JP3669472B2 - フランジ付き金属部材の曲げ加工方法および曲げ加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本出願発明は、例えば、アルミニューム合金製フランジ付き中空押出し材の如きフランジ付き金属部材の曲げ加工方法およびその曲げ加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
溝型鋼のフランジを内側にして該溝型鋼を曲げ加工しようとすると、このフランジが座屈を起して、該フランジが波状に変形し、外形が見苦しくなるとともに、このフランジに他の部材を密接させることが困難となり、また曲げ剛性が大巾に低下する欠点があり、従来では、フランジをその端縁かV状に切込んで、溝型鋼に曲げ加工を施した後、この切込み縁相互を直接にあるいはV状片を介して溶接していたが、曲げ加工が多くて生産性が低く、コスト高となり、また、強度的に信頼性が低かった。
【0003】
これを改善したものとして、特開昭51―123760号公報に記載された溝型鋼の曲げ加工方法では、フランジの根元部に孔加工を施した後に、該フランジの面に沿い該フランジを内側にして溝型鋼を曲げていた。
【0004】
【解決しようとする課題】
特開昭51―123760号公報記載の曲げ加工方法によれば、フランジの根元部に孔が形成されるため、溝型鋼のフランジ面に沿った曲げ剛性が低下するとともに、大きな曲率半径で溝型鋼を長い範囲に亘って曲げようとすると、孔加工工数が増大して、生産性が低下し、しかも溝型鋼の曲げ剛性が著しく低下することが避けられなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段および効果】
本出願発明は、このような難点を克服したフランジ付き金属部材の曲げ加工方法および加工装置の改良に係り、請求項1記載の発明は、フランジ付き金属部材を金型内に押し込み供給しつつ該部材のフランジに、該金属部材の長手方向に対し交叉する方向の圧縮力を加えて圧縮塑性変形を与えた後、該フランジ付き金属部材を前記フランジの面に沿い該フランジ側を内側にして曲げ加工することを特徴とするものである。
【0006】
請求項1記載の発明は、前記したように構成されているため、前記フランジには、前記金属部材の長手方向に引張り力が加えられて、大きな引張り歪が生じ、該フランジは前記金属部材の長手方向に引張り塑性変形を起す。
このため、次に前期フランジの面に沿い該フランジ側を内側にして前記フランジ付き金属部材を曲げると、該フランジには、前記引張り塑性変形と逆向きの圧縮力が働き、低い降状圧縮応力でもって該フランジは圧縮塑性変形を起す(これを通常バウジング効果という)結果、該フランジはその厚さ方向に波状に変形することなく、平面に近い形状を保った状態で、前記フランジ付き金属部材の曲げ加工が容易にかつ確実に遂行される。従って、フランジを平面に修正する後加工処理が不必要となって、そのまま、該フランジにウェザーストリップ等の部品を高い精度で能率良く取付けることができ、コストダウンが可能となる。
【0007】
また、請求項2記載の発明を適用することにより、前記フランジに容易にかつ確実に圧縮歪を発生させて、次のバウジンガー効果を利用した曲げ加工を楽に行なうことができる。
【0008】
さらに、請求項3記載の発明を適用することにより、前記フランジ付き金属部材の曲げ変形量に適合した圧縮塑性変形を発生させ、フランジに厚さ方向の波状変形を起さずに、前記フランジ付き金属部材に合理的に能率良く曲加工を施すことができる。
【0009】
さらにまた、請求項4記載の発明の曲げ加工装置を用いることにより、一連の圧縮塑性変形加工と曲げ加工と同時に行なうことができ、精度の高い高品質の曲げ加工フランジ付き金属部材を能率良く低コストで生産することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図14に図示された本出願発明の一実施形態について説明する。
【0011】
本出願発明が適用されるフランジ付き金属部材は、AL6063T5と称せられるアルミニュームにマグネシウムとシリコンが添加されたアルミニューム合金製中空押出し材よりなる乗用車用のルーフサイドフレーム1で、図7に図示されるように、該ルーフサイドフレーム1の中空部分内に補強壁2が一体に形成されるとともに、その下方にフランジ3が一体に形成されている。
【0012】
