JP3666864B2 - 波形観測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気や光の信号の波形を観測するための波形観測装置のうち、高速な繰り返し周期の波形を有する信号に対して、その繰り返し周期の整数倍に対して僅かに差のある周期のサンプリング信号でサンプリングして被測定信号の波形データを求めて表示する波形観測装置において、広い範囲のパラメータに対して、被測定信号の波形の同一位相位置からの波形データのサンプリングを可能にするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば10GHz以上の繰り返し周期で高速変調されている電気や光の信号の波形を観測するために、図14に示すサンプリング方式の波形観測装置10が用いられている。
【0003】
この波形観測装置10は、観測対象の被測定信号Xの波形の繰り返し周期TxのN倍(Nは1以上の整数で例えば100、1000等)より所定値(観測分解能)ΔTだけ長い周期Ts(=N・Tx+ΔT)のサンプリング信号Sを発生する信号発生器11と、被測定信号Xをサンプリング信号Sでサンプリングし、そのサンプリング結果をディジタル値に変換し、これを波形データとして記憶するデータ取得部12と、表示器13と、データ取得部12で取得された波形データに基づいて被測定信号Xの波形を表示器13に表示させる表示制御手段14とによって構成されている。
【0004】
このようなサンプリング方式の波形観測装置10では、図15の(a)に示すように、被測定信号Xの波形N周期毎に、サンプリング信号Sによるサンプリングタイミング(サンプリング信号Sの立ち上がりあるいは立ち下がりのレベル変移タイミング)が図15の(b)のように、ΔT時間ずつシフトしていくため、周期Txに比べて格段に低速なサンプリング信号を用いながら、被測定信号Xを等価的にΔTの間隔でサンプリングしていることになり、例えばTx/ΔT回のサンプリングで被測定信号Xの波形1周期分の振幅情報を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、波形観測装置に要求される観測モードには、書換えモード、平均化モード、重ね書きモード等がある。
【0006】
書換えモードは、あるデータ取得期間に入力された被測定信号Xをサンプリングしてその波形を表示し、次のデータ取得期間内に入力された被測定信号Xの波形で、前の期間の波形を書き換えながら表示するという動作を繰り返すモードであり、被測定信号の波形の変化をリアルタイムに観測をすることができる。
【0007】
また、平均化モードは、複数のデータ取得期間分の波形データの平均化処理を行い、その平均化された波形を表示するモードであり、ノイズ成分を除去した波形観測が可能となる。
【0008】
また、重ね書きモードは、複数のデータ取得期間分の波形データを記憶しておき、これを同一画面上に重ね合わせて表示するモードであり、繰り返し波形の位相や振幅の変動幅を観測することができる。
【0009】
上記のように被測定信号に対して複数のデータ取得期間の波形データを取得する観測モードの場合、各期間のサンプリングが被測定信号Xの繰り返し波形の同一位相位置から開始されないと、書換えモードでは表示器13に表示される波形が時間軸方向に毎回ずれたり、平均化モードでは平均化処理が正しく行なえず波形を正しく再現できなくなり、また、書換えモードでは波形の位相や振幅の変動の大きさを正しく把握できなくなる。
【0010】
このため、上記した各観測モードの場合には、各データ取得期間のデータ取得の開始タイミングが、被測定信号Xの繰り返し波形の同一位相位置となるようにサンプリング信号Sの周期Tsを設定する必要がある。
【0011】
例えばTx/ΔTが整数Kであれば、サンプリング信号Sの周期Tsは、
と表すことができる。
【0012】
したがってK+1回目のサンプリングタイミングは、1回目のサンプリングタイミングから、
が経過したタイミングとなる。
【0013】
上記(K・N+1)は整数だから、被測定信号Xの1周期分の波形のうち、K+1回目にサンプリングされる位置は、1回目にサンプリングされた位置と一致しており、同様に、2K+1回目、3K+1回目、…にサンプリングされる位置も1回目にサンプリングされた位置と一致する。
【0014】
したがって、Tx/ΔTが整数Kであれば、前記したような観測モードの場合、最初の期間のサンプリング開始タイミングから(M・K+1)Ts(Mは複数)が経過したタイミングに次の期間のサンプリングを開始すればよい。
【0015】
このタイミングの検出は、サンプリング信号を計数し、その計数値がM・K+1になったときを各期間のサンプリング開始タイミングとすればよい。なお、各期間内のサンプリング回数Ksは任意であるが、その上限はデータ取得部12のメモリ容量で決まる。
【0016】
ところが、Tx/ΔTが整数でない場合、即ち、Tx/ΔT=K+α(0<α<1)の場合、Tx=ΔT(K+α)であるから、サンプリング信号Sの周期Tsは、
と表すことができる。
【0017】
したがってK+1回目のサンプリングタイミングは、1回目のサンプリングタイミングから、
が経過したタイミングとなる。
【0018】
ここで、K/(K+α)は0より大きく1より小さいから、
K・N・Tx<K・Ts<(K・N+1)Tx
と表すことができる。
【0019】
つまり、K+1回目のサンプリングタイミングは、1回目のサンプリングタイミングを基準にすると時間K・N・Txから時間K(K・N+1)Txの間になってしまい、被測定信号Xの1周期分の波形のうち、K+1回目にサンプリングされる位置は1回目にサンプリングされた位置と一致しない。
【0020】
したがって、例えば、1回目からK回目目までサンプリングされる期間を最初のデータ取得期間とし、K+1回目から2K回目までサンプリングされる期間を次のデータ取得期間とすると、前記したように表示波形がずれたり波形再現性が悪化し、後続のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングのずれは増大し、表示波形のずれや波形再現性の悪化がより顕著になってしまう。
【0021】
なお、αが2つの整数A、B(A>B)に対して
α=A/B
で表せる数(有理数)であれば、被測定信号Xの繰り返し波形に対して、B・K+1回目にサンプリングされる位置は1回目にサンプリングされた位置と一致するが、実際の装置には設定できる数値の桁に制限があり、整数Bが大きい場合には、桁制限による誤差が累積されて、サンプリングの開始タイミングがずれてしまい、サンプリングの回数が多ければ、そのずれが増大して、表示波形がずれたり、波形再現性が悪化してしまう。
【0022】
この問題は、被測定信号Xの波形の繰り返し周期Txや観測分解能ΔTが固定であれば、これに合わせてサンプリング信号の周波数fsを微調整することで対処できるが、近年では被測定信号Xの繰り返し周期Txや観測分解能ΔTを所定範囲内で任意に可変して観測できるものが要求されており、このような要求に対して、上記したサンプリング周波数の微調整では対処できない。
