JP3666831B2 - 熱分析及びx線測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱分析測定及びX線測定の両方の測定を行うことができる熱分析及びX線測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱分析というのは、試料の温度を変化させたときのその試料の性質の温度依存症を測定することである。具体的な分析方法としては非常に多種類の方法があるが、代表的なものをあげれば、例えば、示差熱分析(DTA:Differential Thermal Analysis)や、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)等がある。
【0003】
DTAというのは、試料と標準物質とを同時に加熱して、反応の際に両者間に現れた温度差から試料に発生した熱変化を知る方法である。DSCというのは、試料内に発生した熱変化を、それを補償するのに必要な熱量として求めるものであり、具体的には、試料と標準物質との間に温度差が生じたら、いずれか一方に供給する単位時間当たりの熱量を増やしたり、減らしたりして、等速昇温、等速冷却あるいは等温の状態を保つように温度コントロールし、そのときに増やしたり、減らしたりした熱量を測定するものである。DTAは、試料の熱変化を温度差の形で間接的に測定するものであって、例えば、転移熱すなわち潜熱は測定できないが、DSCはその転移熱も測定できる。
【0004】
一方、X線測定というのは、試料にX線を照射してその試料で回折又は反射するX線を検出してその試料の性質を測定することである。このX線測定の具体的な分析手法としても非常に多種類の方法があるが、例えばX線回折測定、X線反射率測定がある。
【0005】
X線回折測定というのは、試料で回折したX線を検出する測定であり、X線反射率測定というのは、試料で反射したX線を検出する測定である。一般には、試料に入射するX線の入射角度が大きい場合に、X線が試料で回折することが多い。そして、X線入射角度が小さい場合に、X線が試料で反射することが多い。
【0006】
従来、産業界においては、熱分析についてはそれ専用の測定装置を使ってその測定を行い、X線測定についてはそれ専用の測定装置を使ってその測定を行うというのが一般的であった。しかしながら、少ない例ではあるが、熱分析及びX線測定の両方を1つの測定装置によって行うようにしたものも提案されている。例えば、図5及び図6に示すように、円筒形状のヒータ51又は52の内部に試料53及び標準物質54を配置し、試料53及び標準物質54の両方をヒータ51,52によって加熱しながら、試料53にX線Rを照射してX線測定を行い、一方、熱電対55によって試料53及び標準物質54の温度を検出して熱分析を行うようにした装置が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5及び図6に示すような従来の熱分析及びX線測定装置においては、0℃以下の温度に関する測定や、試料温度を急速に加熱冷却するような測定を行うことができなかった。また、図5に示すように高さの高いヒータ51を用いる場合には、X線Rを試料53へ低角度で入射させることができないという問題がある。一方、図6に示すような高さの低いヒータ52を用いる場合には、X線Rを低角度から試料53へ入射することができるものの、ヒータ52による試料室H内の温度分布が極端に悪くなるという問題が発生する。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであって、熱分析及びX線測定の両方の測定を1つの測定装置によって行う場合に、試料を均一な温度分布で加熱でき、しかも試料に対して低角度からX線を入射できるようにすることを第1の目的とする。
【0009】
