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JP3662624B2 - 差動制限装置のギヤ諸元設定方法 - Google Patents
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JP3662624B2 - 差動制限装置のギヤ諸元設定方法 - Google Patents

差動制限装置のギヤ諸元設定方法 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両などに用いられる差動制限装置のギヤ諸元設定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭63−76938号公報に図4に示すような差動制限装置が開示されている。この差動制限装置101はドライブギヤ103とリングギヤ105とを介してエンジンに駆動され回転する。デフケース107の軸心部にはこれと同軸に左右のヘリカルサイドギヤ109,111が対向配置され、また、サイドギヤ109,111の外周には回転軸に平行に2対のピニオンギヤ収納穴113,115が設けられている。そして、これらの収納穴113,115にヘリカルピニオンギヤ117,119が摺動回転自在に収納支持され、各ピニオンギヤ117,119の軸方向外側部が左右のサイドギヤ109,111とそれぞれ噛合い、軸方向内側部同士が互いに噛合っている。これにより、左右のサイドギヤ109,111が互いに連結されている。またサイドギヤ109,111同士の間にはスペーサ121が配置されている。スペーサ121の外周には弓形凹部が収納穴113,115に対向して形成されている。
【0003】
こうして、左右のサイドギヤ109,111間に駆動抵抗差が生じると、ピニオンギヤ117,119の自転により駆動力がサイドギヤ109,111間に差動分配される。このときピニオンギヤ117,119は噛合い相手ギヤとの噛合い反力により収納穴113,115の円筒壁面やスペーサ121の弓形凹部に押し付けられ摩擦抵抗が発生する。同時にヘリカルギヤの噛合いスラスト力により、各ギヤ109,111,117,119の端面とデフケース107、スペーサ121との間に摩擦抵抗が発生する。これらの摩擦抵抗により差動制限力を得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような差動制限装置101は標準的なギヤ諸元のヘリカルギヤを用い、これらの歯先円弧歯厚を有するピニオンギヤ117,119とデフケース107の収納穴113,115とを摺動させ差動制限力を得ているので、摺動部となるピニオンギヤ117,119の歯先面積が十分確保されていないためにこの部の面圧が高く、焼付きを生じるという問題があった。また面圧を下げるためデフケース107の収納穴径を拡大しピニオンギヤ117,119の歯数を増やすと装置自体が大型化してしまう。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、ピニオンギヤ歯先の焼付きを防止すると共に、安定した摩擦抵抗による差動制限力が得られる差動制限装置のギヤ諸元設定方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、エンジンの駆動力により回転するケースと、該ケース内に回転自在に支持された一対のヘリカルサイドギヤと、一方のサイドギヤと噛み合うヘリカルピニオンギヤと、他方のサイドギヤと噛み合うと共に前記ピニオンギヤと噛み合うヘリカルピニオンギヤと、ケースに形成され前記ヘリカルピニオンギヤを摺動回転自在に収納する収納孔とを備える差動制限装置の前記ヘリカルピニオンギヤのギヤ諸元を設定する設定方法であって、前記ピニオンギヤの少なくとも一方は、歯幅lとねじれ角βと歯先の周方向幅wと歯数zとから表される値(l・tanβ+w)×zが該ギヤの歯先周長の2倍を上回る範囲にギヤ諸元を設定したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の差動制限装置のギヤ諸元設定方法であって、前記ギヤ諸元は、歯幅と、ねじれ角と、歯先の周方向幅と、歯数と、歯先径とであることを特徴とする。
【0008】
【作用】
請求項1に記載の発明によれば、エンジンの駆動力は、各ピニオンギヤから各サイドギヤを介して各出力軸側に分配される。車両の直進走行時には、各サイドギヤ及び各ピニオンギヤは相対回転をせずにケースと一体となって回転し、差動制限作用は生じない。
【0009】
車両旋回時や悪路走行時などで、出力軸間に駆動抵抗差が生じると各ピニオンギヤの自転によってエンジンの駆動力は各側に差動分配される。このとき、各ピニオンギヤの歯先はサイドギヤとの噛み合い反力及び互いの噛み合い反力により収納孔の壁面に押し付けられて摩擦抵抗が発生する。また、ヘリカルギヤの噛み合いスラスト力によって各ピニオンギヤの端面とケースとの間や、サイドギヤとケースとの間、また、両サイドギヤ間で摩擦抵抗が発生する。これらの摩擦抵抗により、トルク感応型の差動制限作用を行う。
【0010】
