JP3665578B2 - 表示装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置の製造方法に係わり、特にブラウン管のフェース面に形成される反射帯電防止膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表示装置の表面処理膜には、反射帯電防止機能や表示装置のフェース面の透過率を下げコントラストを向上させるなどの機能を持たせることができる。
さらに、表面処理膜に波長選択吸収特性を持たせ発光体の色純度を向上させることや、ブラウン管においては帯電防止に留まらず電磁シールドの機能を持たせることもできる。
これを受け、近年、金属微粒子からなる導電層とSiO2からなる保護層の2層反射帯電防止膜が利用されている。
【0003】
ここで導電層には、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B、4B族の金属から選ばれた少なくとも1種類の金属微粒子または金属化合物微粒子が使用可能である。特に金属微粒子そのものが光吸収特性を持つものを使用した場合は、表面処理膜の透過率を下げコントラスト向上の機能を持たせることができ、具体的にはAg・Pd合金、Au・Pd合金などが使われている。
【0004】
また、この2層反射防止膜は、膜形成に必要とされる処理時間、設備投資額といった生産性の観点より、その多層反射防止膜を構成する成分を含む溶液を、塗布面を回転させることにより生じる遠心力を利用して塗布面に対して均一に分散させ成膜するスピンコート法や、塗布面に対する溶液の自重による拡散を利用して均一に成膜するディッピング(Dipping)法などの湿式法で形成することが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画像のコントラストを向上させるために導電層の透過率を下げるに従い、導電層の塗布ムラが目立ち画質の劣化が生じる問題が発生した。この問題に対しては、金属微粒子からなる導電層のほかに、有機色素等を含む吸収層を設ける多層構造が有効である。
【0006】
ところが、このような膜構造では、多層反射防止膜を構成する各層の成膜時の膜乾燥を生産性の良い比較的低温でかつ短時間の条件(例えば、20〜35℃で1〜5分間の乾燥条件)で順次積層していくことが極めて困難であり、温風またはヒータなどの熱源を用いた強制加熱(例えば、50〜100℃、3〜10分間)で各層を乾燥させ積層する必要がある。
【0007】
上記成膜に関する発明者らの実験では、吸収層をスピンコート法で形成し、ただし次層積層にあたり薄膜化後の乾燥は30℃/5分間で行ない、次いで同様の条件にて導電層および保護層を順次形成した場合、導電層形成用の液に含まれる溶媒や金属微粒子が吸収層に染み込み、導電特性および反射防止特性の劣化、さらに所望とする透過率のみならず表示装置の表面処理膜に求められる機能が大幅に劣化した。
一方、60℃の温度で5分間乾燥させ順次積層し多層反射防止膜を形成した場合には、導電性、反射防止特性の機能が損なわれず、また膜の透過率等も所望の値となった。
【0008】
しかしながら、このような乾燥条件とするためにはフェース面の加熱装置や冷却装置を必要とし、設備コストがかさむ、また処理時間が長くなるといった生産性の不具合が生じる。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、表示画像のコントラスト特性に優れ、かつ生産性に優れた多層反射防止膜を有する表示装置の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の表示装置の製造方法は、表示装置のフェース面上に、少なくとも 1 種の有機色素およびSiO 2 を含み、かつアルキル基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ニトロ基およびエステル基から選ばれた少なくとも 1 つの官能基を有する少なくとも 1 種のシランカップリング剤を含有する吸収層を、前記吸収層の形成用溶液を塗布した後に 20 〜 35 ℃の温度条件下で 1 〜 5 分間乾燥させて形成する工程と、前記吸収層上に順に導電層および保護層を、それぞれ前記導電層および前記保護層の形成用溶液を塗布した後に 20 〜 35 ℃の温度条件下で 1 〜 5 分間乾燥させて形成する工程と、前記吸収層、導電層および保護層を熱処理する工程とを具備することを特徴とするものである。
本発明においては、上記したような構造とすることでコントラスト特性等に優れ、かつ生産性に優れた表示装置とすることが可能となる。また、上記したようなシランカップリング剤を吸収層に添加することで、この吸収層上に導電層を形成する場合に、導電層形成用の液体に含まれる溶媒や金属微粒子が吸収層に染み込むのを抑制し、吸収層や導電層の特性低下を抑制することが可能となる。
【0013】
前記導電層には、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3Bおよび4B族から選ばれた元素を含む少なくとも1種の金属微粒子または金属化合物微粒子が含有されていることが好ましい。
【0015】
本発明の表示装置はブラウン管等に用いることができ、このようなものに用いることによって表示画像のコントラスト特性等を向上させることができる。
【0018】