また、ルーフサイドフレーム1は、後で詳細に説明されるように、フランジ3に圧縮塑性加工が施された後、特開平8―257643号公報に記載のような曲げ加工装置により、図1に図示されるように、側面視で車体前部から車体後部にかけて円弧状(図1では前半部のみである)に弯曲し、さらに平面視で図2に図示されるように、車体前部から車体後部にかけて車体中心に向い傾斜するとともに弓状(図2では前半部のみである)に弯曲し、しかもフランジ3は前部で略下方へ指向しているが、車体前後中央部にかけて外方へ向うように捩れるように、曲げ捩れ加工がルーフサイドフレーム1に施されている。
【0013】
さらに、図10に図示されるフロントピラー8の外側面に、該フロントピラー8の水平横断面形状と略同一の水平横断面形状をしたアウタースティフナー4が重ねられて、相互に溶接でもって一体に結合され、図8に図示されるように、ルーフサイドフレーム1の前端部の外側面にフロントピラー8が当てがわれるるとともに、ルーフサイドフレーム1の前端部の内側面にインナースティフナー6が当てがわれ、アウタースティフナー4のフランジ5とインナースティフナー6のフンラジ7とが重ねられてスポット溶接等で一体に結合され、かつルーフサイドフレーム1,アウタースティフナー4,インナースティフナー6およびフロントピラー8が相互に溶接等で一体に結合されることによって、ルーフサイドフレーム1はアウタースティフナー4およびインナースティフナー6に一体に挟着されている。
【0014】
さらにまた、ルーフサイドフレーム1の前半部には、ルーフビーム取付け片9が溶接等で一体に装着され、左右に架設された図示されないルーフビームとルーフサイドフレーム1とに図示されないルーフが張設されている。
【0015】
ルーフサイドフレーム1は、図7に図示されるような中空断面構造をなし、フランジ3の厚さは、1.65mmで、フランジ3の巾は約20mmであり、後で説明されるように、フランジ3の厚さ方向の圧縮力が加えられて、圧縮塑性加工が施されると、約0.3ミリメートル薄くなって、フランジ3の厚さは約1.35ミリメートルになる。
【0016】
このように、フランジ3の厚さ方向に圧縮力が加えられて圧縮塑性変形すると、フランジ3にはルーフサイドフレーム1の長手方向およびフランジ3の巾方向へ引張力が加えられて、その方向へ伸び塑性変形を起すため、その後のフランジ5を内側としたルーフサイドフレーム1の曲げ加工の際に、フランジ3にはルーフサイドフレーム1の長手方向に沿った圧縮力が加えられて、圧縮塑性変形を起すが、この逆向きの負荷時の降伏応力が著しく低下する(この現象をバウジンガー効果という)結果、フランジ3が波打つような変形を起すことなく、フランジ3が略平面状を保った状態で、フランジ3の面に沿ってルーフサイドフレーム1は容易にフランジ3の側へ曲げられる。
【0017】
この結果、フランジ3を平面に矯正する後加工を施す必要がなくなって、該フランジ3にモール、ウェザーストリップ等の部品を高い精度で確実にかつ能率良く取付けることができる。
【0018】
次に、ルーフサイドフレーム曲げ加工装置10の構造と、このルーフサイドフレーム曲げ加工装置10を用いてルーフサイドフレーム1の曲げ加工を行なう工程を具体的に説明する。
【0019】
図11および図12に図示されるように、ルーフサイドフレーム曲げ加工装置10の曲げ加工装置本体11にワーク固定金型12が一体に取付けられ、該ワーク固定金型12は、図12ないし図14に図示されるように、ルーフサイドフレーム1の横断面形状と略一形状のキャビティが形成された2個の雌金型13,14と、該雌金型13の切欠部13aに装入固定されるワイパー金型15とよりなり、これらは、図示されないボルトによって相互に一体に着脱自在に一体に結合され、必要に応じて雌金型13の切欠部13aの底面13bとワイパー金型15の底面15aとに所要の厚さのシム(図示されず)が介装され、該ワイパー金型15の上面端部15cは85mmの距離を角度2°をなして端縁に向い下方へ傾斜し、ワイパー金型15の上面中央平行部15bの延長面と傾斜端部15cの端縁との間隔は約3mmとなるように、ワイパー金型15の上面は形成され、雌金型14は請求項4の受け部材に対応する部材であり、ワイパー金型15は押圧部材に対応する部材であり、該ワーク固定金型12,雌金型13,14およびワイパー金型15と後記ワーク供給装置16とで請求項4記載の発明の曲げ加工装置の主要部が構成されている。
【0020】
