JP3661183B2 - 非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法に関するものであり、より詳しくは高いサイクル特性を損なうことなく電極としての成形性や充填密度を向上させ、さらに電池として高い初期容量を具備させることが可能となる非水系電解質二次電池用の正極活物質およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有するとともに、小型、軽量な二次電池の要求が高まっている。このようなものとして非水系電解液タイプのリチウムイオン二次電池があり、研究開発が盛んに行われ実用化されてきている。
このリチウムイオン二次電池は、リチウム含有複合酸化物を活物質とする正極と、リチウム、リチウム合金、金属酸化物あるいはカーボンのようなリチウムを吸蔵・放出することが可能な材料を活物質とする負極と、非水系電解液を含むセパレータまたは固体電解質を主要構成要素としている。これら構成要素のうち、正極活物質として検討されているものにはリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン複合酸化物(LiMn2O4)などが挙げられる。特にリチウムコバルト複合酸化物を正極に用いた二次電池では、優れた初期容量特性やサイクル特性を得るための開発がこれまで数多く行われ、すでに様々な成果が得られて実用化に至っている。
【0003】
しかしリチウムコバルト複合酸化物は、原料に希産で高価なコバルトを用いるため正極活物質、さらには製品としての二次電池のコストアップの大きな原因となっている。一方コバルトよりも安価なニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物は、コスト的にも容量的にも有利であり、リチウムコバルト複合酸化物の有力な代替材料として開発が進められているが、このリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いた二次電池は、充電状態での正極活物質の不安定性から、高温に保持すると分解、発熱、発火などの危険性を有しており、安全性に関して解決しなければならない問題が数多く残っている。
これに対してリチウムマンガン複合酸化物は、リチウムコバルト複合酸化物やリチウムニッケル複合酸化物に比べて容量がやや小さいものの、コバルトやニッケルよりも安価で資源的にも豊富なマンガンを用いているためにコスト的に有利であり、かつ充電状態での安全性にも優れているため、次世代の正極材料として期待されている。
【0004】
さてリチウムイオン二次電池においては、初期の放電容量(初期容量)が高く、かつ充放電サイクルの繰り返しによる容量の劣化(サイクル特性)が少ないものが求められており、さらに容量に関しては、冒頭に述べた小型化の観点から、単位体積当たりの放電容量が大きいものが求められている。
しかし前記リチウムマンガン複合酸化物は、純粋にマンガンのみで合成した材料を正極活物質としてリチウムイオン二次電池を作製した場合には、サイクル特性が悪く、高温環境下で使用されたり保存された場合に比較的電池性能を損ない易いという欠点を有していた。
【0005】
このような欠点を解決するためにマンガンの一部をクロムやニッケル、コバルトなどの金属元素に置き換える方法が提案され、これにより結晶構造の安定性が向上し、サイクル特性や高温保持特性が改善されることが判明した。
そして一般にこれらの金属元素を添加する際には反応性を向上させ、また反応をより均一に進行させるために、原料の金属元素の化合物やマンガン化合物、リチウム化合物とを十分に粉砕して混合してから合成する必要がある。しかしながらこのような方法で得られたリチウムマンガン複合酸化物はその工程上、粒子が非常に細かくなるために、正極を形成する際の成形性が悪化する上、電極としての充填密度が上げられず単位体積当たりの電池としての容量が低いものとなってしまう。
【0006】
したがって反応性を高め、反応をより均一に進めるための方法として、添加する金属元素の化合物とマンガン化合物、リチウム化合物を溶媒に溶かして混合し、スプレードライなどで噴霧して乾燥し、同時に反応を進行させる方法なども提案されているが、この方法で得られたリチウムマンガン複合酸化物は細かい一次粒子が凝集した二次粒子の形態をもっているものの、二次粒子内部が中空で十分な密度と強度を有するものが得られず、結果的に電極としての充填密度が上げられないという問題点を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようにリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質とした従来の非水系電解質二次電池においては、高いサイクル特性を維持したまま、電極としての成形性、充填密度を向上させ、電池として高い初期容量を具備させることが困難であるという問題点を有していた。