【0023】
本発明は、この問題を解決して、被測定信号の波形の繰り返し周期と観測分解能の可変に対応でき、また、その可変に対して表示波形のずれや波形再現性の悪化がおこらないようにした波形観測装置を提供することを目的している。
【0024】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の波形観測装置は、
観測対象の被測定信号の波形の繰り返し周期に関する情報と観測分解能とを入力するためのパラメータ入力手段(26)と、
設定された情報に対応する周期のサンプリング信号を出力する信号発生器(25)と、
前記被測定信号の波形の繰り返し周期の整数倍に対して前記観測分解能分の差をもつ周期を算出し、該算出した周期に対応する情報を前記信号発生器に設定する周期設定手段(33a)と、
前記信号発生器から出力されたサンプリング信号によって被測定信号をサンプリングし、被測定信号の波形データを取得するデータ取得部(21)と、
前記信号発生器から出力されるサンプリング信号を計数する計数手段(31)と、
前記周期設定手段によって算出された周期でサンプリングを所定回連続して行なう期間を1つのデータ取得期間とし、被測定信号に対して前記データ取得期間による波形データの取得を複数回行なうモードが指定されたとき、前記1つのデータ取得期間より長く且つ前記周期算出手段によって算出された周期と前記繰り返し周期の公倍数となる値を各データ取得期間の間隔値として求め、前記計数手段の出力を監視して、前記信号発生器からサンプリング信号が前記間隔値分出力される毎に、前記1つのデータ取得期間のデータ取得が開始されるように前記データ取得部を制御するデータ取得制御手段(30、33b、33c)と、
前記各データ取得期間に前記データ取得部によって取得された波形データに基づいて、被測定信号の波形を表示する波形表示手段(22、23)とを備えている。
【0025】
また、本発明の請求項2の波形観測装置は、請求項1の波形観測装置において、
前記周期設定手段によって算出された周期に対する前記信号発生器から実際に出力されるサンプリング信号の周期の誤差を累積した値が前記観測分解能に等しくなるか越えるときの累積数を算出する累積数算出手段(33d)と、
前記計数手段の出力を監視し、前記信号発生器からサンプリング信号が前記累積数分出力される毎に、被測定信号に対する前記データ取得部のデータ取得タイミングを補正するタイミング補正手段(33e、32)とを備えたことを特徴としている。
【0026】
また、本発明の請求項3の波形観測装置は、請求項1または請求項2の波形観測装置において、
前記計数手段は、
前記サンプリング信号が入力される毎に出力値を歩進させるカウンタ(31)と、
前記カウンタを所定タイミング毎にリセットするリセット手段(33f)と、前記カウンタの出力値を第1入力値として受け、該第1入力値と第2入力値とを加算する加算手段(33g)と、
前記カウンタが前記リセット手段によってリセットされる毎に、前記加算手段の出力値を一時記憶し、該記憶した値を前記第2入力値として前記加算手段に入力するラッチ手段(33h)とによって構成されている。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明を適用した波形観測装置20の構成を示している。
【0028】
この波形観測装置20は、測定対象機器1に基準信号Rを与えるとともに測定対象機器1から出射される被測定信号Xを受けて、その波形を表示するためのものである。
【0029】
なお、ここで測定対象機器1は、入力される基準信号Rの周期Trの1/mに等しい周期Txで繰り返し変調された被測定信号Xを出力するものとし、また、被測定信号Xは電気信号の場合と光信号の場合とがあるが、ここでは発明を理解しやすいように先に電気信号の場合を説明し、光信号の場合については後述する。
【0030】
波形観測装置20は、入力端子20aから入力される被測定信号Xをデータ取得部21で受ける。
【0031】
データ取得部21は、後述する信号発生器25から出力されたサンプリング信号Sによって被測定信号Xをサンプリングし、被測定信号Xの波形データを取得する。
【0032】
このデータ取得部21は、図2に示しているように、サンプリング部21a、データ書込手段21b、メモリ21cによって構成されている。
【0033】
サンプリング部21aは、A/D変換器を含み、後述する第1のゲート回路30から出力される周波数fs(周期Ts)のサンプリング信号Sによってサンプリングして、そのサンプリング値をディジタル値に変換してデータ書込手段21bに出力する。
【0034】
なお、このサンプリング部21aのサンプリングタイミングは、サンプリング信号Sの立ち上がりあるいは立ち下がりのレベル変移タイミングとする。
【0035】
データ書込手段21bは、サンプリング部21aでサンプリングされた値を波形データとしてメモリ21cに所定のアドレス順に書き込む。
【0036】
表示制御部22は、データ取得部21によって取得された一連の波形データDsを読み出し、表示器23に時間軸、強度軸からなる直交座標を表示するとともに、その直交座標上に読み出した一連の波形データDsに強度が対応する波形を表示する。
【0037】
この表示制御部22は、図示しない操作部等によって指定された観測モードに応じて波形の表示制御を行なう。
【0038】
即ち、書換えモードが指定された場合には、あるデータ取得期間に取得された一連の波形データDsに対応する波形を表示器23に表示させ、次のデータ取得期間に取得された一連の波形データDs′に対応する波形をその前に表示されていた波形の代わりに表示器23に表示させるという動作を順次繰り返す。
【0039】
また、平均化モードが指定された場合には、あるデータ取得期間に取得された一連の波形データDsを内部メモリの所定領域にアドレス順に記憶し、次のデータ取得期間に取得された一連の波形データDs′と、内部メモリに記憶されている一連の波形データDs′との平均演算(単純加算による平均化でもよい)をアドレス単位で行い、その平均演算で得られた一連の平均波形データDaを内部メモリの所定領域に上書きするという動作を、所定数のデータ取得期間について行い、内部メモリに最終的に記憶された一連の平均波形データDaに対応する波形を表示器23に表示させる。
【0040】
また、重ね書きモードが指定された場合には、あるデータ取得期間に取得された一連の波形データDsに対応する波形を表示器23に表示させ、次のデータ取得期間に取得された一連の波形データDs′に対応する波形を前の波形とともに表示器23に表示させるという動作を、所定数のデータ取得期間について行い、複数のデータ取得期間に取得された波形を同時に観測できるようにする。
【0041】
信号発生器25は、後述する制御部33の周期設定手段33aによって設定された情報に対応する周期のサンプリング信号Sと基準信号Rを生成し、そのサンプリング信号Sを後述する第1のゲート回路30および第2のゲート回路32を介してデータ取得部21に出力し、基準信号Rを出力端子20bを介して測定対象機器1に出力する。
