JP3668083B2 - セラミック配線基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミナ質セラミックスを絶縁基板とし、その表面に配線回路層が被着形成された高熱伝導性のセラミック配線基板に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、半導体素子収納用パッケージや混成集積配線基板等に用いられる配線基板として、一般にアルミナセラミックスなどの電気絶縁性のセラミック焼結体から成るセラミック絶縁基板を用い、その表面や内部にタングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)等の高融点金属から成る複数のメタライズ配線層配線導体を配設すると共に、各配線導体を絶縁基板内に設けた前記同様の高融点金属から成るビアホール導体で接続した構造を成している。
【0003】
一方、半導体素子の高集積化、小型化に伴い、半導体素子から発生する熱も大きくなりつつある。またMOSFETやIGBTなどのパワー系素子を用いたパワーモジュールが電車、電気自動車などの電動車両における制御基板に適用されつつある。これらのパワー系素子に使用される電流は数十〜数百Aを超え、また電圧も数百Vと非常に高電力となるため、パワー系素子から発生する熱も大きく、この熱による素子の誤動作あるいは破壊を防止するために、発生熱をいかに系外に放出するかが大きな問題になっている。そのために、かかる高集積化された半導体素子やパワー系素子を搭載する配線基板に対しては、絶縁基板として高い熱伝導性が要求されている。
【0004】
従来から、素子から発生した熱を放熱するための好適なセラミックスとしては、アルミナセラミックスに代えて、炭化珪素、ベリリウム、窒化アルミニウム等のセラミックスが用いられてきたが、量産性、安全性などの点から窒化アルミニウム質セラミックスが最も多く用いられてきた。
【0005】
しかし、窒化アルミニウム質セラミックスは非常に高価であることから、使用される分野が限られている。しかしながら、安価な材料として一般に絶縁基板として用いられるアルミナセラミックスは熱伝導率がせいぜい十数W/m・Kであり、パワー素子等に使用するには十分な熱放散性があるとは言えない。そこで、このアルミナセラミックスの絶縁基板の放熱性を向上させるために、基板内部にビア導体やメタライズ配線層を形成する方法が検討されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
アルミナセラミックスに用いられる導体材料は、アルミナセラミックスの焼成温度が通常1600℃以上と高温であるために、このアルミナセラミックスと同時焼成可能なメタライズとして、高融点金属であるタングステンまたはモリブデンを主とする導体材料が一般的に用いられているが、タングステンあるいはモリブデンは熱伝導率としてはそれほど高くなく、アルミナ基板内部に具備させることによる熱伝導性の向上効果はあまり期待できない。
【0007】
良熱伝導材料として銅が最もよく知られているが、銅の融点が1100℃付近であって、アルミナセラミックスと同時焼成すると焼成中に銅成分がアルミナセラミックス中に拡散あるいは揮散してしまい良好な導体層が形成できないものであった。
【0008】
一方、特許第2666744号には、平均粒径1μm以下のアルミナの微粉末を用い1200℃以下の低温で金、銀、銅、等と同時焼成する方法が開示されているが、このような微粉を用いることは工程上、大きな困難を伴うことになり、コストアップにつながるものである。
【0009】
また、特許第2822811号には、銅を含有するビア導体を同時焼成により形成し、配線抵抗の小さい基板構造が開示されているが、ビア導体が基板表裏面に露出しているため基板の絶縁性が保てない。また、特開平7−15101号には1083℃〜1800℃にて銅等と同時焼成する方法が開示されているが、前記と同様にビア導体が基板表裏面に露出しているため基板の絶縁性が保てないため放熱基板として使用できないものであった。
【0010】
従って、本発明は、アルミナセラミックスを絶縁基板とするセラミック配線基板において、絶縁基板の熱伝導性を高め放熱特性に優れたセラミック配線基板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題に対して検討を重ねた結果、相対密度が95%以上のアルミナを主成分とするセラミックスからなる絶縁基板の表面および/または内部に信号を伝達するためのメタライズ配線層が被着形成されたセラミック配線基板において、前記絶縁基板内部に、信号の伝達に寄与しない平面導体と垂直導体とにより構成され且つ前記絶縁基板表面から電気的に絶縁してなる高熱伝導体を埋設形成してなるとともに、前記高熱伝導体を銅を10〜70重量%と、タングステンおよび/またはモリブデンを30〜90重量%の割合で含有する導体によって前記メタライズ配線層および絶縁基板と同時焼成によって形成することによって上記の目的を達成するものである。