本発明においては、湿式方式のコーティング法、好ましくはスピンコート法やディッピング法により前記吸収層、導電層および保護層を形成するための溶液を塗布することが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の表示装置の概要を示した断面図である。
本発明の表示装置1はフェース面2と、このフェース面2上に形成される多層反射帯電防止膜3とからなる。この多層反射帯電防止膜3は、さらにフェース面2側から順に吸収層4、導電層5および保護層6が配置されている。
【0020】
吸収層4は少なくとも1種の有機色素およびSiO2を含むものである。有機色素としては、例えばジオキサジンバイオレット、ウォッチアングレット、キナクドリンを用いることができる。
吸収層4には、さらに少なくとも1種のシランカップリング剤(有機ケイ素化合物)が含有されていることが好ましい。以下、シランカップリング剤の添加理由について述べる。
【0021】
吸収層4は、有機色素およびバインダーとしてSiO2を、溶媒としてエタノールなどの低級アルコールを使用した液を用い形成することができる。しかしながら、20〜35℃、で1〜5分間程度の膜乾燥では多孔質なSiO2中に残存する溶媒を完全に除去することが困難であり、膜は湿潤ゲルの状態にあると考えられる。
【0022】
また、一般的にSiO2の分子の大きさよりも有機色素分子の大きさの方が大きく、多孔質なSiO2の網目構造中に有機色素が捕獲された状態となるため、SiO2のみで形成される膜よりも緻密性の低い膜構造にあると考えられる。
【0023】
このような状態の吸収層4上に導電層5を吸収層4と同様の方法にて形成する場合、導電層形成に用いられる溶液には金属微粒子の分散性および塗膜性の観点より低級アルコールを主溶媒とした液が用いられているため、導電層形成用の液中の溶媒が下地の吸収層へ染込み、またそれに伴ない金属微粒子が多孔質構造なSiO2へ拡散するため、十分な層分離ができず、導電特性および反射特性など表示装置の表面処理膜に要求される機能が劣化する可能性がある。
【0024】
そこで、吸収層形成用の液を調整する段階でエタノールなどの使用溶媒と相溶性があり、また液中に含まれる有機色素やSiO2と反応し凝集を起こさず、かつ前述の生産性を考慮した乾燥条件で導電層の吸収層への染込みを抑制する物質としてシランカップリング剤を含有させることとした。この場合、吸収層に含有されたシランカップリング剤は、導電層形成用の液中の溶媒の進入を抑制するといった表面改質の機能として働くものと考えられる。
【0025】
シランカップリング剤としては、例えばアルキル基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ニトロ基、エステル基のいずれかの官能基を持つシランカップリング剤が挙げられる。この中でも特にメチル基を持つメチルトリメトキシシランやビニル基を持つビニルトリメトキシシランを用いることにより、導電特性および反射特性等の劣化を有効に抑制することが可能となる。
【0026】
吸収層4におけるシランカップリング剤の含有量は前記SiO2と有機色素の固形分重量の合計に対して7倍量以下とすることが好ましい。シランカップリング剤の含有量が7倍量を超える場合、導電層5を形成する際に吸収層4に溶媒が染み込むこと等を抑制する効果が低くなる。
【0027】
吸収層4に導電層5が染み込むこと等による導電特性および反射特性等の劣化をより有効に抑制するためには、シランカップリング剤の含有量をSiO2と有機色素の固形分重量の合計に対して2倍量以上7倍量以下とすることが好ましい。より好ましくは3倍量以上5倍量以下である。
【0028】
さらに、前記吸収層には、400〜750nmの範囲に選択吸収特性を有する少なくとも1種の有機色素を含有させることが好ましい。このような範囲の選択吸収特性を有する有機色素を含有させることで、発光体の色純度を向上させることが可能となる。
【0029】
また、導電層5には3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B、4B族から選ばれた元素を含む少なくとも1種の金属微粒子または金属化合物微粒子が含有されていることが好ましい。特に金属微粒子そのものが光吸収特性を持つものを使用した場合は、表面処理膜の透過率を下げコントラスト向上の機能を持たせることができる。このようなものとしては、例えばAg・Pd合金、Au・Pd合金等が挙げられる。
【0030】
また、本発明においては前記吸収層の400〜750nmにおける膜透過率を90〜50%、前記導電層の400〜750nmにおける膜透過率を100〜70%、かつ多層膜としての膜透過率を90〜40%とすることが可能であり、また400〜750nmにおける視感正反射率を2.0%以下とすることが可能である。さらに、表面抵抗値を500kΩ/□以下とすることにより、電磁シールド等の機能を持たせることができる。
【0031】
次に、本発明の表示装置の製造方法の一例について述べる。
吸収層形成用溶液として、溶媒にSi(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド)、有機色素、シランカップリング剤を含有する溶液を作製する。溶媒としてはエタノール等を用いることができ、有機色素としては、例えばジオキサジンバイオレット、ウォッチアングレット、キナクドリン等を用いることができる。
【0032】
シランカップリング剤としては、アルキル基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ニトロ基、エステル基のいずれかの官能基を持つ少なくとも1種のシランカップリング剤(有機ケイ素化合物)を用いることが好ましい。