【0042】
パラメータ入力手段26は、図示しない操作部等によってサンプリングに必要なパラメータを入力させるためのものであり、被測定信号Xの波形の繰り返し周期に関する情報(周波数fxまたは周期Tx)、観測分解能ΔT、データ取得期間内のサンプリング回数P、データ取得期間の数Q等を入力させる。なお、ここでは、被測定信号Xの波形の繰り返し周期に関する入力パラメータが繰り返し周波数fxの場合を説明するが周波数の代わりに繰り返し周期Txを入力してもよい。
【0043】
第1のゲート回路30は、後述する制御部33の開始タイミング算出手段33b、第1のゲート制御手段33cとともにこの実施形態のデータ取得制御手段を構成するものであり、第1のゲート制御手段33cの制御によってデータ取得部21に対するサンプリング信号Sの入力を規制する。
【0044】
カウンタ31は、この実施形態の計数手段を構成するものであり、信号発生器25によるサンプリング信号Sを計数し、その計数値Csを制御部33に出力する。
【0045】
第2のゲート回路32は、後述する制御部33の第2のゲート制御手段33eとともにこの実施形態のタイミング補正手段を構成するものであり、信号発生器25から第1のゲート回路30およびカウンタ31へのサンプリング信号Sの出力を規制して、サンプリング周期の累積誤差によるサンプリングタイミングのずれを補正する。
【0046】
制御部33は、マイクロコンピュータによって構成されており、機能的に示すと、図3に示しているように、周期設定手段33a、開始タイミング算出手段33b、第1のゲート制御手段33c、累積数算出手段33d、第2のゲート制御手段33eとを有している。
【0047】
周期設定手段33aは、パラメータ入力手段26から入力されたパラメータに基づいて、被測定信号Xの波形の繰り返し周期Txの整数倍に対して観測分解能ΔT分の差のあるサンプリング周期Tsを求め、そのサンプリング周期Tsに対応する情報を信号発生器25に設定する。また、パラメータ入力手段26から入力されたパラメータに基づいて、基準信号Rの周波数frを求め、それに対応する情報を信号発生器25に設定する。
【0048】
ここで、基準信号Rの周波数frは、周波数fxの1/mを算出することで得られる。
【0049】
また、サンプリング周期Tsについては以下の演算によって求める。なお、ここでは、サンプリング周期Tsの代わりにサンプリング周波数fsを用いて説明する。
【0050】
前記したように、被測定信号Xの波形がN回繰り返されたときに、サンプリングタイミングがΔTだけずれるようにするためには、
1/fs−N/fx=ΔT
が成立することが必要であり、この式からサンプリング周波数fsを求めると次のようになる。
【0051】
fs=fx/(N+fx・ΔT)
上記式でNが決まれば、サンプリング周波数fsを得ることができる。
【0052】
このNの値は、信号発生器25のサンプリング信号Sの周波数可変範囲によって制限される。
【0053】
数値例を示すと、fx=10GHz、ΔT=0.1ps、信号発生器25が出力できるサンプリング信号Sの周波数範囲の上限をfsb=10MHz+10kHz、下限をfsb=10MHz−10kHzとする。
【0054】
この範囲内で、
1/fx−N/fs=ΔT
を満たすNを求めると、
fx(1/fsa−ΔT)≦N≦fx(1/fsb−ΔT)
998.99……≦N≦1001.00……
となり、Nとして、999、1000、1001のいずれかの値を用いることができる。
【0055】
ここで、例えばN=1000とすると、
となり、この周波数fsのサンプリング信号Sでサンプリングを行なえば、1000(=N)回の繰り返し周期毎に、0.1ps(=ΔT)ずつ遅れてサンプリングを行なうことができる。
【0056】
なお、このサンプリング周波数fsは、信号発生器25の内部で例えば10GHzの信号を発生させ、これを分周器で1/1000001に分周し、その分周出力を逓倍器で1000倍することで得ることができ、信号発生器25がこのような構成を有している場合、周期設定手段33aから、fx=10GHz、分周比(=1000001)、逓倍比(=1000)の情報を設定すればよい。
【0057】
また、開始タイミング算出手段33bは、前記した書換えモード、平均化モードあるいは重ね書きモードのようにデータ取得期間が複数である観測モードが指定された場合に、各データ取得期間が被測定信号Xの波形の同一位相位置から開始されるように、1つのデータ取得期間より長く且つ周期設定手段33aで算出されたサンプリング周期Tsと繰り返し周期Txの公倍数となる値を各データ取得期間の間隔値として求め、その間隔値に基づいて各データ取得期間のサンプリング開始タイミングをサンプリング信号Sの周期単位で求める。
【0058】
また、第1のゲート制御手段33cは、カウンタ31の出力を監視し、信号発生器25からサンプリング信号Sが前記した間隔値分出力される毎に各データ取得期間のデータ取得を開始させるためのものである。
【0059】
なお、ここで、データ取得の開始は、サンプリング部21aのサンプリング動作とデータ書込手段21bによるメモリ21cへのデータの書込動作とを並行して開始する場合を示すが、後述するように、サンプリング部21aのサンプリング動作は定常的に行い、データ書込手段21bによるメモリ21cへのデータの書込動作のみを開始する場合であってもよい。
【0060】
また、開始タイミング算出手段33bで各データ取得期間のサンプリング開始タイミングを予め求めている場合、第1のゲート制御手段33cは、信号発生器25によるサンプリング信号Sの出力数が各開始タイミングに一致するときから所定回のサンプリングが行なわれるまでの間だけ第1のゲート回路30をオン状態にしてサンプリング信号Sをデータ取得部21に入力させ、各データ取得期間の波形データを取得させる。
【0061】
累積数算出手段33dは、周期設定手段33aによって算出されたサンプリング周期Ts(理論値)に対して、信号発生器25から実際に出力されるサンプリング信号Sの周期に誤差が有る場合、その誤差を累積した値が観測分解能ΔTに等しくなるか越えるときの累積数を算出する。
【0062】
第2のゲート制御手段33eは、カウンタ31の出力を監視し、信号発生器25からサンプリング信号Sが累積数算出手段33dで算出された累積数分出力される毎に、被測定信号に対するデータ取得部21のデータ取得タイミングを補正する。
【0063】
図4〜図6は、この制御部33の平均化モードが指定されたときの処理手順を示すフローチャートである。
【0064】
以下、このフローチャートに基づいて制御部33およびこの波形観測装置20の動作を説明する。
【0065】
図4において、始めに、前記したようにパラメータ入力手段26によって入力された繰り返し周波数fx、観測分解能ΔTからサンプリング周波数fs(または周期Ts)と基準周波数frを算出し、その算出値に対応する情報を信号発生器25に設定し、算出されたサンプリング周期Tsに基づいて、各データ取得期間の開始タイミングA(1)〜A(Q)を、サンプリング周期単位、即ち、カウンタ31の出力値と比較できる値として求め、データ取得期間を示す変数iを1に初期化する(S1〜S3)。