【0012】
なお、上記の構成において、前記メタライズ配線層は、タングステンおよび/またはモリブデンを主成分とし、該タングステンおよび/またはモリブデン100重量部に対して、アルミニウムを酸化物換算で3〜20重量部、ニオブを酸化物換算で0.5〜5重量部の割合で含有することによって、前記高熱伝導体とともに同時焼成することが可能となる。
【0013】
また、前記アルミナを主成分とするセラミックスとしては、焼結助剤としてマンガンをMnO2換算で2.0〜10.0重量%の割合で含有することによって、前記メタライズ配線層および高熱伝導体とともに同時焼成することができるとともに、高熱伝導体中の銅の拡散などを防止することができる。
【0014】
さらに、前記高熱伝導体が絶縁基板の表面から100〜300μmの深さに形成されていることが表面に形成されるメタライズ配線層との電気的な絶縁性を維持する上で望ましく、さらに高熱伝導体における前記垂直導体の横断面積の合計が、前記絶縁基板内の前記高熱伝導体形成領域の全体面積の40〜80%を占めることが絶縁基板の熱抵抗を低減する上で望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明のセラミック配線基板の一例である多層配線基板の概略断面図を示した。図1の多層配線基板においては、アルミナセラミックスからなる絶縁基板1を具備し、この絶縁基板1の表面には、メタライズ配線層2が被着形成されている。そして、この絶縁基板1の内部には、平面導体3および垂直導体4が格子状に配置された高熱伝導体5が埋設されている。また、このメタライズ配線層2の表面には、半導体素子、パワー素子、トランジスタ素子などの発熱性素子6が搭載される。
【0016】
本発明によれば、この高熱伝導体5を構成する平面導体3および垂直導体4が、アルミナセラミックスと同時焼成によって形成されたものであり、これらを形成している導体が、銅を10〜70重量%、タングステンおよび/又はモリブデンを30〜90重量%の割合で含有する導体からなることが重要である。
【0017】
これは、この絶縁基板1内部に内蔵された平面導体3および垂直導体4が銅単味からなると、絶縁基板1との熱膨張差によって層間剥離が発生してしまうのに対して、タングステンあるいはモリブデンを所定量含有せしめることによって、アルミナセラミックスとの熱膨張差が小さく成るために層間剥離の発生を抑制することができる。
【0018】
従って、本発明における高熱伝導体において、銅の含有量が10重量%よりも少ない、言い換えればタングステンまたはモリブデンの含有量が90重量%よりも多いと、熱拡散が小さくなり、高熱伝導化が達成できず、銅含有量が70重量%よりも多く、言い換えれば、タングステンあるいはモリブデンの含有量が30重量%よりも少ないとデラミネーションが発生する。なお望ましい範囲は、銅が40〜60重量%、タングステンおよび/またはモリブデンが60〜40重量%である。
【0019】
また、この平面導体3および垂直導体4は、実質的に信号の伝達には寄与しないことから、平面導体3と垂直導体4とを格子状に配設されており、例えば、図1の絶縁基板1の断面図に示されるように、平面導体3を絶縁基板表面に平行に複数層形成するとともに、図2の絶縁基板1の平面透視図に示されるように、所定の直径を有する垂直導体4をアレイ状に、且つ平面導体3同士を接続するように配置することによって、絶縁基板1全体の放熱性を均一化することができるとともに、絶縁基板の高熱伝導化を図ることができる。
【0020】
また、上記の平面導体3と垂直導体4からなる高熱伝導体5は、絶縁基板1の全体に形成することもできるが、絶縁基板1の内部にて信号の伝達を行なうために、図1に示すように、メタライズ配線層2を表面のみならず、絶縁基板1の内部にもビアホール導体7と合わせて形成する場合もある。その場合には、上記の高熱伝導体5を配線基板の表面に実装された発熱性素子6の直下に配設して発熱性素子6から発生した熱を集中的に放熱することもできる。
【0021】
また、高熱伝導体5において、メタライズ配線層2の表面に搭載された発熱性素子6から発生した熱を絶縁基板1の裏面に伝達する役目は、主として垂直導体4が担うことになる。従って絶縁基板1の厚み方向への熱伝達性を向上させる上で、この絶縁基板1を平面的にみたときの図2で示されるような垂直導体4の横断面積の合計が、前記高熱伝導体5の形成領域aの全体面積(図2における平面導体3と垂直導体4との合計面積)の40〜80%を占めることが望ましい。特に、垂直導体4の直径は0.05〜1mmが製造の容易性および熱伝達性の点から適当であり、またこの直径はすべて同一ではなく、例えば、放熱性が特に要求される発熱性素子6搭載部の直下部分のみを他の部分よりも直径を大きくしたり、特に密に配設することもできる。
