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JP3668553B2 - 電動車両の制御装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくともアクセル開度に基づいてモータの駆動/回生トルクを決定し、決定された駆動/回生トルクに応じてモータを制御する電動車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動車両に搭載されたモータのアクセルペダルの開閉に対する応答性は内燃機関の回転数の応答性に比べて高いものであり、そのためにアクセルペダルを急激に踏み込んだときにモータが受ける反力により車体に振動が発生して乗り心地を損ねる問題があった。特に、アクセルペダルの踏み込みと戻しとを短い時間間隔で繰り返し行った場合に、モータと駆動輪間の動力伝達系に存在するバックラッシュが消滅する際のショックが車体の固有振動数と共振し、乗り心地を低下させる振動が発生し易い問題があった。
【0003】
そこで従来の電動車両では、アクセルペダルを急激に踏み込んだときにモータトルクの立ち上がりに遅れを持たせることにより、前記振動の発生を防止していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のようにアクセルペダルを急激に踏み込んだときにモータトルクの立ち上がりに遅れを持たせると、ドライバーが急加速を要求しているときにもモータトルクの立ち上がりが遅れてしまうため、車両の加速性能が低下してしまう問題があった。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車両の加速性能の低下を回避しながら前記振動の発生を防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、少なくともアクセル開度に基づいてモータの駆動/回生トルクを決定し、決定された駆動/回生トルクに応じてモータを制御する電動車両の制御装置において、アクセル開度の変化に基づいて車両の加速/減速を検出する加速/減速検出手段と、車両が加速状態あるいは定速状態から減速状態に切り換わったことが検出された後の所定時間内に車両の加速が検出されたときにモータの駆動トルクの増加を制限するトルク増加制限手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また請求項2に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、前記トルク増加制限手段は、車両の加速時におけるアクセル開度に応じてモータの駆動トルクの増加を制限する時間を変更することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0009】
図1〜図6は本発明の一実施例を示すもので、図1は電動車両の全体構成を示す図、図2は制御系のブロック図、図3は電子制御ユニットの回路構成を示すブロック図、図4は作用を説明するフローチャート、図5は作用を説明するタイムチャート、図6はモータトルクを制限する手法の説明図である。
【0010】
図1及び図2に示すように、四輪の電動車両Vは、三相交流モータ1のトルクがトランスミッション2を介して伝達される駆動輪としての左右一対の前輪Wf,Wfと、従動輪としての左右一対の後輪Wr,Wrとを有する。電動車両Vの後部に搭載された例えば288ボルトのメインバッテリ3は、コンタクタ4、ジョイントボックス5、コンタクタ4及びパワードライブユニットを構成するインバータ6を介してモータ1に接続される。例えば12ボルトのサブバッテリ7にメインスイッチ8及びヒューズ9を介して接続された電子制御ユニット10は、モータ1の駆動トルク及び回生トルクを制御すべくインバータ6に接続される。サブバッテリ7をメインバッテリ3の電力で充電すべく、バッテリチャージャ11及びDC/DCコンバータ12が設けられる。
【0011】
メインバッテリ3とインバータ6とを接続する高圧回路、即ちインバータ6の直流部には、その電流IPDU を検出する電流センサS1 と、電圧VPDU を検出する電圧センサS2 とが設けられており、電流センサS1 で検出したインバータ6の直流部の電流IPDU 及び電圧センサS2 で検出したインバータ6の直流部の電圧VPDU は電子制御ユニット10に入力される。また、モータ回転数センサS3 で検出したモータ回転数Nmと、アクセル開度センサS4 で検出したアクセル開度θAPと、シフトポジションセンサS5 で検出したシフトポジションPとが電子制御ユニット10に入力される。
【0012】
