JP3666446B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料電池システムに関する、特に燃料循環装置を有する燃料電池システムの起動に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムにおける燃料電池からのオフガスの循環手段としては、特開平10−55814号に示されたようなものがある。これでは、燃料電池で発電に用いられなかった余剰の未反応のオフガスと、新たに供給される燃料ガスとの混合循環をエゼクタにより行うことで効率のよい発電を行っている。
【0003】
また、燃料電池システムの停止時には、燃料ガスの供給を停止し、燃料ガス配管中の燃料ガスを大気中に放出して、燃料ガス配管中を空気や窒素ガスなどの不活性ガスで充満させる方法が知られている。そのため、燃料電池システムの起動時には、燃料ガス配管中を燃料ガスに置換する必要があり、大気開放弁(以下、パージ弁)を開けた状態で燃料ガスを流して燃料ガス中の不活性ガスを燃料ガスで置換する方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとしている問題点】
しかしながら、このような燃料循環装置においては、燃料ガス配管内に空気、または窒素等の不活性ガスが充満されている停止状態から運転を再開する時に、燃料ガス配管中に水素以外のガスが居残ると、燃料電池の性能を著しく低下させてしまうという問題がある。
【0005】
そこで本発明では、燃料ガス配管内に充満した水素以外のガスを短時間で燃料ガスに置換することのできる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段】
第1の発明は、燃料電池の燃料極に燃料ガスを供給する燃料供給路と、燃料ガスを駆動流として前記燃料電池の燃料極から排出されたオフガスを循環路から前記燃料供給路へと循環させるエゼクタと、オフガスを前記燃料電池からシステム外部に放出するために設けられたパージラインと、を備え、起動時の燃料ガスの供給量を、燃料ガスが前記エゼクタから前記循環路を逆流して前記燃料電池に向かって流れる範囲に設定して、前記循環路内のガスを前記パージラインより排出する。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、起動から所定時間後に、燃料ガスの供給量を前記燃料電池の燃料極のオフガスが前記燃料電池から前記エゼクタに向かって前記循環路を流れるように増量する。
【0008】
第3の発明は、第2の発明において、燃料電池への燃料ガスの供給量を調整する調整弁を備え、前記所定時間を、燃料ガスの積算流量が、調整弁から燃料電池の排出口までの燃料ガスが流れる流路と前記循環路の容積に等しくなる時間以上に設定した。
【0009】
第4の発明は、第1の発明において、前記循環路にガス濃度センサを設置し、前記循環路を流れるガスの濃度から前記循環路に水素ガスが充満したことを判断してから、燃料ガスの供給量を前記燃料電池の燃料極のオフガスが前記燃料電池から前記エゼクタに向かって前記循環路を流れるように増量する。
【0010】
第5の発明は、第1から4のいずれか一つの発明において、前記エゼクタに供給される燃料ガスの供給量と前記エゼクタへ循環されるオフガス流量の比である循環比が、前記燃料電池の入口までの前記燃料ガスが流れる流路と前記循環路の容積比と一致するように起動時に供給する燃料ガスの供給量を決定する。
【0011】
【作用及び効果】
第1の発明によれば、起動時に燃料ガスの供給量を燃料ガスがエゼクタから燃料電池に向かって循環路を逆流する範囲に設定することで、循環路と燃料供給路に充満していたガスが共にエゼクタからパージラインに向かって流れるので、短時間で確実に配管内の空気などをパージすることができる。
【0012】
第2の発明によれば、起動から所定時間後に、燃料ガスの供給量を燃料電池の燃料極のオフガスが燃料電池からエゼクタに向かって循環路を流れるように設定することで、ガスパージ後に適格に発電に必要な燃料ガス、または燃料ガスとオフガスの混合ガスを燃料電池に供給するができる。
【0013】
第3の発明によれば、所定時間を、燃料ガスの積算流量が調整弁から燃料電池排出口までの燃料ガスが流れる流路と循環路の容積に等しくなる時間以上に設定することで、効率よく燃料ガス以外のガスを燃料ガスに置換してから発電を開始することができる。
【0014】
第4の発明によれば、循環路を流れるガスの濃度により燃料ガスが充満したことを判断することで、確実にまた短時間で燃料ガス以外のガスをパージすることができるので、燃料電池システムの起動時間を短縮することができる。