Si(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド)の代わりに、Si(OC2H5)4(シリコンテトラメトキシド)等を用いることも可能である。
【0033】
導電層形成用溶液として、例えばエタノール等を主溶媒とし、これに3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B、4B族の金属から選ばれた少なくとも1種の金属微粒子または金属化合物微粒子を含有させた溶液を作製する。前記金属化合物微粒子としては、例えばAg・Pd合金、Au・Pd合金が挙げられる。
保護層形成用溶液として、例えばエタノール等を主溶媒とし、これにSi(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド)等が添加された溶液を作製する。
【0034】
次に、ブラウン管等のフェース面の温度を20〜35℃程度に調整し、このフェース面に前記吸収層形成用溶液を塗布する。塗布の方法としては、塗布面(フェース面)を回転させる事により生じる遠心力を利用して塗布面に対して均一に分散させ成膜するスピンコート法、あるいは塗布面に対する溶液の自重による拡散を利用して均一に成膜するディッピング法などの湿式方式を用いることが好ましい。前記吸収層形成用溶液を塗布後、1〜5分間、20〜35℃の条件下で乾燥処理し吸収層を形成する。
【0035】
次に、この吸収層上に前記導電層形成用溶液を同様の方法を用いて塗布し、乾燥処理して導電層を形成する。さらに、この導電層上に保護層形成用溶液を同様の方法を用いて塗布し、乾燥処理して保護層を形成する。
【0036】
このようにしてフェース面上に順次吸収層、導電層、保護層が形成されたものを、さらに150〜270℃、10〜200分間、熱処理することにより本発明の表示装置を製造することができる。
【0037】
【実施例】
次に、実施例を参照して本発明を説明する。
実施例1〜6、参考例1〜3
(1)吸収層形成用溶液の調整
まず、Si(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド)2.0wt%、H2O 8.0wt%、HNO3 0.1wt%を含み残部がエタノールからなる混合液を調整し、これを50℃で約1時間攪拌した。次に、この混合液55wt%に有機色素を含有した顔料分散液10wt%、および表1に示されるように各実施例に応じてシランカップリング剤を添加し、残部をIPA(イソプロピルアルコール)とした溶液を約30分間攪拌し吸収層形成用溶液を調整した。なお、顔料分散液は、ジオキサジンバイオレットを2.4wt%の濃度でイソプロピルアルコールに分散させたものとした。
【表1】
【0038】
(2)導電層形成用溶液の調整
エタノールを主溶媒とし、他にIPAを溶媒としたAg・Pd合金微粒子(0.3wt%)を含む導電層形成用溶液を調整した。
【0039】
(3)保護層形成用溶液の調整
Si(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド) 1.0wt%、H2O 4.0wt%、HNO3 0.1wt%、エタノール 60 wt%を含み、残部がIPAからなる混合液を調整し、これを50℃で約1時間攪拌し保護層形成用溶液を調整した。
【0040】
(4)多層反射防止膜の形成
ブラウン管のフェース面の温度を30℃に調整し、次いで第1の層である吸収層形成用溶液をフェース面に塗布し、次いで150rpmの回転を1分間保持し薄膜化し、次いで25℃、絶対湿度1g/m3の環境下でフェース面を100rpmで3分間回転させながら乾燥し、吸収層を形成した。続けて第2の層である導電層および第3の層である保護層を前記吸収層の形成と同様の条件にて順次形成し、その後180℃、15分間の焼成処理を行なった。同様にして、実施例2〜6および参考例1〜3の吸収層形成用溶液を用いて多層反射防止膜を形成した。
【0041】
このようにして形成した多層反射防止膜の特性につき、膜の外観確認、視感正反射率、表面抵抗値、および多層膜の透過率を測定した。結果を表2に示す。なお、表2の膜の外観評価については、膜色がフェース面全域で均一でムラが認められず、かつハジキ状のムラ見られないものを○、膜色がフェース面の所々で不均一で、またハジキ状のムラが認められるものを×とした。また、本実施例の溶液を用い、吸収層および導電層の各単層膜を形成し膜の透過率を測定したところ、吸収層単層では76%、導電層単層では80%となり、保護層の透過率を100%と見なせば多層膜としての透過率は計算上約61%となった。
【表2】
【0042】
実施例2および実施例5の膜透過率は、上記透過率の計算値と略同等で、また膜の外観異常が無く、視感正反射率および表面抵抗値も公知の2層反射帯電防止膜と比べてもほぼ同等と言える。
【0043】
実施例1、3、4及び6については、多層膜としての透過率が計算値より高めで導電層が吸収層へ多少染込んでいると考えられるが、膜の外観異常は見られず、また視感正反射率および表面抵抗値も表示装置の表面処理膜に要求される性能となっている。
【0044】
参考例1及び2については導電層の吸収層への染込みがみられ、外観異常として現れていた。吸収層形成用溶液にシランカップリング剤を添加しなかった参考例3についても、導電層の吸収層への染込みがみられ外観異常として現れていた。また、視感正反射率および表面抵抗値も他の実施例に比べて若干悪いものとなった。
