JP3667573B2 - ベルトスリング - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、巻上げ機などに使用するたて糸と横糸との織物からなるベルトスリングに関し、とくに上側の横糸及び下側の横糸との間にコード糸を入れ、ベルトスリングが幅方向や厚み方向に磨耗や損傷したときにこれが露出して、使用限界の目安となるようにしたベルトスリングに関する。
【0002】
本明細書では、必要に応じて、ベルトスリングの長手方向を「長さ方向」、それと略直交する方向を「幅方向」、厚み方向を「上下方向」といい、長さ方向に走る糸を「たて糸」、幅方向に走る糸を「横糸」という。また、たて糸と横糸で完成される長さ方向の組織を「列」、複数のたて糸に対し横糸を一往復させてできる幅方向の組織を「段」という。
【0003】
【従来の技術】
荷重のある荷物などを吊り上げたり、下ろしたりするときには、荷物にベルトスリングを掛け、これを巻上げ機で持ち上げるようにしている。
【0004】
これらのベルトスリングは、合成繊維等で作成されたたて糸及び横糸を平織やあや織、またはこれらを組み合わせたり変化させて織ることによって構成されている。平織で作成されたベルトスリングは固いのに対して、あや織のそれは柔軟で良く撓うため、使い勝手が良い。
【0005】
また、ベルトスリングは、日本工業規格(JIS)によってその材質や基本使用荷重、破断荷重などの基準が設けられており、例えば基本使用荷重レベルが等級IIIで50mm幅のベルトスリングの場合には、JIS B 8818によってその基本使用荷重は1.6t、破断荷重は100kN(約10t)以上(基本使用荷重の6.25倍)となっている。
【0006】
そして、点検規準に従って目視などで点検を行い、磨耗や損傷がある場合にはこれを破棄して新しいものと交換する必要がある。
【0007】
平織で構成したベルトスリングにコード糸を設け、ベルトスリングが幅方向や厚み方向に磨耗や損傷したときにこれが露出することによって使用限界の目安となるようにしたものがある。
【0008】
このようなベルトスリングの場合、コード糸部分まで傷をつけて破断試験を実施した際に、破断荷重の80%以上でベルトスリングが破断するようにコード糸を入れている。
【0009】
図10は従来の、全体を平織で構成したベルトスリングの説明図であり、平織列に使用限界の目安となるコード糸を入れたものである。(a)はベルトスリングの外観を示す模式図、(b)はたて糸、横糸及びコード糸の様子を示す説明図、(c)は長さ方向に沿った断面図、(d)は幅方向に沿った断面図(厚み部分)を示している。また、図11はあや織を中心に構成したベルトスリングの説明図であり、(a)はたて糸と横糸の様子を示す説明図、(b)はあや織組織や平織組織に沿った長さ方向の断面図、(c)は幅方向に沿った断面図(厚み部分)を示している。
【0010】
図10及び図11において、20はベルトスリング、20aはベルトスリング20の表面側部分、20bはベルトスリング20の裏面側部分、20c、20dはベルトスリング20の幅方向の端部分、21は平織列、22はあや織領域、22aはあや織列、31はたて糸、32は横糸、32aは横糸32の上側部分、32bは横糸32の下側部分、33は使用限界の目安となるコード糸、34はとじ糸、をそれぞれ示している。
【0011】
図10に示すように、ベルトスリング20は、幅50mm、56列の平織列21で構成されている。2本のたて糸31はそれぞれ横糸の上側部分32aと横糸の下側部分32bとのいずれか一方と交錯し、両方の横糸部分に跨がって交錯することはないのでこれらは一体化していない。
【0012】
そして、横糸32の上側部分32aに交錯するたて糸31と下側部分32bに交錯するたて糸31との間にコード糸33を挟んだ状態でとじ糸34を横糸の上側部分32aと下側部分32bに交互に交錯してこれらを一体化している。このとき、たて糸31には1500デニールの太さの糸を3本撚糸して使用しているのに対して、とじ糸34には1500デニールの太さの糸を1本のみ用いて目立たないようにしている。
【0013】