また、熱分析及びX線測定の両方の測定を1つの測定装置によって行う場合に、0℃以下の温度に関する測定や、試料温度を急速に加熱冷却するような測定を行うことができるようにすることを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記第2の目的を達成するため、本発明に係る熱分析及びX線測定装置は、試料の温度を変化させたときのその試料の性質の温度依存性を測定する熱分析測定と、試料にX線を照射してその試料で回折又は反射するX線を検出してその試料の性質を測定するX線測定との両方の測定を行うことができる熱分析及びX線測定装置において、ブロック部材の凹部と該凹部を覆うと共にX線を通過させることができるカバーとによって形成された試料室と、前記試料室内に配置された試料を加熱する試料加熱手段と、前記試料室内に配置された試料を冷却するための試料冷却手段とを有し、前記試料冷却手段は、前記試料室を取り囲むように前記ブロック部材の中に円筒形状に形成されると共に寒剤を貯留又は流す冷媒タンクを有することを特徴とする。
【0011】
また、上記第1の目的を達成するため、本発明に係る熱分析及びX線測定装置において、前記試料加熱手段は、前記試料のX線照射面の裏側であってその試料に接触又は近接する位置にヒータを設けることが望ましい。
【0012】
上記試料冷却手段の構成は特定のものに限定されないが、望ましくは、試料のまわりに冷媒タンクを設け、その冷媒タンク内に液体窒素を貯留する。また、冷媒タンク内に液体窒素その他の寒剤を流すようにすることもできる。
【0013】
試料のX線照射面の裏側であってその試料に接触又は近接する位置にヒータを設けた構成の熱分析及びX線測定装置では、図6に示すような高さの低い円筒状ヒータを用いた従来の装置に比べて、試料を均一な温度分布で加熱することができ、しかも、図5に示すような高さの高い円筒状ヒータを用いた従来の装置に比べて、試料に対するX線の入射角度を低角度側へ広げることができる。つまり、X線測定における測角範囲を広く維持すること及び試料の温度分布を均一に維持することの両方の要求を同時に達成できる。
【0014】
試料加熱手段及び試料冷却手段の両手段を備えた構造の熱分析及びX線測定装置では、試料を高温にしたいときには試料加熱手段を用い、試料を0℃以下にしたいときには試料冷却手段を用い、また、試料温度を高温から急速に冷却したいときには試料加熱手段及び試料冷却手段の両方を用いる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る熱分析及びX線測定装置の一実施形態を示している。この装置は、円筒状のブロック部材2と、ブロック部材2の中心部に形成した凹状の試料室Hと、試料室Hの上部を気密に覆う円弧状のカバー6と、そして試料室Hのまわりを取り囲むようにブロック部材2の内部に形成したリング状の冷媒タンク7とを有している。
【0016】
試料室Hの内部には、2本の支持棒8a及び8bが立てられ、それらの支持棒の上端に試料皿9a及び9bが設けられている。一方の試料皿9aの上には試料3が載せられ、他方の試料皿9bの上には標準物質4が載せられている。標準物質4としては、温度変化しても性質に変化のない材料、すなわち熱的に安定な材料が用いられる。試料3の直下、すなわち試料3のX線照射面の裏側であってその試料3に接触又は近接する位置には、上下2段にわたってヒータ1aが設けられる。また、標準物質4の直下にもヒータ1bが上下2段にわたって設けられる。
【0017】
カバー6は、図2に示すように、上から見ると長方形状に形成され、その中央部にはX線透過窓10が設けられている。試料室H内が比較的低温、例えば500℃程度までしか上がらない場合は、例えばステンレスや真鍮によってカバー6を形成する。また、試料室Hが比較的高温、例えば1500℃程度まで上がる場合は、例えばアルミナによってカバー6を形成する。また、X線透過窓10は、気密性を保持でき、さらにX線を透過できる材料、例えば、ベリリウム(Be)やニッケル等によって形成する。
【0018】
図1において、冷媒タンク7の内部には、冷却媒体、例えば液化窒素(LN2)が貯留されている。支持棒8a及び8bの内部には、それぞれ、試料3の底面及び標準物質4の底面を測温点とする熱電対5a及び5bが格納されている。
【0019】
上記の試料支持系の上方にはX線測定系11が配設され、その下方には熱分折系12が配設されている。本実施形態の場合、X線測定系11はθ−θ走査形式のX線回折装置によって構成され、熱分析系12は示差走査熱量測定(DSC)装置によって構成されている。詳しく説明すれば、X線測定系11は、X線源Fと、X線カウンタ13と、X線強度演算回路14と、そしてX線回折記録計15とによって構成されている。熱分析系12は、T及びΔT測定回路16と、熱量補償回路17と、そして熱分析記録計18とによって構成されている。
【0020】