【0008】
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、他の元素添加によって高いサイクル特性を維持したまま正極としての成形性、充填密度を損なわずに初期容量の向上を図れる二次電池を組立てることができる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、マンガンの一部がクロム、ニッケル、コバルト、アルミニウム、マグネシウム、鉄などの金属元素で置換されたリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に適用するに際し、細かい一次粒子が凝集して比較的密に詰まった球状または楕円球状の二次粒子を構成した粉体特性をもつマンガン化合物原料の形状を崩さないように金属元素の化合物を添加し、これをリチウム化合物と混合して熱処理することにより得られたリチウムマンガン複合酸化物を用いることによって、上述した問題の発生を防止でき、かつ成形性、充填性に優れ、高いサイクル特性を維持したまま単位体積当たりの放電容量が大きい二次電池を構成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の第1の実施態様に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、Li1+xMn2−yMyO4(式中、MはCr、Ni、Co、Al、MgおよびFeからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素)で表されるリチウムマンガン複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、Cr、Ni、Co、Al、MgおよびFeからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素Mの化合物を、マンガンと金属元素Mのモル比が2−y:y(式中、yは0<y≦0.33である)となるように、予め二次粒子の形状が球状または楕円球状であるマンガン化合物に添加する工程、前記工程で得られた金属元素Mの化合物が添加されたマンガン化合物と、リチウム化合物とを、0≦x≦0.10となるように混合する工程、次に、該混合物を熱処理する工程、を有することを特徴とするものである。
そして前記金属元素Mの化合物をMの硝酸塩または酢酸塩とし、該Mの硝酸塩または酢酸塩を加熱融解するか、もしくは溶媒に溶解する工程、得られた溶液中にマンガン化合物を加えて、加熱攪拌して、該マンガン化合物に該Mの硝酸塩または酢酸塩を含浸させた粉末を得る工程、得られた粉末とリチウム化合物と混合する工程を有することを特徴とする。
また前記金属元素Mの化合物をMの水酸化物とし、前記金属元素Mの硝酸塩を溶媒に溶解する工程、得られた金属元素Mの塩溶液にマンガン化合物を投入しマンガン化合物に金属元素Mの塩を含浸させる工程、次に得られたM塩含浸マンガン化合物溶液にアルカリ溶液を加え、金属元素Mの塩と中和反応させてMの水酸化物を生成させる工程、得られた金属元素Mの水酸化物が分散含浸されたマンガン化合物と、リチウム化合物とを混合する工程を有することを特徴とする。
【0011】
前記第2の実施態様に係る製造方法では前記混合物の熱処理温度は600℃以上で950℃未満とし、4時間以上実施するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明はマンガンの一部をサイクル特性向上のためにクロム、ニッケル、コバルト、アルミニウム、マグネシウム、鉄などで置換したリチウムマンガン複合酸化物からなる活物質の製造方法に関するものである。
リチウムマンガン複合酸化物は二次電池の正極活物質として考えた場合、結晶構造からリチウムがイオンとして脱離・挿入することによって充放電が行われる。金属元素などで置換しない純粋なリチウムマンガン複合酸化物は、充放電サイクルを繰り返した場合、初期に比べて容量が劣化するという問題がある。これはリチウムイオンが結晶構造から脱離・挿入を繰り返す際に母体の構造が徐々に破壊され、リチウムイオンが戻るべき場所が結晶構造内から失われていくためであると考えられる。この構造破壊を防ぐためにマンガンの一部を他の元素に置換する方法が提案され、この方法により充放電サイクルが改善されることが報告されている。
【0013】
一般にはマンガンの一部を他の元素に置換すると、正極材料の容量を決定するMn3+の量が減少するため初期容量は減少してしまうが、Li1+xMn2−yMyO4(式中、MはCr、Ni、Co、Al、Mg、Feからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素)で表されるリチウムマンガン複合酸化物においては、0≦x≦0.10で、かつ0<y≦0.33なる条件を満たすことにより、実用的に許容範囲内の容量低下に抑えることができることが本発明者らの種々の研究により判明した。