【0022】
また、高熱伝導体5は、絶縁基板1の表面に形成されたメタライズ配線層2と電気的に絶縁されていることが必要であり、高熱伝導体5中のCuの拡散による絶縁性の低下を防止することが必要がある。但し、一方では、絶縁基板1から熱を厚み方向に伝達する場合、絶縁基板1の表面から高熱伝導体5までの厚さxが厚すぎると、熱伝達性が低下してしまうために、高熱伝導体5は、絶縁基板1表面から100〜300μmの深さに形成されていることが望ましい。
【0023】
なお、本発明における絶縁基板の絶縁性とは、絶縁基板1表面に形成されたメタライズ配線層2と高熱伝導体5との間における体積固有抵抗が1013Ω・cm以上であることを意味するものであり、銅の拡散が顕著に発生するとこの部分の絶縁性が劣化し、抵抗値は1013Ω・cmよりも低くなってしまう。
【0024】
さらに、本発明の配線基板において、絶縁基板1の表面および/または内部に形成されるメタライズ配線層2およびビアホール導体7としては、タングステンおよび/またはモリブデンを主成分とする導体によって形成されるものであるが、このメタライズ配線層2およびビアホール導体7は、絶縁基板1および高熱伝導体5とともに同時焼成することが必要である。一般に、タングステンやモリブデンを主成分とする導体は1500℃以上の温度で焼成されるが、上記セラミック高熱伝導体5との同時焼成を実現する上では、1500℃以下の温度で焼結させることが必要である。かかる観点から、このメタライズ配線層2およびビアホール導体7を形成する導体としては、上記主導体100重量部に対して、アルミニウムを酸化物換算で3〜20重量部、ニオブを酸化物換算で0.5〜5重量部の割合で含有することが望ましい。上記の導体成分中、アルミニウムは絶縁基板との密着性を高め、またニオブは低温での1500℃以下での焼結性を促進させるる作用をなす。
【0025】
一方、絶縁基板1を構成するアルミナセラミックスとしては、相対密度が95%以上の緻密質からなり、前記高熱伝導体5と同時焼成する上で、焼結助剤として、MnをMnO2換算で2〜10重量%の割合で含有することが望ましい。さらに、焼結助剤としてSiO2や、MgO、CaO、SrO等のアルカリ土類元素酸化物を含んでいてもよく、その場合、焼結助剤合計で2〜15重量%の割合で含有することが望ましい。特に上記Mn量が2重量%よりも少ないと、1500℃以下での銅含有導体からなる平面導体3や垂直導体4との同時焼結性が低下し、10重量%よりも多いと、アルミナセラミックス自体の熱伝導性が低下する傾向にある。
【0026】
特に、このアルミナセラミックスは、上記高熱伝導体5中のCuの拡散を防止する上で、1500℃以下、特に1200〜1400℃の温度で焼成することが望ましい。
【0027】
なお、このアルミナセラミックス中には、さらに着色剤としての遷移金属、あるいはその化合物を10重量%以下の割合で含んでもよい。
【0028】
また、この絶縁基板1の裏面には、アルミニウム、銅板、銅−タングステン、などの高熱伝導性を有するヒートシンク8を接合して、絶縁基板1を経由して伝達されたをヒートシンク8によって系外に放熱することができる。
【0029】
次に、本発明のセラミック配線基板の製造方法について具体的に説明する。まず、アルミナセラミックスの主成分となるアルミナ原料粉末と、焼結助剤成分として少なくともMnO2を2〜10重量%添加し、さらにSiO2およびMgO、CaO粉末等を焼結助剤合計で2〜15重量%の割合で添加混合する。そして、この混合粉末を用いて、絶縁層を形成するためのシート状成形体を作製する。
【0030】
シート状成形体は、周知の成形方法によって作製することができ、例えば、上記混合粉末に有機バインダや溶媒を添加してスラリーを調製し、ドクターブレード法によって形成したり、混合粉末に有機バインダを加え、プレス成形、圧延成形等により100〜250μmの厚みのシート状成形体を作製できる。
【0031】
そして、このシート状成形体に対して垂直導体を形成するための直径が0.05〜1mmの貫通孔をシート状成形体に対してマイクロドリル、レーザー等により形成する。
【0032】
その後、この貫通孔内に、銅10〜70重量%と、タングステンおよび/またはモリブデンを30〜90重量%の割合で配合した金属粉末を含む導体ペーストをスクリーン印刷法によって充填する。また、平面導体としては、このように垂直導体を形成したシート状成形体の表面にスクリーン印刷法などによって上記ペーストを印刷塗布する。
【0033】
