JP3667015B2 - 電力増幅器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアモード/PWMモードの2つのモードで安定動作する電力増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、モーター等の負荷を駆動する際、高い位置決め精度や滑らかな駆動が要求される場合には、リニア制御型の電力増幅器を用いてリニア制御し、高い応答性と高効率が要求される場合には、PWM方式(Palse Width Modulation方式;パルス幅変調方式)の電力増幅器を用いてPWM制御(パルス幅変調制御)するのが一般的である。これは、PWM駆動は、出力段の素子をスイッチング動作させて使用しているので出力電流(駆動電流)にリップルが発生し、モータに振動が発生してしまうので、高い位置決め精度や滑らかな駆動が要求される場合にはリニア駆動させ、粗動時など精度が要求されない場合には、PWM駆動させて電力の効率化を計るためである。
【0003】
従来の技術では、電力増幅器におけるリニア制御とPWM制御の切り替えは、リニア制御用とPWM制御用の2つの出力段回路を用意して入力信号電圧の値により入力する回路を切り換えることにより行ったり、リニア制御用の電源とは別にPWM制御用の電源を設け、ある値以上の入力信号電圧が入力されると出力段回路に供給される電源電圧を切り替えて、出力段回路の素子をスイッチング動作させることにより行われていた。
【0004】
また、図2記載のように、モーター等の負荷をリニア/PWMの2領域で駆動する電力増幅器としてのリニア増幅器40を使用する場合、従来よりのリニア増幅器40は、最大出力よりも低い領域でのリニア動作を前提に設計されており、出力電圧Voutの最大値は電源電圧Vsよりも、出力段にトランジスタを用いた場合には約2〜3V、MOSFETを用いた場合には約5〜10V低くなってしまうのが通常である。これは、出力段素子の内部抵抗による電圧降下が原因であり、この電圧降下は、図3に記載のように、リニア増幅器40の出力段がトランジスタ41,42の場合にはコレクタエミッタ間電圧Vceに相当し、Vce=約2〜3Vもある状態では電力損失が大きく、リニア増幅器が飽和領域で動作しているとはいえない。また、最大出力電圧付近の動作では、出力電圧に歪みが発生する場合があり、良好な動作は期待できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、モータ等の負荷をリニア/PWMの両駆動領域で動作させようとする場合、上記の様に、入力信号電圧の値により入力切り換えを行う様な方法だと、入力の切替時に、入力信号が不明確で出力段がリニアモード動作/PWMモード動作のどちらでもない期間であるデッドタイムが発生し、モータ制御を行う場合、デッドタイムにより発生する駆動電流のリップル分のためモータに微振動が発生する。また、入力の値に応じて出力段の素子に供給する電源電圧を変化させることにより、出力段の素子をスイッチング動作させるような方法だと、電源が別に必要となり、回路が複雑で大きくなりコストもかかってしまう。
【0006】
一方、リニア増幅器をコンパレータ動作させてPWM駆動した場合には、出力段素子による電圧降下により電力損失が大きい(即ち、降下電圧と出力電流の積が素子の発熱等により損失される)という問題がある。
【0007】
以上のような課題を鑑み、本発明の目的は、入力信号電圧を変化させるだけで自動的にリニア/PWMの2つの動作モードが切り替わる回路構成を持つ電力増幅器とし、リニア/PWMの2つの駆動領域の切替時にデッドタイムが発生することなく、コンパレータ動作時、即ちPWM駆動時に飽和領域で動作可能な電力増幅器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、
請求項1記載の発明は、
モータ等の負荷を駆動する電力増幅器において、
電力増幅器は、該電力増幅器への入力信号電圧を増幅する電圧増幅段、電圧増幅段からの出力電圧に応じて出力段を駆動するドライバ段、及び負荷を駆動する出力段から構成されるとともに、モータ等の負荷をリニア駆動するリニアモードとPWM駆動するPWMモードの2つのモードで動作することが可能であり、
前記電力増幅器のPWMモードでの動作は、リニアモード時と同一の動作回路で行われるとともに、入力信号電圧の値に応じて前記電力増幅器の電圧増幅段の出力電圧に制限が加えられることで、前記電力増幅器の出力段の素子に飽和領域で動作させるのに適した電圧が印加されることにより行われることを特徴とする。
