JP3666779B2 - フェイズドアレイ空間光フィルタ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェイズドアレイ空間光フィルタに関わり、特に、光通信システム、光交換システムあるいは光計測システムの分野において、光波長を選択(同調)あるいは分波する際に使用される光フィルタに適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システム、光交換システムあるいは光計測システムの分野において、光波長を選択(同調)あるいは分波する際に、光フィルタ、例えば、フェイズドアレイ空間光フィルタが使用される。
図8は、従来のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
同図において、2は入力用光ファイバ、3は第1の凸レンズ、4は第2の凸レンズ、5は出力用光ファイバ、9はガラス板である。
【0003】
図8に示すフェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、入力用光ファイバ2からの入力光は、第1の凸レンズ3で平行光束に変換され、この平行光束は、一方が空気で、もう一方がガラス板9である2つの光路に分かれて伝搬する。
この2つの光路の光路長差による位相差を持った2つの光束は、第2のレンズ4で集光され干渉する。
このように、図8に示すフェイズドアレイ空間光フィルタは、その光路長差を利用した、一種のマッハツェンダー干渉計を構成している。
なお、このような技術は、「R.A.Betts,S.J.Frisken.and D.Wong: " Split-beam fourier filter and its application in a gain-flattened EDFA ",Proceedings of OFC'95 paper TuP4 」に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記図8に示す従来のフェイズドアレイ空間光フィルタは、下記のような問題点があった。
(1)従来のフェイズドアレイ空間光フィルタの通過特性(透過特性)は、波長に対してコサイン特性となり、狭帯域なフィルタ特性を実現することは原理的に不可能であった。
(2)光入出力ポート数は各々1つで複数にする構成ではなかった。
(3)従来のフェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、その通過波長を可変することは可能であるが、通過帯域幅を可変することはできなかった。
(4)従来のフェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、矩形状のシャープな通過帯域特性を保ったまま帯域幅を広げるチャーピング特性を実現することはできなかった。
【0005】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、フェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、多光束干渉を生じさせ、狭帯域な通過特性を容易に実現することが可能となる技術を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、フェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、選択できる波長間隔を任意に設定でき、フィルタ設計の自由度を大幅に向上させることが可能となる技術を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、フェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、通過波長および通過帯域を可変することが可能となる技術を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、フェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、光学系の構成を単純化し、光学調整を容易にすることが可能となる技術を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0012】
本発明は、少なくとも1本の入力用光ファイバと、第1の凸レンズと、前記第1の凸レンズの前記入力用光ファイバが設けられる側と反対の側に設けられる光学媒質と、前記光学媒質の前記第1の凸レンズが設けられる側と反対の側に設けられる第2の凸レンズと、前記第2の凸レンズの前記光学媒質が設けられる側と反対の側に設けられる少なくとも1本の出力用光ファイバとを備えるフェイズドアレイ空間光フィルタであって、
【0013】
前記第1の凸レンズと前記光学媒質との間に、光の透過率を入射する光の場所により調整する光減衰器を備え、
【0014】
前記光学媒質は、当該光学媒質に入射される光束の伝搬方向の屈折率あるいは厚みが部分的に異なっており、前記光学媒質を透過する光束の伝搬方向に垂直な方向の位置xに対して、前記光減衰器、次いで前記光学媒質を透過する光束の電界強度分布の包絡線形状が、Sinc(x)=Sinx/xの関数形にしたがって変化するように、位置xにおける屈折率と厚みとから求められる光路長と、位置xにおける光の透過率とが、前記光減衰器と前記光学媒質とによって調整された構造であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、光サーキュレータと、前記光サーキュレータの第1の端子に接続される入力用光ファイバと、前記光サーキュレータの第2の端子に接続される出力用光ファイバと、前記入力用光ファイバの前記光サーキュレータが設けられる側と反対の側に設けられる凸レンズと、前記凸レンズの前記入力用光ファイバが設けられる側と反対の側に設けられる光学媒質と、前記光学媒質の前記入力用光ファイバが設けられる側と反対の側に設けられる平面反射鏡とを備えるフェイズドアレイ空間光フィルタであって、
【0016】
前記凸レンズと前記光学媒質との間に、光の透過率を入射する光の場所により調整する光減衰器を備え、
【0017】