【0045】
これらの結果より、シランカップリング剤の添加量がSiO2と色素の固形分重量に対し7倍量を超える場合にはシランカップリング剤の効果が低くなるため、シランカップリング剤の添加量は7倍量以下とすることが好ましいことが認められた。
【0046】
実施例7
(1)吸収層形成用の液の調整
まず、Si(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド) 2.0wt%、H2O8.0wt%、HNO3 0.1wt%を含み残部がエタノールからなる混合液を調整し、これを50℃で約1時間攪拌した。次に、この混合液55wt%に有機色素を含有した顔料分散液4wt%、およびシランカップリング剤(メチルトリメトキシシラン)を5wt%添加し、残部をIPA(イソプロピルアルコール)とした溶液を約30分間攪拌し吸収層形成用溶液を調整した。なお、顔料分散液は、ジオキサジンバイオレットを2.4wt%の濃度でイソプロピルアルコールに分散させたものとした。
【0047】
(2)導電層形成用溶液の調整
エタノールを主溶媒とし、他にIPAを溶媒としたAg/Pd合金微粒子(0.3wt%)を含む導電層形成用溶液を調整した。
【0048】
(3)保護層形成用溶液の調整
Si(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド) 1.0wt%、H2O 4.0wt%、HNO3 0.1wt%、エタノール 60 wt%を含み、残部がIPAからなる混合液を調整し、これを50℃で約1時間攪拌し保護層形成用溶液を調整した。
【0049】
(4)多層反射防止膜の形成
ブラウン管のフェース面の温度を30℃に調整し、次いで第1の層である吸収層形成用の液をフェース面に塗布し、次いで150rpmの回転を1分間保持し薄膜化し、次いで25℃、絶対湿度1g/m3の環境下でフェース面を100rpmで3分間回転させながら乾燥し、吸収層を形成した。続けて第2の層である導電層用および第3の層を保護層を前記吸収層形成と同様の条件にて順次形成した。その後180℃、15分間の焼成処理を行なった。
【0050】
なお、この多層膜の形成は20本のブラウン管に対して施した。また、本実施例の液を用い、吸収層および導電層の各単層膜を形成し膜透過率を測定したところ、吸収層単層では80%、導電層単層では80%となり、保護層の透過率を100%と見なせば多層膜としての透過率は計算上64%となった。
【0051】
比較例1、2
比較例1、2として、金属微粒子からなる導電層とSiO2からなる保護層の2層反射帯電防止膜を形成した。この2層膜の形成は、比較例1および2で各20本のブラウン管に対して施した。なお、金属微粒子の固形分は2層膜として、比較例1では80%の透過率になるように、比較例2では65%の透過率となるように調整した。
【0052】
このようにして形成した実施例7、比較例1、2の表面処理膜の特性につき、膜の外観確認で異常が認められた本数、視感正反射率、表面抵抗値、および多層膜の透過率を測定した。結果を表3に示す。
【表3】
【0053】
表3に示すように、実施例7では表示装置の表面処理膜に要求される性能を有している。また、従来の2層膜では、膜透過率が比較的高い比較例1では特性上の問題は発生していないが、実施例7と同じ膜透過率の比較例2では膜の外観異常(塗布ムラ)が目立ち生産上問題となる。
【0054】
本発明で用いた多層膜が透過率の低い領域でもこのような塗布ムラが目立ち難い理由としては、この多層膜の透過率が、有機色素を含む吸収層と金属微粒子を含む導電層の2層により制御可能なためである。よって、既に実用化されている2層反射帯電防止膜同等の透過率領域で積層して行けばよく、吸収層と導電層の塗布ムラ位置が一致しなければ塗布ムラが強調され難い。
【0055】
一方、従来の2層膜では、透過率の高い領域では潜在的な塗布ムラが、透過率下げるに従い顕在化する傾向にある。
【0056】
【発明の効果】
本発明においては、フェース面に形成される多層膜を吸収層、導電層および保護層からなる少なくとも3層以上とすることにより、塗布ムラ等の外観異常の発生を抑制することが可能となる。また、吸収層にシランカップリング剤を含有させることで、吸収層および導電層の特性低下を抑制することも可能となる。そして、本発明の表示装置の製造方法によれば、表示装置に外観異常が発生することを抑制し、かつ生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の表示装置の概略を示した断面図。
【符号の説明】
1…表示装置
2…フェース面
3…多層反射帯電防止膜
4…吸収層
5…導電層
6…保護層
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置の製造方法に係わり、特にブラウン管のフェース面に形成される反射帯電防止膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表示装置の表面処理膜には、反射帯電防止機能や表示装置のフェース面の透過率を下げコントラストを向上させるなどの機能を持たせることができる。
さらに、表面処理膜に波長選択吸収特性を持たせ発光体の色純度を向上させることや、ブラウン管においては帯電防止に留まらず電磁シールドの機能を持たせることもできる。
これを受け、近年、金属微粒子からなる導電層とSiO2からなる保護層の2層反射帯電防止膜が利用されている。
【0003】