また、コード糸33は、前述のようにこの部分まで傷をつけて破断試験を行なった際に破断荷重の80%以上で破断する位置に設けている。このとき80%以上で破断しなかった場合には、平織列21に挟むコード糸33を太くするか、これの本数を多くして破断荷重を調整し、コード糸33が見えるまでは安心して使用できるようにしている。
【0014】
横糸32はベルトスリング20を通して1本であり(図10(d)参照)、ベルトスリング20の端部分20c、20dで表面側部分20aと裏面側部分20bを交互に連続して折り返すことによって厚み方向に上下2層になっている。
【0015】
図10(a)のように、ベルトスリング20が磨耗や損傷していない状態ではコード糸33は平織列21の間に挟まれているので外からは見えない。ベルトスリング20が幅方向や厚み方向に磨耗や損傷してコード糸33が露出したら、使用限界とする。
【0016】
一方、図11のベルトスリング20は、幅50mm、44列の織り組織からなり、その中心部分は40列の2/5あや織列22aで構成されている。横糸32は前述のように、ベルトスリング20を通して1本であり、厚み方向に上下2層になっている。たて糸31は、横糸32の上側部分32aを2本を跨ぎ、このとき横糸32の下側部分32bを5本越えるように交錯して、たて糸31及びこれに対応する横糸それぞれ7本ずつで完全組織となっている。
【0017】
たて糸31は横糸の上側部分32aと下側部分32bの間を斜めに横切るようなかたちで交錯し、ベルトスリング20はたて糸31と横糸32のみで一体化しており、このあや織領域22の中に使用限界の目安となるコード糸33を入れたものはなかった。なお、中心部分があや織で構成されたベルトスリング20の両端部分20c、20dは、外観を考慮して平織になっている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
このように、あや織で作成したベルトスリングには上下方向の使用限界の目安となるコード糸が入っていないので、当該ベルトスリングを使用する場合にそれが厚み方向や幅方向にどの程度磨耗しているのかの判断、すなわち使用限界の判断が難しいといった問題点を有している。
【0019】
したがって、使い勝手の良いあや織のベルトスリングに代えて、使用限界の目安となるコード糸が入った平織のベルトスリングをやむを得ず使用しているといった問題点を有している。
【0020】
また、前述のように破断荷重を調整する際に、コード糸を太くするか、これの本数を多くしているが、平織のコード糸は横糸の上側部分に交錯するたて糸と横糸の下側部分に交錯するたて糸の間に挟まれた状態なので、コード糸を太くしたり本数を増やすと結果的にベルトスリングの厚みが増し、扱いにくいといった問題点を有している。
【0021】
さらに、このときベルトスリングの厚みを変えたくなければ、たて糸自体を細くするか、撚糸本数を減らしたりする必要があり、その調整が難しいといった問題点を有している。
【0022】
そこで、本発明では、あや織領域の上側の横糸と下側の横糸との間にコード糸を入れて、ベルトスリング自体の厚みを変えることなく、これが幅方向や厚み方向に磨耗や損傷した際の使用限界の目安となるようにすることを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの課題を次のようにして解決する。
(1)たて糸がそれぞれ上下の横糸の双方と交錯するあや織領域からなり、かつ磨耗や損傷による使用限界の目安となるコード糸を設けたベルトスリングにおいて、前記コード糸を、前記あや織領域の上下の横糸にはさまれた空間部分に、当該横糸のいずれとも交錯しない態様でたて方向に通し、前記コード糸が通っている空間域の表面部分でもそれぞれ、前記あや織り領域の構成要素である前記たて糸のみが前記上下の横糸と交錯し、かつ当該たて糸同士が隣り合っている態様のものとする。
(2)コード糸を、たて糸と横糸とのあや織列自体に設ける。
(3)コード糸を、たて糸と横糸とのあや織列以外の部分に設ける。
【0024】
本発明によれば、上記(1)、(2)、(3)のように、たて糸と横糸との織物からなるベルトスリングの、あや織領域の上側の横糸と下側の横糸の間にコード糸を設けたので、ベルトスリングが磨耗や損傷したときにはコード糸が露出して見えるようになり、あや織したベルトスリングの使用限界の目安となる。
