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JP3664577B2 - ポリアミド樹脂の製造法 - Google Patents
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JP3664577B2 - ポリアミド樹脂の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、ポリアミド樹脂の製造法に関し、更に詳しくは、ポリエステル樹脂を原料にして、耐熱性ポリアミド樹脂を得る方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
ナイロン66、46、6Tやアラミド樹脂は、機械特性及び化学・物理特性に優れた耐熱性ポリアミド樹脂として、今日、大量に生産されている。そして、それらナイロン66、46、6T等は、一般に、有機ジカルボン酸と有機ジアミンとを反応させて、ナイロン塩を作り、それを脱水重縮合させて、作られることとなるが、プロセスが煩雑で、且つ高温で、長時間重縮合をする必要がある等の問題を内在している。また、アラミド樹脂を製造する場合は、原料として高価な有機カルボン酸ジハライドが必要であることに加え、ハロゲンによる装置の腐食、原料の再循環利用の困難さ、公害の恐れがある等の問題点があった。
【0003】
そこで、本発明者は、先に、特願平9−69642号において、従来の重縮合反応法とは全く異なる、ポリエステル樹脂を介してポリアミド樹脂を得る新規な方法を提案した。即ち、かかる製造方法においては、原料として、従来の有機ジカルボン酸成分の代わりに、ポリエステル樹脂を用い、それをジアミン化合物と反応せしめるに際して、かかるジアミン化合物のモル比をポリエステル樹脂に対して特定の範囲に設定し、且つ所定の溶媒を反応媒体として、反応させることにより、極めて簡単なプロセスで、且つ短時間に、ポリアミド樹脂を得ることが出来るものである。
【0004】
しかしながら、かかる製造方法で得られたポリアミド樹脂を実用的に価値のある高分子量のものとするためには、得られた反応物に対して、更に、固相重縮合や溶融重縮合等の操作を施すか、反応温度や時間をより高温、長時間にする必要があった。そして、それらのうち、固相重縮合や融合重縮合の追加は、コストアップを招き、また反応条件の高温、長時間化は、反応生成物の塊状化、反応容器器壁への付着等を生じ、生産上よりして問題であった。
【0005】
【解決課題】
そこで、本発明者は、上記せる先に提案のポリアミド樹脂の製造方法について更に詳しく検討した結果、反応媒体として、非プロトン系疎プロトン極性溶媒からなる特定の溶媒を用いることによって、固相重縮合や溶融重縮合等のプロセスを追加することなく、また、反応条件をより高温、長時間にすることなく高分子量のポリアミド樹脂が得られることを見出したのである。従って、本発明の解決課題とするところは、ポリエステル樹脂を介してポリアミド樹脂を製造する方法において、有用な高分子量のポリアミド樹脂を簡便に得ることの出来る、実用的な方法を提供することにある。
【0006】
【解決手段】
そして、本発明は、かくの如き課題を解決するために、ジカルボン酸成分と2価のOH成分とからなる、極限粘度が0.2dl/g以上の直鎖状ポリエステル樹脂の1モル(繰り返し単位で計算)に対して、ジアミン化合物の0.5〜1.5モルを、非プロトン系疎プロトン極性溶媒から選ばれた少なくとも1種の溶媒からなる反応媒体中において、反応させて、該直鎖状ポリエステル樹脂中の前記2価のOH成分を該ジアミン化合物にて置換せしめることを特徴とするポリアミド樹脂の製造法を、その要旨とするものである。
【0007】
すなわち、このようなポリアミド樹脂の製造法においては、反応媒体として、非プロトン系疎プロトン極性溶媒からなる特定の溶媒を用いるところに、大きな特徴があり、そのような非プロトン系疎プロトン極性溶媒中において、直鎖状のポリエステル樹脂中の2価のOH成分をジアミン化合物にて置換せしめることにより、その置換反応がより効果的に進行せしめられ得て、以て高分子量のポリアミド樹脂を有利に得ることが出来るのである。
【0008】
なお、かかる本発明に従うポリアミド樹脂の製造法の望ましい態様によれば、前記直鎖状ポリエステル樹脂は、熱可塑性ポリアルキレンテレフタレート樹脂であり、また該熱可塑性樹脂ポリアルキレンテレフタレート樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂であり、更に、該ポリエチレンテレフタレート樹脂は、リサイクル(回収)ポリエチレンテレフタレート樹脂である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、更に詳細に説明することとする。
【0010】