【0066】
ここで、後述するように最初のデータ取得期間の直前に図示しないリセット手段によってカウンタ31の出力値を0にリセットするので最初のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングA(1)を1とし、1データ取得期間当たりのサンプリング回数をP、平均化するデータ取得期間の数をQとする。
【0067】
この各データ取得期間の開始タイミングは以下のようにして求める。
即ち、設定誤差が無い条件で各データ取得期間のサンプリングが、被測定信号Xの繰り返し波形の同一位相位置から開始されるためには、あるデータ取得期間のサンプリング開始タイミングとその次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングとの間隔が、一つのデータ取得期間の時間より長く且つサンプリング周期Tsと被測定信号Xの波形の繰り返し周期Txの公倍数に一致すればよい。
【0068】
即ち、Pより大きい整数Vと、整数Uとを用いて表せば、
V・Ts=U・Tx
の関係を満たせばよい。
【0069】
ここで周期Ts、Txは既知であるから、
Ts/Tx=U/V
を満たす整数のV、Uの組合せのうち、Pより大きい最小のVを求める。
【0070】
数値例で示すと、前記したように、fx=10GHz、ΔT=0.1ps、サンプリング信号Sの周波数fsを、
fs=10×109/(1000.001)Hz
とすれば、
Ts/Tx=fx/fs=1000.001=U/V
となる。
【0071】
ここで、データ取得期間内のサンプリング数Pを例えば1024とすれば、
U/V=2000002/2000=3000003/3000=…
と表すことができ、その最小のVの値は2000となる。
【0072】
したがって、各データ取得期間の間隔値は2000・Tsとなり、最初のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングから2001・Tsが経過したタイミングに次のデータ取得期間のサンプリングを開始すればよく、サンプリング信号の周期Tsを単位として表す、即ち、カウンタ31の計数値(初期値0とする)で表せば、最初のデータ取得期間の開始タイミングは計数値Cs=A(1)=1のときであり、2回目のデータ取得期間の開始タイミングは計数値Cs=A(2)=2001のときであり、3回目のデータ取得期間の開始タイミングは計数値Cs=A(3)=4001のときであり、同様にi回目のデータ取得期間の開始タイミングは計数値Cs=A(i)=2000・i+1のときであり、最後のQ回目のデータ取得期間の開始タイミングは計数値Cs=A(Q)=2000・Q+1のときである。
【0073】
開始タイミング算出手段33bは、上記演算を行なうことで、各データ取得期間のサンプリング開始タイミングを、サンプリング信号Sの周期単位で求めて図示しないメモリに記憶する。
【0074】
なお、上記処理S1の演算で得られたサンプリング周期Tsに対して、信号発生器25から実際に出力されるサンプリング信号Sの周期が等しい場合には問題ないが、信号発生器25に設定可能な情報の桁数制限等による設定誤差がある場合、各データ取得期間のサンプリング開始タイミングにずれが生じる。
【0075】
したがって、ここで設定誤差があるか否かを判定し、設定誤差がない場合にはカウンタ31をリセットして、第1のゲート回路30および第2のゲート回路32をオンさせて、最初のデータ取得期間のサンプリングを開始させる(S4〜S6)。
【0076】
このデータ取得期間のサンプリングがP回行なわれて、カウンタ31の計数値CsがA(i)+P−1になると、制御部33は第1のゲート回路30をオフ状態にしてサンプリングを停止させ、データ取得期間を示す変数iが最終値Qでないことを確認してから1だけ増加させて、その変数iに対応する次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングA(i)を読み出し、カウンタ31の計数値CsがA(i)−1になるまで待つ(S7〜S11)。
【0077】
そして、カウンタ31の計数値CsがA(i)−1になると、その次に入力されるサンプリング信号からサンプリング部21aに入力されるように第1のゲート回路30をオン状態に戻して次のデータ取得期間のサンプリングを開始させ、処理S7に戻る(S12)。
【0078】
以下、同様の処理を変数iを1ずつ増加させながらQに達するまで行い、Q回のデータ取得期間のサンプリングが終了する(S13)。
【0079】
各データ取得期間中にデータ取得部21で取得された波形データDsは、表示制御部22によって読み出されて内部メモリに記憶され、前記した平均化処理がなされ、その処理結果の波形が表示器23に表示される。
【0080】
一方、処理S4で設定誤差があると判定された場合には、図5に示しているように、入力されたパラメータの演算によって得られるサンプリング周期Ts(理論値)と、信号発生器25から実際に出力されるサンプリング信号Sの周期Ts′との誤差eを、
e=Ts−Ts′
の演算で求める(S14)。
【0081】
この誤差eは信号発生器25からサンプリング信号Sが出力される毎に累積されるが、その累積値Eが観測分解能ΔTに等しくなるか越える毎に、次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングがサンプリング1回分だけずれるように補正することで、誤差の累積を防止することができる。なお、この補正動作は、期間に関係なく累積値Eが観測分解能ΔTに等しくなるか越える毎に直ちに行なう場合と、データ取得期間とその次のデータ取得期間の間にまとめて行なう場合とがあるが、ここでは前者の場合について説明する。
【0082】
また、このタイミング補正の方法は、誤差eが正の場合、即ち、実際のサンプリング周期Ts′が演算で得られた周期Tsよりも短い場合と、誤差eが負の場合、即ち、実際のサンプリング周期Ts′が演算で得られた周期Tsよりも長い場合とで異なる。
【0083】
そこで、誤差eの正負を判定し、誤差eが正の場合には、何回のサンプリングで累積誤差Eが観測分解能ΔTに等しくなるか越えるかを、
F=(ΔT/e)+1
の演算で求める(S15、S16)。なお、値Fが小数の場合には、切り上げて整数化するものとする。
【0084】
そして、補正回数を表す変数jを0に初期化し、前同様にカウンタ31をリセットし、第1のゲート回路30および第2ゲート回路32をオン状態にして、データ取得部21による最初のデータ取得期間のサンプリングを開始させる(S17〜S19)。
【0085】
このデータ取得期間中に、カウンタ31の計数値CsがA(i)+P−1に達する前に、(j+1)(F−1)に等しくなると、第2のゲート回路32をオフ状態にして次のサンプリング信号Sの出力を停止させてサンプリングを1回だけ規制してから、第2のゲート回路32をオン状態に戻して、変数jを1だけ増加するという処理を繰り返す(S20〜S23)。