【0025】
あや織の場合、上側の横糸と下側の横糸の間にはそこを通っているたて糸に対応した上下方向の空間部分が必然的に形成されるので、ここにコード糸を入れてもベルトスリング自体の厚みが増すことはほとんどない。すなわち、あや織領域からなるベルトスリング全体の厚みは、たて糸と横糸それぞれの太さ、及び何本のたて糸と横糸とであや織組織を形成するかによって決まる。例えば2/5斜文のあや織領域の厚みは、それの構成要素であるたて糸7本および横糸2本それぞれの太さにより略一意的にきまる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1乃至図9を参照して説明する。
図1は本発明の概念を示した図であり、(a)はベルトスリングの外観の模式図、(b)はたて糸、横糸、及びコード糸の様子を示す説明図、(c)はベルトスリングの、平織列、あや織列、コード糸組織に沿った長さ方向の断面図、(d)はベルトスリングの幅方向に沿った断面図(厚み部分)である。図2は、あや織列とその隣のあや織列の間にコード糸を入れたベルトスリングのたて糸、横糸、及びコード糸の様子を示す説明図であり、(a)は平織列、あや織列、コード糸組織それぞれの長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。図3及び図4は、あや織列とその隣のあや織列の間にコード糸を入れたベルトスリングを示す説明図であり、(a)は長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。図5はあや織列とその隣のあや織列の間や平織列自体に使用限界の目安となるコード糸を入れたベルトスリングを示す説明図であり、(a)は平織列、あや織列、コード糸組織それぞれの長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。図6はあや織列自体にコード糸を入れたベルトスリングを示す説明図であり、(a)は平織列、あや織列、コード糸組織それぞれの長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。図7はあや織列とその隣のあや織列の間や、あや織列自体にコード糸を入れたベルトスリングを示す説明図であり、(a)は平織列、あや織列、コード糸組織それぞれの長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。図8は2本のコード糸をあや織列とその隣のあや織列の間に入れたベルトスリングを示す説明図であり、(a)は平織列、あや織列、コード糸組織それぞれの長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。また、図9は、本発明のベルトスリングを製織するときのたて糸、横糸及びコード糸の様子を示す模式図である。
【0027】
これらの図において、10はベルトスリング(織物)、10aはベルトスリング10の表面側部分、10bはベルトスリング10の裏面側部分、10c及び10dはベルトスリング10の幅方向の端部分、11はあや織領域、Aは平織列、Bはあや織列、Cはコード糸組織をそれぞれ示している。また、12はコード糸、13はたて糸(#1〜#7は2/5斜文のあや織列Bを構成する7本のたて糸、#8〜#11は平織列Aを構成する4本のたて糸)、14は横糸、14aは横糸の上側部分(上側の横糸)、14bは横糸の下側部分(下側の横糸)、14cは横糸の上側部分と下側部分との間に形成される空間部分、15は平織列Aやあや織列Bを構成するのたて糸13及びコード糸12を通した#1’〜#12’からなるヘルド、16はおさをそれぞれ示している。
【0028】
なお、ベルトスリング10の破断荷重をJIS規格より上げて約13t(基本使用荷重の約8倍)とするために、例えば50mmのベルトスリング10の場合、たて糸13には、1500デニールの太さの糸を3本撚糸して4500デニールの太さにした糸を約300本前後使用する。また横糸14は、太さ1000デニールの糸を2本撚糸したものを用いる。