しかしながら一般に他の元素に置換するためには、合成の際にマンガン原料化合物と置換金属原料化合物をリチウム原料化合物と粉砕しながら十分に混合する必要がある。粉末固体を反応物質として用いる固相反応は、固相相互の接触部分で反応が開始し、それら界面に反応生成物が生成することにより反応が進行していくため粒子が微細であればあるほど接触部分は増大し、均一な組成が得られるためである。
【0014】
このようにしてできるだけ均一な組成になるように細かく粉砕混合する方法で合成された元素置換型リチウムマンガン複合酸化物は、その物質自体の特性としてサイクル特性が改善されている。しかしこれを正極材料としての観点から見ると、細かい粒子が多数存在するため電極としての充填性に直接影響するタップ密度が低く、電極としての成形性が悪い上、導電助剤として添加するカーボンや、成形性を向上させるための結着剤の量を多くしなければならないため、成形された正極の単位体積中に含まれる活物質の量は少なくなり、結果として二次電池としての初期容量が低下してしまう。
【0015】
一方マンガン原料と金属原料を両方溶媒に溶かして混合し、その後溶媒を蒸発させて原子レベルの混合を実現する方法も提案されているが、例えばスプレードライのような方法では二次粒子内部が中空な球状粒子となってしまい、その強度やタップ密度が十分なものとはならない。また共沈法のようにマンガン原料と金属原料を原子レベルで共沈殿させる方法は、組成の均一性という観点からは最も理想的な方法であるが、得られる粉末の粒径の制御が難しいという問題点をもつ。
したがって粉体ができるだけ大きなタップ密度(充填密度)をもつようにするためには、幾何学的には粉体の粒子が球状で、ある程度の幅を持った粒度分布をもつことが重要であるが、現実の正極活物質としての粉末を考えると粒子の形状は球体に近く、できるだけ粒度分布がシャープで、その中心粒径が数μm〜数十μm程度であり、かつ電極としての成形性を考慮すると粒径1μm以下の微粉はできるだけ少ない方が好ましい。このような粉体性状をもつマンガン化合物は実際に調製可能であり市販もされている。
【0016】
本発明者らはこのような粉体性状をもつマンガン化合物を原料として、その粉体特性を維持するような金属元素の添加方法を用いて合成を行なえば、結果的に得られるリチウムマンガン複合酸化物もマンガン原料と同様な粉体特性を持ち、上記のような問題点を回避することができることを見出した。
【0017】
すなわち本発明に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、Li1+xMn2−yMyO4(式中、MはCr、Ni、Co、Al、MgおよびFeからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素)で表されるリチウムマンガン複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、Cr、Ni、Co、Al、MgおよびFeからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素Mの化合物を、マンガンと金属元素Mのモル比が2−y:y(式中、yは0<y≦0.33である)となるように、予め二次粒子の形状が球状または楕円球状であるマンガン化合物に添加する工程、前記工程で得られた金属元素Mの化合物が添加されたマンガン化合物と、リチウム化合物とを、0≦x≦0.10となるように混合する工程、次に、該混合物を熱処理する工程、を有する ことを特徴とするものである。
このような粉体特性をもつリチウムマンガン複合酸化物は、二次粒子の形状が球状または楕円球状であるマンガン化合物の粉体特性が損なわれるような粉砕混合工程を経ずに、前記金属元素Mの化合物を、例えば該金属元素Mの化合物のみを微粉砕してマンガン化合物と混合したり、金属元素Mの化合物のみを溶媒に溶解してマンガン化合物に分散させるなどの方法によって、マンガンと金属元素Mのモル比が2−y:y(式中、yは0<y≦0.33である)となるように予め添加したマンガン化合物をリチウム化合物と混合し、この混合物を熱処理することで得ることができる。
すなわち、マンガンと金属元素Mのモル比が、0<y≦0.33の範囲において2−y:yとなるように予め添加したマンガン化合物を用いることにより、実用的に許容範囲内の容量低下に抑えることが可能となり、この条件を外れると初期容量が著しく低下してしまう。
【0018】
そして本発明で用いるリチウム化合物としては炭酸リチウムや水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、硝酸リチウム、過酸化リチウムなどが挙げられる。 またマンガン化合物としては酸化マンガン、水酸化マンガン、塩化マンガン、炭酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン、酢酸マンガンなどが挙げられ、二次粒子の形状が球状または楕円球状であるような粉体特性をもつものであれば好適に用いることが可能である。