【0086】
このような処理を行なっている間にP回のサンプリングが行なわれて、計数値CsがA(i)+P−1に達すると、第1のゲート回路30をオフ状態にしてサンプリングを停止させ、変数iが最終値Qでないことを確認して、変数iを1だけ増加させて、カウンタ31の計数値Csが次のデータ取得期間のサンプリングタイミングを示す値A(i)の直前の値A(i)−1となるまで待機するが、この間に前記同様に計数値Csが(j+1)(F−1)に達すると、前記した処理S20〜S22と同様の処理がなされ、サンプリング信号の出力規制がなされる(S24〜S30)。
【0087】
そして、計数値Csが次のデータ取得期間の開始タイミングの直前を表す値A(i)−1になると、第1のゲート回路30がオン状態となり、次のデータ取得期間のサンプリングが開始されて、処理S20に戻る(S31)。
【0088】
以下、同様の処理が繰り返されてQ回のデータ取得期間のサンプリングが行なわれてi=Qとなると、第2のゲート回路32がオフ状態となり、Q回のデータ取得期間のサンプリングが終了する(S32)。
【0089】
そして、前記同様に、このQ回のデータ取得期間のサンプリングで得られた波形データに対する平均化処理がなされて、その平均化処理された被測定信号Xの波形が表示される。
【0090】
このように誤差eが正の場合に、上記のようにデータ取得部21に対するサンプリング信号の入力を規制することで、累積誤差Eを増大させることなく常に観測分解能ΔTの範囲内に抑えることができ、観測分解能ΔTが被測定信号Xの繰り返し周期Txに対して十分小さければ、各データ取得期間毎のサンプリング開始タイミングのずれによる表示波形への影響は少なく、被測定信号Xの波形を正確に表示させることができる。
【0091】
例えば、2回目のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングA(2)が2001で、Fの値が1997=A(2)−4の場合で説明すると、図7の(a)に示す周期Tsの理論上のサンプリング信号の出力タイミングに対して、実際のサンプリング信号の出力タイミングは図7の(b)に示すように誤差eの累積分ずつ進んでゆく。なお、図7はサンプリング信号の出力間隔のうちのN・Tx分を省略して、周期TsをΔT、周期Ts′をΔTeと仮定して表している。
【0092】
そして、1997回目のサンプリング信号の出力タイミングで累積誤差Eが観測分解能ΔTに等しくなるか越えることになるが、この出力タイミングの直前に図7の(c)のように第2のゲート回路32がオフ状態となるので、図7の(d)のように第2のゲート回路32から第1のゲート回路30およびカウンタ31への1997回目のサンプリング信号の出力が規制され、カウンタ31は歩進せず、その計数値は図7の(e)のように1996のままとなる。
【0093】
そして、信号発生器25から1998個目のサンプリング信号が出力される直前に第2のゲート回路32の出力規制が解除され、第2のゲート回路32から1997回目に出力されたサンプリング信号がカウンタ31に入力されて、その計数値Csが1997となり、以後計数値が1ずつ増加して、信号発生器25から2002回目に出力されたサンプリング信号がカウンタ31に入力されたときに計数値Csが次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングを示す2001となる。
【0094】
制御部33は、前記したように最初のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングの直前にカウンタ31をリセットするとともに、図7の(f)のように、第1のゲート回路30をオン状態にして、図7の(g)のようにサンプリング信号をデータ取得部21のサンプリング部21aに入力させてP回(例えば1024回)のサンプリングを行なわせた直後に、第1のゲート回路30をオフ状態にし、さらに、カウンタ31の計数値CsがA(2)−1=2000になった直後に第1のゲート回路30をオン状態にして、次のサンプリング信号Sをデータ取得部21に入力させ、2回目のデータ取得期間のサンプリングを開始させる。
【0095】
この2回目のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングは、演算で求めた周期Tsのサンプリング信号の2001回目の出力タイミングに対して僅かな累積誤差E(この例では5e)をもっているが、この累積誤差Eは、最大でも観測分解能ΔTとなり、被測定信号Xの波形の繰り返し周期Txに対してΔTが十分小さければ、ΔT分の誤差による表示波形のずれや、平均化したときの波形再現性の悪化は無視できる。
【0096】
なお、図7に示した例は、最初のデータ取得期間が終了して次のデータ取得期間が開始される前に累積誤差Eが観測分解能ΔTに等しくなる越える場合の例(図5の処理S27〜S30の例)であったが、累積誤差Eが観測分解能ΔTに等しくなるか越えるタイミングは、入力されるパラメータと装置の設定可能なデータの桁数に応じて決まり、図5の処理S20〜S23に示しているように累積誤差EがΔTに等しくなる越えるタイミングがデータ取得期間中にくる場合もある。
【0097】
一方、誤差eが負の場合には、図6に示しているように、何回のサンプリングで累積誤差Eが観測分解能ΔTに等しくなるか越えるかを、
F=(ΔT/|e|)+1
の演算で求め、前記同様に変数jを0に初期化し、カウンタ31をリセットし、第1のゲート回路30および第2ゲート回路32をオン状態にしてデータ取得部21によるサンプリングを開始させる(S33〜S36)。
【0098】
このデータ取得期間中にカウンタ31がP回歩進する前に、計数値Csが(j+1)Fに達すると変数jを1だけ増加させるという処理を繰り返す(S37〜S39)。
【0099】
そして、このような処理を行なっている間にP回のサンプリングが行なわれて、計数値CsがA(i)+P−1になると、第1のゲート回路30がオフ状態になり、変数iが最終値Qでないことを確認して、変数iを1だけ増加させ、カウンタ31の計数値Csが次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングを示す値A(i)−jの直前の値A(i)−j−1となるまで待機するが、この間に前記同様に計数値Csが(j+1)Fに達すると、前記した処理S38〜S40と同様の処理がなされ、次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングの値の補正がなされる(S41〜S46)。
【0100】
そして、計数値Csが次のデータ取得期間の開始タイミングの直前を表す値A(i)−j−1になると、第1のゲート回路30がオン状態となり、次のデータ取得期間のサンプリングが開始されて、処理S37に戻る(S46)。
【0101】
以下、同様の処理が繰り返されてQ回のデータ取得期間のサンプリングが行なわれてi=Qとなると、第2のゲート回路32がオフ状態となり、Q回のデータ取得期間のサンプリングが終了する(S47)。
