィンドウズアプリの一子画面であり、上記のメニュー画面切り替えアイコンは、メイン画面ウインドウに配置されている。
【0084】
図12において、まずユーザーは、直交表の種類を選択する必要がある。この直交表の選択は、感度解析に供する因子の数と、各因子の水準数とで決定される。ユーザーにとって選択すべき直交表が自明の場合には、ユーザーは直接選択ボックス(F40)から目的の直交表を選択すればよい。他方、そうでない場合には、ユーザーは、自動選択ボックス(F41)に感度解析に供する因子の数(F43)と因子の水準数(F42)とを入力して自動選択アイコン(F44)をクリックする。この入力された因子の数(F43)と因子の水準数(F42)から、解析条件制御部23は、自動的に最適もしくは最も近い直交表を選択する。あるいは、一意に最適な直交表が選択できない場合には、エラーメッセージを表示してユーザーに再入力を促す。
【0085】
上記の手段のいずれかにより直交表の種類が選択されると、図12右上に示すように、解析情報制御部23は、解析条件を割り付けるための直交表を表示する(F45)。図12の例では、自動選択ボックス(F41)に2水準因子が4個、3水準因子が1個との入力に従って、L8(27)の応用であるL8(24×41)が最も近い直交表として選択される。次に設計者は、L8(24×41)に含まれる4水準因子用の因子に3水準因子を割り付けるために必要となる、ダミー(擬水準)位置設定(F46)を行う。図12では、もともとL8(24×41)の因子名Aの項目にあった1から4の水準において、水準4の代わりに水準2を割り付ける、1−2−3−2型ダミー位置設定を行った例(F47)を表している。尚、このダミー位置設定は、選択した解析対象因子・水準数を選択した直交表に適合させるために、必要に応じて行われる。
【0086】
次にユーザーは、直交表に割り付けるべき因子の選択を行う。具体的には、変数選択ボックスから変数m(F48)を選択し(F49)、水準値入力ボックスに送る(F50)。ユーザーは、変数mが直交表の因子Aに割り付けられるよう因子番号Aを入力する(F51)。この因子番号の入力により、解析情報制御部23は、自動的に3水準分の入力ボックスを開く(F52、F53、F54)。ユーザーはこれらの水準1〜3の入力ボックスに、それぞれ水準値0.005、0.0055、0.006を割り付けるべく入力する。
【0087】
これらの入力の後、図13に示すように、設計者が“直交表へ入力”アイコン(F55)をクリックすると、解析情報制御部23は、右上の直交表の因子Aに変数mを割り付ける。
【0088】
上述の操作を、因子B〜Eについても繰り返すことで、直交表への割付が完了する。直交表への割付が完了すると、ユーザーは、図13右下端の“直交表割り付け完了”アイコン(F56)をクリックする。以上の手順により、図2のステップS40およびS50の処理が完了する。
【0089】
図2に戻り、次に、このようにして決定された18通りの因子水準のセットは、ステップS30で構築された数理モデルに代入される(S60)。数値解析エンジン部24は、この18通りの因子水準セットのそれぞれについて、入力された因子水準の数の分だけ、順次数値解析を繰り返し実行する(S60〜S100)。
【0090】
この数値解析を行う際に、数理モデルとしての連立微分方程式に単に因子の値を代入しただけでは、直接数値解析エンジン部24で数値解析を実施できない場合がある。これは、数値解析エンジンの構文、扱える演算の種類、手続きの手法等に各数値解析エンジン固有の違いがあるためである。計算手続き生成処理部25は、この各数値解析エンジン固有の違いを解消する。この計算手続き生成処理部25は、設計データ記憶部21から数値解析エンジン部24に数理モデルを受け渡す際に、数理モデルを数値解析エンジン部24で処理可能な入力式に変換する。
【0091】
例えば、設計者が無意識に、
左辺=右辺
と入力したとする。しかし数値解析エンジンによっては、いわゆる数式の”=”について、
a.左辺に右辺を割り当てる
b.左辺と右辺が等しいか検証する
c.関数定義
といった区別を明示的にユーザーが数値解析エンジンに示す必要がある場合がある。これらの区別をするために、数値解析エンジン部24は、a.、b.、c.それぞれについて、
a.=
b.==
c.:=