前記光学媒質は、当該光学媒質に入射される光束の伝搬方向の屈折率あるいは厚みが部分的に異なっており、前記光学媒質を透過する光束の伝搬方向に垂直な方向の位置xに対して、前記光減衰器、次いで前記光学媒質を透過する光束の電界強度分布の包絡線形状が、Sinc(x)=Sinx/xの関数形にしたがって変化するように、位置xにおける屈折率と厚みとから求められる光路長と、位置xにおける光の透過率とが、前記光減衰器と前記光学媒質とによって調整された構造であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明では、前記光学媒質は、電界、熱、あるいは超音波エネルギー印加により屈折率が変化する光学媒質であることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、本実施の形態は、第1の凸レンズ3および第2の凸レンズ4との間に、光減衰器8とフェイズドアレイ媒質1とが設けられる点で、図8に示す従来のフェイズドアレイ空間光フィルタと相違する。
このフェイズドアレイ媒質1は、例えば、石英系等のガラス基板をケミカルエッチング、リアクティブイオンエッチング、光学研磨、あるいは機械加工等で、厚さが△Lだけ異なるように、また幅が等間隔になるようにN(但し、Nは整数で、N≧1である。)個の階段状に加工したものである。
ただし、フェイズドアレイ媒質1の両端面には、反射防止のため、無反射コートが施されるか、あるいは、入出射端面に斜め研磨が施されている。
【0022】
第1の凸レンズ3および第2の凸レンズ4は、球面あるいは非球面レンズで、石英系ガラス、BK7系ガラス、TAF3系ガラス、サファイア系ガラス等の光学ガラス、プラスチック、あるいは高分子材料で作製される。
また、入力用光ファイバ2および出力用光ファイバ5は、単一モード光ファイバ、分散シフトファイバ、あるいは偏波保持ファイバ等が使用される。
光減衰器8は、空間的に透過率を変化させた金属膜蒸着のND(neutral density )フィルタ、あるいはスリット等が使用される。
【0023】
以下、本実施の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタの動作を詳細に説明する。
1本の入力用光ファイバ2からの入力光は、第1の凸レンズ3で平行光束に変換され、自由空間を伝搬後、△Lだけ厚さが異なるN個の階段状に加工されたフェイズドアレイ媒質1(階段付石英ガラス基板101)を通過する。
その際に、N個の階段に応じて平行光束がN本の光束に分岐される。
【0024】
このとき、厚さが△Lずつ異なったところの石英ガラス基板101を通過した各平行光束は、石英ガラス基板101の厚さの差△Lと屈折率nとの積で決まる光路長差n△Lに応じて互いに一定の位相差が付加される。
これらの平行光束は、第2の凸レンズ4で集光されて1本の出力用光ファイバ5に結合される。
そのとき、各光束により光学的な多光束干渉を生じ、この多光束干渉は通過帯域幅を非常に狭くする効果がある。
即ち、この干渉光波は第2の凸レンズ4の焦点において、光路長差が波長の整数倍のとき強め合い、1/2波長の整数倍のとき弱め合う。
ここでは、光路長差n△Lを波長の整数倍に選んでいる。したがって、各光束の位相関係は同相である。
このため、本実施の形態では、狭帯域な通過帯域を有するフェイズドアレイ空間光フィルタを実現することが可能となる。
【0025】
さらに、光減衰器8として、透過率が平行光束の入射する場所により異なるNDフィルタを平行光束中に設けることにより、平行光束の電界強度分布を調整することが可能となる。
【0026】
一般に、入力用光ファイバ2および出力用光ファイバ5が単一モード光ファイバの場合に、平行ビームの断面内の電界強度分布は単一モードファイバのコア内の電界強度分布を反映してガウス型であるが、この光減衰器8を用いて、例えば、電界強度分布を|Sinc|関数にすることが可能となる。
さらに、フェイズドアレイ媒質1の階段部分を伝搬する光の位相が、階段位置x=π〜2π、3π〜4π、‥‥の区間において、πだけ変位した領域を設けた構造、即ち、光路長差n△Lをλ/2だけ変化させることにより、フェイズドアレイ媒質1を伝搬する平行光束の電界強度分布をSinc関数にすることができる。
数学的には、このSinc関数のフーリエ変換が矩形関数になることが知られており、この光学系はフーリエ変換を行うものと言える。
その結果、フェイズドアレイ空間光フィルタの光スペクトルの通過帯域形状も矩形になり通過帯域の平坦化も可能となる。
【0027】
また、光減衰器8を用いなくても通過帯域の平坦化は可能である。
例えば、光軸近傍での階段の幅を初め広く、光軸から離れるにしたがって次第に狭く、ある点でゼロになり、さらに光軸から離れるとまた次第に広くというようにして、電界強度分布を|Sinc|関数的にすることも可能となる。
その結果、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過帯域特性として、従来技術にない平坦な通過帯域特性を実現することが可能である。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタでは、従来例に比べて、極めて狭帯域な帯域通過特性を実現することが可能となる。
また、干渉する位置が波長によって変化するので、図1に示すように、予め多心のファイバアレイを焦点位置に配置しておけば、波長に応じて出力ポートを変えることができ、いわゆる分波機能を実現することが可能となる。
さらに、このフェイズドアレイ媒質1を平行光束に垂直な方向に回転すれば、即ち、フェイズドアレイ媒質1を平行光束に垂直な方向に傾ければ光路長が変化するので、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過波長を可変することが可能となる。
【0029】
なお、本実施の形態では、フェイズドアレイ媒質1として、石英ガラス基板を使用したが、これに限定されるものではなく、フェイズドアレイ媒質1として、他の光学ガラス材料、プラスチック、あるいは高分子材料等を使用することも可能である。
【0030】
図2は、本発明の参考例1のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示す図である。
図2に示すフェイズドアレイ空間光フィルタは、フェイズドアレイ媒質1の厚さを、光軸方向に不等間隔で変化させたものである。
図2に示すように、フェイズドアレイ媒質1の厚さを、光軸方向に不等間隔で変化させることにより、フェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、従来例では原理的に実現が不可能であった、矩形状の急峻な立ち上がり、立ち下がり特性を保ったまま通過帯域を増加させる、いわゆるチャーピング特性を実現することが可能となる。
