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JP3664825B2 - ブロー成形用金型及びブロー成形方法 - Google Patents
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ブロー成形用金型及びブロー成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に加飾表皮と一体成形するブロー成形品を、変形を生じさせることなく効率的に生産することが可能なブロー成形用金型及びブロー成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
加飾表皮を有するブロー成形品の一例として、図7に車両用シートのリヤシートバックに使用されるシートフレーム4を示す。同図に示すシートフレーム4は略長方形の板体で、一方の側縁はホイールハウジングとの干渉を避けるために下半が切り欠かれている。シートフレーム4の後面は外周全周を一定幅の枠部41として残して内周部は一定量凹陥し、この内周部に不織布やファブリック等の加飾表皮5が貼着してある。シートフレーム4の断面は図8に示すように、樹脂材のブロー成形によって、上下に間隔をおいて水平方向へ延びる複数の閉断面筒部42が形成されて、これら筒部42が、同じく閉断面をなす外周枠部41の左右の縦枠間を連結して構造強化が図られている。このようなシートフレーム4には図7,図8の鎖線で示すごとく、その外周と前面を覆って発泡材製のクッション体6が取り付けられて、リヤシートバックとなる。
【0003】
斯るシートフレーム4は従来、図9に示すような金型7,8で製造されている。同図はこれら金型7,8の型面の一部を断面で示したもので、金型7の型面にはシートフレーム4の外形に沿った凹凸が形成されるとともに、シートフレーム4の後面内周部に対応する金型8の型面には平らな表皮保持面81が形成されて、型開き状態でここに加飾表皮5が保持される。そして、金型7,8の中央に図示のようにパリソン4´が供給され、型締め後、ブロー成形される。
【0004】
ところで、上述した従来の金型によると、ブロー成形後の冷却時に、シートフレーム4の後面側では加飾表皮5があるために放熱がうまく進まず、前面側に対して樹脂材の硬化が遅れ、成形後のシートフレーム4に「反り」を生じるという問題があった。そこで、これを解決するために、特開平8−47965号公報では、金型にセットする前の加飾表皮5に図10に示すように散水して予め水分を付着させておき、脱型時の気化熱によりシートフレーム4の後面側の冷却を促進してシートフレーム前面側との硬化速度を均等にすることによって「反り」の発生を防止する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記提案の方法では、加飾表皮への水散布のために新たな工程を要し、また、そのためのスペースが必要になっていた。更に、加飾表皮の表面に付着させた水分が、加飾表皮を金型にセットしている間にシートフレームへの貼着面である裏面側へ回り込んで或いは浸透して、シートフレームとの接着強度が低下する虞れもあった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するもので、加飾表皮への散水工程や散水用スペースを要せず、更に、ブロー成形品への加飾表皮の接着強度低下も生じさせないブロー成形用金型及びブロー成形方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の発明の要旨は、金型(2)の型面に表皮保持面(212)を形成して、加飾表皮(5)をその表面が前記表皮保持面(212)上に保持させ得るようにし、且つ、前記表皮保持面(212)に複数の水供給孔(26)を形成して、これら水供給孔(26)を前記金型(2)内に設けた水供給路(24)に連通させたことを特徴とするブロー成形用金型にある。請求項2記載の発明のブロー成形用金型は、請求項1の水供給路を一定容積の水貯蔵空間(24)として、当該水貯蔵空間(24)に前記各水供給孔(26)を連通させ、更に、該各水供給孔(26)に、これを覆うフィルタ部材(3)が設けられたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載の発明の要旨は、請求項1記載のブロー成形用金型を用いて、表皮保持面に加飾表皮をセットせると共に、水供給孔を通った水分が表皮保持面を濡らすようにし、その後、型閉じして加飾表皮と一体成形を行うことを特徴とするブロー成形方法にある。
