JP3668077B2 - ヒータ一体型酸素センサ素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関等における空気と燃料の比率を検出するための酸素センサ素子に関するものであって、特にヒータが一体的に形成されており、検出までの作動時間が早く、且つ耐熱衝撃性に優れた信頼性の高いヒータ一体型酸素センサ素子に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車においては自動車内燃機関の排出系に酸素センサ素子装着され、その検出値に基づいて内燃機関に供給する空気量および燃料の供給量を制御することにより、内燃機関からの有害物質、例えばCO、HC、NOxを低減させる方法が行われている。
【0003】
その一般的な方法として、例えば理論空燃比センサ素子は酸素イオン導電性を有するジルコニアを主成分とするコップ形状の固体電解質の両側に白金電極を有し、さらに外側電極には電極保護用のセラミックの被覆層が設けられている。また、検出素子の内側には、素子センシング部を約700℃の作動温度まで加熱するためヒーターが挿入されており、所定温度で電解質両側に発生する酸素濃度差を検出し、エンジン吸気系の空燃比の制御が行われている。
【0004】
一方、広域空燃比センサ素子は、外側の電極表面に微細な細孔を有するセラミック被覆を設けたことが特徴で、固体電解質に印加電圧を加え、その際得られる限界電流値を利用して希薄燃焼領域の空燃比を制御している。この広域空燃比センサ素子においても、同様に素子を加熱するためのヒーターが電解質の内部に挿入されており電解質は700℃付近まで加熱される。
【0005】
しかしながら、近年排気ガス規制の強化傾向が強まり、エンジン始動直後からのCO、HC、NOxの検出が必要になってきた。このような要求に対して、間接加熱方式のコップ状の酸素センサ出素子では素子の活性化までに時間を要するためこの問題に対応できないという問題が発生している。
【0006】
その問題を回避する方法として、特公昭59−26895号に記載されているようにヒーターを一体化した平板状の酸素センサ素子が開発された。この素子は、従来のヒーターを勘合したコップ状の酸素センサ素子に比較して直接加熱方式のため素子の活性化時間が早いという特徴を有するが、反面平板形状に起因して熱衝撃に弱いという欠点を有する。
【0007】
それに対して、特開平01−170846号に記載されるようにヒータを一体化した円筒状の酸素センサ素子が提案されている。この素子は、図7に示すように、白金ヒータ31を埋設した多孔性のアルミナセラミックスからなる円筒状支持体32の外周面に、基準電極33、ジルコニア固体電解質34、測定電極35が順次形成され、さらにその測定電極35の表面にはセラミックからなる電極保護層36が形成された構造を有する。このようなヒータが一体化された円筒状の酸素センサ素子は、平板状のセンサ素子と同様に活性化時間が早いため、上述の排気ガス規制に対応するセンサ素子として大いに期待されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のヒータが一体化された円筒状の酸素センサ素子においては、円筒状支持体およびヒータを埋設する絶縁体セラミック層として用いられているアルミナセラミックスが電解質であるジルコニアおよび基準電極や測定電極およびヒータに用いられている白金と熱膨張係数が異なるために酸素センサ素子内部に熱応力が発生し易く、円筒形状が有する本来の優れた耐熱衝撃性が得られないという問題があった。
【0009】
また、同01―170846号においては、白金ヒータ31を埋設した円筒状のアルミナセラミックス32の表面に基準電極33、電解質層34および測定電極35をスパッタ法により順次形成して素子を作製することが提案されている。しかしながら、スパッタ法による製造方法はコストの高い手法であることに加えて、スパッタ法により多孔性の基板(白金電極)表面に電解質層を形成すると、基板の影響を受けて電解質層中にピンホールが生成しやすく、素子の製造歩留まりが悪かった。その結果、素子製造コストが高くなり実用化が困難となるなどの問題があった。
【0010】