また、ワイパー金型15の上面中央平行部15bと、雌金型14の切欠段部14aの下面14bとの間には、未加工のルーフサイドフレーム1のフランジ3の厚さ1.35mmに比べて0.3mm小さい1.35mmの間隙が設定されている。
【0021】
さらに、曲げ加工装置本体11の後方には、請求項4の摺動駆動手段に対応するワーク供給装置16が配設されており、該ワーク供給装置16により、ルーフサイドフレーム1はワーク固定金型12内を前方に向って供給駆動されるようになっている。
【0022】
さらにまた、ワーク固定金型12の前方には、ワーク固定金型12と略同一横断面形状をした曲げ金型17が58mmの間隔を存して配置され、該曲げ金型17では、ルーフサイドフレーム1を通過することが可能な孔18が形成され、図11に図示されるように、ルーフサイドフレーム1のフランジ3を挟む孔18の溝部分18aがフランジ3の両フランジ面に対し0.5mmの間隙が存するように形成されている。
【0023】
そして、曲げ金型17は保持部材19に回転可能に嵌装され、該保持部材19は水平軸20を介して外枠21に上下へ傾動自在に枢支され、該外枠21は、鉛直軸22を介して昇降台23に左右へ旋回自在に枢支されており、曲げ金型17は、図示されない回転駆動機構により曲げ金型17の外周円筒面の中心線を中心として回転できるとともに、曲げ金型17および保持部材19は、上下、左右いずれの方向にも向きを変えることができるようになっている。
【0024】
また、前記昇降台23は左右(図面では前後)に配置された1対の昇降ガイドレール24を介して左右移動台25に昇降自在に取付けられ、該左右移動台25は上下に配置された1対の水平ガイドレール26を介して曲げ加工装置本体11に左右(図面では前後)に移動自在に取り付けられており、昇降台23は昇降駆動機構27により上下に、左右移動台25は左右駆動機構28により左右にそれぞれ駆動されるようになっている。
【0025】
図11ないし図12に図示のルーフサイドフレーム曲げ加工装置10を用いて、ルーフサイドフレーム1の曲げかつ捩る加工工程を説明する。
【0026】
表面にホートドロー7002と称せられる潤滑油が塗布されたルーフサイドフレーム1がワーク固定金型12内を前方に向い1分間に2000mmの送り速度で供給駆動されると、ワーク固定金型12内をルーフサイドフレーム1が摺動通過する際に、雌金型14の切欠き段部14aの下面14bと、ワイパー金型15の傾斜端部15cとにより、ルーフサイドフレーム1における厚さ1.65mmのフランジ3が圧縮されて、厚さ1.35mmに圧縮塑性変形されるので、フランジ3は、ルーフサイドフレーム1の長手方向の弾性限界を超える引張降伏応力を受け、同じ方向に伸び塑性変形を起す。
【0027】
ワーク固定金型12内を通過したルーフサイドフレーム1は、曲げ金型17の孔18に嵌合されるが、左右駆動機構28により、左右移動台25がルーフサイドフレーム1の進行方向を基準として右方(図11,図12では手前側)に駆動されて、曲げ金型17は、保持部材19,外枠21,鉛直軸22,昇降台23,昇降ガイドレール24および左右移動台25を介して左右駆動機構28と共に右方へ移動されるため、ルーフサイドフレーム1はフランジ3を内側にして弯曲成形されると同時に、昇降駆動機構27により曲げ金型17が上下に昇降されるとともに、図示されない回転駆動機構により所要角度回転される結果、ルーフサイドフレーム1はフランジ3を内側にした弯曲方向に対し直角方向へ弯曲されるとともにいずれかの方向へ捩られる。
【0028】
このフランジ3を内側にしたルーフサイドフレーム1の弯曲の際に、フランジ3にはルーフサイドフレーム1の長手方向に沿う伸び塑性変形による圧縮降伏応力が著しく低下するために、フランジ3は、フランジ3の面に沿ってそのまま圧縮塑性変形を起し、フランジ3が波打つような変形を伴わずにルーフサイドフレーム1はフランジ3を内側にして容易に曲げられる。
【0029】
また、たとえフランジ3が波打つよう僅かな変形が生じた場合にも、フランジ3を挟む孔18の溝部分18aとフランジ3とに0.5mmの間隙が存在するため、フランジ3の両側面が孔18の溝部分18aに強く接することがなく、溝部分18aの接触摩擦によるフランジ3の破損が未然に阻止される。
【0030】
さらに、400mおよび600mの半径でもってルーフサイドフレーム1を曲げ加工した時に、フランジ3に圧縮塑性変形加工を施した本実施形態と、ワーク固定金型12におけるワイパー金型15を用いず圧縮塑性変形加工を伴わずに従来の方法で直接曲げ加工した場合の波状皺の深さとピッチの形成結果は、下記の表のようになった。