ここで導電層には、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B、4B族の金属から選ばれた少なくとも1種類の金属微粒子または金属化合物微粒子が使用可能である。特に金属微粒子そのものが光吸収特性を持つものを使用した場合は、表面処理膜の透過率を下げコントラスト向上の機能を持たせることができ、具体的にはAg・Pd合金、Au・Pd合金などが使われている。
【0004】
また、この2層反射防止膜は、膜形成に必要とされる処理時間、設備投資額といった生産性の観点より、その多層反射防止膜を構成する成分を含む溶液を、塗布面を回転させることにより生じる遠心力を利用して塗布面に対して均一に分散させ成膜するスピンコート法や、塗布面に対する溶液の自重による拡散を利用して均一に成膜するディッピング(Dipping)法などの湿式法で形成することが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画像のコントラストを向上させるために導電層の透過率を下げるに従い、導電層の塗布ムラが目立ち画質の劣化が生じる問題が発生した。この問題に対しては、金属微粒子からなる導電層のほかに、有機色素等を含む吸収層を設ける多層構造が有効である。
【0006】
ところが、このような膜構造では、多層反射防止膜を構成する各層の成膜時の膜乾燥を生産性の良い比較的低温でかつ短時間の条件(例えば、20〜35℃で1〜5分間の乾燥条件)で順次積層していくことが極めて困難であり、温風またはヒータなどの熱源を用いた強制加熱(例えば、50〜100℃、3〜10分間)で各層を乾燥させ積層する必要がある。
【0007】
上記成膜に関する発明者らの実験では、吸収層をスピンコート法で形成し、ただし次層積層にあたり薄膜化後の乾燥は30℃/5分間で行ない、次いで同様の条件にて導電層および保護層を順次形成した場合、導電層形成用の液に含まれる溶媒や金属微粒子が吸収層に染み込み、導電特性および反射防止特性の劣化、さらに所望とする透過率のみならず表示装置の表面処理膜に求められる機能が大幅に劣化した。
一方、60℃の温度で5分間乾燥させ順次積層し多層反射防止膜を形成した場合には、導電性、反射防止特性の機能が損なわれず、また膜の透過率等も所望の値となった。
【0008】
しかしながら、このような乾燥条件とするためにはフェース面の加熱装置や冷却装置を必要とし、設備コストがかさむ、また処理時間が長くなるといった生産性の不具合が生じる。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、表示画像のコントラスト特性に優れ、かつ生産性に優れた多層反射防止膜を有する表示装置の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の表示装置の製造方法は、表示装置のフェース面上に、少なくとも 1 種の有機色素およびSiO 2 を含み、かつアルキル基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ニトロ基およびエステル基から選ばれた少なくとも 1 つの官能基を有する少なくとも 1 種のシランカップリング剤を含有する吸収層を、前記吸収層の形成用溶液を塗布した後に 20 〜 35 ℃の温度条件下で 1 〜 5 分間乾燥させて形成する工程と、前記吸収層上に順に導電層および保護層を、それぞれ前記導電層および前記保護層の形成用溶液を塗布した後に 20 〜 35 ℃の温度条件下で 1 〜 5 分間乾燥させて形成する工程と、前記吸収層、導電層および保護層を熱処理する工程とを具備することを特徴とするものである。
本発明においては、上記したような構造とすることでコントラスト特性等に優れ、かつ生産性に優れた表示装置とすることが可能となる。また、上記したようなシランカップリング剤を吸収層に添加することで、この吸収層上に導電層を形成する場合に、導電層形成用の液体に含まれる溶媒や金属微粒子が吸収層に染み込むのを抑制し、吸収層や導電層の特性低下を抑制することが可能となる。
【0013】
前記導電層には、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3Bおよび4B族から選ばれた元素を含む少なくとも1種の金属微粒子または金属化合物微粒子が含有されていることが好ましい。
【0015】
本発明の表示装置はブラウン管等に用いることができ、このようなものに用いることによって表示画像のコントラスト特性等を向上させることができる。
【0018】
本発明においては、湿式方式のコーティング法、好ましくはスピンコート法やディッピング法により前記吸収層、導電層および保護層を形成するための溶液を塗布することが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の表示装置の概要を示した断面図である。
本発明の表示装置1はフェース面2と、このフェース面2上に形成される多層反射帯電防止膜3とからなる。この多層反射帯電防止膜3は、さらにフェース面2側から順に吸収層4、導電層5および保護層6が配置されている。
【0020】
吸収層4は少なくとも1種の有機色素およびSiO2を含むものである。有機色素としては、例えばジオキサジンバイオレット、ウォッチアングレット、キナクドリンを用いることができる。
吸収層4には、さらに少なくとも1種のシランカップリング剤(有機ケイ素化合物)が含有されていることが好ましい。以下、シランカップリング剤の添加理由について述べる。
【0021】