先ず、本発明で言うところの原料としての直鎖状のポリエステル樹脂とは、一般には、有機ジカルボン酸またはその誘導体化合物からなるジカルボン酸成分と2価アルコール化合物または2価フェノール化合物からなる2価のOH成分とから、重縮合反応によって得られたものである。かかる有機ジカルボン酸またはその誘導体化合物としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジクロライド、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその誘導体や、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体を挙げることが出来る。また、2価アルコール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1、3−ジオール、ブタン−1、4−ジオール、テトラメチレングリコール等のアルキレングリコールや、シクロヘキサンジオール等が挙げられる。更に、2価フェノール化合物としては、ビスフェノール−A等が挙げられる。これらジカルボン酸成分や2価のOH成分は、各々、上例のものの単独または2種以上の化合物を含んでいても、何等差支えない。
【0011】
そして、本発明で使用される好ましい直鎖状ポリエステル樹脂の例には、ジカルボン酸として主としてテレフタル酸を用い、また2価アルコールとして主としてエチレングリコールやブタン−1、4−ジオール等のアルキレングリコールを用いて得られるポリアルキレンテレフタレート樹脂が挙げられる。その中でも、好ましい例は、PET、特にリサイクル(回収)PETである。
【0012】
なお、本発明においては、ポリエステル樹脂として、2種以上のものが混合されて用いられてもよく、またポリエステル樹脂に、他の有機重合体や無機化合物が混合されていても何等差支えない。
【0013】
このポリエステル樹脂に混合されている有機重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド等が挙げられる。また、無機化合物としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、アルミナ、ガラスビーズ、ガラス繊維、カーボン繊維等が挙げられる。
【0014】
ところで、本発明で用いられるポリエステル樹脂の極限粘度は、ヘキサフロロイソプロパノール(以下、HFIPと略す)を溶媒として用いた、30℃の温度での測定にて、0.2dl/g以上、好ましくは0.3dl/g以上である必要がある。けだし、0.2dl/g未満の極限粘度では、本発明によって得られるポリアミド樹脂の極限粘度が小さく、後で固相重縮合や溶融重縮合を施しても、重合度の向上効果は低く、工業的に有用な高分子量のポリアミド樹脂が得られないからである。
【0015】
なお、本発明で用いられるポリエステル樹脂の形状は問わないが、好ましくは平均粒径が一般に2mm以下、より好ましくは1mm以下の粉末状形状が有利に採用される。また、その含水率は、一般に1000ppm以下、好ましくは500ppm以下とされる。
【0016】
また、本発明において、直鎖状のポリエステル樹脂に反応せしめられるジアミン化合物としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチレン−1,6−ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン、3,5−トリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、o−キシリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノビフェニール、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニール、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノビフェニール、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルファイド、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノアントラキノン、3,3′−ジメトキシベンチジン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−p−イソプロピルベンゼン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン等の芳香族ジアミン類;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、α,α′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−m−ジイソプロピルベンゼン、メンタンジアミン等の脂環式ジアミン類や、ジアミノポリシロキサン等のアミノ変成ポリマーを挙げることが出来る。なお、これらジアミン化合物は、単独で使用される以外に、2種以上のものを混合して、使用することも出来る。
【0017】