のように表記を区別して定義しているとする。こうした場合、入力者の意図を判別して適切な表記に割り振る必要が生ずる。ここで本実施形態のように工学的数値解析にその主たる用途がある場合には、ユーザーは、設計制約を記述する段階では”:=”として等号を記述している場合が多い。一方、ステップS60での数理モデルへの水準値の代入の段階では、明らかに”=”が用いられるべきであることが判断できる。
【0092】
あるいは、数理モデルが規模の大きい連立方程式からなる場合、一旦数理モデルに対して代数的に冗長な変数を消去する処理をしてから数値解析エンジン部24に入力しないと数値解析が成功しないか、もしくは処理効率が低下する場合がある。
【0093】
計算手続き生成処理部25は、こうした数値解析エンジン部24で用いられる特有のルールに適合するように数理モデルを変換する。これにより、解析可能な数理モデルの種類や規模が拡大する。また、数値解析エンジン部24の種類を変更する場合には、計算手続き生成処理部25を新たな数値解析エンジン部24に対応したものに変更するだけでよく、他の構成要素に変更が及ぶことがない。このため、迅速に最小の労力で、所望する解析の性質に応じて数値解析エンジン部24を置き換えることができる。
【0094】
また、上記の数理モデルの変換処理が、計算手続き生成処理部25で自動的に判断が不可能な場合には、例えば選択肢をエディタ部1に表示してユーザーの選択を促すアルゴリズムを備えてもよい。
【0095】
次に、上述したステップS10からS100により18通りの解析結果が出揃うので、これらの解析結果が、実験計画法に基づき統計的処理される(S110)。本実施形態では、各因子が特性値に及ぼす感度(主効果)の解析を行う。あるいは、上述のパラメータ設計を実施する場合には、誤差因子に対するロバスト性がS/N比としてステップS110で評価される。
【0096】
解析結果を評価するために用いる特性値は、負の値をとらず大きいほど好ましい場合には望大特性と分類される。一方、特性値は、負の値をとらず小さいほど好ましい場合には望小特性、特定の目標値に近いことが望まれる場合は望目特性と分類される。尚、パラメータ設計を行う場合にロバスト性を評価するためのS/N比の計算方法は、その3通りそれぞれについて処理方法が異なる。このため、パラメータ設計を行う場合には、ユーザーがこの特性値の区分をエディタ部1を通じて指示する。その後の実際の例えば分散分析検定などの統計処理については実験計画法、特に田口メソッドとして広く知られているため詳細な説明を省略する。
【0097】
ステップS110までの処理により各因子の主効果が定量的に得られるので、次に最適化エンジン部26は、これらの解析結果を利用して、最適な設計指針を評価する(S120)。最適化エンジン部26は、例えば、特性値が望大特性の場合には、全ての因子について特性値が大きくなる因子の水準を選択すればよい。一方、ある因子の水準が3水準以上で、しかも一意的に傾向が決まらない場合、即ち極大または極小を持つような複雑な特性を持つ場合がある。こうした場合には、最適化エンジン部26は、得られた要因効果を例えばスプライン曲線に近似させ、極大もしくは極小値を数値解析して設計最適化指針を導出することができる。尚、この他にも数多くの既存の数学的手法を利用することができるが、ここでは詳述しない。この最適化された設計因子のセットは、解析情報制御部23を介して、エディタ部1に解析結果データとして適宜表示される。
【0098】
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0099】
設計データ記憶部21は、エディタ部1を介して各設計者の設計知識である設計データを収集・共有する。これらの設計データは、ネットワークを介して各ユーザーによりインタラクティブに相互編集されるとともに、設計データ記憶部21によりツール依存性がない集中定数モデルとして記憶される。
【0100】
解析情報制御部23は、エディタ部1を介して各設計者の直交表への因子割付等により解析情報をインタラクティブに設定する。また、解析情報制御部23は、数値解析エンジン部24からの解析結果に基づき、最適化エンジン部26を用いて設計因子の最適化を行う。
【0101】