【0031】
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタは、フェイズドアレイ媒質1として、屈折率が階段状に変化する屈折率変化ガラス基板104を使用した点で、前記実施の形態1と相違する。
【0032】
この屈折率変化ガラス基板104は、例えば、酸化ゲルマニウム(GeO2)、5酸化燐(P2O5)、あるいは酸化ホウ素(B2O3)のいずれかをドープした石英ガラス基板、あるいは高圧水素処理を施した石英ガラス基板に、例えば、エキシマレーザ等で発生させた紫外(UV)線を外部から照射し、光誘起効果による屈折率変化を生じさせて、ガラス基板の屈折率をN個の階段状に変化させたものである。
本実施の形態においても、前記実施の形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0033】
さらに、本実施の形態のフェイズドアレイ媒質1として、フッ素化ポリイミド等の高分子材料に電子線、紫外線、あるいはSOR光を外部から照射して屈折率を階段状に変化させたものを使用することも可能である。
【0034】
[参考例2]
図4は、本発明の参考例2のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
本参考例2の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタは、フェイズドアレイ媒質1として、コア直径が3μm程度と小さい短尺の単一モード光ファイバを多数束ねた光ファイバ集合体102を用いた点で、前記実施の形態1と相違する。
【0035】
この光ファイバ集合体102は、隣り合う光ファイバとの間で一定の長さ△Lだけ光学長が異なるように、ある曲率で円弧状に曲げられている。
ただし、光ファイバ集合体102の両端面は、反射防止のために、無反射コートが施されているか、あるいは、入出射端面に斜め研磨が施されている。
【0036】
本参考例2においても、光ファイバ集合体102の各光ファイバから出射する各光は、第2の凸レンズ4の焦点において多光束干渉する。
その結果、光路長差が波長の整数倍のとき強め合い、1/2波長の整数倍のとき弱め合うので、その点に出力用光ファイバ(例えば、単一モード光ファイバ)5を設けておけば、狭帯域な光フィルタ特性を実現することが可能となる。
【0037】
以上説明したように、本参考例2のフェイズドアレイ光フィルタによれば、前記実施の形態1と同様、従来例に比べて狭帯域なフィルタ特性を容易に実現することが可能となる。
また、光ファイバ集合体102の曲率半径を変えると、光ファイバ集合体102の隣り合う光ファイバの光路長差△Lが大きくできるため、フェイズドアレイ空間光フィルタの選択できる波長間隔を任意に設定可能となる。
それにより、フェイズドアレイ空間光フィルタ設計の自由度を大幅に向上させることが可能となる。
また、光ファイバ集合体102を使用するため、挿入損失を低減することが可能である。
【0038】
[実施の形態3]
図5は、本発明の実施の形態3のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタでは、入力用光ファイバ2中に光サーキュレータ6を、またフェイズドアレイ媒質1の後に平面反射鏡7を設けた点で、前記実施の形態1と相違する。
【0039】
本実施の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタにおいては、光サーキュレータ6の第3の端子6cに入力された入力光は、第1の端子6aに接続された入力用光ファイバ2に入力される。
入力用光ファイバ2に入力された入力光は、第1の凸レンズ3で平行光束に変換され、自由空間を伝搬後、△Lだけ厚さが異なるN個の階段に加工されたフェイズドアレイ媒質1(石英ガラス基板101)を通過する。
この石英ガラス基板101を通過した平行光束は、平面反射鏡7で反射され、再度石英ガラス基板101、自由空間を伝搬後、第1の凸レンズ3で集光されて入力用光ファイバ2に結合される。
この入力用光ファイバ2に結合された光は、光サーキュレータ6の第2の端子6bを通過して出力用光ファイバ5から出力される。
【0040】
本実施の形態においても、フェイズドアレイ媒質1を往復する平行光束は、第1の凸レンズ3の焦点において多光束干渉する。
その結果、光路長差が波長の整数倍のとき強め合い、1/2波長の整数倍のとき弱め合うので、狭帯域な光フィルタ特性を実現することが可能となる。
【0041】
本実施の形態によれば、第2の凸レンズ4が不要となり、また、フェイズドアレイ媒質1の平行光束が出射される側に出力用光ファイバ5を設ける必要がないので、従来技術に比べて光軸調整が容易となる。
また、本実施の形態においては、平行光束は平面反射鏡7で反射してフェイズドアレイ媒質1を往復するので、光路長差を△L得るための段差は△L/2で済むため厚みを薄くできる利点がある。
また、本実施の形態において、フェイズドアレイ媒質1と平面反射鏡7とを一体化することも可能である。
【0042】
[実施の形態4]
図6は、本発明の実施の形態4のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態は、タングステン(W)やニクロム(NiCr)製等の割スリーブ形状の厚膜ヒータ10等を用いて、フェイズドアレイ媒質1に熱を印加し、それにより、フェイズドアレイ媒質1の屈折率を、連続的に変化させるようにした点で、前記実施の形態1と相違する。
【0043】
図6に示すように、厚膜ヒータ10等を用いて、フェイズドアレイ媒質1を側面から均一に加熱すると、熱光学効果に基づく実効屈折率が変化し、その変化量は階段毎に等しくなる。
これは、等化的に光学長が階段毎にδn△L(ここで、δnは屈折率変化量)の同じ量だけ微小増加することに相当する。
その結果、フェイズドアレイ媒質1を通過する多光束の干渉条件が他の波長に移るため、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過波長を変化させることが可能となる。
【0044】
なお、本実施の形態4において、フェイズドアレイ媒質1として、石英ガラス以外の光学ガラス材料、フッ素化ポリイミド等の高分子(ポリマー)材料を使用してもよい。