さらに金属元素Mの化合物としては酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩など、マンガン化合物との固相反応が十分進むような微粉砕粉、あるいは溶媒に溶解させマンガン化合物に均一に分散、付着、反応させられるものであれば用いることが可能である。中でも金属元素Mの硝酸塩や酢酸塩はいずれも溶媒(例えば水)に溶解可能であり、マンガン化合物への添加、分散が容易である。
【0019】
そしてこれら金属元素Mの化合物を用いてリチウムマンガン複合酸化物を得る方法としては以下の2つの方法がある。
(1)金属元素Mの化合物をMの硝酸塩または酢酸塩とする場合には、マンガンの化合物に添加する際に、Mの硝酸塩または酢酸塩を加熱融解するか、もしくは溶媒に溶解し、その中にマンガン化合物を投入して、加熱攪拌して、該マンガン化合物に該Mの硝酸塩または酢酸塩を含浸させ、均一に分散、添加させた粉末をリチウム化合物と混合し、熱処理することで組成的に均一で、かつマンガン化合物原料の粉体特性を損なわずにリチウムマンガン複合酸化物を得ることができる。
【0020】
(2)金属元素Mの化合物をMの水酸化物とする場合には、マンガンの化合物に添加する際に、Mの硝酸塩を溶媒に溶解し、得られた金属元素Mの塩溶液にマンガン化合物を投入してマンガン化合物に金属元素Mの塩を含浸させ、得られたM塩含浸マンガン化合物溶液にアルカリ溶液を加え、金属元素Mの塩と中和反応させてMの水酸化物を生成させ、得られた金属元素Mの水酸化物が分散含浸されたマンガン化合物と、リチウム化合物と混合し、熱処理することで組成的に均一で、かつマンガン化合物原料の粉体特性を損なわずにリチウムマンガン複合酸化物を得ることができる。
【0021】
ついでマンガン化合物とリチウム化合物の混合物を熱処理する際、その温度を600℃以上で950℃未満とすることにより、添加した金属元素Mの化合物などの異相を生じさせることなく、金属元素Mを完全に固溶させることができ、結晶構造の高い完全性を実現できる。好ましくは熱処理温度を700℃以上で850℃以下とすることでより高い初期容量を実現できる。
なお熱処理温度が600℃未満であると反応が不十分なため結晶性が悪くなり、一方950℃以上となると結晶構造が立方晶から構造相転移を起こして正方晶となり好ましくない。また前記熱処理は4時間以上実施することが好ましく、4時間未満の熱処理では反応が不十分となり結晶性の低下や異相の出現を招いてしまう。
本発明によるマンガンの一部をクロム、ニッケル、コバルト、アルミニウム、マグネシウム、鉄などで置換し、二次粒子の形状が球状または楕円球状のリチウムマンガン複合酸化物からなる正極活物質を用いた場合、金属元素の置換によって高いサイクル特性を維持したまま、成形性や充填密度を向上させ、高い初期容量を具備する二次電池を組立てることができる。
【0022】
【実施例】
以下本発明の実施例を比較例とともに詳述する。
[実施例1]
マンガンの一部をクロムに置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、硝酸クロム九水和物を準備した。 球状の二酸化マンガンと硝酸クロム九水和物を、マンガンとクロムのモル比が(1)1.67:0.33、(2)1.83:0.17、(3)1.89:0.11、(4)1.94:0.06となるようにそれぞれ秤量した後、硝酸クロム九水和物が完全に溶解する量の純水中に硝酸クロム九水和物を溶解した。
その後その溶液中に球状の二酸化マンガンのみを入れて加熱しながら撹拌して水分を揮発させ、乾燥粉末を調製した。この乾燥粉末と水酸化リチウム一水和物を、リチウムとマンガン+クロムのモル比が1:2となるように秤量し、球状の二次粒子の形骸が維持される程度の強度で十分に混合した。
この混合粉末を酸素気流中で475℃で2時間仮焼した後、800℃で20時間焼成し、室温まで炉冷した。
【0023】
得られた焼成物を、CuのKα線を用いた粉末X線回折で分析したところ、スピネル構造を有する所望の正極活物質のみが単相で確認できた。また粉末X線回折図形のリートベルト解析から、格子定数を求めたところ、試料(1)〜(4)に対してクロムの添加量が増大するにつれて直線的に格子定数が減少していくことが確認でき、クロムの固溶が確認された。
そして得られた正極活物質のタップ密度を測定し、前記した格子定数とともに下記する表1に示す。
また得られた正極活物質を用いて以下のように電池を作製し、充放電容量により電池特性を測定した。活物質粉末90重量%にアセチレンブラック5重量%およびPVDF(ポリ沸化ビニリデン)5重量%を混合し、NMP(n−メチルピロリドン)を加えてペースト化した。これを20μm厚のアルミニウム箔に乾燥後の活物質重量が0.05g/cm2になるように塗布し、120℃で真空乾燥を行い、1cmφのディスク状に打ち抜いて正極とした。