インバータ6は複数のスイッチング素子を備えおり、電子制御ユニット10から各スイッチィング素子にスイッチング信号を入力することにより、モータ1の駆動時にはメインバッテリ3の直流電力を三相交流電力に変換して該モータ1に供給し、モータ1の被駆動時(回生時)には該モータ1が発電した三相交流電力を直流電力に変換してメインバッテリ3に供給する。
【0013】
電子制御ユニット10からインバータ6のスイッチング素子に入力されるスイッチング信号は、PWM(パルス幅変調)により制御される。また、モータ1の高回転領域でPWM制御のデューティ率が100%に達した後に、弱め界磁制御が行われる。弱め界磁制御とは、モータ1の永久磁石が発生している界磁と逆方向の界磁が発生するように、モータ1に供給する一次電流に界磁電流成分を持たせるもので、全体の界磁を弱めてモータ1の回転数を高回転数側に延ばすものである。
【0014】
次に、図3に基づいて電子制御ユニット10の回路構成及び作用の概略を説明する。
【0015】
電子制御ユニット10は、トルク指令値算出手段21、目標電力算出手段22、実電力算出手段23、比較手段24、トルク制御手段25、加速/減速検出手段28及びトルク増加制限手段29を備えており、比較手段24及びトルク制御手段25はフィードバック制御手段27を構成する。
【0016】
トルク指令値算出手段21は、モータ回転数センサS3 で検出したモータ回転数Nmと、アクセル開度センサS4 で検出したアクセル開度θAPと、シフトポジションセンサS5 で検出したシフトポジションPとに基づいて、ドライバーがモータ1に発生させようとしているトルク指令値を、例えばマップ検索によって算出する。加速/減速検出手段28はアクセル開度θAPの変化に基づいて車両が加速状態にあるか減速状態にあるかを検出し、トルク増加制限手段29は前記加速/減速検出手段28が車両の減速を検出した後の所定時間内に車両の加速を検出したときに、モータ1のトルク指令値の立ち上がりを制限すべく前記トルク指令値算出手段21に信号を出力する。
【0017】
目標電力算出手段22は、トルク指令値算出手段21で算出したトルク指令値とモータ回転数センサS3 で検出したモータ回転数Nmとを乗算し、これを変換効率で除算することにより、モータ1に供給すべき、或いは回生によりモータ1から取り出すべき目標電力を算出する。目標電力は正値の場合と負値の場合とがあり、正の目標電力はモータ1が駆動トルクを発生する場合に対応し、負の目標電力はモータ1が回生トルクを発生する場合に対応する。
【0018】
一方、実電力算出手段23は、電流センサS1 で検出したインバータ6の直流部の電流IPDU と、電圧センサS2 で検出したインバータ6の直流部の電圧VPDU とを乗算することにより、インバータ6に入力される実電力を算出する。目標電力と同様に、実電力にも正値の場合と負値の場合とがあり、正の実電力はモータ1が駆動トルクを発生する場合に対応し、負の実電力はモータ1が回生トルクを発生する場合に対応する。
【0019】
目標電力算出手段22で算出した目標電力と実電力算出手段23で算出した実電力とはフィードバック制御手段27の比較手段24に入力され、そこで算出された目標電力と実電力との偏差に基づいてトルク制御手段25がインバータ6に入力するスイッチング信号のパルス幅を制御する。その結果、実電力を目標電力に一致させるべくモータ1の運転状態がフィードバック制御される。
【0020】
次に、図4のフローチャートを参照しながら本発明の実施例の作用について説明する。
【0021】
先ず、ステップS1でアクセル開度センサS4 で検出したアクセル開度θAPを読み込み、続くステップS2でアクセル開度θAPの時間当たりの変化量、即ちアクセル開度の今回値(θAPN から前回値(θAPN-1 を減算したアクセル開度変化量ΔθAP=(θAPN −(θAPN-1 を算出する。その結果、ステップS3でアクセル開度変化量ΔθAPがΔθAP<0であれば、即ちアクセル開度θAPが減少して車両が減速状態にあれば、ステップS4で後述するトルク増加制限フラグFが「1」にセットされるとともに、ステップS5で後述するタイマーがクリアされる。
【0022】
前記ステップS3でアクセル開度変化量ΔθAPがΔθAP<0でなくなってステップS6に移行したとき、アクセル開度変化量ΔθAPがΔθAP=0に保持されていればステップS7に移行し、そこで第1判定値T1 がセットされる。或いは、ステップS6でアクセル開度変化量ΔθAPがΔθAP>0であり、且つステップS8でそのときのアクセル開度θAPが閾値θREF 未満であれば、やはりステップS7に移行して第1判定値T1 が再セットされる。一方、ステップS8でそのときのアクセル開度θAPが閾値θREF 以上であれば、ステップS8に移行して第2判定値T2 がセットされる。