従って、本発明は、ヒータを一体化して活性化時間が短く、且つヒータ一体化に伴う内部応力の発生を抑制し、耐熱衝撃性に優れたヒータ一体型酸素センサ素子と、容易にかつ低コストに作製することのできるヒータ一体型酸素センサ素子の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述のヒータが一体化された円筒状の酸素センサ素子に関する問題について検討を重ねた結果、多孔性のジルコニアからなる円筒状支持体表面に、厚みの薄い多孔性のセラミック絶縁体層を介して、ジルコニア固体電解質層両面に一対の電極を有する酸素センサ層を形成し、白金ヒータを前記円筒状支持体内部、支持体表面あるいはセラミック絶縁体層内部に形成することにより、酸素センサ素子内部に生じる熱応力を緩和し優れた耐熱衝撃性を有する酸素センサ素子を提供できることを見出し本発明に至った。
【0012】
即ち、本発明のヒータ一体型酸素センサ素子は、一端が封止されたジルコニアからなる多孔性の円筒状支持体の表面に、厚さ1〜100μmの多孔性のセラミック絶縁体層を介して、ジルコニア固体電解質層の内側に基準電極が、外側に測定電極が設けられてなる酸素センサ層を設けてなるとともに、前記円筒状支持体の内部、前記円筒状支持体と前記セラミック絶縁体層との間、および前記セラミック絶縁体層内部のうちいずれかの位置にヒータ層を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のヒータ一体型酸素センサ素子の製造方法として、少なくともジルコニア粉末を用いて一端が封止された円筒状成形体を作製する工程と、下記(a)(b)(c)
(a)ジルコニアシート状成形体の表面に、基準電極パターン、セラミック絶縁体層、ジルコニア層、ヒータパターンを順次被着形成したシート状積層体
(b)ジルコニアシート状成形体の表面に、基準電極パターン、セラミック絶縁体層、ヒータパターンを順次被着形成したシート状積層体
(c)ジルコニアシート状成形体の表面に、基準電極パターン、セラミック絶縁体層、ヒータパターンおよびセラミック絶縁体層を順次被着形成したシート状積層体、のいずれか1つのシート状積層体を作製する工程と、前記円筒状成形体の表面に、前記シート状積層体を巻き付けて円筒状積層体を作製する工程と、前記円筒状積層体を一括して焼成する工程と、を具備することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の酸素センサ素子によれば、ジルコニアからなる多孔性の円筒状支持体表面に厚みの薄い多孔性のセラミック絶縁体層を介して、ジルコニア固体電解質層の内側に基準電極、外側に測定電極を設けた酸素センサ層を設けているため、従来のアルミナからなる円筒状支持体および絶縁体層を用いたセンサ素子構造に比較して、セラミック絶縁体層の厚みが薄いためにジルコニアと絶縁体層間の熱膨張係数の差に起因する熱応力が緩和され急速昇温に対して極めて安定した耐熱衝撃性を有する。
【0015】
また、本発明の酸素センサ素子の製造方法では、ジルコニア粉末を用いて支持体となる円筒状成形体を作製し、この円筒状成形体の表面に、ヒータおよび酸素センサを有するシート状積層体を巻き付けた後に、この円筒状の積層物を一括して焼成することから、素子の構成材料がそれぞれ強固に接合され、従来の素子に比較して耐熱性、耐衝撃性に優れており、その結果信頼性が極めて高い酸素センサ素子であると言える。しかも、支持体、ヒータおよび酸素センサを一括して同時焼成して作製するために製造コストが極めて安価になり、経済性の観点からも優れている。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のヒータ一体型酸素センサ素子は、厚さ1〜100μmの多孔性のセラミック絶縁体層を介して、ジルコニア固体電解質層の内側に基準電極が、外側に測定電極が設けられてなる酸素センサ層を設けてなるとともに、前記円筒状支持体の内部、前記円筒状支持体と前記セラミック絶縁体層との間、および前記セラミック絶縁体層内部のうちいずれかの位置にヒータ層を設けたことが大きな特徴で、その具体的な構造例として図1、図2および図3に示したように大きく3種の基本構造に大別される。
【0017】
以下に、この図1乃至図3について個々に説明する。なお、説明では、円筒状支持体、ヒータ層、セラミック絶縁体層、ジルコニア固体電解質、基準電極、測定電極は、いずれも同じ符号で説明する。
【0018】