【0029】
図1に示すように、ベルトスリング10のあや織領域11は、両端の平織列Aを除く部分であり、両端部分10c、10dから2列目のあや織列Bと3列目のあや織列Bの間にコード糸組織Cを形成している。
【0030】
ベルトスリング10の厚みは、もっぱらあや織のたて糸13や横糸14の本数およびこれらの糸の太さによって決定され、横糸14の上側部分14aと下側部分14bの間にはたて糸13の交錯による空間部分14cが形成される。コード糸12は、この空間部分14cに横糸14の上側部分14aと下側部分14bに挟まれるようなかたちに入れているので、これによってたて糸13が外側方向に押圧されることがなく、ベルトスリングの厚みがとくに増えることはない。またベルトスリング10が磨耗していないときには外側からこれが見えることはない(図1(a)参照)。
【0031】
ベルトスリング10が幅方向や厚み方向に磨耗や損傷するとコード糸12が露出するので、ベルトスリング10の使用限界の目安とする。
【0032】
なお、図1(d)に示すように、横糸14は、ベルトスリング10の長さ方向を通して1本であり、幅方向の端部分10c、10dでベルトスリング10の表面側部分10aと裏面側部分10bを交互に連続的して折り返すことによって厚み方向に上下2層となっている。
【0033】
図2に示すように、2/5斜文のあや織列Bは、#1〜#7からなるたて糸13と横糸14、それぞれ7本で完全組織となっている。例えば▲1▼の位置の横糸14の上側部分14a、下側部分14bとたて糸13との交錯の様子は、図2(b)の▲1▼のようになっている。また、たて糸13は長さ方向に隣合う横糸14、▲2▼〜▲7▼と順次交錯していき、その様子は図2(b)の▲2▼〜▲7▼のようになっている。
【0034】
すなわち、#1のたて糸13と横糸14との交錯は、
横糸14の上側部分14aと下側部分14bの間(▲1▼参照)−横糸14の下側部分14bの下側(▲2▼)−横糸14の下側部分14bの下側(▲3▼)−横糸14の下側部分14bと上側部分14aの間(▲4▼)−横糸14の下側部分14bと上側部分14aの間(▲5▼)−横糸14の上側部分の14aの上側(▲6▼)−横糸14の上側部分14aの上側(▲7▼)
を一巡として、これを繰り返している。
【0035】
また、たて糸#2〜#7は、たて糸#1の交錯順序が長さ方向にひとつづつずれたかたちで横糸14の上側部分14aや下側部分14bと交錯し、すなわち#2のたて糸は▲7▼の位置から、#3のたて糸は▲6▼の位置から、#4のたて糸は▲5▼の位置から、#5のたて糸は▲4▼の位置から、#6のたて糸は▲3▼の位置から、#7のたて糸は▲2▼の位置からそれぞれ#1のたて糸と同じ順序で横糸14の下側部分14bと交錯してあや織列Bを形成している。
【0036】
そして、コード糸12を、あや織列Bとあや織列Bの間の、横糸14の上側部分14aと下側部分14bの空間部分14cに、これらに挟まれるようなかたちに入れている。
【0037】
図3は、図2に対応したベルトスリング10であり、幅約50mm、織り組織40列(平織列A4列、2/5斜文のあや織列B40列)で構成され、たて糸13の数は合計296本である。両端部分10c、10dの2列が平織列Aで構成され、これ以外があや織領域11である。
【0038】
このベルトスリング10では、両端部分10c、10dから、
・4列目のあや織列Bと5列目のあや織列Bの間、
・5列目のあや織列Bと6列目あや織列Bの間、
の、横糸14の上側部分14aと下側部分14bの間に、これらに挟まれるようなかたちに合計4本のコード糸12を入れている。
【0039】
また、図4は、幅約50mm、織り組織40列(平織列A4列、2/5斜文のあや織列B36列)で構成したベルトスリングであり、たて糸13の数は合計268本である。両端部分10c、10dの2列が平織列Aで構成され、これ以外があや織領域11である。両端部分の平織列A、2列及びあや織列B、2列を除く全てのあや織列Bの列の間にコード糸12を合計31本入れている。
【0040】