【0024】
そして図1に示すように得られた正極1と、負極3としてリチウム金属を、また電解液には1MのLiClO4を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の等量混合溶液を用い、ポリエチレンからなるセパレータ2に前記電解液を染み込ませ、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス中で、2032型のコイン電池を組立てた。
なお図1において、4はガスケット、5は正極缶、6は負極缶である。
このようにして組立てられたコイン電池を組立後24時間程度放置し、開回路電圧(OCV)が安定した後、正極に対する電流密度を0.5mA/cm2とし、カットオフ電圧4.3〜3.0Vで充放電試験を行って電池特性を評価した。
得られた1サイクル目の放電容量(初期容量)、50サイクル目の放電容量および初期容量に対する50サイクル目の放電容量の比(容量維持率)を下記する表2に示す。
【0025】
[実施例2]
マンガンの一部をニッケルに置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、硝酸ニッケル六水和物を準備し、球状の二酸化マンガンと硝酸ニッケル六水和物を、マンガンとニッケルのモル比が(1)1.83:0.17、(2)1.89:0.11、(3)1.94:0.06、(4)1.97:0.03となるようにそれぞれ秤量した以外は、実施例1と同様な手順で正極活物質を合成し、さらにリチウムコイン二次電池を組立て、実施例1と同様に格子定数とタップ密度を測定し、また実施例1と同様に電池特性を評価してその結果を下記する表1と表2に併せて示す。
【0026】
[実施例3]
マンガンの一部をコバルトに置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、硝酸コバルト六水和物を準備した以外は、実施例1と同様な手順で正極活物質を合成し、さらにリチウムコイン二次電池を組立て、実施例1と同様に格子定数とタップ密度を測定し、また実施例1と同様に電池特性を評価してその結果を下記する表1と表2に併せて示す。
【0027】
[実施例4]
マンガンの一部をアルミニウムに置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、硝酸アルミニウム六水和物を準備し、球状の二酸化マンガンと硝酸アルミニウム六水和物を、マンガンとアルミニウムのモル比が(1)1.83:0.17、(2)1.89:0.11となるようにそれぞれ秤量した以外は、実施例1と同様な手順で正極活物質を合成し、さらにリチウムコイン二次電池を組立て、実施例1と同様に格子定数とタップ密度を測定し、また実施例1と同様に電池特性を評価してその結果を下記する表1と表2に併せて示す。
【0028】
[実施例5]
マンガンの一部をマグネシウムに置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、硝酸マグネシウム六水和物を準備し、球状の二酸化マンガンと硝酸マグネシウム六水和物を、マンガンとマグネシウムのモル比が(1)1.83:0.17、(2)1.89:0.11となるようにそれぞれ秤量した以外は、実施例1と同様な手順で正極活物質を合成し、さらにリチウムコイン二次電池を組立て、実施例1と同様に格子定数とタップ密度を測定し、また実施例1と同様に電池特性を評価してその結果を下記する表1と表2に併せて示す。
【0029】
[実施例6]
マンガンの一部を鉄に置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、硝酸鉄六水和物を準備し、球状の二酸化マンガンと硝酸鉄六水和物を、マンガンと鉄のモル比が1.)1.83:0.17、2.)1.89:0.11となるようにそれぞれ秤量した以外は、実施例1と同様な手順で正極活物質を合成し、さらにリチウムコイン二次電池を組立て、実施例1と同様に格子定数とタップ密度を測定し、また実施例1と同様に電池特性を評価してその結果を下記する表1と表2に併せて示す。
【0030】
[実施例7]
マンガンの一部をクロムに置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、硝酸クロム九水和物を準備した。球状の二酸化マンガンと硝酸クロム九水和物を、マンガンとクロムのモル比が(1)1.67:0.33、(2)1.83:0.17、(3)1.89:0.11となるようにそれぞれ秤量した後、硝酸クロム九水和物が完全に溶解する量の純水中に硝酸クロム九水和物を溶解した。その溶液中に球状の二酸化マンガンのみを入れて撹拌しつつ、中和するのに必要な量の水酸化ナトリウム溶液を滴下して十分に反応させた。その後濾過によって上澄み液を除去し洗浄後、加熱乾燥によって乾燥粉末を調製した。