また、信号の伝達に寄与する回路となる表面および/または内部のメタライズ配線層、あるいはビアホール導体を形成するために、無機成分としてタングステンおよび/またはモリブデン粉末100重量部に対して、Al2O3を3〜20重量部、Nb2O5を0.5〜5重量部の割合で添加してなる導体ペーストを用いて、上記の高熱伝導体を形成する平面導体および垂直導体とともに、グリーンシートの表面またはビアホール内に印刷、または充填する。
【0034】
その後、同様にして熱伝導体を形成する平面導体および/または垂直導体や、メタライズ配線層などを形成したシート状成形体を作製した後、それらを積層圧着して積層体を作製する。そして、積層体の表面に、前記積層体における熱伝導体形成部の上面部に焼結後の厚みが200〜300μmとなるグリーンシートを積層する。
【0035】
その後、この積層体を水素および窒素を含む非酸化性雰囲気中、1500℃以下、特に1200〜1400℃の温度で焼成することによって絶縁基板、メタライズ配線層、高熱伝導体を一括して同時に焼成することができる。また、所望により、焼成雰囲気中にはアルゴンガス等の不活性ガスを混入してもよい。なお、この焼成温度が1500℃より高いと、アルミナセラミックスの主結晶相の粒径が大きくなり異常粒成長が発生するようになり、銅がセラミックス中へ拡散するときのパスである粒界の長さが短くなるとともに拡散速度も速くなる結果、銅の拡散距離を30μm以下に抑制することが困難となる。
【0036】
また、この配線基板に対して、発熱性素子を搭載するには、熱伝導体の直上に位置するメタライズ配線層上に半田ペーストを塗布した後、自動実装装置などにて載置し、300〜400℃で加熱してロウ付けすることによって実装できる。
【0037】
さらに、配線基板の裏面にヒートシンクを設ける場合には、熱伝導体の直下にPb−Sn共晶半田などのロウ材によってロウ付けすればよい。
【0038】
【実施例】
アルミナ粉末(平均粒径0.65μm)を主成分として表1、2に示すような各種焼結助剤と、成形用バインダとして有機樹脂としてアクリル系バインダと、トルエンを溶媒として混合した後、ドクターブレード法にて厚さ100〜250μmのシート状に成形した。そして、所定箇所に径600μmの貫通孔をレーザー光で形成した。なお、この貫通孔は、その数を増減することによって、垂直導体の横断面の面積比率が異なる種々のものを作製した。
【0039】
次に、銅粉末(平均粒径5μm)とW粉末(平均粒径1.2μm)あるいはMo粉末(平均粒径1μm)とを表1および2に示す比率で混合しアクリル系バインダとをアセトンを溶媒として高熱伝導体用の導体ペーストを調製し、貫通孔内にこの導体ペーストを充填した。さらに、この導体ペーストを用いてシート状成形体の表面に平面導体を印刷して高熱伝導体を形成した。
【0040】
また、同様にW粉末(平均粒径1.2μm)100重量部に、Al2O3粉末平均粒径1μm)7重量部、Nb2O5粉末(平均粒径1μm)1重量部で混合しアクリル系バインダーとをアセトンを溶媒としてメタライズ配線層用の導体ペーストを調製し、同様にグリーンシートに形成した貫通孔内にこの導体ペーストを充填し、またこの導体ペーストを用いてシート状成形体の表面にメタライズパターンに印刷形成した。
【0041】
上記のようにして作製した8枚のシート状成形体を位置合わせして積層圧着して積層成形体を作製した後、その積層成形体の上下面に所定の種々の厚みを有するシート状成形体を積層した。
【0042】
その後、この成形体積層体を、水分を含む酸素含有雰囲気中(N2+O2またはH2+N2+H2O)で脱脂を行った後、水素窒素混合雰囲気にて表1、表2の温度で焼成して配線基板を作製した。
【0043】
得られた配線基板の高熱伝導体形成箇所の熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定し、その結果を表1、2に示した。また、比較として、高熱伝導体を形成しないアルミナセラミックスの熱伝導率を測定し、高熱伝導体による効果を確認した。
【0044】
そして、この配線基板のメタライズ配線層上に実際に半導体素子を実装して発熱させ絶縁基板の熱抵抗を測定し、その結果を表1、2に示した。
【0045】
また、絶縁基板の体積固有抵抗として、絶縁基板の表面に形成したメタライズ配線層と絶縁基板に内蔵した高熱伝導体の最上部の平面導体間の体積固有抵抗を測定し表1、2に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
表1、2に示すように、絶縁基板中のアルミナセラミックスについてMnO2量が2重量%よりも少ない試料No.1,2においては焼結性が劣化し相対密度95%以上に焼結できなかった。またMnO2量が10重量%よりも多い試料No.8においては、磁器自体の熱伝導率が低下するとともに、絶縁性の劣化が起こった。
【0049】
