JP3664599B2 - 熱成形用プラグ、熱成形品の製造方法および熱成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱成形用プラグ、熱成形品の製造方法および熱成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱成形における肉厚調整をプラグで行うものとして、特開昭50−87162号(「成形用プラグ」)や特開昭50−67370号(「熱可塑性樹脂シートの成形法」)に開示されたものが知られている。
前者のものはプラグを周面方向に沿って片割れ可能に形成しておきつつ、それぞれの一片ごとが基部の外周側で枢動可能に支持され、上端外周側が拡径及び縮径できるようになっている。当初縮径したまま熱可塑性樹脂シートに当接して雌型内に押し込み、その後、拡径される。拡径させることにより、熱成形品における底壁の予備伸張の程度が変化し、結果として肉厚を調整できることになる。
【0003】
これに対し、後者のものはバネのような弾性支持部材を介し支持され、熱可塑性樹脂板に当接させながら、プラグを雌型に付き当てて上記バネを収縮させる。このため、周壁については本来のプラグの長さに加えてバネのストローク分だけ余分に予備伸張が行われることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の熱成形用プラグにおいては、次のような課題があった。
前者のものでは、プラグが型割れしたり、枢動可能であるなど、構成が複雑になる。また、後者のものでは、プラグを雌型内に当接させることになるが、このときに肉厚が薄くなってしまって現実的には採用できない。
【0005】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、簡易な構成で柔軟な肉厚調整を行うことが可能になり、プラグ本体から進退するサブプラグの駆動を気圧差だけで制御でき、構成および成形タイミングを簡易にすることが可能な熱成形用プラグ、熱成形品の製造方法および熱成形装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、熱成形用のプラグであって、プラグ本体と、当該プラグ本体に収容されつつ雌型内に向けて進退して肉厚調整を補助するサブプラグとを具備し、上記サブプラグは、上記プラグ本体に収容支持されつつ同プラグ本体内側の気密室に連通し、同気密室と外部の気圧差に応じて進退する構成としてある。
【0007】
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、サブプラグがプラグ本体に収容され、雌型内に向けて進退可能となっている。一般に雌型内周面とプラグとの間隔が近づけばその近辺において成形品の肉厚は増すし、離れれば肉厚は薄くなる。従って、肉厚を増したい部分においてサブプラグを突出させる。
また、上記サブプラグは、上記プラグ本体に収容支持されつつ同プラグ本体内側の気密室に連通し、同気密室と外部の気圧差に応じて進退する構成としてある。
上記のように構成した発明においては、プラグ本体の内側には気密室が形成され、サブプラグはこの気密室に連通するようにプラグ本体に収容支持されているので、同気密室と外部との気圧調整を行うことにより、サブプラグを進退させることができる。
例えば、外部を一定気圧としておいて気密室に負圧を与えればサブプラグは収容され、同気密室に圧空を供給すればサブプラグは突出する。周知のようにプラグ本体外部の気圧を制御することは行われており、さらにサブプラグの駆動制御に必要な限度で気圧差を調整すればよい。すなわち、気密室に外部よりも高圧を供給すればサブプラグは突出した状態となるが、この状態から気密室を大気に開放すればサブプラグは収容される。
【0008】
サブプラグをプラグ本体のどの部分に収容させるかは肉厚調整の要求に応じて適宜決定すればよい。その一例として、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の熱成形用プラグにおいて、上記プラグ本体と上記サブプラグは、略同心円状に形成される構成としてある。
【0009】