【0102】
このように、誤差eが負の場合、カウンタ31がF回歩進した回数j分だけ、次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングの値を減少補正して、その開始タイミングを早めることで、前記した誤差の累積によるデータ取得期間の開始タイミングのずれを吸収することができる。
【0103】
例えば、前記同様に2回目のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングA(2)が2001で、Fの値が1997=A(2)−4の場合で説明すると、図8の(a)に示す周期Tsの理論上のサンプリング信号の出力タイミングに対して、実際のサンプリング信号の出力タイミングは図8の(b)に示すように誤差eの累積分ずつ遅れてゆき、1997回目の出力タイミングで累積誤差Eが観測分解能ΔTに等しくなるか越えることになるが、このとき、次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングA(i)を1回分早めるために図8の(c)のように変数jを1だけ増加更新して、図8の(d)のように、第2のゲート回路32の出力規制を行なわずにサンプリング信号をカウンタ31と第1のゲート回路30にそのまま与える。
【0104】
このため、カウンタ31の計数値は図8の(e)のように1ずつ増加して信号発生器25から2000回目に出力されたサンプリング信号Sがカウンタ31に入力されたときに計数値Csが2000となる。
【0105】
制御部33は、図8の(f)のように、カウンタ31の計数値CsがA(2)j−1=1999になった直後に、第1のゲート回路30をオン状態にして、図8の(g)のように、次のサンプリング信号Sをデータ取得部21に入力させ、2回目のデータ取得期間のサンプリングを開始させる。
【0106】
この2回目のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングは、周期Tsの理論上のサンプリング信号の2001回目の出力タイミングに対して僅かな累積誤差E(この場合3e)をもっているが、前記したようにこの累積誤差Eは、最大でも観測分解能ΔTとなり、被測定信号Xの波形の繰り返し周期Txに対してΔTが十分小さければ、ΔT分の誤差による表示波形のずれや、平均化したときの波形再現性の悪化は無視できる。
【0107】
なお、上記説明では、誤差eが正の場合に信号発生器25からのサンプリング信号の出力を規制することで、次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングを遅らせていたが、誤差eが負の場合と同様に、カウンタ31の歩進回数がFに達したときもサンプリング信号を出力させて、次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングの値を補正してもよい。この場合には、算出された次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングの値A(i)をA(i)+jに増加補正する。
【0108】
また、カウンタ31としてデータのプリセットが可能なものを用いれば、誤差eが負の場合でも、算出されたデータ取得期間の開始タイミングの値A(i)を補正しないで、そのサンプリング開始タイミングをずらすことができる。
【0109】
例えば、前記した例で説明すれば、カウンタ31の計数値Csが1997になったときに、変数jを1増加する代わりに、Cs+1=1998をカウンタ31にプリセットすれば、次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングを1回分早めることができる。
【0110】
また、誤差eが正の場合でも、カウンタ31へのサンプリング信号の出力を規制する代わりに、カウンタ31へその計数値Csより1だけ少ない値をプリセットすることで、サンプリング開始タイミングを1回分遅らせることができる。ただし、この場合には、処理が無限ループにならないように、カウンタ31の歩進回数がFに達してから、少なくとも2回サンプリング信号が入力された後に、プリセットを行なう。
【0111】
上記した各タイミング補正の方法は任意に組合せることができる。
例えば、誤差eが正の場合に、サンプリング信号のカウンタ31への出力を規制して次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングを遅らせ、誤差eが負の場合に、カウンタ31に対してその計数値から1を減じた値をプリセットして次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングを早める方法を採用してもよい。
【0112】
また、誤差eが正の場合にカウンタ31に対してその計数値に1を加えた値をプリセットして次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングを遅らせ、誤差eが負の場合にカウンタ31に対してその計数値から1を減じた値をプリセットして次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングを早める方法を採用してもよい。なお、この場合には第2のゲート回路32は不要である。
【0113】
また、誤差eが正の場合に、算出された次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングの値を増加補正して次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングを遅らせ、誤差eが負の場合に、算出された次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングの値を減少補正して次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングを早める方法を採用してもよい。この場合も第2のゲート回路32は不要である。
【0114】
また、前記説明では、累積誤差Eが観測分解能ΔTに等しくなるか越える毎に次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングを補正するための処理を行なっていたが、このタイミング補正の処理は次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングの前であれば任意のタイミングに行なうことができる。
【0115】
また、上記波形観測装置20では、第2のゲート回路32によってデータ取得部21およびカウンタ31へのサンプリング信号の入力を規制してタイミング補正を行なっていたが、図9に示す波形観測装置20′のように、第2のゲート回路32を省略し、制御部33内の第2のゲート制御手段33eの代わりにタイミング補正のための書込規制手段(図示せず)を設け、この書込規制手段によってデータ取得部21のデータ書込手段21bによる波形データのメモリ21cへの書込処理を規制してもよい。