【0023】
第1判定値T1 及び第2判定値T2 は何れもモータ1のトルク増加制限の実行が許可される時間を規定するもので、その長さは第2判定値T2 が第1判定値T1 よりも短く設定されている。
【0024】
而して、車両が減速状態から加速状態に移行したときにはステップS10で既にトルク増加制限フラグFが「1」がセットされているため(ステップS4参照)、ステップS11でトルク増加制限制御が実行される。図6(A)に示すように、車両の通常の加速時(減速終了から所定時間内に開始される加速ではなく、車両の発進時の加速や、減速終了から所定時間経過後に開始される加速)には、実線で示す如く僅かなディレイタイムを以てモータトルクTRQが速やかに増加するが、トルク増加制限制御が実行されているときには、破線で示す如く比較的に大きなディレイタイムを以てモータトルクTRQが緩やかに増加する。
【0025】
このトルク増加制限制御は、ステップS12で現在カウント中のタイマーをインクリメントし、所定時間の経過後にステップS13でタイマーのカウント値が現在セットされている第1判定値T1 又は第2判定値T2 を越えるまで継続する。そしてタイマーのカウント値が第1判定値T1 又は第2判定値T2 を越えると、ステップS14でトルク増加制限フラグFが「0」がリセットされてトルク増加制限制御が終了する。
【0026】
尚、前記ステップS6でアクセル開度変化量ΔθAPがΔθAP=0であるためにステップS7で第1判定値T1 がセットされたとき、つまり車両が減速状態から定速状態に移行した場合には、そもそも車両が加速することがないため、ステップS11では実質的にトルク増加制限制御は実行されない。そしてステップS13でタイマーのカウント値が第1判定値T1 を越えればステップS14でそのままトルク増加制限制御は終了する。但し、前記定速状態にある車両がステップS6で加速状態に移行すれば、そのときのアクセル開度θAPと閾値θREF との大小関係に応じて第1判定値T1 或いは第2判定値T2 が新たにセットされてトルク増加制限制御が実行される。
【0027】
上記作用を纏めると、車両の減速状態が終了すると比較的に時間の長い第1判定値T1 がセットされる(ステップS7)。タイマーのカウント値が第1判定値T1 を越える前に車両が閾値θREF 未満のアクセル開度θAPで加速状態に移行すると(ステップS8)、前記第1判定値T1 が再セットされ(ステップS7)、モータトルクTRQの増加速度を遅らせるトルク増加制限制御が実行される(ステップS11)。このトルク増加制限制御は、タイマーのカウント値が比較的に時間の長い第1判定値を越えるまで継続する(ステップS13,S14)。
【0028】
また、タイマーのカウント値が第1判定値T1 を越える前に車両が閾値θREF 以上のアクセル開度θAPで加速状態に移行すると(ステップS8)、第2判定値T2 が新たにセットされ(ステップS9)、モータトルクTRQの増加速度を遅らせるトルク増加制限制御が実行される(ステップS11)。このトルク増加制限制御は、タイマーのカウント値が比較的に時間の短い第2判定値T2 を越えるまで継続する(ステップS13,S14)。
【0029】
更に、車両の減速状態が終了した後に定速状態を保持し、タイマーのカウント値が第1判定値T1 を越えるまで加速状態に移行しなかった場合には、トルク増加制限制御は実質的に実行されない。
【0030】
而して、アクセルペダルの踏み込み及び戻しを第1判定値T1 よりも短い時間間隔で繰り返した場合、アクセルペダルの踏み込み時のモータトルクTRQの増加速度が第1判定値T1 又は第2判定値T2 が経過するまで制限される。これにより、減速時に拡大したモータ1と駆動輪Wf,Wf間の動力伝達系に存在するバックラッシュが加速時に急激に消滅してショックが発生することが防止され、車体振動による乗り心地の低下が回避される。
【0031】
しかも、前記動力伝達系に存在するバックラッシュに起因するショックが発生する虞がない場合、つまり車両の発進に伴う加速時、或いは減速の終了から第1判定値T1 よりも長い時間が経過した後の加速時には、トルク増加制限制御が実行されないために車両の加速性能が損なわれることがない。また加速時のアクセル開度θAPが閾値θREF 以上であってドライバーが急加速を要求している場合には、比較的に短い第2判定値T2 の間だけしかトルク増加制限制御が実行されないため、車両の加速性能の低下を最小限に抑えることができる。
【0032】