また、本実施の形態において、フェイズドアレイ媒質1として、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO2)等を使用し、電界を印加することにより電気光学効果に基づいて実効屈折率を変化させ、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過波長を変化させるようにしてもよい。
あるいは、例えば、二酸化テルル(TeO2)等を使用し、超音波を印加することにより音響光学効果に基づいて実効屈折率を変化させ、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過波長を変化させるようにしてもよい。
このように、本実施の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタでは、フェイズドアレイ媒質1に、電界、または熱、あるいは超音波エネルギーを印加することにより、フェイズドアレイ媒質1の屈折率を、連続的に変化させることができるので、従来例では不可能だった、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過波長あるいは通過帯域を可変することが可能となる。
【0045】
[参考例3]
図7は、本発明の参考例3のフェイズドアレイ空間光フィルタのフェイズドアレイ媒質1の概略構成を示す斜視図である。
本参考例3のフェイズドアレイ空間光フィルタは、フェイズドアレイ媒質1として、螺旋階段付石英ガラス基板103を使用した点で、前記実施の形態1と相違する。
【0046】
この螺旋階段付石英ガラス基板103は、第1の凸レンズ3で変換された平行光束の光軸に対して、垂直方向の平面内において、光軸を中心とする半径方向に、その厚みが螺旋階段状に変化している。
これにより、本参考例3のフェイズドアレイ空間光フィルタでは、半径方向に階段が形成されるので、フェイズドアレイ空間光フィルタ全体を小型に構成することが可能となる。
【0047】
なお、本参考例3のフェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、フェイズドアレイ媒質1として、その屈折率が、第1の凸レンズ3で変換された平行光束の光軸に対して垂直方向の平面内において、光軸を中心とする半径方向に、屈折率を螺旋階段状に変化させるようにしてもよい。
【0048】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0049】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0050】
(1)本発明によれば、△Lだけ厚さが異なるようにN個の階段に加工したフェイズドアレイ媒質、あるいは屈折率がN個の階段上に変化するフェイズドアレイ媒質を使用するようにしたので、従来例に比べて、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過帯域を狭帯域にすることが可能となる。
【0051】
(2)本発明によれば、第1の凸レンズと光学媒質との間に光減衰器を設け、また、光学媒質を、光学媒質を透過する光束の伝搬方向に垂直な方向の位置xに対して、光学媒質を透過する光束の電界強度分布の包絡線形状が、Sinc(x)=Sinx/xの関数形にしたがって変化する構造としたことにより、光スペクトルの通過帯域形状を矩形にすることができ、通過帯域を平坦化することが可能となる。
【0052】
(3)本発明によれば、入力用光ファイバ中に光サーキュレータを、またフェイズドアレイ媒質の後に平面反射鏡を設けるようにしたので、従来例に比べてフェイズドアレイ空間光フィルタの光学系を単純化することができ、光学調整を容易にすることが可能となる。
【0053】
(4)本発明によれば、フェイズドアレイ媒質の屈折率を、電界、熱、あるいは超音波印加により変化させるようにしたので、フェイズドアレイ空間光フィルタの光路長を連続的に変化させることができ、
【0054】
これにより、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過波長および通過帯域を可変することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の参考例1のフェイズドアレイ媒質の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の参考例2のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態3のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態4のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の参考例3のフェイズドアレイ空間光フィルタのフェイズドアレイ媒質の概略構成を示す斜視図である。
【図8】従来のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…フェイズドアレイ媒質、2…入力用光ファイバ、3…第1の凸レンズ、4…第2の凸レンズ、5…出力用光ファイバ、6…光サーキュレータ、7…平面反射鏡、8…光減衰器、9…ガラス板、10…ヒータ、101…階段付ガラス基板、102…光ファイバ集合体、103…螺旋階段付ガラス基板、103…屈折率変化ガラス基板。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェイズドアレイ空間光フィルタに関わり、特に、光通信システム、光交換システムあるいは光計測システムの分野において、光波長を選択(同調)あるいは分波する際に使用される光フィルタに適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システム、光交換システムあるいは光計測システムの分野において、光波長を選択(同調)あるいは分波する際に、光フィルタ、例えば、フェイズドアレイ空間光フィルタが使用される。
図8は、従来のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
同図において、2は入力用光ファイバ、3は第1の凸レンズ、4は第2の凸レンズ、5は出力用光ファイバ、9はガラス板である。
【0003】
図8に示すフェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、入力用光ファイバ2からの入力光は、第1の凸レンズ3で平行光束に変換され、この平行光束は、一方が空気で、もう一方がガラス板9である2つの光路に分かれて伝搬する。