ここで、「水分が表皮保持面を濡らすようにし」には、表皮保持面がフィルタ部材で覆われる場合には、このフィルタ部材に水分が保持される場合もこれに該当するとみなす。
【0009】
請求項1,3の発明のごとく、水供給路より各水供給孔へ水を供給すると、金型の表皮保持面に保持される加飾表皮に水分が与えられる。この後、金型内にパリソンを供給して型締めしブロー成形すると、ブロー成形品に加飾表皮が接合される。そして、ブロー成形,脱型過程では、加飾表皮に含まれる水分が気化して加飾表皮を接合したブロー成形品表面の冷却が促進される。これにより、加飾表皮が接合されていないブロー成形品表面と同様の放熱が達成されて両表面の硬化速度がほぼ等しくなり、成形サイクルを短くする。と同時に、ブロー成形品の「反り」の問題も解消される。
更に、加飾表皮に対する水分供給が金型内でなされると、従来のように加飾表皮への散水工程を別に行う必要がなく、散水用スペースを新たに確保する必要もない。
また、加飾表皮への水分供給後に、速やかにブロー成形を行うことができるので、水分が加飾表皮のブロー成形品との接合面へ浸透することはなく、ブロー成形品と加飾表皮の接着が円滑に進む。
【0010】
請求項2の発明のごとく、水供給路を一定容積の水貯蔵空間とすると、水貯蔵空間が各水供給孔への分配ヘッダーの役割を担うので、複数の水供給孔に簡易かつ確実に水を供給できる。
加えて、フィルタ部材が設けられると、フィルタ部材の保水性が生かされ、そして、保有した水の均等分散化を図ることができるので、加飾表皮のシートフレームへの貼着面である裏面側への水の回り込みをより確実に抑え、また、加飾表皮が接合する側のブロー成形品表面の冷却を効率よく促進できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(1)実施形態1
図1〜図3は本発明のブロー成形用金型の一形態で、図1はその斜視図を示す。同図において、シートフレーム4の前面側(図8の左面側)を形成する金型1(以下、前側金型という)は従来のもの(図9の金型7)と基本的に同一構造である。これに対して、シートフレーム4の後面側(図8の右面側)を形成する金型2(以下、後側金型という)は全体が厚み方向で二分割されており、両分割金型21,22は衝合面の外周全周にパッキン23を介在させて図略のボルトにより互いに結合されている。
前側金型1と直接衝合される分割金型21の型面は、シートフレーム4の枠部41(図7)を形成するために外周部211が溝状に凹陥し、内周部は詳細を後述する平面状の表皮保持面212となっている。また、後側金型22には側面の下端部に水供給管31が、側面の上端部に水排出管32がそれぞれ接続されている。
【0012】
図2には両金型1,2の部分垂直断面図を、図3には後側金型2の全体水平断面図をそれぞれ示す。後側金型2の分割金型21は表皮保持面212の背後で裏面側内周部が凹陥しており、該分割金型21に衝合される分割金型22も衝合面の対応する領域が凹陥している。これにより、両分割金型21,22を外周にパッキン23を介在させて結合すると、表皮保持面212背後に一定容積の水貯蔵空間24(水供給路)が形成される。前述した水供給管31および水排出管32は、分割金型21に形成された給水路213および排水路214にそれぞれ接続されて、水貯蔵空間24に連通する。
【0013】
分割金型21の表皮保持面212には多数のピン25が立設されており、これらピン25に加飾表皮5を係止することによって、加飾表皮5はその表面を接触させた状態で表皮保持面212上に保持される。ここで、加飾表皮5とは、意匠面をもつ不織布,ファブリック,カーペット等の表皮をいう。
表皮保持面212には上記ピン25の間に複数(多数)の水供給孔26が形成されており、これら水供給孔26は分割金型21を貫通して水貯蔵空間24に開口している。水供給孔26の径は、加飾表皮5の均等分散を鑑みれば小径ほどよく、一方で小径にしすぎると詰まり易くなるため、具体的には、0.01mmφ〜0.2mmφの範囲とするのが好ましい。勿論、加飾表皮5にも分散作用があるため、水供給孔の数を減らし多少大きめにしても加飾表皮5に満遍なく水が供給できる。
ところで、シートフレーム4に接合される加飾表皮5の裏面側へ水分が浸透すると、その接合強度が低下するので、水の供給量は加飾表皮5の表面全体に水分が行き渡り、且つ加飾表皮5の裏面側(パリソン側)へは水分が浸透しない程度とするのが好ましい。水供給量の一例としては、加飾表皮5としてカーペット材を使用した場合、50〜120g/m2 が好適範囲となる。この水供給量の調整は、水供給管31の水量を調節して水貯蔵空間24内の水圧を変更することにより行う。水は、水排出管32を経て常に循環するようにして、熱交換器(図示せず)により冷却し、ブロー成形時の熱移動によって貯蔵水が過度に温まらない構成をとる。尚、当然のことながら、水供給孔26を通って表皮保持面212を濡らす水分の量が水供給量から減るため、その分、補充されていく。