上記のように構成した請求項2にかかる発明においては、プラグ本体と上記サブプラグとが同心円状に形成されていると、プラグ頂部の面積はサブプラグの進退によって可変となる。すなわち、サブプラグが突出していなければプラグ本体の面積となるし、サブプラグが突出していれば同サブプラグの面積となる。また、突出するか否かによって雌型内周面との距離は変化する。これらが総合的に作用して肉厚の部分的な調整が行われる。
【0010】
むろん、必ずしも両者が正確に同心円である必要はなく、概ねプラグ本体の頂部といえる部位の内側からサブプラグが進退するような構成となっていればよい。
【0011】
気圧差でサブプラグの進退を制御するにあたり、サブプラグの支持構造は各種のものが考えられる。その一例として、請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2に記載の熱成形用プラグにおいて、上記プラグ本体と上記サブプラグとがシリンダピストン状として形成される構成としてある。
上記のように構成した請求項3にかかる発明においては、サブプラグとプラグ本体はシリンダピストン構造となっており、サブプラグはプラグ本体に形成されたシリンダ状の筒部内にピストン状に収容支持されているので、プラグ本体の内側の気密室と外部との気圧調整を行うことにより、サブプラグをピストン状に進退させることができる。
【0012】
以上のような熱成形プラグは単独に利用されるわけではなく、熱成形装置の一部として利用されて熱成形品を製造する。そして、肉厚調整を良好に行なえることになった熱成形品を製造する。このような意味で、請求項4にかかる発明は、熱成形用雌型内に向けてプラグを進退させて軟化熱可塑性樹脂板を予備伸張させて熱成形品を製造する熱成形品の製造方法であって、上記プラグを、プラグ本体と、当該プラグ本体に収容支持されつつ同プラグ本体内側の気密室に連通して同気密室と外部の気圧差に応じて雌型内に向けて進退可能なサブプラグとで構成しつつ、同気密室と外部との気圧調整を行うことにより同サブプラグを突出させた状態として上記プラグ本体とともに上記熱成形用雌型内に進入させ、その後に同気密室と外部との気圧調整を行うことにより同サブプラグを後退させて肉厚調整を行なう構成としてある。
【0013】
上記のように構成した請求項4にかかる発明においては、上記気密室と外部との気圧調整を行うことによりサブプラグを突出させた状態としてプラグ本体とともに熱成形用雌型内に進入させるので、同熱成形用雌型の内周面との距離は狭く、その近辺で肉厚は厚くなる。また、その後に上記気密室と外部との気圧調整を行うことにより同サブプラグを後退させるので、熱成形用雌型の内周面とプラグとの間隔が短くなることに起因する不具合があっても回避される。
むろん、このような不具合がなくても肉厚調整を可能とするメリットはあるが、実際にかかる不具合を解消する必要がある場合にはより好適である。その一例として、請求項5にかかる発明は、熱成形用雌型と、この熱成形用雌型内に軟化熱可塑性樹脂板を押し込むように進退するプラグとを有する熱成形装置であって、上記熱成形用雌型は、椀型凹形状に形成されるとともに、この椀型凹形状の椀底部から連続して末広がり形状に糸底外周形状を形成する糸底外形用凹部と、この糸底外形用凹部における上記椀型凹部への開口縁と近似する柱体状に形成されつつ上記椀型凹形状に対して進退可能に支持され、上記糸底外形用凹部からやや奥側に待避した第一の停止位置から上記開口縁に近接する第二の停止位置までの間で駆動される糸底内側成形型とを有し、上記プラグは、上記椀型凹部内に進入可能なプラグ本体と、上記糸底外形用凹部の開口内に進入可能な柱体状に形成されつつ上記プラグ本体の椀底部より同開口内に対して進退可能に支持され、上記プラグ本体に収容支持されつつ同プラグ本体内側の気密室に連通して同気密室と外部の気圧差に応じて進退するとともに、上記糸底内側成形型が上記第一の停止位置と上記第二の停止位置との間で往復駆動されるのに対応して当接することなく往復駆動されるサブプラグとを有する構成としてある。
【0014】