この乾燥粉末と水酸化リチウム一水和物をリチウムとマンガン+クロムのモル比が1:2となるように秤量し、球状の二次粒子の形骸が維持される程度の強度で十分に混合した。この混合粉末を、酸素気流中で475℃で2時間仮焼した後、800℃で20時間焼成し、室温まで炉冷した。
得られた焼成物の格子定数と正極活物資のタップ密度とを実施例1と同様にして測定して下記する表1に併せて示す。
【0031】
また得られた活物質を用いて以下のように電池を作製し、充放電容量により電池特性を測定した。すなわち活物質粉末87重量%にアセチレンブラック5重量%およびPVDF(ポリ沸化ビニリデン)8重量%を混合し、NMP(n−メチルピロリドン)を加えペースト化した。このペーストを用いて実施例1と同様な手順で正極を調製し、ついで実施例1と同様にして図1に示したような2032型のコイン電池を組立てた。
このようにして組立てられたコイン電池について実施例1と同様にして電池特性を評価し、得られた1サイクル目の放電容量(初期容量)と50サイクル目の放電容量、および初期容量に対する50サイクル目の放電容量の比(容量維持率)を下記する表2に併せて示す。
【0032】
[実施例8]
マンガンの一部をニッケルに置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、硝酸ニッケル六水和物を準備した以外は、実施例7と同様な手順で正極活物質を合成し、さらにリチウムコイン電池を組立て、実施例1と同様に格子定数とタップ密度を測定し、また実施例1と同様に電池特性を評価してその結果を下記する表1と表2に併せて示す。
【0033】
[実施例9]
マンガンの一部をコバルトに置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、硝酸コバルト六水和物を準備した以外は、実施例7と同様な手順で正極活物質を合成し、さらにリチウムコイン電池を組立て、実施例1と同様に格子定数とタップ密度を測定し、また実施例1と同様に電池特性を評価してその結果を下記する表1と表2に併せて示す。
【0034】
[実施例10]
マンガンの一部をアルミニウムに置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、硝酸アルミニウム六水和物を準備し、球状の二酸化マンガンと硝酸アルミニウム六水和物を、マンガンとアルミニウムのモル比が(1)1.83:0.17、(2)1.89:0.11となるようにそれぞれ秤量した以外は、実施例7と同様な手順で正極活物質を合成し、さらにリチウムコイン電池を組立て、実施例1と同様に格子定数とタップ密度を測定し、また実施例1と同様に電池特性を評価してその結果を下記する表1と表2に併せて示す。
【0035】
[実施例11]
マンガンの一部をマグネシウムに置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、硝酸マグネシウム六水和物を準備し、球状の二酸化マンガンと硝酸マグネシウム六水和物を、マンガンとマグネシウムのモル比が(1)1.83:0.17、(2)1.89:0.11となるようにそれぞれ秤量した以外は、実施例7と同様な手順で正極活物質を合成し、さらにリチウムコイン電池を組立て、実施例1と同様に格子定数とタップ密度を測定し、また実施例1と同様に電池特性を評価して結果を下記する表1と表2に併せて示す。
【0036】
[実施例12]
マンガンの一部を鉄に置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、硝酸鉄六水和物を準備し、球状二酸化マンガンと硝酸鉄六水和物を、マンガンと鉄のモル比が(1)1.83:0.17、(2)1.89:0.11となるようにそれぞれ秤量した以外は、実施例7と同様な手順で正極活物質を合成し、さらにリチウムコイン電池を組立て、実施例1と同様に格子定数とタップ密度を測定し、また実施例1と同様に電池特性を評価してその結果を下記する表1と表2に併せて示す。
【0037】
[比較例1]
マンガンの一部を元素で置換しない純粋な正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガンを、リチウムとマンガンのモル比が1:2となるように秤量した以外は、実施例1と同様な手順で正極活物質を合成し、さらにリチウムコイン電池を組立て、実施例1と同様に格子定数とタップ密度を測定し、また実施例1と同様に電池特性を評価してその結果を下記する表1と表2に併せて示す。
【0038】
[比較例2]