【0014】
次に、上記構造の金型1,2を使用して加飾表皮一体のシートフレーム4をブロー成形する方法について述べる。
まず、型開状態で、後側金型2の表皮保持面212のピン25に加飾表皮5の表側を係止し保持させる。この加飾表皮5のセット状態で、次に、水供給管31より水貯蔵空間24内へ水を供給し、表皮保持面212に接触した加飾表皮5の表面側へ水供給孔26を経て所定量の水分を供給する。
表皮保持面212を水分で濡らした後、続いて、前側金型1と後側金型2の間に図2に示すようにパリソン4′を垂下させ、その後、型閉めしてシートフレーム4をブロー成形する。この時、ブロー成形されたシートフレーム4の後面に加飾表皮5が熱接合される(図4)。
成形終了後、脱型すると、所望の加飾表皮一体のブロー成形品を得る。
【0015】
このように構成したブロー成形用金型及びブロー成形方法によれば、金型2にセットした状態で加飾表皮5に水分を供給することができるので、従来のように加飾表皮5に散水するための新たなスペースや工程は不要となる。
また、水分供給のコントロールがし易く、且つ、水分供給後には、即座にパリソン4′を供給して速やかに型閉めし、シートフレーム4の成形に移行できる。シートフレーム4の成形へ移行する間に、加飾表皮5の表面側へ供給した水分が、加飾表皮5の裏面側へ浸透してシートフレームとの接合強度を低下させる虞れもない。
そうして、ブロー成形,脱型段階で、成形中の熱を受けた加飾表皮5に含まれる水分が気化してシートフレーム後面側の冷却を促す。故に、加飾表皮5を設けたシートフレーム後面側と加飾表皮5の無いシートフレーム前面側の硬化速度がほぼ等しくなり、加飾表皮側の冷却速度が律速になっていた成形時間の遅延が解消される。更に、熱冷却バランスが改善され、成形後のシートフレーム4の「反り」等の発生が防止される。
【0016】
(2)実施形態2
図5は他形態の後側金型2の水平断面図を示す。同図において、分割金型2の凹陥する表面側内周部にはこれに沿って板状のフィルタ部材3が接合されて、各水供給孔26の型面側開口を覆っている。フィルタ部材3には、例えば、連泡性の発泡体シートが使われる。具体的には、ポリ塩化ビニル,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリウレタン,各種ゴム等で造られる連続気泡フォームが好ましい。フィルタ部材3は、ポーラスなものであればよく、不織布,ネット,多孔板等を使用することもできる。該フィルタ部材3は、起立状態で使用されるため、必要に応じて発泡倍率を上下方向で変えて、できる限り水分が加飾表皮5に均等付着するように構成される。
また、水供給孔26の孔径は、実施形態1より大きくしている。フィルタ部材は水の分散作用を有し、水供給孔26の孔径を大きくしても加飾表皮5の表面に水分を均等分散できるからである。他の構成は実施形態1と同じである。
斯るブロー成形用金型を使用したブロー成形方法は、基本的に実施形態1と同じである。ただ、水分が表皮保持面212を濡らす段階で、フィルタ部材3には保水能力があり、表皮保持面212を濡らす水分は大部分がフィルタ部材3に吸われる傾向にある。故に、フィルタ部材3が吸った水分を加算して表皮保持面212の濡れ度合を決めることになる。
【0017】
このように構成したブロー成形用金型及びブロー成形方法は、実施形態1の効果に加え、フィルタ部材3が水の分散作用を促すために、水供給孔26の孔径を大きくでき、型費が安くなるばかりか、水供給孔26の目詰り頻度が減る。従って、メインテナンスが楽で、長期に亘って安定したブロー成形を確保できる。
更に、フィルタ部材3に保水能力があることから、表皮保持面212を水分で濡らしても、これに保持される加飾表皮5がさほど濡れない。このため、パリソン4′に接する加飾表皮面に水がつくことは稀になり、加飾表皮5と一体のブロー成形が円滑に進む。とりわけ、型閉め段階で、パリソン4′と加飾表皮5の接着時点では、まだ大部分の水がフィルタ部材3に保有されているので、水分が邪魔することはなく、パリソン4′と加飾表皮5の接着が完璧となる。そして、型閉じ完了間近になると、フィルタ部材3も絞られていくため水をはき出していく。この水をはき出すタイミングは、丁度、冷却を促進しなければならないタイミングに一致しており、極めて好都合になっている。