図5は、幅約50mm、織り組織45列(平織列A8列、2/5斜文のあや織列B37列)で構成したベルトスリング10であり、たて糸13の数は合計291本である。端部分10cから3列目と4列目及び7列目〜39列目、42列目と43列目があや織領域11であり、コード糸12をベルトスリング10の両端部分10c、10dから
・5列目の平織列A自体と6列目の平織列A自体、
・6列目の平織列Aと7列目のあや織列Bの間、
・7列目のあや織列Bと8列目のあや織列Bの間、22列目のあや織列Bと23列目の間、
に合計10本入れている。
【0041】
図6は、幅約50mm、織り組織45列(平織列A8列、2/5斜文のあや織列B37列)で構成したベルトスリング10であり、たて糸13の数は合計291本である。あや織領域11は、端部分10cから3列目と4列目及び7列目〜38列目、42列目と43列目であり、両端部分10c、10dから
・5列目の平織列A自体と6列目の平織列A自体、
・7列目のあや織列B自体、8列目あや織列B自体及び22列目のあや織列B自体、
に合計10本のコード糸12を入れたものである。
【0042】
図7は、幅約50mm、織り組織44列(平織列A4列、2/5斜文のあや織列B40列)で構成したのベルトスリング10であり、たて糸13の数は合計296本である。あや織領域11は両端の平織列A2列を除く部分であり、コード糸12は、ベルトスリング10の両端部分10c、10dから、
・3列目のあや織列Bと4列目のあや織Bの間、
・5列目と6列目のあや織列自体、
に合計6本入れている。
【0043】
図8は、幅約50mm、織り組織44列(平織列A4列、あや織列B40列)で構成したベルトスリング10であり、たて糸13の数は合計296本である。あや織領域11は両端の平織列A2列を除く部分であり、コード糸12はたて糸13よりも細く、例えば、1500デニールの糸を2本合わせた3000デニールの糸を一本とし、ベルトスリング10の両端部分10c、10dから、
・4列目のあや織列Bと5列目のあや織Bの間に2本、
・5列目のあや織列Bと6列目のあや織列Bの間に2本、
に合計8本入れている。
【0044】
図9に示すように、コード糸12を入れたベルトスリング10を製織する際には、先ず2/5斜文のあや織列Bを構成する#1〜#7のたて糸13、平織列Aを構成する#8〜#11のたて糸13を製織態様に応じた所望の位置関係で張り、また、コード糸12をあや織列Bとその隣のあや織列Bとの間や単一の平織列A自体のたて糸#9〜#10の間に張っている。このとき、#1〜#11のたて糸13およびコード糸12をそれぞれと1対1対応の#1’〜#12’のヘルド15に通している。
【0045】
次に、横糸14をたて糸13と直角方向に移動させるためのシャットル(図示省略)に対する各ヘルドの上下位置を個々に設定してから、シャットルを当該直角方向に順次一往復させる。
【0046】
そして、例えばこのシャットルの往動作で横糸14の下側部分14bを形成し、また復動作で横糸14の上側部分14aを形成するものと設定しておくことにより、#1’〜#11’のヘルドと1対1対応で通っている#1〜#11の各グループのたて糸ごとに横糸14(14a、14b)との上下方向の位置関係が特定される。
【0047】
なお、コード糸12は、あや織列Bに隣接する位置、あや織列B自体、平織列A自体のどこに設けても常に横糸14の上側部分14aと下側部分14bの間を通るように、シャットルを往動作するときには#12’のヘルド15を上げ、また、復動作するときにはこれを下げるようする。
【0048】
このようにして、所定のヘルド15を上げて対応するたて糸13やコード糸12の下側に横糸14を通し、これをその都度おさ16で織り前に打ち寄せるようにすると、平織列A、2/5斜文のあや織列B、コード糸組織Cをそれぞれ独立したかたちで同時に製織することができる。
【0049】
図9を参照して製織の手順を説明する。
(1)図の右側から平織用のたて糸#8〜#11、あや織用のたて糸#1〜#7を2列、平織用のたて糸#8、#9、コード糸12、平織用のたて糸#10、#11、コード糸12、あや織用のたて糸#1〜#7・・・という順序になるようにたて糸13を張り、それぞれのたて糸と1対1対応のヘルド#1‘〜#12’に通す。