図5はアクセル開度θAPをステップ状に増減させた場合の作用を示すタイムチャートである。時刻t1 においてアクセル開度θAPが減少すると、モータトルクTRQが通常の僅かなディレイタイムを以て目標トルクまで速やかに減少し、これと同時にトルク増加制限フラグFが「1」にセットされて時間の長い第1判定値T1 がセットされる。第1判定値T1 が経過する前に、時刻t2 においてアクセル開度θAPが閾値θREF 未満の値まで増加すると第1判定値T1 が再セットされ、これと同時にトルクTRQ増加制限制御が開始されてモータトルクTRQが通常よりも大きなディレイタイムを以て緩やかに増加する。そして時刻t3 において第1判定値T1 が経過すると、トルク増加制限フラグFが「0」にリセットされてトルク増加制限制御が終了する。尚、第1判定値T1 が経過した後にアクセル開度θAPが増加した場合には、前記トルク増加制限制御は実行されない。
【0033】
更に、時刻t4 において再びアクセル開度θAPが減少すると、モータトルクTRQが通常の僅かなディレイタイムを以て目標トルクまで速やかに減少し、これと同時にトルク増加制限フラグFが「1」にセットされて第1判定値T1 がセットされる。第1判定値T1 が経過する以前の時刻t5 においてアクセル開度θAPが閾値θREF 以上の値まで増加すると、時間の短い第2判定値T2 がセットされると同時に、トルク増加制限制御が開始されてモータトルクTRQが通常よりも大きなディレイタイムを以て緩やかに増加する。そして時刻t6 において第2判定値T2 が経過すると、トルク増加制限フラグFが「0」にリセットされるとともに、トルク増加制限制御が終了してモータトルクTRQが通常の僅かなディレイタイムを以て目標トルクまで速やかに増加する。この場合も、第1判定値T1 が経過した後にアクセル開度θAPが増加した場合には、前記トルク増加制限制御は実行されない。
【0034】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0035】
例えば、実施例では、図6(A)に示す如くモータトルクTRQの増加速度の大きさを変化させることによりトルク増加制限制御を行っているが、図6(B)に示す如く一時遅れ処理の時定数を変化させることによりトルク増加制限制御を行っても良い。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載された発明によれば、アクセル開度の変化に基づいて車両の加速/減速を検出し、車両が加速状態あるいは定速状態から減速状態に切り換わったことが検出された後の所定時間内に車両の加速が検出されたときにモータの駆動トルクの増加を制限するので、アクセルペダルの踏み込み及び戻しを短い時間間隔で繰り返した場合、アクセルペダルの踏み込み時にモータからの動力伝達系に存在するバックラッシュが急激に消滅してショックが発生することが防止され、乗り心地が向上する。しかも、前記動力伝達系に存在するバックラッシュに起因するショックが発生する虞がない場合、つまり車両の発進に伴う加速時、減速の終了から前記所定時間以上の時間が経過した後の加速時にはトルク増加制限制御が実行されないため、車両の加速性能が損なわれることがない。
【0037】
また請求項2に記載された発明によれば、車両の加速時におけるアクセル開度に応じてモータの駆動トルクの増加を制限する時間を変更するので、ドライバーの加速要求が大きいときにモータの駆動トルクの増加を制限する時間を短くして加速性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動車両の全体構成を示す図
【図2】制御系のブロック図
【図3】電子制御ユニットの回路構成を示すブロック図
【図4】作用を説明するフローチャート
【図5】作用を説明するタイムチャート
【図6】モータトルクを制限する手法の説明図
【符号の説明】
1 モータ
28 加速/減速検出手段
29 トルク増加制限手段
θAP アクセル開度

Claims (2)

  1. 少なくともアクセル開度(θAP)に基づいてモータ(1)の駆動/回生トルクを決定し、決定された駆動/回生トルクに応じてモータ(1)を制御する電動車両の制御装置において、
    アクセル開度(θAP)の変化に基づいて車両の加速/減速を検出する加速/減速検出手段(28)と、
    車両が加速状態あるいは定速状態から減速状態に切り換わったことが検出された後の所定時間内に車両の加速が検出されたときにモータ(1)の駆動トルクの増加を制限するトルク増加制限手段(29)と、
    を備えたことを特徴とする電動車両の制御装置。
  2. 前記トルク増加制限手段(29)は、車両の加速時におけるアクセル開度(θAP)に応じてモータ(1)の駆動トルクの増加を制限する時間を変更することを特徴とする、請求項1記載の電動車両の制御装置。
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