以下、上記構成により成る熱分析及びX線測定装置の動作について説明する。試料室Hの内部は、冷媒タンク7内のLN2 によって一定の冷却能力で冷却される。そして同時に、試料3及び標準物質4は、それぞれに対応するヒータ1a及び1bによって等しい温度に加熱される。ヒータ 1a,1bはそれぞれ試料3及び標準物質4に接触又は近接して設けられるので、試料3及び標準物質4はそれらの全域にわたって均一に加熱されて、均一に昇温する。試料室H内の昇温及び降温状態は、温度コントローラを兼ねた熱量補償回路17に予め記憶されたプログラムに従って制御される。LN2 を用いた冷却手段を設置してあるので、試料室Hの内部を0℃以下に設定することもでき、また、一旦設定した高温を急速に冷却することもできる。
【0021】
このように試料3及び標準物質4を温度制御した状態で、以下の通りに、X線回折測定系11によるX線回折測定及び熱分析系12による示差走査熱量測定(DSC)が行われる。
【0022】
(X線回折測定)
X線源Fが試料3を中心として図の上下方向へ走査回転(いわゆるθ回転)し、それに同期してX線カウンタ13が、等しい速度で反対方向へ試料3を中心として走査回転(いわゆるθ回転)する。これらのθ回転の間、X線源Fから出たX線Rが試料3に入射する。図示はしてないが、必要に応じて、X線源Fから試料3に至るX線光路上にはX線Rの発散を規制する発散規制スリットや、連続X線を単色化するモノクロメータ等が配設される。
【0023】
試料3に入射するX線と試料3の結晶格子面との間で、周知のブラッグ条件が満足されると、試料3でX線が回折する。回折したX線は、X線カウンタ13の内部に取り込まれて電気的なパルス信号に変換されて出力され、その出力パルスはX線強度演算回路14に送られる。図示はしていないが、必要に応じて、X線カウンタ13と試料3との間には、散乱X線がX線カウンタ13に入るのを防止する散乱線阻止スリットや、X線カウンタ13に向かう回折X線の断面形状を一定の大きさに規制する受光スリット等が配設される。
【0024】
X線強度演算回路14はX線強度、すなわち単位時間当たりの出力パルス数(cps)を演算して、その結果を記録計15へ送る。記録計15は、入射X線Rに対するX線カウンタ13の回転角度、すなわち2θ角度値に対する回折X線強度を求め、周知のX線回折図形を作成する。このX線回折図形を検討することにより、試料3を構成する物質の同定や、結晶構造の判定や、その他種々の解析が行われる。
【0025】
(示差走査熱量測定)
熱電対5aによって検出される試料3の表面温度及び熱電対5bによって検出される標準物質4の表面温度は、T及びΔT測定回路16へ送られる。測定回路16は、試料3及び標準物質4の温度(T)を測定し、同時に両者の差(ΔT)を演算する。演算結果は熱量補償回路17へ送られる。熱量補償回路17は、ΔTが0(ゼロ)でないとき、それを補償してΔT=0となるように、試料側ヒータ1a又は標準物質側ヒータ1bのいずれかへの通電量を調節し、そのときに供給した熱量を測定する。これにより、試料3に発生する熱量変化が検出される。熱分析記録計18は、試料温度(T)と試料に発生した熱量変化との関係を求めてグラフ上に表示する。このグラフを検討することにより、試料3の物理的持性、例えば転移点や融解点等の温度依存性を測定する。
【0026】
以上のように、本実施例の熱分析及びX線測定装置によれば、1つの試料3に対してX線測定及び熱分析の2種類の測定を同時に行うことができる。
【0027】
(第2実施形態)
図4は、本発明に係る熱分析及びX線測定装置の他の実施形態を示している。この熱分析及びX線測定装置が図1に示した装置と異なる点は、熱分析系22として、示差走査熱量測定(DSC)装置に代えて示差熱分析(DTA)装置を用いた点である。
【0028】
このDTA装置は、T及びΔT測定回路16と、熱分析記録計18と、そして温度コントローラ27とを有している。温度コントローラ27は予め決められたプログラムに従って、試料側ヒータ1a及び標準物質側ヒータ1bへの通電を制御する。熱分析記録計18は、試料3と標準物質4との間の温度差(ΔT)と、試料3の温度変化(T)との関係を求めてグラフ上に表示する。
【0029】
以上、好ましい実施例をあげて本発明を説明したが、本発明はその実施例に限られることなく、請求の範囲に記載した技術的範囲内で種々に改変できる。