この2つの光路の光路長差による位相差を持った2つの光束は、第2のレンズ4で集光され干渉する。
このように、図8に示すフェイズドアレイ空間光フィルタは、その光路長差を利用した、一種のマッハツェンダー干渉計を構成している。
なお、このような技術は、「R.A.Betts,S.J.Frisken.and D.Wong: " Split-beam fourier filter and its application in a gain-flattened EDFA ",Proceedings of OFC'95 paper TuP4 」に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記図8に示す従来のフェイズドアレイ空間光フィルタは、下記のような問題点があった。
(1)従来のフェイズドアレイ空間光フィルタの通過特性(透過特性)は、波長に対してコサイン特性となり、狭帯域なフィルタ特性を実現することは原理的に不可能であった。
(2)光入出力ポート数は各々1つで複数にする構成ではなかった。
(3)従来のフェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、その通過波長を可変することは可能であるが、通過帯域幅を可変することはできなかった。
(4)従来のフェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、矩形状のシャープな通過帯域特性を保ったまま帯域幅を広げるチャーピング特性を実現することはできなかった。
【0005】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、フェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、多光束干渉を生じさせ、狭帯域な通過特性を容易に実現することが可能となる技術を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、フェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、選択できる波長間隔を任意に設定でき、フィルタ設計の自由度を大幅に向上させることが可能となる技術を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、フェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、通過波長および通過帯域を可変することが可能となる技術を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、フェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、光学系の構成を単純化し、光学調整を容易にすることが可能となる技術を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0012】
本発明は、少なくとも1本の入力用光ファイバと、第1の凸レンズと、前記第1の凸レンズの前記入力用光ファイバが設けられる側と反対の側に設けられる光学媒質と、前記光学媒質の前記第1の凸レンズが設けられる側と反対の側に設けられる第2の凸レンズと、前記第2の凸レンズの前記光学媒質が設けられる側と反対の側に設けられる少なくとも1本の出力用光ファイバとを備えるフェイズドアレイ空間光フィルタであって、
【0013】
前記第1の凸レンズと前記光学媒質との間に、光の透過率を入射する光の場所により調整する光減衰器を備え、
【0014】
前記光学媒質は、当該光学媒質に入射される光束の伝搬方向の屈折率あるいは厚みが部分的に異なっており、前記光学媒質を透過する光束の伝搬方向に垂直な方向の位置xに対して、前記光減衰器、次いで前記光学媒質を透過する光束の電界強度分布の包絡線形状が、Sinc(x)=Sinx/xの関数形にしたがって変化するように、位置xにおける屈折率と厚みとから求められる光路長と、位置xにおける光の透過率とが、前記光減衰器と前記光学媒質とによって調整された構造であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、光サーキュレータと、前記光サーキュレータの第1の端子に接続される入力用光ファイバと、前記光サーキュレータの第2の端子に接続される出力用光ファイバと、前記入力用光ファイバの前記光サーキュレータが設けられる側と反対の側に設けられる凸レンズと、前記凸レンズの前記入力用光ファイバが設けられる側と反対の側に設けられる光学媒質と、前記光学媒質の前記入力用光ファイバが設けられる側と反対の側に設けられる平面反射鏡とを備えるフェイズドアレイ空間光フィルタであって、
【0016】
前記凸レンズと前記光学媒質との間に、光の透過率を入射する光の場所により調整する光減衰器を備え、
【0017】
前記光学媒質は、当該光学媒質に入射される光束の伝搬方向の屈折率あるいは厚みが部分的に異なっており、前記光学媒質を透過する光束の伝搬方向に垂直な方向の位置xに対して、前記光減衰器、次いで前記光学媒質を透過する光束の電界強度分布の包絡線形状が、Sinc(x)=Sinx/xの関数形にしたがって変化するように、位置xにおける屈折率と厚みとから求められる光路長と、位置xにおける光の透過率とが、前記光減衰器と前記光学媒質とによって調整された構造であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明では、前記光学媒質は、電界、熱、あるいは超音波エネルギー印加により屈折率が変化する光学媒質であることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、本実施の形態は、第1の凸レンズ3および第2の凸レンズ4との間に、光減衰器8とフェイズドアレイ媒質1とが設けられる点で、図8に示す従来のフェイズドアレイ空間光フィルタと相違する。
このフェイズドアレイ媒質1は、例えば、石英系等のガラス基板をケミカルエッチング、リアクティブイオンエッチング、光学研磨、あるいは機械加工等で、厚さが△Lだけ異なるように、また幅が等間隔になるようにN(但し、Nは整数で、N≧1である。)個の階段状に加工したものである。
ただし、フェイズドアレイ媒質1の両端面には、反射防止のため、無反射コートが施されるか、あるいは、入出射端面に斜め研磨が施されている。
【0022】