吸収層4は、有機色素およびバインダーとしてSiO2を、溶媒としてエタノールなどの低級アルコールを使用した液を用い形成することができる。しかしながら、20〜35℃、で1〜5分間程度の膜乾燥では多孔質なSiO2中に残存する溶媒を完全に除去することが困難であり、膜は湿潤ゲルの状態にあると考えられる。
【0022】
また、一般的にSiO2の分子の大きさよりも有機色素分子の大きさの方が大きく、多孔質なSiO2の網目構造中に有機色素が捕獲された状態となるため、SiO2のみで形成される膜よりも緻密性の低い膜構造にあると考えられる。
【0023】
このような状態の吸収層4上に導電層5を吸収層4と同様の方法にて形成する場合、導電層形成に用いられる溶液には金属微粒子の分散性および塗膜性の観点より低級アルコールを主溶媒とした液が用いられているため、導電層形成用の液中の溶媒が下地の吸収層へ染込み、またそれに伴ない金属微粒子が多孔質構造なSiO2へ拡散するため、十分な層分離ができず、導電特性および反射特性など表示装置の表面処理膜に要求される機能が劣化する可能性がある。
【0024】
そこで、吸収層形成用の液を調整する段階でエタノールなどの使用溶媒と相溶性があり、また液中に含まれる有機色素やSiO2と反応し凝集を起こさず、かつ前述の生産性を考慮した乾燥条件で導電層の吸収層への染込みを抑制する物質としてシランカップリング剤を含有させることとした。この場合、吸収層に含有されたシランカップリング剤は、導電層形成用の液中の溶媒の進入を抑制するといった表面改質の機能として働くものと考えられる。
【0025】
シランカップリング剤としては、例えばアルキル基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ニトロ基、エステル基のいずれかの官能基を持つシランカップリング剤が挙げられる。この中でも特にメチル基を持つメチルトリメトキシシランやビニル基を持つビニルトリメトキシシランを用いることにより、導電特性および反射特性等の劣化を有効に抑制することが可能となる。
【0026】
吸収層4におけるシランカップリング剤の含有量は前記SiO2と有機色素の固形分重量の合計に対して7倍量以下とすることが好ましい。シランカップリング剤の含有量が7倍量を超える場合、導電層5を形成する際に吸収層4に溶媒が染み込むこと等を抑制する効果が低くなる。
【0027】
吸収層4に導電層5が染み込むこと等による導電特性および反射特性等の劣化をより有効に抑制するためには、シランカップリング剤の含有量をSiO2と有機色素の固形分重量の合計に対して2倍量以上7倍量以下とすることが好ましい。より好ましくは3倍量以上5倍量以下である。
【0028】
さらに、前記吸収層には、400〜750nmの範囲に選択吸収特性を有する少なくとも1種の有機色素を含有させることが好ましい。このような範囲の選択吸収特性を有する有機色素を含有させることで、発光体の色純度を向上させることが可能となる。
【0029】
また、導電層5には3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B、4B族から選ばれた元素を含む少なくとも1種の金属微粒子または金属化合物微粒子が含有されていることが好ましい。特に金属微粒子そのものが光吸収特性を持つものを使用した場合は、表面処理膜の透過率を下げコントラスト向上の機能を持たせることができる。このようなものとしては、例えばAg・Pd合金、Au・Pd合金等が挙げられる。
【0030】
また、本発明においては前記吸収層の400〜750nmにおける膜透過率を90〜50%、前記導電層の400〜750nmにおける膜透過率を100〜70%、かつ多層膜としての膜透過率を90〜40%とすることが可能であり、また400〜750nmにおける視感正反射率を2.0%以下とすることが可能である。さらに、表面抵抗値を500kΩ/□以下とすることにより、電磁シールド等の機能を持たせることができる。
【0031】
次に、本発明の表示装置の製造方法の一例について述べる。
吸収層形成用溶液として、溶媒にSi(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド)、有機色素、シランカップリング剤を含有する溶液を作製する。溶媒としてはエタノール等を用いることができ、有機色素としては、例えばジオキサジンバイオレット、ウォッチアングレット、キナクドリン等を用いることができる。
【0032】
シランカップリング剤としては、アルキル基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ニトロ基、エステル基のいずれかの官能基を持つ少なくとも1種のシランカップリング剤(有機ケイ素化合物)を用いることが好ましい。
Si(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド)の代わりに、Si(OC2H5)4(シリコンテトラメトキシド)等を用いることも可能である。
【0033】
導電層形成用溶液として、例えばエタノール等を主溶媒とし、これに3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B、4B族の金属から選ばれた少なくとも1種の金属微粒子または金属化合物微粒子を含有させた溶液を作製する。前記金属化合物微粒子としては、例えばAg・Pd合金、Au・Pd合金が挙げられる。
保護層形成用溶液として、例えばエタノール等を主溶媒とし、これにSi(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド)等が添加された溶液を作製する。