図1に示す酸素センサ素子Aでは、ジルコニアからなる円筒状支持体1の外側表面に白金からなるヒータ層2が埋設されている。また、このヒータ層2が形成された円筒状支持体1の表面には、セラミック絶縁体層3を介して、ジルコニア固体電解質層4の内側に基準電極5が、外側に測定電極6が設けられてなる酸素センサ層7が形成されている。なお、かかる構造においては、ヒータ層2は、円筒状支持体母材の表面にヒータ層2を埋設したジルコニア層を被覆した構造であってもよい。
【0019】
また、図2に示す酸素センサ素子構造では、ジルコニアからなる円筒状支持体1の外側表面に、セラミック絶縁体層3が形成され、その絶縁体層3中にヒータ層2が埋設された構造を有する。そして、図1と同様にジルコニア固体電解質層4の内側に基準電極5が、外側に測定電極6が設けられてなる酸素センサ層7が形成されている。
【0020】
さらに、図3に示す酸素センサ素子構造では、ジルコニアからなる円筒状支持体1の外側表面に、セラミック絶縁体層3が形成され、その円筒状支持体1と絶縁体層3との間にヒータ層2が埋設された構造を有する。そして、図1と同様にジルコニア固体電解質層4の内側に基準電極5が、外側に測定電極6が設けられてなる酸素センサ層7が形成されている。
【0021】
上記の3種の構造では、ジルコニア円筒状支持体1およびセラミック絶縁体層3はいずれも多孔質体からなるもので、且つ絶縁体層3の厚みとしては1〜100μmを満足することが必要であり、多孔質体の気孔率は8〜35%であることが望ましい。
【0022】
これは、円筒状支持体1内部に導入される空気などの基準ガスが酸素センサ層7の基準電極5と接触させるために必要であり、また、絶縁体層の厚みが1μmより薄いとヒータ層2からの漏れ電流の影響により固体電解質4が所定の出力電圧を示さなくなり、絶縁体層の厚みが100μmを越えると、熱応力の発生により酸素センサ素子の耐熱衝撃性が低下するためである。特に絶縁体層3の厚みとしては特に10〜20μmの範囲が優れる。
【0023】
本発明においては、これら3種の基本構造を有する酸素センサ素子とも共通して以下の材料が用いられる。固体電解質4としては、ジルコニアに対してY2O3およびYb2O3、Sc2O3、Sm2O3、Nd2O3、Dy2O3等の希土類酸化物を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは材料強度とイオン伝導性の観点から3〜15モル%含有する部分安定化ZrO2あるいは安定化ZrO2が用いられる。さらにはZrO2中のZrを1〜20原子%のCeで置換したZrO2も好適に用いることができる。
【0024】
セラミック絶縁体層3の材料としては、アルミナ、スピネル、フォルステライト、ジルコニア化合物(例えばZr3Y4O12)が好適に用いられる。これらの材料の中で特に、スピネル、フォルステライトが好ましい。また、絶縁体層3の厚みとしては1〜100μmが好ましい。
【0025】
また、円筒状支持体1としては、Y2O3およびYb2O3、Sc2O3、Sm2O3、Nd2O3、Dy2O3等の希土類酸化物を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは材料強度の観点から3〜15モル%含有する部分安定化ZrO2あるいは安定化ZrO2が用いられる。ZrO2中のZrを1〜20原子%のCeで置換したZrO2も好適に用いることができるが、固体電解質4と同じ組成のものが熱膨張の観点から好ましい。
【0026】
固体電解質4の両面に対向するように設けられる基準電極5および測定電極6には、白金、ロジウム、ルテニウムのうちの1種あるいはそれらの混合物も好適に用いることができる。この際、作動時の白金等の金属の粒成長を防止する意味と各電極5、6とセラミック絶縁体層3との接合強度を増加させる目的で、固体電解質4と同じ組成のセラミック成分をヒータ層2内に混合することが望ましい。この場合、ヒータ層2における金属成分とセラミック成分の混合比率は、金属成分が60〜95重量%、セラミック成分が5〜40重量%、好ましくは金属成分が70〜90重量%、セラミック成分が10〜30重量%の範囲が優れる。
【0027】
本発明の酸素センサ素子は、ジルコニア円筒状支持体1およびセラミック絶縁体層3の開気孔率を制御することにより理論空燃比センサ素子(λセンサ)として、あるいは広域空燃比センサ素子(A/Fセンサ)が作製される。理論空燃比センサ素子として用いる場合には、ジルコニア円筒状支持体1およびセラミック絶縁体層の開気孔率は17〜35%の範囲が、広域空燃比センサ素子としては、8〜15%の範囲がそれぞれ望ましいが、気孔径により若干開気孔率の適正範囲は変化する場合もある。