【0009】
この請求項1記載の発明によれば、
モータ等の負荷を駆動する電力増幅器において、リニアモードとPWMモードの2つのモードで動作させるために、入力切り替えや別電源を設ける必要がなく、1系統の簡単な増幅回路で済むようになり、その結果、電力増幅器の設計が容易になるとともに、製造コストの削減及びデバイスとしての信頼性の向上が計れる。
【0010】
請求項2記載の発明は、
請求項1に記載の電力増幅器において、
電力増幅器における、リニアモードとPWMモード間の動作モードの切替は、電力増幅器に入力される入力信号電圧を変化させるだけで自動的に行われることを特徴とする。
【0011】
この請求項2記載の発明によれば、
電力増幅器におけるリニアモードとPWMモード間の動作モードの切替は、入力信号を切り替えることなく行われるので、それに伴うデッドタイム(入力信号が不明確な状態)の発生がなく、出力電流に発生するリップル成分を小さくできる。その結果、例えば、モータを制御する場合に、モードの切り替えに伴う微振動の発生を抑えることができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、
請求項1及び2に記載の電力増幅器において、
電力増幅器は、1つのデバイスにより構成されることを特徴とする。
【0013】
ここで、1つのデバイスとは、オペアンプやモノリシックIC等のワンパッケージ化されたデバイスのことである。
【0014】
この請求項3記載の発明によれば、
リニアモードとPWMモードの2つのモードで安定動作する電力増幅器をワンパッケージ化されたデバイスで提供できるので、精密かつ高効率なモータ等の負荷の制御が必要な場合に、システム設計が容易になるとともに、省スペース化が可能になる。また、ワンパッケージ化することで設置及び交換も容易になるので、メンテナンス性及びデバイスとしての信頼性も向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しつつ本発明に係わるリニア/PWMデュアルモード電力増幅器の実施の形態の詳細を説明する。
【0016】
先ず、本実施の形態の構成について説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係わる電力増幅器1の内部回路の概略構成を記載した図である。
【0018】
電力増幅器1は、電圧増幅段10、ドライバ段20、出力段30の3つのステージから構成されており、出力段30の素子としてMOSFETをドレインコモンで使用している。
【0019】
いま、電力増幅器1への入力電圧をVin、出力電圧をVoutとする。また、電力増幅器1の入出力間には、NF(Negative Feedback)をかけるためのフィードバック抵抗3(抵抗値Rf)が接続され、入力抵抗2の抵抗値をRinとすると、この電力増幅器のゲインはRf/Rinとなる。
【0020】
電圧増幅段10は、反転増幅器11の反転入力と出力の間にツェナダイオード12とツェナダイオード13を向きを逆にして図のように接続し、プラス側で片側接地した回路構成になっている。このとき、ツェナダイオード12及びツェナダイオード13のツェナー電圧をVzdとすると、入力電圧Vinが、出力電圧V1=Vzdを満たす値以上になると、電圧増幅段10の出力電圧、即ち、ドライバ段の入力電圧V1がVzdに制限される(実際には、ツェナダイオード12とツェナダイオード13は、逆向きに接続されているので、入力信号の正負に応じてどちらか一方のツェナダイオードの順方向バイアス電圧約0.6Vが加わり、制限電圧は、Vzd+0.6(V)位になる)。
【0021】
次に、ドライバ段20は、NPN型バイボーラトランジスタ21とPNP型バイボーラトランジスタ22の対称回路により構成され、バイボーラトランジスタ21は抵抗値Reのエミッタ抵抗23により、バイボーラトランジスタ22は抵抗値Reのエミッタ抵抗24により、それぞれエミッタ接地されている。ドライバ段20において、各バイボーラトランジスタ21,22のベースには、入力電圧V1の値に応じてベース電流Ibが流れ込み、コレクタにはベース電流Ibのhfe倍のコレクタ電流Icが流れる。よって、バイボーラトランジスタ21,22のベースエミッタ間にはIe=Ib+Ic=(1+hfe)×Ibの電流が流れる。このとき、ベースエミッタ間電圧をVbeとすると、GNDに対するベース電圧、即ちドライバ段20の入力電圧V1は、V1=Vbe+Ie×Reとなる。
