JP3669415B2 - ハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターのヨーク部品のバリ取り方法及びボイスコイルモーター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの磁気回路を構成するヨーク部品表面のバリ取り方法に関し、特に細かな細工を施している部分を含むすべての稜線のバリを除去することができるヨーク部品のバリ取り方法に関する。また、本発明は、このようなバリが除去されたヨーク部品を用いたハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターは、図1に示したように、主に高い磁気特性を有している希土類磁石aと、磁気回路を構成するヨーク部品bとで構成されており(なお、図中cはコイルである)、ハードディスクの記憶容量増大化に伴う磁気ヘッド浮上量の減少により、ヘッドクラッシュに至らないよう近年ますますその清浄化が切望されている。
【0003】
これらのうち、特にプレス板金,切削加工等で製造されるヨーク部品は、優れたモーター性能を得るために低炭素鋼を主に使用しているが、低炭素鋼は粘りやすい性質をもっているため、せん断バリや切削バリが発生しやすいという欠点を有している。
【0004】
また、年々ハードディスクドライブが小型化しているため、これに使用するボイスコイルモーターの磁気回路を構成するヨーク部品も小型化、形状の複雑化が進んでおり、貫通穴,曲げ加工,ネジ穴等の細かい細工を施したヨーク部品が増え、バリの発生頻度は増加する傾向にある。例えば外径3mm程度の貫通穴やネジ穴には、厚さ又は太さが0.5mm以下のせん断バリや切削バリがしばしば発生している。このバリは、ただヨーク部品表面に付着しているだけでなく、物理的要因,化学的要因により容易に脱落する可能性がある。
【0005】
また、ヨーク部品の表面はニッケルメッキが施されているので、バリが脱落しなくとも、バリが衝撃を受けた際に、その表面についているニッケル粉が脱落する可能性もある。
【0006】
バリの脱落は、ハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの清浄度の劣化を引き起こし、もしハードディスクドライブ作動時に脱落したバリが磁気ヘッドに衝突すれば、ヘッドクラッシュ等の問題が生じる。特に近年はヘッド浮上量が0.1μm以下になっており、0.5mm以下のバリの脱落もヘッドクラッシュの原因となり得る。
【0007】
また、もしハードディスク上に脱落したバリが付着すれば、バリは強磁性を示すため、記録されたデーターの破損等の問題が生じる。特に近年はハードディスクの記録密度が1ギガバイト/cm2以上になっており、0.5mm程度のバリの脱落も重大な記録されたデーターの破損となり得る。
【0008】
このようなハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの磁気回路を構成するヨーク部品のバリを除去するため、各種のバリ取り方法が提案されているが、いずれの方法もバリ取り方法として完全なものではない。例えば、バレル研磨によるバリ除去は、ヨーク部品の外周の稜線等に発生する大きなバリの除去には有効であるが、貫通穴,曲げ加工,ネジ穴等の細かな細工を施している部分のヨーク部品に存在している厚さ又は太さが0.5mm以下のバリは、研磨材が十分に衝突しないため除去できないという不利があった。
【0009】
また、化学研磨によるバリ除去は、ヨーク部品全体のいかなる場所でもヨーク部品に存在している厚さ又は太さが0.1mm以下の微小バリ取りには有効であるが、長時間の化学研磨処理だけではヨーク部品本体をも溶かしてしまうので、ヨーク部品に存在している厚さ又は太さが0.5mm以下の大きさのバリを溶かして除去することができないという不利があった。通常、化学研磨は、バレル研磨で除去できない研磨材の径より小さい貫通穴,曲げ加工,ネジ穴等の細かい細工を施した部分の、ヨーク部品に存在している厚さ又は太さが0.5mm以下のバリを補足的に小さくすることを目的として使われているが、これらを完全に除去する効果を持っていないことは前述の通りである。
【0010】
一方で、磁気研磨は、切削加工等で発生する根元の細いヒゲ状バリは取れるものの、せん断により発生したバリは、その先端に対し根元が広い形状をしており、磁気研磨による針状強磁性のメディアがバリに衝突しても根元からの除去ができないという不利があり、一般にハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの磁気回路を構成するヨーク部品のバリ取りには用いられていない。
【0011】