このため、各設計者は、他の設計者が関与する設計因子についての詳しい知識がなくとも、他の設計者が入力した設計データをシームレスに授受し、自己の関与する設計因子のみならず、他の設計者が入力した設計制約も容易に理解しながらだけを意識して、それぞれ製品全体における当該設計因子の感度分析を容易に行うことができる。従って、必ずしも全ての設計パラメータについて定量的な値がそろっていない設計の早期段階であっても、各設計因子の相対的重要性が評価でき、ボトルネックとなる設計因子を早期に認識することができる。
【0102】
また、各設計者が相互に協調して設計データを追加・編集したり、またその後のFEM等による詳細解析結果、さらにはプロトタイプによる実験データが得られた際にこれらを入力することにより、この設計データベースに加わる設計情報量が増えるにつれて、数理モデルの精度が向上していく。さらに、感度解析の結果により、ある設計因子が修正された場合でもこの修正を集中数式モデル(数理モデル)の当該設計因子の式に反映するだけで足りる。このため、他の設計因子を担当する設計者はこれを意識する必要がなく、設計変更の際の効率も大幅に向上する。
【0103】
また、設計管理者は、各種設計制約を詳細に把握しなくとも、製品全体の挙動解析、性能分析を容易に実施することができる。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、以下に記載されるような効果を奏する。
【0105】
すなわち、本発明は、各設計者に自己の関与する設計因子のみならず、他の設計者が入力した設計制約も容易に理解しながら、設計制約式を相互に編集させて、これらを連立させて集中数理モデル化する機能を提供する。また、各設計者が解析エンジンへの自己の関与する設計因子の感度解析のための解析条件を、設計制約式編集と連動させてインタラクティブに設定させる機能を提供する。このため、製品設計の早期段階において、製品全体における各設計因子の感度解析、製品の性能分析をラフな数理モデルを用いて実用的時間で簡易に行うことが可能となる。
【0106】
従って、地理的に分散した設計チーム間であっても、設計情報をネットワーク上で収集・共有することにより、いわゆる分散協調設計が促進される。またエディタ部から入力される情報を直接に解析情報制御部や数値解析エンジン部と統合することにより、従来煩雑な手順が必要であった解析対象のモデル化、実験計画法による要因解析・パラメータ設計などの設計早期段階における設計最適化作業が大幅に省力化できる。
【0107】
このように、本発明を用いれば、全ての設計因子について定量的な値がそろっていない設計早期段階でも、各因子の要因解析による感度解析を行うことが可能となる。従って、設計のボトルネックとなる設計因子を早期に検証することによりバックトラックが解消され、ひいては設計期間の短縮および製品開発コストの低減が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る設計支援装置、設計情報管理装置および設計支援システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る設計支援装置、設計情報管理装置および設計支援システムの設計モデルの解析処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】解析情報制御部23が因子および水準を割り付ける直交表の一例を示す図である。
【図4】エディタ部1が提示するGraphic User Interface(GUI)の画面の一例を示す図である。
【図5】図4の画面で変数「F」をダイアログボックスにコピーする操作を説明する図だる。
【図6】ダイアログボックスでの短縮表示と詳細表示の切り替え動作を説明する図である。
【図7】図6の画面でダイアログボックスの短縮表示を選択した場合の画面を説明する図である。
【図8】図7の画面での数式の適用条件の入力操作を説明する図である。
【図9】図8の適用条件入力の際の、変数一覧表示からの変数のコピー操作を説明する図である。
【図10】図9のダイアログボックスでの入力内容を数式一覧に登録する操作を説明する図である。
【図11】数式中でテーブルを参照する場合の、テーブルを定義する外部ファイルへのリンク操作を説明する図である。
【図12】解析情報制御部23が出力する直交表割付メニューの一例を示す図である。
【図13】図12の直交表割付メニューからの直交表への入力操作を説明する図である。