上記のように構成した請求項5にかかる発明においては、椀型凹形状とした熱成形用雌型の椀底部で末広がり形状の糸底を形成する。このため、椀型凹形状の椀底部から連続する末広がり形状の糸底外形用凹部を形成してあり、また、この椀型凹形状の椀底部には上記椀型凹部への開口縁と近似する柱体状の糸底内側成形型が進退可能に収容されている。この糸底内側成形型は上記糸底外形用凹部からやや奥側に待避した第一の停止位置から上記開口縁に近接する第二の停止位置までの間で駆動されるが、成形開始時には同第一の停止位置に待機しているので、軟化した熱可塑性樹脂板は椀型凹形の椀底部から糸底外形用凹部を経てさらに奥まった糸底内側成形型まで引き延ばされなければならない。
【0015】
このとき、従来のようなプラグであれば熱成形用雌型の椀底部よりも内側までしか押し込まれないため、必然的にプラグから糸底外形用凹部や糸底内側成形型までの距離は長くならざるを得ない。しかしながら、このプラグの場合は、上記椀型凹部内に進入可能なプラグ本体に加えて、上記糸底外形用凹部の開口内に進入可能な柱体状に形成されたサブプラグを備えており、このサブプラグが突出していることによって熱可塑性樹脂板は糸底外形用凹部や糸底内側成形型に近い位置まで押し込まれる。
【0016】
ところで、糸底内側成形型が進退可能に支持されているのは、一旦、椀底部の奥まで引き延ばされた熱可塑性樹脂板を開口側に押し戻すことによって開口縁から末広がり状に続く糸底外形用凹部で糸底を形成しつつ椀型凹部から大きな段差無く続く椀底を形成するためである。そして、このように糸底内側形成型が第一の停止位置から第二の停止位置へと移動するため、サブプラグが突き出たままでは干渉しかねない。また、干渉しないほど距離が空いていれば肉厚を増すこともできない。
【0017】
このため、サブプラグは、上記プラグ本体に収容支持されつつ同プラグ本体内側の気密室に連通して同気密室と外部の気圧差に応じて進退するとともに、糸底内側成形型が上記第一の停止位置と上記第二の停止位置との間で往復駆動されるのに対応して当接することなく往復駆動され、これによって肉厚を最大限まで増すことができるようになる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、プラグ本体から進退するサブプラグを有することによって部分的な肉厚調整を補助しやすくすることが可能になり、気圧差だけでサブプラグの駆動を制御でき、構成および成形タイミングを簡易にすることが可能な熱成形用プラグを提供することができる。
【0019】
また、請求項2にかかる発明によれば、プラグ本体とサブプラグとを略同心円状に形成することによって底面積の変化と距離の変化とで肉厚を調整できるようになる。
さらに、請求項3にかかる発明によれば、サブプラグとプラグ本体とがシリンダピストン状の構成として簡易な構成とできる。
【0020】
さらに、請求項4にかかる発明によれば、肉厚調整を容易に行うことが可能になり、気圧差だけでサブプラグの駆動を制御でき、構成および成形タイミングを簡易にすることが可能な熱成形品の製造方法を提供できる。
さらに、請求項5にかかる発明によれば、肉厚を厚くした糸底を容易に成形することが可能になり、気圧差だけでサブプラグの駆動を制御でき、構成および成形タイミングを簡易にすることが可能な熱成形装置を提供できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる熱成形用プラグの変形動作を概略断面図により示しており、図2は同熱成形用プラグを適用した熱成形装置を要部断面図により示しており、図3は同熱成形装置の動作シーケンスをタイミングチャートにより示している。
【0022】
まず、熱成形装置から説明する。上基板11と下基板31は図示しない上テーブルと下テーブルとに固定されて駆動装置M1,M2にて所定ストロークの範囲でそれぞれ上下動可能となっている。上基板11には所定距離だけ隔ててキャビベース12がボルト固定されており、このキャビベース12にキャビホルダ13がボルト固定され、さらに、同キャビホルダ13に複数のメインキャビティ21が装着されている。
【0023】
熱成形用雌型20は、図4に拡大して示すように、このメインキャビティ21と、底型22とから構成されている。メインキャビティ21は、概ね椀型の凹形状に形成されているが、その底部に貫通口21aを形成してあり、当該貫通口21aを塞ぐように略円筒状の底型22が上下動可能に支持されている。