【0028】
理論空燃比センサ素子および広域空燃比センサ素子とも,測定電極6表面には、電極の被毒を防止する目的でスピネル、ジルコニア、マグネシア、アルミナ等からなる多孔性の電極保護層8を50〜300μmの厚みで設けることが好ましい。この場合、特に熱膨張係数の観点から電極保護層の材質としてはスピネル、ジルコニアが優れる。
【0029】
また、本発明ではジルコニア円筒状支持体1およびセラミック絶縁体層3の開気孔率が17〜35%の範囲の理論空燃比センサ素子を基本構造とし、測定電極6表面にプラズマ溶射法等によりスピネル、ジルコニア、マグネシア、アルミナの群から選ばれる少なくとも1種のガス拡散律速層(図示せず)を形成して広域空燃比センサ素子を作製することができる。この際、ガス拡散律速層表面には、上記の電極保護層8を設けることが望ましい。
【0030】
次に本発明の酸素センサ素子の製造方法について記述する。まず、ジルコニア粉末を用いて、外径が1〜10mmの中空の円筒状成形体を作製する。この円筒状成形体は、例えば、押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス形成などの周知の方法により作製する。そして、この円筒状成形体の表面にヒータ層および酸素センサ層を具備するシート状積層体を巻き付け一体化する。
【0031】
このシート状積層体としては
(a)ジルコニアシート状成形体の表面に、基準電極パターン、セラミック絶縁体層、ジルコニア層、ヒータパターンを順次被着形成したシート状積層体
(b)ジルコニアシート状成形体の表面に、基準電極パターン、セラミック絶縁体層、ヒータパターンを順次被着形成したシート状積層体
(c)ジルコニアシート状成形体の表面に、基準電極パターン、セラミック絶縁体層、ヒータパターン、セラミック絶縁体層を順次被着形成したシート状積層体
のいずれか一方のシート状積層体を作製する。
【0032】
(a)〜(c)のシート状積層体の作製にあたっては、いずれもジルコニア粉末を用いてドクターブレード法や押出成形法あるいはプレス成形等の周知の方法によりグリーンシートを作製する。このグリーンシートは、酸素センサ層の固体電解質層4を形成するものである。その際、グリーンシートの厚みとしては50〜500μm、特に100〜300μmが好ましい。シートの厚みが50μmより薄いとシートの取り扱いが難しく、500μmを超えると下記の円筒状成形体表面への巻き付けが難しくなるためである。
【0033】
図1に示す構造の酸素センサ素子を形成するには、上記(a)に従い、上記ジルコニアグリーンシート表面に、基準電極として白金等の金属を含む導体ペーストによる基準電極パターン印刷塗布、セラミック絶縁体層としてスピネル等の粉末を含むスラリーを塗布、ジルコニア粉末のスラリーを塗布、ヒータ層として白金などの導体ペーストによるヒータパターン印刷塗布、を順次行い、シート状積層体を作製する。この時、基準電極、セラミック絶縁体層、スピネル、ジルコニア粉末等の印刷塗布は、スクリーン印刷法、パット印刷法、ロール転写法等を用いて所定の形状と厚みに印刷することができる。
【0034】
また、図2に示す構造の酸素センサ素子を形成するには、上記(c)に従い、上記ジルコニアグリーンシート表面に、基準電極として白金等の金属を含む導体ペーストによる基準電極パターン印刷塗布、セラミック絶縁体層としてスピネル等の粉末を含むスラリーを塗布、ヒータ層として白金などの導体ペーストによるヒータパターン印刷塗布、スピネル等の粉末を含むスラリー塗布、を順次行い、シート状積層体を作製する。
【0035】
さらに、図3に示す構造の酸素センサ素子を形成するには、上記(b)に従い、上記ジルコニアグリーンシート表面に、基準電極として白金等の金属を含む導体ペーストによる基準電極パターン印刷塗布、セラミック絶縁体層としてスピネル等の粉末を含むスラリーを塗布、ヒータ層として白金などの導体ペーストによるヒータパターン印刷塗布、を順次行い、シート状積層体を作製する。
【0036】