【0015】
第5の発明によれば、循環比が燃料電池の入口までの燃料ガスが流れる流路と循環路の容積比と一致するように起動時に供給する燃料ガスの供給量を決定することで、循環路内の燃料ガス置換が燃料供給路内の燃料ガス置換とほぼ同時に完了するため、効率のよい燃料ガス置換が可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態における燃料電池システムの反応ガス供給系の構成を図1に示す。本燃料電池システムは水素ガスと酸素ガスを用いた電気化学反応により発電を行うシステムであり、ここでは水素ボンベ1から供給される水素ガスとシステム外部より供給される空気中の酸素との間に生じる反応により発電を行う。
【0017】
燃料電池システム運転時では、高圧環境下で蓄えられている水素ボンベ1から圧力調整弁2により流量・圧力を調整された水素ガスが、燃料供給路35を通り燃料電池3に供給される。圧力調整弁2の開度は、コントロールユニット10内の圧力調整弁駆動装置5により制御する。燃料供給路35には、燃料電池3からの未反応のオフガスを燃料供給路35に吸引するためのエゼクタ23を設置する。
【0018】
エゼクタ23では、供給された水素ガスの流れにより後述する循環路31のオフガスを吸引して、それらが混合することにより混合燃料ガスを生成する。生成された混合燃料ガスは加湿器21に供給され、発電に必要な水分を充分に吸収してから燃料電池3の燃料極に供給される。燃料電池3に供給された混合燃料ガスは、システム外部から空気供給路32を介して燃料電池3の空気極に供給された空気中の酸素ガスと反応することにより発電を行う。
【0019】
反応後に燃料電池3の燃料極より排出された余剰の未反応ガスであるオフガスは、燃料電池3の燃料極の排出口とエゼクタ23とを連結する循環路31を通り、再びエゼクタ23を介して駆動流となる水素ガスに吸入され、混合燃料ガスとして発電に利用される。
【0020】
燃料供給路35に吸入されるオフガスの循環量と水素ボンベ1からの水素ガス供給量は、燃料電池システムの負荷や循環するオフガスの排出量よりコントロールユニット10において算出される。その結果により、燃料電池3の燃料極と図示しない燃焼器とを連結するオフガス流路(パージライン)33に配置されたパージ弁8の開度や圧力調整弁2を制御することにより混合燃料ガスの濃度流量を調整して発電量を制御する。
【0021】
このような燃料電池システムにおいて、運転停止時には燃料供給路35や循環路31、燃料電池3の燃料極の燃料ガスは、窒素や空気によりシステム外部にパージされて、不活性ガスで、ここでは空気で置換されることによりシステムの安定化が図られる。そのため、ここではシステム外部からの空気をエゼクタ23の上流側から燃料供給路35に供給する不活性ガス供給路34を配置する。不活性ガス供給路34には不活性ガス調整弁9を配置し、コントロールユニット10からの指令により空気の流量を制御する。燃料ガスパージ時には、この不活性ガス調整弁9およびパージ弁8を全開、圧力調整弁2を全閉として、エゼクタ23、加湿器21、燃料電池3の燃料極およびこれらをつなぐ燃料供給路35と循環路31に空気を流通させ、燃料ガスを除去する。
【0022】
このような燃料電池システムを起動するときには、エゼクタ23、加湿器21、燃料電池3の燃料極および燃料供給路35と循環路31に充満した空気を除去して、再び燃料ガスを充満させる必要がある。このとき水素ガス以外のガスが、エゼクタ23、加湿器21、燃料電池3の燃料極および燃料供給路35と循環路31に存在すると、燃料電池3は規定の出力を発揮できないため、水素ガスにより不活性ガスである空気をパージしてから発電を開始する必要がある。
【0023】
ここで、水素ボンベ1から供給された水素ガスの流れを燃料循環の駆動流とした燃料電池システムの循環装置であるエゼクタ23の循環性能を図2に示す。ここでは、循環路31を燃料電池3の排出口からエゼクタ23に向かう流れを正の循環方向として、その時の循環量をプラスで表している。
【0024】
循環路31を流れてエゼクタ23から燃料供給路35に供給されるオフガスの循環量Qrと、エゼクタ12に水素ボンベ1から供給される水素ガス供給量Qinとの比であるエゼクタの循環比r(=循環量Qr/水素ガス供給量Qin)は、ある時点までは供給量Qinに伴って増加する傾向を示す。しかしながら、水素ガス供給量Qinが少ない時には、循環比rはマイナスを示す。これは、水素ガス供給量Qinが小さい時には、エゼクタ23でのオフガス吸引力が弱く、一部の水素ガスがエゼクタ23の吸引口から循環路31の方向に流れる、つまり循環方向に対して水素ガスが逆流するので、水素ガスはエゼクタ23から燃料供給路35を通り燃料電池23の入口へ向かうと同時に、エゼクタ23から循環路31を流れて燃料電池3へ向かうためである。