【符号の説明】
1 エディタ部
2 設計情報サーバ
3 ネットワーク
21 設計データ記憶部
23 解析情報制御部
24 数値解析エンジン部
25 計算手続き処理部
26 最適化エンジン部

Claims (12)

  1. 設計対象に関する設計条件を規定する数式からなる設計制約式を編集する設計情報編集部と、
    編集された前記設計制約式をサーバーに送信する送信部と、
    前記サーバーに記憶された設計制約式群および該設計制約式群に用いられる設計因子群のいずれか1つ以上を編集可能に一覧表示するとともに、前記一覧表示された設計因子群の中から指示された任意の前記設計因子を、入力領域に新たな前記数式を構成する設計因子として自動入力する設計情報表示部と、
    前記数式に用いられる設計因子群から、前記設計情報表示部が表示する前記一覧表示された設計因子群に基づいて、任意の設計因子を選択させるとともに前記選択された設計因子の因子種別を入力させることにより、前記サーバーにおいて受信された複数の前記設計制約式を連立させて生成された数理モデルに対する解析条件を設定する解析条件設定部とを具備する
    ことを特徴とする設計支援装置。
  2. 前記設計情報表示手段は、
    前記一覧表示された数式群または設計因子群の中から、指示された箇所に対応する前記設計因子を、該設計因子の内容を示す設計因子記述あるいは短絡化設計因子記述に切り替え表示可能な表示制御手段を具備する
    ことを特徴とする請求項1に記載の設計支援装置。
  3. 上記設計支援装置は、さらに、
    前記設計情報中の選択された設計因子に関する数値解析結果情報を提示する解析情報提示部を具備する
    ことを特徴とする請求項1またはに記載の設計支援装置。
  4. 前記設計情報は、さらに、設計対象に関するテーブル情報、図表情報のいずれか1つ以上を含む
    ことを特徴とする請求項1,2またはに記載の設計支援装置。
  5. 前記解析条件設定部は、
    実験計画法に基づいて、直交表に対して解析対象とすべき設計因子および該設計因子の水準を入力させることにより前記解析条件を設定する
    ことを特徴とする請求項1,2,3またはに記載の設計支援装置。
  6. クライアント装置から送信される、設計対象に関する設計条件を規定する数式からなる設計制約式を記憶する設計情報記憶部と、
    記憶された設計制約式群および該設計制約式群に用いられる設計因子群のいずれか1つ以上を、前記クライアント装置に編集可能に一覧表示させる設計情報表示データを前記クライアント装置に送信する送信部と、
    前記設計制約式を連立させることにより、数理モデルを導出する数理モデル生成部と、
    前記設計情報中の解析すべき設計因子および該設計因子の因子種別を、前記導出された数理モデルの解析条件として生成する解析情報制御部とを具備し、
    前記クライアント装置において、前記設計情報表示データ中の、前記一覧表示された設計因子群の中から指示された任意の前記設計因子が、入力領域に新たな前記数式を構成する設計因子として自動入力される
    ことを特徴とする設計情報管理装置。
  7. 上記設計情報管理装置は、さらに、
    前記数理モデルを前記解析条件に従って数値解析する解析部と、
    前記解析条件に基づいて、前記解析部が出力する解析結果を用いて前記設計因子を最適化する設計因子最適化部とを具備する
    ことを特徴とする請求項に記載の設計情報管理装置。
  8. 上記設計情報管理装置は、さらに、
    前記数理モデル生成部により導出された前記数理モデルを、前記解析部が解析可能な解析モデルに変換するモデル変換部とを具備する
    ことを特徴とする請求項またはに記載の設計情報管理装置。
  9. 前記解析情報制御部は、
    実験計画法に基づいて、解析対象とすべき設計因子および該設計因子の水準を保有する所定の直交表を前記解析条件として設定する
    ことを特徴とする請求項6、7またはに記載の設計情報管理装置。
  10. 複数の設計情報編集装置と、前記複数の設計情報編集装置とネットワークを介して接続される設計情報管理装置とからなる設計支援システムであって、
    前記設計情報編集装置は、
    設計対象に関する設計条件を規定する数式からなる設計制約式を編集する設計情報編集部と、