そして、上記のようにして作製したシート状積層体9を、図4に示すように、上記の円筒状成形体10表面にヒータ層形成側が円筒状支持体10となるように巻き付けて円筒状の積層物を作製する。この際、シート状積層体9の両端同士が整合するように互いの材料同士を接合するように貼り付けるか、あるいは端面が少し隙間が開くように巻き付け、ジルコニア粉末を隙間に挿入させて接合させてもよい。
【0037】
なお、円筒状支持体の一端を封止するために、焼成後に緻密質になるように調製された円筒状支持体と同じ組成のジルコニア粉末からなる蓋体を円筒状支持体の一端に接着または挿入する。さらに、気密性を保持する必要がある場合は、アルミナ、シリカを含有した焼結性の高いジルコニア粉末を同様に焼成前に蓋体との接合部に塗布してもよい。
【0038】
このようにして作製された円筒状積層物を、円筒状支持体、セラミック絶縁体層、電極層、およびヒータ層がいずれも焼結できる温度で同時に焼成する。具体的には、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気中、あるいは大気中で、1300〜1700℃で1〜10時間焼成することによりヒータを一体化した酸素センサ素子の基本構造を作製することができる。
【0039】
なお、酸素センサ層の測定電極は、上記焼成後の酸素センサ素子の表面にスパッタ法、メッキ法、ペースト塗布焼き付けなどの手法により形成することもできるが、前記シート状積層体に基準電極と同様にして電極パターンを印刷塗布した後に、前記同時焼成によって形成することも可能である。さらに、電極保護層、ガス拡散律速層は、前述した通り、上記焼成後の酸素センサ素子の表面に溶射法のみならず、スパッタ法、スラリー塗布焼き付けなどの手法で形成してもよいが、上記同時焼成条件で焼成可能な材質からなる場合には、円筒状の積層体の表面に塗布して同時焼成して形成することも可能である。
【0040】
なお、本発明の酸素センサ素子の製造方法では、ジルコニアシート表面に、電極、絶縁体層、ヒータ層を積層したシート状積層体を予め作製し、これを円筒状支持体表面に巻き付け同時焼成するため、そのシート状積層体の作製手順は上述の順序に限らず、素子の構造、大きさに応じて好適に粉末の塗布方法や積層方法を適宜変更することも可能である。
【0041】
【実施例】
実施例1
市販のスピネル(MgO・Al2O3)粉末と、5モル%Y2O3含有のジルコニア粉末と、白金粉末を準備した。まず、5モル%Y2O3含有のジルコニア粉末にPVA溶液を添加して杯土を作製し、押出成形により外径が6mm、内径が4mmの中空の円筒状成形体と、成形圧を高くして円筒状成形体より成形密度が約5%高い外径が4mmの円柱状の成形体を作製し、この円柱状成形体を円筒状成形体の一端の中空部分に挿入した。
【0042】
また、ジルコニア粉末にポリビニルアルコールを加えてスラリーを作製し、ドクターブレード法によって厚みが約300μmのジルコニアシートを作製した。このジルコニアシートに基準電極として白金粉末のペーストをスクリーン印刷によって印刷塗布した。さらに、その上に絶縁体層としてスピネル粉末のスラリーを塗布した。その後、このスピネルからなる絶縁体層の表面にジルコニア粉末のスラリーを塗布し、その表面に白金のペーストを用いてヒータパターンにスクリーン印刷塗布した。その後、このヒータパターンの上に再度ジルコニア粉末のスラリーを順次塗布、乾燥してシート状積層体を作製した。この時、スピネルからなる絶縁体層は表1に示すように焼成後約0.5〜165μmの厚みになるよう塗布した。
【0043】
この後、図4のようにシート状積層体を上記のジルコニアからなる円筒状成形体表面に、巻き付けて円筒状積層体を作製し、1500℃、大気中で2時間焼成し、酸素センサ素体を作製した。その後、表面のジルコニア固体電解質の外側表面にメッキ法にて白金からなる測定電極を形成した後、プラズマ溶射にてスピネルからなる200μmの多孔性の電極保護層を形成し、理論空燃比センサ素子を作製した。この時、スピネルからなるセラミック絶縁体層およびジルコニア円筒状支持体の開気孔率は、それぞれ約18%と20%であった。
【0044】
性能の比較のため、特開平1−170846号と同様のヒータを一体化した酸素センサ素子(試料No.2)も作製した。また、合わせて市販のヒータ素子が円筒状支持体内に挿入されたコップ形状の酸素センサ素子(試料No.1)も準備した。
【0045】