第1の凸レンズ3および第2の凸レンズ4は、球面あるいは非球面レンズで、石英系ガラス、BK7系ガラス、TAF3系ガラス、サファイア系ガラス等の光学ガラス、プラスチック、あるいは高分子材料で作製される。
また、入力用光ファイバ2および出力用光ファイバ5は、単一モード光ファイバ、分散シフトファイバ、あるいは偏波保持ファイバ等が使用される。
光減衰器8は、空間的に透過率を変化させた金属膜蒸着のND(neutral density )フィルタ、あるいはスリット等が使用される。
【0023】
以下、本実施の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタの動作を詳細に説明する。
1本の入力用光ファイバ2からの入力光は、第1の凸レンズ3で平行光束に変換され、自由空間を伝搬後、△Lだけ厚さが異なるN個の階段状に加工されたフェイズドアレイ媒質1(階段付石英ガラス基板101)を通過する。
その際に、N個の階段に応じて平行光束がN本の光束に分岐される。
【0024】
このとき、厚さが△Lずつ異なったところの石英ガラス基板101を通過した各平行光束は、石英ガラス基板101の厚さの差△Lと屈折率nとの積で決まる光路長差n△Lに応じて互いに一定の位相差が付加される。
これらの平行光束は、第2の凸レンズ4で集光されて1本の出力用光ファイバ5に結合される。
そのとき、各光束により光学的な多光束干渉を生じ、この多光束干渉は通過帯域幅を非常に狭くする効果がある。
即ち、この干渉光波は第2の凸レンズ4の焦点において、光路長差が波長の整数倍のとき強め合い、1/2波長の整数倍のとき弱め合う。
ここでは、光路長差n△Lを波長の整数倍に選んでいる。したがって、各光束の位相関係は同相である。
このため、本実施の形態では、狭帯域な通過帯域を有するフェイズドアレイ空間光フィルタを実現することが可能となる。
【0025】
さらに、光減衰器8として、透過率が平行光束の入射する場所により異なるNDフィルタを平行光束中に設けることにより、平行光束の電界強度分布を調整することが可能となる。
【0026】
一般に、入力用光ファイバ2および出力用光ファイバ5が単一モード光ファイバの場合に、平行ビームの断面内の電界強度分布は単一モードファイバのコア内の電界強度分布を反映してガウス型であるが、この光減衰器8を用いて、例えば、電界強度分布を|Sinc|関数にすることが可能となる。
さらに、フェイズドアレイ媒質1の階段部分を伝搬する光の位相が、階段位置x=π〜2π、3π〜4π、‥‥の区間において、πだけ変位した領域を設けた構造、即ち、光路長差n△Lをλ/2だけ変化させることにより、フェイズドアレイ媒質1を伝搬する平行光束の電界強度分布をSinc関数にすることができる。
数学的には、このSinc関数のフーリエ変換が矩形関数になることが知られており、この光学系はフーリエ変換を行うものと言える。
その結果、フェイズドアレイ空間光フィルタの光スペクトルの通過帯域形状も矩形になり通過帯域の平坦化も可能となる。
【0027】
また、光減衰器8を用いなくても通過帯域の平坦化は可能である。
例えば、光軸近傍での階段の幅を初め広く、光軸から離れるにしたがって次第に狭く、ある点でゼロになり、さらに光軸から離れるとまた次第に広くというようにして、電界強度分布を|Sinc|関数的にすることも可能となる。
その結果、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過帯域特性として、従来技術にない平坦な通過帯域特性を実現することが可能である。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタでは、従来例に比べて、極めて狭帯域な帯域通過特性を実現することが可能となる。
また、干渉する位置が波長によって変化するので、図1に示すように、予め多心のファイバアレイを焦点位置に配置しておけば、波長に応じて出力ポートを変えることができ、いわゆる分波機能を実現することが可能となる。
さらに、このフェイズドアレイ媒質1を平行光束に垂直な方向に回転すれば、即ち、フェイズドアレイ媒質1を平行光束に垂直な方向に傾ければ光路長が変化するので、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過波長を可変することが可能となる。
【0029】
なお、本実施の形態では、フェイズドアレイ媒質1として、石英ガラス基板を使用したが、これに限定されるものではなく、フェイズドアレイ媒質1として、他の光学ガラス材料、プラスチック、あるいは高分子材料等を使用することも可能である。
【0030】
図2は、本発明の参考例1のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示す図である。
図2に示すフェイズドアレイ空間光フィルタは、フェイズドアレイ媒質1の厚さを、光軸方向に不等間隔で変化させたものである。
図2に示すように、フェイズドアレイ媒質1の厚さを、光軸方向に不等間隔で変化させることにより、フェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、従来例では原理的に実現が不可能であった、矩形状の急峻な立ち上がり、立ち下がり特性を保ったまま通過帯域を増加させる、いわゆるチャーピング特性を実現することが可能となる。
【0031】
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタは、フェイズドアレイ媒質1として、屈折率が階段状に変化する屈折率変化ガラス基板104を使用した点で、前記実施の形態1と相違する。
【0032】
この屈折率変化ガラス基板104は、例えば、酸化ゲルマニウム(GeO2)、5酸化燐(P2O5)、あるいは酸化ホウ素(B2O3)のいずれかをドープした石英ガラス基板、あるいは高圧水素処理を施した石英ガラス基板に、例えば、エキシマレーザ等で発生させた紫外(UV)線を外部から照射し、光誘起効果による屈折率変化を生じさせて、ガラス基板の屈折率をN個の階段状に変化させたものである。
本実施の形態においても、前記実施の形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0033】
さらに、本実施の形態のフェイズドアレイ媒質1として、フッ素化ポリイミド等の高分子材料に電子線、紫外線、あるいはSOR光を外部から照射して屈折率を階段状に変化させたものを使用することも可能である。
【0034】
[参考例2]
図4は、本発明の参考例2のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