椀の形状は、開口端より周壁面を経て底壁面へと連続するが、当該貫通口21aは当該底壁面に形成され、周壁面から一旦は狭まった開口径が奥方向に向かうにつれて末広がり状に拡径した後、再度、最初の開口径程度に縮径し、その後は一定径となるように形成されている。ここの末広がり状に拡径する部位は椀の底に形成される糸底の外形を形成する部分であり、型抜き方向に対してアンダーカットを形成する。
【0024】
底型22は上記凹形状の底面を形成し、同底面には同心円状に形成した二段の段差部22aを形成してある。底型の外形は上記貫通口21aにおける一定内径部分と略一致しているが、同貫通口21aの開口端径は同一定内径部分よりも若干小さめとなっている。
この底型22はキャビベース12を貫通しており、同キャビベース12と上記上基板11との間に保持された底型ベース14に支持されている。この底型ベース14は駆動装置M3にて所定ストロークの範囲で上下動可能となっており、そのストロークは上記糸底の終端(図2では上方)からほぼ糸底の高さだけ後退した位置から同糸底の始端(図2では下方)までを当該底型22の底面が往復動する距離となっている。
【0025】
この熱成形用雌型20の内周面には真空・離型孔23を多数配置するが、特に上述したアンダーカットを形成する部位である椀底部に集中させてある。図4を参照すると、周壁面から椀底部へと連続する部位や、糸底の最外周端の部位や、二段の段差部22aの部位に形成してあることが分かる。この真空・離型孔23の数や配置については、椀型の内周形状に沿って密着せしめるという最低限の条件に加えて後述するように同真空・離型孔23から圧空を供給したときに成形品の椀底部位を内側に撓ませることができるような条件で決定している。
【0026】
これらの真空・離型孔23は互いに底型22内に設けられた中空路と上記底型ベース14に形成された中空路を介して外部の図示しない圧力制御機構に対して制御弁V1,V2を介して連通されており、同圧力制御機構にて図3に示すタイミングチャートのように負圧が供給されたり圧空が供給されたりするようになっている。なお、真空・離型孔23に負圧を供給するタイミングについては「真空・離型孔(真空)」と表示し、離型用圧空を供給するタイミングについては「真空・離型孔(離型)」と表示している。
一方、メインキャビティ21の開口端にはこのような真空・離型孔23を形成しておらず、その代わりに開口端形状に沿った凹部には大気連通孔24を形成してある。従って、後述するように成型時にプラグ側から加圧したときでも、成形体とメインキャビティ21の間に空気だまりが形成されることはない。
【0027】
この他、キャビホルダ13における下基板31の側にノックアウトプレート15が配置され、駆動装置M4にて離型時に所定ストロークだけ離反及び接近動可能となっている。
下基板31の側にはプラグベース32がスペーサ33を挟んでボルト固定され、全体として閉じた圧空箱を形成している。プラグベース32には上記メインキャビティ21に対面する位置にプラグ40がボルト固定されており、また、同プラグ40の植設部位周辺に連通口32aを形成してある。
【0028】
プラグ40は、型閉め時に上記熱成形用雌型20内に略上半分部分が挿入され、垂直方向の軸線周りに対象な概略キノコ形に形成されている。図1はこのプラグ40の断面構造を他の図よりも詳細に示している。プラグ40は外枠となるプラグ本体41と、同プラグ本体41に収容支持されるサブプラグ42とから構成されている。プラグ本体41は上面が開口する中空状に形成され、この開口内にサブプラグ42を収容可能となるように上プラグ本体41aと下プラグ本体41bとから構成されている。中空部41a1はほぼ円柱状に形成され、上方側が小径となっており、下方側が大径となっている。これに対応してサブプラグ42は上方側が中空部41a1の小径部分に対応する径となるとともに、下端部分に同中空部41a1の大径部分に対応するフランジ42aが形成されている。また、フランジ42aの外周には周方向に沿って連続する環状溝42a1が形成され、シール用のオーリング42a2が収容されている。すなわち、プラグ本体41とサブプラグ42は前者がシリンダに対応するとともに後者がピストンに対応するシリンダピストン構造として形成されている。