従来の技術では、バレル研磨のみ又はバレル研磨後に化学研磨を行うことがハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの磁気回路を構成するヨーク部品のバリ取りの主流となっているが、貫通穴,曲げ加工,ネジ穴等の細かな細工を施している部分のヨーク部品に存在する厚さ又は太さが0.5mm以下のバリは除去できず、ブラシ等で除去する場合もあった。
【0012】
しかし、バリが残る原因となる細かな細工を施している部分は、そのヨーク部品の形状が一製品ごとに異なるため、ブラシングの自動化は困難であり、人手をかけて行わざるを得ず、コストがかかりすぎるという問題があった。
【0013】
本発明は、上記事情を改善するためになされたもので、ヨーク部品の細かな細工を施された部分を含むすべての稜線に存在しているバリを確実にしかも効率よく除去することができるハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの磁気回路を構成するヨーク部品のバリ取り方法、及びかかるバリ取りが施されたヨーク部品を用いたハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、せん断加工、切削加工等が施されてバリが生成している低炭素鋼のヨーク部品に対し、まずバレル研磨を施し、次いで磁気研磨を行うことにより、ヨーク部品全体の細かな細工を施している部分、即ち、バレル研磨の研磨材が十分に衝突し得ず、バリの除去が困難である外径10mm以下の貫通穴,ネジ穴,くぼみ及び半径5mm以下の曲げ加工等の部分を含む、すべての稜線に存在しているバリを確実に除去できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0015】
従って、本発明は、ハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの低炭素鋼からなる外径10mm以下の貫通穴、ネジ穴もしくはくぼみ又は半径5mm以下の曲げ加工部分を有するヨーク部品表面に存在するバリを除去する方法であって、当該バリがヨーク部品製作時のせん断加工により上記貫通穴、ネジ穴もしくはくぼみ又は曲げ加工部分の稜線に生じた厚さ又は太さが0.5mm以下のバリを含むものであり、まず該バリを有するヨーク部品と3〜20mmの大きさの研磨材とを回転又は振動により衝突させるバレル研磨工程を行い、上記厚さ又は太さが0.5mm以下のバリの根元を細くした後、N・S極が交互に変換する磁場中、メディアと上記ヨーク部品を入れた容器内に該ヨーク部品を固定して上記磁場の極性を変換する磁気研磨工程を行うことを特徴とするヨーク部品のバリ取り方法、及びこのバリ取り方法によってバリが除去されたヨーク部品を用いたハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターを提供する。
【0016】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の方法が適用されるバリ取りにおいて、バリは低炭素鋼を用いたハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの磁気回路を構成するヨーク部品に存在している特に厚さ又は太さが0.5mm以下の、細かな細工を施している部分を含むすべての稜線に発生したバリを指す。図2は、バリの態様を模式的に示し、(A)はプレスしたヨークのせん断バリ、(B)は切削したヨークのヒゲ状バリを示し、バリの厚さ及び太さの定義を示しているが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0017】
本発明のバリ取り方法は、上記バリが生じているヨーク部品に対し、バレル研磨工程及び磁気研磨工程を順次行うものであり、以下、本発明において実施される諸工程について説明する。
【0018】
[バレル研磨工程]
バレル研磨は、ハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの磁気回路を構成するヨーク部品の貫通穴,曲げ加工,ネジ穴等の細かい細工を施した部分以外の、研磨材がバレルにより十分に衝突可能な稜線に発生したバリの除去を目的とする。また、同時に貫通穴,曲げ加工等の細かい細工を施した部分のヨーク部品に存在する厚さ又は太さが0.5mm以下のせん断により発生したバリに、バリを取るためには不十分ながら、研磨材を衝突させることにより、強制的に圧延して根元を細くして、次工程の磁気研磨工程で除去しやすい形状にする目的も同時に有している。
【0019】