本参考例2の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタは、フェイズドアレイ媒質1として、コア直径が3μm程度と小さい短尺の単一モード光ファイバを多数束ねた光ファイバ集合体102を用いた点で、前記実施の形態1と相違する。
【0035】
この光ファイバ集合体102は、隣り合う光ファイバとの間で一定の長さ△Lだけ光学長が異なるように、ある曲率で円弧状に曲げられている。
ただし、光ファイバ集合体102の両端面は、反射防止のために、無反射コートが施されているか、あるいは、入出射端面に斜め研磨が施されている。
【0036】
本参考例2においても、光ファイバ集合体102の各光ファイバから出射する各光は、第2の凸レンズ4の焦点において多光束干渉する。
その結果、光路長差が波長の整数倍のとき強め合い、1/2波長の整数倍のとき弱め合うので、その点に出力用光ファイバ(例えば、単一モード光ファイバ)5を設けておけば、狭帯域な光フィルタ特性を実現することが可能となる。
【0037】
以上説明したように、本参考例2のフェイズドアレイ光フィルタによれば、前記実施の形態1と同様、従来例に比べて狭帯域なフィルタ特性を容易に実現することが可能となる。
また、光ファイバ集合体102の曲率半径を変えると、光ファイバ集合体102の隣り合う光ファイバの光路長差△Lが大きくできるため、フェイズドアレイ空間光フィルタの選択できる波長間隔を任意に設定可能となる。
それにより、フェイズドアレイ空間光フィルタ設計の自由度を大幅に向上させることが可能となる。
また、光ファイバ集合体102を使用するため、挿入損失を低減することが可能である。
【0038】
[実施の形態3]
図5は、本発明の実施の形態3のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタでは、入力用光ファイバ2中に光サーキュレータ6を、またフェイズドアレイ媒質1の後に平面反射鏡7を設けた点で、前記実施の形態1と相違する。
【0039】
本実施の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタにおいては、光サーキュレータ6の第3の端子6cに入力された入力光は、第1の端子6aに接続された入力用光ファイバ2に入力される。
入力用光ファイバ2に入力された入力光は、第1の凸レンズ3で平行光束に変換され、自由空間を伝搬後、△Lだけ厚さが異なるN個の階段に加工されたフェイズドアレイ媒質1(石英ガラス基板101)を通過する。
この石英ガラス基板101を通過した平行光束は、平面反射鏡7で反射され、再度石英ガラス基板101、自由空間を伝搬後、第1の凸レンズ3で集光されて入力用光ファイバ2に結合される。
この入力用光ファイバ2に結合された光は、光サーキュレータ6の第2の端子6bを通過して出力用光ファイバ5から出力される。
【0040】
本実施の形態においても、フェイズドアレイ媒質1を往復する平行光束は、第1の凸レンズ3の焦点において多光束干渉する。
その結果、光路長差が波長の整数倍のとき強め合い、1/2波長の整数倍のとき弱め合うので、狭帯域な光フィルタ特性を実現することが可能となる。
【0041】
本実施の形態によれば、第2の凸レンズ4が不要となり、また、フェイズドアレイ媒質1の平行光束が出射される側に出力用光ファイバ5を設ける必要がないので、従来技術に比べて光軸調整が容易となる。
また、本実施の形態においては、平行光束は平面反射鏡7で反射してフェイズドアレイ媒質1を往復するので、光路長差を△L得るための段差は△L/2で済むため厚みを薄くできる利点がある。
また、本実施の形態において、フェイズドアレイ媒質1と平面反射鏡7とを一体化することも可能である。
【0042】
[実施の形態4]
図6は、本発明の実施の形態4のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態は、タングステン(W)やニクロム(NiCr)製等の割スリーブ形状の厚膜ヒータ10等を用いて、フェイズドアレイ媒質1に熱を印加し、それにより、フェイズドアレイ媒質1の屈折率を、連続的に変化させるようにした点で、前記実施の形態1と相違する。
【0043】
図6に示すように、厚膜ヒータ10等を用いて、フェイズドアレイ媒質1を側面から均一に加熱すると、熱光学効果に基づく実効屈折率が変化し、その変化量は階段毎に等しくなる。
これは、等化的に光学長が階段毎にδn△L(ここで、δnは屈折率変化量)の同じ量だけ微小増加することに相当する。
その結果、フェイズドアレイ媒質1を通過する多光束の干渉条件が他の波長に移るため、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過波長を変化させることが可能となる。
【0044】
なお、本実施の形態4において、フェイズドアレイ媒質1として、石英ガラス以外の光学ガラス材料、フッ素化ポリイミド等の高分子(ポリマー)材料を使用してもよい。
また、本実施の形態において、フェイズドアレイ媒質1として、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO2)等を使用し、電界を印加することにより電気光学効果に基づいて実効屈折率を変化させ、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過波長を変化させるようにしてもよい。
あるいは、例えば、二酸化テルル(TeO2)等を使用し、超音波を印加することにより音響光学効果に基づいて実効屈折率を変化させ、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過波長を変化させるようにしてもよい。
このように、本実施の形態のフェイズドアレイ空間光フィルタでは、フェイズドアレイ媒質1に、電界、または熱、あるいは超音波エネルギーを印加することにより、フェイズドアレイ媒質1の屈折率を、連続的に変化させることができるので、従来例では不可能だった、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過波長あるいは通過帯域を可変することが可能となる。
【0045】
[参考例3]
図7は、本発明の参考例3のフェイズドアレイ空間光フィルタのフェイズドアレイ媒質1の概略構成を示す斜視図である。
本参考例3のフェイズドアレイ空間光フィルタは、フェイズドアレイ媒質1として、螺旋階段付石英ガラス基板103を使用した点で、前記実施の形態1と相違する。