高熱伝導体の導体組成において、銅の含有量が10重量%よりも少ない試料No.9,10では、絶縁基板の熱伝導率が低くなった。また、70重量%よりも大きい試料No.17では、絶縁基板との熱膨張率差から内部導体との間に剥離が発生すると共に銅の拡散が起こり絶縁性の劣化が起こった。
【0050】
また、同時焼成の温度が1200℃よりも低い試料No.21では未焼結となった。1500℃よりも高い試料No.28では、銅がセラミックス中に拡散し絶縁基板の絶縁性が劣化した。
【0051】
表面絶縁層の厚みについては、100μmよりも小さい試料No.29では内部導体層から銅が拡散するため絶縁性が劣化した。また、垂直導体の横断面積の比率が80%よりも大きいと絶縁性が低下した。
【0052】
これに対して、本発明の配線基板によれば、相対密度95%以上、熱伝導率が25W/m・K以上、体積固有抵抗が1013Ω・cm以上、熱抵抗が35℃/W以下の優れた絶縁性と放熱特性を具備するものであった。また、高熱伝導体においては、垂直導体の総断面積の面積比率が40〜80%の範囲で良好な特性を高い熱伝導性を示した。
【0053】
実施例2
メタライズ配線層の組成を表3のように種々変更する以外は、上記表1中の試料No.14と全く同様にしてセラミック配線基板を作製した。そして、上記のメタライズ配線層についてシート抵抗および絶縁基板への密着強度を測定したその結果を表3に示した。なお、密着強度の測定は、大きさ2mm×20mmのメタライズ配線層に対して2μmのNi、1μmのAuのメッキ層を施したFe−Ni−Co製のL字型リードをAu−Snからなるロウ材によってロウ付けした後、このリードを垂直に引っ張り、リードが基板からはずれる時の強度を測定した。
【0054】
【表3】
【0055】
表3の結果、WまたはMo100重量部に対して、Al2O3を3〜20重量部、Nb2O5を0.5〜5重量部の割合で添加した試料No.41〜45、49〜51、53〜55はいずれもシート抵抗が20mΩ/□以下、密着強度30MPa以上の優れた特性を示した。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、アルミナセラミックスを絶縁基板としてなり、銅を含む高熱伝導性の導体からなる平面導体および垂直導体からなる高熱伝導体を内蔵するとともに、その銅の拡散を防止し、高熱伝導性および高絶縁性のセラミック配線基板を得ることができるとともに、この基板を絶縁基板としその表面にメタライズ配線層を形成することによって、放熱性に優れたセラミック配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック配線基板の一例である多層配線基板の概略断面図を示す。
【図2】本発明のセラミック配線基板における垂直導体の配置を説明するための平面透過図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2 メタライズ配線層
3 平面導体
4 垂直導体
5 高熱伝導体
6 発熱性素子
Claims (5)
- 相対密度が95%以上のアルミナを主成分とするセラミックスからなる絶縁基板の表面および/または内部に信号を伝達するためのメタライズ配線層が被着形成されたセラミック配線基板において、
前記絶縁基板内部に、信号の伝達に寄与しない平面導体と垂直導体とにより構成され且つ前記絶縁基板表面から電気的に絶縁してなる高熱伝導体を埋設形成してなるとともに、前記高熱伝導体を銅を10〜70重量%と、タングステンおよび/またはモリブデンを30〜90重量%の割合で含有する導体によって前記メタライズ配線層および絶縁基板と同時焼成によって形成したことを特徴とするセラミック配線基板。 - 前記メタライズ配線層が、タングステンおよび/またはモリブデンを主成分とし、該タングステンおよび/またはモリブデン100重量部に対して、アルミニウムを酸化物換算で3〜20重量部、ニオブを酸化物換算で0.5〜5重量部の割合で含有することを特徴とする請求項1記載のセラミック配線基板。
- 前記アルミナを主成分とするセラミックスが、MnをMnO2換算で2.0〜10.0重量%の割合で含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のセラミック配線基板。
- 前記平面導体および前記垂直導体とからなる高熱伝導体が前記絶縁基板表面から100〜300μmの深さに形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載のセラミック配線基板。
- 前記垂直導体の横断面積の合計が、前記絶縁基板内の前記高熱伝導体形成領域の全体面積の40〜80%を占めることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載のセラミック配線基板。
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