そして、この本発明で使用されるジアミン化合物の量は、ポリエステル樹脂の繰り返し単位の1モルに対して、0.5〜1.5モルである必要があり、中でも好ましくは0.7〜1.3モル、更に好ましくは0.8〜1.2モルであることが、望ましい。なお、ジアミン化合物の使用量が、0.5モル未満では、良好な耐熱性のポリアミド樹脂が得られず、また1.5モルを越えるようになると、得られるポリアミド樹脂の分子量が小さかったり、固相重縮合や溶融重縮合操作により不溶不融のゲル化物となり易い問題を内在する。また、かかるジアミン化合物の含水量としては、一般に1000ppm以下、好ましくは500ppm以下が望ましい。
【0018】
さらに、本発明に従うポリエステル樹脂とジアミン化合物との反応によるポリアミド化反応が進行せしめられる反応媒体としては、特定の溶媒、即ち非プロトン溶媒、特に、非プロトン系疎プロトン極性溶媒である。なお、この溶媒の定義は、講談社発行、浅原照三ほか編、「溶媒ハンドブック」(第71頁)に従うものであり、ここで言う、非プロトン系疎プロトン極性溶媒とは、プロトンを放出する性質が殆どなく、且つ陽イオンに溶媒和し難い極性溶媒である、と定義される。また、極性溶媒とは、ここでは、常温における誘電率が20以上の溶媒であると定義される。そして、このような非プロトン系疎プロトン極性溶媒の具体例としては、例えばアセトニトリル、スルホラン、3−スルホラン、N−メチルピロリドン等を挙げることが出来る。
【0019】
なお、このような非プロトン系疎プロトン極性溶媒は、単独で用いられる他に、2種以上を混合して用いて、反応媒体としても何等差し支えなく、また、そのような溶媒の効果が損なわれることがない範囲において、他のあらゆる溶媒と混合して、用いることも可能である。また、そのような溶媒、ひいては反応媒体中の含水率は、5000ppm以下、好ましくは1000ppm以下とするのが、望ましい。更に、反応媒体のポリエステル樹脂に対する割合は、ポリエステル樹脂100重量部に対して、100〜5000重量部、好ましくは500〜3000重量部である。なお、100重量部未満では、ポリエステル樹脂が反応媒体中に充分に分散せず、反応が均一に進行しない問題があり、また、5000重量部を越えるようになると、反応系が希薄に過ぎ、ポリエステル樹脂とジアミン化合物の反応が充分に進行しない問題がある。
【0020】
ところで、本発明に従う方法においては、反応原料としての直鎖状のポリエステル樹脂及びジアミン化合物、更には反応媒体となる溶媒が、それぞれの必要量において、攪拌機能を有する適当な反応容器に仕込まれ、そして加熱されることにより、所期の反応が進行せしめられるのである。この反応には、回分法或いは連続法の何れもが採用可能である。
【0021】
また、かかる本発明方法において採用される反応温度は、使用するポリエステル樹脂、ジアミン化合物や溶媒種及び量の他に、反応圧力、反応時間、攪拌状態及びポリエステル樹脂の形状等により異なるが、一般に、100℃以上、好ましくは120℃以上である。けだし、100℃未満の反応温度では、ポリアミド樹脂の生成に時間がかかり過ぎるからである。
【0022】
そして、かかる反応温度が、使用する溶媒(反応媒体)やジアミン化合物の沸点や昇華温度以上となる場合には、反応容器は密閉され、または加圧されることとなる。
【0023】
さらに、本発明におけるポリアミド化のための反応時間は、前記した反応温度と同様に、多くの因子に左右されるが、一般に、0.2時間〜100時間、好ましくは0.5時間〜50時間とされることが、望ましい。0.2時間未満の反応時間では、ポリアミド樹脂の生成が充分でなく、また100時間を越える反応時間では、それ以上に時間を延長しても効果が少なかったり、生成するポリアミド樹脂が不溶不融のゲル状物を生じ易い等の問題を惹起する。
【0024】
そして、かかる本発明に従う反応が終了したら、反応媒体中に存在する、反応生成物としてのポリアミド樹脂が分離回収される。この分離回収法としては、生成物が反応媒体中にスラリー状に分散しておれば、そのまま、若し溶解しておれば、適当な沈殿剤を加えて、生成物を沈殿させた後に、通常の濾過法、遠心分離法、溶媒噴霧乾燥法等の、公知の各種方法が用いられる。かくして得られた分離物は、熱風乾燥や真空乾燥等を行なう通常の乾燥機で完全に乾燥され、以て目的とするポリアミド樹脂が得られることとなる。
【0025】
このようにして得られたポリアミド樹脂は、その極限粘度が、一般に、0.5dl/g以上で、2.5dl/gにも達する程の、高重合度のものである。それ故に、得られたポリアミド樹脂の分子量乃至は重合度を更に高める特別の操作は、必ずしも必要とされるものではないのであるが、更に追加的に、固相重縮合乃至は溶融重縮合操作を実施して、そのようなポリアミド樹脂の分子量乃至は重合度を高めても、何等差し支えない。
【0026】
なお、ここで、固相重縮合とは、固体状態を維持した状態において、重縮合反応を進行せしめて、重合度を高める方法であって、その場合には、反応生成物のポリアミド樹脂のガラス転移温度より50℃高い温度から融点までの間、好ましくはガラス転移温度より80℃高い温度から融点より20℃低い温度で、一般に1000Pa以下、好ましくは300Pa以下の減圧下または不活性ガス下において、熱処理を行なうことにより、実現される。なお、このときの熱処理時間は、温度、反応生成物の量、装置の形状等によって異なるが、一般に0.2時間〜20時間、好ましくは0.5時間〜10時間程度である。