バレル研磨は、アルミナ,シリカ,マグネシア等を主成分とする研磨材を使用し、ヨーク部品と防錆液等を添加した水とを同時に回転バレル、振動バレル又は遠心バレルなどに封入し、研磨材とヨーク部品とを回転,振動等により衝突させることにより行うことができる。この場合、研磨材の大きさは3mm以上、特に5mm以上で、20mm以下、特に15mm以下の、通常10mm前後の球形もしくは三角形のものが使用され、あまり細かい砥粒を入れることは望ましくない。ネジ穴やくぼみなどに砥粒が残るためである。この工程により、ヨーク部品の貫通穴,曲げ加工,ネジ穴等の細かい細工を施した部分以外の、研磨材がバリにいろいろな角度から十分に衝突可能な稜線に発生した厚さ又は太さが1.0mm以下のバリは除去される。ただし、貫通穴,曲げ加工等の細かい細工を施した部分のせん断により発生した厚さ又は太さが0.5mm以下のバリは、研磨材が限られた方向からしか衝突し得ず、圧延されたような形状になり、除去されずに残っている。しかし、その根元はバレル研磨前と比較して薄くなり、次工程の磁気研磨によるバリ取りで除去しやすい形状にすることができる。
【0020】
従来の技術では、これらのバレル研磨工程で除去されない貫通穴,曲げ加工等の細かい細工を施した部分のせん断により発生したヨーク部品に存在している厚さ又は太さが0.5mm以下のバリは、放置されるか又は化学研磨で補足的に溶かして小さくされていたが、完全な除去には至っていないことは前述の通りである。
【0021】
[磁気研磨工程]
磁気研磨によるバリ取りは、ハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの磁気回路を構成するヨーク部品の貫通穴,曲げ加工,ネジ穴等の細かい細工を施した部分のヨーク部品に存在する厚さ又は太さが0.5mm以下のバレル研磨では除去できないバリの除去を目的とする。
【0022】
磁気研磨は、主に強磁性ステンレスを使用したφ0.2〜1.0mmで長さ5mm程度の針状メディアとバリ取りを行う部品を入れた容器をN・S極が交互に変換する磁場中に置く。その際、バリ取りを行う部品とメディアの汚れを防ぐための洗浄液も同時に入れる。激しく磁場の極性を変換すると、メディアは強磁性のため、磁場の変換に合わせて激しく撹乱,振動を繰り返し、貫通穴,曲げ加工,ネジ穴等の細かな細工をしている部分にも侵入し、バリに衝突して除去する。容器内の磁場をN・S交互に変換させることは、交流電流を通電した電磁石の間に容器を設置する方法や、容器を設置する台座の下で強力な磁石をN・S交互に設置した円盤を高速で回転させる方法などにより達成される。
【0023】
通常、磁気研磨でバリ取りを行う部品は、非磁性体である。強磁性体の部品は、磁場の変換に合わせメディアと同じ方向に動くため、バリが除去し難いからである。ただし、非磁性の治具を使い、強磁性体の部品を容器内に固定することにより、メディアがバリに激しく衝突し、除去が可能となる。
【0024】
ヨーク部品も低炭素鋼を使用した強磁性体のため、このように治具を使って固定することにより、磁気研磨を用いてのバリ除去が可能となる。その際には、メディアをより確実にバリに衝突させるために、ヨーク部品のせん断方向を磁場方向と平行に固定することが望ましい。
【0025】
従って、ヨーク部品の投入量に関しては、容器の大きさ,ヨーク部品を固定する治具の設計より決定される。磁場を変換する周波数に関しては、メディアを激しく撹乱,振動させるために50〜60Hz以上を使用し、強力な磁石をN・S交互に設置した円盤を高速で回転させる方法を用いることにより、より高い周波数での磁場の変換を容易に行うことができる。
【0026】
メディアの形状に関しては、ハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの磁気回路を構成するヨーク部品の貫通穴,曲げ加工,ネジ穴等の細かい細工を施した部分の厚さ又は太さが0.5mm以下のバレル研磨では除去できないバリの発生状況に応じ、0.5〜1.0mm程度の太いメディアを選択するとよい。0.2mm前後の細いメディアを使用すると、メディアが軽いためにバリ除去の効果が落ちるためであり、通常、このような細いメディアは、プラスチック等の樹脂系の部品のバリ除去に使用される。
【0027】
研磨時間に関しては、バリの発生状況,磁場を変換する周波数に合わせ1〜10分間程度に設定する。磁気研磨後は、ヨーク部品は濡れて錆びやすくなっているので、水洗して洗浄液を落としてから、直ちにオーブン,エアブロウ等で乾燥させることが望ましい。
【0028】
これにより、特に貫通穴,曲げ加工等の打ち抜きプレス工程で作成された細かい細工を施した部分のヨーク部品に存在している厚さ又は太さが0.5mm以下のせん断により発生したバリは、前工程のバレル研磨にて強制的に圧延して根元が細い形状になっていることにより、従来の磁気研磨単独では取り得なかったプレス加工により発生したせん断バリをも除去できる。
【0029】
また、ネジ穴,くぼみ等の切削加工で細かい細工を施した部分の切削により発生したヒゲ状バリは、根元が細いため、磁気研磨によるメディアの衝突で完全に除去される。
【0030】