加えて、加飾表皮5は起立状態で金型2に取り付けられるが、従来の公報技術(特開平8−47965号)は加飾表皮5に水を均一散布しても、加飾表皮を金型にセットしている間に水が垂れ不均一になるのに対し、本発明ではフィルタ部材3が保水して水の均一分散維持を図る。加飾表皮5のセット後に表皮保持面212へ水を供給することも勿論効を奏する。
【0018】
(3)実施形態3
図6は他形態の後側金型2の水平断面図を示す。同図において、分割金型21の凹陥する裏面側内周部にはこれに沿って板状のフィルタ部材3が接合されて、各水供給孔26の水貯蔵空間側開口を覆っている。フィルタ部材3には、前述と同様、連泡性の発泡体シート等が使われる。
ここでも、水供給孔26の孔径を実施形態1より大きくしている。フィルタ部材3で水の抵抗を大きくして且つ多孔質形状によって水の均等,分散作用を促せるからである。更に、ここでは、フィルタ部材3の気泡が金型2の下方部(紙面向こう側)では細かく、金型2の上方部(紙面手前側)では荒くしている。このような構造にすると、水圧が相対的に高い水貯蔵空間24内の下層部において、フィルタ部材3の気泡が細かくなっていることにより水供給孔26の径が実質的に小さくなり、下側部と上側部とで加飾表皮5への水供給量をほぼ均等にすることができる。他の構成は実施形態1と同じである。
斯るブロー成形用金型を使用したブロー成形方法も、基本的に実施形態1と同じである。
このように構成したブロー成形用金型及びブロー成形方法は、実施形態1の効果に加え、水供給孔26の孔径を大きくでき、型費を安くできるばかりか、水供給孔26の目詰りが減るので、長期に亘って安定したブロー成形を確保できる。
【0019】
尚、本発明においては、前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。前記各実施形態では、後側金型2内に水貯蔵空間24を形成して、この水貯蔵空間24から各水供給孔26へ水を分配するようにしたが、金型内に通常設けられている冷却水路から各水供給孔26へ水を分配することもできる。各水供給孔26への独自の水供給路を設けることもできる。また、実施形態3では、フィルタ部材3によって下方の水供給孔26の径を実質的に小さくしたが、フィルタ部材3を使用せず水供給孔26の実際の径を金型2の下方ほど小さくしても勿論よい。実施形態2,3を組合せて、分割金型2の凹陥する表面側内周部及び裏面側内周部の両方にフィルタ部材3を配設することもできる。
【0020】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明のブロー成形用金型及びブロー成形方法によれば、加飾表皮への散水工程や散水用スペースが不要になり、更に、ブロー成形品への加飾表皮の接着強度低下も避けることができるなど極めて有益となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における型開き状態での金型の斜視図である。
【図2】型開き状態での金型の部分垂直断面図である。
【図3】後側金型の水平断面図で、図2のIII −III 線に沿った断面図である。
【図4】型締め状態での金型の全体垂直断面図である。
【図5】実施形態2における後側金型の水平断面図である。
【図6】実施形態3における後側金型の水平断面図である。
【図7】シートフレームの全体斜視図である。
【図8】シートフレームの垂直断面図で、図7のVII −VII 線に沿った断面図である。
【図9】従来の金型の部分垂直断面図である。
【図10】加飾表皮への散水工程を示す側面図である。
【符号の説明】
1,2 金型
212 表皮保持面
24 水貯蔵空間(水供給路)
26 水供給孔
3 フィルタ部材
5 加飾表皮

Claims (3)

  1. 金型(2)の型面に表皮保持面(212)を形成して、加飾表皮(5)を前記表皮保持面(212)上に保持させ得るようにし、且つ、前記表皮保持面(212)に複数の水供給孔(26)を形成して、これら水供給孔(26)を前記金型(2)内に設けた水供給路(24)に連通させたことを特徴とするブロー成形用金型。
  2. 前記水供給路を一定容積の水貯蔵空間(24)として、当該水貯蔵空間(24)に前記各水供給孔(26)を連通させ、更に、該各水供給孔(26)に、これを覆うフィルタ部材(3)が設けられた請求項1に記載のブロー成形用金型。
  3. 請求項1記載のブロー成形用金型を用いて、表皮保持面(212)に加飾表皮(5)をセットすると共に、水供給孔(26)を通った水分が表皮保持面(212)を濡らすようにし、その後、型閉じして加飾表皮(5)と一体成形を行うことを特徴とするブロー成形方法。
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