【0116】
この場合、前記した補正タイミングがデータ取得期間内にある場合に、その補正タイミングにサンプリング部21aで得られた波形データのメモリ21cへの書込みを規制(破棄)し、そのデータ取得期間における所定数の波形データが集まるタイミングを遅らせる。ただし、この場合には、破棄した波形データの分もカウンタ31が歩進するので、次のデータ取得期間のサンプリング開始タイミングの値A(i)を、破棄したデータの数だけ減少補正する。
【0117】
また、上記のようにデータ書込手段21bのメモリ21cに対する波形データの書込みが規制できるように構成した場合には、図9の点線で示しているように第1のゲート回路30も省略し、信号発生器25から出力されたサンプリング信号Sがデータ取得部21に直接入力されるようにして、サンプリング部21aによるサンプリングを定常的に行なわせ、制御部33内に第1のゲート制御手段33cの代わりにデータ取得のための書込規制手段を設け、この書込規制手段によりデータ書込手段21bによるデータの書込み(データ取得)を、データ取得期間の間だけ行なうように制御してもよい。
【0118】
また、上記説明では、開始タイミング算出手段33bによって各データ取得期間のサンプリング開始タイミングを示す値A(1)〜A(Q)を全て求めてからサンプリングを開始させていたが、前記したデータ取得期間の間隔値2000・Vを求めて、データ取得期間のデータ取得を開始し、その開始タイミングから間隔値分(V)だけサンプリング信号Sが出力されたときに、次のデータ取得期間のデータ取得を開始するように制御してもよい。また、間隔値を求めて最初のデータ取得期間のデータ取得を開始し、そのデータ取得期間の間(あるいはそのデータ取得期間が終了した直後)に、次のデータ取得期間の開始タイミングを前記したV・i+1と補正回数jとに基づいて求め、その演算で求めた値とカウンタ31の歩進回数とを比較して、次のデータ取得期間のデータ取得を開始してもよい。
【0119】
また、上記例は、平均化モードが指定された場合の例であったが、重ね書きモーとの場合でも波形データの取得処理やタイミング補正の処理は同一であり、また、書換えモードの場合には、図4〜図6のi=Qの判定処理(S9、S25、S41)の代わりに、図示しない操作部からの停止指示の入力を待ち、その停止指示があるまで前記処理を繰り返し行い、各データ取得期間で得られた波形を順次書き換えながら表示する。
【0120】
また、ここでは、最初のデータ取得期間の開始から最後のデータ取得期間の終了までカウンタ31による計数動作を継続させていたが、平均化モードや重ね書きモードで、データ取得期間の間隔Vとデータ取得期間の数Qとの積がカウンタ31の計数上限値より大きい場合や前記書換えモードの場合には、カウンタ31がオーバフローする前にカウンタ31をリセットして0から計数を継続させればよい。
【0121】
この場合には、図10に示すように、制御部33内に、リセット手段33f、加算手段33g、ラッチ手段33hを設け、カウンタ31の出力値とラッチ手段33hにラッチされている値とを加算手段33gに入力し、その加算結果を信号発生器25からのサンプリング信号の出力数として出力するとともに、加算手段33gの出力値をリセット手段33fによるカウンタ31のリセットタイミングにラッチ手段33hでラッチするように構成し、これらの各手段とカウンタ31とで計数手段を構成する。
【0122】
この場合、前記した第1のゲート制御手段33cおよび第2のゲート制御手段33eは、加算手段33gの出力値を監視して、データ取得期間の開始や終了のタイミングあるいは補正タイミングの判定を行なうようにすればよい。
【0123】
なお、このリセット手段33fによるリセットのタイミングは任意であるが、前記した補正タイミングや、各データ取得期間の直前、直後に行うことができ、このようにカウンタ31のリセットを行いながらサンプリング信号の計数を継続することで、カウンタ31として桁数の少ない高速なものが使用でき、カウンタ31の動作速度の遅れによるタイミングの誤差も少なくすることができる。
【0124】
また、カウンタ31に対する上記のようなリセットを行なわずに、カウンタ31がオーバフローしたときに出力されるキャリー信号の出力回数を求め、その出力回数にカウンタ31の計数上限値を乗じた結果と、カウンタ31の計数値とを加算して、その加算結果でデータ取得期間の終了や開始のタイミングや補正タイミングの判定を行なってもよい。
【0125】
また、前記実施形態では、被測定信号Xが電気信号の場合について説明したが、被測定信号Xが光信号の場合でも本発明を同様に適用できる。
【0126】
光の被測定信号Xをサンプリングする方式として、被測定信号Xを電気信号に変換してからA/D変換によりサンプリングしてディジタルのデータに変換する第1の方式、被測定信号Xを電気のパルス信号でスイッチングしてサンプリングし、そのサンプリングで得られた光パルス信号を電気のパルス信号に変換して、そのピーク値をディジタルのデータに変換する第2の方式、被測定信号Xを光パルスでサンプリングし、そのサンプリングで得られた光パルス信号を電気のパルス信号に変換して、そのピーク値をディジタルのデータに変換する第3の方式とがあり、そのいずれを用いてもよい。
【0127】
前記第1の方式の場合、例えば図11に示すサンプリング部21aのように、被測定信号Xを光電変換器121aによって電気の信号Exに変換してA/D変換器121bに入力し、A/D変換器121bにサンプリング信号Sを与えて、ディジタルのデータDsに変換してデータ書込手段21bに出力する。
【0128】
また、第2の方式の場合、図12に示すサンプリング部21aのように、被測定信号Xを高速な光スイッチ121cに入力し、サンプリング信号Sを受けたパルス発生器121dからサンプリング信号Sと等しい周期Tsで出力される幅の狭い電気のパルス信号Epで光スイッチ121cをオンさせて、被測定信号Xをサンプリングし、その光スイッチ121cから出力される光パルス信号Psを光電変換器121aで電気信号Esに変換し、そのピーク値をA/D変換器121bによってディジタルのデータDsに変換して、データ書込手段21bに出力する。
【0129】
また、第3の方式の場合、例えば図13に示サンプリング部21aのように、サンプリング信号Sを受けた光パルス発生器121eからサンプリング信号Sと等しい周期Tsで出射される光パルスPを、非線型光学結晶等からなる光サンプリング部121fに入射してこの光パルスPで被測定信号Xをサンプリングし、そのサンプリングで得られた光パルス信号Psを光電変換器121aによって電気のパルス信号Esに変換し、そのパルス信号Esのピーク値をA/D変換器121bでディジタルのデータDsに変換して、データ書込手段21bに出力する。
【0130】
なお、電気や光のパルスを用いて被測定信号Xのサンプリングを行う前記第2、第3の方式の場合、そのパルス幅が狭い程、観測分解能を高くすることができる。
【0131】