このとき、収納孔の壁面に押し付けられて摺動するピニオンギヤは、その諸元が(l・tanβ+w)×z>2×(歯先周長)を満足する範囲に設定されているので、歯先面圧の軽減されてピニオンギヤの焼き付きが防止されると共に、噛み合い反力による収納孔内での倒れが抑制される。これにより安定した摩擦抵抗が発生し差動制限特性が安定したものとなる。これにより、差動制限装置の耐久性が向上する。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ピニオンギヤの歯幅と、ねじれ角と、歯先の周方向幅と、歯数と、歯先径とが(l・tanβ+w)×z>2×(歯先周長)を満足する範囲に設定されているので、請求項1記載の発明による作用と同等の作用が得られる。
【0012】
【実施例】
本発明の一実施例を図1〜図3により説明する。
【0013】
図1は車両に用いられた本実施例の差動制限装置の全体断面図である。図2はピニオンギヤの諸元に関する説明図である。図3は差動制限特性の説明図である。
【0014】
デフケース(ケース)3はケース本体5とカバー7とをボルト9で固定して構成されている。差動制限装置1全体がデフキャリア(図示省略)の内部に配置されており、デフケース3の左右のボス部11,13はベアリングを介してデフキャリアに支承されている。デフキャリアにはオイル溜りが設けられており、差動制限装置1は、静止状態では下部がこのオイル溜りに浸されており、回転するとオイル溜りからオイルを撥ねあげる。
【0015】
デフケース3の内部には、それぞれヘリカルギヤで構成された左右のサイドギヤ15,17が配置されている。サイドギヤ15,17の中空ボス部19,21はデフケース3の支承部23,25によって回転自在に支承されている。ボス部19,21の内側に形成された大径孔部27,29には、これらの内周に跨がってスラストブロック31が配置され、サイドギヤ15,17の各自由端を支承しセンタリングしている。
【0016】
左右の車輪側出力軸(図示省略)はそれぞれデフケース3のボス部11,13を貫通し、サイドギヤ15,17のボス部19,21にスプライン連結されている。サイドギヤ15,17とデフケース3との間にはそれぞれスラストワッシャ33が配置されており、サイドギヤ15,17の間(スラストブロック33の外周側)にはスラストワッシャ35が配置されている。
【0017】
デフケース3には開口55,57,59が設けられており、ボス部11,13の内周には螺旋状のオイル溝61,61が形成されている。差動制限装置1の回転時にはオイル溜りから撥ね上げられたオイルが、また、静止時にはオイル溜りのオイルが、開口55,57,59とオイル溝61,61とからデフケース3に流出入し、後述する収納孔37,39や各ギヤの噛み合い部などに供給され、これらを潤滑する。
【0018】
デフケース3には長短の収納孔37,39が周方向に複数組形成されている。これらの収納孔37,39にはそれぞれヘリカルギヤで構成された長短のピニオンギヤ41,43のそれぞれ第1と第2のギヤ部45,51,47,53が軸方向全長に渡り摺動回転自在に収納されている。
【0019】
長いピニオンギヤ41は、第1と第2のギヤ部45,47とこれらを連結する小径の軸部49とからなり、第1ギヤ部45は右のサイドギヤ17と噛み合っている。また、短いピニオンギヤ43は、互いの間に軸部を持たない第1と第2のギヤ部51,53からなり、第1ギヤ部51は左のサイドギヤ15と噛み合い、第2ギヤ部53はピニオンギヤ41の第2ギヤ部47と噛み合っている。
【0020】
そして、ピニオンギヤ41,43の各ギヤ部45,47,51,53のギヤ諸元は、すなわちギヤのねじれ角β、歯幅l、歯先幅w、歯数z、歯先径dは、つぎの条件を満たすような組合せに設定してある。なお、各ピニオンギヤ41,43の設定歯幅lは各収納孔37,39の長手軸方向に全長摺動回転するよう接触する。
【0021】
その設定条件を図2により説明する。図2(a)はピニオンギヤ41の第1と第2のギヤ部45,47の正面図、図2(b)は同側面図、図2(c)は図2(b)の展開図である。ここではギヤ部45,47の歯先面と収納孔37の壁面とが全周が接触しているとして説明する。なお、ここではピニオンギヤ41の第1と第2のギヤ部45,47の図を用いて説明するが、ピニオンギヤ43の第1と第2のギヤ部51,53のギヤ諸元は図2とはねじれ方向が異なるだけで、その他は同じである。
【0022】
図2(c)に示すギヤ部45,47の1枚の歯の歯先面と収納孔37の壁面との周方向の接触長さBと歯数zとを掛け合わせた全歯の接触長さ(B×z)と、ギヤ部45,47の歯先周長Aとの比を接触率ηと定義し、η≧2の関係を満たすことを条件としている。この関係は(1)式のように表される。なお、この条件は望ましくはη≧2.5とするのがよい。
【0023】
(B×z)/A≧2 ……(1)
ここに、B:一枚の歯の周方向接触長さ(=t+w=l・tanβ+w)
z:歯数
A:歯先周長(=πd)
t:l・tanβ(図2(c)参照)
w:歯先の周方向幅
l:歯幅
β:ねじれ角
d:歯先直径
η:接触率
このA,Bを(1)式に代入して(2)式が得られる。
【0024】