【0027】
また、溶融重縮合は、溶融状態を維持した状態下において、その溶融物に剪断作用を加えつつ、減圧下に保持して、重縮合反応を進行せしめて、重合度を高める手法である。この溶融剪断作用温度は、生成ポリアミド樹脂の融点以上、ポリアミド樹脂の分解温度以下、好ましくは生成ポリアミド樹脂の融点より20℃以上高く、ポリアミド樹脂の分解温度より30℃以下低い温度である。また、採用される溶融剪断作用下での溶融重縮合装置としては、加熱条件下で高粘度ポリマーを混練出来る何れの装置をも用いることが出来る。具体的には、ロール、押出機、ニーダ等である。これらの中では、高温下での混練が容易で、短時間のうちに高分子量化が実現出来、更に生成ポリマーの回収が容易なベント付き押出機やニーダが、好ましい。そして、そのような押出機としては、1軸または多軸の押出機が使用され、ベントから減圧下の条件で反応副生成物を留去出来ることにより、容易に短時間のうちに高分子量のポリアミド樹脂をペレット状で得ることが出来る。なお、その際のベントの減圧度は、一般に1000Pa以下、好ましくは300Pa以下である。また、その溶融剪断時間は、通常0.2分以上15分以下、好ましくは0.5分以上10分以下である。
【0028】
そして、このような本発明手法に従って得られたポリアミド樹脂には、必要に応じて、公知の熱安定剤、光安定剤、着色剤、滑剤、強化剤、充填剤等の各種配合剤が、単独で或いは組み合わせて配合され、通常の溶融成形法、例えば圧縮成形、射出成形、または押出成形等の手法によって、所望のポリアミド成形品が成形されるのである。また、そのようなポリアミド樹脂を、溶媒に溶解させ、キヤスト法によるフィルムの形成や、コーティング層の形成にも、使用され得るものである。
【0029】
【実施例】
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0030】
実施例 1
市販のPET製ボトルを回収して、洗浄した後、それを粉砕せしめ、篩にかけて、10メッシュ金網パス品を得た。次いで、この得られたリサイクルPETの粉砕品を130℃で3時間乾燥せしめることにより、含水率(三菱化学株式会社製水分測定器にて測定。以下同じ)が100ppmの乾燥品を得た。なお、ここで用いられたPETの極限粘度:[η]は0.65dl/gであった。一方、ジアミン化合物としてのヘキサメチレンジアミン(以下、HMDと略す。和光純薬工業株式会社製、試薬1級)の1重量部と、反応媒体としての非プロトン系疎プロトン極性溶媒のスルホラン(東京化成株式会社製無水品)の10重量部とを混合し、その混合溶液を、モレキュラーシーブ4A(和光純薬工業株式会社製)を用いて脱水し、含水率が400ppmの混合溶液とした。
【0031】
次いで、上記で得られたPET乾燥粉砕品の110gと、上記の脱水混合溶液730g(PETの繰り返し単位で等モル量のHMD66gを含む)とを、1Lオートクレーブにそれぞれ仕込み、雰囲気を窒素ガスで置換し、更に窒素ガスによる0.1MPaの圧力が加わるようにして、密閉した後、攪拌しつつ、加熱せしめ、180℃で10時間反応させた後に、室温まで降温し、そしてその得られた反応生成物を濾過分離し、更に多量のエタノールで洗浄した後、再び濾過分離せしめ、その後120℃で、一昼夜、真空乾燥することにより、粉末状の反応生成物を得た。
【0032】
このようにして得られた粉末状の反応生成物について、FT−IRスペクトル分析を行ない、エステルの吸収波周帯が完全に消失し、アミドの吸収波周帯が表れていること及び極限粘度値より判断して、PET中の2価のOH成分がジアミン成分に完全に置換され、実用的に充分な分子量を有するポリアミド樹脂が得られていることを認めた。また、このポリアミド化された樹脂、即ちポリアミド樹脂について測定して得られた、収量(収率)、アミド化率、極限粘度、融点(Tm)の結果を、下記表1に示した。
【0033】
実施例 2
反応媒体として、スルホランに変えて、N−メチルピロリドン(以下、NMPと略す。和光純薬工業株式会社製、試薬1級)を用いる他は、実施例1と同様にして、PET乾燥粉砕品のポリアミド化を行なった。なお、このときのHMDとNMPとの混合溶液の含水率は、105ppmであった。
【0034】
そして、この得られた反応生成物がポリアミド樹脂であることを確認すると共に、その諸物性について、実施例1と同様にして求め、その結果を、下記表1に併せ示した。
【0035】
比較例 1
反応媒体として、スルホランに代えて、非プロトン系親プロトン極性溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミド(和光純薬工業株式会社製、有機合成用、脱水品)を用いた他は、実施例1と同様にして、PET乾燥粉砕品のポリアミド化を行なった。なお、かかる反応媒体とジアミン化合物(HMD)とからなる混合溶液の含水率は、105ppmであった。
【0036】
そして、その得られた反応生成物について、その諸物性を実施例1と同様に測定して、その結果を、下記表1に併せ示した。
【0037】
比較例 2