マンガンの一部をクロムに置換した正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物、球状の二酸化マンガン、酸化クロムを準備した。水酸化リチウム一水和物と球状の二酸化マンガンと酸化クロムを、リチウムとマンガンとクロムのモル比が(1)1:1.67:0.33、(2)1:1.83:0.17、(3)1:1.89:0.11となるようにそれぞれ秤量した後、これらをエタノールを媒体に用いてボールミルで15時間十分に粉砕して湿式混合した。得られたスラリー状の混合物を85℃で大気中で3時間乾燥し、混合乾燥粉末を調製した。
この混合乾燥粉末を、酸素気流中で475℃で2時間仮焼した後、800℃で20時間焼成し、室温まで炉冷して、得られた焼成物の格子定数およびタップ密度を実施例1と同様に測定し、また実施例1と同様にして組立てた電池の電池特性を実施例1と同様に評価して、得られた結果を下記する表1と表2に併せて示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
前記表1と表2から分かる通り、実施例1〜12の電池は、純粋にマンガンのみで合成した比較例1の電池と比較していずれも高いタップ密度を維持しながら、80%以上の高い容量維持率を示していた。またマンガンやリチウム化合物および金属元素の化合物を十分に粉砕して混合してなる比較例2と比較していずれも80%以上の高い容量維持率を保ちながら、高いタップ密度を実現し、充填性が向上していた。
【0042】
【発明の効果】
以上述べた通り本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法により得られた非水系電解質二次電池用正極活物質は、非水系二次電池の正極活物質として用いることにより、高いサイクル特性を維持したまま、正極としての成形性、充填密度の向上を図ることが可能であり、また単位体積当たりの初期容量の大きな二次電池を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 正極活物質を用いたコイン電池の概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 正極
2 セパレータ
3 負極
4 ガスケット
5 正極缶
6 負極缶
Claims (6)
- Li1+xMn2−yMyO4(式中、MはCr、Ni、Co、Al、MgおよびFeからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素)で表されるリチウムマンガン複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、Cr、Ni、Co、Al、MgおよびFeからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素Mの化合物を、マンガンと金属元素Mのモル比が2−y:y(式中、yは0<y≦0.33である)となるように、予め二次粒子の形状が球状または楕円球状であるマンガン化合物に添加する工程、前記工程で得られた金属元素Mの化合物が添加されたマンガン化合物と、リチウム化合物とを、0≦x≦0.10となるように混合する工程、次に、該混合物を熱処理する工程、を有することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記金属元素Mの化合物をMの硝酸塩または酢酸塩とすることを特徴とする請求項1記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記金属元素Mの化合物をMの硝酸塩または酢酸塩とし、該Mの硝酸塩または酢酸塩を加熱融解するか、もしくは溶媒に溶解する工程、得られた溶液中にマンガン化合物を加えて、加熱攪拌して、該マンガン化合物に該Mの硝酸塩または酢酸塩を含浸させた粉末を得る工程、得られた粉末とリチウム化合物と混合する工程を有することを特徴とする請求項2記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記金属元素Mの化合物をMの水酸化物とすることを特徴とする請求項1記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記金属元素Mの硝酸塩を溶媒に溶解する工程、得られた金属元素Mの塩溶液にマンガン化合物を投入しマンガン化合物に金属元素Mの塩を含浸させる工程、次に得られたM塩含浸マンガン化合物溶液にアルカリ溶液を加え、金属元素Mの塩と中和反応させてMの水酸化物を生成させる工程、得られた金属元素Mの水酸化物が分散含浸されたマンガン化合物と、リチウム化合物とを混合する工程を有することを特徴とする請求項4記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記混合物の熱処理温度は600℃以上で950℃未満とし、4時間以上実施すること特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
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