ここで、電気によるパルス変調で得られる信号(電気および光の信号)の幅は数ps程度が限界であるが、光パルスの場合には分散減少ファイバを通過させることでその幅を数10分の1にすることができるので、前記したように0.1psの観測分解能ΔTを得ようとする場合には、前記した第3の方式を採用し、光パルス発生器121eの内部で分散減少ファイバを用いてパルス幅の狭い光パルスPを生成すればよい。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の波形観測装置は、パラメータ入力手段によって入力された被測定信号の波形の繰り返し周期に関する情報と観測分解能とに基づいて、その繰り返し周期の整数倍に対して観測分解能分の差をもつサンプリング周期を求め、その周期のサンプリング信号を信号発生器から出力させるとともに、被測定信号に対してサンプリングを連続して所定回行なうデータ取得期間が複数である動作モードが指定されたときに、前記入力されたパラメータに基づいて、データ取得期間より長く且つ算出されたサンプリング周期と被測定信号の波形の周期の公倍数となる値を各データ取得期間の間隔値として求め、信号発生器から出力されるサンプリング信号を計数する計数手段の出力を監視して、信号発生器からサンプリング信号が前記間隔値分出力される毎に、データ取得期間のデータ取得を開始するようにデータ取得部を制御している。
【0133】
このため、任意のパラメータに対して各データ取得期間のデータ取得を被測定信号の波形の同一位相位置から開始させることができる。
【0134】
また、入力されたパラメータの演算によって得られるサンプリング周期と、信号発生器から実際に出力されるサンプリング信号の周期との誤差を累積した値が観測分解能に等しいか越えるときの累積数を求め、信号発生器からサンプリング信号が累積数分出力される毎にデータ取得部のデータ取得タイミングを補正している。
【0135】
このため、信号発生器の設定可能な情報の桁数制限等による設定誤差あっても、その累積誤差を観測分解能以下に抑えることができ、表示波形のずれや波形再現性が悪化することがなく、被測定信号の波形を正確に把握できる。
【0136】
また、計数手段を、カウンタ、そのカウンタを所定タイミングでリセットするリセット手段、加算手段およびラッチ手段によって構成し、カウンタのリセット直前の出力値を累積した値とカウンタのリセット後の出力値とを加算結果でサンプリング信号の出力数を表すようにしたものでは、カウンタのリセットを行いながらサンプリング信号の計数を継続することで、カウンタとして桁数の少ない高速なものが使用でき、カウンタの動作速度の遅れによるタイミングの誤差も少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態の要部の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施形態の要部の構成を示すブロック図
【図4】実施形態の要部の処理手順を示すフローチャート
【図5】実施形態の要部の処理手順を示すフローチャート
【図6】実施形態の要部の処理手順を示すフローチャート
【図7】実施形態の動作を説明するためのタイミング図
【図8】実施形態の動作を説明するためのタイミング図
【図9】他の実施形態の構成を示すブロック図
【図10】計数手段の構成例を示すブロック図
【図11】実施形態の要部の構成例を示す図
【図12】実施形態の要部の構成例を示す図
【図13】実施形態の要部の構成例を示す図
【図14】サンプリング方式の波形観測装置の構成を示すブロック図
【図15】サンプリング方式の波形観測装置の動作を説明するためのタイミング図
【符号の説明】
20……波形観測装置、21……データ取得部、21a……サンプリング部、21b……データ書込手段、21c……メモリ、22……表示制御部、23……表示器、25……信号発生器、26……パラメータ入力手段、30……第1のゲート回路、31……カウンタ、32……第2のゲート回路、33……制御部、33a……周期設定手段、33b……開始タイミング算出手段、33c……第1のゲート制御手段、33d……累積数算出手段、33e……第2のゲート制御手段、33f……リセット手段、33g……加算手段、33h……ラッチ手段
Claims (3)
- 観測対象の被測定信号の波形の繰り返し周期に関する情報と観測分解能とを入力するためのパラメータ入力手段(26)と、
設定された情報に対応する周期のサンプリング信号を出力する信号発生器(25)と、
前記被測定信号の波形の繰り返し周期の整数倍に対して前記観測分解能分の差をもつ周期を算出し、該算出した周期に対応する情報を前記信号発生器に設定する周期設定手段(33a)と、
前記信号発生器から出力されたサンプリング信号によって被測定信号をサンプリングし、被測定信号の波形データを取得するデータ取得部(21)と、
前記信号発生器から出力されるサンプリング信号を計数する計数手段(31)と、
前記周期設定手段によって算出された周期でサンプリングを所定回連続して行なう期間を1つのデータ取得期間とし、被測定信号に対して前記データ取得期間による波形データの取得を複数回行なうモードが指定されたとき、前記1つのデータ取得期間より長く且つ前記周期設定手段によって算出された周期と前記繰り返し周期の公倍数となる値を各データ取得期間の間隔値として求め、前記計数手段の出力を監視して、前記信号発生器からサンプリング信号が前記間隔値分出力される毎に、前記1つのデータ取得期間のデータ取得が開始されるように前記データ取得部を制御するデータ取得制御手段(30、33b、33c)と、
前記各データ取得期間に前記データ取得部によって取得された波形データに基づいて、被測定信号の波形を表示する波形表示手段(22、23)とを備えた波形観測装置。 - 前記周期設定手段によって算出された周期に対する前記信号発生器から実際に出力されるサンプリング信号の周期の誤差を累積した値が前記観測分解能に等しくなるか越えるときの累積数を算出する累積数算出手段(33d)と、
前記計数手段の出力を監視し、前記信号発生器からサンプリング信号が前記累積数分出力される毎に、被測定信号に対する前記データ取得部のデータ取得タイミングを補正するタイミング補正手段(33e、32)とを備えたことを特徴とする請求項1記載の波形観測装置。 - 前記計数手段は、
前記サンプリング信号が入力される毎に出力値を歩進させるカウンタ(31)と、
前記カウンタを所定タイミング毎にリセットするリセット手段(33f)と、前記カウンタの出力値を第1入力値として受け、該第1入力値と第2入力値とを加算する加算手段(33g)と、
前記カウンタが前記リセット手段によってリセットされる毎に、前記加算手段の出力値を一時記憶し、該記憶した値を前記第2入力値として前記加算手段に入力するラッチ手段(33h)とによって構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の波形観測装置。
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