反応溶媒として、スルホランの代わりに、非プロトン系親プロトン極性溶媒である、ジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会社製、有機合成用、脱水品、以下DMSOと略す)を用いる他は、実施例1と同様にして、PET粉砕乾燥品のポリアミド化を行なった。なお、かかる反応媒体とジアミン化合物(HMD)とからなる混合溶液の含水率は、92ppmであった。
【0038】
そして、その得られた反応生成物について、その諸物性を実施例1と同様にして求め、その結果を、下記表1に併せ示した。
【0039】
【表1】
Figure 0003664577
【0040】
上記の表1の結果より明らかな如く、反応媒体として、非プロトン系疎プロトン極性溶媒であるスルホランやN−メチルピロリドンを用いて得られた、実施例1や実施例2の反応生成物は、ポリアミド化率及び極限粘度が共に高く、これにより、PETは高率にてポリアミド化されているものと認められた。中でも、特に、スルホランを用いた場合においては、略完全にポリアミド化されているものと認められるのである。
【0041】
これに対して、非プロトン系親プロトン極性溶媒を反応媒体として用いた比較例1や比較例2にあっては、アミド化率が充分でなく、また、得られた反応生成物の極限粘度が著しく低く、実用上、使用の困難なものと認められ、更に、融点測定を行なっても、明確な融点を示すものではなかった。
【0042】
実施例 3
実施例1において用いられたPET乾燥粉砕品の110gに対して、ジアミン化合物として、PETの繰り返し単位で1.2倍モル量のp−フェニレンジアミン(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)の74g、更に反応溶媒としてスルホランの400gを1Lオートクレーブにそれぞれ仕込み、反応温度:220℃、反応時間:10時間において反応を行ない、その後、降温、濾過分離、更に多量のエタノールによる洗浄、再度の濾過分離を行ない、その後120℃で、一昼夜、真空乾燥することにより、粉末状の反応生成物を得た。
【0043】
かくして得られた反応生成物は塊状化や器壁への付着もなく、また、その諸物性を測定した結果、極限粘度の高い、有用なポリアミド樹脂が生成していることを認めた。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明より明らかな如く、本発明手法によれば、原料として、有機ジカルボン酸の代わりに、直鎖状ポリエステル樹脂を用い、ジアミン化合物を反応せしめるに際して、非プロトン系疎プロトン極性溶媒からなる特定の溶媒下で、かかるジアミン化合物のモル比を、該ポリエステル樹脂に対して0.5〜1.5の範囲に設定すれば、極めて簡単なプロセスで、且つ短時間に、目的とするポリアミド樹脂を有利に得ることが出来るのである。しかも、その得られたポリアミド樹脂は、アミド化率の著しく高いものであることに加えて、固相重縮合乃至は溶融重縮合を施す必要がない程に、高分子量乃至は高い極限粘度を有するところに、大きな特徴がある。また、反応生成物の塊状化や反応容器への付着等の問題もなく、生産上において何等問題を惹起しないところにも、大きな特徴を有しているのである。
【0045】
特に、本発明においては、原料として、廃棄物であるリサイクル(回収)PET樹脂を用いることが出来、そのようなリサイクル(回収)PET樹脂を使用した場合において、プロセスの簡便さと相俟って、低コストで、高付加価値のポリアミド樹脂製品が有利に得られるという、極めて社会的に有益な技術が完成されたのであり、そこに、本発明の大きな技術的意義が存するのである。

Claims (4)

  1. ジカルボン酸成分と2価のOH成分とからなる、極限粘度が0.2dl/g以上の直鎖状ポリエステル樹脂の1モル(繰り返し単位で計算)に対して、ジアミン化合物の0.5〜1.5モルを、非プロトン系疎プロトン極性溶媒から選ばれた少なくとも1種の溶媒からなる反応媒体中において、反応させて、該直鎖状ポリエステル樹脂中の前記2価のOH成分を該ジアミン化合物にて置換せしめることを特徴とするポリアミド樹脂の製造法。
  2. 前記直鎖状ポリエステル樹脂が、熱可塑性ポリアルキレンテレフタレート樹脂である請求項1記載のポリアミド樹脂の製造法。
  3. 前記熱可塑性ポリアルキレンテレフタレート樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂である請求項2記載のポリアミド樹脂の製造法。
  4. 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂が、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂である請求項3記載のポリアミド樹脂の製造法。
JP27103297A 1997-10-03 1997-10-03 ポリアミド樹脂の製造法 Expired - Fee Related JP3664577B2 (ja)

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