【数1】
{(l・tanβ+w)×z}/πd≧2 ………(2)
そして、この(2)式を満足するように歯幅l、ねじれ角β、歯先の周方向幅w、歯数z、歯先径dの組合せを設定してある。
【0025】
これにより、ギヤ部45,47の歯幅l、歯先幅wが十分確保され、倒れが抑制される。
【0026】
つぎに、この差動制限装置1の作用を説明する。
【0027】
デフケース3を回転させるエンジンの駆動力は、ピニオンギヤ41,43からサイドギヤ15,17を介して左右の出力軸側に分配される。車両の直進走行時には、サイドギヤ15,17及びピニオンギヤ41,43は相対回転をせずにデフケース3と一体となって回転し、入力トルクに応じ各ギヤ15,17,41,43間のねじれ角による噛み合いスラスト力又は噛み合い反力により後述する旋回時と同様に摩擦抵抗が得られる結果、差動制限力が適度に得られる。
【0028】
車両旋回時や悪路走行時などで、出力軸間に駆動抵抗差が生じると各ピニオンギヤ41,43の自転によってエンジンの駆動力は左右各側に差動分配される。このとき、各ピニオンギヤ41,43の歯先はサイドギヤ17,15との噛み合い反力及び互いの噛み合い反力により収納孔37,39の壁面に押し付けられて摩擦抵抗が発生する。また、ヘリカルギヤの噛み合いスラスト力によって各ピニオンギヤ41,43の端面とデフケース3との間で摩擦抵抗が発生し、スラストワッシャ33を介してサイドギヤ15,17とデフケース3との間で、また、スラストワッシャ35を介してサイドギヤ15,17の間で摩擦抵抗が発生する。これらの摩擦抵抗によりトルク感応型の差動制限作用を行う。
【0029】
このとき、収納孔37,39の壁面に押し付けられて摺動するピニオンギヤ41,43は上記接触率η≧2を満足するようなギヤ諸元に形成されているので、歯先面圧は軽減されてこの部の焼き付きが防止され、また噛み合い反力による収納孔37,39内での倒れが抑制される。
【0030】
なお、接触率ηが2を下回るようにピニオンギヤ41,43のギヤ諸元を設定すると摩擦抵抗の不安定化により、例えば図3に示すように差動時の低速側出力軸トルクがη≧2の場合の一直線からそれ、変動幅が生じる。図3は接触率η=1.057の場合の測定結果であり、図中のC,D部(斜線部)は出力軸トルクの変動幅を示す。接触率ηが例えばη=0.523と小さくなるほどこの変動幅が拡大する。
【0031】
こうして、本実施例によれば、差動制限時のピニオンギヤ41,43と収納孔37,39間の焼き付きが防止され、安定した摩擦抵抗により差動制限特性が安定したものとなり、差動制限装置1の耐久性が向上する。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、ピニオンギヤの諸元が(l・tanβ+w)×z>2×(歯先周長)を満足する範囲に設定されているので、歯先面圧の軽減によりピニオンギヤの焼き付きが防止されると共に、噛み合い反力による収納孔内での倒れが抑制される。これにより安定した摩擦抵抗により差動制限特性が安定したものとなり、差動制限装置の耐久性が向上する。
【0033】
請求項2に記載の発明によれば、ピニオンギヤの歯幅と、ねじれ角と、歯先の周方向幅と、歯数と、歯先径とが(l・tanβ+w)×z>2×(歯先周長)を満足する範囲に設定されているので、請求項1記載の発明による効果と同等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の全体断面図である。
【図2】一実施例のピニオンギヤの諸元に関する説明図である。
【図3】一実施例の差動制限特性の説明図である。
【図4】従来例の全体断面図である。
【符号の説明】
3 デフケース(ケース)
15,17 サイドギヤ(ヘリカルサイドギヤ)
37,39 収納孔
41,43 ピニオンギヤ(ヘリカルピニオンギヤ)
45,51 第1ギヤ部
47,53 第2ギヤ部
A ピニオンギヤの歯先周長
B ピニオンギヤの周方向の接触長さ
β ねじれ角
l 歯幅
w 歯先の周方向幅
z 歯数
d 歯先径
η 接触率

Claims (2)

  1. エンジンの駆動力により回転するケースと、該ケース内に回転自在に支持された一対のヘリカルサイドギヤと、一方のサイドギヤと噛み合うヘリカルピニオンギヤと、他方のサイドギヤと噛み合うと共に前記ピニオンギヤと噛み合うヘリカルピニオンギヤと、ケースに形成され前記ヘリカルピニオンギヤを摺動回転自在に収納する収納孔とを備える差動制限装置の前記ヘリカルピニオンギヤのギヤ諸元を設定する設定方法であって、
    前記ピニオンギヤの少なくとも一方は、歯幅lとねじれ角βと歯先の周方向幅wと歯数zとから表される値(l・tanβ+w)×zが該ギヤの歯先周長の2倍を上回る範囲にギヤ諸元を設定したことを特徴とする差動制限装置のギヤ諸元設定方法。
  2. 請求項1に記載の差動制限装置のギヤ諸元設定方法であって、
    前記ギヤ諸元は、歯幅と、ねじれ角と、歯先の周方向幅と、歯数と、歯先径とであることを特徴とする差動制限装置のギヤ諸元設定方法。
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