【0029】
上プラグ本体41aは筒状に形成されて下端の開口を下プラグ本体41bで塞いでいる。この下プラグ本体41bの上面側には上プラグ本体41aの下端開口に進入可能な径の短円柱状の凸部41b1が形成され、その外周面には環状溝41b2が形成されるとともにオーリング41b3が収容されている。この下プラグ本体41bは上プラグ本体41aの下方から上記凸部41b1を当該上プラグ本体41a内に進入させて装着され、図示しないボルト止め固定されている。ここにおいて、上記中空部41a1上方側をサブプラグ42のオーリング42a2でシールされ、下方側を凸部41b1のオーリング41b3でシールされることになり、気密領域が形成される。この気密領域は中空部41a1に連通する予備室41b4と所定のエア連通路を介して電磁切換弁であるプラグAD43に接続され、同プラグAD43にてサイレンサ44か定圧供給源45に接続されるようになっている。なお、この連通路については以下においても図面上で省略している。
定圧供給源45は圧空源45aに圧力調整弁45bを介して接続され、設定された圧力の圧空を供給できるようになっている。むろん、プラグAD43で上記気密領域を定圧供給源45に接続すれば気密領域内に圧空が供給され、同プラグAD43でサイレンサ44に接続されると内部に供給されていた圧空が大気に開放されるとともにサブプラグ42が収納されるときに排気が行われる。なお、この気密領域の圧力を独立して調整するため、独立した定圧供給源45に接続されている。
図1では左方にサブプラグ42が最も突出した状態を示しつつ右方に同サブプラグ42が最も沈降した状態を示し、当該サブプラグ42の可動範囲が分かるようにしている。
なお、図2以下においては、理解の煩雑化を防止するため、プラグ40の構成を簡略化して記してある。
【0030】
図2に戻ると、上記メインキャビティ21の開口端と対面するように上記プラグ40を取り囲んで貫通口が形成されたシールプレート34を配置することにより、上基板11と下基板31とが互いに近接した状態では、上記シールプレート34と上記メインキャビティ21との間に熱可塑性樹脂板を挟み込みつつ上記圧空箱と連通する密閉空間を形成する。そして、この圧空箱も上記圧力制御機構に対して制御弁V3,V4を介して連通されており、同圧力制御機構にて図2に示すタイミングチャートのように圧空が供給されたり、大気開放(排気)されたりするようになっている。
なお、上述した駆動装置M1〜M4、制御弁V1〜V4はおよびプラグAD43は、シーケンサなどからなる駆動制御装置C1にて図3のタイミングチャートに対応した駆動制御を実施されている。
【0031】
次に、上記構成からなる本実施形態の動作を図3のタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、この熱成形装置の前段にはヒータや送り装置などが配置されているが、一般的なものを使用することができるので説明は省略する。
まず、タイミングT1にて上テーブルが下降し始め、この上テーブルに固定されている上記上基板11や熱成形用雌型20などが下降し始める。上テーブルの下降はタイミングT3にて終了するが、それに先だつタイミングT2から下テーブルが上昇を開始し、上テーブルの下降完了後、やや遅れたタイミングT4にて上昇を完了する。下テーブルが上昇を開始するときにプラグAD43は定圧源45の側に切り換えられ、上記気密領域に所定の圧空が供給される。このときプラグ40の周囲は大気に連通しているので、気密領域の内圧の方が高く、気圧差によってサブプラグ42は飛び出た状態となっている。
【0032】
図5はタイミングT4における型閉状態の各構成を示しているが、本図では熱可塑性樹脂板だけは省略している。この時点では底型22はメインキャビティ21から奥まった位置(上昇位置)にある。図6に示すように熱可塑性樹脂板は、メインキャビティ21の開口端とシールプレート34とで円形に挟持され、その中央でプラグ40がメインキャビティ21の内側へと引き延ばした状態となっている。底型22はメインキャビティ21から奥まった位置にある関係上、椀型凹部の椀底部もより奥まった位置になって空洞部分を形成しているが、サブプラグ42がプラグ本体41から突出している関係上、この空洞部分まで入り込んでいる。むろん、熱可塑性樹脂板はサブプラグ42の上面側まで引き延ばされており底型22の下面に近い位置となっている。