なお、このような装置については、バリ取りの能率を上げる 変形なく微小バリ除去・磨き仕上げが可能な磁気研磨法〔b▲2▼〕JA G0937A ツールエンジニア(JPN)38[2]34−39(’97)に記載されている。
【0031】
ここで、前工程でバレル研磨を行うことなく磁気研磨を行った場合には、せん断により発生したバリは、その先端に対し根元が広い形状をしており、磁気研磨による針状強磁性のメディアがバリに衝突しても、根元からの除去ができないことは前述の通りであり、細かな細工をしている部分を含むすべての稜線のせん断により発生したバリは全く除去されない。
【0032】
稀にではあるが、バレル研磨工程と磁気研磨工程とを順次行ったヨーク部品の細かい細工を施した部分において、ヨーク部品に存在している厚さ又は太さが0.1mm以下のせん断により発生した微小バリが、ヨーク部品本体に倒れて密着してしまい、メディアが十分に衝突し得ずに依然として若干除去できていない場合がある。このようなものが存在する場合は、仕上げに化学研磨を行って溶かして除去することが効果的である。化学研磨は、主成分を過酸化水素水、水素二フッ化アンモニウム又はリン酸等を1〜40%含有する水溶液にヨーク部品を10秒〜10分間浸漬し、バリを化学的に溶解して除去する。
【0033】
化学研磨を行う場合には、ヨーク部品は表面が活性化しているため、化学研磨終了後、直ちに水洗,酸洗いを施し、メッキ(ニッケル、銅等)を行うことが望ましい。なお、磁気研磨でのバリ取り工程後の化学研磨、メッキ工程は、ヨーク部品を固定する治具等を共通化することにより、磁気研磨−化学研磨−メッキ等を連続して処理することができる。
【0034】
図3は、バレル研磨,磁気研磨,補助的仕上げ処理としての化学研磨の各工程で、貫通穴内に発生したせん断バリが除去される過程を模式的に示し、(A)はバレル研磨前、(B)はバレル研磨後、(C)は磁気研磨後、(D)は化学研磨後の状態を示す。図中1はヨーク部品本体、2はこれに形成された貫通穴を示し、バレル研磨前(A)においては貫通穴2の外周縁部に微小なせん断バリ11、厚さが0.5mm以下のせん断バリ12が形成されており、これらバリ11,12は貫通穴2の貫通方向に沿って外方に突出している。これらバリ11,12は、いずれも先端に対し根元が太く、磁気研磨だけでは除去できないものである。このようなバリ状態のヨーク部品1に対し、バレル研磨を施す(B)と、上記バリ11,12に研磨材3が当たり、これらバリ11,12を内方(貫通穴2方向)に押しやる。これにより、これらバリ11,12は、このバレル研磨によっては除去されないが、圧延されて根元が細くなる。なお、微小なせん断バリ11においては、図示したように、貫通穴2内周壁に倒れ、寝てしまう(先端側が内周壁に当接してしまう)場合がある。次いで、磁気研磨を施す(C)と、上述したように、バレル研磨によりバリ11,12の根元が細くなっているので、上記バリ11,12は磁気研磨により除去される。しかし、上記貫通穴2内周壁に倒れ込んだ微小なせん断バリ11は、なお除去されない場合がある。このように微小なせん断バリ11がわずかに残っていても、化学研磨を行う(D)ことにより、完全に除去されるものである。なお、本発明において、バリ取りの態様は図3に限られるものではない。
【0035】
以上の条件により、ハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの磁気回路を構成するヨーク部品は、大きなバリから貫通穴,曲げ加工,ネジ穴等の細かい細工を施した部分のバリまで、従来バレル研磨,磁気研磨いずれかを単独で用いるだけでは除去することができなかった、ヨーク部品に存在している厚さ又は太さが0.5mm以下のせん断により発生した細かな細工を施している部分のバリを含め、すべてのバリが除去される。これにメッキを施すことにより、ハードディスクドライブに有害なバリの脱落を心配する必要がないボイスコイルモーターのヨーク部品として製品化される。
【0036】
このヨーク部品を用い、磁石を接着して着磁,組立を行うことにより、ハードディスクドライブに有害なバリの脱落を心配する必要がないボイスコイルモーターとして製品化することができる。なお、上記ヨーク部品を組み込んだボイスコイルモーターのその他の部品、構成は公知のものとすることができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0038】
〔実施例〕
厚さ3.2mmのSPCC冷間圧延鋼鈑を用い、プレス打ち抜きにてハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの磁気回路を構成する重量30gのヨーク部品を作成した。ヨークは対角5cm程度の平板状であるが、厚み方向に外径3mmの貫通穴を2ヶ所,外径2.5mmの転造タップを1ヶ所開けている。これらはボイスコイルモーターをハードディスクドライブに組み込む際の位置決めに使用されている。打ち抜いたままの状態では、外径3mmの貫通穴の稜線を含むすべてのプレスダイ側の稜線にせん断バリが発生している。また、外径2.5mmの転造タップ穴内のネジ山にはネジきりによるヒゲ状バリが発生している。この試験片に以下の条件で回転バレル研磨、磁気研磨を順次行った。