【表1】
【0031】
この実験結果から明らかなように、フランジ3の皺発生は、目視では見分けができない程度僅かであり、フランジ3への部品取付け精度が著しく向上する。
【0032】
さらにまた、弯率半径を30〜53m程度に短縮して曲げ加工を行なった結果は、下記の通りである。
【表2】
【0033】
この実験結果によれば、NO1,NO2のように、皺が全く発生しない場合もあった。
【0034】
また、圧縮変形量の調整には図示されないシムを用い、このシムの厚さを変え、あるいは油圧によって、ワイパー金型15の突出量を変えるようにしてもよい。
【0035】
そして、曲率半径が小さくなれば、それに対応してフランジ3の圧縮塑性変形量を増大させるとよい。
【0036】
さらに、ルーフサイドフレーム1の曲げおよび捩り加工装置は必ずしもルーフサイドフレーム曲げ加工装置10である必要はなく、他の曲げ加工装置でもよい。
【0037】
さらにまた、曲げ加工対象部材は、ルーフサイドフレーム1のように中空部材でなくとも、図16に図示するような溝型金属部材や変形溝型金属部材でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態によって曲げ加工を施されたルーフサイドフレームの側面図である。
【図2】 図1の平面図である。
【図3】 図1のIII矢視図である。
【図4】 図1のIV―IV線に沿って截断した横断面図である。
【図5】 図1のV―V線に沿って截断した横断面図である。
【図6】 図2のVI―VI線に沿って截断した横断面図である。
【図7】 図1のVII―VII線に沿って截断した横断面図である。
【図8】 ルーフサイドフレームとフロントピラーとの結合状態を図示した要部拡大側面図である。
【図9】 図8のIX―IX線に沿って截断した横断面図である。
【図10】 アウタースティフナーとインナースティフナーとフロントピラーの上部をぞれぞれ図示した分解側面図である。
【図11】ルーフサイドフレーム曲げ加工装置の概略を図示した斜視図である。
【図12】 ルーフサイドフレーム曲げ加工装置の縦断側面図である。
【図13】 ワーク固定金型の雌金型を取外した状態の側面図である。
【図14】 図13のXIV―XIV線に沿って截断した横断面図である。
【図15】 雌金型の斜視図である。
【図16】 他の断面形状を図示したフランジ付き金属部材の横断面図である。
【符号の説明】
1…ルーフサイドフレーム、2…補強壁、3…フランジ、4…アウタースティフナー、5…フランジ、6…インナースティフナー、7…フランジ、8…フロントピラー、9…ルーフビーム取付け片、10…ルーフサイドフレーム曲げ加工装置、11…曲げ加工装置本体、12…ワーク固定金型、13,14…雌金型,15…ワイパー金型、16…ワーク供給装置、17…曲げ金型、18…孔、19…保持部材、20…水平軸、21…外枠、22…鉛直軸、23…昇降台、24…昇降ガイドレール、25…左右移動台、26…水平ガイドレール、27…昇降駆動機構、28…左右駆動機構。
Claims (4)
- フランジ付き金属部材を金型内に押し込み供給しつつ該部材のフランジに、該金属部材の長手方向に対し交叉する方向の圧縮力を加えて圧縮塑性変形を与えた後、該フランジ付き金属部材を前記フランジ面に沿い該フランジ側を内側にして曲げ加工することを特徴とするフランジ付き金属部材の曲げ加工方法。
- 前記圧縮力の方向は、前記フランジの厚さ方向、すなわち、フランジ面に対し直交した方向であることを特徴とする請求項1記載のフランジ付き金属部材の曲げ加工方法。
- 前記フランジ付き金属部材の曲げ半径の減少に対応して、前記圧縮塑性変形量が増大することを特徴とする請求項1または請求項2記載のフランジ付き金属部材の曲げ加工方法。
- フランジ付き金属部材を摺動自在に包持するとともに該フランジの一面に当接しうる受け部材と、
該フランジの他面に当接するフランジ他面当接面が、前記フランジ一面に当接する前記受け部材の当接面に対し、該フランジの一端から他端に向い少しづつ間隔が狭くなるように形成されて、前記受け部材に対し一体的に固定された押圧部材と、
前記受け部材の当接面と該押圧部材の当接面との間隔が広い側から狭い側に向って前記フランジ付き金属部材を摺動駆動する摺動駆動手段とを備えたことを特徴とするフランジ付き金属部材の曲げ加工装置。
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