各酸素センサ素子のセンシング機能の評価のため、ジルコニア円筒状支持体の中空部分に空気を、外側の測定電極に、HC、CO、H2および空気からなる混合ガスを空気過剰率が0.95になるように供給し、700℃での素子の活性化時間を測定し、結果を表1に示した。この際、表中のセラミック絶縁体層の厚みは、走査型電子顕微鏡を用いて素子断面から平均値を求めた。
【0046】
クロスヘッド速度を0.5mm/分とし、3点曲げ試験により酸素センサ素子の破壊強度を測定した。この時、試料数はそれぞれ10個とし、その平均を表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】
表1の結果からあきらかなように、試料No.1の市販のコップ形状の酸素センサ素子では活性化時間が51秒を要したのに対して、特開平1−170846号の試料No.2では活性化時間は19秒と改善されたものの、破壊強度が低いものであった。
【0049】
また、セラミック絶縁体層の厚みが1μmよりも小さい試料No.3では、ヒーターからの漏れ電流により所定の出力電圧を示さず、厚みが100μmを超える試料No.10では、素子の強度が低いことがわかる。
【0050】
これに対して、本発明の試料No.4〜9は全て活性化時間が15〜20秒であり、破壊強度も15kg以上と高い強度を示した。
【0051】
表1中、試料No.4について、空気過剰率を変化させて700℃における出力電圧を測定し、出力電圧と空気過剰率との関係を図5に示した。図5より、本発明の試料No.4の素子は空気過剰率が1(理論空燃比)にて出力電圧が急激に変化することがわかる。
【0052】
実施例2
実施例1の試料No.4、7、10と、特開平1−170846号の試料No.2について、耐熱性および耐久性の比較実験を行った。実験では、素子を大気中、室温から700℃まで20秒で昇温し、その温度を10秒保持した後室温まで急冷した。この温度サイクルを1サイクルとし、これを10万回繰り返した時の素子のヒータの抵抗値の初期値に対する増加率を求めた。この際、試料はいずれも10個とし、その平均値を求め表2に示した。
【0053】
【表2】
【0054】
表2の結果によれば、本発明の酸素センサ素子は、抵抗値の増加率は1%以下であったが、試料No.2および試料No.10では、増加率が2%を超えて大きいものであった。これより、本発明の素子は耐熱性のみに限らず耐久性にも優れたものであることが容易に理解される。
【0055】
実施例3
実施例1で作製したジルコニアシートに基準電極として白金粉末のペーストをスクリーン印刷によって印刷塗布した。さらに、その上に絶縁体層としてスピネル粉末のスラリーを塗布した。その後、このスピネルからなる絶縁体層の表面に白金のペーストを用いてヒータパターンにスクリーン印刷塗布し、再度、スピネル粉末のスラリーを塗布してシート状積層体を作製した。
【0056】
この後、このシート状積層体を実施例1と同様にして作製した円筒状成形体表面に、巻き付けて円筒状積層体を作製し、1500℃、アルゴンガス中で3時間焼成し、酸素センサ素体を作製した。その後、実施例1と同様にして、測定電極および電極保護層を形成して、セラミック絶縁体層の厚みが、21μmと42μmの2種類の広域空燃比センサ素子を作製した。この時、ジルコニア円筒状支持体およびセラミック絶縁体層の開気孔率は、いずれもそれぞれ約12%と約10%であった。
【0057】
そして、実施例1と同様な方法で、活性化時間および破壊強度を測定し、その結果を表1に示した。表1に示したように本発明の試料No.11、12の活性化時間は、16〜17秒で、従来のコップ状の酸素センサ素子(試料No.1)に比べて極めて早い立ち上がりを有することがわかる。また、強度も実施例1の本発明試料と同等以上に高強度の素子であることが理解出来る。
【0058】
さらに、センシング機能の評価のため、絶縁体層の厚みが21μmのヒーターを一体化した広域空燃比センサ素子について、ジルコニア支持体の中空部分に空気を、外側の測定電極にHC、CO、H2および空気からなる混合ガスを種々の比率になるように流し、素子に電圧を印加して出力電流値を求めた。図6に得られた出力電流値と空燃比との関係を示した。図6より空燃比の変化に対して、出力電流値は単一の曲線を示すことがわかる。この結果から、限界電流制御方式の酸素センサ素子として充分応用可能であることがわかる。
【0059】
実施例4