【0025】
本実施形態ではこのエゼクタ逆循環特性を利用して、短時間で確実に不活性ガスである空気をパージする。燃料電池システムが起動したら、水素ボンベ1からエゼクタ23への水素ガス供給流量Qinを、一部の水素ガスがエゼクタ23から循環路31を通り燃料電池3に向かう逆流循環領域(図2斜線部)の流量になるように、圧力調整弁2の開度を圧力調整弁駆動装置5により調整する。パージ弁8は全開として、オフガス流路33を不活性ガスである空気の排出路とする。また、起動からの時間をコントロールユニット10に設置したタイマー6により積算しておき、設定時間が経過したら燃料電池システムの運転を開始する。
【0026】
次に、タイマー6により積算される起動時から燃料電池システムの運転を開始するまでの不活性ガスのパージに要する時間を求める。
【0027】
まず、パージに必要な水素ガスの総量であるVHを求める。これは、圧力調整弁2から燃料電池3の燃料ガス排出口までの容積の合計VHと等しくする。つまり、エゼクタ23・加湿器21・燃料電池3の燃料極についての燃料ガス容積と圧力調整弁2からエゼクタ23、加湿器21を介して燃料電池3に至るまでの燃料供給路35と、循環路31とを形成する燃料ガス配管の容積の合計VHをパージに必要な水素ガスの総量とする。このとき、水素ボンベ1からエゼクタ23に供給される単位時間あたりの流量を水素置換流量Qinとするので、パージに掛かるパージ時間thは次のように求められる。
【0028】
【式1】
そこで、図2のようなマップから、循環比rがマイナスになる、つまり燃料ガスがエゼクタ23から循環路31を介して燃料電池3の燃料極へ逆流する範囲で単位時間当たりの水素置換流量Qinを適当に決めてパージ時間thを決定する。
【0029】
以上のようにして、パージ時間thの間、エゼクタ23が逆循環方向に供給量Qinを流すことにより、燃料ガス配管内を水素で置換することができる。実際には、式(1)で算出されるパージ時間thより多少長い時間をパージに必要な時間として、完全に水素置換を行う。また、パージ時間を最小にするために、水素置換流量Qinはエゼクタの循環性能から循環しない領域の可能な限り多い流量とするほうが好ましい。
【0030】
あるいは、循環比rを燃料電池3からエゼクタ23入口までの循環路31の容積をVR、エゼクタ23から燃料電池入口までの燃料供給路35の一部と加湿器21の燃料ガスが供給される空間の容積の合計をVSとして、r=−VR/VSとすれば、循環路31内の水素置換が燃料供給路35側の水素置換とほぼ同時に完了するため、効率のよい水素置換が可能となる。
【0031】
次に、コントロールユニット10における具体的な制御方法を図3のフローチャートに示す。
【0032】
まずステップS1−1において、圧力調整弁2を上述の方法で求めた水素置換流量Qinとなるように設定し、燃料を流す。このとき循環路31内を燃料ガスがエゼクタ23から燃料電池3に向かって流れる境界量をアイドル流量QOとすると、流量Qinはアイドル流量QOよりも少なくなるように設定する。次にステップS1−2においてコントロールユニット10のタイマー6をリセットする。ステップS1−3においてタイマー6をスタートして、パージに費やしている時間を計る。
【0033】
次にステップS1−4に進み、タイマー6によりカウントした時間を計測する。その結果、ステップS1−5において、上述の方法で求めたパージ時間thを超えたかどうかを判断する。まだ、パージ時間thを過ぎていなければ。ステップS1−4に戻り再びタイマー6を計測し、計測結果がパージ時間thを超えるまで繰り返す。タイマー6の積算時間がパージ時間thを超えたらステップS1−6において、圧力調整弁2をアイドル流量QOまたはそれ以上の流量に設定して通常制御を開始する。
【0034】
このように制御することで、燃料電池システム起動時に燃料ガスの配管内に充満した水素以外のガスを短時間で水素ガスに置換することができる。
【0035】
次に、第2の実施形態における燃料電池システムの構成を図4に示す。
【0036】
第2の実施形態では、タイマー6を設けずに、循環路31にガスの濃度センサ7を設置して、起動制御から通常制御への切り替えを循環路31中のガスの濃度により行う。ここでは水素濃度センサ7を用いて水素ガス濃度により制御の切り替えを行う。第1の実施形態と同様に燃料電池システムの起動時には、エゼクタ23への供給流量をエゼクタ23から循環路31を介して燃料電池3に流れる流量の範囲、つまり図2におけるエゼクタ逆循環域となる斜線部の流量が流れるように圧力調整弁2の開度を、圧力調整弁駆動装置5により調整する。