【0046】
この螺旋階段付石英ガラス基板103は、第1の凸レンズ3で変換された平行光束の光軸に対して、垂直方向の平面内において、光軸を中心とする半径方向に、その厚みが螺旋階段状に変化している。
これにより、本参考例3のフェイズドアレイ空間光フィルタでは、半径方向に階段が形成されるので、フェイズドアレイ空間光フィルタ全体を小型に構成することが可能となる。
【0047】
なお、本参考例3のフェイズドアレイ空間光フィルタにおいて、フェイズドアレイ媒質1として、その屈折率が、第1の凸レンズ3で変換された平行光束の光軸に対して垂直方向の平面内において、光軸を中心とする半径方向に、屈折率を螺旋階段状に変化させるようにしてもよい。
【0048】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0049】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0050】
(1)本発明によれば、△Lだけ厚さが異なるようにN個の階段に加工したフェイズドアレイ媒質、あるいは屈折率がN個の階段上に変化するフェイズドアレイ媒質を使用するようにしたので、従来例に比べて、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過帯域を狭帯域にすることが可能となる。
【0051】
(2)本発明によれば、第1の凸レンズと光学媒質との間に光減衰器を設け、また、光学媒質を、光学媒質を透過する光束の伝搬方向に垂直な方向の位置xに対して、光学媒質を透過する光束の電界強度分布の包絡線形状が、Sinc(x)=Sinx/xの関数形にしたがって変化する構造としたことにより、光スペクトルの通過帯域形状を矩形にすることができ、通過帯域を平坦化することが可能となる。
【0052】
(3)本発明によれば、入力用光ファイバ中に光サーキュレータを、またフェイズドアレイ媒質の後に平面反射鏡を設けるようにしたので、従来例に比べてフェイズドアレイ空間光フィルタの光学系を単純化することができ、光学調整を容易にすることが可能となる。
【0053】
(4)本発明によれば、フェイズドアレイ媒質の屈折率を、電界、熱、あるいは超音波印加により変化させるようにしたので、フェイズドアレイ空間光フィルタの光路長を連続的に変化させることができ、
【0054】
これにより、フェイズドアレイ空間光フィルタの通過波長および通過帯域を可変することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の参考例1のフェイズドアレイ媒質の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の参考例2のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態3のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態4のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の参考例3のフェイズドアレイ空間光フィルタのフェイズドアレイ媒質の概略構成を示す斜視図である。
【図8】従来のフェイズドアレイ空間光フィルタの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…フェイズドアレイ媒質、2…入力用光ファイバ、3…第1の凸レンズ、4…第2の凸レンズ、5…出力用光ファイバ、6…光サーキュレータ、7…平面反射鏡、8…光減衰器、9…ガラス板、10…ヒータ、101…階段付ガラス基板、102…光ファイバ集合体、103…螺旋階段付ガラス基板、103…屈折率変化ガラス基板。
Claims (3)
- 少なくとも1本の入力用光ファイバと、
第1の凸レンズと、
前記第1の凸レンズの前記入力用光ファイバが設けられる側と反対の側に設けられる光学媒質と、
前記光学媒質の前記第1の凸レンズが設けられる側と反対の側に設けられる第2の凸レンズと、
前記第2の凸レンズの前記光学媒質が設けられる側と反対の側に設けられる少なくとも1本の出力用光ファイバとを備えるフェイズドアレイ空間光フィルタであって、
前記第1の凸レンズと前記光学媒質との間に、光の透過率を入射する光の場所により調整する光減衰器を備え、
前記光学媒質は、当該光学媒質に入射される光束の伝搬方向の屈折率あるいは厚みが部分的に異なっており、
前記光学媒質を透過する光束の伝搬方向に垂直な方向の位置xに対して、前記光減衰器、次いで前記光学媒質を透過する光束の電界強度分布の包絡線形状が、Sinc(x)=Sinx/xの関数形にしたがって変化するように、位置xにおける屈折率と厚みとから求められる光路長と、位置xにおける光の透過率とが、前記光減衰器と前記光学媒質とによって調整された構造であることを特徴とするフェイズドアレイ空間光フィルタ。 - 光サーキュレータと、
前記光サーキュレータの第1の端子に接続される入力用光ファイバと、
前記光サーキュレータの第2の端子に接続される出力用光ファイバと、
前記入力用光ファイバの前記光サーキュレータが設けられる側と反対の側に設けられる凸レンズと、
前記凸レンズの前記入力用光ファイバが設けられる側と反対の側に設けられる光学媒質と、
前記光学媒質の前記入力用光ファイバが設けられる側と反対の側に設けられる平面反射鏡とを備えるフェイズドアレイ空間光フィルタであって、
前記凸レンズと前記光学媒質との間に、光の透過率を入射する光の場所により調整する光減衰器を備え、
前記光学媒質は、当該光学媒質に入射される光束の伝搬方向の屈折率あるいは厚みが部分的に異なっており、
前記光学媒質を透過する光束の伝搬方向に垂直な方向の位置xに対して、前記光減衰器、次いで前記光学媒質を透過する光束の電界強度分布の包絡線形状が、Sinc(x)=Sinx/xの関数形にしたがって変化するように、位置xにおける屈折率と厚みとから求められる光路長と、位置xにおける光の透過率とが、前記光減衰器と前記光学媒質とによって調整された構造であることを特徴とするフェイズドアレイ空間光フィルタ。 - 前記光学媒質は、電界、熱、あるいは超音波エネルギー印加により屈折率が変化する光学媒質であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフェイズドアレイ空間光フィルタ。
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