【0034】
次に、ブラウン管等のフェース面の温度を20〜35℃程度に調整し、このフェース面に前記吸収層形成用溶液を塗布する。塗布の方法としては、塗布面(フェース面)を回転させる事により生じる遠心力を利用して塗布面に対して均一に分散させ成膜するスピンコート法、あるいは塗布面に対する溶液の自重による拡散を利用して均一に成膜するディッピング法などの湿式方式を用いることが好ましい。前記吸収層形成用溶液を塗布後、1〜5分間、20〜35℃の条件下で乾燥処理し吸収層を形成する。
【0035】
次に、この吸収層上に前記導電層形成用溶液を同様の方法を用いて塗布し、乾燥処理して導電層を形成する。さらに、この導電層上に保護層形成用溶液を同様の方法を用いて塗布し、乾燥処理して保護層を形成する。
【0036】
このようにしてフェース面上に順次吸収層、導電層、保護層が形成されたものを、さらに150〜270℃、10〜200分間、熱処理することにより本発明の表示装置を製造することができる。
【0037】
【実施例】
次に、実施例を参照して本発明を説明する。
実施例1〜6、参考例1〜3
(1)吸収層形成用溶液の調整
まず、Si(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド)2.0wt%、H2O 8.0wt%、HNO3 0.1wt%を含み残部がエタノールからなる混合液を調整し、これを50℃で約1時間攪拌した。次に、この混合液55wt%に有機色素を含有した顔料分散液10wt%、および表1に示されるように各実施例に応じてシランカップリング剤を添加し、残部をIPA(イソプロピルアルコール)とした溶液を約30分間攪拌し吸収層形成用溶液を調整した。なお、顔料分散液は、ジオキサジンバイオレットを2.4wt%の濃度でイソプロピルアルコールに分散させたものとした。
【表1】
【0038】
(2)導電層形成用溶液の調整
エタノールを主溶媒とし、他にIPAを溶媒としたAg・Pd合金微粒子(0.3wt%)を含む導電層形成用溶液を調整した。
【0039】
(3)保護層形成用溶液の調整
Si(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド) 1.0wt%、H2O 4.0wt%、HNO3 0.1wt%、エタノール 60 wt%を含み、残部がIPAからなる混合液を調整し、これを50℃で約1時間攪拌し保護層形成用溶液を調整した。
【0040】
(4)多層反射防止膜の形成
ブラウン管のフェース面の温度を30℃に調整し、次いで第1の層である吸収層形成用溶液をフェース面に塗布し、次いで150rpmの回転を1分間保持し薄膜化し、次いで25℃、絶対湿度1g/m3の環境下でフェース面を100rpmで3分間回転させながら乾燥し、吸収層を形成した。続けて第2の層である導電層および第3の層である保護層を前記吸収層の形成と同様の条件にて順次形成し、その後180℃、15分間の焼成処理を行なった。同様にして、実施例2〜6および参考例1〜3の吸収層形成用溶液を用いて多層反射防止膜を形成した。
【0041】
このようにして形成した多層反射防止膜の特性につき、膜の外観確認、視感正反射率、表面抵抗値、および多層膜の透過率を測定した。結果を表2に示す。なお、表2の膜の外観評価については、膜色がフェース面全域で均一でムラが認められず、かつハジキ状のムラ見られないものを○、膜色がフェース面の所々で不均一で、またハジキ状のムラが認められるものを×とした。また、本実施例の溶液を用い、吸収層および導電層の各単層膜を形成し膜の透過率を測定したところ、吸収層単層では76%、導電層単層では80%となり、保護層の透過率を100%と見なせば多層膜としての透過率は計算上約61%となった。
【表2】
【0042】
実施例2および実施例5の膜透過率は、上記透過率の計算値と略同等で、また膜の外観異常が無く、視感正反射率および表面抵抗値も公知の2層反射帯電防止膜と比べてもほぼ同等と言える。
【0043】
実施例1、3、4及び6については、多層膜としての透過率が計算値より高めで導電層が吸収層へ多少染込んでいると考えられるが、膜の外観異常は見られず、また視感正反射率および表面抵抗値も表示装置の表面処理膜に要求される性能となっている。
【0044】
参考例1及び2については導電層の吸収層への染込みがみられ、外観異常として現れていた。吸収層形成用溶液にシランカップリング剤を添加しなかった参考例3についても、導電層の吸収層への染込みがみられ外観異常として現れていた。また、視感正反射率および表面抵抗値も他の実施例に比べて若干悪いものとなった。
【0045】
これらの結果より、シランカップリング剤の添加量がSiO2と色素の固形分重量に対し7倍量を超える場合にはシランカップリング剤の効果が低くなるため、シランカップリング剤の添加量は7倍量以下とすることが好ましいことが認められた。
【0046】
実施例7
(1)吸収層形成用の液の調整
まず、Si(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド) 2.0wt%、H2O8.0wt%、HNO3 0.1wt%を含み残部がエタノールからなる混合液を調整し、これを50℃で約1時間攪拌した。次に、この混合液55wt%に有機色素を含有した顔料分散液4wt%、およびシランカップリング剤(メチルトリメトキシシラン)を5wt%添加し、残部をIPA(イソプロピルアルコール)とした溶液を約30分間攪拌し吸収層形成用溶液を調整した。なお、顔料分散液は、ジオキサジンバイオレットを2.4wt%の濃度でイソプロピルアルコールに分散させたものとした。