【0033】
タイミングT50 にて圧空箱の側から圧空を供給し、同時に真空・離型孔23に負圧を供給する。すると、熱可塑性樹脂板はプラグ40の側からメインキャビティ21内へと押しつけられつつ、真空・離型孔23へと吸引されて雌型内周面の奥まった細部形状までも確実に形成される。また、メインキャビティ21の開口端寄りの部分にも段差形状が形成されているが、真空・離型孔23は椀底部に集中させてあって当該段差部分には形成されていない。しかしながら、当該段差部分には代わりに大気連通孔24を形成してあり、プラグ40の側から圧空を供給したときに開口端寄りの部分で熱可塑性樹脂板が同段差部分に押しつけられると、その間に残っている残留空気は同大気連通孔24から外部に排気される。従って、メインキャビティ21の内周面形状に沿って密着して硬化する。
【0034】
ところで、このときに供給する圧空は上記定圧源45から中空部41a1に供給されている気圧よりも高く設定してある。このため、プラグ40の外圧の方が内圧よりも高くなり、サブプラグ42は押し込まれる。図7はこのときの熱可塑性樹脂板の移動方向とサブプラグ42の移動方向を概略的に示している。また、この状態ではサブプラグ42の上端はメインキャビティ21の側へと待避している。
このようにサブプラグ42を移動させるのは肉厚調整のためである。従来のプラグであれば、図7に示すようにせいぜいメインキャビティ21の内側の範囲までしか進入できない。すると、今回の熱成形用雌型20のようにメインキャビティ21の椀底部からさらに奥まった位置で糸底を形成しようとしても熱可塑性樹脂板をさらに遠くまで引き延ばさなければならず、必然的に肉厚は薄くなってしまう。糸底は全体の加重を支える部分であるので、肉厚を増したいところであり、この点で従来の熱成形用プラグのままでは不具合を生ずることになっていた。
【0035】
この状態では椀の底に形成される糸底の外形は形成されるものの、本来の椀底が糸底よりもさらに奥まった位置に形成された中間形状となっている。ただし、タイミングT50 にわずかに遅れてタイミングT51 には、図8に示すように底型ベース14がアクチュエータによって下降され、底型22が貫通口21a内を下降する。底型22が貫通口21a内を下降してくるにつれて本来の椀底が貫通口21aの開口端側へと移動されるとともに、糸底の終端から貫通口21aの内周面に沿って椀底へと連続していた部分がまくれ上がって新たに糸底の内側壁面を形成する。また、底型22の下降がわずかな遅れで実施されているので熱可塑性樹脂板自体はまだ軟化状態であり、上述したように底型22の下端は貫通口21aの開口端径よりもやや大径となっているので、それぞれ軟化状態にある椀底の周縁と糸底の始端部分とを押しつけて溶着させ、隙間が無くなる。この状態を図9に示している。
【0036】
この状態でも圧空が供給されており、サブプラグ42はプラグ本体41の内部に収容されたままであって熱成形品に干渉することもない。
所定の硬化時間を経たタイミングT6にて圧空箱からの圧空の供給を停止し、外気に連通して排気させる。また、同時にプラグADをサイレンサ44の側に切り換え、プラグ40の中空部41a1を大気に開放する。すると、プラグ40の外部も中空部41a1の内部も共に大気圧となって気圧差が無くなり、サブプラグ42はその直前状態である収納状態のまま保持される。
また、真空・離型孔23への負圧の供給を停止するとともに底型22を上昇させる。図10は底型22を上昇させた直後の成形体の断面を示している。貫通口21a内では末広がり状に拡径しているので、糸底は確実にアンダーカット形状となっており、このままではノックアウトを行ったとしても確実に離型させうるとは限らない。そして、一つでも離型できないものがあれば、次の送り工程で他の成形体、全てが傷ついてしまうことになる。
【0037】
本実施形態では、上テーブルと下テーブルを離反させるのに先立ち、まず、タイミングT8にて真空・離型孔23から圧空を供給する。離型する前であるから椀の形の成形体は開口端を押さえつけられており、この状態で椀の底に圧空を送るのであるから、椀底部は当然に内側に撓もうとする。そして、これにわずかだけ遅れたタイミングT9にて下テーブルを下降させ始める。図11は椀底部が内側に撓もうとしている状態を示しており、糸底がアンダーカット形状となっていても椀底部の中心を押し下げればその周囲はわずかながら内側に引き込まれる。このように引き込まれると糸底の終端部分も内側に引き寄せられ、アンダーカット形成部位からすり抜けられるような形となる。その状態で下テーブルが下がるとシールプレート34が下降して成形体の下端が自由になる。この時点で糸底が外れるのが殆どであるが、これに遅れたタイミングT10 ではノックアウトプレート15も押し下げられるので、これで確実に離型を完了する。
【0038】
ノックアウトプレート15が押し下げられ始めたときに上テーブルも上昇を開始するが、最初はゆっくりと上昇し始め、成形体が離型が確実に完了したと考えられるタイミングT11 の頃から速度を上げて上昇する。また、離型の完了とともにタイミングT12 にて真空・離型孔23からの圧空の供給も停止する。
ノックアウトプレート15の下降とともに下テーブルが下がり始めたら圧空箱を大気に連通させておく必要はなくなり、タイミングT10 にて排気を停止する。上テーブルと下テーブルが完全に停止したらノックアウトプレート15もキャビホルダ13に近接する本来の位置に引き戻す。図12は上テーブルと下テーブルとが完全に停止し、まだ、ノックアウトプレート15が引き戻されていない時点での状態を示している。
【0039】
以上を一回の熱成形サイクルとして椀形状の成形体を製造していく。なお、このように椀底部から外方に広がる糸底を形成できると、椀がより椀らしく見えて質感が向上する。また、この糸底部分は熱可塑性樹脂板の肉厚を増しつつ二重になっているので十分に強度を有するし、さらに椀の内周面に糸底内部へと連通する隙間が生じないので衛生上も良好である。
ところで、上述した実施形態においては、椀底部に糸底を形成するものとなっているが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、部分的に肉厚を調整する必要があるものであればよい。図13にはこのような希望に対処するための変形例を示している。同図(I)においては、成形品として椀の周壁を薄くし、下方の角部を中位とし、椀底を肉厚にしている。これに対して同図(II)は周壁の開口寄り部分を中位とし、角部を薄くし、底の中心より部分だけを肉厚としている。これは、基本方針としてサブプラグの径を小さくしつつ突出長さを長くしたことによる。従って、このような観点を応用して適宜肉厚調整すればよい。
【0040】
プラグ40が二重になっているだけであるが、二重のものに限るわけではない。例えば、椀の底側で肉厚が厚く、開口縁に近づくにつれて徐々に薄くなるというような場合に、同様の構成で三重に構成するようにしても良い。これによって各段ごとに引き延ばされる量を調整できるようになるからである。
また、突出方向は椀底側に限られるものではなく、肉厚を増したい部分で熱成形用雌型20の内周面に近づくように突き出ればよい。従って、側面部分で肉厚を増して模様を形成するといったことも可能である。
【0041】
さらに、サブプラグ42を駆動するにあたって外圧だけを調整するようにしているのは、プラグ40の構造をできる限りシンプルにしつつ、全体の制御も容易にするためである。従って、中空部41a1の気圧を積極的に調整することにより、進退のタイミングをコントロールすることも可能である。
このように、プラグ40を、プラグ本体41とサブプラグ42とによって構成しつつ、同サブプラグ42をプラグ本体41に対して進退できるように構成したため、肉厚を増したい部分で熱成形用雌型20との距離を狭めるとともに、同熱成形用雌型20が稼働する場合であっても干渉することなく、熱成形品を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかる熱成形用プラグの概略断面図である。
【図2】 同熱成形用プラグを適用した熱成形装置の要部断面図である。
【図3】 同熱成形装置の動作シーケンスを示すタイミングチャートである。
【図4】 同熱成形装置の雌型の拡大概略断面図である。
【図5】 同熱成形装置の型締状態の要部断面図である。
【図6】 型閉め直後の熱可塑性樹脂板とプラグの位置関係を示す要部断面図である。
【図7】 成形開始直後の成形体とプラグの概略断面図である。
【図8】 同熱成形装置の底型を下降させた状態の要部断面図である。
【図9】 同状態の成形体とプラグの概略断面図である。
【図10】 底型を再度上昇させた状態の成形体の概略断面図である。
【図11】 真空・離型孔から圧空を供給して椀底部を撓ませた状態の成形体の概略断面図である。
【図12】 同熱成形装置のノックアウトプレートを押し下げた状態の要部断面図である。
【図13】 肉厚調整を行うための変形例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
11…上基板
12…キャビベース
13…キャビホルダ
14…底型ベース
15…ノックアウトプレート
20…熱成形用雌型
21…メインキャビティ
21a…貫通口
22…底型
22a…段差部
23…真空・離型孔
24…大気連通孔
31…下基板
32…プラグベース
32a…連通口
33…スペーサ
34…シールプレート
40…プラグ
41…プラグ本体
41a…上プラグ本体
41a1…中空部
41b…下プラグ本体
41b1…凸部
41b2…環状溝
41b3…オーリング
41b4…予備室
Claims (5)
- 熱成形用のプラグであって、プラグ本体と、当該プラグ本体に収容されつつ雌型内に向けて進退して肉厚調整を補助するサブプラグとを具備し、
上記サブプラグは、上記プラグ本体に収容支持されつつ同プラグ本体内側の気密室に連通し、同気密室と外部の気圧差に応じて進退することを特徴とする熱成形用プラグ。 - 上記請求項1に記載の熱成形用プラグにおいて、上記プラグ本体と上記サブプラグは、略同心円状に形成されることを特徴とする熱成形用プラグ。
- 上記請求項1または請求項2に記載の熱成形用プラグにおいて、上記プラグ本体と上記サブプラグとがシリンダピストン状として形成されることを特徴とする熱成形用プラグ。
- 熱成形用雌型内に向けてプラグを進退させて軟化熱可塑性樹脂板を予備伸張させて熱成形品を製造する熱成形品の製造方法であって、
上記プラグを、プラグ本体と、当該プラグ本体に収容支持されつつ同プラグ本体内側の気密室に連通して同気密室と外部の気圧差に応じて雌型内に向けて進退可能なサブプラグとで構成しつつ、同気密室と外部との気圧調整を行うことにより同サブプラグを突出させた状態として上記プラグ本体とともに上記熱成形用雌型内に進入させ、その後に同気密室と外部との気圧調整を行うことにより同サブプラグを後退させて肉厚調整を行なうことを特徴とする熱成形品の製造方法。 - 熱成形用雌型と、この熱成形用雌型内に軟化熱可塑性樹脂板を押し込むように進退するプラグとを有する熱成形装置であって、
上記熱成形用雌型は、
椀型凹形状に形成されるとともに、
この椀型凹形状の椀底部から連続して末広がり形状に糸底外周形状を形成する糸底外形用凹部と、
この糸底外形用凹部における上記椀型凹部への開口縁と近似する柱体状に形成されつつ上記椀型凹形状に対して進退可能に支持され、上記糸底外形用凹部からやや奥側に待避した第一の停止位置から上記開口縁に近接する第二の停止位置までの間で駆動される糸底内側成形型とを有し、
上記プラグは、
上記椀型凹部内に進入可能なプラグ本体と、
上記糸底外形用凹部の開口内に進入可能な柱体状に形成されつつ上記プラグ本体の椀底部より同開口内に対して進退可能に支持され、上記プラグ本体に収容支持されつつ同プラグ本体内側の気密室に連通して同気密室と外部の気圧差に応じて進退するとともに、上記糸底内側成形型が上記第一の停止位置と上記第二の停止位置との間で往復駆動されるのに対応して当接することなく往復駆動されるサブプラグとを有することを特徴とする熱成形装置。
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