【0022】
出力段30は、Pチャンネル型MOSFET31とNチャンネル型MOSFET32をドレインコモン接続した対称回路で構成され、それぞれのMOSFETには、抵抗値Rgsのゲートソース間の抵抗25,26とドライバ段20のトランジスタのコレクタ電流Icによって定まるゲートソース間電圧Vgs=Ic×Rgsが印加される。また、各MOSFETには、電源電圧Vcの電源4,5から電源電圧が供給され、入力電圧に応じた出力電流を流して負荷を電流駆動する。
【0023】
尚、出力段30のMOSFETをソースコモンやトーテムポール接続にて使用したり、出力段30の素子としてMOSFETの代わりにIGBT(Inslated Gate Bipolar Transistor)を使用することも可能である。
【0024】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0025】
図1記載の電力増幅器1の内部回路の動作について説明する。
【0026】
先ず、電力増幅器1に入力信号電圧Vinが入力されると、電圧増幅段10の反転増幅器11の入力端子にVinが印加される、反転増幅器11は、出力電圧V1がツェナーダイオード12,13のツェナー電圧Vzd(実際には、Vzd+0.6位)になるまでは、入力電圧をリニアに増幅するが、出力電圧V1がVzdになると、より大きな入力電圧を加えても出力電圧V1はVzdに制限される。即ち、V1≦Vzdの範囲では、入力信号電圧Vinはリニアに増幅されるが、V1=Vzdとなる入力電圧以上の入力信号電圧Vinが入力されてもVzdまでしか増幅されない。
【0027】
V1≦Vzdの範囲では、図1の回路は、単なる線形増幅回路となり、電源電圧Vcに十分な値(V1=Vzdの時のVinのRf/Rin倍)があれば、入力信号電圧Vinは、リニアに増幅される(出力電圧Vout=Vin×Rf/Rinとなる)。このとき、電力増幅器1はリニアモードで動作することになる。
【0028】
よって、以下には、V1がVzdに制限される場合(PWMモード動作時)について述べることにする。
【0029】
電圧増幅段10の出力電圧V1は、ドライバ段20の入力電圧としてバイボーラトランジスタ21及びバイボーラトランジスタ22のベースに印加される。このとき、ドライバ段20の入力電圧V1がVzd以下に制限されており、また、V1=Vbe+Ie×Reであるから、Vbeをほぼ一定(約0.6V)とすると、Ie×Re=(Ib+Ic)×Re=(1+hfe)×Ib×Reも制限される。即ち、ベース電流Ibが制限され、Ic=hfe×Ibで定まるコレクタ電流Icも制限されることになる。その結果、出力段30の素子のゲートソース間に接続された抵抗25,26の抵抗値をRgsとすると、出力段30のMOSFET31,32にかかるゲート電圧Vgs=Ic×Rgsが制限されるので、ゲート電圧Vgsの最大値Vgs(max)が決定される。
【0030】
ここで、ベース電流Ib=(V1−Vbe)/Re(1+hfe)より、ゲート電圧Vgs=Ic×Rgs=hfe×Ib×Rgs=Rgs×hfe×(V1−Vbe)/Re(1+hfe)となり、また、V1はVzdに制限されているのでV1=Vzdであるが、片方のツェナダイオードの順方向電圧(約0.6V)とベース電圧Vbe(約0.6V)をほぼ等しいと見て相殺するとV1−Vbe=Vzdとなる。
【0031】
よって、ゲート電圧Vgsの最大値は、Vgs(max)=Rgs×hfe×Vzd/Re(1+hfe)と決定される。
【0032】
例えば、具体例として、出力段30の素子を10Vで飽和動作させたい場合、Rgs=500(Ω)、Re=250(Ω)、hfe=100、Vzd=5(V)とすると、出力段30のMOSFETにかかるゲート電圧の最大値は、Vgs(max)=Rgs×hfe(V1−Vbe)/Re(1+hfe)=約9.9(V)となる。
【0033】
尚、実際には、使用するMOSFETにより飽和領域で動作させるのに適した電圧が異なるので、出力段30のMOSFETにかかるゲート電圧の最大値Vgs(max)は、回路が安定動作するためのバランスを考慮しつつ、主に、Vzd、Re、Rgs、hfeの値の組み合わせにより調整する。
【0034】
結局、電圧増幅段10のツェナダイオード12,13で出力電圧を制限することにより、出力段30のMOSFET31,32のゲート電圧を一定値に制限でき、入力信号の値に応じて出力段30のMOSFET31,32はスイッチング動作を行い負荷を電流駆動する(即ち、PWMモードで動作する)。