実施例1のジルコニアシート表面の片面に白金ペーストを用いて測定電極を、他方の面に基準電極を形成し、基準電極表面にスピネル粉末のスラリーを塗布した。その後、スピネル層表面に白金ペーストをヒータパターンに塗布し、さらにその上にスピネルスラリーを形成し、ヒータ層をセラミック絶縁層中に埋設したシート状積層体を作製した。この後、実施例1のジルコニアの円筒状成形体表面に、このシート状積層体を巻き付けて円筒状積層物を作製した後、大気中1500℃で2時間焼成して、絶縁体層の厚みの異なる図2に示す理論空燃比センサ素子の基本構造を作製した。この時、絶縁体層およびジルコニア支持体の開気孔率は、それぞれ約18%であった。その後、測定電極表面にプラズマ溶射にて、約200μmの電極保護層を形成した。特性評価は実施例1に従い、素子の活性化時間および破壊強度を求めた。結果を表1に合わせて示した。これより、図3に示す素子構造を有する本発明の試料No.13,14とも、活性化時間が早く、強度も高いことがわかる。
【0060】
実施例5
実施例1のジルコニアのグリーンシート表面に、基準電極として白金ペーストを塗布、セラミック絶縁体層としてスピネルのスラリーを塗布した後、白金ペーストをヒ―タパターンに印刷塗布し、さらにジルコニア粉末のスラリーを塗布して、ヒータ層がセラミック絶縁体層とジルコニア層の中間に埋設したシート状積層体を形成した。そして実施例1と同様にして作製したジルコニア円筒状支持体表面にこのシート状積層体を巻き付けて一体積層物を作製した後、1500℃、大気中で2時間焼成して図3に示す理論空燃比センサ素子の基本構造を作製した。さらに、この後電解質表面にメッキ法にて被測定ガス用白金電極を形成した後、プラズマ溶射にて200μmのジルコニアからなる多孔質の電極保護層を形成し、理論空燃比センサを作製した。この時、絶縁体層の厚みは、25μmと53μmであった。また、いずれもセラミック絶縁体層およびジルコニア円筒状支持体の開気孔率は、にそれぞれ約16%と19%であった。
【0061】
特性評価は実施例1に従い、素子の活性化時間および破壊強度を求めた。その結果を表1に合わせて示した。表1の結果から明らかなように、本発明の試料No.15、16とも、活性化時間が早く、強度も高いことがわかる。
【0062】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、多孔性のジルコニアからなる円筒状支持体表面に、厚みの薄い多孔性のセラミック絶縁体層を介して、ジルコニア固体電解質層両面に一対の電極を有する酸素センサ層を形成し、白金ヒータを前記円筒状支持体内部、支持体表面あるいはセラミック絶縁体層内部に形成することにより、酸素センサ素子内部に生じる熱応力を緩和し、活性化時間の短縮化とともに、優れた耐熱衝撃性を有するヒータ一体型酸素センサ素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒータ一体型酸素センサ素子の一実施例を説明するための概略断面図をである。
【図2】本発明のヒータ一体型酸素センサ素子の他の実施例を説明するための概略断面図である。
【図3】本発明のヒータ一体型酸素センサ素子のさらに他の実施例を説明するための概略断面図である。
【図4】本発明のヒータ一体型酸素センサ素子の製造方法を説明するための図である。
【図5】本発明のヒータ一体型酸素センサ素子を理論空燃比センサとして用いた場合のセンサ特性を示す図である。
【図6】本発明のヒータ一体型酸素センサ素子を広域空燃比センサとして用いた場合のセンサ特性を示す図である。
【図7】従来のヒータ一体型化酸素センサ素子の一例を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
1 円筒状支持体
2 ヒータ層
3 セラミック絶縁体層
4 ジルコニア固体電解質層
5 基準電極
6 測定電極
7 酸素センサ層
8 電極保護層
Claims (1)
- 一端が封止されたジルコニアからなる多孔性の円筒状支持体の表面に、厚さ1〜100μmの多孔性のセラミック絶縁体層を介して、ジルコニア固体電解質層の内側に基準電極が、外側に測定電極が設けられてなる酸素センサ層を設けてなるとともに、前記円筒状支持体の内部、前記円筒状支持体と前記セラミック絶縁体層との間、および前記セラミック絶縁体層内部のうちいずれかの位置にヒータ層を設けたことを特徴とするヒータ一体型酸素センサ素子。
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