(2)#3’〜#10’及び#12’のヘルド15を上げてシャットルで横糸14を図の右側から左側に通す。
(3)おさ16で横糸14を織り前に打ち寄せる。
(4)#5’、#6’、#8’のヘルド15を上げたままにしてシャットルで横糸14を図の左側から右側に通す。
(5)おさ16で横糸14を織り前に打ち寄せる。
(6)以下、所定の態様でヘルド15を上げて、シャットルを往復させて横糸14を通し、二段目以降の2/5斜文のあや織列B、平織列A、コード糸組織Cを製織する。
【0050】
この手順により、一段目では、あや織用たて糸#1、#2及び平織用のたて糸#11が横糸の下側部分14bの下方側に位置する。また、あや織用たて糸#5、#6及び平織用のたて糸#8が横糸の上側部分14aの上方側に位置するように製織され、この状態は図2(b)の▲2▼で示される。
【0051】
また、二段目では、あや織用たて糸#2、#3、平織用のたて糸#10が横糸の下側部分14bの下側となり、あや織用たて糸#6、#7、平織用たて糸#9が横糸の上側部分14aの上側となる(図2(b)▲1▼参照)。
【0052】
そして、三段目は図2(b)▲7▼、四段目は▲6▼、5段目は▲5▼、六段目は▲4▼、七段目は▲3▼というようにたて糸13と横糸14は製織される。
【0053】
また、2/5あや織列B自体にコード糸12を入れたベルトスリング10(図6参照)の場合は、例えば、#3と#4のあや織用のたて糸13の間にコード糸12を入れ、図7と同様にたて糸13やコード糸12をそれぞれヘルド15に通した状態で張り、所定のヘルド15を上述の順序で上げていくと製織することができる。
【0054】
このとき前述のように、シャットルを往動作するときには#12’のヘルド15を上げ、シャットルを復動作するときにはこれを下げて、あや織列B自体のコード糸12が常にこれが横糸14の上側部分14aと下側部分14bの間を通るようにする。
【0055】
なお、あや織領域11に入れるコード糸12は、
・あや織列Bとその隣のあや織列Bとの間
・あや織列Bとその隣の平織列Aとの間
・あや織列自体B
のどこに入れてもよく、またベルトスリング10はこれらを任意に組み合わせたもので構成してもよい。
【0056】
さらに、コード糸12は、たて糸13よりも太いものでも良く、また図8に示すように同一箇所に複数のコード糸12を入れるようにしてもよい。
【0057】
ベルトスリング10に使用する合成繊維はポリアミド系、ポリエステル系、ポリプロピレン系あるいは他のマルチフィラメント系、またはこれらを組み合わせたものである。
【0058】
また、ベルトスリング10のあや織列は2/5斜文に限られるものではなく、1/2あや織や2/4あや織など様々な種類のあや織や、2/4あや織と1/5あや織を組み合わせたかたちのあや織列にしてもよい。
【0059】
【発明の効果】
本発明のベルトスリングは、あや織領域のあや織列自体やそれ以外の部分の、上側の横糸と下側の横糸の間にコード糸を設けたので、ベルトスリングが磨耗や損傷したときにはコード糸が露出するようになり、使用限界の目安とすることができる。
【0060】
また、あや織領域の上側の横糸と下側の横糸の間には上述のように自ずと空間部分が形成されるので、ここにコード糸を入れてもベルトスリングの厚みが増すことはない。すなわち、あや織列Bの厚みはもっぱらそれを構成するたて糸と横糸の本数及びそれらの太さによって決まり、ベルトスリング自体の厚みを増すことなしにコード糸を入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、概念図である。(a)はベルトスリングの外観の模式図、(b)はたて糸、横糸、及びコード糸の様子を示す説明図、(c)はベルトスリングの、平織列、あや織列、コード糸組織に沿った長さ方向の断面図、(d)はベルトスリングの幅方向に沿った断面図(厚み部分)である。
【図2】本発明の、あや織列に隣接する部分にコード糸を入れたベルトスリングのたて糸、横糸、及びコード糸の様子を示す説明図である。(a)は平織列、あや織列、コード糸組織それぞれの長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。