例えば、LN2 を冷媒タンク7内に貯留するのではなくて、常時その冷媒タンク7を通過させて流すようにすることもできる。また図3に示すように、冷媒タンク7に替えて、図の上方から見て螺旋状の冷媒パイプ19を試料室Hのまわりに配設しこの冷媒パイプ19の上端吸入口20から導入したLN2 を下端排出口21から排出するように構成しても良い。
【0030】
熱分析系は上記説明で例示したDSC及びDTA以外の任意の熱分析系を適用できる。X線測定系は上記説明で例示したX線回折装置以外に、X線反射率測定装置や、蛍光X線装置等といったその他の任意のX線装置を適用できる。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係る熱分析及びX線測定装置によれば、熱分析及びX線測定の両方の測定を1つの測定装置によって行う場合に、0℃以下の温度に関する測定や、試料温度を急速に加熱冷却するような測定を行うことができる。
【0032】
本発明に係る熱分析及びX線測定装置において、試料のX線照射面の裏側であってその試料に接触又は近接する位置にヒータを設けることにすれば、試料を均一な温度分布で加熱でき、しかも試料に対して低角度からX線を入射できる。ずなわち、試料を均一に加熱するという要求と、X線装置の測角範囲を広く維持するという要求の2つの要求を同時に満足できる。
【0033】
特に、本発明に係る熱分析及びX線測定装置において、試料のX線照射面の裏側であってその試料に接触又は近接する位置にヒータを設けることにすれば、試料の均一加熱、X線装置の測角範囲の拡大、0℃以下の試料温度に関する測定、そして試料温度の急速加熱又は急速冷却といった全ての要求を満足できる。
【0034】
本発明に係る熱分析及びX線測定装置によれば、簡単な構造で効率良く試料を冷却できる。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱分析及びX線測定装置の一実施形態を示す断面模式図である。
【図2】同熱分析及びX線測定装置の平面図である。
【図3】本発明に係る熱分析及びX線測定装置の他の一実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明に係る熱分析及びX線測定装置のさらに他の一実施形態を示す断面図である。
【図5】従来の熱分析及びX線測定装置の一例を示す断面図である。
【図6】従来の熱分析及びX線測定装置の他の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1a,1b ヒータ
2 ブロック部材
3 試料
4 標準物質
5a,5b 熱電対
6 カバー
7 冷媒タンク
8a,8b 支持棒
9a,9b 試料皿
10 X線透過窓
11 X線測定系
12 熱分析系
13 X線カウンタ
19 冷媒パイプ
22 熱分析系
R X線
H 試料室
F X線源
Claims (3)
- 試料の温度を変化させたときのその試料の性質の温度依存性を測定する熱分析測定と、試料にX線を照射してその試料で回折又は反射するX線を検出してその試料の性質を測定するX線測定との両方の測定を行うことができる熱分析及びX線測定装置において、
ブロック部材の凹部と該凹部を覆うと共にX線を通過させることができるカバーとによって形成された試料室と、
前記試料室内に配置された試料を加熱する試料加熱手段と、
前記試料室内に配置された試料を冷却するための試料冷却手段とを有し、
前記試料冷却手段は、前記試料室を取り囲むように前記ブロック部材の中に円筒形状に形成されると共に寒剤を貯留又は流す冷媒タンクを有する
ことを特徴とする熱分析及びX線測定装置。 - 請求項1記載の熱分析及びX線測定装置において、前記試料加熱手段は、前記試料のX線照射面の裏側であってその試料に接触又は近接する位置にヒータを設けたことを特徴とする熱分析及びX線測定装置。
- 請求項1又は請求項2記載の熱分析及びX線測定装置において、
前記試料室の中に配置されていて測定試料を載置するための測定試料用試料皿と、
前記試料室の中に配置されていて標準物質を載置するための標準物質用試料皿とを有し、
前記測定試料用試料皿の表面と前記標準物質用試料皿の表面は同一平面上に配置される
ことを特徴とする熱分析及びX線測定装置。
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