【0037】
循環路31に設けた水素濃度センサ7の値が所定の濃度になるまで、エゼクタ23への水素ガス供給量Qinをアイドル流量QO以下に維持し、水素濃度センサ7により測定した水素ガス濃度が所定以上になった場合には、水素ガス供給量Qinを増加して通常運転に切り替える。
【0038】
次にこのような制御を行う際にコントロールユニット10で行われる制御を図5のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
ステップS2−1において、第1の実施形態と同様に圧力調整弁2を水素置換流量Qin(Qin<QO)の流量に設定する。次にステップS2−2において濃度センサ7で循環路を流れるガスの水素濃度を測定する。その結果、ステップS2−3において、水素置換が完全ではなくて発電を始めることのできる水素濃度に達していなければ、ステップS2−2に戻り再び水素ガス濃度を測定する。これを繰り返し、水素置換が充分に進み循環路31のガスが所定濃度を超えたら、ステップS2−4に進み圧力調整弁2をアイドル流量QOまたはそれ以上に設定して通常制御を開始する。
【0040】
このように制御することで、発電に必要な水素濃度になったことを確かめてから発電を開始できるとともに、必要時間以上にパージ時間thをとらないので、燃料電池システムの起動時間を短縮することができる。なお、ここでは水素ガス濃度を検知したが、不活性ガスを検知することで水素置換の判断を行ってもよい。
【0041】
このように、本発明は上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲以内で様々な変更が成し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を示す図である。
【図2】エゼクタの燃料ガス供給量に対する循環比を示す図である。
【図3】第1の実施形態の制御方法を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に用いる燃料電池システムの構成を示す図である。
【図5】第2の実施形態の制御方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 圧力調整弁
3 燃料電池
6 タイマー
7 (水素)濃度センサ
8 パージ弁
23 エゼクタ
31 循環路
33 オフガス流路(パージライン)
35 燃料供給路
Claims (5)
- 燃料電池の燃料極に燃料ガスを供給する燃料供給路と、
燃料ガスを駆動流として前記燃料電池の燃料極から排出されたオフガスを循環路から前記燃料供給路へと循環させるエゼクタと、
オフガスを前記燃料電池からシステム外部に放出するために設けられたパージラインと、を備え、
起動時の燃料ガスの供給量を、燃料ガスが前記エゼクタから前記循環路を逆流して前記燃料電池に向かって流れる範囲に設定して、前記循環路内のガスを前記パージラインより排出することを特徴とする燃料電池システム。 - 起動から所定時間後に、燃料ガスの供給量を前記燃料電池の燃料極のオフガスが前記燃料電池から前記エゼクタに向かって前記循環路を流れるように増量する請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池への前記燃料ガスの供給量を調整する調整弁を備え、
前記所定時間を、燃料ガスの積算流量が、前記調整弁から前記燃料電池の排出口までの前記燃料ガスが流れる流路と前記循環路の容積に等しくなる時間以上に設定した請求項2に記載の燃料電池システム。 - 前記循環路にガス濃度センサを設置し、前記循環路を流れるガスの濃度から前記循環路に水素ガスが充満したことを判断してから、燃料ガスの供給量を前記燃料電池の燃料極のオフガスが前記燃料電池から前記エゼクタに向かって前記循環路を流れるように増量する請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記エゼクタに供給される燃料ガスの供給量と前記エゼクタへ循環されるオフガス流量の比である循環比が、前記エゼクタから前記燃料電池の入口までの前記燃料ガスが流れる流路と前記循環路の容積比と一致するように起動時に供給する燃料ガスの供給量を決定する請求項1から4のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
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