【0039】
[回転バレル研磨工程]
ヨーク部品投入量 50個×30g
外径15mm球状研磨材投入量 5kg
(研磨材:アルミナ、シリカを主成分)
回転数 46r.p.m
研磨時間 1時間
【0040】
[磁気研磨工程]
メディア材質:SUS304
メディア形状:φ0.5×5L(mm)
メディア投入量:1kg
容器寸法:φ300×150H(mm)
上記条件にて、テフロン製の治具にヨーク部品を立てて固定し、メディアと水を入れ、10分間60Hzで磁場をN・S交互に発生させて、メディアを撹乱,振動させた。
【0041】
上記の処理を行ったヨークにニッケルメッキを施した。これにおける通常の稜線部のせん断バリ,外径3mm貫通穴の稜線部のせん断バリ,外径2.5mm転造タップのヒゲ状バリを観察した。その結果を表1に示す。
【0042】
〔比較例〕
比較のため、下記のヨークを同時に作成し、同様にバリ除去状態を評価した。
(比較例1)
上記工程の[バレル研磨工程]のみ実施したもの。
(比較例2)
上記工程の[バレル研磨工程]と[化学研磨工程]とを実施したもの。
(比較例3)
上記工程の[磁気研磨工程]のみを実施したもの。
【0043】
なお、[化学研磨工程]は、過酸化水素水、水素二フッ化アンモニウムを主成分とする化学研磨液(三菱瓦斯化学株式会社製CPL−100)を三倍希釈し、20℃にて1分間処理した。
これらの結果を表1に併記する。
【0044】
【表1】
◎:観察したすべてのヨーク部品において、バリは完全に除去されている。
○:バリはほぼ完全に除去されているが、わずかに残っているヨーク部品もある。
△:バリ除去に若干の効果はあったが、バリはまだ大半のヨーク部品で残っている。
×:観察したすべてのヨーク部品において、バリは全く除去されていない。
−:バリ除去処理前より該当するバリが存在しない。
【0045】
なお、実施例において、[磁気研磨工程]を施した後、[化学研磨工程]を続いて行ったところ、表1に示す0.1mm以下のせん断バリを完全に除去することができた。
【0046】
【発明の効果】
本発明によるハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの磁気回路を構成するバリ取りを施したヨーク部品の製造方法は、細かい細工をしている部分を含むすべての稜線に対するバリ除去に有効であり、ハードディスクドライブに有害なバリを除去した清浄なボイスコイルモーターの製造に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボイスコイルモーターの概略斜視図である。
【図2】ヨーク部品に存在するバリの態様を模式的に示すもので、(A)はプレスしたヨークのせん断バリ、(B)は切削したヨークのヒゲ状バリの説明図である。
【図3】ヨーク部品の貫通穴に生じたバリの除去過程を模式的に示し、(A)はバレル研磨前、(B)はバレル研磨後、(C)は磁気研磨後、(D)は化学研磨後の状態の説明図である。
【符号の説明】
1 ヨーク部品本体
2 貫通穴
3 研磨材
11,12 バリ
Claims (4)
- ハードディスクドライブ用ボイスコイルモーターの低炭素鋼からなる外径10mm以下の貫通穴、ネジ穴もしくはくぼみ又は半径5mm以下の曲げ加工部分を有するヨーク部品表面に存在するバリを除去する方法であって、当該バリがヨーク部品製作時のせん断加工により上記貫通穴、ネジ穴もしくはくぼみ又は曲げ加工部分の稜線に生じた厚さ又は太さが0.5mm以下のバリを含むものであり、まず該バリを有するヨーク部品と3〜20mmの大きさの研磨材とを回転又は振動により衝突させるバレル研磨工程を行い、上記厚さ又は太さが0.5mm以下のバリの根元を細くした後、N・S極が交互に変換する磁場中、メディアと上記ヨーク部品を入れた容器内に該ヨーク部品を固定して上記磁場の極性を変換する磁気研磨工程を行うことを特徴とするヨーク部品のバリ取り方法。
- 上記磁気研磨工程後、主成分を過酸化水素水、水素二フッ化アンモニウム又はリン酸を1〜40%含有する水溶液に浸漬する化学研磨工程を行う請求項1記載のバリ取り方法。
- バリがヨーク部品製作時のせん断加工により生じたものであり、かつ磁気研磨工程において、ヨーク部品のせん断方向を磁場方向と平行に固定する請求項1又は2記載のバリ取り方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項記載のバリ取り方法によってバリが除去されたヨーク部品を用いたハードディスクドライブ用ボイスコイルモーター。
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