    編集された前記設計制約式を前記設計情報管理装置に送信する送信部と、
    前記設計情報管理装置に記憶された設計制約式群および該設計制約式群に用いられる設計因子群のいずれか1つ以上を編集可能に一覧表示するとともに、前記一覧表示された設計因子群の中から指示された任意の前記設計因子を、入力領域に新たな前記数式を構成する設計因子として自動入力する設計情報表示部と、
    前記数式に用いられる設計因子群から、前記設計情報表示部が表示する前記一覧表示された設計因子群に基づいて、任意の設計因子を選択させるとともに前記選択された設計因子の因子種別を入力させることにより、前記設計情報管理装置において受信された複数の前記設計制約式を連立させて生成された数理モデルに対する解析条件を設定する解析条件設定部とを具備し、
    前記設計情報管理装置は、
    前記設計情報編集装置から送信される、設計対象に関する設計条件を規定する数式からなる設計制約式を記憶する設計情報記憶部と、
    記憶された設計制約式群および該設計制約式群に用いられる設計因子群のいずれか1つ以上を、前記設計情報編集装置に編集可能に一覧表示させる設計情報表示データを前記設計情報編集装置に送信する送信部と、
    前記設計制約式を連立させることにより、数理モデルを導出する数理モデル生成部と、
    前記複数の設計情報編集装置からの相互入力に基づいて、前記設計情報中の解析すべき設計因子および該設計因子の因子種別を、前記導出された数理モデルの解析条件として生成する解析条件制御部とを具備する
    ことを特徴とする設計支援システム。
  11. 設計情報編集部と、送信部と、設計情報表示部と、解析条件設定部とを具備した設計支援装置が実行する設計情報編集方法であって、
    設計対象に関する設計条件を規定する数式からなる設計情報を編集する設計制約式編集ステップと、
    編集された前記設計制約式をサーバーに送信する送信ステップと、
    前記サーバーに記憶された設計制約式群および該設計制約式群に用いられる設計因子群のいずれか1つ以上を編集可能に一覧表示するとともに、前記一覧表示された設計因子群の中から指示された任意の前記設計因子を、入力領域に新たな前記数式を構成する設計因子として自動入力する設計情報ステップと、
    前記数式に用いられる設計因子群から、前記設計情報表示部が表示する前記一覧表示された設計因子群に基づいて、任意の設計因子を選択させるとともに前記選択された設計因子の因子種別を入力させることにより、前記サーバーにおいて受信された複数の前記設計制約式を連立させて生成された数理モデルに対する解析条件を設定する解析条件設定ステップとを含む
    ことを特徴とする設計情報編集方法。
  12. 設計情報を編集する処理をコンピュータに実行させるための設計情報編集プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記設計編集プログラムは、
    前記コンピュータを、設計支援装置として機能させるためのものであって、
    前記コンピュータに、
    設計対象に関する設計条件を規定する数式からなる設計制約式を編集する設計情報編集処理と、
    編集された前記設計制約式をサーバーに送信可能とする送信処理と、
    前記サーバーに記憶された設計制約式群および該設計制約式群に用いられる設計因子群のいずれか1つ以上を編集可能に一覧表示するとともに、前記一覧表示された設計因子群の中から指示された任意の前記設計因子を、入力領域に新たな前記数式を構成する設計因子として自動入力する設計情報表示処理と、
    前記数式に用いられる設計因子群から、前記設計情報表示部が表示する前記一覧表示された設計因子群に基づいて、任意の設計因子を選択させるとともに前記選択された設計因子の因子種別を入力させることにより、前記サーバーにおいて受信された複数の前記設計制約式を連立させて生成された数理モデルに対する解析条件を設定する解析条件設定処理と
    を実行させるためのものである
    ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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