【図3】本発明の、あや織列に隣接する部分にコード糸を入れたベルトスリングである。(a)は長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。
【図4】本発明の、あや織列に隣接する部分にコード糸を入れたベルトスリングである。(a)は長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。
【図5】本発明の、あや織列に隣接する部分や平織列自体に使用限界の目安となるコード糸を入れたベルトスリングを示す説明図である。(a)は平織列、あや織列、コード糸組織それぞれの長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。
【図6】本発明の、あや織列自体にコード糸を入れたベルトスリングを示す説明図である。(a)は平織列、あや織列、コード糸組織それぞれの長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。
【図7】本発明の、あや織列に隣接する部分や、あや織列自体にコード糸を入れたベルトスリングを示す説明図である。(a)は平織列、あや織列、コード糸組織それぞれの長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。
【図8】本発明の、あや織列に隣接する部分に2本のコード糸を入れたベルトスリングを示す説明図である。(a)は平織列、あや織列、コード糸組織それぞれの長さ方向に沿った断面図、(b)は幅方向に沿った断面図である。
【図9】本発明の、ベルトスリングを製織するときのたて糸、横糸及びコード糸の様子を示す説明図である。
【図10】従来の、全体を平織で構成したベルトスリングの、平織列に使用限界の目安となるコード糸を入れたものである。(a)はベルトスリングの外観を示す模式図、(b)はたて糸、横糸及びコード糸の様子を示す説明図、(c)は長さ方向に沿った断面図、(d)は幅方向に沿った断面図(厚み部分)である。
【図11】従来の、あや織を中心に構成したベルトスリングの説明図である。(a)はたて糸と横糸の様子を示す説明図、(b)はあや織組織や平織組織に沿った長さ方向の断面図、(c)は幅方向に沿った断面図(厚み部分)である。
【符号の説明】
10:ベルトスリング(織物)
10a:表面側部分
10b:裏面側部分
10c:端部分
10d:端部分
11:あや織領域
12:コード糸
13:たて糸(#1〜#7はあや織列Bのたて糸、#8〜#11は平織列Aのたて糸)
14:横糸
14a:上側部分(上側の横糸)
14b:下側部分(下側の横糸)
14c:空間部分
15:ヘルド(#1’〜#11’はたて糸#1〜#11に1対1対応のヘルド)
16:おさ
20:ベルトスリング
20a:表面側部分
20b:裏面側部分
20c:幅方向の端部分
20d:幅方向の端部分
21:平織列
22:あや織領域
22a:あや織列
31:たて糸
32:横糸
32a:上側部分
32b:下側部分
33:コード糸
34:とじ糸
A:平織列
B:あや織列
C:コード糸組織
Claims (3)
- たて糸がそれぞれ上下の横糸の双方と交錯するあや織領域からなり、かつ磨耗や損傷による使用限界の目安となるコード糸を設けたベルトスリングにおいて、
前記コード糸を、前記あや織領域の上下の横糸にはさまれた空間部分に、当該横糸のいずれとも交錯しない態様でたて方向に通し、
前記コード糸が通っている空間域の表面部分でもそれぞれ、前記あや織り領域の構成要素である前記たて糸のみが前記上下の横糸と交錯し、かつ当該たて糸同士が隣り合っている、
ことを特徴とするベルトスリング。 - 前記コード糸を、前記たて糸と前記横糸とのあや織列自体に設けた、
ことを特徴とする請求項1記載のベルトスリング。 - 前記コード糸を、前記たて糸と前記横糸とのあや織列以外の部分に設けた、
ことを特徴とする請求項1または2記載のベルトスリング。
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-
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