【0035】
以上のように、本実施の形態の電力増幅器1では、入力信号電圧Vinがある値(V1=Vzdとなる値)以上になると、電圧増幅段10の出力電圧V1がVzd以下に制限され、ドライバ段20のバイボーラトランジスター21,22のベース電流Ibが制限される。その結果、コレクタ電流Ic=hfe×Ibが制限されて、出力段30のMOSFET31,32のゲートソース間電圧Vgs=Ic×Rcgの最大値Vgs(max)が決定される。このとき、ゲートソース間電圧の最大値Vgs(max)を、出力段30のMOSFET31,32が飽和領域で動作させるのに適した電圧に設定することにより、入力信号電圧を変化させるだけで、リニアモード/PWMモードの2つのモードで安定動作させることが可能になる。
【0036】
尚、上記実施例では、電圧増幅段10の出力電圧を制限する方法としてツェナダイオードを使用しているが、他の素子を使用してもよいし、或いは他の構成の回路を用いて出力電圧を制限してもよい。
【0037】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、
モータ等の負荷を駆動する電力増幅器において、リニアモードとPWMモードの2つのモードで動作させるために、入力切り替えや別電源を設ける必要がなく、1系統の簡単な増幅回路で済むようになり、その結果、電力増幅器の設計が容易になるとともに、製造コストの削減及びデバイスとしての信頼性の向上が計れる。
【0038】
請求項2記載の発明によれば、
電力増幅器におけるリニアモードとPWMモード間の動作モードの切替は、入力信号を切り替えることなく行われるので、それに伴うデッドタイム(入力信号が不明確な状態)の発生がなく、出力電流に発生するリップル成分を小さくできる。その結果、例えば、モータを制御する場合に、モードの切り替えに伴う微振動の発生を抑えることができる。
【0039】
請求項3記載の発明によれば、
リニアモードとPWMモードの2つのモードで安定動作する電力増幅器をワンパッケージ化されたデバイスで提供できるので、精密かつ高効率なモータ等の負荷の制御が必要な場合に、システム設計が容易になるとともに、省スペース化が可能になる。また、ワンパッケージ化することで設置及び交換も容易になるので、メンテナンス性及びデバイスとしての信頼性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係わる電力増幅器1の内部回路の概略構成を記載した図である。
【図2】リニア増幅器40の回路を記載した図である。
【図3】リニア増幅器40内部の出力段を記載した図である。
【符号の説明】
1 電力増幅器
2 入力抵抗
3 フィードバック抵抗
4 出力段の電源
5 出力段の電源
10 電圧増幅段
11 反転増幅器
12 ツェナダイオード
13 ツェナダイオード
20 ドライバ段
21 NPN型バイボーラトランジスタ
22 PNP型バイボーラトランジスタ
23 バイボーラトランジスタ21のエミッタ抵抗
24 バイボーラトランジスタ22のエミッタ抵抗
25 ゲートソース間抵抗
26 ゲートソース間抵抗
30 出力段
31 PチャンネルMOSFET
32 NチャンネルMOSFET
Claims (3)
- モータ等の負荷を駆動する電力増幅器において、
前記電力増幅器は、該電力増幅器への入力信号電圧を増幅する電圧増幅段、電圧増幅段からの出力電圧に応じて出力段を駆動するドライバ段、及び負荷を駆動する出力段から構成されるとともに、モータ等の負荷をリニア駆動するリニアモードとPWM駆動するPWMモードの2つのモードで動作することが可能であり、
前記電力増幅器のPWMモードでの動作は、リニアモード時と同一の動作回路で行われるとともに、入力信号電圧の値に応じて前記電力増幅器の電圧増幅段の出力電圧に制限が加えられることで、前記電力増幅器の出力段の素子に飽和領域で動作させるのに適した電圧が印加されることにより行われることを特徴とする電力増幅器。 - 前記電力増幅器における、前記リニアモードと前記PWMモード間の動作モードの切替は、前記電力増幅器に入力される入力信号電圧を変化させるだけで自動的に行われることを特徴とする請求項1に記載の電力増幅器。
- 前記電力増幅器は、1つのデバイスにより構成されていることを特徴とする請求項1及び2に記載の電力増幅器。
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