【0047】
(2)導電層形成用溶液の調整
エタノールを主溶媒とし、他にIPAを溶媒としたAg/Pd合金微粒子(0.3wt%)を含む導電層形成用溶液を調整した。
【0048】
(3)保護層形成用溶液の調整
Si(OCH3)4(シリコンテトラメトキシド) 1.0wt%、H2O 4.0wt%、HNO3 0.1wt%、エタノール 60 wt%を含み、残部がIPAからなる混合液を調整し、これを50℃で約1時間攪拌し保護層形成用溶液を調整した。
【0049】
(4)多層反射防止膜の形成
ブラウン管のフェース面の温度を30℃に調整し、次いで第1の層である吸収層形成用の液をフェース面に塗布し、次いで150rpmの回転を1分間保持し薄膜化し、次いで25℃、絶対湿度1g/m3の環境下でフェース面を100rpmで3分間回転させながら乾燥し、吸収層を形成した。続けて第2の層である導電層用および第3の層を保護層を前記吸収層形成と同様の条件にて順次形成した。その後180℃、15分間の焼成処理を行なった。
【0050】
なお、この多層膜の形成は20本のブラウン管に対して施した。また、本実施例の液を用い、吸収層および導電層の各単層膜を形成し膜透過率を測定したところ、吸収層単層では80%、導電層単層では80%となり、保護層の透過率を100%と見なせば多層膜としての透過率は計算上64%となった。
【0051】
比較例1、2
比較例1、2として、金属微粒子からなる導電層とSiO2からなる保護層の2層反射帯電防止膜を形成した。この2層膜の形成は、比較例1および2で各20本のブラウン管に対して施した。なお、金属微粒子の固形分は2層膜として、比較例1では80%の透過率になるように、比較例2では65%の透過率となるように調整した。
【0052】
このようにして形成した実施例7、比較例1、2の表面処理膜の特性につき、膜の外観確認で異常が認められた本数、視感正反射率、表面抵抗値、および多層膜の透過率を測定した。結果を表3に示す。
【表3】
【0053】
表3に示すように、実施例7では表示装置の表面処理膜に要求される性能を有している。また、従来の2層膜では、膜透過率が比較的高い比較例1では特性上の問題は発生していないが、実施例7と同じ膜透過率の比較例2では膜の外観異常(塗布ムラ)が目立ち生産上問題となる。
【0054】
本発明で用いた多層膜が透過率の低い領域でもこのような塗布ムラが目立ち難い理由としては、この多層膜の透過率が、有機色素を含む吸収層と金属微粒子を含む導電層の2層により制御可能なためである。よって、既に実用化されている2層反射帯電防止膜同等の透過率領域で積層して行けばよく、吸収層と導電層の塗布ムラ位置が一致しなければ塗布ムラが強調され難い。
【0055】
一方、従来の2層膜では、透過率の高い領域では潜在的な塗布ムラが、透過率下げるに従い顕在化する傾向にある。
【0056】
【発明の効果】
本発明においては、フェース面に形成される多層膜を吸収層、導電層および保護層からなる少なくとも3層以上とすることにより、塗布ムラ等の外観異常の発生を抑制することが可能となる。また、吸収層にシランカップリング剤を含有させることで、吸収層および導電層の特性低下を抑制することも可能となる。そして、本発明の表示装置の製造方法によれば、表示装置に外観異常が発生することを抑制し、かつ生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の表示装置の概略を示した断面図。
【符号の説明】
1…表示装置
2…フェース面
3…多層反射帯電防止膜
4…吸収層
5…導電層
6…保護層
Claims (4)
- 表示装置のフェース面上に、少なくとも1種の有機色素およびSiO2を含み、かつアルキル基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ニトロ基およびエステル基から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する少なくとも1種のシランカップリング剤を含有する吸収層を、前記吸収層の形成用溶液を塗布した後に20〜35℃の温度条件下で1〜5分間乾燥させて形成する工程と、
前記吸収層上に順に導電層および保護層を、それぞれ前記導電層および前記保護層の形成用溶液を塗布した後に20〜35℃の温度条件下で1〜5分間乾燥させて形成する工程と、
前記吸収層、導電層および保護層を熱処理する工程と
を具備することを特徴とする表示装置の製造方法。 - 前記吸収層は400〜750nmに選択吸収特性を有する少なくとも1種の有機色素を含むことを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
- 前記吸収層、導電層および保護層の形成用溶液を湿式方式のコーティング法により塗布することを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
- 前記吸収層、導電層および保護層の形成用溶液をスピンコート法またはディッピング法により塗布することを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
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| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |